JP2017143021A - 防水コネクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】電線が振られた場合でも十分なシール性能を維持する。【解決手段】防水コネクタCは、端子(雌端子)が接続された電線Wと、端子を収容可能なキャビティが形成されたハウジング(雌ハウジング)と、キャビティと対応して貫通孔32が形成されハウジングの後面に配されるゴム栓(一括ゴム栓30)とを備えた防水コネクタであって、ゴム栓は、電線Wが挿通される貫通孔32を有し、貫通孔32の内壁には、電線Wの外周面に密着する前後一対の内周リップ33,34が設けられ、前側の内周リップ33の中心と後側の内周リップ34の中心とは、電線Wの挿通方向と交差する方向にずれて配されている構成とした。【選択図】図13

Description

本明細書によって開示される技術は、防水コネクタに関する。
従来、コネクタハウジングの内部をシールする弾性シール部材として、例えば特開2013−171704号公報(下記特許文献1)に記載のものが知られている。この弾性シール部材は、ゴム材等の弾性材からなり、複数の端子挿通孔を有するシール本体部を備えている。端子挿通孔には、電線付き端子が挿通されるようになっており、端子挿通孔の内部には、筒状電線密着部が設けられている。筒状電線密着部は、電線の外周面に密着する円弧状密着部が軸方向に並んで一対設けられている。一対の円弧状密着部は、弾性支持部によって支持されており、弾性支持部の前側と後側にそれぞれ一つずつ配されている。電線が振られた場合には、各円弧状密着部が弾性支持部を中心としてシーソー状に弾性変位することで電線の動きに追従するようになっている。
特開2013−171704号公報
しかしながら、上記の弾性シール部材は、一対の円弧状密着部が端子挿通孔の内壁に対して弾性支持部を介して連結されているため、電線付き端子を端子挿通孔に挿通する際に、端子の先端が弾性支持部に突き当たるなどして弾性支持部に亀裂が入ることでシール性能が低下するおそれがある。
本明細書によって開示される防水コネクタは、端子が接続された電線と、前記端子を収容可能なキャビティが形成されたハウジングと、前記キャビティと対応して貫通孔が形成され前記ハウジングの後面に配されるゴム栓とを備えた防水コネクタであって、前記ゴム栓は、前記電線が挿通される貫通孔を有し、前記貫通孔の内壁には、前記電線の外周面に密着する前後一対の内周リップが設けられ、前側の前記内周リップの中心と後側の前記内周リップの中心とは、前記電線の挿通方向と交差する方向にずれて配されている構成とした。
このような構成によると、電線が振られた場合でも、いずれか一方の内周リップが必ず電線の外周面に密着することになるため、シール性能を発揮することができる。すなわち、電線が振られた場合に、その電線の外周面に密着する位置に内周リップを設けているから、電線の外周面による内周リップの潰し量が少なくなることはなく、十分なシール性能が維持される。
本明細書によって開示される防水コネクタは、以下の構成としてもよい。
前側の前記内周リップと後側の前記内周リップとの間には、段差を有する中間リップが設けられており、前記段差は、前側の前記内周リップの後端から後方に延びる前側水平面と、後側の前記内周リップの前端から前方に延びる後側水平面との間に設けられている構成としてもよい。
このような構成によると、中間リップによってもシール性能を発揮することができる。例えば、電線が振られていない状態では、振られている状態と比較して前側の内周リップと後側の内周リップとの潰し量がかえって小さくなることが考えられる。その場合にも、中間リップによってシール性能を維持することができる。
また、前側の内周リップの中心と後側の内周リップの中心とが一致する構成では、前側の内周リップと後側の内周リップとの間に位置する溝の最深部で金型を前後に割ることにした場合、溝の最深部が合わせ面の位置となり、鋭角状の角部が形成されてしまうため、金型が合わせ面の位置で破損しやすくなる。その点、上記の構成によると、前側の内周リップと後側の内周リップとの間に段差を有する中間リップが設けられ、かつ、段差の前後に水平面が設けられているため、段差の位置を合わせ面に設定した場合、水平面を成形する部分と段差を成形する部分との角部がほぼ直角に形成されることになる。したがって、金型が合わせ面の位置で破損しにくくなる。
