JP2016168615A - 穴広げ率予測方法および穴広げ率予測装置 - Google Patents

穴広げ率予測方法および穴広げ率予測装置 Download PDF

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Abstract

【課題】伸びフランジ割れの一種である穴広げ試験による材料割れが発生した段階での穴広げ率を定量的に予測することができる技術を提供する。【解決手段】途中止め単軸引張試験により公称ひずみ量に対するボイド体積率をあらかじめ求め、求めたボイド体積率に、有効ボイド体積率を求める計算式を用いて算出される有効ボイド体積率が合わせ込まれるように、計算式の材料パラメータfN,εN、SN、fc,およびffの値を決定し、穴広げ試験の計算モデルを用いて有限要素法による薄板プレス成形シミュレーションを行い、メッシュ毎の応力ないしひずみを計算すると同時に、塑性体積ひずみおよび塑性ひずみと、決定された上記パラメータの値を用いて、有効ボイド体積率の計算式により有効ボイド体積率f*を計算し、全てのメッシュについてf*が破断時のボイド体積率ffを超えたときの穴の直径を伸びフランジ割れ発生時の穴の直径として導出する。【選択図】 図1

Description

本発明は、金属材料における穴広げ率予測方法および穴広げ率予測装置に関する。
金属材料のプレス成形加工により部品を製造する際の成形不具合として、材料破断現象である割れが発生することがある。これを加工前に予測することは非常に重要であり、近時、有限要素法等によるシミュレーションを利用して割れを予測することが定常的に行われている。
このようなシミュレーションを利用して割れを予測する手法としては、成形限界線図(以下、FLDと記す)等の限界歪を実験的あるいは理論的に導出しておき、その限界歪と薄板プレス成形シミュレーションにより計算される歪とを比較することにより割れ発生有無を判定する方法が知られている(例えば非特許文献1参照)。
また、Cockcroft & Lathamの式等で知られている相当応力を相当ひずみで積分する積分型ダメージモデルを用いて、臨界ダメージ値を実験的に導出しておき、その臨界ダメージ値とプレス成形シミュレーションにより計算されるダメージ値とを比較することにより割れ発生有無を判定する方法も知られている(例えば非特許文献2参照)。
したがって、従来、割れ発生箇所および発生時点の予測には、ある程度定量性が得られている。例えば、特許文献1には、伸びフランジ割れを回避する部品形状を事前評価するため、成形限界線図を用いたコンピュータシミュレーションによりプレス成形の際の伸びフランジ割れの予測を可能にした技術が開示されている。
特開2010−69533号公報
ハイテンハンドブック, 自動車用材料共同調査研究会編, 2008 塑性と加工, 42(2001), 949-953
しかし、非特許文献1等に記載されたFLD等の限界歪を用いて割れ発生有無の判定する方法では、原理的に平面歪場においてのみでしか割れの発生を予測できない問題点があった。また、非特許文献2等に記載された相当応力を相当ひずみで積分する積分型ダメージモデルを用いて割れ発生有無の判定する方法では、単純なプレス成形において割れ判定有無を定性的に判定することはできているが、伸びフランジ割れの一種である穴広げ試験による材料の割れなど、複雑な歪履歴を経て発生する割れを定量的に予測することが困難であった。
足回り部品、ホイールディスク等の多くの自動車部品では、結合部位を成形するために伸びフランジ成形が利用されており、そのため、伸びフランジ成形性を評価するために、伸びフランジ割れの一種である穴広げ試験による材料割れを定量的に予測する技術は、自動車部品成形のコストダウンへとつながり非常に重要であるが、そのような技術は未だ得られていない。
