JP6644520B2 - 分散体 - Google Patents

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Description

本発明は、分散体に関する。より詳しくは、潤滑材料、樹脂への添加剤等の用途に好適に用いることができる酸化黒鉛の分散体に関する。
酸化黒鉛は、sp結合で結合した炭素原子が平面的に並んだ層状構造をもつ黒鉛を酸化し、酸素官能基を付与したものであり、その特異な構造や物性のために数多くの研究がなされている。酸化黒鉛は、種々の用途に用いられることが期待されており、例えば、油中に分散させて潤滑材料として用いることが望まれている。
酸化黒鉛は親水性のため、そのままでは油中で分散しない。油等の非極性分散媒への分散性を高める方法として、熱や化学反応で親水性の酸素官能基を還元させる手法や、疎水性の置換基で酸化黒鉛を修飾する手法が考えられるが、親水性の酸素官能基を還元させるだけでは、非極性分散媒への充分な分散性を得ることは難しい。これまでにも、酸化黒鉛の還元反応や置換基の導入反応については報告例があるが(特許文献1〜3、非特許文献1〜6参照。)、酸化黒鉛の非極性分散媒中での分散性の向上を目的とした検討はされていない。
特許第4798411号公報 国際公開第2012/128114号公報 特許第5234325号公報
岡田祐樹ら、他1名、「酸化グラフェンの触媒的エステル化反応の開発」、2014年、日本化学会年会、2E4−29 仁科勇太、「酸化グラフェンの表面修飾技術の開発」、新学術領域研究「原子層科学」中間成果報告(2014)公募研究合成班、71−74 Chun Kiang Chua, et.al, Chem. Soc. Rev., 2014, 43, 291-312 Xiaobin Fan, et.al, Adv. Mater., 2008, 20, 4490-4493 and Supporting Information Daniel R. Dreyer, et.al, "Reduction of graphite oxide using alcohols"J. Mater. Chem., 2011, 21, 3443-3447 Daniel R. Dreyer, et.al, Chem. Soc. Rev., 2010, 39, 228-240
潤滑材料、樹脂への添加剤等に好適に用いられる酸化黒鉛の分散体を得るためには、非極性分散媒中で酸化黒鉛が安定に分散した分散体が求められている。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、非極性分散媒中で酸化黒鉛が安定に分散した酸化黒鉛の分散体を提供することを目的とする。
本発明者は、非極性分散媒中で酸化黒鉛を安定に分散させる方法について種々検討し、酸化黒鉛を、その末端に炭化水素基をもつ官能基を有する誘導体とすると、比誘電率が20以下の非極性分散媒中で安定に分散した新規な酸化黒鉛誘導体の分散体が得られることを見出した。
以上のようにして本発明者は上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、酸化黒鉛誘導体が分散媒中に分散してなる分散体であって、該酸化黒鉛誘導体は、末端に炭化水素基をもつ官能基を有し、該分散媒は、比誘電率が20以下の分散媒である分散体である。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において段落に分けて記載される個々の本発明の好ましい特徴を2つ以上組み合わせた形態も、本発明の好ましい形態である。
<分散体>
本発明の分散体は、酸化黒鉛誘導体が分散媒中に分散してなる分散体であって、該酸化黒鉛誘導体は、末端に炭化水素基をもつ官能基を有し、該分散媒は、比誘電率が20以下の分散媒(以下では、非極性分散媒とも言う。)である。
酸化黒鉛は、グラフェン、黒鉛(グラファイト)等の黒鉛質の炭素材料を酸化することにより酸素が結合したものであり、該酸素は黒鉛質の炭素材料に対しカルボキシル基、カルボニル基、ヒドロキシル基、エポキシ基の置換基として存在している。酸化黒鉛誘導体は、酸化黒鉛に更に、硫黄含有基、窒素含有基等の官能基を有していてもよいが、炭素原子、水素原子、及び、酸素原子のみを構成元素とするものであることが好ましい。
