JP2017147468A - 電力変換用スイッチング素子 - Google Patents

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森 睦宏
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森  睦宏
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Abstract

【課題】ターンオン時の出力電圧の時間変化率(dv/dt)の制御性を向上させる。
【解決手段】電力変換用スイッチング素子103は、n型の半導体基板1の表面側に、第1のゲート電極6(G1)と第2のゲート電極6(G2)とからなるゲート電極の組が複数組繰り返して配置されて構成される。そして、このゲート電極の組は、互いに異なるゲート電極の組に属し、互いに隣接する2つのゲート電極6が、ともに第1のゲート電極6(G1)となるか、または、ともに第2のゲート電極6(G2)となるように配置され、第1のゲート電極6(G1)および第2のゲート電極6(G2)には、駆動タイミングに時間差のある第1の駆動信号および第2の駆動信号がそれぞれ供給される。
【選択図】図12

Description

本発明は、電力変換用スイッチング素子に関する。
近年、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの電力変換用スイッチング素子は、家庭用のエアコンや電子レンジなどの小電力機器から、鉄道や製鉄所の大電力機器に至るまで幅広く応用されるようになった。そして、再生可能な新エネルギーの利用や省エネルギーを促進するには、直流から交流へ、または、交流から直流への電力変換が不可欠であることから、電力変換用スイッチング素子は、これからの低炭素社会を実現するための重要なキーコンポーネントになってきている。
ところで、IGBTなどの電力変換用スイッチング素子を電力変換のインバータなどに応用した場合、導通時にはオン抵抗に伴う導通損失が発生し、スイッチング時にはスイッチング動作に伴うスイッチング損失が発生する。そこで、インバータの高効率化、小型化を図るには、導通損失およびスイッチング損失をともに低減する必要がある。
特許文献1には、複数個のトレンチ型のゲートを等間隔に配置するとともに、互いに隣接するトレンチ型のゲートにターンオフのタイミングがずれた制御信号を供給することにより、低い導通損失の特性を損なうことなく、ターンオフ時の安全動作領域を拡大することが可能なIGBTの例が開示されている。
また、特許文献2には、複数個のトレンチ型のゲートを互いに異なる2通りの間隔で交互に配置するととともに、そのゲート間隔が狭いほうの2つのゲートに挟まれた半導体層の上部にチャネル層(ベース領域)およびエミッタ領域を形成し、ゲート間隔が広いほうの2つのゲートに挟まれた半導体層にエミッタ電極に接続されないフローティング層を形成することにより、短絡耐量と耐圧の低下を招くことなく導通損失、すなわち、オン電圧を低減することが可能なIGBTの例が開示されている。
しかしながら、本願の発明者らの検討によれば、特許文献2に開示された構造のIGBTは、ターンオフ損失が大きく、かつ、ターンオン時に、IGBTや対アームのダイオードの出力電圧の時間変化率dv/dtの制御性が低下するという問題があることが分かった。
これらの問題のうち、ターンオン時の出力電圧の時間変化率(dv/dt)の制御性が低下するという問題については、特許文献3に、その問題が生じる理由が次のように説明されている。
IGBTがオン状態になると、2つのゲートの間に形成されたp型のフローティング層に過渡的にホールが流れ込むため、そのフローティング層の電位が高くなる。このとき、ゲートとフローティング層を隔てるゲート絶縁膜の帰還容量を介して、ゲートに変位電流が流れ、ゲート電位が持ち上げられる。その結果、MOS(Metal Oxide Semiconductor)FET(Field Effect Transistor)構造の相互コンダクタンス(gm)とゲート−エミッタ間電圧(vge)の時間変化率(dvge/dt)の積で決まるコレクタ電流(ic)の時間変化率(dic/dt)が増加し、スイッチング速度が加速する。
フローティング層に過渡的に流れ込むホールの量は、主に半導体内部の構造で決定されるので、外部のゲート抵抗で制御することは難しい。従って、加速されたdic/dtを外部のゲート抵抗で制御することができず、その結果としてIGBTと対アームのダイオードの電圧の時間変化率dv/dtがゲート抵抗で制御できない期間が発生する。
これらを考慮し、特許文献3には、ドリフト層またはフローティング層とゲート電極との間の絶縁膜を厚くするなどして、寄生容量が生じにくい構造のIGBTが提示されている。ゲート電極との間の寄生容量が小さければ、帰還容量も小さくなるので、ターンオン時の出力電圧の時間変化率(dv/dt)の制御性は向上する。
特開2000−101076号公報 特開2006−222455号公報 特開2011−119416号公報
ところで、特許文献2に示されたIGBTのように、n型のドリフト層内にp型のフローティング層が設けられた場合には、導通時にホールがドリフト層内に蓄積されてオン電圧が低減される。一方、ターンオフ時には、その蓄積されたホールが排出される時間が長くなるため、どうしてもターンオフ損失が増加する。特許文献3では、ターンオフ時の損失については、十分な考慮はされていない。
以上の従来技術の問題点に鑑み、本発明の目的は、ターンオフ時の損失を低減させるとともに、ターンオン時の出力電圧の時間変化率(dv/dt)の制御性を向上させることが可能な電力変換用スイッチング素子を提供することにある。
