JP6762850B2 - 酸化黒鉛誘導体の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明はまた、アルキル基を有し、JIS K 4810に規定される落つい感度試験で測定される等級が8級である酸化黒鉛誘導体でもある。
なお、以下において段落に分けて記載される個々の本発明の好ましい特徴を2つ以上組み合わせた形態も、本発明の好ましい形態である。
また、特許文献1に記載のように前処理としてカチオン性有機化合物のカチオンを用いるとその後、該カチオン由来の部分が不純物として酸化黒鉛誘導体と強く結合し、除去することが困難となる。
酸化黒鉛は、グラフェン、黒鉛(グラファイト)等の黒鉛質の炭素材料を酸化することにより酸素が結合したものであり、該酸素は黒鉛質の炭素材料に対しカルボキシル基、カルボニル基、ヒドロキシル基、エポキシ基等の置換基として存在している。本発明の酸化黒鉛誘導体は、更に、酸化黒鉛の炭素原子に、酸化黒鉛の酸素含有官能基と反応する化合物由来の基をもつ官能基が結合した構造を有する。
上記酸化黒鉛誘導体は、更に、硫黄含有基、窒素含有基等の官能基を有していてもよいが、炭素、水素、及び、酸素のみを構成元素とするものであるか、又は、炭素、水素、酸素、及び、窒素のみを構成元素とするものであることが更に好ましい。酸化黒鉛誘導体の好ましいものについては、後述する。
FT−IR法では後述する実施例の通り、例えば酸化黒鉛誘導体が末端に炭化水素基を有する場合は、本発明の酸化黒鉛誘導体は炭化水素基に由来するC−Hのピーク(2900cm−1付近)の出現により容易に分析できる。
本発明の製造方法は、酸化工程と酸化黒鉛誘導体を得る工程との間に、酸化黒鉛含有組成物を精製し、かつ乾燥する工程を含まない。すなわち、本発明の製造方法は、酸化工程と酸化黒鉛誘導体を得る工程との間に、酸化黒鉛含有組成物を精製せず、かつ乾燥しないものであってもよく、酸化黒鉛含有組成物の精製及び乾燥のいずれか一方のみを行うものであってもよい。なお、上述した「酸化黒鉛含有組成物を精製し、かつ乾燥する工程を含まない」とは、酸化黒鉛含有組成物を、酸化黒鉛誘導体を得る工程の反応に供する場合に、該酸化黒鉛含有組成物が、精製され、かつ乾燥されたものではないことを意味する。本発明者らは、酸化黒鉛含有組成物からの酸化黒鉛の精製工程、乾燥工程の際に、酸化黒鉛が有する反応性の酸素含有官能基が還元及び/又は不活化されてしまうことを見出し、精製及び乾燥の少なくとも一方を省くことにより、反応性の酸素含有官能基の数を充分に維持した酸化黒鉛含有組成物中の酸化黒鉛を、酸化黒鉛誘導体を得る工程の反応(修飾反応)に適用することができることを見出した。その結果、修飾反応により所望の官能基を有する基が充分に導入された高品質な酸化黒鉛誘導体を効率的に得ることができる。また、精製及び乾燥の少なくとも一方を省くので、製法工程がより簡便なものとなり、工程上のメリットがある。
精製の役割及び意義として、例えば該酸化黒鉛含有組成物中の酸化黒鉛に対する硫酸濃度を1質量%以下とすることで酸化黒鉛又は酸化黒鉛水分散体を得ることであり、酸化黒鉛又は酸化黒鉛水分散体を特許文献5に記載の通り、水に希釈した場合(たとえば1〜10%酸化黒鉛水分散液とした場合)、総イオン濃度(大部分は硫酸濃度)が特許文献5に記載の閾値濃度を下回り酸化黒鉛自身の電離を促し、水分子との相互作用が強くなり酸化黒鉛の分散性が飛躍的に向上することが分かっている。また、この水準まで精製が進むと、その分散性により濾過性が非常に悪くなってしまう。酸化黒鉛を材料として使用する場合、この分散性が大きく物性に作用することも分かっている。すなわち酸化黒鉛単独の物性を充分に発揮させるためには該精製工程が必須であり、多くの検討がなされている。しかし、本発明のように酸化黒鉛自身を材料に適用するわけではなく、修飾等の化学反応を行い、誘導体を材料として適用する場合は酸化黒鉛の分散性よりも酸化黒鉛自身の反応性が重要となってくる。本発明者らは、特許文献5に記載のような総イオン濃度(硫酸濃度)では酸化黒鉛が電離することで、高活性な酸素置換基も電離もしくは分解してしまい、続く修飾反応で不利となってしまうことを見出した。本発明においては、酸化工程後の反応液から、適切な硫酸濃度の酸化黒鉛含有組成物を分離する工程のみを行うことができるが、より高度な精製工程を行わないことが好ましい。すなわち、本発明において省略することができる高度な精製工程とは、特許文献5に記載のような、酸性度を下げ、酸化黒鉛の電離を促し、水に対する強い分散性を付与することと言える。つまり、本発明において省略することができる精製工程とは、酸化黒鉛の質量に対して硫酸を1質量%未満にする工程のことである。