本発明に係る酸化黒鉛誘導体の特徴を示す分析として質量分析法とFT−IR法(フーリエ変換赤外分光法)が挙げられる。本発明に係る酸化黒鉛誘導体は末端に炭化水素基を有することから、質量分析法によってイオン化されたフラグメントが容易に観測できる。
酸化黒鉛自身はその大質量であることから質量分析法ではイオン検出されず、つまり、酸化黒鉛に導入された化合物由来の部位のみが観測される。
FT−IR法では後述する実施例の通り、上記酸化黒鉛誘導体は炭化水素基に由来するC−Hのピークの出現により容易に分析できる。
本発明の分散体は、質量分析法により、上記炭化水素基がフラグメントピークとして検出されることが好ましい。ここで「フラグメントピークとして検出される」とは、バックグラウンドのノイズの平均高さの3倍以上の高さを示すものを言い、該平均高さの5倍以上の高さを示すものが好ましく、該平均高さの10倍以上の高さを示すものがより好ましい。
また上記酸化黒鉛誘導体は、FT−IR分析法により、上記炭化水素基の吸収ピークが検出されることが好ましい。ここで「吸収ピークが検出される」とは、上記炭化水素基を導入する前の原料の酸化黒鉛のFT−IRチャートに対して、該FT−IRチャートのノイズ高さの平均変動幅の3倍以上の高さを示すものを言い、該変動幅の5倍以上の高さを示すものが好ましく、該変動幅の10倍以上の高さを示すものがより好ましい。
上記酸化黒鉛誘導体は、末端に炭化水素基をもつ官能基を有する。炭化水素基としては、特に限定されず、アルキル基やシクロアルキル基等の飽和脂肪族炭化水素基;アルキニル基やアルケニル基等の非環式不飽和脂肪族炭化水素基;アリール基等の芳香族炭化水素基等のいずれであってもよいが、中でも飽和脂肪族炭化水素基であることが好ましく、アルキル基であることがより好ましい。
上記アルキル基としては、例えば、n−テトラデシル基、sec−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基、sec−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基、sec−オクタデシル基、n−エイコシル基、sec−エイコシル基、2−オクチルドデシル基、n−ドコシル基、sec−ドコシル基、2−オクチルテトラデシル基、n−テトラコシル基、sec−テトラコシル基、2−オクチルヘキサデシル基、n−ヘキサコシル基、sec−ヘキサコシル基、n−オクタコシル基、sec−オクタコシル基、n−トリアコンチル基、sec−トリアコンチル基、n−ドトリアコンチル基、sec−ドトリアコンチル基、n−テトラトリアコンチル、sec−テトラトリアコンチル、n−ヘキサトリアコンチル、sec−ヘキサトリアコンチル等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
上記炭化水素基は、酸化黒鉛誘導体の非極性分散媒中での分散性をより向上する観点からは、炭素数が4以上であることが好ましく、6以上であることがより好ましく、12以上であることが更に好ましい。また、上記炭化水素基は、酸化黒鉛誘導体の非極性分散媒中での分散速度を充分に速いものとし、また、酸化黒鉛誘導体を効率的に製造する観点からは、炭素数が50以下であることが好ましく、36以下であることがより好ましく、24以下であることが更に好ましい。
上記炭化水素基は、酸化黒鉛誘導体を効率的に得る観点からは、直鎖であることが好ましい。該炭化水素基は、酸化黒鉛誘導体の非極性分散媒中での分散性をより良好なものとし、より安定な分散体とする観点からは、分岐鎖であることが好ましい。
上記酸化黒鉛誘導体は、酸化黒鉛誘導体100質量%中、炭化水素基の含有量が0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることが更に好ましく、1質量%以上であることが特に好ましい。また、該含有量は、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以下であることが特に好ましい。
上記末端に炭化水素基をもつ官能基は、特に限定されず、アルコキシカルボニル基(−COOR)、アルコキシル基(−OR)等の酸素含有基;硫黄含有基;窒素含有基;リン含有基等が挙げられるが、アルコキシカルボニル基(−COOR)、アルコキシル基(−OR)等の酸素含有基であることが好ましい。なお、上記Rは、炭化水素基を表す。すなわち、上記官能基における末端の炭化水素基以外の部分は、例えば、−COO−、又は、−O−であることが好ましい。
