JP2019121391A - 成形性評価方法、プログラム及び記録媒体 - Google Patents

成形性評価方法、プログラム及び記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】板端部から内側に向けて歪み勾配を有する伸びフランジ部の破断の危険性を定量的に評価し、高強度で軽量な部品のプレス成形を実現する。【解決手段】被試験対象である薄板について、引張試験により得られる応力と歪みとの関係から穴広げ試験により得られる破断限界穴広げ率を理論的に計算し、破断限界穴広げ率に基づいて板端部の破断限界歪みを計算し、有限要素法による数値解析から得られる最大主歪みが破断限界歪みに達したときに破断の危険性が高いと評価する。【選択図】図12

Description

本発明は、成形性評価方法、プログラム及び記録媒体に関するものである。
近年、衝突安全性と軽量化の要請から、自動車車体への高強度鋼板の適用が急速に進展しつつある。これら高強度鋼板は板厚を増加させることなく、衝突時の吸収エネルギーや強度を高めることができる。しかしながら、鋼板の高強度化に伴う延性の低下は、プレス成形時の破断の危険性を高めるため、有限要素法による材料の破断予測とその高精度化のニーズは高まってきている。
成形時の破断に対する余裕度は、一般に、板厚減少率や成形限界線図(FLD)を用いて判断される。FLDは、破断限界を与える最大主歪みを最小主歪みごとに示した図であり、成形解析や衝突解析での破断評価に用いられている。実験によるFLDの測定方法は、一般に、予め金属板の表面にエッチング等によりサークル状又は格子状の模様を描いておき、液圧成形や剛体工具での張出し成形で破断させた後に、サークルの変形量から破断限界歪みを測定する。破断限界線は、様々な面内歪み比について金属板を比例負荷し、それぞれの歪み比での破断限界歪みを主歪み軸上にプロットして線で結ぶことで得られる(図1)。
一方、FLDの理論予測としては、Hillの局部くびれモデルとSwiftの拡散くびれモデルの併用、Marciniak-Kuczynski法、Storen-Riceモデル等、種々の手法がある。材料の延性破壊は局部くびれにより変形が局所化した位置で発生する。この局部くびれが発生すると極めて短時間で破断に至るため、実用上、破断限界は局部くびれ発生限界と考えることが多く、破断限界予測は塑性不安定の枠組みで取り扱うことが多い。このようにして得た破断限界線と有限要素法による数値シミュレーションの結果から得られる各部位の歪み状態との位置関係を比較することで破断の危険性を評価し、変形過程の歪みがこの限界歪みに達したときに破断、或いはその危険性が高いと判断する。
特開2011−140046号公報 特開2012−170993号公報
Hill, R.:J. Mech. Phys. Solids,4 (1956) 247
実験や理論予測から得られるFLDは、一様な応力状態のもとで材料が分離するとき、或いは局部くびれが生じるときを対象にしたものである(図2)。しかしながら、鋼板の端部から亀裂が生じる伸びフランジ成形では、フランジ端部から内側に向けて歪みが小さくなるために材料端部は内側の拘束を受け、くびれの発生が抑制される(図3)。即ち、伸びフランジ端部が一様分布における破断条件を満足しても内側では未だその条件に達していないので、内側の支持効果により全体としては塑性不安定状態とはなり得ず破断に至らない。この点が単軸引張りや張出しや深絞りのような一様応力場での局所くびれ発生と異なる点であり、伸びフランジ破断のようにフランジ端部から内側に向けて歪み勾配が存在する場合の塑性不安定発生条件は未だ解明されていない。
本発明は、板端部から内側に向けて歪み勾配を有する伸びフランジ部の破断の危険性を定量的に評価し、高強度鋼板における成形課題である伸びフランジ破断を未然に回避して、高強度で軽量な部品のプレス成形を実現することができる成形性評価方法、プログラム及び記録媒体を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明者らは、鋭意検討の結果、以下に示す発明の諸様態に想到した。本発明の要旨は、次の通りである。
1.被試験対象である薄板について、引張試験により得られる応力と歪みとの関係から穴広げ試験により得られる破断限界穴広げ率を理論的に計算する第1ステップと、
前記第1ステップで計算された前記破断限界穴広げ率に基づいて板端部の破断限界歪みを計算する第2ステップと、
有限要素法による数値解析から得られる最大主歪みが前記第2ステップで計算された前記破断限界歪みに達したときに破断の危険性が高いと評価する第3ステップと
を含み、
前記第1ステップ、前記第2ステップ、及び前記第3ステップを一連の工程として連続して実行し、得られた解析結果に基づいて前記薄板の成形性を評価することを特徴とする成形性評価方法。
