JP6762850B2 - 酸化黒鉛誘導体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、酸化黒鉛誘導体の製造方法に関する。より詳しくは、触媒、電池やキャパシタの電極活物質、熱電変換材料、導電性材料、発光材料、潤滑用添加剤、高分子用添加剤、透過膜材料、抗菌材料、撥水材料、吸着材料等として好適に用いることができる酸化黒鉛誘導体の製造方法に関する。
酸化黒鉛は、sp結合で結合した炭素原子が平面的に並んだ層状構造をもつ黒鉛を酸化し、酸素含有官能基を付与したものであり、その特異な構造や物性のために数多くの研究がなされている。酸化黒鉛は、触媒、電池やキャパシタの電極活物質、熱電変換材料、導電性材料、発光材料、潤滑用添加剤、高分子用添加剤、透過膜材料、抗菌材料、撥水材料、吸着材料等として用いられることが期待されている。
このような酸化黒鉛に対し、更に所望の機能を付与するために、酸化黒鉛を誘導体化する手法が考えられる。例えば、酸化黒鉛の使用態様として、潤滑用添加剤として油中に分散させて用いることや、高分子等の樹脂と複合化させて用いることが望まれている。そこで、そのままでは親水性の酸化黒鉛を油、樹脂等の非極性、低極性分散媒(疎水性分散媒)中で充分には分散できないため、分散させる処理として熱や化学反応で親水性の酸素含有官能基を還元したり、疎水性の置換基で酸化黒鉛を修飾したりする手法が考えられる。なお、これまでにも、酸化黒鉛の還元反応や置換基の修飾反応については報告例がある(特許文献1、2、非特許文献1〜3参照。)。その中でも非特許文献3において酸化黒鉛の非極性分散媒中での分散性の向上を目的とした検討はされているが、前処理としての精製乾燥、還元処理による積極的な反応性酸素の除去、反応前処理としての強塩基性の試薬による処理等を行っている。
ところで、酸化黒鉛の製造方法としては、黒鉛を酸溶媒中で強力な酸化剤と作用させることで酸化黒鉛を合成した後、生成した酸化黒鉛を溶液中から精製する方法が一般的であり、酸化剤として硫酸と過マンガン酸カリウムを用いるHummers法が知られている(非特許文献4、特許文献3〜5参照)。またその他の方法として、硝酸と塩素酸カリウムを用いるBrodie法、酸化剤として硫酸、硝酸と塩素酸カリウムを用いるStaudenmaier法等が知られている。黒鉛を酸化した後、酸化黒鉛を含む反応液からの酸化黒鉛の精製は、反応液の遠心分離又は濾過により行われることが一般的であるが、気体で加圧しながら濾過を行う方法が効率的な酸化黒鉛の精製方法として報告されている(非特許文献5、6参照)。
特許第5234325号公報 中国特許第101935030号公報 特開2002−53313号公報 特開2011−148701号公報 特許第4798411号公報
仁科勇太、「酸化グラフェンの表面修飾技術の開発」、新学術領域研究「原子層科学」中間成果報告(2014)公募研究合成班、71−74 Daniel R. Dreyer, et.al, "Reduction of graphite oxide using alcohols"J. Mater. Chem., 2011, 21, 3443-3447 Jean-Philippe, et.al, Langmuir, 2012, 28. 6691-6697 William S. Hummers, et.al, Journal of American Chemical Society, 1958, 80, 1339 Gabriel Ceriotti, et.al, RSC Advances, 2015, 5, 50365 Gabriel Ceriotti, et.al, Nanoscale, 2015, 00, SI, pp.1-8
上記のとおり、酸化黒鉛の製造方法として種々の方法が知られている。しかしながら、これらのいずれの方法も、黒鉛を酸化した後、酸化黒鉛を含む反応液からの酸化黒鉛の分離の際に、遠心分離を繰り返して行うとある程度手間がかかるとともに廃液の量が多くなってしまう。また、後述するがある一定の精製度まで精製が進むと加圧下であっても反応液を濾過するとフィルターが目詰まりを起こすおそれがあるため、酸化黒鉛やその誘導体の効率的な製造を妨げる要因となっている。現状では酸化黒鉛やその誘導体を工業的規模で製造することは殆ど不可能である。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、高品質な酸化黒鉛誘導体を簡便に製造することを可能とする酸化黒鉛誘導体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、高品質な酸化黒鉛誘導体を効率的に製造する方法について種々検討し、酸化工程で得られる酸化黒鉛含有組成物の精製及び乾燥の少なくとも一方を省き、未精製及び/又は未乾燥の酸化黒鉛を用いて酸化黒鉛誘導体を調製した。そしてこの酸化黒鉛誘導体の製造方法により、製法工程が飛躍的に簡便なものとなり、工程上のメリットがあるとともに、所望の官能基を有する基が充分に導入された高品質な酸化黒鉛誘導体を得ることができることを見出し、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。本発明者らは、更に、このような酸化黒鉛誘導体の製造方法において、酸化黒鉛を高温条件下で誘導体化することにより、落つい感度が充分に低減(消失)された酸化黒鉛誘導体を得ることが可能であることも見出し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、酸化黒鉛誘導体を製造する方法であって、該製造方法は、黒鉛を酸化する工程と、該酸化工程で得られる酸化黒鉛含有組成物中の酸化黒鉛と、該酸化黒鉛の酸素含有官能基と反応する化合物とを反応させて酸化黒鉛誘導体を得る工程とを含み、酸化工程と酸化黒鉛誘導体を得る工程との間に、酸化黒鉛含有組成物を精製し、かつ乾燥する工程を含まないことを特徴とする酸化黒鉛誘導体の製造方法である。
本発明はまた、アルキル基を有し、JIS K 4810に規定される落つい感度試験で測定される等級が8級である酸化黒鉛誘導体でもある。
本発明の酸化黒鉛誘導体の製造方法により、高品質な酸化黒鉛誘導体を簡便に得ることができる。
調製例2で作製した酸化黒鉛のFT−IRチャートである。 実施例1で作製した酸化黒鉛誘導体AのFT−IRチャートである。 実施例1で作製した酸化黒鉛誘導体AのXRDチャートである。 実施例2で作製した酸化黒鉛誘導体BのFT−IRチャートである。 実施例3で作製した酸化黒鉛誘導体CのFT−IRチャートである。 実施例4で作製した酸化黒鉛誘導体DのFT−IRチャートである。 実施例5で作製した酸化黒鉛誘導体EのFT−IRチャートである。 実施例5で作製した酸化黒鉛誘導体EのXRDチャートである。 実施例6で作製した酸化黒鉛誘導体FのFT−IRチャートである。 実施例7で作製した酸化黒鉛誘導体GのFT−IRチャートである。 実施例8で作製した酸化黒鉛誘導体HのFT−IRチャートである。 実施例9で作製した酸化黒鉛誘導体IのFT−IRチャートである。 実施例9で作製した酸化黒鉛誘導体IのXRDチャートである。 実施例10で作製した酸化黒鉛誘導体JのFT−IRチャートである。 実施例10で作製した酸化黒鉛誘導体JのXRDチャートである。 比較例1で作製した酸化黒鉛誘導体KのFT−IRチャートである。 比較例2で作製した酸化黒鉛誘導体LのFT−IRチャートである。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において段落に分けて記載される個々の本発明の好ましい特徴を2つ以上組み合わせた形態も、本発明の好ましい形態である。
なお、非特許文献3に記載のように、酸化黒鉛の精製乾燥、還元処理、反応前処理としての強塩基性の試薬による処理等を行った場合は、酸化黒鉛から反応性酸素が除去されてしまい、充分な修飾反応が進まず、分散性に乏しいと考えられる。一方、本発明の手法を用いれば、非特許文献3に記載の手法で得られる酸化黒鉛誘導体では分散性が充分でなかったエタノールやデカン中でも分散性が良好な酸化黒鉛誘導体が得られることが分かった。
また、特許文献1に記載のように前処理としてカチオン性有機化合物のカチオンを用いるとその後、該カチオン由来の部分が不純物として酸化黒鉛誘導体と強く結合し、除去することが困難となる。
(酸化黒鉛誘導体)
酸化黒鉛は、グラフェン、黒鉛(グラファイト)等の黒鉛質の炭素材料を酸化することにより酸素が結合したものであり、該酸素は黒鉛質の炭素材料に対しカルボキシル基、カルボニル基、ヒドロキシル基、エポキシ基等の置換基として存在している。本発明の酸化黒鉛誘導体は、更に、酸化黒鉛の炭素原子に、酸化黒鉛の酸素含有官能基と反応する化合物由来の基をもつ官能基が結合した構造を有する。
上記酸化黒鉛誘導体は、更に、硫黄含有基、窒素含有基等の官能基を有していてもよいが、炭素、水素、及び、酸素のみを構成元素とするものであるか、又は、炭素、水素、酸素、及び、窒素のみを構成元素とするものであることが更に好ましい。酸化黒鉛誘導体の好ましいものについては、後述する。
