JP2016113333A - 酸素原子含有官能基を有するナノダイヤモンドの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 低圧条件であっても、表面の酸素原子含有官能基濃度が高く、分散性に優れたナノダイヤモンドを得ることができるナノダイヤモンドの製造方法を提供する。【解決手段】 本発明のナノダイヤモンドの製造方法は、粗ダイヤモンド微粒子を酸化剤による酸化処理に付して粗ダイヤモンド微粒子中のグラファイトを除去する工程を含むナノダイヤモンドの製造方法であって、前記酸化剤として、クロム酸、無水クロム酸、二クロム酸及びこれらの塩からなる群より選択された少なくとも1種を用いるとともに、前記酸化処理を、硫酸の共存下、0.5MPa以下の圧力、125℃以上の温度で行うことを特徴とする。【選択図】 なし

Description

本発明は、酸素原子含有官能基を有するナノダイヤモンドの製造方法に関する。
ナノダイヤモンド粒子は高い機械的強度、熱伝導性、光学的透明性、低屈折率、高電気絶縁性、低誘電率性、低い摩擦係数等の特性を有することから、潤滑剤、表面改質剤、研磨剤、半導体や回路基板の絶縁材料等として利用されている。また、ガラス代替用途や、電気電子分野、エネルギー分野、バイオ医療分野等への応用研究も進められている。
ナノダイヤモンド粒子は静的高圧法又は爆轟法により製造されている。爆轟法によるナノダイヤモンド粒子は、爆薬を密閉した状態で爆発させて得られる爆射煤を化学処理に付して精製し、水に分散した状態でビーズミルや超音波ホモジナイザー等の分散機で粉砕して得られる水分散体から、超遠心分離法、濃縮乾燥法、凍結乾燥法、スプレードライヤー法等により水分を除去して製造される。
特許文献1には、爆轟法で生成した未精製のダイヤモンドに酸化処理を施して、未精製のダイヤモンド中に含まれているグラファイト相を除去する方法が記載されている。より具体的には、未精製のダイヤモンドを、過塩素酸、重クロム酸、濃硝酸、又は濃硝酸と濃硫酸との混合物とともに、1.4MPa程度の圧力及び150〜180℃程度の温度で10〜30分間処理し、混入金属や炭素等の夾雑物等の不純物を分解した後、さらに、過塩素酸、重クロム酸又は濃硝酸中で、例えば、1.4MPa、200〜240℃の温度で10〜30分処理し、ダイヤモンド表面を被覆する硬質炭素、すなわちグラファイトを除去することが記載されている。
特開2013−56805号公報
しかしながら、上記先行文献記載の方法では、高圧下で酸化処理を行うため、装置が腐食しやすく、腐食を防止するためには高価な材質の装置を用いる必要がある。一方、低圧下で酸化処理を行うと、表面の酸素原子含有官能基濃度が低いナノダイヤモンドしか得られない。表面の酸素原子含有官能基濃度が低いナノダイヤモンドは分散性が悪い。
したがって、本発明の目的は、低圧条件であっても、表面の酸素原子含有官能基濃度が高く、分散性に優れたナノダイヤモンドを得ることができるナノダイヤモンドの製造方法を提供する。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、粗ダイヤモンド微粒子中のグラファイトを除去する工程において、特定の酸化剤を用い、特定の条件で酸化処理を行うと、低圧条件下であっても、表面の酸素原子含有官能基濃度が高く、分散性に優れたナノダイヤモンドが得られることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、粗ダイヤモンド微粒子を酸化剤による酸化処理に付して粗ダイヤモンド微粒子中のグラファイトを除去する工程を含むナノダイヤモンドの製造方法であって、前記酸化剤として、クロム酸、無水クロム酸、二クロム酸及びこれらの塩からなる群より選択された少なくとも1種を用いるとともに、前記酸化処理を、硫酸の共存下、0.5MPa以下の圧力、125℃以上の温度で行うことを特徴とするナノダイヤモンドの製造方法(以下、「第1の製造方法」と称する場合がある)を提供する。