本発明に係る電力変換用スイッチング素子は、半導体基板に形成された第1導電型の半導体層と、前記半導体基板の第1表面側に形成された複数のトレンチの互いに隣接する2つずつのトレンチのそれぞれに、前記第1導電型の半導体層とゲート絶縁膜を介して接するように設けられた第1のゲート電極および第2のゲート電極からなるゲート電極の組と、前記ゲート電極の組の同じ組に属する前記第1のゲート電極および前記第2のゲート電極の間に挟まれた前記半導体基板の前記第1表面側に、前記ゲート絶縁膜を介して形成された第2導電型のチャネル層と、前記チャネル層の表面の一部に、前記第1のゲート電極および前記第2のゲート電極のそれぞれに前記ゲート絶縁膜を介して接するように形成された第1導電型のエミッタ領域と、前記第1導電型のエミッタ領域および前記第2導電型のチャネル層が電気的に接続されたエミッタ電極と、前記第1導電型の半導体層に接し、前記半導体基板の第2表面側に形成された第2導電型のコレクタ層と、前記第2導電型のコレクタ層に電気的に接続されたコレクタ電極と、を備えた電力変換用スイッチング素子であって、前記同じ組に属する前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極との間隔をaとし、前記互いに異なる組に属し、互いに隣接する2つのゲート電極同士の間隔をbとして、それぞれのゲート電極は、b>aを満たすように配置されており、前記第1のゲート電極および前記第2のゲート電極には、駆動タイミングに時間差のある第1の駆動信号および第2の駆動信号がそれぞれ供給され、前記ゲート電極の組の異なる組に属し、互いに隣接する2つの前記第1のゲート電極には、同じ駆動タイミングの前記第1の駆動信号が供給され、前記ゲート電極の組の異なる組に属し、互いに隣接する2つの前記第2のゲート電極には、同じ駆動タイミングの前記第2の駆動信号が供給され、前記時間差は、前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極との両方に時間差なく同じタイミングで駆動信号が供給される場合に比べて、前記電力変換用スイッチング素子のターンオン時のスイッチング速度を抑制する時間差であることを特徴とする。
本発明によれば、ターンオフ時の損失を低減させるとともに、ターンオン時の出力電圧の時間変化率(dv/dt)の制御性を向上させることが可能な電力変換用スイッチング素子が提供される。
本発明の第1の実施形態に係る電力変換用スイッチング素子の構造の例を模式的に示した図であり、(a)は、その断面図の例、(b)は、平面配置図の例である。 電力変換用スイッチング素子をターンオフさせるとき、第1のゲート電極(G1)および第2のゲート電極(G2)をそれぞれ駆動する駆動信号の駆動シーケンスの例を示した図である。 電力変換用スイッチング素子をターンオンさせるとき、第1のゲート電極(G1)および第2のゲート電極(G2)をそれぞれ駆動する駆動信号の駆動シーケンスの例を示した図である。 電力変換用スイッチング素子をターンオフさせるとき、第1のゲート電極(G1)および第2のゲート電極(G2)をそれぞれ駆動する駆動信号の駆動シーケンスの第2の例を示した図である。 電力変換用スイッチング素子をターンオンさせるとき、第1のゲート電極(G1)および第2のゲート電極(G2)をそれぞれ駆動する駆動信号の駆動シーケンスの第2の例を示した図である。 電力変換用スイッチング素子の出力特性の例を示した図である。 本発明の実施形態の効果の例を示した図である。 本発明の実施形態の別の効果の例を示した図である。 図2〜図5に示した駆動信号の駆動シーケンスを実現する駆動回路のブロック構成の例を示した図である。 本発明の第1の実施形態に係る電力変換用スイッチング素子の構造の第1の変形例を示した図である。 本発明の第1の実施形態に係る電力変換用スイッチング素子の構造の第2の変形例を示した図である。 本発明の第1の実施形態に係る電力変換用スイッチング素子の構造の第3の変形例を示した図であり、(a)は、断面図の例、(b)は、平面配置図の例である。 本発明の第2の実施形態に係る電力変換用スイッチング素子の構造の例を模式的に示した図である。 本発明の第3の実施形態に係る電力変換用スイッチング素子の構造の例を模式的に示した図である。 本発明の第4の実施形態に係る電力変換用スイッチング素子の構造の例を模式的に示した図である。 本発明の第5の実施形態に係る電力変換用スイッチング素子の構造の例を模式的に示した図である。 本発明の第6の実施形態に係る電力変換用スイッチング素子の構造の例を模式的に示した図である。 本発明の第1〜第6の実施形態に係る電力変換用スイッチング素子を適用した電力変換装置の回路構成の例を示した図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、実施形態を説明するためのすべての図面において、同一の構成要素には同一符号を付し、その繰り返しの説明を省略する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電力変換用スイッチング素子100の構造の例を模式的に示した図であり、(a)は、その断面図の例、(b)は、平面配置図の例である。なお、図1(a)に示した断面図は、図1(b)の平面配置図における一点鎖線A−A’部分に対応する断面図である。
図1(a)に示すように、電力変換用スイッチング素子100は、2つの独立した制御ゲートを有するIGBTということができ、シリコンなどのn型の半導体基板1の表面側に、間隔aで互いに隣接配置されたトレンチ型の第1のゲート電極6(G1)および第2のゲート電極13(G2)の組が、間隔bで繰り返し配置された構造を有している。
ここで、第1のゲート電極6(G1)および第2のゲート電極13(G2)は、例えば、n型の半導体基板1の表面側に、p型チャネル層2またはp型フローティング層15となるp型の半導体層が形成され、そのp型の半導体層に、そのp型の半導体層よりも深いトレンチが形成され、そのトレンチの内壁にゲート絶縁膜5が形成され、そのゲート絶縁膜5が形成されたトレンチ内に導電性のポリシリコンなどが埋め込まれることにより形成される。
また、図1(a)に示すように、電力変換用スイッチング素子100においては、第1のゲート電極6(G1)と第2のゲート電極13(G2)との間には、p型チャネル層2およびp型フローティング層15が交互に形成されている。
ここで、p型チャネル層2の表面部の一部で、第1のゲート電極6(G1)および第2のゲート電極13(G2)のそれぞれにゲート絶縁膜5を介して接する部分に、n型エミッタ領域3(ソース領域ともいう)が形成されている。また、p型チャネル層2の表面部の一部で、n型エミッタ領域3が形成されていない部分には、p型エミッタ領域12が形成されている。
