JP2016094327A - ナノダイヤモンドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 未精製ダイヤモンドからグラファイトを含まない又はほとんど含まないナノダイヤモンドを工業的に効率よく且つ安全に製造できる方法を提供する。
【解決手段】 本発明のナノダイヤモンドの製造方法は、粗ダイヤモンド微粒子を酸化剤による酸化処理に付して粗ダイヤモンド微粒子中のグラファイトを除去する工程を含むナノダイヤモンドの製造方法であって、前記工程において、50℃以上に昇温させた粗ダイヤモンド微粒子懸濁液中に酸化剤を連続的又は間欠的に添加することを特徴とする。前記酸化剤として、クロム酸、無水クロム酸、二クロム酸、過マンガン酸、過塩素酸若しくはこれらの塩から選択された少なくとも1種が好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】 本発明のナノダイヤモンドの製造方法は、粗ダイヤモンド微粒子を酸化剤による酸化処理に付して粗ダイヤモンド微粒子中のグラファイトを除去する工程を含むナノダイヤモンドの製造方法であって、前記工程において、50℃以上に昇温させた粗ダイヤモンド微粒子懸濁液中に酸化剤を連続的又は間欠的に添加することを特徴とする。前記酸化剤として、クロム酸、無水クロム酸、二クロム酸、過マンガン酸、過塩素酸若しくはこれらの塩から選択された少なくとも1種が好ましい。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ナノダイヤモンドの製造方法に関する。
ナノダイヤモンド粒子は高い機械的強度、熱伝導性、光学的透明性、低屈折率、高電気絶縁性、低誘電率性、低い摩擦係数等の特性を有することから、潤滑剤、表面改質剤、研磨剤、半導体や回路基板の絶縁材料等として利用されている。また、ガラス代替用途や、電気電子分野、エネルギー分野、バイオ医療分野等への応用研究も進められている。
ナノダイヤモンド粒子は静的高圧法又は爆轟法(=爆射法)により製造されている。爆轟法によるナノダイヤモンド粒子は、爆薬を密閉した状態で爆発させて得られる爆射煤を化学処理に付して精製し、水に分散した状態でビーズミルや超音波ホモジナイザー等の分散機で粉砕して得られる水分散体から、超遠心分離法、濃縮乾燥法、凍結乾燥法、スプレードライヤー法等により水分を除去して製造される。
特許文献1には、爆轟法で生成した未精製のダイヤモンドに酸化処理を施して、未精製のダイヤモンド中に含まれているグラファイト相を除去する方法が記載されている。より具体的には、未精製のダイヤモンドを、過塩素酸、重クロム酸、濃硝酸、又は濃硝酸と濃硫酸との混合物とともに、1.4MPa程度の圧力及び150〜180℃程度の温度で10〜30分間処理し、混入金属や炭素等の夾雑物等の不純物を分解した後、さらに、過塩素酸、重クロム酸又は濃硝酸中で、例えば、1.4MPa、200〜240℃の温度で10〜30分処理し、ダイヤモンド表面を被覆する硬質炭素、すなわちグラファイトを除去することが記載されている。
しかしながら、本発明者らの検討によると、上記先行文献記載の方法では、酸化反応により発生するガス、熱の制御が困難な場合があることが分かった。すなわち、ダイヤモンドの種々の製造条件に対応する製造ロットにより、不純物の種類、含有量が異なるため、酸化開始温度や酸化速度が一定しない。そのため、未精製のダイヤモンドに過塩素酸や重クロム酸等の酸化剤を一度に加えて加熱すると、酸化反応により発生するガス及び熱の制御が困難になる場合がある。より詳しくは、未精製のダイヤモンドと酸化剤との混合液を加熱すると、酸化反応により発生した二酸化炭素の気泡が反応液内部から上昇して液面に達するが、反応液の粘性が高いことから該気泡がすぐには消えず、液面付近の気泡の制御が困難となることがある。さらには、該気泡が液面付近に蓄積され、その気泡が反応容器の気相部を占拠するようになり、有害な酸化剤が気相部から外部に噴出、漏洩する危険性もあった。そのため、スケールアップ製造がし難かった。