上記酸化黒鉛誘導体は、酸化黒鉛誘導体100質量%中、炭素原子、水素原子、及び、酸素原子以外のその他の原子の含有量が、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることが更に好ましい。上記酸化黒鉛誘導体は、その他の原子を有しないことが特に好ましい。言い換えれば、上記酸化黒鉛誘導体は、炭素原子、水素原子、及び、酸素原子のみを構成元素とするものであることが好ましい。その他の原子としては、窒素原子、リン原子、ハロゲン原子等が挙げられる。特に、上記酸化黒鉛誘導体は、酸化黒鉛誘導体100質量%中、窒素原子の含有量が0.1質量%以下であることが好ましい。
上記酸化黒鉛誘導体は、平均粒子径が1μm以上、100μm以下であることが好ましい。
上記平均粒子径は、3μm以上であることがより好ましい。該平均粒子径は、60μm以下であることがより好ましい。上記平均粒子径は、粒度分布測定装置により測定することができる。
上記酸化黒鉛誘導体の形状としては、微粉状、粉状、粒状、顆粒状、鱗片状、多面体状、ロッド状、曲面含有状等が挙げられる。なお、平均粒子径が上述のような範囲の粒子は、例えば、粒子を粉砕機等により粉砕する方法や、該粉砕により得られた粗粒子を更にふるい等にかけて粒子径を選別する方法のほか、粒子を製造する段階で調製条件を最適化し、所望の粒子径の粒子を得る方法等により製造することが可能である。
本発明の分散体における上記分散媒は、比誘電率が20以下である。
比誘電率が20以下の分散媒としては、例えば、ベンゼン、キシレン、トルエン、シクロヘキシルベンゼン、ジヒドロベンゾフラン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、ナフタレン、アントラセン等の炭素数6〜14の芳香族炭化水素系分散媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、シクロヘキサン等の炭素数5以上の脂肪族炭化水素系分散媒;天然ガス、石油、石炭等を原料とする鉱物油;シリコーン等の合成油;ヒマシ油、菜種油、蝋等の植物性油;豚油、牛油等の動物性油等、アセトン、ブタノン等のケトン系分散媒、ジエチルエーテル等のエーテル系分散媒、酢酸エチル等のエステル系分散媒、クロロホルム等のハロゲン系分散媒が挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合したものを使用できる。
本明細書中、比誘電率は、真空の誘電率に対する分散媒の誘電率の比(ε/ε)であり、インピーダンスアナライザ(ヒューレットパッカード(HEWLETT PACKERD)製、商品名「HP4294A」)を用いて測定されるものである。
上記比誘電率は、14以下であることがより好ましく、10以下であることが更に好ましく、5以下であることが一層好ましく、3以下であることが特に好ましい。
上記比誘電率の下限値は特に限定されないが、比誘電率は、例えば1以上であることが好ましく、1.5以上であることがより好ましい。
本発明の分散体は、分散媒100質量%に対する酸化黒鉛誘導体の濃度が、0.001質量%以上であることが好ましく、0.005質量%以上であることがより好ましい。また、該濃度が、100質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましい。
本発明の分散体は、酸化防止剤、腐食防止剤、消泡剤等の、潤滑材料等に一般的に用いられるその他の添加剤を含んでいてもよい。その他の添加剤の含有量は、特に限定されないが、例えば酸化黒鉛誘導体量100質量%に対し、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが更に好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。
本発明の分散体は、酸化黒鉛誘導体が非極性分散媒中で安定に分散したものであるため、例えば機械用の潤滑材料として好適に使用できるものである。本発明は、例えば、酸化黒鉛誘導体が分散媒中に分散してなる潤滑材料であって、該酸化黒鉛誘導体は、末端に炭化水素基をもつ官能基を有し、該分散媒は、比誘電率が20以下の分散媒である潤滑材料であってもよい。また、本発明の分散体は、例えば潤滑材料を得るための潤滑油への添加剤としても好適に使用することができる。