本発明の製造方法により得られる酸化黒鉛誘導体の特徴を示す分析として質量分析法とFT−IR法が挙げられる。質量分析法によってイオン化されたフラグメントが容易に観測できる。酸化黒鉛自身は大質量であることから質量分析法ではイオン検出されず、つまり、酸化黒鉛に導入された化合物由来の部位のみが観測される。
FT−IR法では後述する実施例の通り、例えば酸化黒鉛誘導体が末端に炭化水素基を有する場合は、本発明の酸化黒鉛誘導体は炭化水素基に由来するC−Hのピーク(2900cm−1付近)の出現により容易に分析できる。
先ず、本発明の酸化黒鉛誘導体の製造方法において、黒鉛を酸化する工程と酸化黒鉛誘導体を得る工程との間に酸化黒鉛含有組成物を精製かつ乾燥する工程を含まないこと及び濃縮工程について順に説明する。次いで、黒鉛を酸化する工程、及び、酸化黒鉛誘導体を得る工程について順に説明する。
(本発明の製造方法が酸化黒鉛含有組成物を精製し、かつ乾燥する工程を含まないこと)
本発明の製造方法は、酸化工程と酸化黒鉛誘導体を得る工程との間に、酸化黒鉛含有組成物を精製し、かつ乾燥する工程を含まない。すなわち、本発明の製造方法は、酸化工程と酸化黒鉛誘導体を得る工程との間に、酸化黒鉛含有組成物を精製せず、かつ乾燥しないものであってもよく、酸化黒鉛含有組成物の精製及び乾燥のいずれか一方のみを行うものであってもよい。なお、上述した「酸化黒鉛含有組成物を精製し、かつ乾燥する工程を含まない」とは、酸化黒鉛含有組成物を、酸化黒鉛誘導体を得る工程の反応に供する場合に、該酸化黒鉛含有組成物が、精製され、かつ乾燥されたものではないことを意味する。本発明者らは、酸化黒鉛含有組成物からの酸化黒鉛の精製工程、乾燥工程の際に、酸化黒鉛が有する反応性の酸素含有官能基が還元及び/又は不活化されてしまうことを見出し、精製及び乾燥の少なくとも一方を省くことにより、反応性の酸素含有官能基の数を充分に維持した酸化黒鉛含有組成物中の酸化黒鉛を、酸化黒鉛誘導体を得る工程の反応(修飾反応)に適用することができることを見出した。その結果、修飾反応により所望の官能基を有する基が充分に導入された高品質な酸化黒鉛誘導体を効率的に得ることができる。また、精製及び乾燥の少なくとも一方を省くので、製法工程がより簡便なものとなり、工程上のメリットがある。
本明細書中、酸化黒鉛含有組成物を精製する工程とは、該酸化黒鉛含有組成物から固形不純物(例えば、過マンガン酸塩等の酸化剤等)及び/又は酸化反応時の溶媒(硫酸等の強酸等)を除き、該酸化黒鉛含有組成物を酸化黒鉛水分散体とする工程を言う。
精製の役割及び意義として、例えば該酸化黒鉛含有組成物中の酸化黒鉛に対する硫酸濃度を1質量%以下とすることで酸化黒鉛又は酸化黒鉛水分散体を得ることであり、酸化黒鉛又は酸化黒鉛水分散体を特許文献5に記載の通り、水に希釈した場合(たとえば1〜10%酸化黒鉛水分散液とした場合)、総イオン濃度(大部分は硫酸濃度)が特許文献5に記載の閾値濃度を下回り酸化黒鉛自身の電離を促し、水分子との相互作用が強くなり酸化黒鉛の分散性が飛躍的に向上することが分かっている。また、この水準まで精製が進むと、その分散性により濾過性が非常に悪くなってしまう。酸化黒鉛を材料として使用する場合、この分散性が大きく物性に作用することも分かっている。すなわち酸化黒鉛単独の物性を充分に発揮させるためには該精製工程が必須であり、多くの検討がなされている。しかし、本発明のように酸化黒鉛自身を材料に適用するわけではなく、修飾等の化学反応を行い、誘導体を材料として適用する場合は酸化黒鉛の分散性よりも酸化黒鉛自身の反応性が重要となってくる。本発明者らは、特許文献5に記載のような総イオン濃度(硫酸濃度)では酸化黒鉛が電離することで、高活性な酸素置換基も電離もしくは分解してしまい、続く修飾反応で不利となってしまうことを見出した。本発明においては、酸化工程後の反応液から、適切な硫酸濃度の酸化黒鉛含有組成物を分離する工程のみを行うことができるが、より高度な精製工程を行わないことが好ましい。すなわち、本発明において省略することができる高度な精製工程とは、特許文献5に記載のような、酸性度を下げ、酸化黒鉛の電離を促し、水に対する強い分散性を付与することと言える。つまり、本発明において省略することができる精製工程とは、酸化黒鉛の質量に対して硫酸を1質量%未満にする工程のことである。
酸化黒鉛含有組成物を分離する工程を行う場合、該分離工程は、酸化黒鉛を含む反応組成物を精製し、かつ乾燥する工程には該当しない程度に、反応組成物から後述する通り、後段の反応工程に適するように酸化黒鉛含有組成物を分離するものであればよく、水洗や、固形不純物を水に溶解させたうえでの遠心分離、濾過等の手法の1種又は2種以上を用いて行うことができ、また後述するような濾過等の際に界面活性剤、有機溶媒等の凝集剤を添加しても構わない。また、上記分離工程は、空気中で行ってもよく、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中で行ってもよい。また、分離工程を行う際に、硫酸や、水等の溶媒の一部を除去してもよい。
本発明の製造方法は、中でも、上記酸化工程と上記酸化黒鉛誘導体を得る工程との間に、酸化黒鉛含有組成物を精製する工程を含まないものであることが好ましい。これにより、反応性の酸素含有官能基の数をより充分に維持した酸化黒鉛を修飾反応に用いることができ、得られる酸化黒鉛誘導体が、所望の官能基を有する基がより充分に導入された高品質なものとなる。更に、本発明の製造方法が非常に簡便なものとなる。
すなわち、本発明の製造方法の1つの好ましい実施形態は、酸化黒鉛誘導体を製造する方法であって、該製造方法は、黒鉛を酸化する工程と、該酸化工程で得られる酸化黒鉛含有組成物中の酸化黒鉛と、該酸化黒鉛の酸素含有官能基と反応する化合物とを反応させて酸化黒鉛誘導体を得る工程とを含み、酸化工程と酸化黒鉛誘導体を得る工程との間に、酸化黒鉛含有組成物を精製する工程を含まず、該酸化黒鉛含有組成物を精製する工程は、該酸化黒鉛含有組成物に含まれる酸化黒鉛の質量に対して硫酸を1質量%未満にする工程である、酸化黒鉛誘導体の製造方法である。
また酸化黒鉛含有組成物を乾燥する工程とは、酸化黒鉛含有組成物から少なくとも酸化工程において用いた水等の揮発性溶媒を除き、乾燥物とする工程を言う。
また、本発明者らは、該酸化黒鉛含有組成物中の酸化黒鉛に対する水濃度を少なくとも3質量%未満とすると、酸化黒鉛の高活性な酸素官能基に対し配位していた水まで除かれることで、配位安定していた酸素官能基が脱離し、続く修飾反応で不利となってしまうことを見出した。すなわち、酸化黒鉛に対し、水が3質量%以上含まれる酸化黒鉛含有組成物とすることで、修飾反応に優位な活性な酸素官能基を安定に維持させることができる。つまり、本発明において省略することができる乾燥工程とは、酸化黒鉛の質量に対して水を3質量%未満にする工程のことである。
酸化黒鉛含有組成物を乾燥する工程を行う場合、乾燥工程は、遠心分離、濾過、蒸発等の手法の1種又は2種以上を用いて行うことができ、濾過等の際に界面活性剤、有機溶媒等の凝集剤を添加しても構わない。
該蒸発は、例えば減圧条件下で行ったり、加熱条件下で行ったりすることができるが、減圧条件下かつ加熱条件下で行うことが好ましい。また、遠心分離や濾過は、空気中で行ってもよく、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中で行ってもよい。
また本発明の製造方法の1つの好ましい実施形態は、例えば、酸化黒鉛誘導体を製造する方法であって、該製造方法は、黒鉛を酸化する工程と、該酸化工程で得られる酸化黒鉛含有組成物中の酸化黒鉛と、該酸化黒鉛の酸素含有官能基と反応する化合物とを反応させて酸化黒鉛誘導体を得る工程とを含み、酸化工程と酸化黒鉛誘導体を得る工程との間に、酸化黒鉛含有組成物を乾燥する工程を含まない製造方法であって、該酸化黒鉛含有組成物を乾燥する工程は、該酸化黒鉛含有組成物に含まれる酸化黒鉛の質量に対して水を3質量%未満にする工程である、酸化黒鉛誘導体の製造方法であってもよい。
本発明の製造方法は、中でも、酸化黒鉛含有組成物の精製工程、乾燥工程のいずれも行わないものであることが好ましい。これにより、高品質な酸化黒鉛誘導体を簡便に得ることができる本発明の効果が顕著なものとなる。
すなわち、本発明の製造方法の1つの好ましい実施形態は、黒鉛を酸化する工程(酸化工程)、及び、該酸化工程で得られる酸化黒鉛含有組成物中の酸化黒鉛と、該酸化黒鉛の酸素含有官能基と反応する化合物とを反応させて酸化黒鉛誘導体を得る工程を含み、かつ、該酸化工程と該酸化黒鉛誘導体を得る工程との間に、酸化黒鉛含有組成物を精製する工程と、酸化黒鉛を含む反応液を乾燥する工程とをいずれも含まない製造方法であって、該酸化黒鉛含有組成物を精製する工程は、該酸化黒鉛含有組成物に含まれる酸化黒鉛の質量に対して硫酸を1質量%未満にする工程であり、該酸化黒鉛含有組成物を乾燥する工程は、該酸化黒鉛含有組成物に含まれる酸化黒鉛の質量に対して水を3質量%未満にする工程である、酸化黒鉛誘導体の製造方法である。