2.前記第1ステップにおいて、円筒パンチの直径をD0、前記薄板の初期の穴の直径をd0、前記薄板の変形過程の穴の直径をd、前記薄板の厚みをt、前記薄板の穴縁から半径方向の周方向応力をσθ、加工硬化率をdσθ/dεθ、半径座標をrとしたときに、
を満足するようなdの値を計算し、前記破断限界穴広げ率である、
を計算することを特徴とする1.に記載の成形性評価方法。
3.前記薄板の穴縁から半径方向の周方向応力を、有限要素法による数値解析を用いて求めることを特徴とする2.に記載の成形性評価方法。
4.前記薄板の穴縁から半径方向の周方向応力を、有限要素法による数値解析により前記薄板の半径方向及び周方向の歪み分布を求め、前記歪み分布を用いて求めることを特徴とする2.に記載の成形性評価方法。
5.前記薄板の穴縁から半径方向の周方向応力を、実験により前記薄板の歪み分布を求め、前記歪み分布を用いて求めることを特徴とする2.に記載の成形性評価方法。
6.前記薄板の穴縁から半径方向の周方向応力を、級数展開又は直線近似により前記薄板の歪み分布を求め、前記歪み分布を用いて求めることを特徴とする2.に記載の成形性評価方法。
7.前記第1ステップの前に、せん断加工による打抜き部の損傷を計算する第4ステップを更に含み、
前記第1ステップ、前記第2ステップ、前記第3ステップ、及び前記第4ステップを一連の工程として連続して実行し、得られた解析結果に基づいて前記薄板の成形性を評価することを特徴とする1.〜6.のいずれか1つに記載の成形性評価方法。
8.前記第4ステップにおいて、せん断端面の硬さを用いて、穴縁のせん断端面に導入される塑性ひずみεθ及び前記薄板の穴縁から半径方向の周方向応力σθを計算することを特徴とする7.に記載の成形性評価方法。
9.前記第4ステップにおいて、前記薄板の初期の穴の直径d0と前記薄板の厚みtとの比d0/t、前記薄板の延性et、及びせん断加工時のパンチとダイのクリアランスcの関係を用いて、穴縁のせん断端面に導入される塑性ひずみεθ及び前記薄板の穴縁から半径方向の周方向応力σθを計算することを特徴とする7.に記載の成形性評価方法。
10.前記第4ステップにおいて、有限要素法によるせん断のシミュレーションにより、穴縁のせん断端面に導入される塑性ひずみεθ及び前記薄板の穴縁から半径方向の周方向応力σθを計算することを特徴とする7.に記載の成形性評価方法。
11.被試験対象である薄板について、引張試験により得られる応力と歪みとの関係から穴広げ試験により得られる破断限界穴広げ率を理論的に計算する第1ステップと、
前記第1ステップで計算された前記破断限界穴広げ率に基づいて板端部の破断限界歪みを計算する第2ステップと、
有限要素法による数値解析から得られる最大主歪みが前記第2ステップで計算された前記破断限界歪みに達したときに破断の危険性が高いと評価する第3ステップと
をコンピュータに実行させ、
前記第1ステップ、前記第2ステップ、及び前記第3ステップを一連の工程として連続して実行し、得られた解析結果に基づいて前記薄板の成形性を評価することを特徴とする成形性評価プログラム。
12.前記第1ステップにおいて、円筒パンチの直径をD0、前記薄板の初期の穴の直径をd0、前記薄板の変形過程の穴の直径をd、前記薄板の厚みをt、前記薄板の穴縁から半径方向の周方向応力をσθ、加工硬化率をdσθ/dεθ、半径座標をrとしたときに、
を満足するようなdの値を計算し、前記破断限界穴広げ率である、
を計算することを特徴とする11.に記載の成形性評価プログラム。
13.前記薄板の穴縁から半径方向の周方向応力を、有限要素法による数値解析を用いて求めることを特徴とする12.に記載の成形性評価プログラム。
14.前記薄板の穴縁から半径方向の周方向応力を、有限要素法による数値解析により前記薄板の半径方向及び周方向の歪み分布を求め、前記歪み分布を用いて求めることを特徴とする12.に記載の成形性評価プログラム。
15.前記薄板の穴縁から半径方向の周方向応力を、実験により前記薄板の歪み分布を求め、前記歪み分布を用いて求めることを特徴とする12.に記載の成形性評価プログラム。
16.前記薄板の穴縁から半径方向の周方向応力を、級数展開又は直線近似により前記薄板の歪み分布を求め、前記歪み分布を用いて求めることを特徴とする12.に記載の成形性評価プログラム。
17.前記第1ステップの前に、せん断加工による打抜き部の損傷を計算する第4ステップを更に含み、
前記第1ステップ、前記第2ステップ、前記第3ステップ、及び前記第4ステップを一連の工程として連続して実行し、得られた解析結果に基づいて前記薄板の成形性を評価することを特徴とする11.〜16.のいずれか1つに記載の成形性評価プログラム。
18.前記第4ステップにおいて、せん断端面の硬さを用いて、穴縁のせん断端面に導入される塑性ひずみεθ及び周方向応力σθを計算することを特徴とする17.に記載の成形性評価プログラム。
19.前記第4ステップにおいて、前記薄板の初期の穴の直径d0と前記薄板の厚みtとの比d0/t、前記薄板の延性et、及びせん断加工時のパンチとダイのクリアランスcの関係を用いて、穴縁のせん断端面に導入される塑性ひずみεθ及び周方向応力σθを計算することを特徴とする17.に記載の成形性評価プログラム。
