JP2017142925A - 電極複合体、電極複合体の製造方法、電池、および電池の製造方法 - Google Patents

電極複合体、電極複合体の製造方法、電池、および電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電池容量を増やすことが容易で、リチウムイオン伝導性が向上する電極複合体、電極複合体の製造方法、電池、および電池の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の電極複合体10は、複合化された正極活物質層2および固体電解質層3と、耐リチウム還元層6とを有し、固体電解質層3および耐リチウム還元層6が、リチウム、ホウ素、炭素、酸素を含み、固体電解質層3における、ホウ素に対する炭素のモル比AC/Bと、耐リチウム還元層6における、ホウ素に対する炭素のモル比BC/Bとが、下記式(1)、(2)、(3)の関係を満たすことを特徴とする。
C/B<BC/B ・・・(1)
0.25<AC/B<49 ・・・(2)
1.0<BC/B<99 ・・・(3)
【選択図】図1

Description

本発明は、電極複合体、電極複合体の製造方法、電池、および電池の製造方法に関する。
従来、正極活物質層を有する複合正極と、負極活物質層を有する複合負極と、正極活物質層および負極活物質層の間に高分子電解質層と、を有するポリマー電池が知られていた(特許文献1)。
上記特許文献1には、正極または負極に電解質材料と架橋剤とを含む溶液を塗布し、電子線の照射などによって架橋反応を促進して、高分子電解質層を形成するポリマー電池の製造方法が提案されている。
特開2001−332299号公報
しかしながら、特許文献1に記載の製造方法によるポリマー電池では、電池容量を増やしにくいという課題があった。詳しくは、電解質材料としてリチウム無機塩を有機溶剤に溶解させた溶液を用いて高分子電解質層を形成するため、リチウム無機塩の混合量(含有量)には制約がある。すなわち、有機溶剤におけるリチウム無機塩の飽和溶解度を超えてリチウム無機塩の混合量を増やすと、リチウム無機塩が析出する。そのため、リチウム無機塩の混合量には上限があり、高分子電解質層におけるリチウムイオン濃度を高めることが難しく、電池容量を増やしにくかった。
また、特許文献1に記載の製造方法では、高分子電解質層の界面抵抗が上昇するおそれがあり、リチウムイオン伝導性を向上させることが難しいという課題があった。詳しくは、複合負極の負極活物質層側に上記溶液を塗布してラミジップで被覆し、電子線を照射して、ラミジップ内で複合負極上に高分子電解質層を形成している。この場合、ラミジップを剥離してから高分子電解質層に複合正極を接合させると、高分子電解質層において、ラミジップと接触していた界面と内部とで、リチウムイオン伝導物質の割合が異なってしまうおそれがあった。リチウムイオン伝導物質の濃度の差異によって、界面抵抗が上昇して電池特性に影響を及ぼす可能性があった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例]本適用例に係る電極複合体においては、複合化された正極活物質層および固体電解質層と、耐リチウム還元層とを有し、固体電解質層および耐リチウム還元層が、リチウム、ホウ素、炭素、酸素を含み、固体電解質層における、ホウ素に対する炭素のモル比AC/Bと、耐リチウム還元層における、ホウ素に対する炭素のモル比BC/Bとが、下記式(1)、(2)、(3)の関係を満たすことを特徴とする。
C/B<BC/B ・・・(1)
0.25<AC/B<49 ・・・(2)
1.0<BC/B<99 ・・・(3)
本適用例によれば、リチウムイオン伝導性を向上させ、電極複合体を電池に用いる場合に、電池容量を増やすことが容易となり、電池特性を良好にすることができる。詳しくは、耐リチウム還元層および固体電解質層が、共通してリチウム、ホウ素、炭素、酸素を含んでおり、固体電解質層における上記モル比AC/Bと、耐リチウム還元層における、上記モル比BC/Bとが、上記式(1)、(2)、(3)の関係にあることから、双方の間で界面抵抗が生じにくくなる。そのため、耐リチウム還元層におけるリチウムイオン伝導性が向上する。これにより、リチウムイオン伝導性が向上し、電池容量を増やすことが容易な電極複合体を提供することができる。
上記適用例の電極複合体においては、耐リチウム還元層の厚さが0.1μm以上、10μm以下であることが好ましい。
これによれば、耐リチウム還元層における抵抗値の上昇を低減することができる。また、耐リチウム還元層の表面に負極を設けて電池を形成する場合、負極と正極活物質層(正極)との短絡の発生を抑えることができる。
上記適用例の電極複合体においては、固体電解質層が、リチウム、ホウ素、炭素、酸素を含む第1電解質と、ホウ素および炭素を含まず、リチウム、酸素を含む第2電解質と、を含むことが好ましい。
これによれば、第1電解質を非結晶質、第2電解質を結晶質で形成することが容易となり、固体電解質層におけるリチウムイオン伝導度を、さらに向上させることができる。
上記適用例の電極複合体においては、正極活物質層には、正極活物質としてリチウム複合金属化合物が含まれることが好ましい。
これによれば、リチウムと他の金属との化合物を正極活物質として、電荷交換反応を促進可能な電極複合体を提供することができる。
上記適用例の電極複合体においては、リチウム複合金属化合物が、二酸化コバルトリチウムを含むことが好ましい。
これによれば、コバルトを含むリチウム複合金属化合物を正極活物質として、電荷交換反応を一層促進可能な電極複合体を提供することができる。
上記適用例の電極複合体においては、正極活物質層が多孔質体であって、前記正極活物質層の空隙に固体電解質が充填されて、正極活物質層と固体電解質層とが複合化されていることが好ましい。
これによれば、正極活物質層が多孔質ではない場合と比べて、正極活物質層と固体電解質層との接触面積が大きくなり、正極活物質層と固体電解質層との界面インピーダンスを低減することができる。これにより、正極活物質層と固体電解質層との界面において良好な電荷移動が可能となる。
[適用例]本適用例に係る電極複合体の製造方法は、多孔質の正極活物質層と、固体電解質層と、耐リチウム還元層とを有する電極複合体の製造方法であって、固体電解質の融液と正極活物質層とを接触させて、正極活物質層の空隙に融液を充填して固化させ、正極活物質層と固体電解質層とを複合化する複合化工程と、正極活物質層と固体電解質層とが複合化した複合体の一面に水酸化リチウム溶液を塗布する塗布工程と、二酸化炭素濃度が1体積%以上の雰囲気下にて、600℃以上、固体電解質の融点未満の温度で加熱して、複合体の一面に耐リチウム還元層を形成する耐リチウム還元層形成工程と、を備え、固体電解質層および耐リチウム還元層が、リチウム、ホウ素、炭素、酸素を含んでいることを特徴とする。
本適用例によれば、複合化工程において、正極活物質層の空隙の内部に充填された固体電解質層を容易に形成することができる。塗付工程および耐リチウム還元層形成工程においては、水酸化リチウム、水分、二酸化炭素の化学反応によって、炭酸リチウムが生成する。水酸化リチウム溶液が塗布された複合体の一面は、固体電解質層の表面でもあるため、上記化学反応は固体電解質層の表面で進行する。そのため、リチウム、ホウ素、炭素、酸素を含む固体電解質層が炭酸リチウムとさらに反応して、耐リチウム還元層が形成される。これにより、耐リチウム還元層は固体電解質層と比べて、固体電解質層と反応した炭酸リチウムの分だけ炭素が増えた組成となる。すなわち、耐リチウム還元層におけるホウ素に対する炭素のモル比BC/Bを、固体電解質層におけるホウ素に対する炭素のモル比AC/Bよりも大きくすることができる。