ゲート電極6,13、n型エミッタ領域3、p型エミッタ領域12およびp型フローティング層15の上部(外側)には層間絶縁膜16が形成され、さらに、その上部(外側)には、導電性の金属などからなるエミッタ電極7が形成されている。このとき、n型エミッタ領域3およびp型エミッタ領域12の上部の層間絶縁膜16には開口部が形成されており、n型エミッタ領域3およびp型エミッタ領域12は、エミッタ電極7に接触し、電気的に接続されている。一方、p型フローティング層15は、層間絶縁膜16によりエミッタ電極7と絶縁されている。
本実施形態では、p型チャネル層2、n型エミッタ領域3およびp型エミッタ領域12が形成された領域を挟んだ第1のゲート電極6(G1)と第2のゲート電極13(G2)との間隔aは、p型フローティング層15が形成された領域を挟んだ第1のゲート電極6(G1)と第2のゲート電極13(G2)との間隔bよりも小さいものとする。すなわち、間隔a<間隔bであるとする。なお、間隔a<間隔bとした場合、高速スイッチング性能および短絡耐量の向上、オン電圧低減などの効果得られる(特許文献2参照)。
また、n型の半導体基板1の裏面側には、p型コレクタ層4が形成されるとともに、p型コレクタ層4に接触するようにして、導電性の金属などからなるコレクタ電極8が形成されている。
なお、図1(a)において、n型の半導体基板1のうち、p型チャネル層2、n型エミッタ領域3、p型エミッタ領域12およびp型コレクタ層4を除いた領域は、n型の半導体基板1そのものであるが、通常、n型ドリフト層1dと呼ばれる。
また、図1(b)に示すように、第1のゲート電極6(G1)および第2のゲート電極13(G2)は、それぞれ、その上部に形成される第1の金属配線40および第2の金属配線41に接続されている。ここで、第1の金属配線40および第2の金属配線41は、互いに絶縁された独立の配線であり、それぞれ、図示しない第1のゲート端子および第2のゲート端子に接続される。また、第1のゲート電極6(G1)および第2のゲート電極13(G2)を構成するゲート層と、第1の金属配線40および第2の金属配線41を構成する金属配線層とは、層間絶縁膜16に形成されたコンタクトホール42によって電気的に接続される。
以上のように、本発明の第1の実施形態に係る電力変換用スイッチング素子100は、外部から第1のゲート端子および第2のゲート端子を介して独立に駆動可能な第1のゲート電極6(G1)および第2のゲート電極13(G2)を有することを特徴とする。
図2は、電力変換用スイッチング素子100をターンオフさせるとき、第1のゲート電極6(G1)および第2のゲート電極13(G2)をそれぞれ駆動する駆動信号の駆動シーケンスの例を示した図である。ここでは、第1のゲート電極6(G1)および第2のゲート電極13(G2)のいずれにも、すでにしきい値電圧Vthより高い電圧が印加され、電力変換用スイッチング素子100のスイッチング状態が「オン」状態であるとする。
なお、ここでいうしきい値電圧Vthとは、第1のゲート電極6(G1)または第2のゲート電極13(G2)に電圧を印加したとき、p型チャネル層2内にn型エミッタ領域3とn型ドリフト層1dをつなぐ導通路(チャネル)が形成される最低の電圧をいう。
本実施形態では、図2に示すように、電力変換用スイッチング素子100をターンオフさせるときには、まず、第1のゲート電極6(G1)の駆動信号をしきい値電圧Vthより高い状態から低い状態へ変化させる(ターンオフさせる)。また、同時に、そのターンオフのタイミングに所定の時間(例えば、3μ秒)先行して、第2のゲート電極13(G2)の駆動信号を、しきい値電圧Vthより高い状態から低い状態へ変化させる(ターンオフさせる)。
以上のように、第1のゲート電極6(G1)および第2のゲート電極13(G2)それぞれを駆動する駆動信号において、ターンオフするタイミングを、所定の時間(例えば、3μ秒)ずらすことにより、電力変換用スイッチング素子100のターンオフ損失が低減されるという効果が得られる。この効果が得られる理由は、次のように説明することができる。
第1のゲート電極6(G1)の駆動信号の電圧がしきい値電圧Vthより高い状態のうちに、第2のゲート電極13(G2)の駆動信号の電圧を、しきい値電圧Vthよりも高い状態から低い状態へと変化させる(ターンオフさせる)と、第2のゲート電極13(G2)によってp型チャネル層2に生成されていたn型エミッタ領域3とn型ドリフト層1dとをつなぐチャネルが消滅する。そのため、その第2のゲート電極13(G2)側に形成されていたチャネルを介してn型ドリフト層1dへ電子が注入されなくなるので、それに応じて、p型コレクタ層4からn型ドリフト層1dへ注入されるホールの量が減少する。
このような状態にあるとき、第1のゲート電極6(G1)の駆動信号の電圧を、しきい値電圧Vthよりも高い状態から低い状態へと変化させる(ターンオフさせる)と、第1のゲート電極6(G1)側に形成されていたチャネルも消滅し、そのチャネルを介してのn型ドリフト層1dへの電子注入もされなくなる。その結果、電力変換用スイッチング素子100のスイッチング状態は、「オフ」状態となる。すなわち、電力変換用スイッチング素子100がターンオフする。
この場合、第1のゲート電極6(G1)の駆動信号の電圧を、しきい値電圧Vthよりも高い状態から低い状態へと変化させる(ターンオフさせる)ときには、n型ドリフト層1dに蓄積されているホールの量が減少しているので、その分、ホールの排出時間が短縮されることになる。その結果、電力変換用スイッチング素子100のターンオフ時間が短くなり、ターンオフ損失が低減する。
なお、第1のゲート電極6(G1)の駆動信号および第2のゲート電極13(G2)の駆動信号のそれぞれがターンオフするタイミングの時間差tが長くなると、オン電圧が増加する期間が長くなるので、導通損失が増加する。一方、その時間差tが短過ぎると、ターンオフ損失低減の効果が小さくなる。従って、十分なターンオフ損失低減の効果を得るには、時間差tは、3μs以上であることが望ましい。