前記前側水平面と前記後側水平面は、互いに平行で、かつ、前記段差とは直交する配置とされている構成としてもよい。
このような構成によると、金型の合わせ面に位置する角部が直角になるため、金型の破損をより確実に防ぐことができる。
本明細書によって開示される防水コネクタによれば、電線が振られた場合でも十分なシール性能を維持することができる。
防水コネクタの斜視図 防水コネクタの正面図 防水コネクタの背面図 一括ゴム栓を斜め前方から見た斜視図 一括ゴム栓を斜め後方から見た斜視図 一括ゴム栓の側面図 一括ゴム栓の正面図 一括ゴム栓の背面図 図8におけるB−B線断面図 図9における一部拡大断面図 図2におけるA−A線断面図において雌端子を挿入する前の状態を示した断面図 図11の状態から雌端子を挿入した状態を示した断面図 図12における一部拡大断面図 図13における電線が上方に振られた場合を示した断面図 図13における電線が下方に振られた場合を示した断面図
<実施形態>
実施形態を図1から図15の図面を参照しながら説明する。本実施形態の防水コネクタCは、図12に示すように、電線Wの端末に接続された雌端子10と、雌端子10を収容可能なキャビティ24が複数形成された雌ハウジング20と、各キャビティ24と対応して複数の貫通孔32が形成され雌ハウジング20の後面に配される一括ゴム栓30と、各貫通孔32と対応して複数の挿通孔41が形成され一括ゴム栓30を後方から抜け止めするリアホルダ40と、を備えて構成されている。雌ハウジング20には、相手の雄ハウジング(図示せず)との間の嵌合力を助勢するためのレバー26が装着されている。
雌端子10は、導電性に優れた金属板をプレス加工して形成され、図12に示すように、角筒状をなす本体部11の後方にバレル12が設けられた構造であって、バレル12が電線Wの端末にかしめられることで接続されている。本体部11には、相手の雄端子(図示せず)のタブが前方から挿入可能であり、本体部11内にはタブに弾性接触する弾性接触片(図示せず)が設けられている。
雌端子10の本体部11の上面における前端寄りの位置には、キャビティ24の内壁に設けられたランス25に係止する係止突部13が突出形成されている。また、本体部11の上面における後端位置には、雌端子10の逆挿入防止用のスタビライザ14が上方に突出して設けられている。
雌ハウジング20は合成樹脂製であって2ピースから構成されており、図1から図3に示すように、全体として略方形のブロック状をなし、前側部分が端子収容部21とされているとともに、後側部分が後面開口の収容凹部22とされている。収容凹部22内には、後記するように、一括ゴム栓30とリアホルダ40とが収容されるようになっている。
端子収容部21には、上記した電線Wの端末に圧着された雌端子10を収容するべく前後方向を向いたキャビティ24が、複数個(図示8個)ずつ4段に亘って整列して形成されている。各キャビティ24の上面における前端寄りの位置には、雌端子10の本体部11の係止突部13に一次係止するランス25が形成されている。
端子収容部21におけるランス25の形成位置の後方位置には、リテーナ27が上方から挿入されるリテーナ挿入孔28が設けられている。リテーナ27は、図11に示すように、雌端子10が挿入される前には、雌端子10の進入を許容する仮係止位置に保持され、図12に示すように、雌端子10が正規位置に挿入された後には、本係止位置に押し込まれて雌端子10に二次係止して抜け止めを図るようになっている。
雌ハウジング20の後側部分には、既述したように、一括ゴム栓30とリアホルダ40とが収容される収容凹部22が形成されている。収容凹部22は、図3に示すように、背面視で四隅に丸みが付けられた略方形状をなしている。一括ゴム栓30は、図4から図8に示すように、収容凹部22の奥側に緊密に嵌合される略方形の厚板状に形成されている。一括ゴム栓30の外周には、2条の外周リップ31が形成されている。
一括ゴム栓30には、複数の貫通孔32が、上記した各キャビティ24と対応した配列において、前後に貫通した形態で形成されている。図9に示すように、各貫通孔32の長さ方向の中央部には、図示2条の内周リップ33、34が形成されている。以下、前側に位置する内周リップを前側内周リップ33とし、後側に位置する内周リップを後側内周リップ34とする。各内周リップ33、34は、挿通された電線Wの外周面に弾性的に密着可能となっている。また、各内周リップ33、34の内径(開口径)は同じとされている。各貫通孔32の前後両端部の内面は、前方または後方に向けて次第に拡径したテーパ状に形成されている。