20.前記第4ステップにおいて、有限要素法によるせん断のシミュレーションにより、穴縁のせん断端面に導入される塑性ひずみεθ及び周方向応力σθを計算することを特徴とする請求項17.に記載の成形性評価プログラム。
21.11.〜20.のいずれか1つに記載の成形性評価プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
本発明によれば、引張試験から得られる応力−歪みの関係から円筒穴広げ試験で得られる破断限界穴広げ率を理論的に計算することができ、これを成形シミュレーションに適用することで伸びフランジ破断の危険性を定量評価できる。これにより、高強度鋼板における成形課題である伸びフランジ破断を未然に回避し、高強度で軽量な部品のプレス成形を実現することが可能となる。
従来技術の説明に用いる成形限界線図(FLD)である。 一様応力状態での局部くびれを説明するための模式図である。 伸びフランジ部の板端部から内側に向けた歪み勾配を説明するための模式図である。 円筒穴広げ試験を説明するための模式図である。 実施例1で用いる円筒穴広げ試験条件を説明するための模式図である。 実施例1において、せん断端面の硬さから加工硬化状態を計算するための図である。 実施例1において、せん断加工因子と加工硬化状態との関係を示す特性図である。 実施例1において、せん断シミュレーションによりせん断端面の加工硬化状態を計算した模式図である。 円筒穴広げ試験における穴縁から半径方向の周方向歪み分布の計算結果を示す特性図である。 塑性不安定指標を計算した特性図である。 塑性不安定指標とストロークの関係を説明するための特性図である。 実施例2において、成形性評価方法を示すフロー図である。 成形性評価をした一例を示す模式図である。 実施例3において、成形性評価をした一例を示す模式図である。 パーソナルユーザ端末装置の内部構成を示す模式図である。
[成形性評価方法の基本アイデア]
以下において、被試験対象である薄板の応力をσij、歪みをεijとした場合、σijを時間微分した応力速度dσij/dt、εijを時間微分した歪み速度dεij/dtをσij,εijにドットを付した表記とする。同様に、周方向の歪みをεθ、半径方向の歪みをεr、板厚方向の歪みをεtとした場合、εθを時間微分した応力速度dεθ/dt、εrを時間微分した応力速度dεr/dt、εtを時間微分した歪み速度dεt/dtをεθ,εr,εtにドットを付した表記とする。
被試験対象である薄板の応力σij、歪みεij、応力速度dσij/dt、歪み速度dεij/dtにおいて、時間δhの後に、
の増分を生じたものとする。ここでδσijとδεijが唯一つに定まらない場合、任意の二つの解において対応する量の差をΔを付して表せば、以下の式が成立する(非特許文献1を参照)。
式(1)を任意の境界条件の下で取り扱うため、上式を物体の体積Vについて積分すると、以下の式が得られる。
式(2)と仮想仕事の原理と組み合わせ、δσijとδεijの解が唯一つに定まるための条件は、以下の式で表すことができる。
但し、Δνiは、可能な二つ以上の変形様式における速度の差を表す。
次に、式(3)を薄板の軸対称変形様式に適用する場合を考える。微小要素の釣り合い式、体積一定則を仮定し、半径座標r、板厚t、周方向の歪み速度dεθ/dt、周方向の応力σθ、半径方向の歪み速度dεr/dt、半径方向の応力σr、板厚方向の歪み速度dεt/dtを用いると、式(3)は以下の式で与えられる。
本発明者は、式(4)を穴広げ試験に適用し、破断が生じる限界穴広げ率を理論的に推定する方法に想到した。以下、本発明について詳細に説明する。
穴広げ試験では、材料に直径d0の円形の穴を開け、直径D0の円筒パンチにより穴を広げ、穴縁端部で亀裂が生じたときを破断限界とし、そのときの直径dと初期穴径d0から、穴広げ率λを得る(図4)。
λ=[(d−d0)/d0]×100
穴広げ試験は、穴縁から内側に向けて応力と歪みが小さくなる。このような非一様変形状態のときには、式(4)から判るように、穴縁の応力状態だけでなく材料の全領域にわたる応力分布と歪み履歴によって解が唯一に定まらない条件、いわゆる塑性不安定条件を考える必要がある。穴広げ試験における応力と歪み分布の履歴をvon Misesの降伏条件、等方硬化則、全歪み理論、材料の加工硬化がn乗硬化則
に従うものとすると、式(4)から塑性不安定条件は以下の式で与えられる。
ここで、Iが正の値を示すときには解が唯一つに定まり、逆に負の値を示すときに塑性不安定な状態である。即ち、穴縁で亀裂が生じる塑性不安定条件は式(5)が0のときと考えることができる。従って、穴広げの変形過程において時々刻々と式(5)を計算し、式(5)が0となるようなdの値(変形後の穴の直径)を決定すれば、それが穴縁で亀裂が生じるときの穴の直径である。