したがって、本発明の目的は、未精製ダイヤモンドからグラファイトを含まない又はほとんど含まないナノダイヤモンドを工業的に効率よく且つ安全に製造できる方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、未精製ダイヤモンドを酸化処理してグラファイトを含まない又はほとんど含まないナノダイヤモンドを製造するに際し、未精製ダイヤモンドの製造ロットによらず、反応により発生する気泡や熱を確実に制御しつつ、安全にナノダイヤモンドを製造できる方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、未精製ダイヤモンドを酸化処理してグラファイトを含まない又はほとんど含まないナノダイヤモンドを製造するに際し、未精製ダイヤモンドの製造ロットによらず、反応により発生する気泡や熱を確実に制御しつつ、安全にナノダイヤモンドを製造できる方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、特定の温度以上に昇温させた粗ダイヤモンド(未精製ダイヤモンド)微粒子の懸濁液中に酸化剤を連続的又は間欠的に(すなわち、一括ではなく逐次的に)添加する方法を採用すると、反応により発生する気泡及び熱を容易に制御でき、未精製ダイヤモンドの製造ロットによらず、安全に精製ナノダイヤモンドを製造できることを見いだした。本発明はこれらの知見をもとに、さらに検討を重ねて完成したものである。
すなわち、本発明は、粗ダイヤモンド微粒子を酸化剤による酸化処理に付して粗ダイヤモンド微粒子中のグラファイトを除去する工程を含むナノダイヤモンドの製造方法であって、前記工程において、50℃以上に昇温させた粗ダイヤモンド微粒子懸濁液中に酸化剤を連続的又は間欠的に添加することを特徴とするナノダイヤモンドの製造方法を提供する。
前記酸化剤は、クロム酸、無水クロム酸、二クロム酸、過マンガン酸、過塩素酸若しくはこれらの塩から選択された少なくとも1種であることが好ましい。
前記酸化剤の添加量は、前記粗ダイヤモンド微粒子100重量部に対して、例えば300〜5000である。
前記粗ダイヤモンド微粒子懸濁液は鉱酸を含有していてもよい。前記鉱酸は硫酸であってもよい。前記鉱酸の量は、前記粗ダイヤモンド微粒子100重量部に対して、例えば500〜30000重量部である。
前記粗ダイヤモンド微粒子は、爆轟法により合成された粗ダイヤモンド微粒子であってもよい。
本発明によれば、未精製ダイヤモンドからグラファイトを含まない又はほとんど含まないナノダイヤモンドを工業的に効率よく且つ安全に製造することができる。
また、未精製ダイヤモンドを酸化処理してグラファイトを含まない又はほとんど含まないナノダイヤモンドを製造するに際し、未精製ダイヤモンドの製造ロットによらず、反応により発生する気泡や熱を確実に制御しつつ、安全に精製したナノダイヤモンドを製造することができる。また、スケールアップに対応できる。
また、未精製ダイヤモンドを酸化処理してグラファイトを含まない又はほとんど含まないナノダイヤモンドを製造するに際し、未精製ダイヤモンドの製造ロットによらず、反応により発生する気泡や熱を確実に制御しつつ、安全に精製したナノダイヤモンドを製造することができる。また、スケールアップに対応できる。
本発明のナノダイヤモンドの製造方法は、粗ダイヤモンド微粒子を酸化剤による酸化処理に付して粗ダイヤモンド微粒子中のグラファイトを除去する。以下、この工程を「酸化処理工程」と称する場合がある。
