JP2012104042A - 均一伸びの予測方法および均一伸びの予測プログラム - Google Patents

均一伸びの予測方法および均一伸びの予測プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】複相組織を有する金属材料について、均一伸びを精度良く予測することが可能な均一伸びの予測方法および均一伸びの予測プログラムを提供する。
【解決手段】複相組織の画像と、各構成相の単相での応力と歪みとの関係式と、を入力し、画像をメッシュデータとするとともに、閾値を設定する初期設定工程と、有限要素解析によってボイドが生成する挙動を模擬する有限要素解析工程と、有限要素解析によって得られたSSカーブと、このSSカーブの微分曲線との交点の歪み量から均一伸びを算出する均一伸び算出工程と、を行い、有限要素解析工程は、複相組織の変形中の応力および歪みを算出する解析値算出工程と、閾値と相当塑性歪値とを比較する比較工程と、を有し、比較工程において相当塑性歪値が閾値よりも大きくなった場合に、解析値算出工程において要素をボイドに置き換えて有限要素解析を行なうことを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、複相組織を有する金属材料について、均一伸びを精度良く予測することが可能な均一伸びの予測方法および均一伸びの予測プログラムに関する。
金属材料は様々な分野で活用されているが、それらに求められる変形特性は年々より高性能なものになっている。例えば、自動車用の鋼板を例に取ると、材料に求められる代表的な変形特性として強度と延性が挙げられる。これらについて、衝突安全性とCO削減を目的とした軽量化の観点から、より高強度化が求められ、且つプレス成形性の向上の観点から、より高延性化が求められるようになってきている。
このような要求特性を満足する新材料を開発する際には、一般的には、種々の成分を有する材料を溶製、圧延加工、熱処理等を施して製造するにあたって、これらの条件を適正化することにより材料の最終的な組織を制御する。このような種々の材料を製造後、これらに対して実験的に引張試験等の特性評価を実施することで、組織と変形特性の関係を整理し、所望の変形特性を満足するための最適な組織形態を抽出する。
しかしながら、前記のような実験的な方法ではコストや時間が掛かるという問題点があり、実験をすることなく計算によって変形特性が予測できる技術に対する需要は大きい。このような技術が得られれば、コスト削減や時間短縮といった面だけでなく、変形特性に及ぼす組織形態の影響を予め予測し、材料設計の指針に反映させることが可能になるため、大幅な開発効率の向上が見込まれる。
ここで、例えば自動車用鋼板として用いられる鋼板の中に、フェライトとマルテンサイトよりなる複合組織鋼(DP鋼)がある。DP鋼は、軟質なフェライトにより延性を確保し、硬質なマルテンサイトにより強度が確保できるため、強度と延性の両立が可能であり、高強度で且つ成形性が要求される自動車用鋼板として広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。
軟質なフェライトと硬質なマルテンサイトが共存する複合組織鋼であるDP鋼において、前記のような変形特性を制御するためには、例えばフェライトとマルテンサイトの相分率、各相の強度(硬さ)、各相の分散状態等の様々な組織形態を適正に制御する必要がある。即ち、成分や熱処理条件を変化させて組織形態を制御すれば変形特性は変化するため、組織形態を最適に制御することによって所望の変形特性を得ることが可能になる。
特開昭55−122820号公報
これまでにも、有限要素法を活用したシミュレーションにより、材料の変形特性を予測する試みは行われてきた。しかしながら、従来の技術では、例えば、降伏応力(YS)、引張強度(TS)、均一伸び(u−EL)、局部伸び(l−EL)といった変形特性を予測するのに必要十分な精度を得ることが困難である。
つまり、変形特性を予測して材料設計に反映させるためには、変形特性に及ぼす組織形態の影響が考慮可能であることが必要である。しかしながら、従来の予測技術では、例えばDP鋼の組織の画像をコンピュータに取り込んで変形特性予測を行った場合、引張強度(TS)についてはある程度の精度での予測が可能であるが、均一伸び(u−EL)や局部伸び(l−EL)といった延性に関わるパラメータについては、実用に耐えうる精度での予測が非常に困難である。