穴広げ試験は打抜き後の成形として行われることから、成形限界は、打抜き後のせん断端面に導入される損傷の影響を強く受ける。実際の生産現場では、板縁はせん断されたままであり、切削縁に比べて成形限界が低下することがある。せん断加工時に導入された端面の加工硬化の影響を考慮することにより、穴広げの成形限界を高い精度で予測することができる。
せん断端面の加工硬化状態は、端面の硬さを実測のうえ、素材の硬さHv−相当塑性ひずみεeq−相当応力σeqの関係と照合することで推定することができる。まず、打抜き端面の端面を切出し、断面の硬さHvを測定する。次に、端面の硬さから塑性ひずみを推定するため、引張試験により塑性ひずみεeq−ビッカース硬さHvの関係を求め、これを、
Hv=KHV(εHV+εeqn
で近似する。更に、引張試験により、素材の相当応力σeq−相当塑性ひずみεeqの関係
σeq=K(ε0+εeqn
を得る。ここで、KHV,K,ε0,nは材料パラメータである。以上、せん断端面の断面硬さHvを用いて、せん断時に導入された相当塑性ひずみεeq及び相当応力σeqを推定することができる。
更に、断面硬さから、せん断時の加工硬化状態を推定する方法を用い、種々の鋼板を対象として、せん断加工の実験により打抜き穴径d0と材料の板厚tとの比d0/t、材料の延性et、せん断加工時のパンチとダイのクリアランスcなどの材料・加工因子と加工硬化状態とを関連付けたデータベースを構築することも可能である。また、実験で求める以外にも、例えば有限要素法によるせん断シミュレーションにより相当塑性ひずみεeq及び相当応力σeqを求めることもできる。
[実施例]
以下、本発明の具体的な諸実施例について説明する。
(実施例1)
以下、1.6mm厚の590MPa級の高強度鋼板を例に採り、破断限界穴広げ率を計算する方法を説明する。ここでは、例えばパンチ肩半径10mmで直径90mmの円筒パンチと、ダイス肩半径3mmで直径96mmの円筒ダイスとを用い、直径150mmの素板中央に直径10mmの穴を打抜いたものを検討の対象に選定した(図5)。
せん断端面の加工硬化状態は、端面の硬さを実測のうえ、素材の硬さHv−相当塑性ひずみεeq−相当応力σeqの関係と照合することで推定する。まず。打抜き端面の端面を切出し、断面のビッカース硬さHvを測定した。硬さ測定位置を図6に示す。ここでは、圧痕荷重を100gfとして、穴抜き部から0.08mmの位置において、0.1mm間隔で測定を実施した。次に、打抜き端面の硬さから塑性ひずみを推定するため、引張試験により塑性ひずみεeq−ビッカース硬さHvの関係を求めた(図6)。ここでは、硬さと塑性ひずみとの関係を
Hv=310(0.078+εeq0.122
で近似した。
更に、引張試験により素材の相当応力σeq−相当塑性ひずみεeqの関係式
σeq=985(0.015+εeq0.122
を求めた。この関係式とせん断端面の断面硬さHvから、せん断時に導入された相当塑性ひずみεeq、相当応力σeqを推定した(図6)。穴縁での応力,ひずみは単軸状態のため、
εeq=εθ,σeq=σθ
である。せん断端面は、だれ、せん断面、破断面、ばりで構成されるが、ここではこのなかでより大きな加工硬化が導入されている破断面の相当塑性ひずみをせん断端面の塑性ひずみεblとした。
更に、この断面硬さから、せん断時の加工硬化状態を推定する方法を用い、種々の鋼板を対象として、せん断加工の実験により打抜き穴径d0と材料の板厚tとの比d0/t、材料の延性et、せん断加工時のパンチとダイのクリアランスcなどの材料・加工因子と加工硬化状態とを関連付けたデータベースを構築することも可能である。ここで、270MPa級の鋼板から1470MPa級の鋼板までの結果を整理したものを図7に示す。
一方、実験で求める以外にも、例えば有限要素法によるせん断シミュレーションにより相当塑性ひずみεeq及び相当応力σeqを求めることもできる。本実施例では、損傷を考慮できる延性破壊理論と、せん断加工シミュレーションとによりせん断端面の相当塑性ひずみ分布を解析した。ここでは、せん断加工シミュレーションに弾塑性有限要素法ソルバーであるAbaqus Explicitを用い、工具は剛体でモデル化し、軸対称条件を仮定して解析した。延性破壊条件式は以下の修正Cockroft式を採用した。
式中のDは損傷値、σ1は最大主応力、σeqは相当応力、εeqは相当塑性ひずみである。このDが材料固有のクライテリアに達した要素は延性破壊と判定され、その要素の剛性を低下させることによって、き裂進展を表現した。また、せん断加工中に生じる局所的な変形集中に対応するため、リメッシングを採用した、図8に、せん断シミュレーションにより得られた相当塑性ひずみの分布を示す。
本実施例において、せん断加工時の加工硬化の影響は、素材の加工硬化曲線を基に推定した相当塑性ひずみ量をオフセットさせた材料パラメータを、穴縁の要素群に入力することで考慮した。