また、所定の二酸化炭素雰囲気下にて、600℃以上、固体電解質の融点未満の温度で加熱することにより、炭酸リチウムの二酸化炭素および酸化リチウムへの分解を抑制し、上述した耐リチウム還元層の形成を促進することができる。さらには、水酸化リチウムおよび固体電解質層の表層の一部などが、化学反応により転化して耐リチウム還元層が形成されるため、固体電解質層と耐リチウム還元層との間に明確な界面が形成されにくくなる。これにより、固体電解質層と耐リチウム還元層との間において、界面抵抗の発生がさらに低減される。
上記適用例の電極複合体の製造方法において、複合化工程は、リチウム、酸素を含む第2電解質が混合された混合液と正極活物質層とを接触させて、正極活物質層の空隙に混合液を充填して固化し、正極活物質層における空隙の内部を含む表面に第2電解質を析出させる工程を、有していることが好ましい。
この方法によれば、リチウム、酸素を含む結晶質の第2電解質を、正極活物質層の表面に容易に形成することができる。
上記適用例の電極複合体の製造方法においては、複合化工程は、正極活物質層と固体電解質層とを、基板上で複合化して複合体を形成した後、基板から複合体を剥離する剥離工程を備え、塗付工程では、複合体における基板との剥離面に水酸化リチウム溶液を塗布することが好ましい。
この方法によれば、複合化工程において、固体電解質の材料を含む浸漬槽や浸漬装置などが不要となる。また、複合体の剥離面に、水酸化リチウム溶液を塗布して耐リチウム還元層を形成することにより、上記剥離面の凹凸を小さくすることができる。これによって、耐リチウム還元層に接して負極を設ける場合、表面の平滑度が高い負極が得られる。
上記適用例の電極複合体の製造方法においては、基板が透明基板であり、剥離工程では、基板側からレーザーを照射して、基板に固着した複合体を、レーザー加熱によって剥離することが好ましい。
この方法によれば、基板が透明基板であるため、基板側(固着面に対する裏面)からレーザーを照射することが可能となる。そのため、複合体と基板との固着箇所をまんべんなく加熱して、容易に剥離することができる。また、外力によって固着を剥離する場合と比べて、複合体の破損を低減することができる。
上記適用例の電極複合体の製造方法においては、透明基板がサファイア基板であることが好ましい。
この方法によれば、サファイアを構成する酸化アルミニウムは、固体電解質と反応性が低いため、リチウムイオン伝導性を阻害する不要な反応生成物の発生を抑制することができる。
上記適用例の電池においては、上記の電極複合体を有することが好ましい。
これによれば、リチウムイオン伝導性が向上し、電池容量を増やすことが容易であり、電池特性が良好な電池を提供することができる。
上記適用例の電池の製造方法においては、上記の電極複合体と、負極とを接合する工程を備えていることが好ましい。
上記適用例の電池の製造方法においては、上記の製造方法を用いて製造された電極複合体と、負極とを接合する工程を備えていることが好ましい。
これらの方法によれば、電極複合体におけるリチウムイオン伝導性が向上し、電池容量を増やすことが容易であり、電池特性が良好な電池を製造することが可能な、電池の製造方法を提供することができる。
実施形態1に係る電極複合体の構成を示す概略断面図。 実施形態2に係る電極複合体の製造方法を示す工程フロー図。 電極複合体の製造方法を示す概略断面図。 電極複合体の製造方法を示す概略断面図。 電極複合体の製造方法を示す概略断面図。 電極複合体の製造方法を示す概略断面図。 電極複合体の製造方法を示す概略断面図。 電極複合体の製造方法を示す概略断面図。 電極複合体の製造方法を示す概略断面図。 実施形態3に係るリチウム電池の構成を示す概略斜視図。 リチウム電池の構成を示す概略断面図。 各実施例および各比較例における電極複合体の構成を示す図表。 各実施例および各比較例の評価結果を示す図表。 実施形態5に係る電極複合体の構成を示す概略断面図。 実施形態6に係る電極複合体の製造方法を示す工程フロー図。 電極複合体の製造方法の一部を示す概略断面図。 電極複合体の製造方法の一部を示す概略断面図。 電極複合体の製造方法の一部を示す概略断面図。 実施形態7に係るリチウム電池の構成を示す概略斜視図。 各実施例および各比較例における電極複合体の構成を示す図表。 各実施例および各比較例の評価結果を示す図表。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材の尺度を実際とは異ならせしめている。
(実施形態1)
<電極複合体>
本実施形態に係る電極複合体について、図1を参照して説明する。図1は、実施形態1に係る電極複合体の構成を示す概略断面図である。
図1に示した電極複合体10は、正極活物質層2、固体電解質層3、耐リチウム還元層6を有している。なお、ここでは電極複合体10に加えて、負極30についても説明する。電極複合体10は、後述するようにリチウム電池などに用いられる。
正極活物質層2は、複数の正極活物質2b(図3A参照)の粒子の集合体である。正極活物質2b同士の間には空隙があるため、正極活物質層2は空隙を有する多孔質体を形成している。正極活物質層2の空隙を埋めるように固体電解質が充填され、固体電解質層3が形成されている。すなわち、正極活物質層2と固体電解質層3とは複合化されている。
電極複合体10における耐リチウム還元層6は、負極30との界面に設けられている。耐リチウム還元層6は、負極30との間の電気的な絶縁を保ちつつ、リチウムイオンの伝導を媒介する機能を有している。
固体電解質層3および耐リチウム還元層6を構成する固体電解質には、リチウム、ホウ素、炭素、酸素が含まれている。固体電解質層3における、ホウ素に対する炭素のモル比をAC/B、耐リチウム還元層における、ホウ素に対する炭素のモル比をBC/Bとすると、下記式(1)、(2)、(3)の関係が成り立つように固体電解質層3および耐リチウム還元層6が形成されている。
C/B<BC/B ・・・(1)
0.25<AC/B<49 ・・・(2)
1.0<BC/B<99 ・・・(3)
すなわち、BC/BはAC/Bより大きい。AC/Bは、0.25より大きく、49より小さい。BC/Bは1.0より大きく、99より小さい。これにより、固体電解質層3および耐リチウム還元層6のリチウムイオン伝導性を高め、電極複合体10を用いた電池において、充放電を可能とすることができる。詳しい、電極複合体10の製造方法および電極複合体10を用いた電池の製造方法については、後述する。
固体電解質層3および耐リチウム還元層6を構成する固体電解質としては、例えば、SiO2−P25−Li2O、SiO2−P25−LiCl、Li2O−LiCl−B23、Li3.40.6Si0.44、Li14ZnGe416、Li3.60.4Ge0.64、Li1.3Ti1.7Al0.3(PO43、Li2.88PO3.730.14、LiNbO3、Li0.35La0.55TiO3、Li7La3Zr212、Li6.75La3Zr1.75Nb0.2512、Li2S−SiS2、Li2S−SiS2−LiI、Li2S−SiS2−P25、LiPON、Li3N、LiI、LiI−CaI2、LiI−CaO、LiAlCl4、LiAlF4、LiI−Al23、LiF−Al23、LiBr−Al23、Li2O−TiO2、La23−Li2O−TiO2、Li3N、Li3NI2、Li3N−LiI−LiOH、Li3N−LiCl、Li6NBr3、LiSO4、Li4SiO4、Li3PO4−Li4SiO4、Li4GeO4−Li3VO4、Li4SiO4−Li3VO4、Li4GeO4−Zn2GeO2、Li4SiO4−LiMoO4、Li3PO4−Li4SiO4、LiSiO4−Li4ZrO4、LiB4、Li7-xPS6-xClx、Li10GeP212、Li2CO3、Li3BO3、Li2+x1-xx3などの酸化物、硫化物、ハロゲン化物、窒化物、水素化物あるいはそれらの部分置換体の結晶質、非結晶質および部分結晶化ガラスなどが挙げられる。また、これらの化合物の一部原子が他の遷移金属、典型金属、アルカリ金属、アルカリ希土類、ランタノイド、カルコゲナイド、ハロゲンなどで置換された固溶体も、固体電解質として用いてもよい。上記化合物の少なくとも1種を用いて、リチウム、ホウ素、炭素、酸素が含まれていればよい。
