JP2017142793A - エッジ部破断予測方法、プログラム及び記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】頂角の異なる2つ以上の円錐の穴広げ試験からそれぞれ得られる穴広げ率を入力する第1のステップと、2つ以上の異なる前記穴広げ率のデータから、2つ以上の異なる破断限界応力及び2つ以上の異なる半径方向の応力勾配を計算する第2のステップと、2つ以上の破断限界応力と2つ以上の応力勾配との関係から破断クライテリアを計算し、有限要素法による数値解析から得られる最大主応力と隣接する要素間における応力勾配とが破断クライテリアに達したときに破断したと評価する第3のステップとを含み、第1〜第3のステップを一連の工程として実行して得られた解析結果に基づいて、材料の成形性を評価する。
【選択図】図12
Description
図4の破断限界線に示されるように、破断限界線は歪み経路に依存して大きく変化することが知られている。例えば、(a)辺形経路の変化がなく線形の経路変化で負荷したときの破断限界線に比べ、(b)単軸引張り予歪み後に等2軸引張り変形を施す経路変化の場合、破断限界線は大きく増加する。(c)等2軸引張り予歪み後に単軸引張りを施す経路変化や、(d)等2軸引張り予歪み後に平面歪み引張り変形を施す経路変化の場合、破断限界線は減少することが多くの実験や数値解析から明らかになっている。プレス成形或いはプレス成形での予変形を受けた自動車車体部品の衝突変形過程では変形経路が大きく変化することが多く、実験から得られる破断限界線を用いて破断を評価する場合、変形経路に応じて無数の限界線を準備せざるを得ない。従って、実用上、破断の評価は比例負荷経路に対する破断限界線を用いることとなり、高い予測精度は期待できない。
穴広げ試験から得られる2つ以上の異なる穴広げ率を入力する第1のステップと、
前記2つ以上の異なる前記穴広げ率のデータから、前記2つ以上の異なる破断限界応力及び前記2つ以上の異なる半径方向の応力勾配を計算する第2のステップと、
前記2つ以上の破断限界応力と前記2つ以上の応力勾配との関係から破断クライテリアを計算し、有限要素法による数値解析から得られる最大主応力と隣接する要素間における応力勾配とが前記破断クライテリアに達したときに破断したと評価する第3のステップと
を含み、
前記第1のステップ〜前記第3のステップを一連の工程として実行して得られた解析結果に基づいて、前記材料の成形性を評価することを特徴とするエッジ部破断予測方法。
穴広げ試験から得られる2つ以上の異なる穴広げ率を入力する第1のステップと、
前記2つ以上の異なる前記穴広げ率のデータから、前記2つ以上の異なる破断限界応力及び前記2つ以上の異なる半径方向の応力勾配を計算する第2のステップと、
前記2つ以上の破断限界応力と前記2つ以上の応力勾配との関係から破断クライテリアを計算し、有限要素法による数値解析から得られる最大主応力と隣接する要素間における応力勾配とが前記破断クライテリアに達したときに破断したと評価する第3のステップと
を含み、
前記第1のステップ〜前記第3のステップを一連の工程として実行して得られた解析結果に基づいて、前記材料の成形性を評価することを特徴とするエッジ部破断予測プログラム。
鋼板の端部から亀裂が生じる伸びフランジ成形では、フランジ端部から内側に向けて歪みが小さくなるために材料端部は内側の拘束を受け、くびれの発生が抑制される。また、せん断加工時の鋼板端部に導入される微視的損傷の影響により、破断機構は複雑であり、従来のFLDによる破断予測では予測精度が確保できない。そこで、板端部からの歪み勾配と端部の打抜き状態を考慮した穴広げ試験の結果を活用したエッジ部の破断予測技術を想到した。
円錐ポンチによる穴広げ試験の概要を図5に示す。ここで、円錐ポンチの円錐面の法線とz軸とのなす角をφ(円錐ポンチの半頂角は90°−φとなる)とする。すると、軸対称に変形中の材料の要素のつりあい方程式は以下で与えられる。
破断クライテリアを求めるときの穴広げ試験としては、2つ以上の異なる頂角の円錐穴広げの他に、異なる穴径の素材を単一形状の円錐パンチ又は円筒パンチにより拡大する穴広げ試験を行うようにしても良い。異なる穴径の場合には、式(13)の初期穴径d0をそれぞれの穴径とすれば良い。