前記酸化剤の使用量は、無水クロム酸(CrO3)換算で、粗ダイヤモンド微粒子100重量部に対して、500〜3000重量部であり、前記硫酸の使用量は、粗ダイヤモンド微粒子100重量部に対して、1500〜20000重量部であるのが好ましい。
本発明は、また、粗ダイヤモンド微粒子を酸化剤による酸化処理に付して粗ダイヤモンド微粒子中のグラファイトを除去する工程を含むナノダイヤモンドの製造方法であって、前記酸化剤として、クロム酸、無水クロム酸、二クロム酸及びこれらの塩からなる群より選択された少なくとも1種を用いるとともに、前記酸化処理を、硫酸の共存下、常圧下、下記の条件で行うことを特徴とするナノダイヤモンドの製造方法を提供する。
125≦431.15x+53.33 (1)
[式(1)中、xは、反応混合液10gあたりの硫酸及び前記酸化剤由来のイオンの合計モル数である。但し、前記酸化剤の使用量は、無水クロム酸(CrO3)換算で、粗ダイヤモンド微粒子100重量部に対して、500〜3000重量部であり、前記硫酸の使用量は、粗ダイヤモンド微粒子100重量部に対して、1500〜20000重量部である]
本発明の製造方法によれば、特定の酸化剤を用い、特定の温度以上で酸化処理を行うので、低圧条件であっても、表面の酸素原子含有官能基濃度が高く、分散性に優れるナノダイヤモンドを得ることができる。また、このナノダイヤモンドは、酸素原子含有官能基を利用して表面修飾しやすいという利点を有する。
図1は、モデル混合液中の硫酸及びクロム酸由来のイオンの合計モル数と、沸点(実測値)との関係を表すグラフである。
本発明のナノダイヤモンドの製造方法は、粗ダイヤモンド微粒子を酸化剤による酸化処理に付して粗ダイヤモンド微粒子中のグラファイトを除去する工程(以下、この工程を「酸化処理工程」と称する場合がある)を含む。
本発明において原料となる粗ダイヤモンドは、炭素からなる元素鉱物(例えば、グラファイト等)から、例えば、爆轟法、フラックス法、静的高圧法、高温高圧法等により製造できる。本発明では、一次粒子の平均粒子径が極めて小さいナノダイヤモンド粒子を得ることができるという点から、爆轟法(特に、酸素欠乏爆轟法)で生成したダイヤモンド由来のものが好ましい。
前記爆轟法は爆薬を爆発させることによって動的な衝撃を加え、炭素からなる元素鉱物をダイヤモンド構造の粒子に直接変換する方法である。前記爆薬としては、特に制限されることがなく、例えば、シクロトリメチレントリニトロアミン(RDX)、シクロテトラメチレンテトラニトラミン(HMX)、トリニトロトルエン(TNT)、トリニトロフェニルメチルニトロアミン、四硝酸ペンタエリトリット、テトラニトロメタン、及びこれらの混合物(例えば、TNT/HMX、TNT/RDX等)を使用することができる。
なお、爆轟法には、除熱法の違いから水冷爆轟法と空冷爆轟法とがある。本発明では、平均一次粒子径が小さく比表面積が大きくなる点から、特に空冷爆轟法で合成されたダイヤモンド由来のものが好ましい。
上記方法で得られるダイヤモンド粒子(ナノダイヤモンド煤)には、グラファイト(黒鉛)が含まれている。このグラファイトを除去するため、前記ナノダイヤモンド煤(好ましくは、該ナノダイヤモンド煤を酸処理に付したもの)は酸化処理に付される。
本発明において、酸化処理工程に供する粗ダイヤモンド微粒子としては、グラファイト(相)を含有するダイヤモンド微粒子であれば特に限定されないが、前記爆轟法で生成したナノダイヤモンド煤や、このナノダイヤモンド煤に酸処理を施して金属成分を除去したものなどを用いる場合が多い。この酸化処理工程において原料となる粗ダイヤモンド微粒子の平均粒子径D50は、例えば、0.1〜30μm、好ましくは0.5〜15μmである。