酸化黒鉛含有組成物を分離する工程を行う場合、該分離工程は、酸化黒鉛を含む反応組成物を精製し、かつ乾燥する工程には該当しない程度に、反応組成物から後述する通り、後段の反応工程に適するように酸化黒鉛含有組成物を分離するものであればよく、水洗や、固形不純物を水に溶解させたうえでの遠心分離、濾過等の手法の1種又は2種以上を用いて行うことができ、また後述するような濾過等の際に界面活性剤、有機溶媒等の凝集剤を添加しても構わない。また、上記分離工程は、空気中で行ってもよく、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中で行ってもよい。また、分離工程を行う際に、硫酸や、水等の溶媒の一部を除去してもよい。
すなわち、本発明の製造方法の1つの好ましい実施形態は、酸化黒鉛誘導体を製造する方法であって、該製造方法は、黒鉛を酸化する工程と、該酸化工程で得られる酸化黒鉛含有組成物中の酸化黒鉛と、該酸化黒鉛の酸素含有官能基と反応する化合物とを反応させて酸化黒鉛誘導体を得る工程とを含み、酸化工程と酸化黒鉛誘導体を得る工程との間に、酸化黒鉛含有組成物を精製する工程を含まず、該酸化黒鉛含有組成物を精製する工程は、該酸化黒鉛含有組成物に含まれる酸化黒鉛の質量に対して硫酸を1質量%未満にする工程である、酸化黒鉛誘導体の製造方法である。
また、本発明者らは、該酸化黒鉛含有組成物中の酸化黒鉛に対する水濃度を少なくとも3質量%未満とすると、酸化黒鉛の高活性な酸素官能基に対し配位していた水まで除かれることで、配位安定していた酸素官能基が脱離し、続く修飾反応で不利となってしまうことを見出した。すなわち、酸化黒鉛に対し、水が3質量%以上含まれる酸化黒鉛含有組成物とすることで、修飾反応に優位な活性な酸素官能基を安定に維持させることができる。つまり、本発明において省略することができる乾燥工程とは、酸化黒鉛の質量に対して水を3質量%未満にする工程のことである。
酸化黒鉛含有組成物を乾燥する工程を行う場合、乾燥工程は、遠心分離、濾過、蒸発等の手法の1種又は2種以上を用いて行うことができ、濾過等の際に界面活性剤、有機溶媒等の凝集剤を添加しても構わない。
該蒸発は、例えば減圧条件下で行ったり、加熱条件下で行ったりすることができるが、減圧条件下かつ加熱条件下で行うことが好ましい。また、遠心分離や濾過は、空気中で行ってもよく、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中で行ってもよい。
本発明の製造方法は、中でも、酸化黒鉛含有組成物の精製工程、乾燥工程のいずれも行わないものであることが好ましい。これにより、高品質な酸化黒鉛誘導体を簡便に得ることができる本発明の効果が顕著なものとなる。
すなわち、本発明の製造方法の1つの好ましい実施形態は、黒鉛を酸化する工程(酸化工程)、及び、該酸化工程で得られる酸化黒鉛含有組成物中の酸化黒鉛と、該酸化黒鉛の酸素含有官能基と反応する化合物とを反応させて酸化黒鉛誘導体を得る工程を含み、かつ、該酸化工程と該酸化黒鉛誘導体を得る工程との間に、酸化黒鉛含有組成物を精製する工程と、酸化黒鉛を含む反応液を乾燥する工程とをいずれも含まない製造方法であって、該酸化黒鉛含有組成物を精製する工程は、該酸化黒鉛含有組成物に含まれる酸化黒鉛の質量に対して硫酸を1質量%未満にする工程であり、該酸化黒鉛含有組成物を乾燥する工程は、該酸化黒鉛含有組成物に含まれる酸化黒鉛の質量に対して水を3質量%未満にする工程である、酸化黒鉛誘導体の製造方法である。
本発明の製造方法は、反応組成物から硫酸や溶媒の一部を除去する工程(濃縮工程)を含むことが好ましい。より好ましくは、本発明の製造方法は、酸化工程と酸化黒鉛誘導体を得る工程との間に、酸化黒鉛含有組成物を濃縮する工程を含む。本発明における濃縮工程とは、反応組成物から硫酸や水の一部を除去して酸化黒鉛含有組成物を得る工程であって、組成物中、酸化黒鉛の質量に対して硫酸を1質量%以上残存させるか、及び/又は、酸化黒鉛の質量に対して水を3質量%以上残存させる工程を意味する。例えば酸化工程直後の反応組成物中に、酸が、酸化黒鉛誘導体を得る工程における原料化合物量に対して過剰に存在する場合、濃縮工程により酸を適度に除去することで、原料化合物量に対する酸の量を後述する好適な範囲内に調節することができ、修飾反応をより高効率で進行させることができる。
上記含有量は、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましく、50質量%以上であることが特に好ましい。また、該含有量は、5000質量%以下であることがより好ましく、3000質量%以下であることが更に好ましく、2000質量%以下であることが一層好ましく、1000質量%以下であることが特に好ましく、500質量%以下であることが最も好ましい。
この水の量が上記範囲内となるように上記濃縮工程で酸及び水を濃縮することが好ましい。これにより、反応性の酸素を酸化黒鉛誘導体を得る工程まで安定的に存在させ効率的に修飾反応に供することができる。
更に、後述するように酸化工程において酸化剤として過マンガン酸カリウムを用いる場合、濃縮工程後の酸化黒鉛含有組成物は、組成物中、カリウムを0.01質量%以上含んでいてもよい。