(酸化黒鉛含有組成物を濃縮する工程)
本発明の製造方法は、反応組成物から硫酸や溶媒の一部を除去する工程(濃縮工程)を含むことが好ましい。より好ましくは、本発明の製造方法は、酸化工程と酸化黒鉛誘導体を得る工程との間に、酸化黒鉛含有組成物を濃縮する工程を含む。本発明における濃縮工程とは、反応組成物から硫酸や水の一部を除去して酸化黒鉛含有組成物を得る工程であって、組成物中、酸化黒鉛の質量に対して硫酸を1質量%以上残存させるか、及び/又は、酸化黒鉛の質量に対して水を3質量%以上残存させる工程を意味する。例えば酸化工程直後の反応組成物中に、酸が、酸化黒鉛誘導体を得る工程における原料化合物量に対して過剰に存在する場合、濃縮工程により酸を適度に除去することで、原料化合物量に対する酸の量を後述する好適な範囲内に調節することができ、修飾反応をより高効率で進行させることができる。
例えば上記濃縮工程等を経て分離した、上記酸化黒鉛誘導体を得る工程の反応に供される酸化黒鉛含有組成物は、組成物中の酸化黒鉛の質量100質量%に対し、水を3〜10000質量%含むことが好ましい。水分量が3質量%以上であることで、活性な酸素官能基を配位し、安定化させ、続く修飾反応に効率よく反応させることができる。また、10000質量%以下とすることで水が修飾反応の妨げとならないようにすることができる。
上記含有量は、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましく、50質量%以上であることが特に好ましい。また、該含有量は、5000質量%以下であることがより好ましく、3000質量%以下であることが更に好ましく、2000質量%以下であることが一層好ましく、1000質量%以下であることが特に好ましく、500質量%以下であることが最も好ましい。
なお、通常は、酸化工程直後では酸が酸化黒鉛に対し過剰に存在しており(例えば、酸化黒鉛100質量%に対し硫酸2000〜5000質量%程度)、反応停止工程直後であれば水が酸化黒鉛に対し過剰に存在する(例えば、酸化黒鉛100質量%に対し、500〜10000質量%程度)。
この水の量が上記範囲内となるように上記濃縮工程で酸及び水を濃縮することが好ましい。これにより、反応性の酸素を酸化黒鉛誘導体を得る工程まで安定的に存在させ効率的に修飾反応に供することができる。
また後述するように酸化工程において酸化剤として過マンガン酸塩を用いる場合、濃縮工程後の酸化黒鉛含有組成物は、組成物中、マンガンを0.01質量%以上含んでいてもよい。
更に、後述するように酸化工程において酸化剤として過マンガン酸カリウムを用いる場合、濃縮工程後の酸化黒鉛含有組成物は、組成物中、カリウムを0.01質量%以上含んでいてもよい。
本発明における濃縮工程とは酸化黒鉛含有組成物中の水量等を調節することであり、この工程は水量が上述した下限値未満とならない限り、遠心分離、水等を加え再分散、濾過、凝集剤を用いた濾過、減圧濃縮等の方法を使用して行うことができる。また、これらの工程は繰り返してもよいが、繰り返すことなく、1工程で完了することが好ましい。更に、凝集剤を用いて濃縮する場合の凝集剤については特に限定はされないが、続く修飾反応の妨げにならないものが好ましい。凝集剤としては、例えば、ポリマー性の凝集剤で酸化黒鉛の酸素官能基や硫酸と反応しないもの、揮発性の凝集剤で、反応時の反応温度で容易に取り除けるものが挙げられる。
(黒鉛を酸化する工程)
上記黒鉛を酸化する工程は、黒鉛が酸化されることになる限り、その方法は特に制限されず、上述したHummers法、Brodie法、Staudenmaier法等のいずれの方法における黒鉛の酸化方法を用いてもよく、後述する実施例に記載の方法のように、Hummers法における酸化方法を採用した、黒鉛と硫酸とを含む混合液に過マンガン酸塩を添加する工程であってもよい。
本発明の製造方法において、上記酸化工程は、酸を用いて黒鉛を酸化することが好ましい。
上記酸化工程が酸を用いて黒鉛を酸化する場合、本発明の製造方法は、酸化工程で得られる酸化黒鉛含有組成物の精製及び乾燥の少なくとも一方を省くため、酸化黒鉛誘導体を得る工程に供される酸化黒鉛含有組成物中に酸が残留し、該酸は、酸化黒鉛に含まれる酸素官能基を安定化させる。なお、この場合、酸化黒鉛誘導体を得る工程に供される酸化黒鉛含有組成物中に、酸化工程で用いた酸化剤由来の成分や、酸化工程や反応停止工程で用いた水等が残留していてもよく、修飾反応を高効率で進行させることができる。その結果、酸化黒鉛誘導体を得る工程において、該酸化黒鉛に含まれる酸素官能基を安定に存在させたまま修飾反応に供することが可能となり、本発明の製造方法をより簡便で高効率なものとすることができる。
中でも、上記酸化工程が、黒鉛と硫酸とを含む混合液に過マンガン酸塩を添加する工程であることは、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記酸化工程が黒鉛と硫酸とを含む混合液に過マンガン酸塩を添加する工程である場合、硫酸の使用量は、黒鉛に対する硫酸の質量比(硫酸/黒鉛)が25〜60となる量であることが好ましい。該質量比が25以上であることにより、酸化反応中に反応液(混合液)の高粘度化を充分に防止して酸化黒鉛を効率的に製造することができる。また、該質量比が60以下であることにより、廃液量を充分に少なくすることができる。
上記質量比は、26以上であることがより好ましく、27以上であることが更に好ましく、28以上であることが特に好ましい。また、該質量比は、54以下であることがより好ましく、48以下であることが更に好ましく、42以下であることが特に好ましい。
上記酸化工程に用いる黒鉛は、平均粒子径が3μm以上、80μm以下であることが好ましい。このような平均粒子径のものを用いることで、酸化反応をより効率的に進めることができる。黒鉛の平均粒子径は、より好ましくは3.2μm以上、70μm以下である。
上記平均粒子径は、粒度分布測定装置により測定することができる。
上記酸化工程に用いる黒鉛の形状は特に制限されず、微粉状、粉状、粒状、顆粒状、鱗片状、多面体状、ロッド状、曲面含有状等が挙げられる。なお、平均粒子径が上述のような範囲の粒子は、例えば、粒子を粉砕機等により粉砕する方法や、粒子をふるい等にかけて粒子径を選別する方法、これら方法の組み合わせのほか、粒子を製造する段階で調製条件を最適化し、所望の粒子径の粒子を得る方法等により製造することが可能である。
上記黒鉛と硫酸とを含む混合液中における黒鉛の含有量は、混合液100質量%に対して0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、1.5質量%以上であることが更に好ましく、2質量%以上であることが特に好ましい。該黒鉛の含有量は、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましく、7質量%以下であることが更に好ましく、6質量%以下であることが特に好ましい。
本発明の製造方法における酸化工程に用いる黒鉛は、1種のみであってもよく、上記平均粒子径、形状等のいずれかにおいて異なる2種以上のものを用いてもよい。
上記酸化工程が黒鉛と硫酸とを含む混合液に過マンガン酸塩を添加する工程である場合、上記酸化工程で添加する過マンガン酸塩としては、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸アンモニウム、過マンガン酸銀、過マンガン酸亜鉛、過マンガン酸マグネシウム、過マンガン酸カルシウム、過マンガン酸バリウム等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できるが、中でも過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウムが好ましく、過マンガン酸カリウムがより好ましい。
上記酸化工程が黒鉛と硫酸とを含む混合液に過マンガン酸塩を添加する工程である場合、上記酸化工程における上記過マンガン酸塩の全添加量は、上記混合液中の黒鉛量100質量%に対し、50〜500質量%であることが好ましい。これにより、酸化黒鉛を安全かつ効率的に製造することができる。なお、酸化剤の全添加量を変化させることで、酸化黒鉛に導入される酸素原子の量を調節することができる。
該全添加量は、100質量%以上であることがより好ましく、150質量%以上であることが更に好ましく、200質量%以上であることが一層好ましく、240質量%以上であることが特に好ましい。また、該全添加量は、450質量%以下であることがより好ましく、400質量%以下であることが更に好ましく、350質量%以下であることが一層好ましく、300質量%以下であることが特に好ましい。
上記酸化工程が黒鉛と硫酸とを含む混合液に過マンガン酸塩を添加する工程である場合、上記酸化工程では、過マンガン酸塩を一括で添加してもよく、複数回に分けて添加してもよく、また連続的に添加しても良いが、複数回に分けて添加するか連続的に添加することが好ましい。これにより、酸化反応が急激に進行することを抑えて反応の制御をよりしやすくすることができる。過マンガン酸塩を複数回に分けて添加する場合、添加する回数は、3回以上であることが好ましく、5回以上であることがより好ましく、7回以上であることが更に好ましく、9回以上であることが特に好ましい。