酸化処理に付す粗ダイヤモンド微粒子中に含まれるグラファイト含有量は、特に制限はないが、通常、5〜90重量%、好ましくは10〜80重量%、より好ましくは15〜70重量%、さらに好ましくは20〜65重量%である。酸化処理に付す粗ダイヤモンド微粒子中のダイヤモンド含有量は、一般に5〜95重量%、好ましくは10〜90重量%、より好ましくは15〜80重量%、さらに好ましくは20〜65重量%である。
本発明では、酸化処理に用いる酸化剤として、クロム酸、無水クロム酸、二クロム酸及びこれらの塩からなる群より選択された少なくとも1種を用いる。また、本発明では、グラファイトの除去効率を高めるため、上記酸化処理は硫酸の共存下で行う。
粗ダイヤモンド微粒子を前記酸化剤で酸化処理することにより、粗ダイヤモンド微粒子中に含まれているグラファイト(相)が二酸化炭素となって除去される。
酸化処理工程では、通常、粗ダイヤモンド粒子懸濁液(スラリー)に前記酸化剤を添加して反応させる。
粗ダイヤモンド微粒子懸濁液の分散媒としては、水が好ましい。水等の分散媒の使用量[酸化処理工程で用いる全使用量(酸化剤の溶媒等として用いる量を含める)]は、粗ダイヤモンド微粒子100重量部に対して、例えば、1000〜20000重量部、好ましくは1400〜15000重量部、さらに好ましくは1800〜8000重量部である。
粗ダイヤモンド粒子懸濁液(スラリー)に前記酸化剤を添加する際、粗ダイヤモンド粒子懸濁液に酸化剤を一括添加してもよいが、50℃以上(好ましくは、60℃以上)に昇温させた粗ダイヤモンド粒子懸濁液中に酸化剤を連続的又は間欠的に添加するのが好ましい。酸化剤を所定温度に昇温した粗ダイヤモンド微粒子懸濁液中に添加(好ましくは、連続的又は間欠的に添加)すると、酸化剤は添加直後に反応に使用されるため、系内に酸化剤が蓄積しない。酸化剤の粗ダイヤモンド粒子懸濁液中への添加速度を調整することで、酸化による二酸化炭素を緩やかに発生させることができるとともに、発生した気泡を適切な速さで消滅させることができる。そのため、気泡が反応液の液面上に蓄積するのを防止できる。したがって、粗ダイヤモンド粒子中のグラファイト含有量等が製造ロットで異なっていたとしても、酸化剤の添加速度を調整することで、安全で且つ安定した運転が可能となる。また、スケールアップ製造が容易となる。
なお、前記酸化剤添加時の温度の上限は、例えば150℃であるが、115℃程度であってもよい。
なお、硫酸は、粗ダイヤモンド微粒子懸濁液中に連続的又は間欠的に添加してもよいが、酸化反応を効率よく進行させるため、酸化剤を粗ダイヤモンド微粒子懸濁液中に添加する前に、予め該懸濁液中に添加しておくのが好ましい。
前記酸化剤(通常、酸化剤溶液として)を粗ダイヤモンド微粒子懸濁液中に添加する際の添加時間は、例えば、0.2時間以上(例えば、0.2〜24時間)、好ましくは0.5時間以上(例えば、0.5〜10時間)、さらに好ましくは0.75時間以上(例えば、0.75〜10時間)程度である。
酸化剤はそのまま粗ダイヤモンド微粒子懸濁液中に添加してもよいが、水等の溶媒に溶解させた酸化剤溶液として添加するのが好ましい。その場合、添加する酸化剤溶液中の酸化剤の濃度は、例えば、10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、さらに好ましくは30〜70重量%である。
反応を完結させるため、粗ダイヤモンド粒子懸濁液(スラリー)に前記酸化剤を添加した後、所定温度で所定時間熟成するのが好ましい。熟成温度は、通常、125℃以上(例えば、125〜160℃)、好ましくは130℃以上(例えば、130〜150℃)、さらに好ましくは135℃以上(例えば、135〜145℃)である。熟成時間は、例えば、0.5〜24時間、好ましくは1〜15時間、さらに好ましくは2〜10時間である。熟成後、冷却することで反応を停止できる。
