JP2017139142A - 固体電解質、固体電解質の製造方法、および電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】高いイオン伝導率を有する固体電解質、その製造方法、および高性能の電池を提供する。【解決手段】本発明の固体電解質20は、第1の電解質22と第2の電解質24とを含み、複数の第1の電解質22の粒子が、第2の電解質24に分散して存在し、隣り合う第1の電解質22の粒子の粒子間距離L2が第1の電解質22の粒子のメジアン径L1よりも大きい。【選択図】図2
Description
本発明は、固体電解質、固体電解質の製造方法、および電池に関するものである。
携帯型情報機器をはじめとする多くの電気機器の電源にリチウム電池が一次電池及び二次電池として利用されている。リチウム電池では正極、電解質層、負極がこの順に積層され、電解質層はリチウムイオンの伝導を媒介する。近年、高エネルギー密度と安全性とを両立したリチウム電池として電解質層の形成材料に固体電解質を使用する全固体型リチウム電池が研究されている。その全固体型リチウム電池が特許文献1に開示されている。
特許文献1では、固体電解質であるチタン酸リチウムランタン粒子間の粒界にアモルファスのケイ素(Si)またはケイ素(Si)化合物を配置し、焼成することにより、粒界抵抗を低減して粒界導電率(イオン伝導率)を向上することが開示されている。
しかしながら、特許文献1における固体電解質は、アモルファスのケイ素(Si)またはケイ素(Si)化合物を実質的には焼結助剤としての効果を期待したものであり、十分な粒界抵抗の低減効果を得るには1000℃以上の高温焼結が必要となる。しかしながら、このような高温焼結を行った場合、電解質と活物質とが反応し、相互拡散して異相が形成されてしまい、イオン伝導率が低下してしまうという虞があった。
本発明は、少なくとも上述した課題を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る固体電解質は、全固体リチウム二次電池の固体電解質であって、第1の電解質と第2の電解質とを含み、複数の前記第1の電解質の粒子が、前記第2の電解質に分散して存在し、隣り合う前記第1の電解質の粒子の粒子間距離が前記第1の電解質の粒子のメジアン径よりも大きいことを特徴する。
本適用例によれば、第1の電解質の粒子間距離が第1の電解質のメジアン径よりも大きいことにより、第1の電解質の界面抵抗を大きく減じる効果が得られる分散状態が得られ、1000℃以上の高温焼結を経ずとも高いイオン伝導率を有する固体電解質を得ることができる。
[適用例2]上記適用例に記載の固体電解質において、前記メジアン径は1.95μmであり、前記第2の電解質は前記第1の電解質に対して体積比が36%〜75%であることが好ましい。
本適用例によれば、第2の電解質を第1の電解質に対して体積比が36%〜75%であることより、第1の電解質が有する界面抵抗を大きく減じるとともに特異的にイオン伝導率が上昇する効果を得ることができる。
[適用例3]上記適用例に記載の固体電解質において、前記第2の電解質の体積比は50%であることが好ましい。
本適用例によれば、第2の電解質を第1の電解質に対して体積比で50%とすることより、第1の電解質が有する界面抵抗をより大きく減じるとともに特異的にイオン伝導率がより上昇する効果を得ることができる。
[適用例4]上記適用例に記載の固体電解質において、前記第1の電解質はリチウムイオン伝導性のガーネット型結晶であって、前記第2の電解質はLiを含み、H、B、C、N、O、F、Al、Si、P、S、Cl、Ti、V、Zn、Ga、Ge、Br、Zr、Nb、Sr、Sn、Sb、I、Ba、La、Ta、W、およびBiのいずれか少なくとも2つ以上の元素を含むことが好ましい。
本適用例によれば、第1の電解質にイオン伝導性のガーネット型結晶を用いることで高いバルクイオン伝導性が期待できるほか、さらに第2の電解質がLiを含み、H、B、C、N、O、F、Al、Si、P、S、Cl、Ti、V、Zn、Ga、Ge、Br、Zr、Nb、Sr、Sn、Sb、I、Ba、La、Ta、W、およびBiのいずれか少なくとも2つ以上の元素を含む電解質を選択することで第1の電解質の粒界抵抗を大幅に低減する効果が得られる。