ここで、DP鋼を対象として変形特性予測を行う場合を例に取って考察する。従来技術の範疇で組織形態の影響を取り込んで有限要素解析(FEM解析)で変形特性予測を実施する際には、例えば図6(a)に示すように、DP鋼におけるフェライトとマルテンサイトとの相分率に合わせた簡易的なメッシュデータ(以下、適宜、組織メッシュという)を作成し、各相単相での構成式(応力と歪みとの関係式:以下適宜、応力−歪関係式という)を与えた上で、例えば引張試験を模した単軸引張変形を付与して変形解析を実施する。この際のDP鋼全体の応力−歪関係式を計算し、これにより引張強度や伸びを算出する。その際には、図6(a)のような簡易的なメッシュではなく、例えば図6(b)のように、実組織の画像をコンピュータに取り込んでメッシュ分割する方法が用いられる場合もある。
しかしながら、このような従来方法でFEM解析を行う場合、例えば引張強度(TS)はある程度の精度で予測可能であるものの、延性については、必要十分な精度で予測することができない。本発明者らが金属材料の変形特性の予測方法について鋭意検討した結果、前記のような従来技術では特に延性の予測ができない要因として、材料に生じるボイドの影響をシミュレーションで再現できていないことに起因するとの結論に達した。
以下、図7を参照して従来技術の問題点を考察する。図7は、材料に単軸引張変形を付与した際の、公称応力−公称歪関係を示すグラフである。図7に示すように、一般的には、材料に単軸引張変形を付与すると、まず弾性変形を生じ、更に変形を進行させると、降伏現象が生じて弾塑性変形が始まる。更に変形を進行させると、材料の加工硬化率が低下し、歪の増分に対する応力増分の傾きが零になる点が出現する。この点を最大荷重点と呼び、この点における歪の値を均一伸び(u−EL)として評価している。また、変形開始から最大荷重点までの領域を均一変形領域と呼ぶ。その後更に変形を進行させると、加工硬化率がマイナスに転じて応力値は低下していく。この時点では、材料には不均一で局所的な変形が生じており、更に変形を進行させると破断に至る。最大荷重点から破断点までの歪を局部伸び(l−EL)と呼び、この領域を局部変形領域と呼ぶ。
ここで、材料を変形させると微小な空洞であるボイドが生成(発生)し、これが成長して破断に至る場合があることが知られている。しかしながら、一般的には、ボイドの生成、成長は、局部変形領域に到達してから始まると考えられていることから、均一変形領域の尺度を評価する指標である均一伸びには、ボイドは影響しないと考えられている。また、ボイドの挙動は局部変形領域の尺度を評価する局部伸びに対しては影響を及ぼすとの認識はあるものの、その影響は小さいと考えたり、ボイドの生成、成長をモデル化することが非常に困難であったり、更には非常に難解な破断の閾値を決定する必要があることから、局部変形領域のボイドの生成、成長挙動を考慮可能なシミュレーション技術は開発されていない。
一方、均一変形領域においては、前記のように、ボイドの生成、成長を考慮せずとも変形挙動を予測可能と考えられており、これまでにも均一伸びの予測は行われている。この場合、前記のように、簡易的に、または出来るだけ実組織に忠実に組織を取り込んだ組織メッシュを作成し、各相の単相での応力−歪関係式を入力して解析を実施する。その場合の均一伸びの算出方法は、以下の方法によるものが一般的である。
均一伸びは、最大荷重点における歪量であるため、最大荷重点を同定することが必要になる。最大荷重点とは、前記のように、公称応力−公称歪関係を示す曲線、すなわち公称応力−公称歪曲線における傾きが零になる点であるが、公称応力−公称歪曲線からこれを抽出するのは誤差を生じる可能性が高いため、通常は以下の(1)式に示す塑性不安定条件によって求めるのが一般的である。(1)式を満たす条件は、真応力と真歪との関係を示す曲線である真応力−真歪曲線(SSカーブ)と、この真応力−真歪曲線から得られる微分曲線との交点であり、この交点の歪量により均一伸びを算出する。なお、塑性不安定条件とは、「公称応力−公称歪曲線で傾きが0になる点」または「真応力−真歪曲線と真応力の微分曲線が交わる点」のことである。
しかしながら、前記の方法によりシミュレーションで算出した均一伸びの値は実験結果と乖離している場合が多く、実用的に耐えうる精度の予測技術には成りえていない。本発明者らが鋭意検討した結果、この乖離は特に複相組織を有する材料で顕著であることを見出した。複相組織を有する材料では、軟質相と硬質相との間で歪の分配が極端に生じるため、局所的な歪や応力、またはエネルギーの集中が顕著になる。この不均一な変形挙動は変形の初期段階から生じており、均一変形領域であってもミクロ的には急激に不均一な変形が進行するため、複相組織では均一変形領域からボイドが生成する。