上記過マンガン酸塩を複数回に分けて添加する場合、1回当たりの添加量は、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
上記酸化工程が黒鉛と硫酸とを含む混合液に過マンガン酸塩を添加する工程である場合、上記酸化工程では、上記混合液の温度を10〜50℃の範囲内に維持しながら過マンガン酸塩を添加することが好ましい。このような温度範囲に維持することで、酸化反応を制御しながら充分に進行させることができる。
上記温度は、12℃以上に維持することが好ましく、15℃以上に維持することがより好ましく、18℃以上に維持することが更に好ましく、20℃以上に維持することが特に好ましい。
上記酸化工程が黒鉛と硫酸とを含む混合液に過マンガン酸塩を添加する工程である場合、上記酸化工程は、上記混合液の温度変化を25℃以下に維持しながら過マンガン酸塩を添加する工程であることが好ましい。これにより、より安定的に酸化工程を行うことができる。
上記酸化工程は、該温度変化を20℃以下に維持することがより好ましく、15℃以下に維持することが更に好ましく、10℃以下に維持することが特に好ましい。
上記酸化工程が黒鉛と硫酸とを含む混合液に過マンガン酸塩を添加する工程である場合、上記酸化工程では、安定的に酸化工程を行う観点から、過マンガン酸塩を10分〜10時間の間にわたって添加することが好ましい。より好ましくは、過マンガン酸塩を30分以上の間にわたって添加することであり、更に好ましくは、1時間以上の間にわたって添加することであり、特に好ましくは、2時間以上の間にわたって添加することである。
また、酸化黒鉛を効率的に製造する点から、過マンガン酸塩の添加時間は、8時間以下であることが好ましく、7時間以下であることがより好ましく、6時間以下であることが更に好ましい。
上記酸化工程は、公知の撹拌機等を用いて撹拌しながら行うことが好ましい。
上記酸化工程は、例えば空気中、又は、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中で行うことができる。また、上記酸化工程は、その圧力条件は特に限定されないが、例えば常圧条件下で行うことが好ましい。
また上記酸化工程の時間は、0.5時間〜120時間とすることが好ましく、1時間〜15時間とすることがより好ましく、2時間〜10時間とすることが更に好ましい。
上記酸化工程は、連続的に行ってもよいし、断続的に行ってもよい。
上記混合液は、黒鉛、硫酸、及び、必要に応じてその他の成分を混合して得ることができる。上記混合は、公知の方法で適宜行うことが可能であるが、例えば、超音波処理を行ったり、公知の分散機を用いたりして黒鉛を均一に分散させることが好ましい。
本発明の酸化黒鉛誘導体の製造方法は、黒鉛を酸化する工程と、後述する酸化黒鉛誘導体を得る工程とを含み、両工程の間に酸化黒鉛含有組成物を精製しかつ乾燥する工程を含まない限り、熟成工程、酸化反応停止(クエンチ)工程等のその他の工程を含んでいてもよい。
上記熟成工程において、酸化工程で得られた反応液を熟成させる温度及び時間は適宜選択すればよいが、反応液を0〜90℃の温度に維持することが好ましく、より好ましくは、20〜80℃の温度に維持することである。
また熟成させる時間は、0.1〜24時間であることが好ましい。より好ましくは、0.5〜5時間である。
上記酸化反応停止工程は、空気中で行ってもよく、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中で行ってもよい。また真空中で行っても良い。
上記酸化反応停止工程は、例えば、反応液の温度を5〜15℃に設定し、反応液に水を添加し、次いで還元剤として過酸化水素水を添加して行うことができる。また、反応液を、5〜25℃に設定した、水又は過酸化水素水に添加して行ってもよい。
上記酸化反応停止工程の時間は、例えば0.01〜5時間とすることができる。
(酸化黒鉛誘導体を得る工程)
本発明の製造方法では、酸化工程で得られる酸化黒鉛含有組成物中の酸化黒鉛と、該酸化黒鉛の酸素含有官能基と反応する化合物とを反応させることにより酸化黒鉛誘導体を得る。上記酸化黒鉛の酸素含有官能基と反応する化合物は、例えば、アルコール、シラン化合物、脂肪酸(塩)、脂肪酸エステル、イソシアネート化合物、及び、アミンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、中でもアルコール及び/又はアミンであることがより好ましい。なお、シラン化合物は、酸化黒鉛の酸素含有官能基との反応性を良好なものとする観点から、珪素原子と直接結合したシロキシ基及び/又はアルコキシ基を有することが好ましい。なお、酸化黒鉛誘導体の生成は、実施例の方法に沿って赤外線吸収スペクトルを測定することにより確認される。
上記酸化黒鉛の酸素含有官能基と反応する化合物は、酸化黒鉛誘導体の非極性分散媒中での分散性をより向上する観点からは、炭化水素基を有することが好ましい。炭化水素基は、炭素数が5以上であることが好ましく、6以上であることがより好ましく、7以上であることが更に好ましく、8以上であることが特に好ましい。また、該炭化水素基は、酸化黒鉛誘導体の非極性分散媒中での分散速度を充分に速いものとし、また、酸化黒鉛誘導体を好適に製造する観点からは、炭素数が50以下であることが好ましく、36以下であることがより好ましく、24以下であることが更に好ましい。
上記炭化水素基は、直鎖であることが好ましい。炭化水素基が直鎖であると、直鎖の炭化水素基が酸化黒鉛に導入されやすいため、本発明の製造方法がより効率的なものとなる。
上記炭化水素基は、分岐鎖であることもまた好ましい。上記炭化水素基が分岐鎖であると、酸化黒鉛誘導体の非極性分散媒中での分散性がより向上する。また、原料である化合物が常温(25℃)で液体となる傾向にあり、その場合は、誘導体製造時のハンドリングも容易である。
上記酸化黒鉛誘導体を得る工程において、酸化黒鉛が酸化黒鉛の酸素含有官能基と反応する化合物と反応して修飾される反応と、酸化黒鉛自身の還元反応とが同時進行して競合するところ、還元反応を充分に抑制して酸化黒鉛を修飾する反応を優位的に進める観点からは、上記酸化黒鉛の酸素含有官能基と反応する化合物がアルコール及び/又はアミンであることが好ましい。アルコールは、脂肪族アルコールであることがより好ましい。また、アミンは、脂肪族アミンであることがより好ましい。
上記脂肪族アルコールとしては、例えば、n−オクチルアルコール、sec−オクチルアルコール、n−ノニルアルコール、sec−ノニルアルコール、n−デシルアルコール、sec−デシルアルコール、n−ウンデシルアルコール、sec−ウンデシルアルコール、n−ドデシルアルコール、sec−ドデシルアルコール、n−トリデシルアルコール、sec−トリデシルアルコール、n−テトラデシルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、n−ヘキサデシルアルコール、sec−ヘキサデシルアルコール、n−オクタデシルアルコール、sec−オクタデシルアルコール、n−エイコシルアルコール、sec−エイコシルアルコール、2−オクチルドデシルアルコール、n−ドコシルアルコール、sec−ドコシルアルコール、2−オクチルテトラデシルアルコール、n−テトラコシルアルコール、sec−テトラコシルアルコール、2−オクチルヘキサデシルアルコール、n−ヘキサコシルアルコール、sec−ヘキサコシルアルコール、n−オクタコシルアルコール、sec−オクタコシルアルコール、n−トリアコンチルアルコール、sec−トリアコンチルアルコール、n−ドトリアコンチルアルコール、sec−ドトリアコンチルアルコール、n−テトラトリアコンチルアルコール、sec−テトラトリアコンチルアルコール、n−ヘキサトリアコンチルアルコール、sec−ヘキサトリアコンチルアルコール等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。また、2種以上の脂肪族アルコールを使用する場合、これら脂肪族アルコールの混合物を使用してもよい。