<分散体の製造方法>
本発明は、酸化黒鉛と炭化水素基含有化合物とを反応させて末端に炭化水素基をもつ官能基を有する酸化黒鉛誘導体を得る工程(以下では、反応工程とも言う。)と、該酸化黒鉛誘導体を媒体中に分散させる工程(以下では、分散工程とも言う。)とを含む分散体の製造方法でもある。以下では、反応工程及び分散工程について順に説明する。なお、酸化黒鉛誘導体の生成は、実施例の方法に沿って赤外線吸収スペクトルを測定することにより確認される。
(反応工程)
上記反応工程における上記炭化水素基含有化合物としては、アミン化合物、イソシアネート基含有化合物、ホスホニウム基含有化合物、カルボニル基含有化合物(例えば、カルボン酸ハライド)、水酸基含有化合物(例えば、アルコール)等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。中でも、上記炭化水素基含有化合物は、水酸基含有化合物であることが好ましく、得られる酸化黒鉛誘導体中に窒素原子、リン原子、ハロゲン原子が含まれることを防止する観点から、アルコールであることがより好ましい。アルコールとしては、上述した酸化黒鉛誘導体が有する官能基がもつ炭化水素基に対応するものを適宜使用できる。
上記炭化水素基含有化合物は、公知の方法を用いて得ることができ、市販品を使用することも可能である。
上記反応工程における炭化水素基含有化合物の使用量は、反応工程に用いる混合液中の酸化黒鉛量100質量%に対し、1000〜10000質量%であることが好ましい。該炭化水素基含有化合物を大過剰に用いることにより、還元反応を抑制して酸化黒鉛の修飾反応を優位に進めることができる。該使用量は、2000質量%以上であることがより好ましく、3000質量%以上であることが更に好ましく、4000質量%以上であることが特に好ましい。また、該使用量は、8000質量%以下であることがより好ましく、7000質量%以下であることが更に好ましく、6000質量%以下であることが特に好ましい。
本明細書中、炭化水素基含有化合物の使用量とは、反応工程に用いる混合液を作製するために用いられた炭化水素基含有化合物の仕込み量を言う。
上記酸化黒鉛は、ハマーズ法やその改良法等の公知の方法を用いて得ることができ、市販品を使用することも可能である。
上記反応工程では、触媒として水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の塩基触媒や、硫酸等の酸触媒を用いることができるが、非極性分散媒中での分散性を高める観点から、酸触媒を用いることが好ましく、例えば硫酸を用いることがより好ましい。
上記反応工程において触媒を用いる場合、触媒の使用量は、反応工程に用いる混合液中の酸化黒鉛量100質量%に対し、0.01〜1000質量%であることが好ましい。該使用量が0.01質量%以上であることにより、酸化反応中に混合液の高粘度化を充分に防止して酸化黒鉛誘導体を効率的に製造することができる。また、該使用量が1000質量%以下であることにより、廃液量(又は廃物量)を充分に少なくすることができる。
上記使用量は、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることが更に好ましく、50質量%以上であることが特に好ましい。また、該使用量は、700質量%以下であることがより好ましく、500質量%以下であることが更に好ましく、200質量%以下であることが特に好ましい。
本明細書中、触媒の使用量とは、上記混合液を作製するために用いられた触媒の仕込み量を言う。
上記触媒は、公知の方法を用いて得ることができ、市販品を使用することも可能である。
上記混合液は、酸化黒鉛、炭化水素基含有化合物、及び、必要に応じて触媒等を混合して得ることができる。混合は、公知の方法で適宜行うことが可能であるが、例えば、超音波処理を行ったり、公知の分散機を用いたりして酸化黒鉛を均一に分散させることが好ましい。
上記反応工程は、公知の撹拌機等を用いて撹拌しながら行うことができる。
上記反応工程は、例えば空気中、又は、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中で行うことができる。また、上記反応工程は、その圧力条件は特に限定されず、加圧条件下、常圧条件下、減圧条件下で行うことができるが、例えば常圧条件下で行うことが好ましい。反応温度は、例えば60〜120℃とすればよい。反応温度を60℃以上とすることにより、反応が効率的に進行する。また、反応温度を120℃以下とすることにより、還元反応等の副反応を抑制できる。反応時間は、例えば8〜120時間とすればよい。