[適用例5]本適用例に係る固体電解質の製造方法は、メジアン径が6.2μmの第1の電解質を焼成する工程と、前記第1の電解質に対して重量比が13%〜37.5%の第2の電解質を溶融する工程と、を含むことを特徴とする。
本適用例によれば、メジアン径が6.2μmの第1の電解質を焼成し、第1の電解質に対して重量比が13%〜37.5%の第2の電解質を溶融することにより、メジアン径が1.95μmの第1の電解質を第1の電解質に対して体積比で36%〜75%の第2の電解質に分散することができるので、第1の電解質の界面抵抗を大きく減じる効果が得られる分散状態が得られ、1000℃以上の高温焼結を経ずとも高いイオン伝導率を有する固体電解質を製造することができる。
[適用例6]上記適用例に記載の固体電解質の製造方法において、前記第1の電解質に対して重量比が25%の第2の電解質を溶融する工程を含むことが好ましい。
本適用例によれば、第1の電解質に対して重量比が25%の第2の電解質を溶融することにより、第1の電解質が有する界面抵抗をより大きく減じるとともに特異的にイオン伝導率がより上昇する効果を得る固体電解質を製造することができる。
[適用例7]本適用例に係る電池は、上記適用例に記載の固体電解質と、固体電解質の第1の面に設けられた第1の電極と、前記第1の面と対向する第2の面側に設けられた第2の電極と、を有することを特徴とする。
本適用例によれば、固体電解質が第1の電極と第2の電極とに挟まれているため、第1の電極および第2の電極を介して固体電解質を充電及び放電させることができる電池を得ることができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材の尺度を実際とは異ならせている。
<実施形態>
[電池]
本実施形態に係る電池の例について、図1を参照して説明する。
[電池]
本実施形態に係る電池の例について、図1を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るリチウム電池1の構造を示す概略断面図である。
リチウム電池1は、第1の電極16と、正極層10と、分離層12と、負極層14と、第2の電極18と、がこの順に積層されて配置されている。なお、分離層12は、固体電解質で構成されていてもよい。
リチウム電池1は、第1の電極16と、正極層10と、分離層12と、負極層14と、第2の電極18と、がこの順に積層されて配置されている。なお、分離層12は、固体電解質で構成されていてもよい。
第1の電極16は、電池としての正極となる電極であり、正極層10の第1の面11aに配置されている。第1の電極16の材料には、正極層10と電気化学反応を生じず、かつ電子伝導性を有している材料であればいずれも好適に用いることができる。例えば、Cu、Mg、Ti、Fe、Co、Ni、Zn、Al、Ge、In、Au、Pt、Ag、およびPdからなる群から選ばれる1種の金属や、この群から選ばれる2種以上の金属を含む合金等を用いることができる。本実施形態では、例えば、第1の電極16の材料にCuを用いている。
正極層10は、空腔28を有する正極活物質26と、空腔28に配置された固体電解質20と、を備えている。正極活物質26には、例えばLiCoO2などが用いられる。正極活物質26内の空腔28は、空腔28同士が網目状に繋がっており、固体電解質20は分離層12に接している。
固体電解質20は、Li6.75La3Zr1.75Nb0.25O12などのイオン伝導性のガーネット型結晶である第1の電解質22と、Li3BO3などのイオン伝導体である第2の電解質24と、で構成されている。第1の電解質22にイオン伝導性のガーネット型結晶を用いることで高いバルクイオン伝導性が期待できる。また、イオン伝導体である第2の電解質24を加えることにより第1の電解質22の粒界抵抗を低減する効果を得ることができる。
固体電解質20は、Li6.75La3Zr1.75Nb0.25O12などのイオン伝導性のガーネット型結晶である第1の電解質22と、Li3BO3などのイオン伝導体である第2の電解質24と、で構成されている。第1の電解質22にイオン伝導性のガーネット型結晶を用いることで高いバルクイオン伝導性が期待できる。また、イオン伝導体である第2の電解質24を加えることにより第1の電解質22の粒界抵抗を低減する効果を得ることができる。