図3は、電力変換用スイッチング素子100をターンオンさせるとき、第1のゲート電極6(G1)および第2のゲート電極13(G2)をそれぞれ駆動する駆動信号の駆動シーケンスの例を示した図である。ここでは、第1のゲート電極6(G1)および第2のゲート電極13(G2)のいずれにも、すでにしきい値電圧Vthより低い電圧が印加され、電力変換用スイッチング素子100のスイッチング状態が「オフ」状態であるとする。
本実施形態では、図3に示すように、電力変換用スイッチング素子100をターンオンさせるときには、まず、第1のゲート電極6(G1)の駆動信号をしきい値電圧Vthより低い状態から高い状態へ変化させる(ターンオンさせる)。また、同時に、そのターンオンのタイミングから所定の時間(例えば、3μ秒)遅延して、第2のゲート電極13(G2)の駆動信号を、しきい値電圧Vthより低い状態から高い状態へ変化させる(ターンオンさせる)。
以上のように、第1のゲート電極6(G1)および第2のゲート電極13(G2)それぞれを駆動する駆動信号において、ターンオンするタイミングを、所定の時間(例えば、3μ秒)ずらすことにより、電力変換用スイッチング素子100の出力電圧の時間変化率dv/dtの制御性が改善されるという効果が得られる。この効果が得られる理由は、次のように説明される。
すなわち、図3に示した制御シーケンスにおいては、第1のゲート電極6(G1)の駆動信号の電圧がしきい値電圧Vthを超えた(ターンオンした)とき、第2のゲート電極13(G2)の駆動信号の電圧は、未だ、しきい値電圧Vthよりも低い状態にあるので、第2のゲート電極13(G2)側には、n型エミッタ領域3とn型ドリフト層1dとをつなぐチャネルが形成されない。そのため、n型ドリフト層1dへの電子の注入は、第1のゲート電極6(G1)側に形成されたチャネルだけを介して行われることになるので、コレクタ電流の時間変化率dic/dtはあまり大きくならず、スイッチング速度が抑制される。その結果として、電力変換用スイッチング素子100の出力電圧の時間変化率dv/dtの制御性が改善される。
なお、第1のゲート電極6(G1)の駆動信号および第2のゲート電極13(G2)の駆動信号のそれぞれがターンオンするタイミングの時間差tが短過ぎると、出力電圧の時間変化率dv/dtの制御性を改善する効果が小さくなる。従って、その時間差tは、3μs以上であることが望ましい。
なお、図2の説明では、第1のゲート電極6(G1)の駆動信号のターンオフのタイミングに先行して、第2のゲート電極13(G2)の駆動信号がターンオフするとしたが、その順序は逆であってもよい。同様に、図3の説明では、第1のゲート電極6(G1)の駆動信号のターンオンのタイミングから遅延して、第2のゲート電極13(G2)の駆動信号がターンオンするとしたが、その順序は逆であってもよい。
図4は、電力変換用スイッチング素子100をターンオフさせるとき、第1のゲート電極6(G1)および第2のゲート電極13(G2)をそれぞれ駆動する駆動信号の駆動シーケンスの第2の例を示した図である。この駆動シーケンスが図2に示した駆動シーケンスと相違する点は、第2のゲート電極13(G2)の駆動信号のゲートをオフするときの電圧を負電圧(−Vcc)にすることである。
電力変換用スイッチング素子100をターンオフさせる場合に、第2のゲート電極13(G2)の駆動信号のゲートをオフするときの電圧を負電圧(−Vcc)にすると、第2のゲート電極13(G2)にゲート絶縁膜5を介して接するp型フローティング層15にp型の蓄積層が形成される。その結果、ターンオフ時のホールの排出が促進され、ターンオフ損失が低減される。
図5は、電力変換用スイッチング素子100をターンオンさせるとき、第1のゲート電極6(G1)および第2のゲート電極13(G2)をそれぞれ駆動する駆動信号の駆動シーケンスの第2の例を示した図である。この駆動シーケンスが図3に示した駆動シーケンスと相違する点は、第2のゲート電極13(G2)の駆動信号のゲートをオフするときの電圧を接地電位(Gnd)にすることである。
電力変換用スイッチング素子100をターンオンさせる場合に、第2のゲート電極13(G2)の駆動信号のゲートをオフするときの電圧を負電圧(−Vcc)まで下げると、第2のゲート電極13(G2)にゲート絶縁膜5を介して接するn型ドリフト層1dに、p型チャネル層2とp型フローティング層15とをつなぐチャネルが形成される。そのときには、ターンオン時のp型フローティング層15の電位変動によって、p型チャネル層2の電位も変動し、出力電圧の時間変化率dv/dtの制御性が悪化する。よって、図5に示す例では、第2のゲート電極13(G2)の駆動信号のゲートをオフするときの電圧は、接地電位(Gnd)にするものとした。なお、ここでは、接地電位(Gnd)は、エミッタ電極7の電位と同電位であるとする。
図6は、電力変換用スイッチング素子100の出力特性の例を示した図である。この例では、第1のゲート電極6(G1)の電圧Vg1を+15Vに固定しておき、第2のゲート電極13(G2)の電圧Vg2を+15V、0V、−15Vの3通りに変化させたときの出力特性を示している。図6から分かるように、第2のゲート電極13(G2)の電圧Vg2が+15Vのとき、オン電圧が最小となり、電圧Vg2が−15Vのとき、オン電圧が最大となる。
そこで、ここでは、電力変換用スイッチング素子100の導通時に、第2のゲート電極13(G2)の電圧Vg2を+15Vとすることで、そのオン電圧を低くし、また、ターンオフ時に、第2のゲート電極13(G2)の電圧Vg2を−15Vとすることで、オン電圧を高くする。この場合、図4で説明したように、ターンオフ損失が低減される。つまり、第2のゲート電極13(G2)の電圧Vg2を時間軸でダイナミックに制御することにより、オン電圧を低減し、ターンオフ損失が低減されるという効果が得られる。
図7は、本発明の実施形態の効果の例を示した図である。図7に示したオン電圧とターンオフ損失のトレードオフ曲線は、比較例のトレードオフ曲線である。
なお、ここでいう比較例とは、図1に示した電力変換用スイッチング素子100の第1のゲート電極6(G1)および第2のゲート電極13(G2)を、同じタイミングの駆動信号で駆動した場合をいう。また、本実施形態とは、図1に示した電力変換用スイッチング素子100の第1のゲート電極6(G1)および第2のゲート電極13(G2)を、図2で示した駆動信号で駆動した場合をいう。