図8に、フェライト2とマルテンサイト3が共存するDP鋼を用いて引張試験を行い、最大荷重点以下の歪量で変形を終了させた試験片について、この試験片から切り出したサンプルの断面を観察したSEM写真を示す。本試験片は、均一変形領域にまでしか到達していない(局部変形領域には到達していない)にも関わらず、ボイド1が観察された。ボイド1が生じた場合には、材料には応力集中が生じると考えられるので、均一変形領域でもボイド1が生じるのであれば、これを反映したモデル化を行わなければ実際の挙動から乖離が生じてしまい、均一伸びを精度良く予測することが出来なくなる。前記のように、複相組織を有する材料では特にその傾向が顕著になる。
ここで、従来方法においても、応力値の予測はある程度の精度で可能である。これは、複相組織における変形中の応力の値は、各相に分配される歪量に律速されるため、この値がある程度計算できれば、実態との乖離がそれほど生じないことによる。しかしながら、前記のように延性の予測については従来方法では困難である。これは、延性を支配する要因の一つとして、ボイドの挙動が影響してくることが挙げられ、これは、前記応力値の支配因子である各相間における歪の分配よりも、更に小さな領域で生じる歪や応力、エネルギーの集中に起因するものであり、これに支配されたボイドの挙動をモデル化する必要があるからである。従来方法においては、このボイドのモデル化ができていないため、延性の予測については難しいのである。
なお、現状でも、例えば、CAMP-ISIJ Vol.22(2009)-1327では、複相組織鋼の組織形態とボイドの生成挙動について考察されており、CAMP-ISIJ Vol.22(2009)-1328では、更にFEM解析と併用して、ミクロ組織に生じる微細変形挙動とボイドの生成挙動との関連について考察されている。しかしながら、これらはボイドの生成挙動と、組織形態もしくはFEM解析によるミクロ変形挙動との比較を実施し、ボイドの発生位置との相関を議論したものであり、FEM解析によりボイドを生成させ、更に変形を進める中でボイドが成長する挙動を計算し、最終的には均一伸びを予測する技術として完成させたものではない。
また、従来方法において、均一伸びを予測する際には、例えば以下のような方法を用いるのが一般的である。まず、例えば以下の(2)式に示すようなswiftの式によって、各相の構成式を与えた上でFEM解析を行い、計算結果として得られたSSカーブとその微分曲線との交点により、均一伸びを算出する。
ここで、各相のSSカーブについては、例えば実験的に各相単相の組織を作成し、これに対して引張試験を行ってSSカーブを測定する。そして(2)式にフィッティングを行って各定数を特定し、これをインプットデータとして解析を実施する。このように、単純にFEM解析を実施した場合でも、得られる複相組織のSSカーブには最大荷重点が存在し、その後の領域では加工硬化率がマイナスになる現象が得られる。しかしながら、本従来方法で得られる、公称応力−公称歪のSSカーブ上の応力低下は、加工硬化率の増加と断面積の減少との比較で決まるものであり、実現象で生じるボイドの生成、成長挙動をトリガーとしたネッキング現象の影響を考慮したものにはなっていない。実現象でのネッキングは、前記加工効果率と断面積の変化率との比較と、ボイドの挙動に起因したミクロ的な損傷による応力集中の影響との両方を含んだもので決定されるものであるため、このような方法で算出した均一伸びの値は、実現象を反映したものとは言えない。
このような理由で従来方法では均一伸びを精度良く予測できないため、初期不整を与えたり、特定のマクロ歪み量になった時に何らかの方法で強制的にトリガーを引いたりして、ネッキングを生じさせる方法も取り入れ、実験結果と合わせ込みを行う方法も検討されている。しかしながらこのような方法は、実験等で変形挙動(すなわち結果)が予め分かっている材料に対して、計算者が意図的、強制的に結果が合うようにトリガーを引いたものである。そのためこれらの方法では、結果が分かっていない材料の変形挙動を計算によって求めること、即ち予測することはできない。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、複相組織を有する金属材料について、均一伸びを精度良く予測することが可能な均一伸びの予測方法および均一伸びの予測プログラムを提供することを課題とする。