正極活物質26の空腔28が網目状に形成されているので、固体電解質20が網目状になっており、正極活物質26と固体電解質20とが広い面積で接触する。この為、正極活物質26と固体電解質20との間でリチウムイオンが移動し易くなっている。その結果、リチウム電池1は充放電サイクルを安定して行うことができる。
正極活物質26の構成材料としては、正極活物質のLiCoO2が用いられるが、この他には、LiNiO2、LiMn2O4、Li2Mn2O3、LiFePO4、Li2FeP2O7、LiMnPO4、LiFeBO3、Li3V2(PO4)3、Li2CuO2、LiFeF3、Li2FeSiO4、Li2MnSiO4、等のリチウム複酸化物、これらリチウム複酸化物の結晶内の一部原子が他の遷移金属、典型金属、アルカリ金属、アルカリ希土類、ランタノイド、カルコゲナイド、ハロゲン等で置換された固溶体等を挙げることができる。
分離層12は、正極層10と負極層14とが短絡することを防止する膜であり、例えばLi3PO4を窒素雰囲気下でスパッタリングして成膜した膜である。尚、分離層12は、固体電解質20で構成されていてもよい。
負極層14は、負極活物質としてLiが用いられ、分離層12上に配置されている。負極層14として用いることができる負極活物質としては、Li以外に、Nb2O5,V2O5,TiO2,In2O3,ZnO,SnO2,NiO,ITO(Snが添加された酸化インジウム)、AZO(アルミニウムが添加された酸化亜鉛)、GZO(ガリウムが添加された酸化亜鉛)、ATO(アンチモンが添加された酸化スズ)、FTO(フッ素が添加された酸化スズ)、TiO2のアナターゼ相、Li4Ti5O12、Li2Ti3O7等のリチウム複酸化物、Si、Sn、Si−Mn、Si−Co、Si−Niなどの金属および合金、炭素材料、炭素材料の層間にリチウムイオンが挿入された物質(LiC24、LiC6)などをいずれも用いることができる。
第2の電極18は負極となる電極であり、負極層14上に配置されている。
第2の電極18の材料は、負極層14と電気化学反応を生じず、かつ電子伝導性を有している材料であればいずれも好適に用いることができる。例えば、Cu、Mg、Ti、Fe、Co、Ni、Zn、Al、Ge、In、Au、Pt、Ag、およびPdからなる群から選ばれる1種の金属や、この群から選ばれる2種以上の金属を含む合金等を用いることができる。本実施形態では、例えば、第2の電極18の材料にCuを用いている。
このような構成とすることにより、リチウム電池1を充電するときはリチウムイオンが正極活物質26から負極となる第2の電極18側に移動し、放電するときはリチウムイオンが負極となる第2の電極18側から正極活物質26に移動する。
[固体電解質]
次に、上述したリチウム電池1に用いられる固体電解質20について、図2および図3を参照して説明する。図2は、本発明の実施形態に係る固体電解質の構造を示す概略断面図である。図3は、第2の電解質の第1の電解質に対する重量比と固体電解質のイオン伝導率との関係を示すグラフである。
次に、上述したリチウム電池1に用いられる固体電解質20について、図2および図3を参照して説明する。図2は、本発明の実施形態に係る固体電解質の構造を示す概略断面図である。図3は、第2の電解質の第1の電解質に対する重量比と固体電解質のイオン伝導率との関係を示すグラフである。
本実施形態の固体電解質20の特性を評価するために、図2に示すように、固体電解質20を試作し、評価を行った。
固体電解質20は、Li6.75La3Zr1.75Nb0.25O12などのイオン伝導性のガーネット型結晶である第1の電解質22とLi3BO3などのイオン伝導体である第2の電解質24とを混合したものである。
第1の電解質22であるLi6.75La3Zr1.75Nb0.25O12粒子は、LiNO3,La(NO3)3・6H2O,Zr(O4C9)4、およびNb(OC2H5)5を2−ブトキシエタノールに溶解した溶液を適当な比率で混合した前駆体を540℃程度で仮焼成し、これをさらに800℃で大気焼成することにより生成される。