図7に示した比較例のトレードオフ曲線において、黒色の四角印で表される各点のオン電圧およびターンオフ損失の値は、p型コレクタ層4の不純物濃度をパラメータとして変化させたときに得られるオン電圧およびターンオフ損失の値を表したものである。この比較例のトレードオフ曲線によれば、p型コレクタ層4の不純物濃度を高くすると、オン電圧は低くなるが、ターンオフ損失が大きくなり、また、p型コレクタ層4の不純物濃度を低くすると、オン電圧は高くなるが、ターンオフ損失が小さくなる。従って、この比較例のトレードオフ曲線からは、p型コレクタ層4の不純物濃度を変えるだけでは、オン電圧が低く、かつ、ターンオフ損失を小さくすることができないことが分かる。
一方、本実施形態では、p型コレクタ層4の不純物濃度が、比較例のトレードオフ曲線の最も左上にある黒色の四角印に対応するものであっても、そのターンオフ損失は、黒色の三角印が示す位置まで改善される。すなわち、本実施形態では、電力変換用スイッチング素子100において、オン電圧を低く、かつ、ターンオン損失を小さくすることができることが分かる。
さらに、拡張して判断すれば、図1に示した電力変換用スイッチング素子100の第1のゲート電極6(G1)および第2のゲート電極13(G2)のそれぞれの駆動信号を、独立に時間をずらして駆動制御することにより、比較例に比べ、オン電圧とターンオフ損失のトレードオフを大幅に改善することが可能ということができる。
図8は、本発明の実施形態の別の効果の例を示した図である。なお、図8いう比較例および本実施形態の意味は、図7の場合と同じである。
図8では、図7と相違し、比較例について、オン電圧とターンオフ損失のトレードオフ曲線が2本示されている。そのうち、黒色の四角印を含む実線で描かれているトレードオフ曲線は、図1に示した電力変換用スイッチング素子100における第1のゲート電極6(G1)と第2のゲート電極13(G2)との間隔aを3μmとしたときのトレードオフ曲線である。また、白色の四角印を含む破線で描かれているトレードオフ曲線は、図1に示した電力変換用スイッチング素子100における第1のゲート電極6(G1)と第2のゲート電極13(G2)との間隔aを1μmとしたときのトレードオフ曲線である。
図8の比較例のトレードオフ曲線によれば、第1のゲート電極6(G1)と第2のゲート電極13(G2)との間隔aを3μmから1μmに縮小した場合、オン電圧は低減するが、ターンオフ損失は増加する。そのため、トレードオフ曲線そのものは、あまり変わらない。これは、第1のゲート電極6(G1)と第2のゲート電極13(G2)との間隔aを縮小することで、ホール注入量が増加し,オン電圧は低下するが,注入されたホールがテール電流の増加を招き、ターンオフ損失が増加するためである。
一方、本実施形態では、第1のゲート電極6(G1)と第2のゲート電極13(G2)との間隔aを3μmから1μmに縮小すると、それぞれのオン電圧およびターンオフ損失は、図8の黒色の三角印で表される点から白色の三角印で表される点へ移動する。すなわち、第1のゲート電極6(G1)と第2のゲート電極13(G2)との間隔aの縮小により、オン電圧は低減し、ターンオフ損失が増加する。しかしながら、そのターンオフ損失の増加量は、比較例の場合に比べはるかに小さい。
従って、本実施形態の場合には、第1のゲート電極6(G1)と第2のゲート電極13(G2)との間隔aを3μmから1μmに縮小することにより、オン電圧とターンオフ損失のトレードオフが改善されることが分かる。
なお、このようなトレードオフの改善は、第1のゲート電極6(G1)と第2のゲート電極13(G2)との間隔aを1μmより小さくしても、同様に見られることから、本実施形態(図1に示した電力変換用スイッチング素子100)では、間隔aを1μm以下にするものとした。
図9は、図2〜図5に示した駆動信号の駆動シーケンスを実現する駆動回路のブロック構成の例を示した図である。図9では、図2〜図5に示したような2つの異なる駆動信号で駆動される電力変換用スイッチング素子100を、IGBT31および可変抵抗32によって表している。なお、可変抵抗32は、第2のゲート電極13によりn型ドリフト層1dにおけるホールの蓄積量という物理量を制御することを、回路的に表現したものである。
また、図9に示すように、ゲート駆動回路37は、マイコン36から出力される制御信号に基づき、図2〜図5に示したようなタイミングのずれた2つの駆動信号を生成する制御回路35と、制御回路35から出力される駆動信号の1つを受けて、スイッチング素子30を駆動する第1の駆動信号38および第2の駆動信号39をそれぞれ生成するバッファ回路33,34を含んで構成される。
すなわち、バッファ回路33から出力される駆動信号38は、IGBT31のゲート端子へ入力され、また、バッファ回路33から出力される駆動信号39は、IGBT31のゲート端子および可変抵抗32の抵抗制御端子へ入力される。なお、物理的には、駆動信号38は、第1のゲート電極6(G1)に接続され、駆動信号39は、第2のゲート電極13(G2)に接続される。
図10は、本発明の第1の実施形態に係る電力変換用スイッチング素子の構造の第1の変形例を示した図である。図1に示した電力変換用スイッチング素子100では、第1のゲート電極6(G1)および第2のゲート電極13(G2)のそれぞれを駆動する駆動信号を入力するために、2つの独立したゲート端子(図1では、図示省略)が必要である。
そこで、第1の変形例に係る電力変換用スイッチング素子101では、2つの独立したゲート端子を1つにまとめる。そして、この1つにまとめたゲート端子から第2のゲート電極13(G2)を駆動する駆動信号を入力し、さらに、その駆動信号を抵抗20によって遅延させた駆動信号を第1のゲート電極6(G1)へ入力する。
こうすることにより、電力変換用スイッチング素子101のターンオンおよびターンオフ時にそのタイミングがずれた駆動信号を、第1のゲート電極6(G1)および第2のゲート電極13(G2)のそれぞれに供給することができる。よって、この第1の変形例に係る電力変換用スイッチング素子101においても、出力電圧の時間変化率dv/dtの制御性を改善するとともに、ターンオフ損失を低減するという効果を得ることができる。