円錐パンチを用いた穴広げ試験の例として、60゜の円錐パンチを用い、素板中央に直径10mmの穴と直径50mmの穴を打抜いた素材を穴広げ試験に供した。その結果、直径10mmの穴及び直径50mmの素材を用いた穴広げ率は、それぞれ42%及び18%であった。この結果及び式(6),(9)〜(15)から、それぞれの初期穴径を用いたときの半径方向ひずみ分布を計算することができる。その結果を図10(a)に示す。ここで得られた2つ以上のひずみ勾配と穴縁での破断限界ひずみとの関係から決定した破断クライテリアを図10(b)に示す。
円筒パンチを用いる場合には、式(1)〜(12)に対して2φ=180゜とすれば同様に、破断クライテリアを計算することができる。ここでは、異なる穴径の素材を単一形状の円筒パンチ(パンチ肩半径10mm、ダイス肩半径10mm)を用い、素板中央に直径10mmの穴(d=10mm)と直径50mm(d=50mm)の穴を打抜いた素材を穴広げ試験に供した。その結果として、式(6),(9)〜(15)に対してφ=180゜として計算した穴縁の破断限界応力と穴縁からの距離との関係を図11(a)に、破断限界応力と応力勾配との関係を図11(b)に示す。
図12を用いて、自動車部品の衝突解析で破断の危険性を評価する例として、本実施形態の具体的構成を説明する。
上述した本実施形態による成形性予測評価方法の各ステップ(図12のステップS1〜S11等)は、コンピュータのRAMやROM等に記録されたプログラムが動作することによって実現できる。このプログラム及び当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は本実施形態に含まれる。
なお、パーソナルユーザ端末装置を用いる代わりに、エッジ部破断予測方法に特化された所定の計算機等を用いても良い。
Claims (19)
- 自動車車体部品の衝突変形過程における材料のエッジ部の破断を評価する方法であって、
穴広げ試験から得られる2つ以上の異なる穴広げ率を入力する第1のステップと、
前記2つ以上の異なる前記穴広げ率のデータから、前記2つ以上の異なる破断限界応力及び前記2つ以上の異なる半径方向の応力勾配を計算する第2のステップと、
前記2つ以上の破断限界応力と前記2つ以上の応力勾配との関係から破断クライテリアを計算し、有限要素法による数値解析から得られる最大主応力と隣接する要素間における応力勾配とが前記破断クライテリアに達したときに破断したと評価する第3のステップと
を含み、
前記第1のステップ〜前記第3のステップを一連の工程として実行して得られた解析結果に基づいて、前記材料の成形性を評価することを特徴とするエッジ部破断予測方法。 - 前記第1のステップにおいて、前記2つ以上の異なる頂角の円錐穴広げ試験から得られる夫々の前記穴広げ率を入力することを特徴とする請求項1に記載のエッジ部破断予測方法。
- 前記第1のステップにおいて、前記2つ以上の異なる初期穴径の前記材料を用いた単一形状の頂角の円錐工具による穴広げ試験から得られる前記穴広げ率を入力することを特徴とする請求項1に記載のエッジ部破断予測方法。
- 前記第1のステップにおいて、前記2つ以上の異なる初期穴径の前記材料を用いた単一形状の頂角の円筒工具による穴広げ試験から得られる前記穴広げ率を入力することを特徴とする請求項1に記載のエッジ部破断予測方法。
- 前記第2のステップにおいて、実験から測定した歪み空間で表記した周方向歪み分布εθ及び半径方向歪み分布εr、或いは理論的に推定した歪み分布を応力空間に変換することにより、周方向応力分布σθ及び半径方向応力分布σrを算出することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のエッジ部破断予測方法。
- 前記応力勾配であるdσθ/drを計算する際に、有限要素法の解析に用いる要素サイズを基準長さdrとすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のエッジ部破断予測方法。
- 前記2つ以上の破断限界応力と前記2つ以上の応力勾配とから破断クライテリアσcr=f(dσθ/dr)を計算し、有限要素法による数値解析から隣接する要素間における前記応力勾配であるds11/dr及び前記最大主応力であるσ11を求め、前記応力勾配であるds11/dr及び前記最大主応力であるσ11が破断クライテリアに達しているか否かの指標としてσ11/σcrを計算し、その結果をコンター表示することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のエッジ部破断予測方法。