穴広げ変形過程における穴縁から周方向歪みεθ、半径方向歪みεrの分布を得るため有限要素FEMによる数値シミュレーションを行なった。図9に、パンチストローク9mm,12mm,14.2mm,15.6mmにおける穴縁から半径方向への周方向歪み分布を示す。
数値シミュレーションにより歪み分布を計算することで高い近似精度が得られるが、有限要素モデルの構築等に必要な工程が煩雑になる。高い近似精度が要求されない場合には、歪み分布の級数展開や直線近似等で決定すれば良い。歪み分布の級数展開は軸対称変形を仮定し、微小要素の釣り合い式から以下の式(6),(7)のように理論的に解くことができる。
ここで、ξは無次元半径座標、(εθξ=0と(εrξ=0は穴縁の周方向歪みと半径方向歪み、b1〜c2は定数であり、以下の式で与えられる。
ここで、nは材料の加工硬化則をn乗近似したときの材料パラメータである。また、直線近似する場合には、穴縁の周方向歪み、半径方向歪みはそれぞれ式(9)から求め、材料の外周部で0になるように近似すれば良い。
一方、穴縁の周方向歪みと半径方向歪みは、上記の数値解析手法に代わって実験からも測定することができる。予め金属板の表面にエッチング等によりサークル状或いは格子状の模様を描いておき、穴広げ試験をした後に、サークルの変形量から破断限界歪みを測定することで得られる。
次に、穴縁から半径方向への周方向応力分布σθを計算する。先ず、板面内の半径方向歪みεr、周方向歪みεθから板厚方向歪みεtを、以下の体積一定則より求める。
εt=−(εθ+εr
また、材料の加工硬化特性はn乗硬化則に従うと仮定し、相当応力σeqと相当塑性歪みεeqとの関係は、cを定数として以下のようにする。
σeq=cεeq n
更に、相当塑性歪みεeqは、相当塑性歪み増分dεeqを歪み経路で積分することで得られる。例えば、von Misesの降伏関数を用いれば、以下のように表すことができる。
なお、必要に応じて高度な異方性降伏関数を用いても良いが、パラメータが多く、処理の際に板面内の方向まで考慮する必要が生じるため、煩雑な割には精度の向上代が十分ではなく、実用上は面内等方性を仮定した降伏関数で十分である。更に、周方向の応力成分は、降伏曲面の等方硬化と垂直則、平面応力を仮定して以下の式で表される。
次に、区分求積法により穴縁から材料の外周部まで積分することにより、式(5)を計算する。より正確に計算するには、縦壁部は平面歪み変形で周方向歪みは0であるので、パンチ肩と縦壁部の接続部まで積分すれば良い。穴縁から外側までの区間[d0/2,D0/2]で周方向応力分布σθは連続であるとし、この区間をn等分する。すると式(5)は次式となる。
ここで、変形後の板厚tは素板厚さt0と板厚方向歪みεtから次式で計算できる。
式(16)中の括弧内を計算するには、その部位の周方向応力σθと、そのときの材料の加工硬化率dσθ/dεθの値とが必要である。単軸応力状態での加工硬化率は引張試験から求めることができるが、変形中の多軸応力状態での加工硬化率を実験から求めることは容易ではない。そこで、剛塑性体、体積一定(非圧縮)、平面応力、von Misesの降伏局面、n乗硬化則による等方硬化、歪み速度空間塑性ポテンシャルと応力の垂直則を仮定し、引張試験から得られる応力−歪み曲線の関係から多軸引張変形の応力−歪みの関係を算出する。
板面内の周方向と半径方向をx1及びx2とし、板面法線方向をx3と定義する。更に、半径方向と周方向との歪み比βを次のようにし、以下の手順で計算する。
上記の操作を繰り返し、大変形域までの多軸引張変形下の応力−歪みの関係と、そのときの加工硬化率とを計算する。すると、これらと式(16)から穴広げ変形過程の塑性不安定指標Iを計算することができる。ここでは、穴縁から材料の最外周まで21分割し、区分ごとに塑性不安定指標を計算した。その結果の一例として、図10に、パンチストローク9mm及び14.2mmにおける区分求積法により求めたき裂塑性不安定指標の半径方向分布を示す。更に、図11に塑性不安定指標とストロークとの関係を示す。この図11から、ストロークの増加に伴い塑性不安定指標が減少することが判る。そして、この値が0となるようなdの値(変形後の穴の直径)のときに、穴縁で亀裂が生じる条件である。これにより、限界穴広げ率は約72%であることが計算できる。
本実施例によれば、せん断加工による打抜き部の損傷を計算することにより、穴広げの成形限界を高い精度で予測することができる。そして、引張試験から得られる応力−歪みの関係から円筒穴広げ試験で得られる破断限界穴広げ率を理論的に計算することができ、これを成形シミュレーションに適用することで伸びフランジ破断の危険性を定量評価できる。これにより、高強度鋼板における成形課題である伸びフランジ破断を未然に回避し、高強度で軽量な部品のプレス成形を実現することが可能となる。
(実施例2)
以下、実施例2について説明する。
図12を用いて、自動車部品の成形性を評価する例として、本発明の具体的構成を説明する。以下の各ステップ、特にステップS6〜S11における第1〜第5算出手段は、例えばコンピュータの中央処理装置(CPU)の各機能として実現される。