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、伸びフランジ割れの一種である穴広げ試験による材料割れが発生した段階での穴広げ率を定量的に予測することができる技術を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の(1)〜(4)を提供する。
(1)穴広げ試験の計算モデルを用いて有限要素法による薄板プレス成形シミュレーションを行って金属板の穴広げ率を予測する際に、ボイドの生成、成長、連結過程を加味した有効ボイド体積率を下記(I)、(II)式により計算して金属板の割れの発生を予測し、それに基づいて金属板の穴広げ率を予測する穴広げ率予測方法であって、
前記金属板を構成する材料からなる試験片を用いて、途中止め単軸引張試験により公称ひずみ量に対する試験片中央部のボイド体積率を同定する工程と、
前記途中止め単軸引張試験により得られた公称ひずみ量に対する試験片中央部のボイド体積率に、下記(I)、(II)式を用いて算出されるボイド体積率が合わせこまれるように、下記(I)、(II)式における材料パラメータであるf,ε、S、f、およびfの値をあらかじめ決定する工程と、
前記有限要素法による薄板プレス成形シミュレーションにより有限要素法の要素毎の応力ないしひずみを計算すると同時に、その際に計算される塑性体積ひずみおよび塑性ひずみの値、および、あらかじめ決定されたf,ε、S、f、およびfの値を用いて下記(I)、(II)式により、有限要素法の要素毎に有効ボイド体積率fを計算する工程と、
前記有効ボイド体積率fと材料固有の臨界値である破断時のボイド体積率fとを比較する工程と、
前記有効ボイド体積率fがfを超えたときに有限要素法の要素が破損したと判断し、穴広げ試験モデルの穴の板厚方向の要素がすべて破損したときの穴の直径dを、伸びフランジ割れ発生時の穴の直径として導出する工程と、
導出された穴の直径dから、下記(III)式により穴広げ率λを計算する工程と
を有することを特徴とする穴広げ率予測方法。
(2)前記f,ε、S、f、およびfの値をあらかじめ決定する工程は、横軸に公称ひずみ量をとり、縦軸にボイド体積率をとった座標に、前記単軸引張試験により測定されたボイド体積率をプロットし、そのプロットと前記(I)、(II)式を用いて算出されるボイド体積率のカーブが合うようにf,ε、S、f、およびfの値を調節し決定することを特徴とする(1)に記載の穴広げ率予測方法。
(3)穴広げ試験の計算モデルを用いて有限要素法による薄板プレス成形シミュレーションを行って金属板の穴広げ率を予測する際に、ボイドの生成、成長、連結過程を加味した有効ボイド体積率を下記(I)、(II)式により計算して金属板の割れの発生を予測し、それに基づいて金属板の穴広げ率を予測する穴広げ率予測装置であって、
前記金属板を構成する材料からなる試験片の途中止め単軸引張試験により同定された公称ひずみ量に対する試験片中央部のボイド体積率に、下記(I)、(II)式を用いて算出されるボイド体積率が合わせこまれるようにあらかじめ決定された下記(I)、(II)式における材料パラメータであるf,ε、S、f、およびfの値を格納するデータ格納部と、
前記有限要素法による薄板プレス成形シミュレーションにより有限要素法の要素毎の応力ないしひずみを計算すると同時に、その際に計算される塑性体積ひずみおよび塑性ひずみの値、および、あらかじめ決定されたf,ε、S、f、およびfの値を用いて下記(I)、(II)式により、有限要素法の要素毎に有効ボイド体積率fを計算する機能、前記有効ボイド体積率fと材料固有の臨界値である破断時のボイド体積率fとを比較する機能、前記有効ボイド体積率fがfを超えたときに有限要素法の要素が破損したと判断し、穴広げ試験モデルの穴の板厚方向の要素がすべて破損したときの穴の直径dを、伸びフランジ割れ発生時の穴の直径として導出する機能、および導出された穴の直径dから、下記(III)式により穴広げ率λを計算する機能を有する計算部と、
前記データ格納部から必要なデータを呼び出して、前記計算部に計算させる操作を行う操作部と