[第1の製造方法]
本発明の第1の製造方法では、前記酸化処理を、0.5MPa以下の圧力、125℃以上(例えば、125〜160℃)の温度で行う。前記温度は、好ましくは130℃以上(例えば、130〜150℃)、さらに好ましくは135℃以上(例えば、135〜145℃)である。このように、クロム酸等の特定の酸化剤を用い、硫酸の共存下、比較的高い温度条件下で酸化処理を行うことにより、低圧条件下であっても、表面の酸素原子含有官能基濃度が高く、分散性に優れたナノダイヤモンドを得ることができる。なお、前記温度は、反応混合液中の酸化剤、硫酸の濃度を調整することによりコントロールできる。反応混合液中の酸化剤や硫酸の濃度が高くなるほど、沸点上昇により温度はより高くなる。
本発明においては、上記125℃以上の温度とする時期は、酸化剤を粗ダイヤモンド微粒子懸濁液中に添加する際(酸化剤添加時)であってもよく、前記熟成時であってもよいが、少なくとも熟成時の温度を上記125℃以上とするのが好ましい。
前記圧力は、0.5MPa以下であればよいが、好ましくは0.1〜0.5MPa、さらに好ましくは0.1〜0.2MPa、特に好ましくは0.1MPa(常圧)である。圧力を上記範囲とすることで、反応容器の腐食を防止できるので、高価な材質の反応容器を用いる必要がない。
第1の製造方法において、前記酸化剤の使用量は、無水クロム酸(CrO3)換算で、粗ダイヤモンド微粒子100重量部に対して、例えば、500〜3000重量部、好ましくは700〜2000重量部、さらに好ましくは900〜1500重量部である。また、硫酸の使用量は、粗ダイヤモンド微粒子100重量部に対して、例えば、1500〜20000重量部、好ましくは2000〜18000重量部、さらに好ましくは2500〜15000重量部である。酸化剤及び硫酸の使用量を上記範囲とすることで、粗ダイヤモンド微粒子中に含まれるグラファイトを確実に除去することができる。
なお、グラファイトのクロム酸酸化は下記式にしたがって進むと考えられている。
C(グラファイト)+(4/3)H2CrO4+2H2SO4
→CO2+(2/3)Cr2(SO43+(10/3)H2
すなわち、グラファイト炭素1モルに対して、クロム酸(無水クロム酸も同様)は4/3モル(=1.33モル)、硫酸は2モル反応する。したがって、前記酸化剤の使用量は、無水クロム酸(CrO3)換算で、粗ダイヤモンド微粒子中に含まれるグラファイト1モルに対して、1.33モル以上(例えば、1.33〜10モル)が好ましく、2モル以上(例えば、2〜5モル)がさらに好ましい。また、硫酸の使用量は、粗ダイヤモンド微粒子中に含まれるグラファイト1モルに対して、2モル以上(例えば、2〜30モル)が好ましく、4モル以上(例えば、4〜15モル)がさらに好ましい。
[第2の製造方法]
本発明の第2の製造方法では、前記酸化処理を、常圧(0.1MPa)下、下記式(1)を満たす条件で行う。
125≦431.15x+53.33 (1)
式(1)中、xは、反応混合液10gあたりの硫酸及び前記酸化剤由来のイオンの合計モル数である。
上記反応混合液10gあたりの硫酸由来のイオンのモル数とは、[(反応系に供給した硫酸のモル数×3)÷{反応系に供給した全成分の総重量(g)}]×10で計算される値であり、反応混合液10gあたりの前記酸化剤由来のイオンのモル数とは、[(反応系に供給した前記酸化剤のモル数×3)÷{反応系に供給した全成分の総重量(g)}]×10で計算される値である。硫酸及び前記酸化剤のモル数にそれぞれ3をかけているのは、硫酸、クロム酸、無水クロム酸、二クロム酸は強酸であるため、水溶液中でそれぞれ、
2SO4→2H++SO4 2-
2CrO4→2H++CrO4 2-