なお、生成したLi6.75La3Zr1.75Nb0.25O12粒子のメジアン径L1は、粒子を2−プロパノールに分散させた分散液としてレーザー回折式粒度分布装置を用いた粒度分布測定により測定した結果、1.95μmである。また、生成したLi6.75La3Zr1.75Nb0.25O12粒子は、Li6.75La3Zr1.75Nb0.25O12結晶に帰属されていることを薄膜X線回折装置および断面の表面電界放射型電子顕微鏡の観察により確認している。
また、第1の電解質22の生成法は、有機金属化合物の加水分解反応等を伴う所謂ゾルゲル法や有機金属熱分解法などの溶液プロセスのほか、酸化物や無機化合物の粉末を前駆体として用いた所謂固相合成を用いてもよい。
第2の電解質24であるLi3BO3は、Li2CO3とB2O3の粉末を混合し、800℃で3時間加熱することで生成される。なお、生成した粉末の結晶相の帰属は、Li3BO3結晶であることを薄膜X線回折装置により確認している。
固体電解質20は、第1の電解質22に第2の電解質24を混合し、624MPaで錠剤成型した後、800℃で熱処理することで得られる。
ここで、第1の電解質22に対する第2の電解質24の重量比を0%〜50%の範囲で変化させた固体電解質20を試作し、第1の電解質22に対する第2の電解質24の重量比と固体電解質20のイオン伝導率との関係を測定した。その結果を図3に示す。図3は、横軸が、第1の電解質22に対する第2の電解質24の重量比であり、縦軸が試作した固体電解質20のイオン伝導率を表したグラフである。
固体電解質20における第1の電解質22であるLi6.75La3Zr1.75Nb0.25O12粒子の粒子間距離L2は、第1の電解質22に対する第2の電解質24の体積比は、クロスセクショナルポリッシャーで平滑処理した固体電解質20の試料断面を電子顕微鏡で観察することにより測定した結果、6.95μm〜12μmの範囲であり、Li6.75La3Zr1.75Nb0.25O12粒子のメジアン径L1(1.95μm)に比べ大きい。
また、固体電解質20のイオン伝導率の測定は、熱処理後の錠剤状の固体電解質20の表面にスパッタリングによりリチウム金属箔電極を形成し、インピーダンスアナライザーにより振幅20mV、周波数10kHz〜10MHzのインピーダンスを解析することにより求めた。
図3より、固体電解質20における第1の電解質22に対する第2の電解質24の重量比が13%〜37.5%の範囲において、イオン伝導率が5×10-6S/cm-1以上となり、重量比25%では、イオン伝導率が2×10-5S/cm-1以上となることがわかる。
これは、固体電解質20を生成する際の焼成温度が800℃と1000℃以下であるため、固体電解質20と正極活物質26とが相互拡散することによる異相の形成を抑えることができ、高いイオン伝導率となったと考えられる。
また、第1の電解質22の界面抵抗に適量の第2の電解質24が含まれることで、第1の電解質22の界面抵抗が大きく減じるとともに特異的にイオン伝導率が上昇したためと考えられる。
ここで、試作した固体電解質20の第1の電解質22に対する第2の電解質24の体積比は、クロスセクショナルポリッシャーで平滑処理した固体電解質20の試料断面を電子顕微鏡で観察することにより測定した。その結果、固体電解質20のイオン伝導率が5×10-6S/cm-1以上となるのが第1の電解質22に対する第2の電解質24の体積比36%〜75%の範囲である。また、固体電解質20のイオン伝導率が2×10-5S/cm-1以上となるのが体積比50%である。
ここで、上述したように、第1の電解質22の粒子間距離L2が第1の電解質22のメジアン径L1よりも大きいことにより、第1の電解質22の界面抵抗を大きく減じる効果が得られる分散状態が得られ、1000℃以上の高温焼結を経ずとも高いイオン伝導率を有する固体電解質20を得ることができる。
また、固体電解質20の第2の電解質24を第1の電解質22に対して体積比を36%〜75%とすることで、第1の電解質22が有する界面抵抗を大きく減じるとともに特異的にイオン伝導率が5×10-6S/cm-1以上に上昇する効果を得ることができる。更に、体積比を50%とすることで、2×10-5S/cm-1以上のより高いイオン伝導率を得ることができる。
なお、本実施形態では、第1の電解質22にガーネット型結晶のLi6.75La3Zr1.75Nb0.25O12を用いて説明したが、これに限定されず、示性式LiXM1M2O12で示されるイオン伝導性のガーネット型結晶で、イオン伝導性が高く電気化学的に安定な材料が好ましい。