を有することを特徴とする穴広げ率予測装置。
(4)前記データ格納部に格納された前記f,ε、S、f、およびfの値は、横軸に公称ひずみ量をとり、縦軸にボイド体積率をとった座標に、前記単軸引張試験により測定されたボイド体積率をプロットし、そのプロットと前記(I)、(II)式を用いて算出されるボイド体積率のカーブが合うように調節され決定されたものであることを特徴とする(3)に記載の穴広げ率予測装置。
本発明によれば、延性材料の割れの要因と言われている加工中に生成されるボイドの生成−成長−連結過程を考慮してボイドの体積率を計算し、そのボイド体積率に基づいて延性材料である金属板の割れを予測するようにしたので、定量的にかつ高精度で穴広げ率を予測することができる。
本発明の実施形態に従って穴広げ率を予測する際の手順を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施形態に係る穴広げ率予測方法を実施するための穴広げ率予測装置を示すブロック図である。 (a)は鋼種Aの試験片を単軸引張により公称ひずみ32.0%与えた後、試験片中央部が観察面となるように切断および研磨を行い、ナイタール腐食後に撮影したSEM画像であり、(b)は(a)のSEM画像を二値化し、ボイドのみを可視化した画像である。 鋼種Aについて、途中止め単軸引張試験した際の公称ひずみ量に対するボイド体積率のプロット点と、式(I)、(II)を用いて計算したボイド体積率の曲線を示す図である。 鋼種Bについて、途中止め単軸引張試験した際の公称ひずみ量に対するボイド体積率のプロット点と、式(I)、(II)を用いて計算したボイド体積率の曲線を示す図である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
本実施形態においては、有限要素法を用いた薄板プレス成形シミュレーションにより鋼板の穴広げ率を予測する際に、材料加工中に生じるボイドの体積率の変化を加味する。
熱延鋼板のような延性材料の割れは、介在物周りあるいは析出物周りにおいて加工中にボイドが生成され、生成したボイドが成長、連結することにより生じる(第3版 鉄鋼便覧 昭和56年 529〜532ページ参照)。したがって、加工中に生じるボイドの生成、成長および連結過程を加味してシミュレーションを行えば、割れ発生の有無を正確に判定することができ、穴広げ率を定量的に精度良く予測することができる。
本実施形態では、一般的なシミュレーションと同様、実験と同一条件となるよう作成した穴広げ試験の計算モデル(例えば、二次元軸対称モデル)を用い、有限要素法による薄板プレス成形シミュレーションを行い、メッシュ毎の応力ないしひずみを計算するが、それに加えて、ボイドの生成、成長および連結過程を考慮した有効ボイド体積率を、以下の(I)、(II)式により算出し、これらにより算出される有効ボイド体積率fと材料固有の臨界値fとを比較し、有効ボイド体積率fが材料固有の臨界値fを超えたときに割れが発生したと判定する。
上記パラメータのうち塑性体積ひずみおよび塑性ひずみは、一般的な薄板プレス成形シミュレーションで用いられているパラメータであり、単軸引張試験等により得られる材料固有の応力ひずみ曲線を参照することで、有限要素法の要素であるメッシュ毎に計算される。
一方、上記(I)、(II)式により有効ボイド体積率を算出するには材料固有のパラメータであるf,ε、S、f,およびfを定める必要があるが、本発明では、これらのパラメータを、簡単に実施することができる単軸引張試験により定める。