上記脂肪族アミンとしては、例えば、n−オクチルアミン、sec−オクチルアミン、n−ノニルアミン、sec−ノニルアミン、n−デシルアミン、sec−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、sec−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、sec−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、sec−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、sec−テトラデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、sec−ヘキサデシルアミン、n−オクタデシルアミン(ステアリルアミン)、sec−オクタデシルアミン、n−エイコシルアミン、sec−エイコシルアミン、2−オクチルドデシルアミン、n−ドコシルアミン、sec−ドコシルアミン、2−オクチルテトラデシルアミン、n−テトラコシルアミン、sec−テトラコシルアミン、2−オクチルヘキサデシルアミン、n−ヘキサコシルアミン、sec−ヘキサコシルアミン、n−オクタコシルアミン、sec−オクタコシルアミン、n−トリアコンチルアミン、sec−トリアコンチルアミン、n−ドトリアコンチルアミン、sec−ドトリアコンチルアミン、n−テトラトリアコンチルアミン、sec−テトラトリアコンチルアミン、n−ヘキサトリアコンチルアミン、sec−ヘキサトリアコンチルアミン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。また、2種以上の脂肪族アミンを使用する場合、これら脂肪族アミンの混合物を使用してもよい。
上記酸化黒鉛誘導体を得る工程において、酸化工程で得られる酸化黒鉛含有組成物(中でも、好ましくは、濃縮工程後の酸化黒鉛含有組成物)に、酸化黒鉛の酸素含有官能基と反応する化合物、及び、必要に応じてその他の成分(例えば溶媒)を混合して混合液を得ることができる。混合は、公知の方法で適宜行うことが可能であるが、例えば、超音波処理を行ったり、公知の分散機を用いたりして酸化黒鉛を均一に分散させることが好ましい。
上記酸化黒鉛の酸素含有官能基と反応する化合物の使用量は、混合液中の酸化黒鉛量100質量%に対し、300〜10000質量%であることが好ましい。該酸化黒鉛の酸素含有官能基と反応する化合物を大過剰に用いることにより、酸化黒鉛誘導体を効率的に製造することができる。また、これにより、還元反応を抑制して酸化黒鉛の修飾反応を優位に進めることができる。
該使用量は、350質量%以上であることがより好ましく、400質量%以上であることが更に好ましく、450質量%以上であることが一層好ましく、500質量%以上であることが特に好ましい。また、該使用量は、8000質量%以下であることがより好ましく、6000質量%以下であることが更に好ましく、3000質量%以下であることが一層好ましく、1000質量%以下であることが特に好ましい。
また酸化黒鉛と酸化黒鉛の酸素含有官能基と反応する化合物との反応では、公知の触媒等を適用することができるが、本発明の好適な形態として、触媒として硫酸等の酸触媒、アルカリ金属水酸化物、アミン、ピリジン等の塩基触媒を用いることができ、また酸化黒鉛の酸素含有官能基と反応する化合物がアミンの場合はアミン自身を触媒として用いることができる。
酸化黒鉛の酸素含有官能基と反応する化合物がアミン以外の化合物であり、酸化黒鉛誘導体を得る工程の触媒として酸触媒を用いる場合、酸化黒鉛や酸化黒鉛の酸素含有官能基と反応する化合物等の反応原料の量に対する酸触媒の量を好適な範囲内に調節することにより、修飾反応をより効率的に進行させることができる。
酸化黒鉛誘導体を得る工程に供される酸化黒鉛含有組成物における、酸化黒鉛の質量100質量%に対する酸触媒の好ましい含有量は、例えば、0.01〜1000質量%である。該酸触媒の含有量が0.01質量%以上であることにより、効率よく修飾反応を進行させることができる。また、該含有量が1000質量%以下であることにより、廃棄物量(廃液量)を充分に少なくするとともに、効率よく修飾反応を進行させることができる。ここで、酸触媒としては、酸化工程で用いた硫酸等の酸の残留物を有効に活用できる。
上記含有量は、0.1質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが更に好ましく、10質量%以上であることが一層好ましく、20質量%以上であることがより一層好ましく、30質量%以上であることが更に一層好ましく、40質量%以上であることが特に好ましく、50質量%以上であることが特に一層好ましい。また、該含有量は、700質量%以下であることがより好ましく、500質量%以下であることが更に好ましく、200質量%以下であることが一層好ましい。
例えば、酸触媒の酸が硫酸である場合、酸化黒鉛誘導体を得る工程の反応に供される酸化黒鉛含有組成物が、組成物中の酸化黒鉛の質量100質量%に対して、硫酸を1質量%以上、1000質量%以下含むことが好ましい。
また酸化黒鉛の酸素含有官能基と反応する化合物がアミン以外の化合物であり、酸化黒鉛誘導体を得る工程の触媒として酸触媒を用いる場合、酸化黒鉛誘導体を得る工程の反応に供される酸化黒鉛含有組成物が、組成物中の酸化黒鉛の酸素含有官能基と反応する化合物の質量100質量%に対して、酸触媒を0.1質量%以上、50質量%以下含むことが好ましい。酸触媒を0.1質量%以上含むものとすることにより、修飾反応をより効率的に進めることができる。また、酸触媒を50質量%以下含むものとすることにより、酸触媒に起因する副反応を充分に抑制することができる。該酸触媒の含有量は、0.5質量%以上であることがより好ましい。また、該酸触媒の含有量は、20質量%以下であることがより好ましい。
なお、酸化黒鉛の酸素含有官能基と反応する化合物がアミン以外の化合物である場合、酸化黒鉛は本質的に自身が酸性の物質であり、自触媒的に反応が進行する。前述のとおり触媒を用いることが好ましいが、触媒を用いなくても自触媒的に反応を進行させることも可能である。
酸化黒鉛誘導体を得る工程の触媒として塩基触媒(アミン等を含む)を用いる場合、酸化黒鉛や酸化黒鉛の酸素含有官能基と反応する化合物等の反応原料の量に対する塩基触媒の量を好適な範囲内に調節することにより、修飾反応をより効率的に進行させることができる。酸化黒鉛誘導体を得る工程に供される酸化黒鉛含有組成物における、酸化黒鉛の質量100質量%に対する塩基触媒の好ましい含有量は、上述した濃縮工程後の酸化黒鉛含有組成物における、酸化黒鉛の質量100質量%に対する酸の好ましい含有量と同様である。
例えば、塩基がアルカリ金属水酸化物及びアミンである場合、酸化黒鉛誘導体を得る工程の反応に供される酸化黒鉛含有組成物が、組成物中の酸化黒鉛の質量100質量%に対して、アルカリ金属水酸化物及びアミンを1質量%以上、1000質量%以下含むことが好ましい。なお塩基触媒は酸化黒鉛含有組成物中の酸成分と中和するため、使用した塩基触媒のうち、中和した部分を除いた部分の量が上記範囲に該当することが好ましい。
上記酸化黒鉛誘導体を得る工程における反応温度は、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば120℃以上とすることが好ましい。反応温度を120℃以上とすることにより、還元反応を充分に抑制して修飾反応を優位的に進めることができ、更に酸素が脱離しやすいため落つい感度試験による落つい感度を低減(消失)させるためにも優位である。このように修飾反応をより効率的に進行させる観点及び落つい感度を低減(消失)させる観点から、該反応温度は、130℃以上であることがより好ましく、140℃以上であることが更に好ましく、150℃以上であることが特に好ましい。
また、副反応を抑制する観点からは、反応温度を200℃以下とすることが好ましい。
例えば本発明は、酸化黒鉛誘導体を製造する方法であって、該製造方法は、酸化黒鉛とアルコール及び/又はアミンとを120℃以上の反応温度で反応させて炭化水素基をもつ官能基を有する酸化黒鉛誘導体を得る工程を含む酸化黒鉛誘導体の製造方法でもある。なお、この場合、酸化黒鉛は、上記酸化工程で得られる酸化黒鉛含有組成物を精製及び乾燥して得たものであってもよいが、精製及び乾燥の少なくとも一方を省いたものであることが好ましく、精製を省いたものであることがより好ましい。上記製造方法により、還元反応を充分に抑制して酸化黒鉛へのアルコール及び/又はアミンの導入量を増やすことができ、高品質の酸化黒鉛誘導体を高効率で得ることが可能である。また、この製造方法により得られる酸化黒鉛誘導体は、導入されたアルコール及び/又はアミン由来の炭化水素基同士の相互作用により、結晶性が高いものとなる。なお、上記製造方法では、アルコール及び/又はアミンの炭素数が多いほど、得られる酸化黒鉛誘導体の結晶性がより高いものとなる傾向があるが、アルコール及び/又はアミンの炭素数が少なくても、酸化黒鉛に導入される炭化水素基の数を充分に多いものとすることができ、高品質の酸化黒鉛誘導体を得ることができる。
なお、上記工程は、例えば、酸化黒鉛とアルコール及び/又はアミンとを120℃以上の反応温度で反応させて末端に炭化水素基をもつ官能基を有する酸化黒鉛誘導体を得るものであることが好ましい。
なお、上述した特許文献及び非特許文献には、酸化黒鉛とアルコール及び/又はアミンとを120℃以上の反応温度で反応させて炭化水素基をもつ官能基を有する酸化黒鉛誘導体を得ることについて何ら開示されていない。
