JP2017147966A - マツ科樹木の挿し木苗の生産方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、マツ科樹木の効率的な苗生産を可能にする挿し木方法の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は以下の工程A及びBを経て行うことを特徴とするマツ科樹木の挿し木苗の生産方法である。
A.挿し穂としてマツ科樹木の短枝を用い、発根させる工程。
B.上記A工程にて得られた発根個体にサイトカイニンを外添し、芽の伸長を誘導し苗を得る工程。
マツ科樹木はクロマツであることが好ましく、サイトカイニンの種類はベンジルアミノプリン(BAP)、カイネチン、ゼアチンが好ましい。
【選択図】なし
【解決手段】本発明は以下の工程A及びBを経て行うことを特徴とするマツ科樹木の挿し木苗の生産方法である。
A.挿し穂としてマツ科樹木の短枝を用い、発根させる工程。
B.上記A工程にて得られた発根個体にサイトカイニンを外添し、芽の伸長を誘導し苗を得る工程。
マツ科樹木はクロマツであることが好ましく、サイトカイニンの種類はベンジルアミノプリン(BAP)、カイネチン、ゼアチンが好ましい。
【選択図】なし
Description
本発明はマツ科樹木の苗を大量生産する技術に関する。
マツ科樹木のうち、クロマツは防潮林として広く国内で植林されており、日本を代表する風景の一つである。マツ科樹木の栄養生殖には一般的に接ぎ木が主流である。しかし、接ぎ木では使用できる枝の数が限られることや工程が煩雑なため熟練の技術を要するといった理由から得苗数が少ない。
従って、マツ科樹木を増殖するためには得苗数の少ない接ぎ木による増殖か実生による増殖に頼らざるを得ない。しかし、実生苗では親株の形質と同様の形質を有するとは限らないため、有用形質を備えた均一な苗を、一度に大量に得ることはできない。このため、日本にて猛威を振るっている松枯れ病に対する耐性等有用な形質をもった苗を大量に増殖することが困難であった。
また、マツの挿し木には一般的に長枝を用いる挿し木が行われている。しかし、長枝を用いた挿し木では樹齢を経た樹木では発根率が著しく低下する。若齢木では樹体が小さいために挿し穂として用いることができる挿し穂の数が限られ得苗数が少ない。
本出願人は効率的な苗生産技術である光独立栄養培養法を利用した挿し木苗生産方法を報告しているが(特許文献1)、この方法を用いてもマツ科樹木の苗について大量生産することは困難であった。
また、マツの短枝にサイトカイニンを外添し芽の成長を誘導する報告例がある(非特許文献1)。
さらに、マツの短枝にサイトカイニンを外添し、新たな鱗片葉及び/又は一次葉を誘導して、その短枝を用いて挿し木を行う苗生産方法についても報告している(特許文献2)。 しかし、この方法を用いた際には外添したサイトカイニンが発根にとって負に働くことや鱗片葉及び/一次葉が発根過程で枯死してしまうといったことがあり、得苗率にはまだ向上の余地がある。
広島県林試研報27:95〜100.1993
本発明は挿し木増殖が困難であるとされているマツ科樹木の効率的な苗を生産する方法を目的とする。
本発明は以下の〔1〕〜〔3〕を提供する。
〔1〕以下の工程A及びBを経て行うことを特徴とする、マツ科樹木の挿し木苗の生産方法。
A.挿し穂としてマツ科樹木の短枝を用い、前記挿し穂から発根させる工程。
B.上記A工程にて得られた発根個体にサイトカイニンを外添し、芽の伸長を誘導し苗を得る工程。
〔2〕マツ科樹木がクロマツであることを特徴とする上記〔1〕に記載の方法。
〔3〕サイトカイニンの種類がベンジルアミノプリン(BAP)、カイネチン、ゼアチンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記〔1〕または〔2〕に記載の方法。
〔1〕以下の工程A及びBを経て行うことを特徴とする、マツ科樹木の挿し木苗の生産方法。
A.挿し穂としてマツ科樹木の短枝を用い、前記挿し穂から発根させる工程。
B.上記A工程にて得られた発根個体にサイトカイニンを外添し、芽の伸長を誘導し苗を得る工程。
〔2〕マツ科樹木がクロマツであることを特徴とする上記〔1〕に記載の方法。
〔3〕サイトカイニンの種類がベンジルアミノプリン(BAP)、カイネチン、ゼアチンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記〔1〕または〔2〕に記載の方法。
本発明によれば、有用形質を持つマツ科樹木の均質な苗を効率良く大量に生産することが出来る。