具体的には、穴広げ率を求めようとする供試材のJIS5号試験片を複数準備し、その複数の試験片について、途中止め単軸引張試験を公称ひずみ量を変化させて行い、各公称ひずみ量の試験片について、初期の割れ発生部分である試験片中央部のボイド体積率を走査型電子顕微鏡(SEM)観察により同定する。そして、これにより得られた公称ひずみ量に対するボイド体積率に、上記(I)、(II)式を用いて算出されるボイド体積率を合わせこむように、上記パラメータf,ε、S、f,およびfの値を決定する。この際の合わせこみの手法は特に限定されない。例えば、横軸に公称ひずみ量をとり、縦軸にボイド体積率をとった座標に、単軸引張試験により測定されたボイド体積率をプロットし、そのプロットと上記(I)、(II)式を用いて算出されるボイド体積率のカーブが合うようにf,ε、S、f,およびfの値を調節し決定する手法をとることができる。このときの調節はトライアンドエラーで行うことができる。
なお、上記パラメータのうち、fについては、SEM観察により実際にボイドの連結が始まったと判断されるボイド体積率を用い、fについては、単軸引張試験において試験片が破断する直前のボイド体積率を用いる。また、ボイド体積率は、SEM観察により求めた面積率から、ボイド間隔等を用いて近似することにより求めることができる。
このとき、穴広げ率をできるだけ精度よく定量化するためには、JIS5号試験片の途中止め単軸引張試験を行った際に初期の割れ発生部分である試験片の中央部のボイド体積率を正確に測定することが好ましい。そのためには、正確に初期の割れ発生部分である試験片の中央部分を狙ってSEM観察することが重要であり、研磨による追い込みで試験片中央部を露出させることが好ましい。
実際のボイド体積率を同定するためのSEM観察は、単軸引張試験後の試験片をファインカッターにより切断、エメリー紙による研磨、バフ研磨により試験片中央部を露出させ、試験片中央部を1%のナイタール液により腐食し、ボイドにコントラストをつけることで実施することができる。
次に、以上に基づいて穴広げ率を予測する際の手順を、図1のフローチャートを参照して説明する。
最初に、上述したように、途中止め単軸引張試験を行い、試験片中央部のボイド体積率をSEM観察により同定することにより、公称ひずみ量に対するボイド体積率をあらかじめ求める(STEP1)。
次いで、STEP1により得られたボイド体積率に、上記(I)、(II)式を用いて算出される有効ボイド体積率が合せこまれるように、上記パラメータf,ε、S、f,およびfの値を決定する(STEP2)。
次いで、実験と同一条件となるよう作成した穴広げ試験の計算モデルを用いて有限要素法による薄板プレス成形シミュレーションを行う。ここでの計算モデルの概要は、初期径dの穴を有する試験片に対して、実際の穴拡げ試験と同じように試験片に応力が与えられるものである。そして、メッシュ毎の応力ないしひずみを計算すると同時に、メッシュ毎に計算される塑性体積ひずみおよび塑性ひずみと、STEP2で決定された上記パラメータf,ε、S、f,およびfの値を用いて、上記(I)、(II)式によりメッシュ毎に穴の直径dにおける有効ボイド体積率fを計算する(STEP3)。メッシュは板厚方向に、計算量と計算精度を考慮して設定する。
そして、STEP3で計算した有効ボイド体積率fと材料固有の臨界値(破断時のボイド体積率)fとを比較する(STEP4)。
有効ボイド体積率fがfを超えたときにメッシュが破損したと判断する。初期径dで割れが発生しなければ、穴の直径dを所定量大きくして(d=d+Δd)、前記STEP3からSTEP4を繰り返す。以降、割れが発生したと判断されるまで、計算を繰り返す。そして穴の直径dにおける板厚方向のメッシュがすべて破損したときに割れが発生したとし、そのときの穴の直径dを、伸びフランジ割れ発生時の穴の直径として導出する(STEP5)。つまり、実験では板厚方向に貫通亀裂が発生した段階での穴の直径を測定し、それに基づいて穴広げ率を導出するため、シミュレーションにおいても実験と同じく板厚方向のメッシュがすべて破損したときの穴の直径により穴広げ率を導出する。
STEP5で求めた穴の直径dから、下記(III)式により穴広げ率λを計算する(STEP6)。
λ={(d−d)/d}×100(%) (III)
ただし、d:初期径である。
次に、以上のような方法により穴広げ率を予測する穴広げ率予測装置について説明する。図2は、穴広げ率予測装置を示すブロック図である。