本発明はまた、アルキル基を有し、JIS K 4810に規定される落つい感度試験で測定される等級が8級である酸化黒鉛誘導体でもある。例えば、本発明の製造方法において、酸化黒鉛とアルコール及び/又はアミンとを上述したような高反応温度で反応させることにより、アルキル基を有し、落つい感度試験による落つい感度が充分に低減(消失)された、高品質の酸化黒鉛誘導体を得ることが可能である。
本発明は更に、X線回折スペクトルにおいて9−13°及び21−24°にそれぞれピークを少なくとも1つずつ示し、9−13°にあるピークのScherrerの式により算出される結晶子径が100Å以上、500Å以下であることを特徴とする酸化黒鉛誘導体でもある。例えば、本発明の製造方法において、酸化黒鉛とアルコール及び/又はアミンとを反応させることにより、このようなピークを示す高品質の酸化黒鉛誘導体を得ることが可能である。上記「9−13°にあるピークのScherrerの式により算出される結晶子径が100Å以上、500Å以下である」とは、9−13°にピークが複数ある場合は、そのいずれか1つのピークのScherrerの式により算出される結晶子径が100Å以上、500Å以下であればよい。中でも、本発明の酸化黒鉛誘導体は、X線回折スペクトルにおいて9−13°及び21−24°にそれぞれピークを1つずつ示すことが好ましい。また、上記結晶子径が200Å以上であることがより好ましい。更に、上記結晶子径が400Å以下であることがより好ましい。
上記X線回折スペクトルは、実施例の「XRDの測定方法」により測定することができる。
上記酸化黒鉛誘導体を得る工程における反応時間は、例えば1時間以上であることが好ましく、3時間以上であることがより好ましく、5時間以上であることが更に好ましい。該反応時間は、還元反応を充分に抑制しつつ修飾反応を優位的に進める観点からは、120時間以下であることが好ましく、100時間以下であることがより好ましく、80時間以下であることが更に好ましい。
上記反応工程は、公知の撹拌機等を用いて撹拌しながら行うことができる。
上記反応工程は、例えば空気中、又は、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中で行うことができる。また、上記反応工程は、その圧力条件は特に限定されず、加圧条件下、常圧条件下、減圧条件下で行うことができるが、例えば常圧条件下で行うことが好ましい。また、濃縮工程において揮発性の凝集剤を用いた場合は特に、減圧加熱による凝集剤等の不純物留去を反応工程前に行うことが好ましい。これにより、反応工程において凝集剤等の突沸や、副反応を充分に防ぐことができ、反応工程を安定的に進めることが可能である。
本発明の製造方法により得られる酸化黒鉛誘導体は、末端に酸化黒鉛の酸素含有官能基と反応する化合物由来の官能基(好ましくは、末端に炭化水素基をもつ官能基)を有する。該官能基は、特に限定されず、アルコキシカルボニル基(−COOR)、アルコキシル基(−OR)等の酸素含有基;硫黄含有基;アルキルアミノ基(−NHR、−NRR’)、アルキルアミド基(−CONHR、−CONRR’)等の窒素含有基;リン含有基等が挙げられるが、アルコキシカルボニル基(−COOR)、アルコキシル基(−OR)等の酸素含有基、アルキルアミノ基(−NHR、−NRR’)、アルキルアミド基(−CONHR、−CONRR’)等の窒素含有基であることが好ましい。なお、上記R及びR’は、同一又は異なって、有機基を表し、中でも、炭化水素基を表すことが好ましい。
本発明の製造方法において、酸化黒鉛とアルコールとを反応させることにより得られる酸化黒鉛誘導体は、酸化黒鉛誘導体100質量%中、炭素原子、水素原子、及び、酸素原子以外のその他の原子の含有量が、10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが更に好ましい。上記酸化黒鉛誘導体は、その他の原子を有しないことが特に好ましい。言い換えれば、上記酸化黒鉛誘導体は、炭素原子、水素原子、及び、酸素原子のみを構成元素とするものであることが好ましい。その他の原子としては、窒素原子、リン原子、ハロゲン原子等が挙げられる。特に、上記酸化黒鉛誘導体は、酸化黒鉛誘導体100質量%中、窒素原子の含有量が0.1質量%以下であることが好ましい。
また本発明の製造方法において、酸化黒鉛とアミンとを反応させることにより得られる酸化黒鉛誘導体は、酸化黒鉛誘導体100質量%中、炭素原子、水素原子、酸素原子、及び、窒素原子以外のその他の原子の含有量が、10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが更に好ましい。上記酸化黒鉛誘導体は、その他の原子を有しないことが特に好ましい。言い換えれば、上記酸化黒鉛誘導体は、炭素原子、水素原子、酸素原子、及び、窒素原子のみを構成元素とするものであることが好ましい。その他の原子としては、リン原子、ハロゲン原子等が挙げられる。
上記酸化黒鉛誘導体は、平均粒子径が0.01μm以上、100μm以下であることが好ましい。
上記平均粒子径は、0.1μm以上であることがより好ましい。該平均粒子径は、60μm以下であることがより好ましい。
上記平均粒子径は、粒度分布測定装置により測定することができる。
上記酸化黒鉛誘導体の形状としては、微粉状、粉状、粒状、顆粒状、鱗片状、多面体状、ロッド状、曲面含有状等が挙げられる。なお、平均粒子径が上述のような範囲の粒子は、例えば、粒子をボールミル等により粉砕し、該粉砕により得られた粗粒子を分散剤に分散させて所望の粒子径にした後に乾固する方法や、粒子をふるい等にかけて粒子径を選別する方法、これら方法の組み合わせのほか、粒子を製造する段階で調製条件を最適化し、所望の粒子径の(ナノ)粒子を得る方法等により製造することが可能である。
本発明の酸化黒鉛誘導体は、触媒、電池やキャパシタの電極活物質、熱電変換材料、導電性材料、発光材料、潤滑用添加剤、高分子用添加剤、透過膜材料、抗菌材料、撥水材料、吸着材料等として好適に用いることができる。例えば、本発明の酸化黒鉛誘導体が、炭素数5以上の炭化水素基が導入されたものである場合、非極性分散媒や両親媒性分散媒中での分散性に優れるものであるため機械用の潤滑油の添加剤、樹脂への添加剤等として特に好適に使用できる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
下記実施例及び比較例においては、次のようにして分析し、評価を行った。
<XRDの測定方法>
XRD測定は、全自動水平型X線回折装置(リガク社製、SMART LAB)を用いて、以下の条件により行った。
CuKα1線:0.15406nm
走査範囲:5°−45°
X線出力設定:45kV−200mA
ステップサイズ:0.010°
スキャン速度:0.5°min−1−4°min−1
なお、XRD測定は、試料をグローブボックス中にて気密試料台に装填することにより、不活性雰囲気を保った状態で行った。
<FT−IRの測定方法>
サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製Nicolet NEXUS670 FTIRを用いて、酸化黒鉛誘導体をKBrと混合しペレット化することで測定した。測定範囲は900〜4000cm−1で分解能は1cm−1とした。
<硫酸濃度の分析>
酸化黒鉛含有組成物中の硫酸の濃度は、酸化黒鉛水分散液を水酸化ナトリウム水溶液により中和滴定することで確認した。
<水分の分析>
酸化黒鉛含有組成物中の水濃度は平沼産業株式会社製微量水分測定装置AQV−2200Aを用いて測定した。
<酸素含有率の分析>
JEOL社製JPS−9000MXを用いて、酸化黒鉛又はその誘導体中の酸素量を分析した。結果は炭素に対する比(C/O比)で出した。
なお、酸化黒鉛の酸素炭素比(C/O比)が小さいほど、酸化黒鉛中の酸素官能基がより多く維持されていると考えられる。また、酸化黒鉛誘導体の酸素炭素比(C/O比)が大きいほど、酸化黒鉛誘導体に炭化水素基が充分に導入されていると考えられる。
<落つい感度試験>
JIS K 4810に規定される落つい感度試験方法による。
(酸化黒鉛の合成)
酸化黒鉛を以下の工程で合成した。反応容器にあらかじめ黒鉛(伊藤黒鉛株式会社製Z−5F、5.76g)、硫酸(和光純薬工業株式会社製、167ml)を入れ、25℃に調整しながら過マンガン酸カリウム(和光純薬工業株式会社製、14.4g)を入れた。投入後、30分、35℃に昇温し2時間反応させた。反応後反応器を氷浴しながら水890ml、30%過酸化水素水(和光純薬工業株式会社製、88ml)を加え反応停止させ、酸化黒鉛含有組成物(酸化黒鉛を含む反応液)を得た。
(調製例1)
得られた酸化黒鉛を含む反応液を遠心分離用遠沈管にとり、10000G、10分間遠心分離にかけた。遠心分離後、上澄みを除去し酸化黒鉛含有組成物を得た。この組成物中の硫酸は酸化黒鉛に対し300%であった。得られた酸化黒鉛中の酸素炭素比(C/O比)は1.37であった。硫酸の濃度は遠心分離前に適宜水を追加することで容易に調整ができる。
(調製例2)