M1としてはガーネット型結晶を形成する元素であればいずれも用いることができるが、特に、イオン伝導率が高い結晶を形成するためにZr、Nb、およびTaのいずれか1種以上が好ましい。
また、M2としては、ガーネット型結晶を形成する元素であればいずれも用いることができるが、特にイオン伝導率が高い結晶を形成するためにランタノイド元素が好ましく、特にLaが好ましい。
M1としてはガーネット型結晶を形成する元素であればいずれも用いることができるが、特に、イオン伝導率が高い結晶を形成するためにZr、Nb、およびTaのいずれか1種以上が好ましい。
また、M2としては、ガーネット型結晶を形成する元素であればいずれも用いることができるが、特にイオン伝導率が高い結晶を形成するためにランタノイド元素が好ましく、特にLaが好ましい。
さらに、ガーネット型結晶には、M1、M2に加え他の元素を添加することができる。添加物としてB、F、Mg、Al、Si、Sc、Cr、Co、Zn、Ga、Ge、Se、Sr、Y、Mo、In、Sn、Sb、Te、Ba、Ce、Pr、Nd、Hf、Ta、W、Pb、Biなどを1種以上含んでいてもよい。また、Li、La、Zr、Nb、および添加物の量と比率は他の電池材料との反応性や総イオン伝導率を制御するために、任意の値をとることができる。
また、本実施形態では、第2の電解質24にLi3BO3を用いて説明したが、これに限定されず、Liを含み、H、B、C、N、O、F、Al、Si、P、S、Cl、Ti、V、Zn、Ga、Ge、Br、Zr、Nb、Sr、Sn、Sb、I、Ba、La、Ta、W、およびBiのいずれか少なくとも2つ以上の元素を含んでいることが好ましい。
[電池の製造方法]
次に、上述したリチウム電池1の製造方法について、図4〜図11を参照して説明する。図4は、本発明の実施形態に係る電池の製造方法を示す工程図である。図5〜図11は、本発明の実施形態に係る電池の製造工程を説明する概略断面図である。なお、本実施形態では、第1の電解質22としてLi6.75La3Zr1.75Nb0.25O12を、第2の電解質24としてLi3BO3を例に挙げて説明する。
リチウム電池1の製造方法は、図4に示すように、正極層用多孔質体形成工程(Step1)と、本実施形態に係る固体電解質20の製造方法である焼成工程(Step2)および溶融工程(Step3)と、分離膜形成工程(Step4)と、負極層形成工程(Step5)と、電極形成工程(Step6)と、を含んでいる。
次に、上述したリチウム電池1の製造方法について、図4〜図11を参照して説明する。図4は、本発明の実施形態に係る電池の製造方法を示す工程図である。図5〜図11は、本発明の実施形態に係る電池の製造工程を説明する概略断面図である。なお、本実施形態では、第1の電解質22としてLi6.75La3Zr1.75Nb0.25O12を、第2の電解質24としてLi3BO3を例に挙げて説明する。
リチウム電池1の製造方法は、図4に示すように、正極層用多孔質体形成工程(Step1)と、本実施形態に係る固体電解質20の製造方法である焼成工程(Step2)および溶融工程(Step3)と、分離膜形成工程(Step4)と、負極層形成工程(Step5)と、電極形成工程(Step6)と、を含んでいる。
<正極層用多孔質体形成工程(Step1)>
先ず、正極層用多孔質体形成工程(Step1)では、正極層10を構成する正極活物質26による多孔質体を形成する。図5に示すように、正極活物質26のLiCoO2粒子を予め円盤状に成型してから1000℃で焼結し、焼結密度52%の空腔28を有する多孔質体を形成する。なお、空腔28は、空腔28同士が網目状に繋がっている。
先ず、正極層用多孔質体形成工程(Step1)では、正極層10を構成する正極活物質26による多孔質体を形成する。図5に示すように、正極活物質26のLiCoO2粒子を予め円盤状に成型してから1000℃で焼結し、焼結密度52%の空腔28を有する多孔質体を形成する。なお、空腔28は、空腔28同士が網目状に繋がっている。
<焼成工程(Step2)>