リアホルダ40は合成樹脂製であって、図12に示すように、収容凹部22の開口側に略緊密に嵌合可能となっている。上記の一括ゴム栓30とリアホルダ40とが前後に重ねられた場合の厚さが収容凹部22の奥行きに相当する。言い換えると、一括ゴム栓30とリアホルダ40とが前後に重なった形態で、収容凹部22内にほぼすっぽりと嵌って収容可能となっている。
リアホルダ40には、雌端子10を挿入可能な複数の挿通孔41が、一括ゴム栓30の各貫通孔32に対応した配列において、前後に貫通した形態で形成されている。各挿通孔41は基本的には、雌端子10の本体部11(係止突部13とスタビライザ14とを含む)が干渉することなく挿通可能な断面形状を備えている。
リアホルダ40の左右両側面には、図1に示すように、上下2個ずつのロック突部42が突出形成されているとともに、収容凹部22の左右の側壁には、リアホルダ40が一括ゴム栓30の後面に重なる正規位置まで押し込まれたところでロック突部42が嵌って係止するロック孔23が形成されている。
リアホルダ40の前面には、一括ゴム栓30において後方に開口して設けられた圧縮孔38に圧入される圧縮ピン43が設けられている。全ての雌端子10を各キャビティ24に収容した後、リアホルダ40を一括ゴム栓30に組み付けると、各圧縮ピン43が各圧縮孔38に圧入され、一括ゴム栓30を圧縮することになる。これにより、各貫通孔32の内周面が各電線Wの外周面に強く押し当てられて密着し、高いシール性能が得られるようになっている。
さて、本実施形態における一括ゴム栓30は、図10に示すように、前側内周リップ33の中心よりも後側内周リップ34の中心の方が上方に位置するようにずれて配されている。前側内周リップ33と後側内周リップ34の間には、段差35をそれぞれ有する上下一対の中間リップ39が設けられている。段差35は、電線Wの貫通孔32への挿通方向と直交する方向に延びる垂直面として構成されている。
前側内周リップ33の後端33Aには、段差35の下端35Lに向けて後方に延びる形態で、かつ、周方向に延びる形態をなす前側水平面36が周設されている。また、後側内周リップ34の前端34Aには、段差35の上端35Uに向けて前方に延びる形態で、かつ、周方向に延びる形態をなす後側水平面37が周設されている。さらに、前側水平面36と後側水平面37は、互いに平行で、かつ、段差35とは直交する配置とされている。
一括ゴム栓30は、前後一対の金型によって成形されており、前後一対の金型は、段差35の位置で分割されている。したがって、下側の段差35は、前側の金型の合わせ面によって成形され、上側の段差35は、後側の金型の合わせ面によって成形されている。さらに、前側の金型の合わせ面の位置に直角の角部が設けられ、後側の金型の合わせ面の位置にも直角の角部が設けられることになる。これにより、合わせ面の位置に鋭角の角部が設けられた金型よりも破損しにくい金型にすることができる。
段差35の上下寸法は、前側内周リップ33の中心と後側内周リップ34の中心とのずれ量(前側内周リップ33の軸心と後側内周リップ34の軸心との間の距離)と一致している。つまり、後側内周リップ34は、段差35の上下寸法分だけ前側内周リップ33よりも上方に変位した位置に配されている。また、図13に示すように、電線Wが貫通孔32に挿通された状態で、前側内周リップ33と後側内周リップ34と中間リップ39の計3箇所で電線Wの外周面に密着した状態となるように段差35の上下寸法が設定されている。
図14に示すように、電線Wが上方に振られた場合、前側内周リップ33と下側の段差35においては電線Wの外周面との当たりが局所的に弱くなるものの、後側内周リップ34においては電線Wの外周面と全周に亘って密着しているため、高いシール性能が維持される。一方、図15に示すように、電線Wが下方に振られた場合、後側内周リップ34と上側の段差35においては電線Wの外周面との当たりが局所的に弱くなるものの、前側内周リップ33においては電線Wの外周面と全周に亘って密着しているため、やはり高いシール性能が維持される。
以上のように本実施形態では、電線Wが振られた場合でも、前側内周リップ33と後側内周リップ34のうち、いずれか一方の内周リップが必ず電線Wの外周面に密着することになるため、シール性能を発揮することができる。すなわち、電線Wが振られた場合に、その電線Wの外周面に密着する位置に内周リップを設けているから、電線Wの外周面による内周リップの潰し量が少なくなることはなく、十分なシール性能が維持される。