自動車部品である鋼板の成形性を評価するにあたり、先ず当該自動車の構造を設定した後(ステップS1)、CADを用いて自動車部品の形状を設定し(ステップS2)、3次元の部品形状をコンピュータ上に記録する(ステップS3)。ここで、金型を用いてプレス加工を行なうことが可能であるか否かを評価するために、金型CADにて金型を設計し(ステップS4)、目的に応じたソフトウェアを選択してコンピュータ上に記録する。
続いて、プレス成形解析用入力データ、具体的には、成形性評価に供する部品の材料パラメータ、板厚、成形条件、及び解析モデル(工具、素板の有限要素モデル)を設定する(ステップS5)。
続いて、第1算出手段は、引張試験により得られる応力と歪みとの関係を用いて、穴広げ試験により得られる破断限界穴広げ率を理論的に計算する。具体的には、プレス成形解析用入力データから理論的に破断限界穴広げ率を計算する(ステップS6)。
続いて、第2算出手段は、計算された破断限界穴広げ率λに基づいて板端部の破断限界歪み、即ち以下の破断クライテリアεcr=ln(1+λ/100)を計算する(ステップS7)。そして、第3算出手段は、成形解析を行い(ステップS8)、解析結果を出力する(ステップS9)。
破断危険率は、上記のようにして求めた破断クライテリアと変形過程の有限要素法によるシミュレーションの結果から得られる各要素の最大主歪みε11との比ε11/εcrを計算することで得られる。第4算出手段は、上記の比を計算し、最大主歪みε11が破断クライテリアに達したときに破断するものと、或いはその危険性が高いと判断する(ステップS10)。
しかる後、第5算出手段は、破断危険率をコンター表示し(ステップS11)、成形性(成形の可否)を判断する。このように、ステップS6〜S11を含めた一連の諸工程を連続して実行することにより、得られた解析結果に基づいて鋼板の成形性が評価される。
具体的な一例として、フランジ高さH=30mm、コーナーR=30mm、開き角θ=120゜の鞍型形状部品を、1.4mm厚の980MPa級高強度鋼板で成形したときの破断危険性を評価した結果を図13に示す。
本実施例によれば、引張試験から得られる応力−歪みの関係から円筒穴広げ試験で得られる破断限界穴広げ率を理論的に計算することができ、これを成形シミュレーションに適用することで伸びフランジ破断の危険性を定量評価できる。これにより、高強度鋼板における成形課題である伸びフランジ破断を未然に回避し、高強度で軽量な部品のプレス成形を実現することが可能となる。
(実施例3)
以下、実施例3について説明する。
図14を用いて、自動車部品の成形性を評価する例として、本発明の具体的構成を説明する。以下の各ステップ、特にステップS6〜S11における第1〜第5算出手段及びステップS16における第6算出手段は、例えばコンピュータの中央処理装置(CPU)の各機能として実現される。
本実施例では、実施例2と同様に、先ずステップS1〜S5を実行する。
続いて、第6算出手段により、せん断加工による打抜き部の損傷を計算し、この状態量を成形解析に入力する(ステップS16)。第6算出手段は、例えばせん断シミュレーションにより、打抜き端面に導入される塑性ひずみεblと相当応力σeqを算出する。
しかる後、実施例2と同様に、ステップS6〜S11を実行する。このように、ステップS16及びステップS6〜S11を含めた一連の諸工程を連続して実行することにより、得られた解析結果に基づいて鋼板の成形性が評価される。
本実施例によれば、せん断加工による打抜き部の損傷を計算することにより、穴広げの成形限界を高い精度で予測することができる。そして、引張試験から得られる応力−歪みの関係から円筒穴広げ試験で得られる破断限界穴広げ率を理論的に計算することができ、これを成形シミュレーションに適用することで伸びフランジ破断の危険性を定量評価できる。これにより、高強度鋼板における成形課題である伸びフランジ破断を未然に回避し、高強度で軽量な部品のプレス成形を実現することが可能となる。
(実施例4)
上述した本実施形態による成形性予測評価方法の各ステップ(図12のステップS5〜S11、図14のステップS16及びステップS5〜S11等)は、コンピュータのRAMやROM等に記録されたプログラムが動作することによって実現できる。このプログラム及び当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は本実施形態に含まれる。
具体的に、上記のプログラムは、例えばCD−ROMのような記録媒体に記録し、或いは各種伝送媒体を介し、コンピュータに提供される。上記のプログラムを記録する記録媒体としては、CD−ROM以外に、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、光磁気ディスク、不揮発性メモリカード等を用いることができる。他方、上記のプログラムの伝送媒体としては、プログラム情報を搬送波として伝搬させて供給するためのコンピュータネットワークシステムにおける通信媒体を用いることができる。ここで、コンピュータネットワークとは、LAN、インターネットの等のWAN、無線通信ネットワーク等であり、通信媒体とは、光ファイバ等の有線回線や無線回線等である。