上記黒鉛を酸化する工程は、黒鉛が酸化されることになる限り、その方法は特に制限されず、上述したHummers法、Brodie法、Staudenmaier法等のいずれの方法における黒鉛の酸化方法を用いてもよく、後述する実施例に記載の方法のように、Hummers法における酸化方法を採用した、黒鉛と硫酸とを含む混合液に過マンガン酸塩を添加する工程であってもよい。
上記酸化工程が酸を用いて黒鉛を酸化する場合、本発明の製造方法は、酸化工程で得られる酸化黒鉛含有組成物の精製及び乾燥の少なくとも一方を省くため、酸化黒鉛誘導体を得る工程に供される酸化黒鉛含有組成物中に酸が残留し、該酸は、酸化黒鉛に含まれる酸素官能基を安定化させる。なお、この場合、酸化黒鉛誘導体を得る工程に供される酸化黒鉛含有組成物中に、酸化工程で用いた酸化剤由来の成分や、酸化工程や反応停止工程で用いた水等が残留していてもよく、修飾反応を高効率で進行させることができる。その結果、酸化黒鉛誘導体を得る工程において、該酸化黒鉛に含まれる酸素官能基を安定に存在させたまま修飾反応に供することが可能となり、本発明の製造方法をより簡便で高効率なものとすることができる。
上記酸化工程が黒鉛と硫酸とを含む混合液に過マンガン酸塩を添加する工程である場合、硫酸の使用量は、黒鉛に対する硫酸の質量比(硫酸/黒鉛)が25〜60となる量であることが好ましい。該質量比が25以上であることにより、酸化反応中に反応液(混合液)の高粘度化を充分に防止して酸化黒鉛を効率的に製造することができる。また、該質量比が60以下であることにより、廃液量を充分に少なくすることができる。
上記質量比は、26以上であることがより好ましく、27以上であることが更に好ましく、28以上であることが特に好ましい。また、該質量比は、54以下であることがより好ましく、48以下であることが更に好ましく、42以下であることが特に好ましい。
上記平均粒子径は、粒度分布測定装置により測定することができる。
本発明の製造方法における酸化工程に用いる黒鉛は、1種のみであってもよく、上記平均粒子径、形状等のいずれかにおいて異なる2種以上のものを用いてもよい。
該全添加量は、100質量%以上であることがより好ましく、150質量%以上であることが更に好ましく、200質量%以上であることが一層好ましく、240質量%以上であることが特に好ましい。また、該全添加量は、450質量%以下であることがより好ましく、400質量%以下であることが更に好ましく、350質量%以下であることが一層好ましく、300質量%以下であることが特に好ましい。
上記過マンガン酸塩を複数回に分けて添加する場合、1回当たりの添加量は、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
上記温度は、12℃以上に維持することが好ましく、15℃以上に維持することがより好ましく、18℃以上に維持することが更に好ましく、20℃以上に維持することが特に好ましい。
上記酸化工程は、該温度変化を20℃以下に維持することがより好ましく、15℃以下に維持することが更に好ましく、10℃以下に維持することが特に好ましい。
また、酸化黒鉛を効率的に製造する点から、過マンガン酸塩の添加時間は、8時間以下であることが好ましく、7時間以下であることがより好ましく、6時間以下であることが更に好ましい。
上記酸化工程は、例えば空気中、又は、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中で行うことができる。また、上記酸化工程は、その圧力条件は特に限定されないが、例えば常圧条件下で行うことが好ましい。
また上記酸化工程の時間は、0.5時間〜120時間とすることが好ましく、1時間〜15時間とすることがより好ましく、2時間〜10時間とすることが更に好ましい。
上記酸化工程は、連続的に行ってもよいし、断続的に行ってもよい。
また熟成させる時間は、0.1〜24時間であることが好ましい。より好ましくは、0.5〜5時間である。
上記酸化反応停止工程は、例えば、反応液の温度を5〜15℃に設定し、反応液に水を添加し、次いで還元剤として過酸化水素水を添加して行うことができる。また、反応液を、5〜25℃に設定した、水又は過酸化水素水に添加して行ってもよい。
上記酸化反応停止工程の時間は、例えば0.01〜5時間とすることができる。
本発明の製造方法では、酸化工程で得られる酸化黒鉛含有組成物中の酸化黒鉛と、該酸化黒鉛の酸素含有官能基と反応する化合物とを反応させることにより酸化黒鉛誘導体を得る。上記酸化黒鉛の酸素含有官能基と反応する化合物は、例えば、アルコール、シラン化合物、脂肪酸(塩)、脂肪酸エステル、イソシアネート化合物、及び、アミンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、中でもアルコール及び/又はアミンであることがより好ましい。なお、シラン化合物は、酸化黒鉛の酸素含有官能基との反応性を良好なものとする観点から、珪素原子と直接結合したシロキシ基及び/又はアルコキシ基を有することが好ましい。なお、酸化黒鉛誘導体の生成は、実施例の方法に沿って赤外線吸収スペクトルを測定することにより確認される。