調製例1で得られた酸化黒鉛含有組成物を遠心分離、上澄み除去、水への再分散を計8回繰り返すことで精製された酸化黒鉛を得た。この組成物中の硫酸は酸化黒鉛に対し0.01%であった。得られた酸化黒鉛中の酸素炭素比(C/O比)は1.59であった。調製例1と比較して、精製によって酸素量が減少することが確認された。図1は、調製例2で作製した酸化黒鉛のFT−IRチャートである。
(調製例3)
調製例2で得られた酸化黒鉛含有組成物を減圧乾燥により1時間乾燥させた。この組成物中の水分は酸化黒鉛に対し10%であった。得られた酸化黒鉛中の酸素炭素比(C/O比)は1.62であった。調製例2と比較しても乾燥によって顕著に酸素量が減少することはなく、水分の存在により酸素官能基が安定化されていることがわかった。
(調製例4)
調製例2で得られた酸化黒鉛含有組成物を50℃の減圧乾燥により2日間乾燥させた。この組成物中の水分は酸化黒鉛に対し3%未満であった。得られた酸化黒鉛中の酸素炭素比(C/O比)は2.60であった。調製例2と比較して、加熱乾燥によって顕著に酸素量が減少することが確認された。
(調製例5)
得られた酸化黒鉛を含む反応液に対し、水を95%、1−ブタノール(和光純薬工業株式会社製)を凝集剤として16%添加した。凝集した酸化黒鉛含有組成物を濾過により濃縮し、ペースト状の酸化黒鉛含有組成物を得た。この組成物中の硫酸は酸化黒鉛に対し3%であった。得られた酸化黒鉛中の酸素炭素比(C/O比)は1.42であった。凝集による濃縮も酸素官能基を維持する手法として好適であることがわかった。また硫酸の濃度は凝集前に適宜水を追加することで容易に調整ができる。
(調製例6)
調製例5で得られた酸化黒鉛含有組成物を50℃の減圧乾燥により2日間乾燥させた。この組成物中の水分は酸化黒鉛に対し3%未満であった。得られた酸化黒鉛中の酸素炭素比(C/O比)は2.24であった。調製例5と比較して、加熱乾燥によって酸素量が減少することが確認された。
(酸化黒鉛誘導体の製造)
酸化黒鉛誘導体を以下の工程で製造した。
(実施例1)
調製例5で得られた酸化黒鉛含有組成物を反応器に移し、ここへ2−デシル−1−テトラデカノール(新日本理化株式会社製、エヌジェコール240A)を酸化黒鉛に対し500%加え、150℃で5時間反応させた。反応後ヘキサンを注ぎ、濾過し、水洗、アセトン洗浄を行い、得られた固体を100℃で真空乾燥することで酸化黒鉛誘導体Aを得た。得られた酸化黒鉛誘導体A中の酸素炭素比(C/O比)は8.5であった。また分散性においても、クロロホルム、アセトン、DMF、エタノール、デカンに対し良好な分散性を持つことも確認された。また落つい感度試験による感度は8級であった。図2は、実施例1で作製した酸化黒鉛誘導体AのFT−IRチャートである。図3は、実施例1で作製した酸化黒鉛誘導体AのXRDチャートである。酸化黒鉛誘導体Aは、図3に示すようにX線回折スペクトルにおいて9−13°及び21−24°にそれぞれピークを1つずつ示し、9−13°にあるピークのScherrerの式により算出される結晶子径が313Åであった。
(実施例2)
用いる酸化黒鉛原料を調製例2で得られた酸化黒鉛としたこと、触媒として硫酸を酸化黒鉛に対し10%加えたこと以外は実施例1に記載の方法で酸化黒鉛誘導体Bを得た。得られた酸化黒鉛誘導体B中の酸素炭素比(C/O比)は7.5であった。実施例1と比較してやはり、修飾量が少なく、C/O比が低いものであった。精製により酸素官能基が減り、修飾量が実施例1と比較して少ないためと考えられた。図4は、実施例2で作製した酸化黒鉛誘導体BのFT−IRチャートである。
(実施例3)
用いる酸化黒鉛原料を調製例4で得られた酸化黒鉛としたこと、触媒として硫酸を酸化黒鉛に対し10%加えたこと以外は実施例1に記載の方法で酸化黒鉛誘導体Cを得た。得られた酸化黒鉛誘導体C中の酸素炭素比(C/O比)は7.1であった。実施例1と比較してやはり、修飾量が少なく、C/O比が低いものであった。精製及び乾燥により酸素官能基が減り、修飾量が実施例1と比較して少ないためと考えられた。図5は、実施例3で作製した酸化黒鉛誘導体CのFT−IRチャートである。
(実施例4)
用いる酸化黒鉛原料を調製例6で得られた酸化黒鉛としたこと、触媒として硫酸を酸化黒鉛に対し10%加えたこと以外は実施例1に記載の方法で酸化黒鉛誘導体Dを得た。得られた酸化黒鉛誘導体D中の酸素炭素比(C/O比)は7.3であった。実施例1と比較してやはり、修飾量が少なく、C/O比が低いものであった。乾燥により酸素官能基が減り、修飾量が実施例1と比較して少ないためと考えられた。図6は、実施例4で作製した酸化黒鉛誘導体DのFT−IRチャートである。
(実施例5)
2−デシル−1−テトラデカノールの代わりに2−エチル−1−ヘキサノール(和光純薬工業株式会社製)を用いた以外は実施例1に記載の方法で酸化黒鉛誘導体Eを得た。得られた酸化黒鉛誘導体E中の酸素炭素比(C/O比)は6.8であった。また分散性においても、クロロホルム、アセトン、DMF、エタノール、デカンに対し良好な分散性を持つことも確認された。また落つい感度試験による感度は8級であった。図7は、実施例5で作製した酸化黒鉛誘導体EのFT−IRチャートである。図8は、実施例5で作製した酸化黒鉛誘導体EのXRDチャートである。酸化黒鉛誘導体Eは、図8に示すようにX線回折スペクトルにおいて9−13°及び21−24°にそれぞれピークを1つずつ示し、9−13°にあるピークのScherrerの式により算出される結晶子径が111.6Åであった。
(実施例6)
2−デシル−1−テトラデカノールの代わりに2−エチル−1−ヘキサノール(和光純薬工業株式会社製)を用いた以外は実施例2に記載の方法で酸化黒鉛誘導体Fを得た。得られた酸化黒鉛誘導体F中の酸素炭素比(C/O比)は6.2であった。実施例5と比較してやはり、修飾量が少なく、C/O比が低いものであった。精製により酸素官能基が減り、修飾量が実施例5と比較して少ないためと考えられた。図9は、実施例6で作製した酸化黒鉛誘導体FのFT−IRチャートである。
(実施例7)
2−デシル−1−テトラデカノールの代わりに2−エチル−1−ヘキサノール(和光純薬工業株式会社製)を用いた以外は実施例3に記載の方法で酸化黒鉛誘導体Gを得た。得られた酸化黒鉛誘導体G中の酸素炭素比(C/O比)は6.0であった。実施例5と比較してやはり、修飾量が少なく、C/O比が低いものであった。精製及び乾燥により酸素官能基が減り、修飾量が実施例5と比較して少ないためと考えられた。図10は、実施例7で作製した酸化黒鉛誘導体GのFT−IRチャートである。
(実施例8)
2−デシル−1−テトラデカノールの代わりに2−エチル−1−ヘキサノール(和光純薬工業株式会社製)を用いた以外は実施例4に記載の方法で酸化黒鉛誘導体Hを得た。得られた酸化黒鉛誘導体H中の酸素炭素比(C/O比)は6.1であった。実施例5と比較してやはり、修飾量が少なく、C/O比が低いものであった。乾燥により酸素官能基が減り、修飾量が実施例5と比較して少ないためと考えられた。図11は、実施例8で作製した酸化黒鉛誘導体HのFT−IRチャートである。
(実施例9)
反応温度を100℃、反応時間を24時間にしたこと以外は実施例1に記載の方法で酸化黒鉛誘導体Iを得た。得られた酸化黒鉛誘導体I中の酸素炭素比(C/O比)は7.1であった。実施例1、実施例9のXRDパターンを比較すると、実施例1の酸化黒鉛誘導体Aが実施例9の酸化黒鉛誘導体Iに比べよりシャープであり、結晶性の高いものであった。また落つい感度試験による感度は7級であった。図12は、実施例9で作製した酸化黒鉛誘導体IのFT−IRチャートである。図13は、実施例9で作製した酸化黒鉛誘導体IのXRDチャートである。酸化黒鉛誘導体Iは、図13に示すようにX線回折スペクトルにおいて9−13°及び21−24°にそれぞれピークを1つずつ示し、9−13°にあるピークのScherrerの式により算出される結晶子径が61.8Åであった。
(実施例10)
反応温度を100℃、反応を24時間にしたこと以外は実施例5に記載の方法で酸化黒鉛誘導体Jを得た。得られた酸化黒鉛誘導体J中の酸素炭素比(C/O比)は6.1であった。実施例5、10のXRDパターンを比較すると、実施例5の酸化黒鉛誘導体Eが実施例10の酸化黒鉛誘導体Jに比べよりシャープであり、結晶性の高いものであった。また落つい感度試験による感度は7級であった。以上、実施例1と実施例9、実施例5と実施例10を比較すると、反応温度を150℃とすることで落つい感度を消失させることができるとわかった。図14は、実施例10で作製した酸化黒鉛誘導体JのFT−IRチャートである。図15は、実施例10で作製した酸化黒鉛誘導体JのXRDチャートである。酸化黒鉛誘導体Jは、図15に示すようにX線回折スペクトルにおいて21−24°にピークを1つ示すが、9−13°にピークを示すものではなかった。
(実施例11)