また、本実施形態に含まれるプログラムとしては、供給されたプログラムをコンピュータが実行することにより本実施形態の機能が実現されるようなもののみではない。例えば、そのプログラムがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)或いは他のアプリケーションソフト等と共同して本実施形態の機能が実現される場合にも、かかるプログラムは本実施形態に含まれる。また、供給されたプログラムの処理の全て或いは一部がコンピュータの機能拡張ボードや機能拡張ユニットにより行われて本実施形態の機能が実現される場合にも、かかるプログラムは本実施形態に含まれる。
例えば、図15は、パーソナルユーザ端末装置の内部構成を示す模式図である。この図15において、1200はCPU1201を備えたパーソナルコンピュータ(PC)である。PC1200は、ROM1202またはハードディスク(HD)1211に記憶された、又はフレキシブルディスクドライブ(FD)1212より供給されるデバイス制御ソフトウェアを実行する。このPC1200は、システムバス1204に接続される各デバイスを総括的に制御する。
PC1200のCPU1201、ROM1202またはハードディスク(HD)1211に記憶されたプログラムにより、本実施形態の図12におけるステップS5〜S11、図14におけるステップS16及びステップS5〜S11の手順等が実現される。
1203はRAMであり、CPU1201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。1205はキーボードコントローラ(KBC)であり、キーボード(KB)1209や不図示のデバイス等からの指示入力を制御する。
1206はCRTコントローラ(CRTC)であり、CRTディスプレイ(CRT)1210の表示を制御する。1207はディスクコントローラ(DKC)である。DKC1207は、ブートプログラム、複数のアプリケーション、編集ファイル、ユーザファイル、ネットワーク管理プログラム等を記憶するハードディスク(HD)1211、及びフレキシブルディスク(FD)1212とのアクセスを制御する。ここで、ブートプログラムとは、パソコンのハードやソフトの実行(動作)を開始する起動プログラムである。
1208はネットワーク・インターフェースカード(NIC)であり、LAN1220を介して、ネットワークプリンタ、他のネットワーク機器、或いは他のPCと双方向のデータのやり取りを行う。
なお、パーソナルユーザ端末装置を用いる代わりに、成形性予測評価方法に特化された所定の計算機等を用いても良い。

Claims (21)

  1. 被試験対象である薄板について、引張試験により得られる応力と歪みとの関係から穴広げ試験により得られる破断限界穴広げ率を理論的に計算する第1ステップと、
    前記第1ステップで計算された前記破断限界穴広げ率に基づいて板端部の破断限界歪みを計算する第2ステップと、
    有限要素法による数値解析から得られる最大主歪みが前記第2ステップで計算された前記破断限界歪みに達したときに破断の危険性が高いと評価する第3ステップと
    を含み、
    前記第1ステップ、前記第2ステップ、及び前記第3ステップを一連の工程として連続して実行し、得られた解析結果に基づいて前記薄板の成形性を評価することを特徴とする成形性評価方法。
  2. 前記第1ステップにおいて、円筒パンチの直径をD0、前記薄板の初期の穴の直径をd0、前記薄板の変形過程の穴の直径をd、前記薄板の厚みをt、前記薄板の穴縁から半径方向の周方向応力をσθ、加工硬化率をdσθ/dεθ、半径座標をrとしたときに、
    を満足するようなdの値を計算し、前記破断限界穴広げ率である
    を計算することを特徴とする請求項1に記載の成形性評価方法。
  3. 前記薄板の穴縁から半径方向の周方向応力を、有限要素法による数値解析を用いて求めることを特徴とする請求項2に記載の成形性評価方法。
  4. 前記薄板の穴縁から半径方向の周方向応力を、有限要素法による数値解析により前記薄板の半径方向及び周方向の歪み分布を求め、前記歪み分布を用いて求めることを特徴とする請求項2に記載の成形性評価方法。
  5. 前記薄板の穴縁から半径方向の周方向応力を、実験により前記薄板の歪み分布を求め、前記歪み分布を用いて求めることを特徴とする請求項2に記載の成形性評価方法。
  6. 前記薄板の穴縁から半径方向の周方向応力を、級数展開又は直線近似により前記薄板の歪み分布を求め、前記歪み分布を用いて求めることを特徴とする請求項2に記載の成形性評価方法。