また、この変形例では、抵抗20を、電力変換用スイッチング素子101という半導体装置の中に埋め込んで実現することができるので、外部に設けるゲート駆動回路37を簡単化することが可能となる。従って、電力変換用スイッチング素子101を用いたインバータなどの電力変換装置の低コスト化が可能になる。
図11は、本発明の第1の実施形態に係る電力変換用スイッチング素子の構造の第2の変形例を示した図である。この第2の変形例に係る電力変換用スイッチング素子102では、第1の変形例と同様に、2つの独立したゲート端子を1つにまとめる。そして、この1つにまとめたゲート端子から第2のゲート電極13(G2)を駆動する駆動信号を入力し、さらに、その駆動信号を抵抗20およびコンデンサ21によって遅延させた駆動信号を第1のゲート電極6(G1)へ入力する。
以上の通り、電力変換用スイッチング素子102における第1のゲート電極6(G1)および第2のゲート電極13(G2)を駆動する仕組みは、第1の変形例と同じである。
また、コンデンサ21も抵抗20と同様に電力変換用スイッチング素子102という半導体装置の中に埋め込んで実現することができる。従って、第2の変形例に係る電力変換用スイッチング素子102でも、第1の変形例に係る電力変換用スイッチング素子101と同様の効果を得ることができる。
図12は、本発明の第1の実施形態に係る電力変換用スイッチング素子の構造の第3の変形例を示した図であり、(a)は、断面図の例、(b)は、平面配置図の例である。なお、図12(a)に示した断面図は、図12(b)の平面配置図における一点鎖線A−A’部分に対応する断面図である。
図12に示した電力変換用スイッチング素子103が、図1に示した電力変換用スイッチング素子100と相違する点は、第1のゲート電極6(G1)および第2のゲート電極13(G2)の組の繰り返し配置の仕方にある。すなわち、図1の電力変換用スイッチング素子100では、第1のゲート電極6(G1)および第2のゲート電極13(G2)の組は、(G1−G2)−(G1−G2)−・・・というように平行移動されつつ、繰り返し配置されている。一方、図12の電力変換用スイッチング素子103では、第1のゲート電極6(G1)および第2のゲート電極13(G2)の組は、(G1−G2)−(G2−G1)−・・・というように互いにその位置が反転されつつ、繰り返し配置されている。
電力変換用スイッチング素子103において、このように第1のゲート電極6(G1)および第2のゲート電極13(G2)の組が、互いにその位置を反転させながら繰り返し配置されたとしても、これらの第1のゲート電極6(G1)および第2のゲート電極13(G2)を、図2〜図5に示した駆動信号で駆動する場合には、図1に示した電力変換用スイッチング素子100と同様の効果が得られることは、これまでの説明から明らかである。
また、第3の変形例の場合には、p型フローティング層15側を介しては、同じ第1のゲート電極6または第2のゲート電極13同士が隣接する。従って、図12(b)に示すように、そのゲート電極6,13を上部の金属配線40,41に接続する領域において、隣接する第1のゲート電極6または第2のゲート電極13同士をつなげることができる。従って、ゲート電極6,13と金属配線40,41とをそれぞれ接続する領域における、それぞれのゲート電極領域の面積を大きくすることができるので、そのゲート電極領域には、ゲート電極6,13と金属配線40,41とを接続するコンタクトホール42をより多く設けることができる。よって、そのコンタクト抵抗や、ゲート電極領域の抵抗を低減することができる。
従って、この第3の変形例に係る電力変換用スイッチング素子103では、第1のゲート電極6(G1)および第2のゲート電極13(G2)へは、より安定した駆動信号が入力されることになる。
(第2の実施形態)
図13は、本発明の第2の実施形態に係る電力変換用スイッチング素子110の構造の例を模式的に示した図である。
図13に示すように、第2の実施形態に係る電力変換用スイッチング素子110の構造は、図1に示した第1の実施形態に係る電力変換用スイッチング素子100の構造とほとんど同じであるが、第2の実施形態に係る電力変換用スイッチング素子110では、p型コレクタ層4とn型ドリフト層1dとの界面に、n型バッファ層14が設けられている点で相違する。
n型バッファ層14は、電力変換用スイッチング素子110がオフした状態において、p型チャネル層2およびp型フローティング層15とn型ドリフト層1dの界面部から、n型ドリフト層1dに向かって伸びる空乏層がp型コレクタ層4に到達することを防ぐ役割がある。このn型バッファ層14の不純物濃度は、n型ドリフト層1dよりも高く形成される。
そして、この第2の実施形態においても、第1のゲート電極6(G1)および第2のゲート電極13(G2)を、図2〜図5に示した駆動信号を用いて、時間をずらして駆動する。従って、この場合にも、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、電力変換用スイッチング素子110でもターンオフ損失が低減され、出力電圧の時間変化率dv/dtの制御性が改善される。
(第3の実施形態)
図14は、本発明の第3の実施形態に係る電力変換用スイッチング素子120の構造の例を模式的に示した図である。
図14に示すように、第3の実施形態に係る電力変換用スイッチング素子120の構造は、図1に示した第1の実施形態に係る電力変換用スイッチング素子100の構造とほとんど同じであるが、第3の実施形態に係る電力変換用スイッチング素子120では、p型チャネル層2とn型ドリフト層1dの界面に、n型ホールバリア層10が設けられている点で相違する。
n型ホールバリア層10は、p型コレクタ層4から注入されるホールを堰き止め、n型ドリフト層1dの抵抗を低減する役割を担う。
そして、この第3の実施形態においても、第1のゲート電極6(G1)および第2のゲート電極13(G2)を、図2〜図5に示した駆動信号を用いて、時間をずらして駆動する。従って、この場合にも、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、電力変換用スイッチング素子140でもターンオフ損失が低減され、出力電圧の時間変化率dv/dtの制御性が改善される。
(第4の実施形態)