上記酸化黒鉛誘導体を製造するために、上記反応工程の後、その他の工程を適宜行うことができ、例えば、水洗、ろ過、デカンテーションにより精製工程をおこなってもよい。
上記精製工程は、空気中で行ってもよく、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中で行ってもよい。
(分散工程)
上記分散工程では、公知の撹拌機を用いて撹拌を行ったり、公知の超音波発生装置を用いて超音波処理を行ったりすることにより酸化黒鉛誘導体を媒体中に分散させることができるが、例えば超音波処理を行うことが好ましい。
上記分散工程は、例えば空気中、又は、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中で行うことができる。また、上記分散工程は、その圧力条件は特に限定されず、加圧条件下、常圧条件下、減圧条件下で行うことができるが、例えば常圧条件下で行うことが好ましい。分散工程における温度条件は、分散媒が液体である限り特に限定されないが、例えば0〜40℃とすればよい。分散する時間は、例えば10分〜48時間とすればよい。
本発明の分散体は、上述の構成よりなり、酸化黒鉛誘導体が非極性分散媒に充分に分散して安定化されたものであり、潤滑材料、樹脂への添加剤等の用途に好適に使用できる。
原料である酸化黒鉛のFT−IRチャートである。 実施例1で作製した酸化黒鉛誘導体のFT−IRチャートである。 実施例1で作製した酸化黒鉛誘導体の質量分析チャートである。 実施例2で作製した酸化黒鉛誘導体のFT−IRチャートである。 実施例3で作製した酸化黒鉛誘導体のFT−IRチャートである。 比較例1で作製した酸化黒鉛誘導体のFT−IRチャートである。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
下記実施例及び比較例においては、次のようにして分析し、評価を行った。
<FT−IRの測定方法>
サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製Nicolet NEXUS670 FTIRを用いて、酸化黒鉛誘導体をKBrと混合しペレット化することで測定した。測定範囲は900〜4000cm−1で分解能は1cm−1とした。
<分散性の評価方法>
APEL社製比色計AP−1000Mを用いて、0.1mg/mlの酸化黒鉛誘導体の分散液における、波長660nmの光の透過率の時間推移を測定した。光の透過が確認できる時間(透過率が0%→1%となる時間)が1時間以上のものに対して分散性が良好であるとした。最大測定時間を6時間とした。
<質量分析の分析方法>
サーモクエスト社製GC−MS PolarisQを用いてEI−DEP−MS法で分析した。
<元素分析の分析方法>
elementer社製vario EL cube CHNSを用いてCHNOの質量濃度を測定した。
(実施例1)
〔OGO20−Bの合成〕
非特許文献(Karthikeyan K, et.al, Carbon, 53, (2013), 38-49)に記載の方法を参考に原料となる酸化黒鉛を合成した。この酸化黒鉛(200mg)と2−オクチル−1−ドデカノール(東京化成工業社製、10ml)、硫酸(和光純薬社製、200mg)を混合し、100℃で24時間反応させた。反応後、反応液にアセトンを注ぎ、ろ過した。得られた固体をヘキサンに分散させたのち水洗した。有機層をろ過し、OGO20−Bを得た。得られた固体をヘキサデカン(比誘電率2.0)へ加え、1時間超音波をかけ、分散を試みたところ、光の透過が確認できる時間が6時間以上であり、良好な分散性が確認できた。
図2にFT−IRチャートを示した。原料のFT−IRチャート(図1)と比較し、C−Hに由来するピーク(2900cm−1前後)の出現、及びC−O−Cに由来するピーク(1200cm−1前後)のシフトが確認できることから、アルコールが導入されたことが確認できた。
図3に質量分析チャートを示した。2−オクチル−1−ドデカノールに由来するフラグメントピークが確認できた。