本発明の均一伸びの予測方法は、有限要素法を用いて数値シミュレーションを実施し、複相組織を有する材料の均一伸びを予測する均一伸びの予測方法であって、前記材料の複相組織を撮影した画像と、前記複相組織における各構成相の単相での応力と歪みとの関係式と、を入力し、前記画像をメッシュ分割してメッシュデータを作成するとともに、ボイドの生成について判断するための相当塑性歪についての閾値を設定する初期設定工程と、前記有限要素法の有限要素解析において、引張応力が最大荷重点を超えるまで経時的に変形を付与し、この変形を進める中で前記ボイドが生成する挙動を模擬する有限要素解析工程と、前記有限要素解析によって得られた、応力と歪みとの関係を示す曲線であるSSカーブと、このSSカーブの微分曲線との交点の歪み量から均一伸びを算出する均一伸び算出工程と、を行い、前記有限要素解析工程は、前記有限要素法によって前記複相組織の変形中の応力および歪みを算出する解析値算出工程と、前記閾値と、前記解析値算出工程において各要素の歪みから算出された各要素の相当塑性歪値とを比較する比較工程と、を有し、前記比較工程において前記相当塑性歪値が前記閾値よりも大きくなった場合に、前記解析値算出工程において前記要素をボイドに置き換えて前記有限要素解析を行なうことを特徴とする。
このような方法によれば、各要素の相当塑性歪値が閾値よりも大きくなった場合に、閾値よりも大きくなった要素をボイドとみなして前記有限要素解析を行なうことにより、有限要素法において均一変形領域でのボイドの生成を考慮することができる。これにより、複相組織を有する金属材料の均一伸びの予測精度が向上する。
また本発明では、前記有限要素解析工程において、前記相当塑性歪値が前記閾値よりも大きくなった場合に前記要素を消失させることで、前記要素をボイドに置き換えるか、あるいは、前記相当塑性歪値が前記閾値よりも大きくなった場合に前記要素の変形抵抗が低下するように物性値を変化させることで、前記要素をボイドに置き換える方法を用いることができる。
これらの方法により、有限要素解析における要素のボイドへの変更を簡易に行なうことができる。
前記変形抵抗を低下させる場合において、前記変形抵抗の低下は、前記要素のヤング率E、または、有限要素解析を行なう前の応力と歪みとの関係式を変化させることで行なうことができ、前記低下させた後の変形抵抗は、前記要素の初期変形抵抗と比較して1/10以下であることが好ましい。
このようにすることで、ボイドの生成について、より実際の挙動に近づけることができる。
前記閾値は、予め実験により定めた相当塑性歪値であることが好ましい。
閾値として実験により定めた相当塑性歪値を用いることで、閾値をより正確な値とすることができる。
前記メッシュデータは、全要素の合計の面積に占める、全要素中の最大の要素の面積の割合が0.0001以下、または、全要素の合計の体積に占める、全要素中の最大の要素の体積が0.0001以下であることが好ましい。
このようなメッシュデータを用いることで、均一伸びの予測精度がより向上する。
本発明の均一伸びの予測プログラムは、有限要素法を用いて数値シミュレーションを実施し、複相組織を有する材料の均一伸びを予測する均一伸びの予測プログラムであって、コンピュータを、前記材料の複相組織を撮影した画像をメッシュ分割してメッシュデータを作成するメッシュデータ作成手段、前記メッシュデータと、前記複相組織における各構成相の単相での応力と歪みとの関係式と、を入力するインプットデータ入力手段、前記有限要素法の有限要素解析を行なうことで前記メッシュデータの要素に生じるボイドの生成について判断するための相当塑性歪についての閾値を設定する閾値設定手段、前記有限要素法の有限要素解析において、引張応力が最大荷重点を超えるまで経時的に変形を付与し、この変形を進める中で前記ボイドが生成する挙動を模擬する有限要素解析手段、前記有限要素解析によって得られた、応力と歪みとの関係を示す曲線であるSSカーブと、このSSカーブの微分曲線との交点の歪み量から均一伸びを算出する均一伸び算出手段として機能させるものであり、前記有限要素解析手段は、前記有限要素法によって前記複相組織の変形中の応力および歪みを算出するように機能する解析値算出手段、前記閾値と、前記解析値算出工程において各要素の歪みから算出された各要素の相当塑性歪値とを比較するように機能する比較手段と、を有し、前記比較手段において前記相当塑性歪値が前記閾値よりも大きくなった場合に、前記解析値算出手段において前記要素をボイドに置き換えて前記有限要素解析を行なうように機能することを特徴とする。
このようなプログラムによれば、このプログラムを用いた均一伸びの予測方法において、各要素の相当塑性歪値が閾値よりも大きくなった場合に、閾値よりも大きくなった要素をボイドとみなして前記有限要素解析を行なうことにより、有限要素法において均一変形領域でのボイドの生成を考慮することができる。これにより、複相組織を有する金属材料の均一伸びの予測精度が向上する。