本発明はマツ科樹木に対して適用できる。挿し穂をとる母樹としては、健全な状態にあるものであれば良いが、生育が旺盛な若齢木を母樹とすることが好ましい。
挿し穂を採取する時期は植物の生育が旺盛な時期と一致していることが好ましく、また、発根後に芽を生育させる時期も植物の生育が旺盛な時期に一致していることが好ましい。このことから、特に生育が旺盛になり始める春先に採取し、当年秋までに芽を生育させることが望ましい。
母樹としては、樹齢は特に限定されるものではないが、生育が旺盛な若齢木であることが好ましい。
マツ科樹木としては、クロマツ、アカマツ、カラマツ等が挙げられるが本願発明はマツ科樹木であれば良く上記したマツ科樹木に限定されるものではない。
発根に使用する液体培地には窒素、リン、カリウムを含んでいることが望ましく、例えば植物組織培養に用いられるムラシゲ・スクーグ培地、ガンボーグB5培地が挙げられ、これらの培地を希釈した溶液が本発明において、汎用性の高い液体培地として使用できる。
発根用培地には植物生長調整物質を添加することもできる。植物ホルモンとしてはオーキシン類が挙げられる。オーキシン類としては、ナフタレン酢酸(NAA)、インドール酢酸(IAA)、インドール酪酸(IBA)が挙げられる。植物生長調整物質は単独で又は2種以上組み合わせて0.1〜10mg/ml添加することにより、挿し穂からの発根を促進することができる。
また、発根培地には炭素源を含まない。炭素源は多くの生物に共通するエネルギー源であるが、本発明では、屋外等で生育したマツ科樹木を母樹とし、非無菌環境下で培養するため、炭素源を含有する培地を用いると、挿し穂に付着した雑菌等が培地中の炭素源を栄養源として繁殖し、挿し穂や、これから形成される芽の枯死をもたらすためである。
尚、炭素源を添加した場合には無菌環境下であれば培養が可能である。
尚、炭素源を添加した場合には無菌環境下であれば培養が可能である。
挿し穂を挿しつける発根床としては、液体培地により実質的に均一に浸潤されるものであって、かつ、挿し穂を挿しつけた際に、その挿しつけた状態で保持できるようなものを用いる。例えば、赤玉土、鹿沼土とうの自然土壌、バーミキュライト、パーライト、ガラスビーズ等の人工土壌、又は発泡性フェノール樹脂、ロックウール等の多孔性成形品等を培養容器内に入れ、これを発根床として使用することができる。
発根床を収める容器には様々な培養容器を用いることができ、例えば育苗ポットやプラグトレーなどが挙げられる。培養容器は密閉型でも開放型でもよいが、密閉型の培養容器の方が湿度等の培養中の環境を容易となるため好ましい。
培養容器は炭酸ガスが供給可能な容器が好ましい。このため培養容器を密閉型のものとしたときは炭酸ガスが供給できるようにしなければならない。例えば容器開口部を炭酸ガス透過性の膜で蔽うことが挙げられる。このような炭酸ガス透過性のフィルムを蔽われた開口部を要する培養器を用いることにより培養環境の湿度と炭酸ガス濃度を調整することが容易となる。
炭酸ガス濃度は300〜1500ppmに制御することが好ましい。300ppm以下では挿し穂の発根率の向上が期待できず、炭酸ガス濃度を1500ppmより高めても、挿し穂の発根率はその炭酸ガス濃度に見合った向上を示さなくなる。炭酸ガスの供給は人工気象器や、二酸化炭素透過性の膜を開口部に有する培養容器などを利用して行われる。
発根までの期間は挿し穂の状況や発根培養中の環境にもよるが1ヶ月〜3ヶ月程度であり、発根が観察されるまで培養を続ければよい。
発根した個体は培養容器から出して育苗容器に移植して育苗する。育苗容器に移植する際の土はその植物に適するよう適宜設定すればよい。
発根個体にはサイトカイニンを外添して芽の伸長を誘導すると共に成長を促進し、新たな苗を作出する。用いるサイトカイニンとしてはゼアチン、カイネチン、ベンジルアミノプリン(BAP)等の既知のサイトカイニン類を単独または2種以上組み合わせて使用することが出来る。
外添の方法としては水溶液を用いる場合には噴霧器によって噴霧したり、育苗容器を水溶液に浸潤させて実施できる。また粉体を用いる場合には、短枝に粉衣することで実施できる。
発根個体にサイトカイニンを外添することで、1カ月〜3カ月程度で芽が伸長し苗を得ることができ、芽が成長するまで観察すればよい。
特許文献2に記載されている方法では、発根過程で芽が枯死してしまうことがあるが、本願発明に記載の方法であれば発根後に芽の伸長を誘導し成長させるので、効率的に苗を得ることが出来る。
本発明において生産されたマツ科樹木の苗は、芽が成長した後、マツ科樹木に公知の育苗方法によって育苗することで植林等の所定の目的に使用することが可能となる。