固体電解質層3における、イオン伝導性の指標となるイオン伝導率は、1×10-8S/cm以上であることが好ましい。固体電解質層3がこのようなイオン伝導率を有することにより、正極活物質層2の表面から離れた位置の固体電解質層3に含まれるイオンが、正極活物質層2の表面に到達することが容易になる。これにより、上記イオンも正極活物質層2における電池反応に寄与することが可能となり、電池の容量を大きくすることができる。
ここで、固体電解質層3のイオン伝導率とは、固体電解質層3自身の伝導率としてのバルク伝導率と、固体電解質層3が結晶質である場合における結晶の粒子間の伝導率としての粒界イオン伝導率と、の総和である総イオン伝導率のことをいう。固体電解質層3のイオン伝導率の測定方法は後述する。
耐リチウム還元層6の厚さは、0.1μm以上、10μm以下が好ましく、1μm以上、5μm以下がより好ましい。耐リチウム還元層6の厚さを上記の範囲とすることにより、電極複合体10と負極30との短絡を抑え、耐リチウム還元層6の抵抗値を低減することができる。
正極活物質2bの材料、すなわち正極活物質層2の形成材料としては、例えば、リチウム複合金属化合物を採用できる。リチウム複合金属化合物とは、リチウムを含み、且つ全体として2種以上の金属元素を含む酸化物であって、オキソ酸イオンの存在が認められないものを指している。
リチウム複合金属化合物としては、例えば、LiCoO2(二酸化コバルトリチウム)、LiNiO2、LiMn24、Li2Mn23、LiFePO4、Li2FeP27、LiMnPO4、LiFeBO3、Li32(PO43、Li2CuO2、LiFeF3、Li2FeSiO4、Li2MnSiO4などが挙げられる。また、本発明においては、これらのリチウム複合金属化合物の結晶内の一部原子が、他の遷移金属、典型金属、アルカリ金属、アルカリ希土類、ランタノイド、カルコゲナイド、ハロゲンなどで置換された固溶体もリチウム複合金属化合物に含むものとし、これらの固溶体も正極活物質2bとして用いることができる。
正極活物質層2は、空隙率が10%以上、50%以下であることが好ましい。正極活物質層2がこのような空隙率を有することによって、正極活物質層2の細孔内の表面積を広げることが可能になり、電極複合体10を用いるリチウム電池を従来よりも高容量化しやすくなる。
上記の空隙率をa(%)、正極活物質層2の細孔も含めた見かけの体積をv、正極活物質層2の質量をw、正極活物質2bの密度をρとすると、下記式(4)が成り立つ。これにより空隙率を求めることができる。
a={1−w/(v・ρ)}×100 ・・・(4)
負極30は、耐リチウム還元層6の表面に形成されている。そのため、図1に示すように、電極複合体10に含まれる正極活物質層2は、負極30とは接していない。負極30の厚さは、およそ50nmから100μm程度が好ましいが、所望の電池容量や材料特性に応じて任意に設計することができる。
負極30の材料としては、例えば、シリコン−マンガン合金(Si−Mn)、シリコン−コバルト合金(Si−Co)、シリコン−ニッケル合金(Si−Ni)、五酸化ニオブ(Nb25)、酸化チタン(TiO2)、酸化インジウム(In23)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO2)、酸化ニッケル(NiO)、錫(Sn)が添加された酸化インジウム(ITO)、アルミニウム(Al)が添加された酸化亜鉛(AZO)、ガリウム(Ga)が添加された酸化亜鉛(GZO)、アンチモン(Sb)が添加された酸化錫(ATO)、フッ素(F)が添加された酸化錫(FTO)、炭素材料、炭素材料の層間にリチウムイオン挿入された物質、TiO2のアナターゼ相、Li4Ti512,Li2Ti37などのリチウム複合金属化合物、Li(リチウム)金属などが挙げられる。
(実施形態2)
<電極複合体の製造方法>
本実施形態に係る電極複合体の製造方法の概要について、図2を参照して説明する。図2は、実施形態2に係る電極複合体の製造方法を示す工程フロー図である。
本実施形態の電極複合体10の製造方法は、固体電解質層3における、ホウ素に対する炭素のモル比AC/Bと、耐リチウム還元層における、ホウ素に対する炭素のモル比BC/Bとが、上述した式(1)、(2)、(3)を満たす電極複合体の製造方法である。図2に示すように、電極複合体10の製造方法は、工程S1から工程S4を備えている。
工程S1では正極活物質層2を形成する。まず、粒子状の正極活物質2bを圧縮して成型する。次いで、正極活物質2bの成型物に熱処理を施す。熱処理によって、正極活物質2bの粒子同士が焼結され、多孔質の正極活物質層2が得られる。
工程S2では、複合化工程として、正極活物質層2と固体電解質層3とを複合化する。固体電解質層3の形成材料として固体電解質3X(図3C参照)を、加熱により溶融させて融液とし、基板40(図3C参照)上に置いた正極活物質層2と接触させる。固体電解質3Xの融液は、正極活物質層2の空隙内部へ到達すると共に、正極活物質層2全体を包含する。固体電解質層3は正極活物質層2の空隙内部にまで及び、正極活物質層2と複合化して形成される。
工程S3では、基板40と固体電解質層3とを剥離する。工程S2において、基板40と接触した余剰な固体電解質3Xの融液が、基板40と固着している。そのため、レーザー照射4X(図3D参照)による加熱によって、固着した箇所の固体電解質層3を溶融させ、基板40と固体電解質層3とを剥離する。
工程S4では耐リチウム還元層6を、固体電解質層3の一面に形成する。このとき、上記一面を工程S3における基板40と固体電解質層3との剥離面を面3c(図3E参照)とし、面3cに水酸化リチウムを接触させる。次いで、二酸化炭素濃度1体積%以上の雰囲気下にて、600℃以上、固体電解質3Xの融点未満の温度で熱処理を施す。工程S4は少なくとも1回実施する。
以上の、工程S1から工程S4を経て、耐リチウム還元層6を備えた電極複合体10が形成される。
次に、電極複合体10の製造方法の詳細について、図3A、図3B、図3C、図3D、図3E、図3F、図3Gを参照して説明する。図3A、図3B、図3C、図3D、図3E、図3F、図3Gは、電極複合体の製造方法を示す概略断面図である。
図3Aに示すように、成形型Fを用いて、正極活物質2bを圧縮成形する。正極活物質2bの材料としては、上述したリチウム複合金属化合物を用いる。正極活物質2bの他に、成形性を高めたり、成形物の形状を保持したりするために、バインダーを添加してもよい。バインダーとしては、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリプロピレンカーボネートなどを用いることができる。また、高分子化合物や炭素粉末を形成材料とする造孔材や、導電性を高めるための導電助剤などを添加してもよい。
正極活物質2bの平均粒子径は、300nm以上、10μm以下が好ましい。このような平均粒子径を有する正極活物質2bを用いて、形成する正極活物質層2の空隙率を10%から40%とすることが好ましい。これによって、正極活物質層2の空隙内部の表面積を拡大することができる。空隙内部の表面積が拡大されることで、正極活物質層2と固体電解質層3との接触面積を広げやすくなり、電極複合体10を用いたリチウム電池の容量を増やすことが可能となる。
正極活物質2bの平均粒子径は、光散乱式粒度分布測定装置ナノトラックUPA−EX250(商品名、日機装社)を用いて測定することができる。具体的には、例えば、正極活物質2bを、n−オクタノールに0.1質量%から10質量%の濃度範囲で分散させた試料を測定し、メジアン径を求めることにより知ることができる。
造孔材は、正極活物質2bを圧縮成型する際に、空隙の鋳型として機能する。粒子状の造孔材を正極活物質2bに添加することにより、正極活物質層2の空隙率を制御することができる。造孔材は後工程における熱処理によって分解除去され、正極活物質層2においては量が低減される。造孔材の平均粒子径は、好ましくは0.5μm以上、10μm以下である。