図15は、本発明の第4の実施形態に係る電力変換用スイッチング素子130の構造の例を模式的に示した図である。
図15に示すように、第4の実施形態に係る電力変換用スイッチング素子130の構造は、図1に示した第1の実施形態に係る電力変換用スイッチング素子100の構造とほとんど同じであるが、第3の実施形態に係る電力変換用スイッチング素子130では、第1の実施形態に係る電力変換用スイッチング素子100で設けられているp型フローティング層15が設けられていない点で相違する。
そして、この第4の実施形態においても、第1のゲート電極6(G1)および第2のゲート電極13(G2)を、図2〜図5に示した駆動信号を用いて、時間をずらして駆動する。その場合には、第1の実施形態の場合と同様に、ターンオフ損失が低減され、出力電圧の時間変化率dv/dtの制御性が改善される。なお、出力電圧の時間変化率dv/dtの制御性が改善される理由は、ターンオン時に第2のゲート電極13(G2)にしきい値以下の電圧を印加することで、コレクタ電流の時間変化率dic/dtが低下し、スイッチング速度が抑制されるからである。
(第5の実施形態)
図16は、本発明の第5の実施形態に係る電力変換用スイッチング素子140の構造の例を模式的に示した図である。
図15に示すように、第5の実施形態に係る電力変換用スイッチング素子140では、n型の半導体基板1の表面側に、トレンチ型の第1のゲート電極6(G1)および第2のゲート電極13(G2)がほぼ等間隔に配置されている。そして、そのトレンチ型の第1のゲート電極6(G1)および第2のゲート電極13(G2)の間のn型の半導体基板1には、p型コレクタ層4、n型エミッタ領域3およびp型エミッタ領域12が形成され、さらに、そのn型エミッタ領域3およびp型エミッタ領域12は、その上部の表面側に設けられたエミッタ電極7に接続されている。なお、本実施形態では、第1の実施形態に係る電力変換用スイッチング素子100でいうp型フローティング層15に対応する層または領域は、設けられていない。
また、電力変換用スイッチング素子140の裏面側のn型の半導体基板1には、p型コレクタ層4が形成され、p型コレクタ層4は、コレクタ電極8に接続されている。
そして、この第5の実施形態においても、第1のゲート電極6(G1)および第2のゲート電極13(G2)を、図2〜図5に示した駆動信号を用いて、時間をずらして駆動する。その場合には、第1の実施形態の場合と同様に、ターンオフ損失が低減され、出力電圧の時間変化率dv/dtの制御性が改善される。なお、出力電圧の時間変化率dv/dtの制御性が改善される理由は、第4の実施形態の場合と同様に、ターンオン時に第2のゲート電極13(G2)にしきい値以下の電圧を印加することで、コレクタ電流の時間変化率dic/dtが低下し、スイッチング速度が抑制されるからである。
(第6の実施形態)
図17は、本発明の第6の実施形態に係る電力変換用スイッチング素子150の構造の例を模式的に示した図である。
図15に示すように、第5の実施形態に係る電力変換用スイッチング素子150では、n型の半導体基板1の表面側に、プレーナ型の第1のゲート電極6(G1)および第2のゲート電極13(G2)がほぼ等間隔に配置されている。そして、そのトレンチ型の第1のゲート電極6(G1)および第2のゲート電極13(G2)の間のn型の半導体基板1には、p型コレクタ層4、n型エミッタ領域3およびp型エミッタ領域12が形成され、さらに、そのn型エミッタ領域3およびp型エミッタ領域12は、その上部の表面側に設けられたエミッタ電極7に接続されている。なお、本実施形態では、第1の実施形態に係る電力変換用スイッチング素子100でいうp型フローティング層15に対応するそうまたは領域は、設けられていない。
また、電力変換用スイッチング素子140の裏面側のn型の半導体基板1には、p型コレクタ層4が形成され、p型コレクタ層4は、コレクタ電極8に接続されている。
そして、この第6の実施形態においても、第1のゲート電極6(G1)および第2のゲート電極13(G2)を、図2〜図5に示した駆動信号を用いて、時間をずらして駆動する。その場合には、第1の実施形態の場合と同様に、ターンオフ損失が低減され、出力電圧の時間変化率dv/dtの制御性が改善される。なお、出力電圧の時間変化率dv/dtの制御性が改善される理由は、第4の実施形態の場合と同様に、ターンオン時に第2のゲート電極13(G2)にしきい値以下の電圧を印加することで、コレクタ電流の時間変化率dic/dtが低下し、スイッチング速度が抑制されるからである。
(第7の実施形態)
図18は、本発明の第1〜第6の実施形態に係る電力変換用スイッチング素子100,110,120,130,140,150を適用した電力変換装置1000の回路構成の例を示した図である。このような電力変換装置1000は、一般にはインバータ装置と呼ばれ、例えば、直流電源960からの電気エネルギーを所望の周波数の交流電流に変換し、モータ950の回転数を可変速制御する用途などに用いられている。
図18に示すように、直流電源960の正極は、電力変換装置1000のP端子900に接続され、負極は、N端子901に接続される。また、U端子910、V端子911、W端子912からは、3相の交流電流が出力され、モータ950に接続される。
P端子900とN端子901との間には、2つの電力変換用スイッチング素子700が直列に接続された回路が並列に3回路設けられている。そして、そのそれぞれの回路における2つの電力変換用スイッチング素子700を直列に接続する接続点は、それぞれ、U端子910、V端子911、W端子912に接続されている。なお、ここでいう電力変換用スイッチング素子700は、第1〜第6の実施形態に係る電力変換用スイッチング素子100,110,120,130,140,150のいずれかを指す。
ここで、いわゆる上アーム側の電力変換用スイッチング素子700は、そのそれぞれのコレクタ電極8がP端子900に接続され、エミッタ電極7がU端子910、V端子911、W端子912に接続される。また、いわゆる下アーム側の電力変換用スイッチング素子700は、そのそれぞれのエミッタ電極7がN端子901に接続され、コレクタ電極8がU端子910、V端子911、W端子912に接続される。