  7. 前記第1ステップの前に、せん断加工による打抜き部の損傷を計算する第4ステップを更に含み、
    前記第1ステップ、前記第2ステップ、前記第3ステップ、及び前記第4ステップを一連の工程として連続して実行し、得られた解析結果に基づいて前記薄板の成形性を評価することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の成形性評価方法。
  8. 前記第4ステップにおいて、せん断端面の硬さを用いて、穴縁のせん断端面に導入される塑性ひずみεθ及び前記薄板の穴縁から半径方向の周方向応力σθを計算することを特徴とする請求項7に記載の成形性評価方法。
  9. 前記第4ステップにおいて、前記薄板の初期の穴の直径d0と前記薄板の厚みtとの比d0/t、前記薄板の延性et、及びせん断加工時のパンチとダイのクリアランスcの関係を用いて、穴縁のせん断端面に導入される塑性ひずみεθ及び前記薄板の穴縁から半径方向の周方向応力σθを計算することを特徴とする請求項7に記載の成形性評価方法。
  10. 前記第4ステップにおいて、有限要素法によるせん断のシミュレーションにより、穴縁のせん断端面に導入される塑性ひずみεθ及び前記薄板の穴縁から半径方向の周方向応力σθを計算することを特徴とする請求項7に記載の成形性評価方法。
  11. 被試験対象である薄板について、引張試験により得られる応力と歪みとの関係から穴広げ試験により得られる破断限界穴広げ率を理論的に計算する第1ステップと、
    前記第1ステップで計算された前記破断限界穴広げ率に基づいて板端部の破断限界歪みを計算する第2ステップと、
    有限要素法による数値解析から得られる最大主歪みが前記第2ステップで計算された前記破断限界歪みに達したときに破断の危険性が高いと評価する第3ステップと
    をコンピュータに実行させ、
    前記第1ステップ、前記第2ステップ、及び前記第3ステップを一連の工程として連続して実行し、得られた解析結果に基づいて前記薄板の成形性を評価することを特徴とする成形性評価プログラム。
  12. 前記第1ステップにおいて、円筒パンチの直径をD0、前記薄板の初期の穴の直径をd0、前記薄板の変形過程の穴の直径をd、前記薄板の厚みをt、前記薄板の穴縁から半径方向の周方向応力をσθ、加工硬化率をdσθ/dεθ、半径座標をrとしたときに、
    を満足するようなdの値を計算し、前記破断限界穴広げ率である
    を計算することを特徴とする請求項11に記載の成形性評価プログラム。
  13. 前記薄板の穴縁から半径方向の周方向応力を、有限要素法による数値解析を用いて求めることを特徴とする請求項12に記載の成形性評価プログラム。
  14. 前記薄板の穴縁から半径方向の周方向応力を、有限要素法による数値解析により前記薄板の半径方向及び周方向の歪み分布を求め、前記歪み分布を用いて求めることを特徴とする請求項12に記載の成形性評価プログラム。
  15. 前記薄板の穴縁から半径方向の周方向応力を、実験により前記薄板の歪み分布を求め、前記歪み分布を用いて求めることを特徴とする請求項12に記載の成形性評価プログラム。
  16. 前記薄板の穴縁から半径方向の周方向応力を、級数展開又は直線近似により前記薄板の歪み分布を求め、前記歪み分布を用いて求めることを特徴とする請求項12に記載の成形性評価プログラム。
  17. 前記第1ステップの前に、せん断加工による打抜き部の損傷を計算する第4ステップを更に含み、
    前記第1ステップ、前記第2ステップ、前記第3ステップ、及び前記第4ステップを一連の工程として連続して実行し、得られた解析結果に基づいて前記薄板の成形性を評価することを特徴とする請求項11〜16のいずれか1項に記載の成形性評価プログラム。
  18. 前記第4ステップにおいて、せん断端面の硬さを用いて、穴縁のせん断端面に導入される塑性ひずみεθ及び前記薄板の穴縁から半径方向の周方向応力σθを計算することを特徴とする請求項17に記載の成形性評価プログラム。
  19. 前記第4ステップにおいて、前記薄板の初期の穴の直径d0と前記薄板の厚みtとの比d0/t、前記薄板の延性et、及びせん断加工時のパンチとダイのクリアランスcの関係を用いて、穴縁のせん断端面に導入される塑性ひずみεθ及び前記薄板の穴縁から半径方向の周方向応力σθを計算することを特徴とする請求項17に記載の成形性評価プログラム。
  20. 前記第4ステップにおいて、有限要素法によるせん断のシミュレーションにより、穴縁のせん断端面に導入される塑性ひずみεθ及び前記薄板の穴縁から半径方向の周方向応力σθを計算することを特徴とする請求項17に記載の成形性評価プログラム。
  21. 請求項11〜20のいずれか1項に記載の成形性評価プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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