CrO3+H2O→H2CrO4→2H++CrO4 2-
2Cr27→2H++Cr27 2-
の式が成立(硫酸等各1モルが3モルのイオンに解離)していると仮定したものである。
上記式(1)は、以下の方法により導き出したものである。すなわち、下記表1の組成のモデル混合液(水、クロム酸、硫酸及び粗ダイヤモンド粒子の混合液)を調製し、常圧での沸点を測定した。その結果を図1に示す。図1において、横軸は混合液10gあたりのクロム酸及び硫酸由来のイオンの合計モル数であり、縦軸は沸点の実測値(℃)である。なお、何れのモデル混合液も、爆轟法により得られた粗ダイヤモンド微粒子(平均粒子径D50:6.2μm、ダイヤモンド含有量27.6重量%、グラファイト含有量54.5重量%)を0.63重量%含んでいる。
Figure 2016113333
図1に見られるように、混合液10gあたりの硫酸及びクロム酸由来のイオンの合計モル数と沸点実測値とは強い相関性を有しており、一次直線で近似すると相関係数(R2)は0.9以上であった。これは、溶液のモル沸点上昇の考えに基づいている。
この一次直線は、下記式(2)で表される。
y=431.15x+53.33 (2)
ここで、yは混合液の沸点(℃)、xは前記と同じである。
前記第1の製造方法で述べたように、酸化処理における温度は125℃以上であるのが好ましい。また、温度を一定に保つことができることから、酸化処理は還流下で行うことが好ましい。したがって、クロム酸等の特定の酸化剤を用い、硫酸の共存下、酸化処理を前記式(1)を満たす条件(右辺の値が125以上となる条件)で行うことにより、低圧条件下であっても、表面の酸素原子含有官能基濃度が高く、分散性に優れたナノダイヤモンドを得ることができる。
式(1)における左辺は125であるが、好ましくは130、さらに好ましくは135である。
第2の製造方法において、前記酸化剤の使用量は、無水クロム酸(CrO3)換算で、粗ダイヤモンド微粒子100重量部に対して、500〜3000重量部(好ましくは700〜2000重量部、さらに好ましくは900〜1500重量部)であり、前記硫酸の使用量は、粗ダイヤモンド微粒子100重量部に対して、1500〜20000重量部(好ましくは2000〜18000重量部、さらに好ましくは2500〜15000重量部)である。酸化剤及び硫酸の使用量を上記範囲とすることで、粗ダイヤモンド微粒子中に含まれるグラファイトを確実に除去することができる。
なお、第1の製造方法と同様、前記酸化剤の使用量は、無水クロム酸(CrO3)換算で、粗ダイヤモンド微粒子中に含まれるグラファイト1モルに対して、1.33モル以上(例えば、1.33〜10モル)が好ましく、2モル以上(例えば、2〜5モル)がさらに好ましい。また、硫酸の使用量は、粗ダイヤモンド微粒子中に含まれるグラファイト1モルに対して、2モル以上(例えば、2〜30モル)が好ましく、4モル以上(例えば、4〜15モル)がさらに好ましい。
本発明の第1及び第2の製造方法において、上記酸化処理の後、水(純水、イオン交換水等)で洗浄することにより、グラファイトを含まないか又はほとんど含まない精製されたナノダイヤモンド粒子を得ることができる。こうして得られるナノダイヤモンド粒子中に含まれるグラファイト含有量は、例えば、5重量%未満、好ましくは3重量%以上、より好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.1重量%以下、特に好ましくは0.01重量%以下である。
なお、前記ナノダイヤモンド煤又はこの酸処理品を酸化処理に付して得られるナノダイヤモンド粒子は、一般に、ナノダイヤモンド一次粒子が粒子間凝集(ファンデルワールス凝集)した凝集体として存在する。ナノダイヤモンド凝集体の平均粒径D50は、通常20nm以上であり、一般には100nm〜500μmの範囲、好ましくは100nm〜200μm程度である。