次に、図3Bに示すように、正極活物質2bの成形体に熱処理を施す。熱処理によって、正極活物質2bの粒界の成長や、焼結が進行するため、正極活物質2bの成形体の形状が保持されやすくなる。そのため、成形時に添加するバインダーの量を低減することができる。また、焼結によって、正極活物質2b同士が接触して結合し、電子の移動経路が形成される。そのため、導電性が向上して導電助剤を削減することができる。
熱処理の温度は、例えば850℃以上であって、正極活物質2bの融点未満の温度が好ましい。これにより、正極活物質2b同士を焼結させて一体化した、多孔質の成形体が得られる。熱処理の温度を850℃以上とすることによって、焼結が十分に進行するとともに、正極活物質2bの結晶内の電子伝導性が確保される。熱処理の温度を正極活物質2bの融点未満とすることによって、正極活物質2bの結晶内のリチウムイオンが過剰に揮発することを抑え、リチウムイオンの伝導性が維持される。これにより、電極複合体10の容量を確保することが可能となる。熱処理の温度は、より好ましくは875℃以上、1000℃以下であり、さらに好ましくは900℃以上、950℃以下である。これにより、電極複合体10を用いる電池に対して、適切な出力および容量を付与することができる。
熱処理の時間は、例えば5分以上、36時間以下とすることが好ましい。より好ましくは、4時間以上、14時間以下である。以上の処理によって、正極活物質層2が形成される。
次に、図3Cに示すように、基板40上に正極活物質層2を載置する。さらに正極活物質層2の上面(天井面)に、固体電解質3Xを載せ、固体電解質3Xを加熱する。加熱条件としては、700℃以上、780℃以下の温度で、1分間から240分間加熱することが好ましい。また、上記の加熱雰囲気中における二酸化炭素の濃度は、1体積%以上であることが好ましく、より好ましくは20体積%以上である。二酸化炭素濃度を大きくすることにより、二酸化炭素の発生を伴う固体電解質3Xの分解を抑制することができる。
固体電解質3Xは融点を超えて加熱されることにより、溶融して融液となる。融液は、正極活物質層2の上面から、正極活物質層2の空隙内部に浸透しながら、正極活物質層2全体を包含して基板40方向へ降下する。その後、放冷により、固体電解質3Xの融液が固化して、正極活物質層2と固体電解質層3とが複合化した複合体が形成される。固体電解質3Xの加熱手段として、レーザーアニールを用いてもよい。
基板40としては、透明性を有し、固体電解質3Xとの反応性が低い物質を用いることができる。基板40として、例えば、サファイア(酸化アルミニウム)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛などの単結晶基板が挙げられる。これらの中でも、上記の反応性の低さと入手の容易さから、サファイアを用いることが好ましい。基板40の厚さは、特に限定されないが、100μm以上、5mm以下であることが好ましい。基板40の厚さを上記の範囲とすることによって、基板40の撓みなどの変形を抑制すると共に、後述するレーザー照射の透過性を向上させることが可能となる。
次に、図3Dに示すように、固着した基板40と固体電解質層3とを、レーザー照射4Xを用いて剥離する剥離工程へ進む。レーザー照射4Xは、基板40と固体電解質層3との接触面(固着部)に対して、基板40の裏面側から行う。レーザー照射4Xには、エキシマレーザーを用いる。これによって、図3Eに示すように、固着部の固体電解質層3が熱溶融され、固体電解質層3と基板40が剥離される。ここで、固体電解質層3における、基板40との剥離面を面3cとし、その対向する反対側の面を面3dとする。
このとき、面3cにおいては、レーザー照射4Xによって固体電解質層3の一部が熱分解し、変質が起きている。詳しくは、固体電解質層3は、炭素および酸素を含んでいることから、熱分解によって二酸化炭素を放出する。そのため、固体電解質層3においては、面3c近傍における炭素の量が、バルク中よりも減少している。したがって、面3cにおけるホウ素に対する炭素のモル比は、バルクにおけるホウ素に対する炭素のモル比よりも小さくなっている。
次に、図3Fに示すように、固体電解質層3の面3cに耐リチウム還元層6を形成する。具体的には、まず、水酸化リチウムを塗布する塗付工程として、面3cに耐リチウム還元層6の形成材料の一部となる、水酸化リチウム溶液6Xを塗布する。水酸化リチウム溶液6Xの溶質には、無水水酸化リチウムまたは水酸化リチウム一水和物を用い、溶媒としては、水、アルコール、ケトンなどの少なくとも1種を用いることができる。溶質の濃度は、2mol/L以下とする。また、水酸化リチウムの紛体を面3cに接触させることにより、耐リチウム還元層6を形成しても良い。
面3cに対する水酸化リチウム溶液6Xの塗付方法としては、浸漬、滴下、吹き付け、スピンコートなどの手段を用いることができる。水酸化リチウム溶液6Xを塗布した後、100℃以上に加熱して上記の溶媒を揮発させる。
次に、耐リチウム還元層6を形成する耐リチウム還元層形成工程へ進む。二酸化炭素濃度が1体積%以上の雰囲気下にて、600℃以上、固体電解質3Xの融点未満の温度で加熱し、熱処理を施す。熱処理雰囲気中の二酸化炭素濃度は、1体積%以上であることが好ましく、より好ましくは20体積%以上である。二酸化炭素濃度を大きくすることにより、耐リチウム還元層6の形成が促進される。
熱処理を施す時間は、例えば、1分間以上、360分間以下である。この熱処理により、面3cに塗布された水酸化リチウム、雰囲気中の二酸化炭素、および面3c近傍の固体電解質層3が反応し、リチウム、ホウ素、炭素、酸素を含む耐リチウム還元層6が形成される。上述したように、面3cにおける炭素の量はバルクより減少しているが、上記の処理により二酸化炭素由来の炭素が供給されて炭酸リチウムが生成し、さらに固体電解質層3と反応して炭素の量が回復、増加する。これによって、上記式(1)、(2)、(3)を満たす固体電解質層3および耐リチウム還元層6が形成される。
また、面3cの表面から近傍の固体電解質層3の一部が、化学反応により耐リチウム還元層6に転化するため、固体電解質層3と耐リチウム還元層6との間には明確な界面が形成されにくくなる。
以上の工程を経て、図3Gに示す電極複合体10が得られる。上述したように、固体電解質層3と耐リチウム還元層6とを異なる方法で形成するため、固体電解質層3における結晶粒径を、耐リチウム還元層6より大きくすることが可能となる。また、耐リチウム還元層6を、アモルファスに近い状態に形成することも可能になる。これらにより、耐リチウム還元層6の粒径抵抗を低減して、さらにリチウムイオン伝導性を向上させることができる。
(実施形態3)
<全固体二次電池の構成>
本実施形態に係る電池としての全固体二次電池について、図4を参照して説明する。本実施形態では、電極複合体を有する全固体二次電池として、リチウム電池を例に挙げて説明する。図4は、実施形態3に係るリチウム電池の構成を示す概略斜視図である。
図4に示すように、本実施形態のリチウム電池100は、電極複合体10、負極30を有している。電極複合体10が負極30に接する面と反対側の面には、集電体41が設けられている。負極30が、電極複合体10の耐リチウム還元層6に接する面と反対側の面には、集電体42が設けられている。つまり、リチウム電池100は、電極複合体10および負極30を有する積層体を挟むように、集電体41,42を設けたものである。
集電体41,42は、電極複合体10または負極30と電気化学反応を生じず、かつ電子伝導性を有している材料であれば、いずれも好適に用いることができる。集電体41,42の材料として、例えば、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、およびパラジウム(Pd)からなる群から選ばれる1種の金属(金属単体)や、上記群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む合金、ITO(Tin-doped Indium Oxide)、ATO(Antimony-doped Tin Oxide)、およびFTO(Fluorine-doped Tin Oxide)などの導電性金属酸化物、TiN(窒化チタン)、ZrN(窒化ジルコニウム)、TaN(窒化タンタル)などの金属窒化物などが挙げられる。