本発明において原料となる粗ダイヤモンドは、炭素からなる元素鉱物(例えば、グラファイト等)から、例えば、爆轟法(爆射法)、フラックス法、静的高圧法、高温高圧法等により製造できる。本発明では、一次粒子の平均粒子径が極めて小さいナノダイヤモンド粒子を得ることができるという点から、爆轟法(特に、酸素欠乏爆轟法)で生成したダイヤモンド由来のものが好ましい。
前記爆轟法は爆薬を爆発させることによって動的な衝撃を加え、炭素からなる元素鉱物をダイヤモンド構造の粒子に直接変換する方法である。前記爆薬としては、特に制限されることがなく、例えば、シクロトリメチレントリニトロアミン(RDX)、シクロテトラメチレンテトラニトラミン(HMX)、トリニトロトルエン(TNT)、トリニトロフェニルメチルニトロアミン、四硝酸ペンタエリトリット、テトラニトロメタン、及びこれらの混合物(例えば、TNT/HMX、TNT/RDX等)を使用することができる。
なお、爆轟法には、除熱法の違いから水冷爆轟法と空冷爆轟法とがある。本発明では、平均一次粒子径が小さく比表面積が大きくなる点から、特に空冷爆轟法で合成されたダイヤモンド由来のものが好ましい。
上記方法で得られるダイヤモンド粒子(ナノダイヤモンド煤)には、グラファイト(黒鉛)が含まれている。このグラファイトを除去するため、前記ナノダイヤモンド煤(好ましくは、該ナノダイヤモンド煤を酸処理に付したもの)は酸化処理に付される。
本発明において、酸化処理工程に供する粗ダイヤモンド微粒子としては、グラファイト(相)を含有するダイヤモンド微粒子であれば特に限定されないが、前記爆轟法で生成したナノダイヤモンド煤や、このナノダイヤモンド煤に酸処理を施して金属成分を除去したものなどを用いる場合が多い。この酸化処理工程において原料となる粗ダイヤモンド微粒子の平均粒子径D50は、例えば、0.1〜30μm、好ましくは0.5〜15μmである。
酸化処理に付す粗ダイヤモンド微粒子中に含まれるグラファイト含有量は、特に制限はないが、通常、5〜90重量%、好ましくは10〜80重量%、より好ましくは15〜70重量%、さらに好ましくは20〜65重量%である。酸化処理に付す粗ダイヤモンド微粒子中のダイヤモンド含有量は、一般に5〜95重量%、好ましくは10〜90重量%、より好ましくは15〜80重量%、さらに好ましくは20〜65重量%である。
酸化処理に用いる酸化剤としては、例えば、濃硝酸、発煙硝酸、発煙硫酸;クロム酸、無水クロム酸、二クロム酸、過マンガン酸、過塩素酸又はこれらの塩;過酸化水素などが挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。なかでも、酸化剤として、クロム酸、無水クロム酸、二クロム酸、過マンガン酸、過塩素酸若しくはこれらの塩からなる群より選択された少なくとも1種を用いるのが好ましく、特に、クロム酸、無水クロム酸、二クロム酸若しくはこれらの塩からなる群より選択された少なくとも1種を用いるのが好ましい。
粗ダイヤモンド微粒子を前記酸化剤で酸化処理することにより、粗ダイヤモンド微粒子中に含まれているグラファイト(相)が二酸化炭素となって除去される。
本発明では、酸化処理工程において、50℃以上に昇温させた粗ダイヤモンド粒子懸濁液中に酸化剤を連続的又は間欠的に添加する。
粗ダイヤモンド微粒子懸濁液の分散媒としては、水が好ましい。50℃以上に昇温させた粗ダイヤモンド粒子懸濁液中の水等の分散媒の量は、粗ダイヤモンド微粒子100重量部に対して、例えば、100〜10000重量部、好ましくは300〜5000重量部、さらに好ましくは500〜2000重量部程度である。