該使用量は、350質量%以上であることがより好ましく、400質量%以上であることが更に好ましく、450質量%以上であることが一層好ましく、500質量%以上であることが特に好ましい。また、該使用量は、8000質量%以下であることがより好ましく、6000質量%以下であることが更に好ましく、3000質量%以下であることが一層好ましく、1000質量%以下であることが特に好ましい。
酸化黒鉛誘導体を得る工程に供される酸化黒鉛含有組成物における、酸化黒鉛の質量100質量%に対する酸触媒の好ましい含有量は、例えば、0.01〜1000質量%である。該酸触媒の含有量が0.01質量%以上であることにより、効率よく修飾反応を進行させることができる。また、該含有量が1000質量%以下であることにより、廃棄物量(廃液量)を充分に少なくするとともに、効率よく修飾反応を進行させることができる。ここで、酸触媒としては、酸化工程で用いた硫酸等の酸の残留物を有効に活用できる。
上記含有量は、0.1質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが更に好ましく、10質量%以上であることが一層好ましく、20質量%以上であることがより一層好ましく、30質量%以上であることが更に一層好ましく、40質量%以上であることが特に好ましく、50質量%以上であることが特に一層好ましい。また、該含有量は、700質量%以下であることがより好ましく、500質量%以下であることが更に好ましく、200質量%以下であることが一層好ましい。
例えば、酸触媒の酸が硫酸である場合、酸化黒鉛誘導体を得る工程の反応に供される酸化黒鉛含有組成物が、組成物中の酸化黒鉛の質量100質量%に対して、硫酸を1質量%以上、1000質量%以下含むことが好ましい。
なお、酸化黒鉛の酸素含有官能基と反応する化合物がアミン以外の化合物である場合、酸化黒鉛は本質的に自身が酸性の物質であり、自触媒的に反応が進行する。前述のとおり触媒を用いることが好ましいが、触媒を用いなくても自触媒的に反応を進行させることも可能である。
例えば、塩基がアルカリ金属水酸化物及びアミンである場合、酸化黒鉛誘導体を得る工程の反応に供される酸化黒鉛含有組成物が、組成物中の酸化黒鉛の質量100質量%に対して、アルカリ金属水酸化物及びアミンを1質量%以上、1000質量%以下含むことが好ましい。なお塩基触媒は酸化黒鉛含有組成物中の酸成分と中和するため、使用した塩基触媒のうち、中和した部分を除いた部分の量が上記範囲に該当することが好ましい。
また、副反応を抑制する観点からは、反応温度を200℃以下とすることが好ましい。
なお、上記工程は、例えば、酸化黒鉛とアルコール及び/又はアミンとを120℃以上の反応温度で反応させて末端に炭化水素基をもつ官能基を有する酸化黒鉛誘導体を得るものであることが好ましい。
なお、上述した特許文献及び非特許文献には、酸化黒鉛とアルコール及び/又はアミンとを120℃以上の反応温度で反応させて炭化水素基をもつ官能基を有する酸化黒鉛誘導体を得ることについて何ら開示されていない。
上記X線回折スペクトルは、実施例の「XRDの測定方法」により測定することができる。
上記反応工程は、例えば空気中、又は、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中で行うことができる。また、上記反応工程は、その圧力条件は特に限定されず、加圧条件下、常圧条件下、減圧条件下で行うことができるが、例えば常圧条件下で行うことが好ましい。また、濃縮工程において揮発性の凝集剤を用いた場合は特に、減圧加熱による凝集剤等の不純物留去を反応工程前に行うことが好ましい。これにより、反応工程において凝集剤等の突沸や、副反応を充分に防ぐことができ、反応工程を安定的に進めることが可能である。
また本発明の製造方法において、酸化黒鉛とアミンとを反応させることにより得られる酸化黒鉛誘導体は、酸化黒鉛誘導体100質量%中、炭素原子、水素原子、酸素原子、及び、窒素原子以外のその他の原子の含有量が、10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが更に好ましい。上記酸化黒鉛誘導体は、その他の原子を有しないことが特に好ましい。言い換えれば、上記酸化黒鉛誘導体は、炭素原子、水素原子、酸素原子、及び、窒素原子のみを構成元素とするものであることが好ましい。その他の原子としては、リン原子、ハロゲン原子等が挙げられる。
上記平均粒子径は、0.1μm以上であることがより好ましい。該平均粒子径は、60μm以下であることがより好ましい。
上記平均粒子径は、粒度分布測定装置により測定することができる。
<XRDの測定方法>
XRD測定は、全自動水平型X線回折装置(リガク社製、SMART LAB)を用いて、以下の条件により行った。