集電体41,42の形態は、電子伝導性を有する上記材料の薄膜の他、金属箔、板状、導電体微粉末を粘結剤とともに混練したペーストなど、目的に応じて適当なものが選択可能である。集電体41,42は必要に応じて形成されるが、例えば導電性の基板上に電極層を複合化する場合などでは、必ずしも電極複合体10および負極30の双方の側に形成する必要はない。集電体41,42の形成は、電極複合体10、負極30の積層体を形成した後であっても、あるいは上記積層体を形成する前であってもよい。
リチウム電池100は、例えば円盤状であって、外形の大きさは例えば直径10mm、厚さは例えば約厚さ200μmである。小型、薄型であることに加え、充放電可能であって大きな出力エネルギーが得られることから、携帯情報端末などの電源として好適に用いることができる。なお、リチウム電池100の形状は円盤状であることに限定されず、例えば多角形の盤状であってもよい。
次に、リチウム電池100を構成する各層の接触状態について、図5を用いて説明する。図5は、リチウム電池の構成を示す概略断面図である。
図5に示すように、集電体41は、電極複合体10との界面(面3e)において、固体電解質層3から露出する正極活物質層2に接して設けられている。また、上述したように、正極活物質層2は、その空隙の内部においても固体電解質層3と接して複合化されている。
このような構造の電極複合体10については、集電体41と正極活物質層2とが接触する面積(第1の接触面積)より、正極活物質層2と固体電解質層3とが接触する面積(第2の接触面積)の方が大きくなる。第2の接触面積は第1の接触面積より大きいため、正極活物質層2と固体電解質層3との接触面積が電荷移動のボトルネックとなりにくい。そのため、電極複合体10として良好な電荷移動を確保しやすく、リチウム電池100の容量の向上や高出力化が可能になる。
(実施形態4)
<全固体二次電池の製造方法>
次に、本実施形態の電池の製造方法について説明する。本実施形態の電池の製造方法としての、リチウム電池100の製造方法は、上述した電極複合体10の製造工程に加えて、電極複合体10と負極30とを接合する工程(負極形成工程)と、集電体41,42を形成する工程(集電体形成工程)とを含んでいる。なお、リチウム電池100の製造方法には、上述した電極複合体10の製造工程が含まれるため、重複する工程については説明を省略することとする。
上述した電極複合体10の製造工程に続いて、電極複合体10の面3d(図3F参照)を研磨する。このとき、研磨加工によって、正極活物質層2を確実に露出させ、面3e(図5参照)を形成する。なお、上述した電極複合体10の製造工程において、面3dに正極活物質層2が十分に露出している場合は、研磨加工を省略することも可能である。
次に、負極形成工程へ進む。負極30の形成方法は、有機金属化合物の加水分解反応などを伴う、所謂ゾル・ゲル法や、有機金属熱分解法などの溶液プロセスの他、適切な金属化合物とガス雰囲気を用いたCVD法、ALD法、固体電解質粒子のスラリーを使用したグリーンシート法やスクリーン印刷法、エアロゾルデポジション法、適切なターゲットとガス雰囲気を用いたスパッタリング法、PLD法、真空蒸着法、めっき、溶射など、を用いることができる。また、負極30の材料としては、上述した負極材料が採用できる。
次に、集電体形成工程へ進む。集電体41,42の形成方法としては、適当な接着層を別途設けて接着する方法、PVD(Physical Vapor Deposition)法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、PLD(Pulsed Laser Deposition)法、ALD(Atomic Layer Deposition)法およびエアロゾルデポジション法などの気相堆積法、ゾル・ゲル法、有機金属熱分解法およびめっきなどの湿式法など、集電体形成面との反応性や電気回路に望まれる電気伝導性、電気回路設計に応じて、適当な方法を用いることができる。また、集電体41,42の材料としては、上述した材料を採用できる。以上の工程を経てリチウム電池100(図4参照)が形成される。
以上に述べたように、実施形態1から実施形態4に係る電極複合体、電極複合体の製造方法、電池、および電池の製造方法によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態によれば、リチウムイオン伝導性を向上させ、電極複合体10を用いたリチウム電池100において、電池容量を増やすことが容易となり、電池特性を良好にすることができる。詳しくは、耐リチウム還元層6および固体電解質層3が、共通してリチウム、ホウ素、炭素、酸素を含んでいるため、双方の間で界面抵抗が生じにくくなる。そのため、耐リチウム還元層6におけるリチウムイオン伝導性が向上する。また、固体電解質層3における、ホウ素に対する炭素のモル比AC/Bと、耐リチウム還元層における、ホウ素に対する炭素のモル比BC/Bとが、上記式(1)、(2)、(3)の関係にあることから、固体電解質層3における固体電解質3Xの結晶粒径を、耐リチウム還元層6よりも大きくすることが可能となる。これにより、リチウムイオン伝導性がさらに向上する。
また、固体電解質層3と耐リチウム還元層6との製造方法が異なるため、双方の結晶粒径を変えることが可能となる。そのため、固体電解質層3では結晶粒径を大きくし、耐リチウム還元層6ではアモルファスに近い状態とすることができる。これによって、リチウムイオン伝導性をより一層高めることができる。
さらには、固体電解質層3と多孔質の正極活物質層2とが複合体化して電極複合体10を形成しているため、双方の接触面積が大きくなる。そのため、正極活物質層2と固体電解質層3との界面インピーダンスが低減され、良好な電荷移動が可能となる。それに加えて、上述したように、固体電解質層3と耐リチウム還元層6との間に明確な界面が形成されにくくなり、双方の間における界面抵抗の発生がさらに低減される。
以上により、リチウムイオン伝導性が向上し、電池の高容量化が容易で、電池特性に優れる電極複合体10、リチウム電池100、およびそれらの製造方法を提供することができる。
以下に、上記実施形態の電極複合体、電極複合体の製造方法、電池、および電池の製造方法について、実施例と比較例とを示し、図6および図7を参照して、本実施形態の効果をより具体的に説明する。図6は、各実施例および各比較例における電極複合体の構成を示す図表である。図7は、各実施例および各比較例の評価結果を示す図表である。
(実施例1)
<評価用試料の作製>
LiCoO2(シグマアルドリッチ社製)の粒子に、湿式遠心分離機LC−1000型(Krettek社製)を用いてn−ブタノール中で分級操作を行い、平均粒子径を1μmとした。分級したLiCoO2の粉末を、624MPaの圧力にて成形型(内径10mmの排気ポート付きダイス)を用いて2分間加圧し、LiCoO2(正極活物質)の円盤状成形体(直径10mm、実効径8mm、厚さ150μm)を作製した。その後、上記成形体に、大気雰囲気下900℃にて8時間の熱処理を施して、正極活物質層を得た。
次に、Li2CO3およびLi3BO3を質量混合比、4:1で混合し、上記混合物を40kNの荷重にて成形型(内径10mmの排気ポート付きダイス)を用いて2分間加圧して錠剤型とした。次いで、上記の状態で高温炉に入れ、650℃にて4時間焼成して固体電解質を得た。焼成した固体電解質を粉砕し、再度、40kNの荷重にて成形型(内径10mmの排気ポート付きダイス)を用いて2分間加圧して錠剤型とした。この固体電解質の成形体の両面にAu電極(直径8mm)を形成し、イオン伝導率の測定用試料とした。Au電極は、例えばスパッタリング法や真空蒸着法を用いて形成することができる。