前記粗ダイヤモンド微粒子懸濁液中に連続的又は間欠的に添加する酸化剤の量は、粗ダイヤモンド微粒子100重量部に対して、例えば、300〜5000重量部、好ましくは500〜3000重量部、さらに好ましくは800〜2000重量部である。酸化剤はそのまま粗ダイヤモンド微粒子懸濁液中に添加してもよいが、水等の溶媒に溶解させた酸化剤溶液として添加するのが好ましい。その場合、添加する酸化剤溶液中の酸化剤の濃度は、例えば、10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、さらに好ましくは30〜70重量%である。
上記酸化処理は、グラファイトの除去効率の点から、鉱酸の共存下で行うのが好ましい。鉱酸としては、前記例示のものが挙げられる。好ましい鉱酸は硫酸である。酸化処理に鉱酸を用いる場合、鉱酸(例えば硫酸)の使用量は、粗ダイヤモンド微粒子100重量部に対して、例えば、500〜30000重量部、好ましくは1000〜10000重量部、さらに好ましくは1500〜6000重量部である。鉱酸は、酸化剤を前記粗ダイヤモンド微粒子懸濁液中に連続的又は間欠的に添加する際に、該粗ダイヤモンド微粒子懸濁液中に連続的又は間欠的に添加してもよいが、酸化反応を効率よく進行させるため、酸化剤を粗ダイヤモンド微粒子懸濁液中に添加する前に、予め該懸濁液中に添加しておくのが好ましい。
酸化剤(通常、酸化剤溶液として)を粗ダイヤモンド微粒子懸濁液中に添加する際の添加時間は、例えば、0.2時間以上(例えば、0.2〜24時間)、好ましくは0.5時間以上(例えば、0.5〜10時間)、さらに好ましくは0.75時間以上(例えば、0.75〜10時間)程度である。酸化剤の添加終了後、必要に応じて熟成した後、冷却することで反応を停止できる。
酸化剤を粗ダイヤモンド微粒子懸濁液中に連続的又は間欠的に添加する際の前記懸濁液の温度は50℃以上であるが、好ましくは60℃以上である。なお、前記懸濁液の温度の上限は、例えば、150℃であり、115℃程度であってもよい。酸化反応温度は、粗ダイヤモンド微粒子に含まれる不純物の種類や含有量により異なるが、通常、50〜150℃の範囲であり、大概は60〜140℃、特には70〜130℃の範囲である。
酸化剤を粗ダイヤモンド微粒子懸濁液中に連続的又は間欠的に添加するする際の圧力は、特に制限はないが、通常、0.1〜10MPa、好ましくは0.1〜5MPa、より好ましくは0.1〜1MPa、さらに好ましくは0.1〜0.5MPaである。
上記のように、酸化剤を所定温度に昇温した粗ダイヤモンド微粒子懸濁液中に添加すると、酸化剤は添加直後に反応に使用されるため、系内に酸化剤が蓄積しない。酸化剤の粗ダイヤモンド粒子懸濁液中への添加速度を調整することで、酸化による二酸化炭素を緩やかに発生させることができるとともに、発生した気泡を適切な速さで消滅させることができる。そのため、気泡が反応液の液面上に蓄積するのを防止できる。したがって、粗ダイヤモンド粒子中のグラファイト含有量等が製造ロットで異なっていたとしても、酸化剤の添加速度を調整することで、安全で且つ安定した運転が可能となる。また、スケールアップ製造が容易となる。
上記酸化処理の後、水(純水、イオン交換水等)で洗浄することにより、グラファイトを含まないか又はほとんど含まない精製されたナノダイヤモンド粒子を得ることができる。こうして得られるナノダイヤモンド粒子中に含まれるグラファイト含有量は、例えば、5重量%未満、好ましくは3重量%以上、より好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.1重量%以下、特に好ましくは0.01重量%以下である。
なお、前記ナノダイヤモンド煤又はこの酸処理品を酸化処理に付して得られるナノダイヤモンド粒子は、一般に、ナノダイヤモンド一次粒子が粒子間凝集(ファンデルワールス凝集)した凝集体として存在する。ナノダイヤモンド凝集体の平均粒径D50は、通常20nm以上であり、一般には100nm〜500μmの範囲、好ましくは100nm〜200μm程度である。