前側内周リップ33と後側内周リップ34との間には、段差35を有する中間リップ39が設けられており、段差35は、前側内周リップ33の後端33Aから後方に延びる前側水平面36と、後側内周リップ34の前端34Aから前方に延びる後側水平面37との間に設けられている構成としてもよい。
このような構成によると、中間リップ39によってもシール性能を発揮することができる。例えば、電線Wが振られていない状態では、振られている状態と比較して前側内周リップ33と後側内周リップ34との潰し量がかえって小さくなることが考えられる。その場合にも、中間リップ39によってシール性能を維持することができる。
また、前側内周リップの中心と後側内周リップの中心とが一致する構成では、前側内周リップと後側内周リップの間に位置する溝の最深部で金型を前後に割ることにした場合、溝の最深部が合わせ面の位置となり、鋭角状の角部が形成されてしまうため、金型が合わせ面の位置で破損しやすくなる。その点、上記の構成によると、前側内周リップ33と後側内周リップ34の間に段差35を有する中間リップ39が設けられ、かつ、段差35の前後に水平面36、37が設けられているため、段差35の位置を合わせ面に設定した場合、水平面36、37を成形する部分と段差35を成形する部分との角部がほぼ直角に形成されることになる。したがって、金型が合わせ面の位置で破損しにくくなる。
前側水平面36と後側水平面37は、互いに平行で、かつ、段差35とは直交する配置とされている構成としてもよい。
このような構成によると、金型の合わせ面に位置する角部が直角になるため、金型の破損をより確実に防ぐことができる。
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
(1)上記実施形態では前側内周リップ33の中心と後側内周リップ34の中心とを上下方向にずらして配したものを例示しているものの、ずらす方向は上下方向のみならず、左右方向でもよい。要するに、電線Wが振られる方向が予め決まっている場合には、電線Wが振られる方向に前側内周リップと後側内周リップとをずらして配したものとすればよい。
(2)上記実施形態では前側内周リップ33の内径と後側内周リップ34の内径とが一致しているものの、前側内周リップの内径と後側内周リップの内径とを異なるものとしてもよい。
(3)上記実施形態では前側内周リップ33と後側内周リップ34との間に、段差35を有する中間リップ39を設けているものの、段差を設けることなく前側内周リップ33の後端33Aと後側内周リップ34の前端34Aとをテーパ状に連結してもよい。
(4)上記実施形態では段差35の位置を合わせ面とする前後一対の金型を例示しているものの、合わせ面のない単一の金型によって一括ゴム栓を成形してもよい。
10…雌端子
20…雌ハウジング
24…キャビティ
30…一括ゴム栓
32…貫通孔
33…前側内周リップ
33A…後端
34…後側内周リップ
34A…前端
35…段差
36…前側水平面
37…後側水平面
39…中間リップ
C…防水コネクタ
W…電線

Claims (3)

  1. 端子が接続された電線と、
    前記端子を収容可能なキャビティが形成されたハウジングと、
    前記キャビティと対応して貫通孔が形成され前記ハウジングの後面に配されるゴム栓とを備えた防水コネクタであって、
    前記ゴム栓は、前記電線が挿通される貫通孔を有し、前記貫通孔の内壁には、前記電線の外周面に密着する前後一対の内周リップが設けられ、前側の前記内周リップの中心と後側の前記内周リップの中心とは、前記電線の挿通方向と交差する方向にずれて配されている防水コネクタ。
  2. 前側の前記内周リップと後側の前記内周リップとの間には、段差を有する中間リップが設けられており、前記段差は、前記前側内周リップの後端から後方に延びる前側水平面と、前記後側内周リップの前端から前方に延びる後側水平面との間に設けられている請求項1に記載の防水コネクタ。
  3. 前記前側水平面と前記後側水平面は、互いに平行で、かつ、前記段差とは直交する配置とされている請求項2に記載の防水コネクタ。
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