焼成後に粉砕した上記の固体電解質の紛体を用いて、10kNの荷重にて成形型(内径5mmの排気ポート付きダイス)を用い、2分間加圧して錠剤型の固体電解質ペレットを作製した。次いで、厚さ約1mmのサファイア基板上に上記正極活物質層を載置し、さらに正極活物質層の上面に上記固体電解質ペレットを載せて、720℃にて2時間焼成し後、放冷した。
固体電解質層と上記基板との固着部に対して、固着面の基板裏側からエキシマレーザーを照射した。レーザー照射によって、固着部の固体電解質を熱溶融して、上記基板と固体電解質層とを剥離した。
100mLメスフラスコに、室温下で水酸化リチウム無水物4.79gを入れ、標線まで純水を加えた後、溶解して、2.0mol/Lの水酸化リチウム水溶液を調製した。上記水酸化リチウム水溶液をガラス製霧吹き瓶を用いて、固体電解質層の剥離面に噴霧して塗布した。このとき、形成される耐リチウム還元層の厚さが、2μmとなるよう塗布量を調整した。その後、100℃の恒温槽に5分放置して、塗布した水酸化リチウム水溶液の水分を揮発させた。次いで、二酸化炭素濃度が約20体積%の雰囲気下、650℃にて4時間熱処理を施し、上記基板との剥離面に耐リチウム還元層を形成した。以上により、耐リチウム還元層を有する電極複合体を得た。
上記電極複合体の耐リチウム還元層の反対側の面に対して、機械的な研磨加工を施して研磨面を形成した。研磨加工には、研磨材としてラッピングフィルムシート#15000(3M社製、砥粒径0.3μm)を用いた。研磨面において、正極活物質層が露出するまで研磨加工を行った。
上記電極複合体の固体電解質層および耐リチウム還元層について、エネルギー分散型X線分光器を用いて含有される炭素およびホウ素の濃度を求めた。炭素およびホウ素の濃度合計を100%としたときの、炭素、ホウ素の百分率値を図6に記載した。また、固体電解質層におけるホウ素に対する炭素のモル比AC/B、耐リチウム還元層におけるホウ素に対する炭素のモル比BC/Bを、算出して図6に記載した。
次いで、耐リチウム還元層の表面に、リチウム金属薄膜(膜厚さ約2μm)を真空蒸着により形成して負極とした。
集電体形成工程として、上記研磨面および負極のそれぞれの表面に、白金を膜厚さが約120nmとなるようにスパッタリングによって成膜し、集電体を形成した。以上の方法により、実施例1のリチウム電池を作製した。
(実施例2から実施例4)
実施例2から実施例4は、耐リチウム還元層の厚さの狙い値を、実施例1と同様な2μmとし、固体電解質層および耐リチウム還元層における炭素およびホウ素の濃度を変更した水準である。炭素およびホウ素の濃度が図6に示した数値となるように、混合物ペレットのLi2CO3とLi3BO3との混合比、および水酸化リチウム熱処理時の二酸化炭素濃度を調整した。この他は、実施例1と同様にして、評価用の固体電解質ペレットおよびリチウム電池を作製した。
(実施例5から実施例9)
実施例5から実施例9は、図6に示すように、上述した実施例2から実施例4と同様に、炭素およびホウ素の濃度を変更した。また、上記剥離面に塗布する水酸化リチウム水溶液の塗布量を調整して、耐リチウム還元層の厚さを変更した。各水準の厚さの狙い値を図6に記載した。この他は、実施例1と同様にして、評価用のリチウム電池を作製した。
(比較例1および比較例2)
比較例1および比較例2は、実施例1に対する実施例2から実施例4と同様に、炭素、ホウ素の濃度を変更した。図6に示すように、比較例1ではAC/Bが49を超え、BC/Bが99を超え、比較例2ではAC/Bが0.25未満、BC/Bが1未満とした。この他は、実施例1と同様にして、評価用の固体電解質ペレットおよびリチウム電池を作製した。
(比較例3および比較例4)
比較例3および比較例4は、実施例2に対して、水酸化リチウム水溶液の塗布量を調整して、耐リチウム還元層の厚さを変更した。厚さの狙い値を図6に記載した。耐リチウム還元層の厚さは、比較例3が0.1μm未満、比較例4が10μm超とした。この他は、実施例2と同様にして、評価用のリチウム電池を作製した。
<固体電解質層のイオン伝導率>
固体電解質層のリチウムイオン伝導性の指標として、イオン伝導率を評価した。実施例1から実施例4、および比較例1、比較例2における、イオン伝導率の測定用試料についてイオン伝導率を求めた。測定装置としてインピーダンスアナライザー(ソーラトロン社製、型番SI1260)を用い、交流インピーダンス法により測定を行った。各水準の測定値について、1.0×10-7S(Siemens)/cm以上を『A(好適)』、1.0×10-8s/cm以上、1.0×10-7S/cm未満を『B(適)』、1.0×10-8s/cm未満を『C(不適)』として判定した。その結果を図7に記載した。
<耐リチウム還元層の抵抗率>
作製した上記電極複合体の耐リチウム還元層について、EDX(Energy Dispersive X-ray spectrometry)分析によって炭素とホウ素の比率を算出し、その比率に応じてLi2CO3とLi3BO3との質量混合比を変えた固体電解質を合成した。次に、固体電解質ペレットを作製し、ペレット両面に金電極を形成した。この試料について、上記の固体電解質層と同様に、インピーダンスアナライザーを用いた交流インピーダンス法によるインピーダンス測定を行った。得られた各水準の抵抗率について、1kΩcm未満を『A(好適)』、1kΩcm以上、10kΩcm未満を『B(適)』、10kΩcm以上を『C(不適)』として判定した。その結果を図7に記載した。
<充放電動作の評価>
実施例1から実施例9、および比較例1から比較例4について、作製したリチウム電池の充放電挙動を評価した。リチウム電池をマルチチャンネル充放電評価装置(北斗電工社製、HJ1001SD8)に接続し、電流密度0.1mA/cm、充電上限電圧4.2Vの定電流一定電圧、放電下限電圧3.0Vの定電流駆動にて、充放電動作を評価した。各水準について、充放電が可能であったものを『A(好適)』、充放電が不可能であったものを『C(不適)』として判定した。その結果を図7に記載した。
<充放電動後の短絡評価>
実施例2、実施例5から実施例9、および比較例3、比較例4について、作製したリチウム電池の充放電後の短絡の有無を調査した。上述した充放電動作の評価と同様な操作を行い、各リチウム電池において短絡の発生有無を確認した。各水準について、短絡が発生しなかったものを『A(好適)』、短絡が発生したものを『C(不適)』として判定した。その結果を図7に記載した。
以上の評価結果から、図7に示したように、実施例1から実施例9の電極複合体、それを用いた電池、およびそれらの製造方法によれば、イオン伝導性および耐リチウム還元層の抵抗値が優れ、短絡することなく充放電動作が可能であることが示された。
一方、図7に示したように、比較例1から比較例4では、実施例1から実施例9と比べてイオン伝導性や耐リチウム還元層の抵抗値が劣るもの、充放電動作が不可能であったり短絡が発生したものがみられた。これにより、比較例1から比較例4は、実施例1から実施例9と比べて電気的特性が劣るものであることが示された。
(実施形態5)
<電極複合体>
次に、本実施形態に係る、固体電解質として第1電解質および第2電解質を有する電極複合体について、図8を参照して説明する。図8は、実施形態5に係る電極複合体の構成を示す概略断面図である。なお、実施形態1と同一の構成部位については、同一の符号を使用し、重複する説明は省略する。
図8に示した電極複合体11は、正極活物質層2、固体電解質層7、耐リチウム還元層6を有している。なお、図8は、電極複合体11に負極30が形成された図としている。電極複合体11はリチウム電池などに用いられる。
正極活物質層2の空隙を埋めるように固体電解質層7が形成され、正極活物質層2と固体電解質層7とは複合化されている。固体電解質層7は、リチウム、ホウ素、炭素、酸素を含む第1電解質7aと、ホウ素および炭素を含まず、リチウム、酸素を含む第2電解質7bと、を有している。第2電解質7bは、第1電解質7aよりも存在量が少なく、正極活物質層2の表面近傍に局在している。第1電解質7aは、固体電解質層7の大部分を占めている。