次に、焼成工程(Step2)では、多孔質体の正極活物質26にメジアン径L1が6.2μmのLi6.75La3Zr1.75Nb0.25O12粒子を2−ブトキシエタノールに溶解した溶液を充填し、140℃で乾燥後、850℃で焼成する。この工程により、図6に示すように、正極活物質26の空腔28内に第1の電解質22であるLi6.75La3Zr1.75Nb0.25O12粒子が形成される。なお、Li6.75La3Zr1.75Nb0.25O12粒子に代わり、LiNO3、La(NO3)3・6H2O、Zr(O4C9)4、およびNb(OC2H5)5を2−ブトキシエタノールに溶解した溶液を用いても構わない。
次に、焼成工程(Step2)では、多孔質体の正極活物質26にメジアン径L1が6.2μmのLi6.75La3Zr1.75Nb0.25O12粒子を2−ブトキシエタノールに溶解した溶液を充填し、140℃で乾燥後、850℃で焼成する。この工程により、図6に示すように、正極活物質26の空腔28内に第1の電解質22であるLi6.75La3Zr1.75Nb0.25O12粒子が形成される。なお、Li6.75La3Zr1.75Nb0.25O12粒子に代わり、LiNO3、La(NO3)3・6H2O、Zr(O4C9)4、およびNb(OC2H5)5を2−ブトキシエタノールに溶解した溶液を用いても構わない。
<溶融工程(Step3)>
溶融工程(Step3)では、624MPaで円盤状にプレスした第2の電解質24であるLi3BO3錠剤を、図7に示すように、Li6.75La3Zr1.75Nb0.25O12粒子が充填された正極活物質26上に静置し、800℃で加熱する。この工程により、図8に示すように、Li3BO3が溶解し、正極活物質26の空腔28内に含浸する。その後、冷却することでLi3BO3の溶融物がLi6.75La3Zr1.75Nb0.25O12粒子を含み固化し結晶化して固体電解質20となる。従って、正極活物質26の空腔28内にLi6.75La3Zr1.75Nb0.25O12粒子がLi3BO3に分散した固体電解質20を有する正極層10が形成される。なお、固体電解質20における第1の電解質22に対する第2の電解質24の重量比を、13%〜37.5%の範囲とすることで、固体電解質20において、5×10-6S/cm-1以上の高いイオン伝導率を有する固体電解質20を得ることができる。また、重量比25%とすると、2×10-5S/cm-1以上とより高いイオン伝導率を有する固体電解質20を得ることができる。
溶融工程(Step3)では、624MPaで円盤状にプレスした第2の電解質24であるLi3BO3錠剤を、図7に示すように、Li6.75La3Zr1.75Nb0.25O12粒子が充填された正極活物質26上に静置し、800℃で加熱する。この工程により、図8に示すように、Li3BO3が溶解し、正極活物質26の空腔28内に含浸する。その後、冷却することでLi3BO3の溶融物がLi6.75La3Zr1.75Nb0.25O12粒子を含み固化し結晶化して固体電解質20となる。従って、正極活物質26の空腔28内にLi6.75La3Zr1.75Nb0.25O12粒子がLi3BO3に分散した固体電解質20を有する正極層10が形成される。なお、固体電解質20における第1の電解質22に対する第2の電解質24の重量比を、13%〜37.5%の範囲とすることで、固体電解質20において、5×10-6S/cm-1以上の高いイオン伝導率を有する固体電解質20を得ることができる。また、重量比25%とすると、2×10-5S/cm-1以上とより高いイオン伝導率を有する固体電解質20を得ることができる。
<分離膜形成工程(Step4)>
次に、分離膜形成工程(Step4)では、図9に示すように、形成した正極層10の第2の面11b上に、正極層10と負極層14とが短絡することを防止するための分離層12を形成する。分離層12は、Li3PO4を窒素雰囲気下でスパッタリングして成膜することで形成される。
次に、分離膜形成工程(Step4)では、図9に示すように、形成した正極層10の第2の面11b上に、正極層10と負極層14とが短絡することを防止するための分離層12を形成する。分離層12は、Li3PO4を窒素雰囲気下でスパッタリングして成膜することで形成される。
<負極層形成工程(Step5)>
負極層形成工程(Step5)では、図10に示すように、正極層10の第2の面11b上に形成された分離層12上に、Liなどの真空蒸着法やスパッタ法で成膜することで負極層14を形成する。