調製例5で得られた酸化黒鉛含有組成物を反応器に移し、ここへ2−デシル−1−テトラデカノール(新日本理化株式会社製、エヌジェコール240A)を酸化黒鉛に対し500%加え、100℃で減圧下、水及び1−ブタノールを留去した。その後昇温し、150℃で5時間反応させた。反応後ヘキサンを注ぎ、濾過し、水洗、アセトン洗浄を行い、得られた固体を100℃で真空乾燥することで酸化黒鉛誘導体Xを得た。得られた酸化黒鉛誘導体X中の酸素炭素比(C/O比)は8.7であった。また分散性においても、クロロホルム、アセトン、DMF、エタノール、デカンに対し良好な分散性を持つことも確認された。また落つい感度試験による感度は8級であった。
(実施例12)
2−デシル−1−テトラデカノールの代わりに2−エチル−1−ヘキサノール(和光純薬工業株式会社製)を用いた以外は実施例11に記載の方法で酸化黒鉛誘導体Yを得た。得られた酸化黒鉛誘導体Y中の酸素炭素比(C/O比)は6.9であった。また分散性においても、クロロホルム、アセトン、DMF、エタノール、デカンに対し良好な分散性を持つことも確認された。実施例11及び12の結果から、1−ブタノール等の揮発性化合物を凝集剤として用いた場合にあらかじめ減圧留去工程を経ることもまた好ましい形態である。また落つい感度試験による感度は8級であった。
(実施例13)
2−デシル−1−テトラデカノールの代わりにステアリルアミン(東京化成工業株式会社製)を用いた以外は実施例1に記載の方法で酸化黒鉛誘導体A−Aを得た。得られた酸化黒鉛誘導体A−A中の酸素炭素比(C/O比)は8.0であった。また分散性においても、クロロホルム、アセトン、DMF、エタノール、デカンに対し良好な分散性を持つことも確認された。また落つい感度試験による感度は8級であった。
(実施例14)
用いる酸化黒鉛原料を調製例2で得られた酸化黒鉛としたこと以外は実施例13に記載の方法で酸化黒鉛誘導体A−Bを得た。得られた酸化黒鉛誘導体A−B中の酸素炭素比(C/O比)は7.2であった。実施例13と比較してやはり、修飾量が少なく、C/O比が低いものであった。精製により酸素官能基が減り、修飾量が実施例13と比較して少ないためと考えられた。
(実施例15)
用いる酸化黒鉛原料を調製例4で得られた酸化黒鉛としたこと以外は実施例13に記載の方法で酸化黒鉛誘導体A−Cを得た。得られた酸化黒鉛誘導体A−C中の酸素炭素比(C/O比)は6.6であった。実施例13と比較して、修飾量が少なく、C/O比が低いものであった。精製及び乾燥により酸素官能基が減り、修飾量が実施例13と比較して少ないためと考えられた。
(実施例16)
用いる酸化黒鉛原料を調製例6で得られた酸化黒鉛としたこと以外は実施例13に記載の方法で酸化黒鉛誘導体A−Dを得た。得られた酸化黒鉛誘導体A−D中の酸素炭素比(C/O比)は6.9であった。実施例13と比較してやはり、修飾量が少なく、C/O比が低いものであった。乾燥により酸素官能基が減り、修飾量が実施例13と比較して少ないためと考えられた。
(実施例17)
2−デシル−1−テトラデカノールの代わりに2−エチルヘキシルアミン(東京化成工業株式会社製)を用いた以外は実施例1に記載の方法で酸化黒鉛誘導体A−Eを得た。得られた酸化黒鉛誘導体A−E中の酸素炭素比(C/O比)は6.7であった。また分散性においても、クロロホルム、アセトン、DMF、エタノール、デカンに対し良好な分散性を持つことも確認された。また落つい感度試験による感度は8級であった。
(実施例18)
用いる酸化黒鉛原料を調製例2で得られた酸化黒鉛としたこと以外は実施例17に記載の方法で酸化黒鉛誘導体A−Fを得た。得られた酸化黒鉛誘導体A−F中の酸素炭素比(C/O比)は6.2であった。実施例17と比較してやはり、修飾量が少なく、C/O比が低いものであった。精製により酸素官能基が減り、修飾量が実施例17と比較して少ないためと考えられた。
(実施例19)
用いる酸化黒鉛原料を調製例4で得られた酸化黒鉛としたこと以外は実施例17に記載の方法で酸化黒鉛誘導体A−Gを得た。得られた酸化黒鉛誘導体A−G中の酸素炭素比(C/O比)は6.0であった。実施例17と比較して、修飾量が少なく、C/O比が低いものであった。精製及び乾燥により酸素官能基が減り、修飾量が実施例17と比較して少ないためと考えられた。
(実施例20)
用いる酸化黒鉛原料を調製例6で得られた酸化黒鉛としたこと以外は実施例17に記載の方法で酸化黒鉛誘導体A−Hを得た。得られた酸化黒鉛誘導体A−H中の酸素炭素比(C/O比)は6.1であった。実施例17と比較してやはり、修飾量が少なく、C/O比が低いものであった。乾燥により酸素官能基が減り、修飾量が実施例17と比較して少ないためと考えられた。
(実施例21)
反応溶媒としてNMPを酸化黒鉛に対し10000%加え超音波処理により分散させたこと、2−デシル−1−テトラデカノールの代わりにステアリルアミン(東京化成工業株式会社製)を用いた以外は実施例1に記載の方法で酸化黒鉛誘導体A−Iを得た。得られた酸化黒鉛誘導体A−I中の酸素炭素比(C/O比)は8.3であった。また分散性においても、クロロホルム、アセトン、DMF、エタノール、デカンに対し良好な分散性を持つことも確認された。また落つい感度試験による感度は8級であった。
(実施例22)
反応溶媒としてNMPを酸化黒鉛に対し10000%加え超音波処理により分散させたこと、2−デシル−1−テトラデカノールの代わりに2−エチルヘキシルアミン(東京化成工業株式会社製)を用いた以外は実施例1に記載の方法で酸化黒鉛誘導体A−Jを得た。得られた酸化黒鉛誘導体A−J中の酸素炭素比(C/O比)は7.0であった。また分散性においても、クロロホルム、アセトン、DMF、エタノール、デカンに対し良好な分散性を持つことも確認された。また落つい感度試験による感度は8級であった。
(比較例1)
反応温度を100℃、反応時間を24時間にしたこと以外は実施例3に記載の方法で酸化黒鉛誘導体Kを得た。得られた酸化黒鉛誘導体K中の酸素炭素比(C/O比)は6.0であった。修飾量が実施例1〜4と比較して少ないことが確認された。図16は、比較例1で作製した酸化黒鉛誘導体KのFT−IRチャートである。
(比較例2)
反応温度を100℃、反応時間を24時間にしたこと以外は実施例7に記載の方法で酸化黒鉛誘導体Lを得た。得られた酸化黒鉛誘導体L中の酸素炭素比(C/O比)は5.6であった。修飾量が実施例5〜8と比較して少ないことが確認された。図17は、比較例2で作製した酸化黒鉛誘導体LのFT−IRチャートである。
実施例1〜22、比較例1、2の結果を下記表1に示す。
Figure 0006762850

Claims (9)

  1. 酸化黒鉛誘導体を製造する方法であって、
    該製造方法は、硫酸を用いて黒鉛を酸化する工程と、
    該酸化工程で得られる酸化黒鉛含有組成物中の酸化黒鉛と、該酸化黒鉛の酸素含有官能基と反応する化合物とを反応させて酸化黒鉛誘導体を得る工程とを含み、
    酸化工程と酸化黒鉛誘導体を得る工程との間に、酸化黒鉛含有組成物を精製かつ乾燥する工程を含まないことを特徴とする酸化黒鉛誘導体の製造方法。
  2. 前記酸化工程と前記酸化黒鉛誘導体を得る工程との間に、酸化黒鉛含有組成物を精製する工程を含まないことを特徴とする請求項1に記載の酸化黒鉛誘導体の製造方法。
  3. 前記酸化工程は、酸を用いて黒鉛を酸化することを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化黒鉛誘導体の製造方法。
  4. 前記酸化黒鉛の酸素含有官能基と反応する化合物は、アルコール及び/又はアミンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の酸化黒鉛誘導体の製造方法。
  5. 前記酸化黒鉛誘導体を得る工程は、酸化黒鉛と、酸化黒鉛の酸素含有官能基と反応する化合物とを120℃以上の反応温度で反応させる工程を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の酸化黒鉛誘導体の製造方法。
  6. 前記酸化黒鉛誘導体を得る工程の反応に供される酸化黒鉛含有組成物は、組成物中の酸化黒鉛の質量100質量%に対して、硫酸を1質量%以上、1000質量%以下含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の酸化黒鉛誘導体の製造方法。
  7. 前記酸化黒鉛誘導体を得る工程の反応に供される酸化黒鉛含有組成物は、組成物中の酸化黒鉛の質量100質量%に対して、水を3質量%以上、10000質量%以下含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の酸化黒鉛誘導体の製造方法。
  8. 酸化黒鉛誘導体を製造する方法であって、
    該製造方法は、酸化黒鉛とアルコール及び/又はアミンとを10℃以上、200℃以下の反応温度で反応させて炭化水素基をもつ官能基を有する酸化黒鉛誘導体を得る工程を含むことを特徴とする酸化黒鉛誘導体の製造方法。
  9. 前記アルコールは、脂肪族アルコールであり、
    前記アミンは、脂肪族アミンである
    ことを特徴とする請求項4又は8に記載の酸化黒鉛誘導体の製造方法
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