固体電解質層7および耐リチウム還元層6を構成する固体電解質には、リチウム、ホウ素、炭素、酸素が含まれている。固体電解質層7の第1電解質7aにおける、ホウ素に対する炭素のモル比をAC/B、耐リチウム還元層6における、ホウ素に対する炭素のモル比をBC/Bとすると、実施形態1に示した上記式(1)、(2)、(3)の関係が成り立つ。
第1電解質7aおよび第2電解質7bとしては、実施形態1で列挙した固体電解質を用いることができる。第1電解質7aには非結晶質の材料を用いることが好ましい。第2電解質7bには結晶質の材料を用いることが好ましく、Li0.35La0.55TiO3またはLi7La3Zr212を用いることがより好ましい。結晶質の第2電解質7bを正極活物質層2の近傍に設けることにより、固体電解質層7におけるリチウムイオン伝導性をさらに高めることができる。
(実施形態6)
<電極複合体の製造方法>
本実施形態に係る電極複合体の製造方法の概要について、図9を参照して説明する。図9は、実施形態6に係る電極複合体の製造方法を示す工程フロー図である。
図9に示すように、電極複合体11の製造方法は、工程S1、S2a、S2b、S3、S4を備えている。工程S1、S3、S4は、上述した実施形態2と同一である。ここでは、工程S2aの第2電解質の形成工程、および工程S2bの第1電解質の形成工程について説明し、他の工程については説明を省略する。
工程S2aでは、正極活物質層2の表面に、第2電解質7bを形成する。まず、第2電解質7bの形成材料を含む、後述する液状体7bXを塗布する。液状体7bXを塗布した後、乾燥、焼成を施す。これにより、正極活物質層2の空隙内部を含む表面に、第2電解質7bが析出して形成される。
工程S2bでは、第1電解質7aを設けて、正極活物質層2と複合化した固体電解質層7を形成する。第1電解質7aの形成方法は、上述した電極複合体10における固体電解質層3と同様にして行う。固体電解質層7は正極活物質層2の空隙内部にまで及び、正極活物質層2と複合化して形成される。
以上の工程を経て電極複合体11が形成される。
次に、電極複合体11の製造方法の詳細について、図10A、図10B、図10Cを参照して説明する。図10A、図10B、図10Cは、電極複合体の製造方法の一部を示す概略断面図である。なお、上述した電極複合体10の製造方法と重複する工程は、説明を省略する。
図10Aに示すように、細孔内部も含めた正極活物質層2の表面に、第2電解質7bの形成材料を含む液状体7bXを塗布する。液状体7bXは、第2電解質7bを形成するための固体電解質や固体電解質の前駆体の他に、それらを可溶な溶剤を含んでいてもよい。液状体7bXが溶剤を含む場合には、液状体7bXを塗布した後、焼成前に適宜上記溶剤を除去すればよい。溶剤の除去には、加熱、減圧、送風など、通常知られた方法の少なくとも1つを採用することができる。
液状体7bXの塗布方法としては、例えば、浸漬、滴下、吹き付け、毛細管現象による浸透、スピンコートなどの手段を用いることが可能であり、これらを組み合わせて実施してもよい。液状体7bXは流動性を有するため、正極活物質層2の空隙の内部へも到達しやすくなっている。このとき、液状体7bXが、正極活物質層2の空隙内部を含む表面全体に濡れ広がるよう塗布する。本実施形態では、ディスペンサーDを用い、滴下による塗布方法を採用している。
第2電解質7b(固体電解質)の前駆体としては、以下の(A),(B),(C),(D)の少なくとも1種を用いることができる。この中で(B)はゾル・ゲル法を用いて固体電解質を形成する場合の前駆体である。
(A)固体電解質が有する金属原子を、固体電解質の組成式に従った割合で含み、酸化により固体電解質となる塩を有する組成物。
(B)固体電解質が有する金属原子を、固体電解質の組成式に従った割合で含む金属アルコキシド化合物を有する組成物。
(C)固体電解質の微粒子、または固体電解質が有する金属原子を、固体電解質の組成式に従った割合で含む微粒子ゾルを溶剤に分散させた分散液。
(D)固体電解質が有する金属原子を、固体電解質の組成式に従った割合で含み、酸化により固体電解質となる塩と金属アルコキシド化合物を有する組成物。
塗布した液状体7bXの焼成は、大気雰囲気下で、上述した正極活物質2bの熱処理温度よりも低い温度で行う。具体的には、300℃以上、900℃以下の温度範囲で行うことが好ましい。液状体7bXを焼成することによって、図10Bに示すように、正極活物質層2の表面に第2電解質7bが形成される。なお、上記焼成は、少なくとも1度の処理を実施する。
次に、基板40上に、第2電解質7bを形成した正極活物質層2を載置する。さらに正極活物質層2の上面(天井面)に、第1電解質7aの混合物を載せる。以降は、上述した実施形態2における固体電解質層3の形成方法と同様に実施する。第1電解質7aを設けて固体電解質層7を形成した以降は、実施形態2の電極複合体10と同様に製造して、図10Cに示す電極複合体11が得られる。
(実施形態7)
<全固体二次電池の構成および製造方法>
本実施形態に係る電池としての全固体二次電池について、図11を参照して説明する。本実施形態では、実施形態3と同様に、全固体二次電池としてリチウム電池を例に挙げて説明する。図11は、実施形態7に係るリチウム電池の構成を示す概略斜視図である。
図11に示すように、本実施形態のリチウム電池200は、電極複合体11、負極30、集電体41,42を有している。リチウム電池200は、電極複合体11を用いる他は、リチウム電池100と同様な材質、構成、製造方法である。
以上に述べたように、実施形態5から実施形態7によれば、実施形態1から実施形態4における効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
本実施形態によれば、固体電解質層7が非結晶性の第1電解質7aと、第1電解質7aよりも高いイオン伝導性を示す結晶性の第2電解質7bとを有することにより、固体電解質層7のリチウムイオン伝導性がさらに向上する。これにより、リチウムイオン伝導性がさらに向上する電極複合体11、リチウム電池200、およびそれらの製造方法を提供することができる。
以下に、固体電解質層7が第1電解質7aと第2電解質7bとを含む場合の電極複合体、電極複合体の製造方法、電池、および電池の製造方法について、実施例10から実施例13、比較例5から比較例8を示し、図12および図13を参照して、本実施形態の効果をより具体的に説明する。図12は、各実施例および各比較例における電極複合体の構成を示す図表である。図13は、各実施例および各比較例の評価結果を示す図表である。
(実施例10)
<評価用試料の作製>
チタン粉末を過酸化水素水に溶解し、クエン酸を添加してペルオキソチタン酸クエン酸錯体水溶液を調製した。このペルオキソチタン酸クエン酸錯体水溶液に対して、硝酸リチウム、硝酸ランタン、クエン酸を添加し、第2電解質の前駆体を含む混合液としての液状体を調製した。次いで、液状体を、上述した実施例3と同様に作製した正極活物質層にディスペンサーを用いて滴下した。液状体が、多孔質の正極活物質層の空隙内部まで十分に浸透するまで静置した。その後、大気雰囲気下、500℃にて10分間熱処理を施して、Li0.35La0.55TiO3を形成材料とする第2電解質を形成した。
第2電解質を設けた正極活物質層ついて、実施例3と同様にLi2CO3およびLi3BO3の混合物から第1電解質を合成、粉砕した紛体を、加熱溶融して、上記正極活物質層に充填することで、固体電解質層を形成した。以降の工程は実施例1と同様に実施して、実施例10のリチウム電池を作製した。
別途、第2電解質の前駆体を含む上記液状体を700℃で焼成して、Li0.35La0.55TiO3を合成した。得られたLi0.35La0.55TiO3をメノウ鉢にて粉砕して、平均粒径500nm程度の紛体とした。この紛体を、上記の混合物と50:50の質量比で混合してペレット状とし、700℃にて8時間焼成した。次いで、スパッタリングによって直径5mm、厚さ100nmの白金電極を形成し、実施例10の、イオン伝導率測定用の固体電解質ペレット(直径10mm、実効径8mm、厚さ150μm)を得た。