なお、負極層14の形成法としては、有機金属化合物の加水分解反応等を伴う所謂ゾルゲル法や有機金属熱分解法などの溶液プロセスのほか、適当な金属化合物とガス雰囲気におけるCVD法、ALD法、固体負極活物質のスラリーを使用したグリーンシート法やスクリーン印刷法、エアロゾルデポジション法、適切なターゲットとガス雰囲気を用いたPLD、めっき、および溶射など、いずれを用いてもよい。
負極層形成工程(Step5)では、図10に示すように、正極層10の第2の面11b上に形成された分離層12上に、Liなどの真空蒸着法やスパッタ法で成膜することで負極層14を形成する。
なお、負極層14の形成法としては、有機金属化合物の加水分解反応等を伴う所謂ゾルゲル法や有機金属熱分解法などの溶液プロセスのほか、適当な金属化合物とガス雰囲気におけるCVD法、ALD法、固体負極活物質のスラリーを使用したグリーンシート法やスクリーン印刷法、エアロゾルデポジション法、適切なターゲットとガス雰囲気を用いたPLD、めっき、および溶射など、いずれを用いてもよい。
<電極形成工程(Step6)>
最後に、電極形成工程(Step6)では、図11に示すように、正極層10の第1の面11a上と、正極層10の第2の面11b側の負極層14上に、Ptなどをスパッタ法により堆積させて集電体である第1の電極16および第2の電極18を形成する。第1の電極16および第2の電極18の形成方法としては、スパッタ法以外に、真空蒸着、CVD、PLD、ALD、およびエアロゾルデポジション法等の気相堆積法、ゾルゲル法、有機金属熱分解法、およびめっきなどの湿式法等、いずれでもよい。
最後に、電極形成工程(Step6)では、図11に示すように、正極層10の第1の面11a上と、正極層10の第2の面11b側の負極層14上に、Ptなどをスパッタ法により堆積させて集電体である第1の電極16および第2の電極18を形成する。第1の電極16および第2の電極18の形成方法としては、スパッタ法以外に、真空蒸着、CVD、PLD、ALD、およびエアロゾルデポジション法等の気相堆積法、ゾルゲル法、有機金属熱分解法、およびめっきなどの湿式法等、いずれでもよい。
以上の工程によりリチウム電池1が完成する。
本実施形態によれば、リチウム伝導率の高い固体電解質20を用いているので、リチウム伝導率が低い電池に比べて短時間に充電することができる。そして、放電時には内部抵抗が低くなるので、電圧降下を低くすることができる。
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、第1の電解質22の粒子間距離L2が第1の電解質22のメジアン径L1よりも大きいことにより、第1の電解質22の界面抵抗を大きく減じる効果が得られる分散状態が得られ、1000℃以上の高温焼結を経ずとも高いイオン伝導率を有する固体電解質20を得ることができる。
(1)本実施形態によれば、第1の電解質22の粒子間距離L2が第1の電解質22のメジアン径L1よりも大きいことにより、第1の電解質22の界面抵抗を大きく減じる効果が得られる分散状態が得られ、1000℃以上の高温焼結を経ずとも高いイオン伝導率を有する固体電解質20を得ることができる。
(2)本実施形態によれば、第1の電解質22のメジアン径L1が1.95μmであり、第2の電解質24を第1の電解質22に対して体積比が36%〜75%であることより、第1の電解質22が有する界面抵抗を大きく減じるとともに特異的にイオン伝導率が上昇し、5×10-6S/cm-1以上のイオン伝導率を有する固体電解質20を得ることができる。
(3)本実施形態によれば、第2の電解質24の第1の電解質22に対して体積比を50%とすることより、第1の電解質22が有する界面抵抗をより大きく減じるとともに特異的にイオン伝導率がより上昇し、2×10-5S/cm-1以上のイオン伝導率を有する固体電解質20を得ることができる。
(4)本実施形態によれば、第1の電解質22にイオン伝導性のガーネット型結晶を用いることで高いバルクイオン伝導性が期待できるほか、さらに第2の電解質24がLiを含み、H、B、C、N、O、F、Al、Si、P、S、Cl、Ti、V、Zn、Ga、Ge、Br、Zr、Nb、Sr、Sn、Sb、I、Ba、La、Ta、W、およびBiのいずれか少なくとも2つ以上の元素を含む電解質を選択することで第1の電解質22の粒界抵抗を大幅に低減する効果が得られる。