本発明によれば、有限要素法においてボイドの生成を考慮することで、複相組織を有する金属材料について均一伸びを精度良く予測することができる。
(a)、(b)は、本発明の均一伸びの測定方法を実行するための予測システムの概略ブロック図である。 本発明の均一伸びの測定方法の概略フローチャートである。 実施例で用いるDP鋼板の作製における連続焼鈍熱処理の条件を示すグラフである。 (a)〜(c)は、実施例で用いる各試験片の組織のSEM写真である。 (a)〜(c)は、実施例で用いる各試験片の組織の2値化画像である。 従来用いられている、DP鋼におけるフェライトとマルテンサイトとの相分率に合わせたメッシュデータ(組織メッシュ)を示す画像であり、(a)はDP組織の各相分率と分散状態を模擬した簡易的なメッシュデータのイメージ図、(b)は実組織を取り込んだメッシュデータのイメージ図である。 材料に単軸引張変形を付与した際の、公称応力−公称歪関係を示すグラフである。 (a)、(b)は、DP鋼を用いて引張試験を行い、最大荷重点以下の歪量で変形を終了させた試験片について、この試験片から切り出したサンプルの断面を観察したSEM写真である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
≪均一伸びの測定方法≫
本発明の均一伸びの予測方法は、有限要素法を用いて数値シミュレーションを実施し、複相組織を有する材料の均一伸びを予測する均一伸びの予測方法であって、初期設定工程と、有限要素解析工程と、均一伸び導出工程と、を行なうものである。そして、有限要素解析工程は、解析値算出工程と、比較工程と、を有する。
<有限要素法>
本発明の均一伸びの予測方法には、通常の弾塑性変形解析が出来る有限要素法(FEM)を用いる。ただし、本発明においては、有限要素法にボイドの取り扱いを含めている。すなわち、本発明で用いる有限要素法での有限要素解析(FEM解析)は、ボイドの取扱いを除けば基本的には従来方法のFEM解析と同様である。FEM解析は汎用的な方法であり、その解析方法は種々の文献等に記載されている方法に沿って実施すれば良いが、例えば文献A(有限要素法へのガイド、戸川隼人著、(株)サイエンス社発行)や、文献B(有限要素法の基礎、遠田良喜著、(株)培風館発行)等を参照して実施すれば良い。すなわち、均一伸びの予測方法は、有限要素法を用いて数値シミュレーションを実施し、複相組織を有する材料の変形特性である均一伸びを予測するものである。
これを前提に、以下、各工程について説明する。なお、本発明の各工程は、図1に示す予測システム100により行なわれる。よって、まず予測システム100について説明した後、各工程について説明する。
<システム構成>
図1(a)に示すように、予測システム100は、メッシュデータ作成部(メッシュデータ作成手段)5と、インプットデータ入力部(インプットデータ入力手段)10と、閾値設定部(閾値設定手段)20と、解析値算出部(解析値算出手段)30と、比較部(比較手段)40と、均一伸び算出部(均一伸び算出手段)50と、を備えている。
[メッシュデータ作成部]
メッシュデータ作成部5は、材料の複相組織を撮影した画像を入力し、画像をメッシュ分割してメッシュデータを作成するものである。
予測システム100のオペレータは、予測を行なうためのプログラム(予測システム100には各種計算に用いるソフトウエアがインストールされていることを前提とする)を起動し、外部入力手段を通じて、予め複相組織を撮影した画像を入力することができる。そして、組織の画像は、後記する初期設定工程で説明するようにメッシュ分割されてメッシュデータとなる。このメッシュデータは、インプットデータ入力部10に送られて(入力されて)、インプットデータ入力部10に設定される。
[インプットデータ入力部]
インプットデータ入力部10は、インプットデータとして、前記作成したメッシュデータと、複相組織における各構成相の単相での応力と歪みとの関係式(応力−歪関係式)と、を入力し、これらのデータを予測システム100に設定するものである。また、これらに加え、有限要素法を行なうための解析条件も入力・設定する。
予測システム100のオペレータは、予測を行なうためのプログラムを起動し、後記する外部入力手段を通じて、インプットデータを入力することができる。具体的には、インプットデータ入力部10では、インプットデータを入力するためのプログラムを起動すると、表示装置にこれらのインプットデータに関する入力項目が表示されるようになっており、表示された入力項目に対してオペレータが外部入力手段を用いて、前記メッシュデータに対応する所定の条件を入力する。このようにして弾塑性計算を行なうためのインプットデータが予測システム100に入力・設定される。こうして入力・設定したインプットデータは記憶手段に記憶されるようになっている。そしてこのインプットデータは、解析値算出部30に送られる。