そして、それぞれのゲート駆動回路800によってそれぞれの電力変換用スイッチング素子700のオン・オフのタイミングの位相を変えて制御することにより、U端子910、V端子911、W端子912からは、3相の交流電流が出力される。なお、ここでいうゲート駆動回路800は、図9に示したゲート駆動回路37に対応する。
さらに、それぞれの電力変換用スイッチング素子700には、フライホイールダイオード600が逆並列に接続されている。フライホイールダイオード600は、例えば、上アーム側の電力変換用スイッチング素子700がオフした場合、その電力変換用スイッチング素子700に流れていた電流を、下アーム側の電力変換用スイッチング素子700と逆並列に接続されたフライホイールダイオード600に転流させることで、モータ950のコイルに貯まっているエネルギーを開放する。また、下アーム側の電力変換用スイッチング素子700がオフした場合も同様である。
以上のように構成された電力変換装置1000では、それぞれの電力変換用スイッチング素子700の導通時に導通損失を発生し、オン・オフ時にスイッチング損失を発生するが、本実施形態では、電力変換用スイッチング素子700として、第1〜第6の実施形態で説明した電力変換用スイッチング素子100,110,120,130,140,150が用いられるので、電力変換装置1000としての導通損失およびスイッチング損失が低減される。
なお、図18に示した電力変換装置1000の構成は、一例であって、2相の交流電流を出力するものなどであっても、また、交流電流を直流電流に変換するものであっても、本実施形態と同様の効果が得られる。
また、本明細書では、電力変換用スイッチング素子100,110,120,130,140,150におけるゲート部分にn型チャネルのMOSFETを用いたが、p型チャネルのMOSFETであってもよい。
なお、本発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものでなく、さらに様々な変形例が含まれる。例えば、前記の実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために、詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成の一部で置き換えることが可能であり、さらに、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成の一部または全部を加えることも可能である。
1 n型の半導体基板(第1導電型の半導体基板)
1d n型ドリフト層(第1導電型半導体層)
2 p型チャネル層(第2導電型チャネル層)
3 n型エミッタ領域(第1導電型エミッタ領域)
4 p型コレクタ層(第2導電型コレクタ層)
5 ゲート絶縁膜
6 第1のゲート電極(G1)
7 エミッタ電極
8 コレクタ電極
10 n型ホールバリア層(第1導電型のホールバリア層)
12 p型エミッタ領域
13 第2のゲート電極(G2)
14 n型バッファ層(第1導電型のバッファ層)
15 p型フローティング層
16 層間絶縁膜
21 抵抗
22 コンデンサ
31 IGBT
32 可変抵抗
33,34 バッファ回路
35 制御回路
36 マイコン
37 ゲート駆動回路
40 第1の金属配線
41 第2の金属配線
42 コンタクトホール
100,101,102.103 電力変換用スイッチング素子
110,120,130,140,150 電力変換用スイッチング素子
600 フライホイールダイオード(ダイオード)
700 電力変換用スイッチング素子
800 ゲート駆動回路
900 P端子
901 N端子
910 U端子
911 V端子
912 W端子
950 モータ
960 直流電源

Claims (1)

  1. 半導体基板に形成された第1導電型の半導体層と、
    前記半導体基板の第1表面側に形成された複数のトレンチの互いに隣接する2つずつのトレンチのそれぞれに、前記第1導電型の半導体層とゲート絶縁膜を介して接するように設けられた第1のゲート電極および第2のゲート電極からなるゲート電極の組と、
    前記ゲート電極の組の同じ組に属する前記第1のゲート電極および前記第2のゲート電極の間に挟まれた前記半導体基板の前記第1表面側に、前記ゲート絶縁膜を介して形成された第2導電型のチャネル層と、
    前記チャネル層の表面の一部に、前記第1のゲート電極および前記第2のゲート電極のそれぞれに前記ゲート絶縁膜を介して接するように形成された第1導電型のエミッタ領域と、
    前記第1導電型のエミッタ領域および前記第2導電型のチャネル層が電気的に接続されたエミッタ電極と、
    前記第1導電型の半導体層に接し、前記半導体基板の第2表面側に形成された第2導電型のコレクタ層と、
    前記第2導電型のコレクタ層に電気的に接続されたコレクタ電極と、
    を備えた電力変換用スイッチング素子であって、
    前記同じ組に属する前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極との間隔をaとし、前記互いに異なる組に属し、互いに隣接する2つのゲート電極同士の間隔をbとして、それぞれのゲート電極は、b>aを満たすように配置されており、
    前記第1のゲート電極および前記第2のゲート電極には、駆動タイミングに時間差のある第1の駆動信号および第2の駆動信号がそれぞれ供給され、
    前記ゲート電極の組の異なる組に属し、互いに隣接する2つの前記第1のゲート電極には、同じ駆動タイミングの前記第1の駆動信号が供給され、
    前記ゲート電極の組の異なる組に属し、互いに隣接する2つの前記第2のゲート電極には、同じ駆動タイミングの前記第2の駆動信号が供給され、
    前記時間差は、前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極との両方に時間差なく同じタイミングで駆動信号が供給される場合に比べて、前記電力変換用スイッチング素子のターンオン時のスイッチング速度を抑制する時間差である
    ことを特徴とする電力変換用スイッチング素子。
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