この穴広げ率予測装置1は、データ格納部2と、計算部3と、操作部4とを有している。
データ格納部2は、上述したように、途中止め単軸引張試験を行って、初期の割れ発生部分である試験片中央部のボイド体積率をSEM観察により同定し、これにより得られた公称ひずみ量に対するボイド体積率に、上記(I)、(II)式を用いて算出されるボイド体積率を合わせこむように決定された、上記パラメータf,ε、S、f,およびfの値が材料毎に格納されている。
計算部3は、コンピュータ(プロセッサ)で構成されており、実験と同一条件となるよう作成された穴広げ試験の計算モデルで有限要素法による薄板プレス成形シミュレーションを行い、メッシュ毎の応力ないしひずみを計算し、それと同時に、上記(I)、(II)式により、メッシュ毎に有効ボイド体積率fを計算する機能を有している。また、この機能の他に、計算された有効ボイド体積率fと材料固有の臨界値(破断時のボイド体積率)fとを比較する機能と、有効ボイド体積率fがfを超えたときにメッシュは破損したとし、穴の直径dにおける板厚方向のメッシュがすべて破損したときに割れが発生したと判断し、その穴の直径dを、伸びフランジ割れ発生時の穴の直径として導出する機能と、求められた穴の直径dから、上記(III)式により穴広げ率λを計算する機能とを有している。
操作部4は、キーボードやディスプレイ等からなり、データ格納部2から必要なデータを呼び出して、計算部3に計算させる操作を行う。また、計算結果を表示する。
このような穴広げ率予測装置1においては、操作部4によりデータ格納部2から該当する材料のデータを呼び出し、計算部3の機能により、上述のように有限要素法による薄板プレス成形シミュレーションを行い、メッシュ毎の応力ないしひずみを計算すると同時に、上記(I)、(II)式を用いて、メッシュ毎に有効ボイド体積率fを計算し、計算された有効ボイド体積率fと材料固有の臨界値(破断時のボイド体積率)fとを比較して、fがfを超えたときにメッシュは破損したとし、穴広げ試験モデルの穴の板厚方向のメッシュがすべて破損したときの穴の直径dを、伸びフランジ割れ発生時の穴の直径として導出し、求められた穴の直径dから、上記(III)式により穴広げ率λを計算する。
以上のように、本実施形態では、簡単に実施することができる途中止め単軸引張試験を用いて公称ひずみ量に対するボイド体積率をあらかじめ求め、求めたボイド体積率に、有効ボイド体積率を求める上記(I)、(II)式を用いて算出される有効ボイド体積率が合わせ込まれるように、材料パラメータf,ε、S、f,およびfの値を決定し、その材料パラメータを用いて上記(I)、(II)式により、延性材料の割れの要因と言われている加工中に生成されるボイドの生成−成長−連結過程を考慮してボイドの体積率を計算し、そのボイド体積率に基づいて延性材料である鋼板における伸びフランジ割れの一種である穴広げ試験による材料割れの発生を予測するようにしたので、定量的にかつ高精度で穴広げ率を予測することができる。
なお、鋼種や板厚によって公称ひずみ量とボイド体積率との関係は異なるが、ある鋼種および板厚について予測された穴広げ率は、類似の鋼種および板厚の穴広げ率の予測に用いることができる。また、所定の板厚の鋼板について予測された穴広げ率を内挿または外挿して異なる板厚の鋼板の穴広げ率を予測することもできる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々変形が可能である。例えば上記実施形態では、鋼板の穴広げ率を予測する場合について示したが、これに限らず他の金属材料でも適用可能である。
以下、本発明の実施例について説明する。
表1に示す炭素量0.33〜0.37からなる組成の熱延鋼板(鋼種A、B)を供試材として用い、これらの供試材について、複数本のJIS5号試験片を準備し、公称ひずみ量を変化させて途中止め単軸引張試験を行った。