実施例1
温室内で生育している、樹齢2年のクロマツの短枝を採取して挿し穂として用いて100本挿しつけた。
培養容器には10cm四方のポリカーボネート製容器の上面2か所に直径1cmの穴を開け、この開口部を炭酸ガス透過性の膜(日本ミリポア(株)製『ミリポアシール』)で蔽ったものを使用した。
発根床には発泡性フェノール樹脂成形品(製品名:オアシス)を使用した。発根培地にはIBA5mg/mlを添加した、5倍希釈のガンボーグB5培地を作成し、発根床に浸潤させた。
上記のように調整した発根床に挿し穂を挿しつけ、各培養容器内の炭酸ガス濃度が1000ppmとなるように制御し、温度25〜28℃、光強度80μmol/m2/sec、明期16時間、暗期8時間で培養することにより行った(表1)。
発根した個体をポリポットに移して育苗を行った。育苗の土には鹿沼土及び赤玉土を1:1で混合したものを用いた。
サイトカイニンの外添は250mg/mlに希釈したBAP水溶液を使用して、週2回の間隔で一ヶ月間噴霧して行った。
BAPの処理開始から3カ月後、短枝の基部から芽が伸長し、苗を得ることが出来た(表1)。
温室内で生育している、樹齢2年のクロマツの短枝を採取して挿し穂として用いて100本挿しつけた。
培養容器には10cm四方のポリカーボネート製容器の上面2か所に直径1cmの穴を開け、この開口部を炭酸ガス透過性の膜(日本ミリポア(株)製『ミリポアシール』)で蔽ったものを使用した。
発根床には発泡性フェノール樹脂成形品(製品名:オアシス)を使用した。発根培地にはIBA5mg/mlを添加した、5倍希釈のガンボーグB5培地を作成し、発根床に浸潤させた。
上記のように調整した発根床に挿し穂を挿しつけ、各培養容器内の炭酸ガス濃度が1000ppmとなるように制御し、温度25〜28℃、光強度80μmol/m2/sec、明期16時間、暗期8時間で培養することにより行った(表1)。
発根した個体をポリポットに移して育苗を行った。育苗の土には鹿沼土及び赤玉土を1:1で混合したものを用いた。
サイトカイニンの外添は250mg/mlに希釈したBAP水溶液を使用して、週2回の間隔で一ヶ月間噴霧して行った。
BAPの処理開始から3カ月後、短枝の基部から芽が伸長し、苗を得ることが出来た(表1)。
比較例1
BAPの外添を行わない以外は実施例1と同様にした(表1)。
BAPの外添を行わない以外は実施例1と同様にした(表1)。
発根後、実施例1においては発根個体から芽の伸長が誘導されることにより、苗を得ることが出来た。
上記結果から、明らかなように、本発明によれば、マツ科樹木からの得苗数が向上し、マツ科樹木の効率的な苗生産ができることを示している。
上記結果から、明らかなように、本発明によれば、マツ科樹木からの得苗数が向上し、マツ科樹木の効率的な苗生産ができることを示している。
Claims (3)
- 以下の工程A及びBを経て行うことを特徴とする、マツ科樹木の挿し木苗の生産方法。
A.挿し穂としてマツ科樹木の短枝を用い、前記挿し穂から発根させる工程。
B.上記A工程にて得られた発根個体にサイトカイニンを外添し、芽の伸長を誘導し苗を得る工程。 - マツ科樹木がクロマツであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- サイトカイニンの種類がベンジルアミノプリン(BAP)、カイネチン、ゼアチンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
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JP2016032685A JP2017147966A (ja) | 2016-02-24 | 2016-02-24 | マツ科樹木の挿し木苗の生産方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109463248A (zh) * | 2018-12-29 | 2019-03-15 | 青岛冠中生态股份有限公司 | 一种沙地黑松大苗移栽方法 |
KR20200088640A (ko) * | 2019-01-15 | 2020-07-23 | 철원군 | 삽목에 의한 낙엽송 묘목 증식 방법 |
JP2020110141A (ja) * | 2019-01-11 | 2020-07-27 | 日本製紙株式会社 | 採穂母樹の生産方法 |
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