このようにして得られたナノダイヤモンド粒子(凝集体)を、必要に応じて分級処理した後、分散媒に分散させて懸濁液とし、該懸濁液を解砕処理(「分散処理」ともいう)に付すことで、極小サイズ、特に一桁ナノサイズのナノダイヤモンド粒子を得ることができる。
前記分散媒としては、水;メタノール、エタノール、エチレングリコール等のアルコール、アセトン等のケトン、N−メチルピロリドン等のラクタム又はアミドなどの極性有機溶媒;これらの混合溶媒などが挙げられる。これらのなかでも、水を少なくとも含む(例えば、水を50重量%以上含む)分散媒が好ましく、特に水が好ましい。
前記分散処理は、例えば、高剪断ミキサー、ハイシアーミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル等の分散機を使用することにより行うことができる。これらのなかでも、効率の点で、ビーズミル、超音波ホモジナイザーを用いて分散する方法が好ましい。
ナノダイヤモンドの懸濁液を分散処理に付す際、最終的に得られるナノダイヤモンド粒子の分散性及び分散安定性を向上させる点から、該懸濁液のpHを8以上(例えば、8〜12)、好ましくは9以上(例えば、9〜11)、さらに好ましくは9.5〜10.5とした状態で分散処理に付すことが望ましい。分散処理の後、必要に応じて分級処理を施してもよい。
こうして得られるナノダイヤモンドの分散液(懸濁液)から、公知の方法、例えば、超遠心分離法、濃縮乾燥法、凍結乾燥法、スプレードライヤー法等によって水分を除去することにより、ナノダイヤモンド粉体を得ることができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。「%」は重量%である。
なお、ナノダイヤモンド粒子の平均粒子径D50は、スペクトリス社製の商品名「ゼータサイザー ナノZS」により求めた。
実施例1
窒素雰囲気下、爆轟法により得られた粗ダイヤモンド微粒子(平均粒子径D50:6.2μm、ダイヤモンド含有量27.6%、グラファイト含有量54.5%)15.0gに水133.3gを添加し、さらに濃硫酸567.0gを室温で加えた。このスラリー液を攪拌しつつ、20分かけて80℃まで昇温させ、50%無水クロム酸水溶液360.0gを2時間かけて滴下した。無水クロム酸水溶液の滴下速度を調整することで、酸化により発生する二酸化炭素を逐次的に発生、消滅させることができ液面への蓄積を防止させることができた。また、反応中の温度を75−85℃の範囲に収めることができた。滴下終了後、室温まで冷却した。精製後のスラリーを水洗浄し、デカンテーションで回収した粉体を乾燥後XRDで分析すると、2θ=25°近辺に検出されていた結晶性のグラファイトのピークが消失していることを確認することができ、粗ダイヤモンド微粒子中のグラファイトを除去できていることを確認した。
窒素雰囲気下、爆轟法により得られた粗ダイヤモンド微粒子(平均粒子径D50:6.2μm、ダイヤモンド含有量27.6%、グラファイト含有量54.5%)15.0gに水133.3gを添加し、さらに濃硫酸567.0gを室温で加えた。このスラリー液を攪拌しつつ、20分かけて80℃まで昇温させ、50%無水クロム酸水溶液360.0gを2時間かけて滴下した。無水クロム酸水溶液の滴下速度を調整することで、酸化により発生する二酸化炭素を逐次的に発生、消滅させることができ液面への蓄積を防止させることができた。また、反応中の温度を75−85℃の範囲に収めることができた。滴下終了後、室温まで冷却した。精製後のスラリーを水洗浄し、デカンテーションで回収した粉体を乾燥後XRDで分析すると、2θ=25°近辺に検出されていた結晶性のグラファイトのピークが消失していることを確認することができ、粗ダイヤモンド微粒子中のグラファイトを除去できていることを確認した。