CuKα1線:0.15406nm
走査範囲:5°−45°
X線出力設定:45kV−200mA
ステップサイズ:0.010°
スキャン速度:0.5°min−1−4°min−1
なお、XRD測定は、試料をグローブボックス中にて気密試料台に装填することにより、不活性雰囲気を保った状態で行った。
<FT−IRの測定方法>
サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製Nicolet NEXUS670 FTIRを用いて、酸化黒鉛誘導体をKBrと混合しペレット化することで測定した。測定範囲は900〜4000cm−1で分解能は1cm−1とした。
<硫酸濃度の分析>
酸化黒鉛含有組成物中の硫酸の濃度は、酸化黒鉛水分散液を水酸化ナトリウム水溶液により中和滴定することで確認した。
<水分の分析>
酸化黒鉛含有組成物中の水濃度は平沼産業株式会社製微量水分測定装置AQV−2200Aを用いて測定した。
<酸素含有率の分析>
JEOL社製JPS−9000MXを用いて、酸化黒鉛又はその誘導体中の酸素量を分析した。結果は炭素に対する比(C/O比)で出した。
なお、酸化黒鉛の酸素炭素比(C/O比)が小さいほど、酸化黒鉛中の酸素官能基がより多く維持されていると考えられる。また、酸化黒鉛誘導体の酸素炭素比(C/O比)が大きいほど、酸化黒鉛誘導体に炭化水素基が充分に導入されていると考えられる。
<落つい感度試験>
JIS K 4810に規定される落つい感度試験方法による。
酸化黒鉛を以下の工程で合成した。反応容器にあらかじめ黒鉛(伊藤黒鉛株式会社製Z−5F、5.76g)、硫酸(和光純薬工業株式会社製、167ml)を入れ、25℃に調整しながら過マンガン酸カリウム(和光純薬工業株式会社製、14.4g)を入れた。投入後、30分、35℃に昇温し2時間反応させた。反応後反応器を氷浴しながら水890ml、30%過酸化水素水(和光純薬工業株式会社製、88ml)を加え反応停止させ、酸化黒鉛含有組成物(酸化黒鉛を含む反応液)を得た。
得られた酸化黒鉛を含む反応液を遠心分離用遠沈管にとり、10000G、10分間遠心分離にかけた。遠心分離後、上澄みを除去し酸化黒鉛含有組成物を得た。この組成物中の硫酸は酸化黒鉛に対し300%であった。得られた酸化黒鉛中の酸素炭素比(C/O比)は1.37であった。硫酸の濃度は遠心分離前に適宜水を追加することで容易に調整ができる。
調製例1で得られた酸化黒鉛含有組成物を遠心分離、上澄み除去、水への再分散を計8回繰り返すことで精製された酸化黒鉛を得た。この組成物中の硫酸は酸化黒鉛に対し0.01%であった。得られた酸化黒鉛中の酸素炭素比(C/O比)は1.59であった。調製例1と比較して、精製によって酸素量が減少することが確認された。図1は、調製例2で作製した酸化黒鉛のFT−IRチャートである。
調製例2で得られた酸化黒鉛含有組成物を減圧乾燥により1時間乾燥させた。この組成物中の水分は酸化黒鉛に対し10%であった。得られた酸化黒鉛中の酸素炭素比(C/O比)は1.62であった。調製例2と比較しても乾燥によって顕著に酸素量が減少することはなく、水分の存在により酸素官能基が安定化されていることがわかった。
調製例2で得られた酸化黒鉛含有組成物を50℃の減圧乾燥により2日間乾燥させた。この組成物中の水分は酸化黒鉛に対し3%未満であった。得られた酸化黒鉛中の酸素炭素比(C/O比)は2.60であった。調製例2と比較して、加熱乾燥によって顕著に酸素量が減少することが確認された。
得られた酸化黒鉛を含む反応液に対し、水を95%、1−ブタノール(和光純薬工業株式会社製)を凝集剤として16%添加した。凝集した酸化黒鉛含有組成物を濾過により濃縮し、ペースト状の酸化黒鉛含有組成物を得た。この組成物中の硫酸は酸化黒鉛に対し3%であった。得られた酸化黒鉛中の酸素炭素比(C/O比)は1.42であった。凝集による濃縮も酸素官能基を維持する手法として好適であることがわかった。また硫酸の濃度は凝集前に適宜水を追加することで容易に調整ができる。
調製例5で得られた酸化黒鉛含有組成物を50℃の減圧乾燥により2日間乾燥させた。この組成物中の水分は酸化黒鉛に対し3%未満であった。得られた酸化黒鉛中の酸素炭素比(C/O比)は2.24であった。調製例5と比較して、加熱乾燥によって酸素量が減少することが確認された。
酸化黒鉛誘導体を以下の工程で製造した。
調製例5で得られた酸化黒鉛含有組成物を反応器に移し、ここへ2−デシル−1−テトラデカノール(新日本理化株式会社製、エヌジェコール240A)を酸化黒鉛に対し500%加え、150℃で5時間反応させた。反応後ヘキサンを注ぎ、濾過し、水洗、アセトン洗浄を行い、得られた固体を100℃で真空乾燥することで酸化黒鉛誘導体Aを得た。得られた酸化黒鉛誘導体A中の酸素炭素比(C/O比)は8.5であった。また分散性においても、クロロホルム、アセトン、DMF、エタノール、デカンに対し良好な分散性を持つことも確認された。また落つい感度試験による感度は8級であった。図2は、実施例1で作製した酸化黒鉛誘導体AのFT−IRチャートである。図3は、実施例1で作製した酸化黒鉛誘導体AのXRDチャートである。酸化黒鉛誘導体Aは、図3に示すようにX線回折スペクトルにおいて9−13°及び21−24°にそれぞれピークを1つずつ示し、9−13°にあるピークのScherrerの式により算出される結晶子径が313Åであった。