このようにして得られたナノダイヤモンド粒子(凝集体)を、必要に応じて分級処理した後、分散媒に分散させて懸濁液とし、該懸濁液を解砕処理(「分散処理」ともいう)に付すことで、極小サイズ、特に一桁ナノサイズのナノダイヤモンド粒子を得ることができる。
前記分散媒としては、水;メタノール、エタノール、エチレングリコール等のアルコール、アセトン等のケトン、N−メチルピロリドン等のラクタム又はアミドなどの極性有機溶媒;これらの混合溶媒などが挙げられる。これらのなかでも、水を少なくとも含む(例えば、水を50重量%以上含む)分散媒が好ましく、特に水が好ましい。
前記分散処理は、例えば、高剪断ミキサー、ハイシアーミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル等の分散機を使用することにより行うことができる。これらのなかでも、効率の点で、ビーズミル、超音波ホモジナイザーを用いて分散する方法が好ましい。
ナノダイヤモンドの懸濁液を分散処理に付す際、最終的に得られるナノダイヤモンド粒子の分散性及び分散安定性を向上させる点から、該懸濁液のpHを8以上(例えば、8〜12)、好ましくは9以上(例えば、9〜11)、さらに好ましくは9.5〜10.5とした状態で分散処理に付すことが望ましい。分散処理の後、必要に応じて分級処理を施してもよい。
こうして得られるナノダイヤモンドの分散液(懸濁液)から、公知の方法、例えば、超遠心分離法、濃縮乾燥法、凍結乾燥法、スプレードライヤー法等によって水分を除去することにより、ナノダイヤモンド粉体を得ることができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
なお、ナノダイヤモンド粒子の平均粒子径D50は、スペクトリス社製の商品名「ゼータサイザー ナノZS」により求めた。
実施例1(熟成温度が140℃のクロム酸酸化)
爆轟法により得られた粗ダイヤモンド微粒子(平均粒子径D50:6.2μm、ダイヤモンド含有量27.6重量%、グラファイト含有量54.5重量%)15.0gを含む水スラリー148.3gに濃硫酸567.0gを滴下した。このスラリー液を80℃まで昇温させ、50重量%無水クロム酸水溶液360.0gを計2時間かけて滴下した。無水クロム酸、硫酸が転化しないと仮定した場合の、滴下終了時の無水クロム酸、硫酸のスラリー液に対する重量濃度は、それぞれ16重量%、50重量%になった。また、無水クロム酸がクロム酸としてすべてイオンに解離したと仮定した場合、硫酸がすべてイオンに解離したと仮定した場合の、滴下終了時の無水クロム酸由来のイオン、硫酸由来のイオンのスラリー液重量に対するモル濃度(mol/g)は、それぞれ0.49%、1.53%になった。スラリー液重量10gあたりの無水クロム酸由来のイオンと硫酸由来のイオンの合計モル数xは0.20[=(0.0049+0.0153)×10]であり、前記式(1)にxの値を代入すると右辺は139となり、式(1)を充足する。滴下終了後、内温が140℃になるまでスラリー液を加熱した。この時、冷却管で還流状態になっており、この状態で5時間スラリー液を熟成させた。反応後のスラリーを水洗浄し、デカンテーションで回収した粉体を乾燥後XRDで分析すると、2θ=25°近辺に検出されていた結晶性のグラファイトのピークが消失していることを確認することができ、粗ダイヤモンド微粒子中のグラファイトを除去できていることを確認した。また得られた粉体をFT−IRで分析すると、カルボニルピークのピークトップが1778cm-1であり、ダイヤモンド粒子表面にラクトン、酸無水物が形成されていることを確認することが出来た。これは、ダイヤモンド粒子表面の酸化が進行し水酸基、カルボキシル基の密度が高くなることで、ラクトン、酸無水物の形成量が増大したことによると考えられる。