- 数値解析の手段として有限要素法のうちの動的用解法を用いる場合に、数値解析から得られる塑性歪みを応力に変換したものを用いて、前記破断クライテリアと比較することを特徴とする請求項1〜4,7のいずれか1項に記載のエッジ部破断予測方法。
- 前記材料の変形応力の速度依存性を考慮した数値解析を用いて破断を評価する場合に、数値解析から得られる塑性歪みを変換して基準歪み速度における応力を求め、基準歪み速度における前記破断クライテリアと比較することを特徴とする請求項1〜4,7,8のいずれか1項に記載のエッジ部破断予測方法。
- 自動車車体部品の衝突変形過程における材料のエッジ部の破断を評価するためのプログラムであって、
穴広げ試験から得られる2つ以上の異なる穴広げ率を入力する第1のステップと、
前記2つ以上の異なる前記穴広げ率のデータから、前記2つ以上の異なる破断限界応力及び前記2つ以上の異なる半径方向の応力勾配を計算する第2のステップと、
前記2つ以上の破断限界応力と前記2つ以上の応力勾配との関係から破断クライテリアを計算し、有限要素法による数値解析から得られる最大主応力と隣接する要素間における応力勾配とが前記破断クライテリアに達したときに破断したと評価する第3のステップと
を含み、
前記第1のステップ〜前記第3のステップを一連の工程として実行して得られた解析結果に基づいて、前記材料の成形性を評価することを特徴とするエッジ部破断予測プログラム。 - 前記第1のステップにおいて、前記2つ以上の異なる頂角の円錐穴広げ試験から得られる夫々の前記穴広げ率を入力することを特徴とする請求項10に記載のエッジ部破断予測プログラム。
- 前記第1のステップにおいて、前記2つ以上の異なる初期穴径の前記材料を用いた単一形状の頂角の円錐工具による穴広げ試験から得られる前記穴広げ率を入力することを特徴とする請求項10に記載のエッジ部破断予測プログラム。
- 前記第1のステップにおいて、前記2つ以上の異なる初期穴径の前記材料を用いた単一形状の頂角の円筒工具による穴広げ試験から得られる前記穴広げ率を入力することを特徴とする請求項10に記載のエッジ部破断予測プログラム。
- 前記第2のステップにおいて、実験から測定した歪み空間で表記した周方向歪み分布εθ及び半径方向歪み分布εr、或いは理論的に推定した歪み分布を応力空間に変換することにより、周方向応力分布σθ及び半径方向応力分布σrを算出することを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載のエッジ部破断予測プログラム。
- 前記応力勾配であるdσθ/drを計算する際に、有限要素法の解析に用いる要素サイズを基準長さdrとすることを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載のエッジ部破断予測プログラム。
- 前記2つ以上の破断限界応力と前記2つ以上の応力勾配とから破断クライテリアσcr=f(dσθ/dr)を計算し、有限要素法による数値解析から隣接する要素間における前記応力勾配であるds11/dr及び前記最大主応力であるσ11を求め、前記応力勾配であるds11/dr及び前記最大主応力であるσ11が破断クライテリアに達しているか否かの指標としてσ11/σcrを計算し、その結果をコンター表示することを特徴とする請求項10〜15のいずれか1項に記載のエッジ部破断予測プログラム。
- 数値解析の手段として有限要素法のうちの動的用解法を用いる場合に、数値解析から得られる塑性歪みを応力に変換したものを用いて、前記破断クライテリアと比較することを特徴とする請求項10〜13,16のいずれか1項に記載のエッジ部破断予測プログラム。
- 前記材料の変形応力の速度依存性を考慮した数値解析を用いて破断を評価する場合に、数値解析から得られる塑性歪みを変換して基準歪み速度における応力を求め、基準歪み速度における前記破断クライテリアと比較することを特徴とする請求項10〜13,16,17のいずれか1項に記載のエッジ部破断予測プログラム。
- 請求項10〜18のいずれか1項に記載のエッジ部破断予測プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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