用いる酸化黒鉛原料を調製例2で得られた酸化黒鉛としたこと、触媒として硫酸を酸化黒鉛に対し10%加えたこと以外は実施例1に記載の方法で酸化黒鉛誘導体Bを得た。得られた酸化黒鉛誘導体B中の酸素炭素比(C/O比)は7.5であった。実施例1と比較してやはり、修飾量が少なく、C/O比が低いものであった。精製により酸素官能基が減り、修飾量が実施例1と比較して少ないためと考えられた。図4は、実施例2で作製した酸化黒鉛誘導体BのFT−IRチャートである。
用いる酸化黒鉛原料を調製例4で得られた酸化黒鉛としたこと、触媒として硫酸を酸化黒鉛に対し10%加えたこと以外は実施例1に記載の方法で酸化黒鉛誘導体Cを得た。得られた酸化黒鉛誘導体C中の酸素炭素比(C/O比)は7.1であった。実施例1と比較してやはり、修飾量が少なく、C/O比が低いものであった。精製及び乾燥により酸素官能基が減り、修飾量が実施例1と比較して少ないためと考えられた。図5は、実施例3で作製した酸化黒鉛誘導体CのFT−IRチャートである。
用いる酸化黒鉛原料を調製例6で得られた酸化黒鉛としたこと、触媒として硫酸を酸化黒鉛に対し10%加えたこと以外は実施例1に記載の方法で酸化黒鉛誘導体Dを得た。得られた酸化黒鉛誘導体D中の酸素炭素比(C/O比)は7.3であった。実施例1と比較してやはり、修飾量が少なく、C/O比が低いものであった。乾燥により酸素官能基が減り、修飾量が実施例1と比較して少ないためと考えられた。図6は、実施例4で作製した酸化黒鉛誘導体DのFT−IRチャートである。
2−デシル−1−テトラデカノールの代わりに2−エチル−1−ヘキサノール(和光純薬工業株式会社製)を用いた以外は実施例1に記載の方法で酸化黒鉛誘導体Eを得た。得られた酸化黒鉛誘導体E中の酸素炭素比(C/O比)は6.8であった。また分散性においても、クロロホルム、アセトン、DMF、エタノール、デカンに対し良好な分散性を持つことも確認された。また落つい感度試験による感度は8級であった。図7は、実施例5で作製した酸化黒鉛誘導体EのFT−IRチャートである。図8は、実施例5で作製した酸化黒鉛誘導体EのXRDチャートである。酸化黒鉛誘導体Eは、図8に示すようにX線回折スペクトルにおいて9−13°及び21−24°にそれぞれピークを1つずつ示し、9−13°にあるピークのScherrerの式により算出される結晶子径が111.6Åであった。
2−デシル−1−テトラデカノールの代わりに2−エチル−1−ヘキサノール(和光純薬工業株式会社製)を用いた以外は実施例2に記載の方法で酸化黒鉛誘導体Fを得た。得られた酸化黒鉛誘導体F中の酸素炭素比(C/O比)は6.2であった。実施例5と比較してやはり、修飾量が少なく、C/O比が低いものであった。精製により酸素官能基が減り、修飾量が実施例5と比較して少ないためと考えられた。図9は、実施例6で作製した酸化黒鉛誘導体FのFT−IRチャートである。
2−デシル−1−テトラデカノールの代わりに2−エチル−1−ヘキサノール(和光純薬工業株式会社製)を用いた以外は実施例3に記載の方法で酸化黒鉛誘導体Gを得た。得られた酸化黒鉛誘導体G中の酸素炭素比(C/O比)は6.0であった。実施例5と比較してやはり、修飾量が少なく、C/O比が低いものであった。精製及び乾燥により酸素官能基が減り、修飾量が実施例5と比較して少ないためと考えられた。図10は、実施例7で作製した酸化黒鉛誘導体GのFT−IRチャートである。
2−デシル−1−テトラデカノールの代わりに2−エチル−1−ヘキサノール(和光純薬工業株式会社製)を用いた以外は実施例4に記載の方法で酸化黒鉛誘導体Hを得た。得られた酸化黒鉛誘導体H中の酸素炭素比(C/O比)は6.1であった。実施例5と比較してやはり、修飾量が少なく、C/O比が低いものであった。乾燥により酸素官能基が減り、修飾量が実施例5と比較して少ないためと考えられた。図11は、実施例8で作製した酸化黒鉛誘導体HのFT−IRチャートである。
反応温度を100℃、反応時間を24時間にしたこと以外は実施例1に記載の方法で酸化黒鉛誘導体Iを得た。得られた酸化黒鉛誘導体I中の酸素炭素比(C/O比)は7.1であった。実施例1、実施例9のXRDパターンを比較すると、実施例1の酸化黒鉛誘導体Aが実施例9の酸化黒鉛誘導体Iに比べよりシャープであり、結晶性の高いものであった。また落つい感度試験による感度は7級であった。図12は、実施例9で作製した酸化黒鉛誘導体IのFT−IRチャートである。図13は、実施例9で作製した酸化黒鉛誘導体IのXRDチャートである。酸化黒鉛誘導体Iは、図13に示すようにX線回折スペクトルにおいて9−13°及び21−24°にそれぞれピークを1つずつ示し、9−13°にあるピークのScherrerの式により算出される結晶子径が61.8Åであった。