(5)本実施形態によれば、メジアン径L1が6.2μmの第1の電解質22を800℃で焼成し、第1の電解質22に対して重量比が13%〜37.5%の第2の電解質24を溶融して、固体電解質20を製造することにより、メジアン径L1が1.95μmの第1の電解質22を第1の電解質22に対して体積比で36%〜75%の第2の電解質24に分散した固体電解質20となるので、第1の電解質22の界面抵抗を大きく減じる効果が得られる分散状態が得られ、1000℃以上の高温焼結を経ずとも5×10-6S/cm-1以上の高いイオン伝導率を有する固体電解質20を得ることができる。
(6)本実施形態によれば、第1の電解質22に対して重量比が25%の第2の電解質24を溶融して、固体電解質20を製造することにより、第1の電解質22を第1の電解質22に対して体積比で50%の第2の電解質24に分散した固体電解質20となるので、第1の電解質22が有する界面抵抗をより大きく減じるとともに特異的にイオン伝導率がより上昇し、2×10-5S/cm-1以上のイオン伝導率を有する固体電解質20を得ることができる。
(7)本実施形態によれば、高いイオン伝導率を有する固体電解質20を第1の電極16と第2の電極18とで挟み込んでいるので、第1の電極16および第2の電極18を介して固体電解質20を充電及び放電させることができるリチウム電池1を得ることができる。
1…電池としてのリチウム電池、10…正極層、11a…第1の面、11b…第2の面、12…分離層、14…負極層、16…第1の電極、18…第2の電極、20…固体電解質、22…第1の電解質、24…第2の電解質、26…正極活物質、28…空腔、L1…メジアン径、L2…粒子間距離。
Claims (7)
- 全固体リチウム二次電池の固体電解質であって、
第1の電解質と第2の電解質とを含み、
複数の前記第1の電解質の粒子が、前記第2の電解質に分散して存在し、
隣り合う前記第1の電解質の粒子の粒子間距離が前記第1の電解質の粒子のメジアン径よりも大きいことを特徴する固体電解質。 - 前記メジアン径は1.95μmであり、前記第2の電解質は前記第1の電解質に対して体積比が36%〜75%であることを特徴とする請求項1に記載の固体電解質。
- 前記第2の電解質の体積比は50%であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の固体電解質。
- 前記第1の電解質はリチウムイオン伝導性のガーネット型結晶であって、
前記第2の電解質はLiを含み、
H、B、C、N、O、F、Al、Si、P、S、Cl、Ti、V、Zn、Ga、Ge、Br、Zr、Nb、Sr、Sn、Sb、I、Ba、La、Ta、W、およびBiのいずれか少なくとも2つ以上の元素を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の固体電解質。 - 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の固体電解質の製造方法であって、
メジアン径が6.2μmの第1の電解質を焼成する工程と、
前記第1の電解質に対して重量比が13%〜37.5%の第2の電解質を溶融する工程と、を含むことを特徴とする固体電解質の製造方法。 - 前記第1の電解質に対して重量比が25%の第2の電解質を溶融する工程を含むことを特徴とする請求項5に記載の固体電解質の製造方法。
- 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の固体電解質と、
固体電解質の第1の面に設けられた第1の電極と、
前記第1の面と対向する第2の面側に設けられた第2の電極と、を有することを特徴とする電池。
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-
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- 2016-02-04 JP JP2016019523A patent/JP2017139142A/ja active Pending
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