比較例1(熟成温度が114℃のクロム酸酸化)
爆轟法により得られた粗ダイヤモンド微粒子(平均粒子径D50:6.2μm、ダイヤモンド含有量27.6重量%、グラファイト含有量54.5重量%)15.0gを含む水スラリー443.2gに濃硫酸378.0gを滴下した。このスラリー液を80℃まで昇温させ、50重量%無水クロム酸水溶液180.0gを計2時間かけて滴下した。無水クロム酸、硫酸が転化しないと仮定した場合の、滴下終了時の無水クロム酸、硫酸のスラリー液に対する重量濃度は、それぞれ9重量%、37重量%になった。また、無水クロム酸がクロム酸としてすべてイオンに解離したと仮定した場合、硫酸がすべてイオンに解離したと仮定した場合の、滴下終了時の無水クロム酸由来のイオン、硫酸由来のイオンのスラリー液重量に対するモル濃度(mol/g)は、それぞれ0.27%、1.13%になった。スラリー液重量10gあたりの無水クロム酸由来のイオンと硫酸由来のイオンの合計モル数xは0.14[=(0.0027+0.0113)×10]であり、前記式(1)にxの値を代入すると右辺は113となり、式(1)を充足しない。滴下終了後、内温が114℃になるまでスラリー液を加熱した。この時、冷却管で還流状態になっており、この状態で5時間スラリー液を熟成させた。反応後のスラリーを水洗浄し、デカンテーションで回収した粉体を乾燥後XRDで分析すると、2θ=25°近辺に検出されていた結晶性のグラファイトのピークが消失していることを確認することができ、粗ダイヤモンド微粒子中のグラファイトを除去できていることを確認した。また得られた粉体をFT−IRで分析すると、カルボニルピークのピークトップが1733cm-1であり、ダイヤモンド粒子表面にラクトン、酸無水物が形成されていることを確認することが出来なかった。これは、ダイヤモンド粒子表面の酸化の進行が不十分であり水酸基、カルボキシル基の密度が高くならず、ラクトン、酸無水物の形成量が増大しなかったことによると考えられる。

Claims (3)

  1. 粗ダイヤモンド微粒子を酸化剤による酸化処理に付して粗ダイヤモンド微粒子中のグラファイトを除去する工程を含むナノダイヤモンドの製造方法であって、前記酸化剤として、クロム酸、無水クロム酸、二クロム酸及びこれらの塩からなる群より選択された少なくとも1種を用いるとともに、前記酸化処理を、硫酸の共存下、0.5MPa以下の圧力、125℃以上の温度で行うことを特徴とするナノダイヤモンドの製造方法。
  2. 前記酸化剤の使用量が、無水クロム酸(CrO3)換算で、粗ダイヤモンド微粒子100重量部に対して、500〜3000重量部であり、前記硫酸の使用量が、粗ダイヤモンド微粒子100重量部に対して、1500〜20000重量部である請求項1記載のナノダイヤモンドの製造方法。
  3. 粗ダイヤモンド微粒子を酸化剤による酸化処理に付して粗ダイヤモンド微粒子中のグラファイトを除去する工程を含むナノダイヤモンドの製造方法であって、前記酸化剤として、クロム酸、無水クロム酸、二クロム酸及びこれらの塩からなる群より選択された少なくとも1種を用いるとともに、前記酸化処理を、硫酸の共存下、常圧下、下記の条件で行うことを特徴とするナノダイヤモンドの製造方法。
    125≦431.15x+53.33 (1)
    [式(1)中、xは、反応混合液10gあたりの硫酸及び前記酸化剤由来のイオンの合計モル数である。但し、前記酸化剤の使用量は、無水クロム酸(CrO3)換算で、粗ダイヤモンド微粒子100重量部に対して、500〜3000重量部であり、前記硫酸の使用量は、粗ダイヤモンド微粒子100重量部に対して、1500〜20000重量部である]
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