その後、途中止め単軸引張試験後の試験片について、SEMにより初期の割れ発生部分である試験片中央部のボイド観察を行い、ボイド体積率を同定した。ボイド体積率の同定は、初期の割れ発生部分である試験片中央部が観察面となるよう、バフ研磨により追い込みを行って試験片中央部を露出させ、その観察面のSEM画像を用いて行った。このときのSEM画像を図3に示す。図3(a)は、鋼種Aの試験片を単軸引張により公称ひずみ32.0%与えた後、中央部が観察面となるように切断および研磨を行い、ナイタール腐食後に撮影したSEM画像であり、図3(b)は、図3(a)のSEM画像を二値化し、ボイドの部分のみを可視化した画像である。
公称ひずみ量が異なる複数のSEM画像を解析することにより、鋼種A、Bの途中止め単軸引張試験における公称ひずみ量に対するボイド体積率を求め、公称ひずみ量を横軸としボイド体積率を縦軸とした座標にプロットし、そのプロット点と、上記(I)、(II)式から計算されるボイド体積率が合うように、トライアンドエラーにより材料パラメータであるf,ε、S、f,およびfの値を同定した。このときの、鋼種Aについて、途中止め単軸引張試験した際の公称ひずみ量15.5%,23.0%,26.0%,29.0%,32.0%に対するボイド体積率のプロット点と、式(I)、(II)を用いて計算したボイド体積率の曲線を図4に示し、また、鋼種Bについて、途中止め単軸引張試験した際の公称ひずみ量15.5%,23.0%,26.0%,29.0%,31.5%に対するボイド体積率のプロット点と、式(I)、(II)を用いて計算したボイド体積率の曲線を図5に示す。このようにして求めた各鋼種の材料パラメータを表2に示す。
このようにして材料パラメータf,ε、S、f,およびfの値を同定した後、実験と同一条件となるよう作成した穴広げ試験の計算モデルである二次元軸対称モデルを用いて有限要素シミュレーションを行ってメッシュ毎の応力ないしひずみを計算し、それと同時に上記(I)、(II)式を用いて、ボイドの生成、成長および連結過程を考慮した有効ボイド体積率fを計算することで、上述したように材料の割れを予測して、上記(III)式により初期の穴径が10mmのときの穴広げ率の予測値を算出した(本発明例)。比較のため、従来使われてきた積分型ダメージモデルであるCliftの式を用いて算出した穴広げ率の予測値を算出した(比較例)。また、鋼種A、Bについて初期の穴径10mmで実際に穴広げ試験を行って穴広げ率の実験値を求めた。穴広げ試験は、基本的にJIS Z2256:2010に準拠したが、穴をあける手法については、JISで規定する打ち抜きではなく、実験によるばらつきを小さくするために機械加工(リーマ加工)を用いた。穴広げ率の実験値と、本発明例の計算値と、比較例の計算値とを表3に示す。なお、表3における実験値の±の値は実験誤差を示している。
表3から明らかなように、Cliftの式を用いて算出した穴広げ率(比較例)は実験値から大きく離れた値であったのに対し、本発明により計算した穴広げ率の計算値(本発明例)は、実験値に非常に近い値を示しており、本発明のほうが、従来の手法よりも穴広げ率を定量的に予測するうえで優れていることが確認された。
1 穴広げ率予測装置
2 データ格納部
3 計算部
4 操作部

Claims (4)

  1. 穴広げ試験の計算モデルを用いて有限要素法による薄板プレス成形シミュレーションを行って金属板の穴広げ率を予測する際に、ボイドの生成、成長、連結過程を加味した有効ボイド体積率を下記(I)、(II)式により計算して金属板の割れの発生を予測し、それに基づいて金属板の穴広げ率を予測する穴広げ率予測方法であって、
    前記金属板を構成する材料からなる試験片を用いて、途中止め単軸引張試験により公称ひずみ量に対する試験片中央部のボイド体積率を同定する工程と、
    前記途中止め単軸引張試験により得られた公称ひずみ量に対する試験片中央部のボイド体積率に、下記(I)、(II)式を用いて算出されるボイド体積率が合わせこまれるように、下記(I)、(II)式における材料パラメータであるf,ε、S、f、およびfの値をあらかじめ決定する工程と、