反応温度を100℃、反応を24時間にしたこと以外は実施例5に記載の方法で酸化黒鉛誘導体Jを得た。得られた酸化黒鉛誘導体J中の酸素炭素比(C/O比)は6.1であった。実施例5、10のXRDパターンを比較すると、実施例5の酸化黒鉛誘導体Eが実施例10の酸化黒鉛誘導体Jに比べよりシャープであり、結晶性の高いものであった。また落つい感度試験による感度は7級であった。以上、実施例1と実施例9、実施例5と実施例10を比較すると、反応温度を150℃とすることで落つい感度を消失させることができるとわかった。図14は、実施例10で作製した酸化黒鉛誘導体JのFT−IRチャートである。図15は、実施例10で作製した酸化黒鉛誘導体JのXRDチャートである。酸化黒鉛誘導体Jは、図15に示すようにX線回折スペクトルにおいて21−24°にピークを1つ示すが、9−13°にピークを示すものではなかった。
調製例5で得られた酸化黒鉛含有組成物を反応器に移し、ここへ2−デシル−1−テトラデカノール(新日本理化株式会社製、エヌジェコール240A)を酸化黒鉛に対し500%加え、100℃で減圧下、水及び1−ブタノールを留去した。その後昇温し、150℃で5時間反応させた。反応後ヘキサンを注ぎ、濾過し、水洗、アセトン洗浄を行い、得られた固体を100℃で真空乾燥することで酸化黒鉛誘導体Xを得た。得られた酸化黒鉛誘導体X中の酸素炭素比(C/O比)は8.7であった。また分散性においても、クロロホルム、アセトン、DMF、エタノール、デカンに対し良好な分散性を持つことも確認された。また落つい感度試験による感度は8級であった。
2−デシル−1−テトラデカノールの代わりに2−エチル−1−ヘキサノール(和光純薬工業株式会社製)を用いた以外は実施例11に記載の方法で酸化黒鉛誘導体Yを得た。得られた酸化黒鉛誘導体Y中の酸素炭素比(C/O比)は6.9であった。また分散性においても、クロロホルム、アセトン、DMF、エタノール、デカンに対し良好な分散性を持つことも確認された。実施例11及び12の結果から、1−ブタノール等の揮発性化合物を凝集剤として用いた場合にあらかじめ減圧留去工程を経ることもまた好ましい形態である。また落つい感度試験による感度は8級であった。
2−デシル−1−テトラデカノールの代わりにステアリルアミン(東京化成工業株式会社製)を用いた以外は実施例1に記載の方法で酸化黒鉛誘導体A−Aを得た。得られた酸化黒鉛誘導体A−A中の酸素炭素比(C/O比)は8.0であった。また分散性においても、クロロホルム、アセトン、DMF、エタノール、デカンに対し良好な分散性を持つことも確認された。また落つい感度試験による感度は8級であった。
用いる酸化黒鉛原料を調製例2で得られた酸化黒鉛としたこと以外は実施例13に記載の方法で酸化黒鉛誘導体A−Bを得た。得られた酸化黒鉛誘導体A−B中の酸素炭素比(C/O比)は7.2であった。実施例13と比較してやはり、修飾量が少なく、C/O比が低いものであった。精製により酸素官能基が減り、修飾量が実施例13と比較して少ないためと考えられた。
用いる酸化黒鉛原料を調製例4で得られた酸化黒鉛としたこと以外は実施例13に記載の方法で酸化黒鉛誘導体A−Cを得た。得られた酸化黒鉛誘導体A−C中の酸素炭素比(C/O比)は6.6であった。実施例13と比較して、修飾量が少なく、C/O比が低いものであった。精製及び乾燥により酸素官能基が減り、修飾量が実施例13と比較して少ないためと考えられた。
用いる酸化黒鉛原料を調製例6で得られた酸化黒鉛としたこと以外は実施例13に記載の方法で酸化黒鉛誘導体A−Dを得た。得られた酸化黒鉛誘導体A−D中の酸素炭素比(C/O比)は6.9であった。実施例13と比較してやはり、修飾量が少なく、C/O比が低いものであった。乾燥により酸素官能基が減り、修飾量が実施例13と比較して少ないためと考えられた。
2−デシル−1−テトラデカノールの代わりに2−エチルヘキシルアミン(東京化成工業株式会社製)を用いた以外は実施例1に記載の方法で酸化黒鉛誘導体A−Eを得た。得られた酸化黒鉛誘導体A−E中の酸素炭素比(C/O比)は6.7であった。また分散性においても、クロロホルム、アセトン、DMF、エタノール、デカンに対し良好な分散性を持つことも確認された。また落つい感度試験による感度は8級であった。
用いる酸化黒鉛原料を調製例2で得られた酸化黒鉛としたこと以外は実施例17に記載の方法で酸化黒鉛誘導体A−Fを得た。得られた酸化黒鉛誘導体A−F中の酸素炭素比(C/O比)は6.2であった。実施例17と比較してやはり、修飾量が少なく、C/O比が低いものであった。精製により酸素官能基が減り、修飾量が実施例17と比較して少ないためと考えられた。
用いる酸化黒鉛原料を調製例4で得られた酸化黒鉛としたこと以外は実施例17に記載の方法で酸化黒鉛誘導体A−Gを得た。得られた酸化黒鉛誘導体A−G中の酸素炭素比(C/O比)は6.0であった。実施例17と比較して、修飾量が少なく、C/O比が低いものであった。精製及び乾燥により酸素官能基が減り、修飾量が実施例17と比較して少ないためと考えられた。