(実施例11)
実施例11は、実施例10に対して、第1電解質および耐リチウム還元層における炭素およびホウ素の濃度を変更した水準である。炭素およびホウ素の濃度が図12に示した数値となるように、混合物ペレットのLi2CO3とLi3BO3との混合比、および水酸化リチウム熱処理時の二酸化炭素濃度を調整した。この他は、実施例10と同様にして、評価用の固体電解質ペレットおよびリチウム電池を作製した。
(実施例12および実施例13)
実施例12および実施例13は、図12に示すように、上述した実施例11と同様に、炭素およびホウ素の濃度を変更した。また、上述した剥離面に塗布する水酸化リチウム水溶液の塗布量を調整して、耐リチウム還元層の厚さを変更した。各水準の厚さの狙い値を図12に記載した。この他は、実施例10と同様にして、評価用のリチウム電池を作製した。
(比較例5および比較例6)
比較例5および比較例6は、実施例10に対する実施例11と同様に、炭素、ホウ素の濃度を変更した。図12に示すように、比較例5ではAC/Bが49を超え、BC/Bが99を超え、比較例6ではAC/Bが0.25未満、BC/Bが1未満とした。この他は、実施例10と同様にして、評価用の固体電解質ペレットおよびリチウム電池を作製した。
(比較例7および比較例8)
比較例7および比較例8は、実施例12および実施例13に対して、水酸化リチウム水溶液の塗布量を調整して、耐リチウム還元層の厚さを変更した。厚さの狙い値を図12に記載した。耐リチウム還元層の厚さは、比較例7が0.1μm未満、比較例8が10μm超とした。この他は、実施例12および実施例13と同様にして、評価用のリチウム電池を作製した。
<評価>
実施例10から実施例13、および比較例5から比較例8にて作製した試料について、実施例1または実施例5と同様に評価を実施した。その結果を図13に記載した。
図13に示したように、評価結果から、実施例10から実施例13によれば、イオン伝導性および耐リチウム還元層の抵抗値が優れ、短絡することなく充放電動作が可能であることが示された。
一方、図13に示したように、比較例5から比較例8では、実施例10から実施例13と比べて、イオン伝導性や耐リチウム還元層の抵抗値が劣るもの、充放電動作が不可能であったり短絡が発生したものがみられた。これにより、比較例5から比較例8にリチウム電池では、実施例10から実施例13と比べて、電気的特性が劣るものであることが示された。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。
2…正極活物質層、2b…正極活物質、3,7…固体電解質層、3X…固体電解質、4X…レーザー照射、6…耐リチウム還元層、6X…水酸化リチウム溶液、7a…第1電解質、7b…第2電解質、7bX…液状体、10,11…電極複合体、30…負極、40…基板、100,200…リチウム電池。

Claims (14)

  1. 複合化された正極活物質層および固体電解質層と、耐リチウム還元層とを有する電極複合体であって、
    前記固体電解質層および前記耐リチウム還元層が、リチウム、ホウ素、炭素、酸素を含み、
    前記固体電解質層における、ホウ素に対する炭素のモル比AC/Bと、前記耐リチウム還元層における、ホウ素に対する炭素のモル比BC/Bとが、下記式(1)、(2)、(3)の関係を満たす電極複合体。
    C/B<BC/B ・・・(1)
    0.25<AC/B<49 ・・・(2)
    1.0<BC/B<99 ・・・(3)
  2. 前記耐リチウム還元層の厚さが0.1μm以上、10μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の電極複合体。
  3. 前記固体電解質層が、リチウム、ホウ素、炭素、酸素を含む第1電解質と、ホウ素および炭素を含まず、リチウム、酸素を含む第2電解質と、を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電極複合体。
  4. 前記正極活物質層には、正極活物質としてリチウム複合金属化合物が含まれることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電極複合体。
  5. 前記リチウム複合金属化合物が、二酸化コバルトリチウムを含むことを特徴とする請求項4に記載の電極複合体。
  6. 前記正極活物質層が多孔質体であって、前記正極活物質層の空隙に固体電解質が充填されて、前記正極活物質層と前記固体電解質層とが複合化されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電極複合体。
  7. 多孔質の正極活物質層と、固体電解質層と、耐リチウム還元層とを有する電極複合体の製造方法であって、
    固体電解質の融液と前記正極活物質層とを接触させて、前記正極活物質層の空隙に前記融液を充填して固化させ、前記正極活物質層と前記固体電解質層とを複合化する複合化工程と、
    前記正極活物質層と前記固体電解質層とが複合化した複合体の一面に水酸化リチウム溶液を塗布する塗布工程と、
    二酸化炭素濃度が1体積%以上の雰囲気下にて、600℃以上、前記固体電解質の融点未満の温度で加熱して、前記複合体の前記一面に前記耐リチウム還元層を形成する耐リチウム還元層形成工程と、を備え、
    前記固体電解質層および前記耐リチウム還元層が、リチウム、ホウ素、炭素、酸素を含んでいることを特徴とする電極複合体の製造方法。
  8. 前記複合化工程は、リチウム、酸素を含む第2電解質が混合された混合液と前記正極活物質層とを接触させて、前記正極活物質層の空隙に前記混合液を充填して固化し、前記正極活物質層における空隙の内部を含む表面に前記第2電解質を析出させる工程を、有していることを特徴とする請求項7に記載の電極複合体の製造方法。
  9. 前記複合化工程は、前記正極活物質層と前記固体電解質層とを、基板上で複合化して前記複合体を形成した後、前記基板から前記複合体を剥離する剥離工程を備え、
    前記塗付工程では、前記複合体における前記基板との剥離面に水酸化リチウム溶液を塗布することを特徴とする、請求項7または請求項8に記載の電極複合体の製造方法。
  10. 前記基板が透明基板であり、
    前記剥離工程では、前記基板側からレーザーを照射して、前記基板に固着した前記複合体を、レーザー加熱によって剥離することを特徴とする、請求項9に記載の電極複合体の製造方法。
  11. 前記透明基板がサファイア基板であることを特徴とする、請求項10に記載の電極複合体の製造方法。
  12. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載された電極複合体を有することを特徴とする電池。
  13. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載された電極複合体と、負極とを接合する工程を備えていることを特徴とする、電池の製造方法。
  14. 請求項7から請求項11のいずれか一項に記載の製造方法を用いて製造された電極複合体と、負極とを接合する工程を備えていることを特徴とする、電池の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110931845A (zh) * 2019-11-04 2020-03-27 浙江锋锂新能源科技有限公司 一种复合正极片、制备方法及固液混合锂蓄电池
GB2613570A (en) * 2021-12-06 2023-06-14 Dyson Technology Ltd Method of making a component for a solid-state electrochemical cell

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