    前記有限要素法による薄板プレス成形シミュレーションにより有限要素法の要素毎の応力ないしひずみを計算すると同時に、その際に計算される塑性体積ひずみおよび塑性ひずみの値、および、あらかじめ決定されたf,ε、S、f、およびfの値を用いて下記(I)、(II)式により、有限要素法の要素毎に有効ボイド体積率fを計算する工程と、
    前記有効ボイド体積率fと材料固有の臨界値である破断時のボイド体積率fとを比較する工程と、
    前記有効ボイド体積率fがfを超えたときに有限要素法の要素が破損したと判断し、穴広げ試験モデルの穴の板厚方向の要素がすべて破損したときの穴の直径dを、伸びフランジ割れ発生時の穴の直径として導出する工程と、
    導出された穴の直径dから、下記(III)式により穴広げ率λを計算する工程と
    を有することを特徴とする穴広げ率予測方法。
  2. 前記f,ε、S、f、およびfの値をあらかじめ決定する工程は、横軸に公称ひずみ量をとり、縦軸にボイド体積率をとった座標に、前記単軸引張試験により測定されたボイド体積率をプロットし、そのプロットと前記(I)、(II)式を用いて算出されるボイド体積率のカーブが合うようにf,ε、S、f、およびfの値を調節し決定することを特徴とする請求項1に記載の穴広げ率予測方法。
  3. 穴広げ試験の計算モデルを用いて有限要素法による薄板プレス成形シミュレーションを行って金属板の穴広げ率を予測する際に、ボイドの生成、成長、連結過程を加味した有効ボイド体積率を下記(I)、(II)式により計算して金属板の割れの発生を予測し、それに基づいて金属板の穴広げ率を予測する穴広げ率予測装置であって、
    前記金属板を構成する材料からなる試験片の途中止め単軸引張試験により同定された公称ひずみ量に対する試験片中央部のボイド体積率に、下記(I)、(II)式を用いて算出されるボイド体積率が合わせこまれるようにあらかじめ決定された下記(I)、(II)式における材料パラメータであるf,ε、S、f、およびfの値を格納するデータ格納部と、
    前記有限要素法による薄板プレス成形シミュレーションにより有限要素法の要素毎の応力ないしひずみを計算すると同時に、その際に計算される塑性体積ひずみおよび塑性ひずみの値、および、あらかじめ決定されたf,ε、S、f、およびfの値を用いて下記(I)、(II)式により、有限要素法の要素毎に有効ボイド体積率fを計算する機能、前記有効ボイド体積率fと材料固有の臨界値である破断時のボイド体積率fとを比較する機能、前記有効ボイド体積率fがfを超えたときに有限要素法の要素が破損したと判断し、穴広げ試験モデルの板厚方向の要素がすべて破損したときの穴の直径dを、伸びフランジ割れ発生時の穴の直径として導出する機能、および導出された穴の直径dから、下記(III)式により穴広げ率λを計算する機能を有する計算部と、
    前記データ格納部から必要なデータを呼び出して、前記計算部に計算させる操作を行う操作部と
    を有することを特徴とする穴広げ率予測装置。
  4. 前記データ格納部に格納された前記f,ε、S、f、およびfの値は、横軸に公称ひずみ量をとり、縦軸にボイド体積率をとった座標に、前記単軸引張試験により測定されたボイド体積率をプロットし、そのプロットと前記(I)、(II)式を用いて算出されるボイド体積率のカーブが合うように調節され決定されたものであることを特徴とする請求項3に記載の穴広げ率予測装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019121391A (ja) * 2017-12-27 2019-07-22 日本製鉄株式会社 成形性評価方法、プログラム及び記録媒体

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