用いる酸化黒鉛原料を調製例6で得られた酸化黒鉛としたこと以外は実施例17に記載の方法で酸化黒鉛誘導体A−Hを得た。得られた酸化黒鉛誘導体A−H中の酸素炭素比(C/O比)は6.1であった。実施例17と比較してやはり、修飾量が少なく、C/O比が低いものであった。乾燥により酸素官能基が減り、修飾量が実施例17と比較して少ないためと考えられた。
反応溶媒としてNMPを酸化黒鉛に対し10000%加え超音波処理により分散させたこと、2−デシル−1−テトラデカノールの代わりにステアリルアミン(東京化成工業株式会社製)を用いた以外は実施例1に記載の方法で酸化黒鉛誘導体A−Iを得た。得られた酸化黒鉛誘導体A−I中の酸素炭素比(C/O比)は8.3であった。また分散性においても、クロロホルム、アセトン、DMF、エタノール、デカンに対し良好な分散性を持つことも確認された。また落つい感度試験による感度は8級であった。
反応溶媒としてNMPを酸化黒鉛に対し10000%加え超音波処理により分散させたこと、2−デシル−1−テトラデカノールの代わりに2−エチルヘキシルアミン(東京化成工業株式会社製)を用いた以外は実施例1に記載の方法で酸化黒鉛誘導体A−Jを得た。得られた酸化黒鉛誘導体A−J中の酸素炭素比(C/O比)は7.0であった。また分散性においても、クロロホルム、アセトン、DMF、エタノール、デカンに対し良好な分散性を持つことも確認された。また落つい感度試験による感度は8級であった。
反応温度を100℃、反応時間を24時間にしたこと以外は実施例3に記載の方法で酸化黒鉛誘導体Kを得た。得られた酸化黒鉛誘導体K中の酸素炭素比(C/O比)は6.0であった。修飾量が実施例1〜4と比較して少ないことが確認された。図16は、比較例1で作製した酸化黒鉛誘導体KのFT−IRチャートである。
反応温度を100℃、反応時間を24時間にしたこと以外は実施例7に記載の方法で酸化黒鉛誘導体Lを得た。得られた酸化黒鉛誘導体L中の酸素炭素比(C/O比)は5.6であった。修飾量が実施例5〜8と比較して少ないことが確認された。図17は、比較例2で作製した酸化黒鉛誘導体LのFT−IRチャートである。
Claims (9)
- 酸化黒鉛誘導体を製造する方法であって、
該製造方法は、硫酸を用いて黒鉛を酸化する工程と、
該酸化工程で得られる酸化黒鉛含有組成物中の酸化黒鉛と、該酸化黒鉛の酸素含有官能基と反応する化合物とを反応させて酸化黒鉛誘導体を得る工程とを含み、
酸化工程と酸化黒鉛誘導体を得る工程との間に、酸化黒鉛含有組成物を精製しかつ乾燥する工程を含まないことを特徴とする酸化黒鉛誘導体の製造方法。 - 前記酸化工程と前記酸化黒鉛誘導体を得る工程との間に、酸化黒鉛含有組成物を精製する工程を含まないことを特徴とする請求項1に記載の酸化黒鉛誘導体の製造方法。
- 前記酸化工程は、酸を用いて黒鉛を酸化することを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化黒鉛誘導体の製造方法。
- 前記酸化黒鉛の酸素含有官能基と反応する化合物は、アルコール及び/又はアミンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の酸化黒鉛誘導体の製造方法。
- 前記酸化黒鉛誘導体を得る工程は、酸化黒鉛と、酸化黒鉛の酸素含有官能基と反応する化合物とを120℃以上の反応温度で反応させる工程を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の酸化黒鉛誘導体の製造方法。
- 前記酸化黒鉛誘導体を得る工程の反応に供される酸化黒鉛含有組成物は、組成物中の酸化黒鉛の質量100質量%に対して、硫酸を1質量%以上、1000質量%以下含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の酸化黒鉛誘導体の製造方法。
- 前記酸化黒鉛誘導体を得る工程の反応に供される酸化黒鉛含有組成物は、組成物中の酸化黒鉛の質量100質量%に対して、水を3質量%以上、10000質量%以下含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の酸化黒鉛誘導体の製造方法。
- 酸化黒鉛誘導体を製造する方法であって、
該製造方法は、酸化黒鉛とアルコール及び/又はアミンとを150℃以上、200℃以下の反応温度で反応させて炭化水素基をもつ官能基を有する酸化黒鉛誘導体を得る工程を含むことを特徴とする酸化黒鉛誘導体の製造方法。 - 前記アルコールは、脂肪族アルコールであり、
前記アミンは、脂肪族アミンである
ことを特徴とする請求項4又は8に記載の酸化黒鉛誘導体の製造方法。
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