また元素分析の結果、CHOの質量濃度の合計は95.66%であり、Nの質量濃度は0.01%であった。
(実施例2)
〔OGO20−Sの合成〕
酸化黒鉛(200mg)、1−エイコサノール(東京化成工業社製、8g)、硫酸(200mg)を混合し、反応後、反応液に熱ヘキサンを投入し、熱時ろ過した。得られた固体をヘキサンに分散させたのち水洗した。有機層をろ過し、OGO20−Sを得た。得られた固体をヘキサデカンへ加え、1時間超音波をかけ、分散を試みたところ、光の透過が確認できる時間が6時間以上であり、良好な分散性が確認できた。
図4にFT−IRチャートを示した。
また元素分析の結果、CHOの質量濃度の合計は96.12%であり、Nの質量濃度は0.00%であった。
(実施例3)
〔OGO12−Sの合成〕
用いたアルコールを2−オクチル−1−ドデカノールから1−ドデカノール(東京化成工業社製、200mg)に変えた以外は実施例1に記載の方法と同様に合成しOGO12−Sを得た。得られた固体をヘキサデカンへ加え、1時間超音波をかけ、分散を試みたところ、光の透過が確認できる時間が6時間以上であり、良好な分散性が確認できた。
図5にFT−IRチャートを示した。
また元素分析の結果、CHOの質量濃度の合計は97.47%であり、Nの質量濃度は0.00%であった。
(比較例1)
〔rGOの合成〕
アルコールの代わりにヘキサデカン(東京化成工業社製、10ml)に変えた以外は実施例1に記載の方法と同様に合成しrGOを得た。得られた固体をヘキサデカンへ加え、1時間超音波をかけ、分散を試みたところ、光の透過が確認できる時間が20分であり、良好な分散性が確認できなかった。
図6にFT−IRチャートを示した。
また元素分析の結果、CHOの質量濃度の合計は96.94%であり、Nの質量濃度は0.01%であった。
上述した実施例1〜3及び比較例1では、FT−IRチャートの結果から、酸化黒鉛のカルボキシル基、エポキシ基や水酸基にアルコールが導入され、アルコキシカルボニル基やアルコキシ基が形成されていると考えられる。実施例では、アルコールとして炭素数20の2−オクチル−1−ドデカノール、1−エイコサノール、炭素数12の1−ドデカノールを用いているが、末端に炭化水素基をもつ官能基を有する酸化黒鉛誘導体である限り、本発明の効果を生じさせる作用機構は同様である。すなわち、非極性分散媒中に分散される酸化黒鉛誘導体において少なくとも炭化水素基を有するところに本発明の本質的特徴があり、炭化水素基が同様の化学的特徴を有するものであれば、この実施例で示されるような効果を奏することになる。したがって、本発明における必須構成要素によって構成される分散体とすれば、発明の有利な効果を発現することは確実であるといえる。上述した実施例及び比較例においては、炭化水素基が直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基である場合が示されているが、これによって本発明の有利な効果が立証され、また、明細書に記載された本発明の構成によって奏される作用機構を合わせて考えれば、本発明の技術的意義が裏付けられているといえる。

Claims (6)

  1. 酸化黒鉛誘導体が分散媒中に分散してなる分散体であって、
    該酸化黒鉛誘導体は、末端に飽和脂肪族炭化水素基をもつアルコキシカルボニル基(−COOR)(Rは、飽和脂肪族炭化水素基を表す)を有し、
    該分散媒は、比誘電率が20以下の分散媒である
    ことを特徴とする分散体。
  2. 質量分析法により、前記炭化水素基がフラグメントピークとして検出される
    ことを特徴とする請求項1に記載の分散体。
  3. 前記酸化黒鉛誘導体は、FT−IR分析法により、前記炭化水素基の吸収ピークが検出されることを特徴とする請求項1又は2に記載の分散体。
  4. 酸化黒鉛誘導体の濃度が0.001〜100mg/mlであることを特徴とする請求項1〜3に記載の分散体。
  5. 前記炭化水素基は、アルキル基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の分散体。
  6. 前記酸化黒鉛誘導体は、窒素原子の含有量が0.1質量%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の分散体。
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