比較例1
窒素雰囲気下、爆轟法により得られた粗ダイヤモンド微粒子(平均粒子径D50:6.2μm、ダイヤモンド含有量27.6%、グラファイト含有量54.5%)15.0gに水133.3gを添加し、さらに濃硫酸567.0gを滴下した。室温で、攪拌しつつ、このスラリー液に50%無水クロム酸水溶液360.0gを内温45℃以下で全量を20分かけて滴下し、その後昇温させたところ、無水クロム酸による酸化反応によって気泡が激しく発生し、反応液液面が反応器の上部の冷却管にまで達した。また、反応温度も制御することができず、100℃以上に上昇した。その後、80℃まで下がって、2時間攪拌した。精製後のスラリーを水洗浄し、デカンテーションで回収した粉体を乾燥後XRDで分析すると、2θ=25°近辺に検出されていた結晶性のグラファイトのピークが消失していることを確認することができ、粗ダイヤモンド微粒子中のグラファイトを除去できていることを確認した。しかしながら、上記のように発生した気泡及び熱の制御が困難で、安全性にも問題があった。
窒素雰囲気下、爆轟法により得られた粗ダイヤモンド微粒子(平均粒子径D50:6.2μm、ダイヤモンド含有量27.6%、グラファイト含有量54.5%)15.0gに水133.3gを添加し、さらに濃硫酸567.0gを滴下した。室温で、攪拌しつつ、このスラリー液に50%無水クロム酸水溶液360.0gを内温45℃以下で全量を20分かけて滴下し、その後昇温させたところ、無水クロム酸による酸化反応によって気泡が激しく発生し、反応液液面が反応器の上部の冷却管にまで達した。また、反応温度も制御することができず、100℃以上に上昇した。その後、80℃まで下がって、2時間攪拌した。精製後のスラリーを水洗浄し、デカンテーションで回収した粉体を乾燥後XRDで分析すると、2θ=25°近辺に検出されていた結晶性のグラファイトのピークが消失していることを確認することができ、粗ダイヤモンド微粒子中のグラファイトを除去できていることを確認した。しかしながら、上記のように発生した気泡及び熱の制御が困難で、安全性にも問題があった。
Claims (7)
- 粗ダイヤモンド微粒子を酸化剤による酸化処理に付して粗ダイヤモンド微粒子中のグラファイトを除去する工程を含むナノダイヤモンドの製造方法であって、前記工程において、50℃以上に昇温させた粗ダイヤモンド微粒子懸濁液中に酸化剤を連続的又は間欠的に添加することを特徴とするナノダイヤモンドの製造方法。
- 前記酸化剤が、クロム酸、無水クロム酸、二クロム酸、過マンガン酸、過塩素酸若しくはこれらの塩から選択された少なくとも1種である請求項1記載のナノダイヤモンドの製造方法。
- 前記酸化剤の添加量が、前記粗ダイヤモンド微粒子100重量部に対して300〜5000重量部である請求項1又は2記載のナノダイヤモンドの製造方法。
- 前記粗ダイヤモンド微粒子懸濁液が鉱酸を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のナノダイヤモンドの製造方法。
- 前記鉱酸が硫酸である請求項4記載のナノダイヤモンドの製造方法。
- 前記鉱酸の量が、前記粗ダイヤモンド微粒子100重量部に対して500〜30000重量部である請求項4又は5記載のナノダイヤモンドの製造方法。
- 前記粗ダイヤモンド微粒子が、爆轟法により合成された粗ダイヤモンド微粒子である請求項1〜6のいずれか1項に記載のナノダイヤモンドの製造方法。
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