[閾値設定部]
閾値設定部20は、ボイドの生成について判断するための相当塑性歪についての閾値を設定するものである。
前記したインプットデータ入力部10におけるデータの入力・設定と同様に、予測システム100のオペレータは、予測を行なうためのプログラムを起動し、外部入力手段を通じて、所定の数値である閾値を入力することができる。これにより、前記インプットデータの入力・設定と同様の方法で閾値が設定される。こうして設定した閾値は記憶手段に記憶されるようになっている。そしてこの閾値は、比較部40に送られる。
[解析値算出部]
解析値算出部30は、有限要素法によって複相組織の変形中(材料の変形中、すなわちシミュレーション中)の応力および歪みを算出するものである。すなわち解析値として、以下に説明するように、各要素の応力および歪み、全体としての応力および歪み、各要素の相当塑性歪値、全体としての相当応力および相当塑性歪値を算出する。
解析値算出部30では、まず、各要素(すなわちミクロ)の応力テンソルと歪テンソルを算出するとともに、全体(組織メッシュ全体(複相組織全体))として(すなわちマクロ)の応力テンソルと歪テンソルを算出する。具体的には、ミクロの応力テンソルおよび歪テンソルは、与えられた変形に対して全要素について算出するため、例えば100万要素にメッシュ分割した場合は、ミクロについては、応力テンソルおよび歪テンソルが各100万個ずつ算出される。一方、マクロの応力テンソルおよび歪テンソルは全体としてのものなので、マクロについては、応力テンソルと歪みテンソルが各1つずつ算出される。
そして、計算の1ステップ毎にこの算出がされるため、例えば100ステップに渡る計算を実施した場合には、計算終了までに、前記した、ミクロについての100万個ずつの応力および歪みと、マクロについての各1つずつの応力および歪みの合計に、100を乗じた数((200万+2)×100個)のデータが算出される。次に、計算ステップが1ステップ終了する毎に、全要素のミクロの歪み(歪みテンソル)から、全要素のミクロの相当塑性歪値を算出する。一方、全体の応力(応力テンソル)から、マクロの相当応力および相当塑性歪値を算出する。
図1(b)に示すように、解析値算出部30は、弾塑性計算についての演算を行なう演算部30aと、全ての要素において閾値と相当塑性歪値との対比が終了したか否かを判断する全要素終了判断部30bと、弾塑性計算を終了するか否かを判断する計算終了判断部30cと、を備えている。
解析値算出部30は、インプットデータ入力部10から送られたインプットデータを用いて、演算部30aにより有限要素法における所定の計算式によって、前記したように、各要素の応力および歪み、全体としての応力および歪み、各要素の相当塑性歪値(全要素の相当塑性歪値)、全体としての相当応力および相当塑性歪値を算出する。ここでは、予め設定された所定の数式により演算することにより、これらを算出する。
また、解析値算出部30では、後記する比較部40において閾値とミクロの相当塑性歪値とを比較し、所定の要素について相当塑性歪値が閾値よりも大きくなった場合に、閾値よりも大きくなった要素をボイドに置き換えることで有限要素解析を行なう。そして、全要素終了判断部30bにおいて、全ての要素において閾値と相当塑性歪値との対比が終了したか否かを判断し、全ての要素で終了した場合は、計算終了判断部30cにおいて引張応力(例えばマクロの相当応力)が最大荷重点を超えたか否かを判断し、最大荷重点を超えた時点で計算を終了する。
なお、各要素の応力および歪みは、1つの要素について算出して閾値と相当塑性歪値とを対比した後、次の1つの要素について算出されるのではなく、全体に変形を与えた際の各要素に対する値として、計算上は各要素の値が同時に算出される。
また、前記したように、FEM解析によって算出される応力や歪みの値には、各要素に生じるもの(すなわちミクロのもの)と、組織メッシュ全体(複相組織全体)に生じるもの(すなわちマクロのもの)がある。閾値と比較してボイドの生成についての判断を行なうのはミクロの相当塑性歪値であり、後記する均一伸びの算出のためのSSカーブを作成するのはマクロの応力および歪みの値である。また、計算終了の判断に応力を用いる場合はマクロの相当応力を用いる。
解析値算出部30は、これらの計算に必要とされる各種のデータやパラメータが記憶されたデータベースを備えており、ここでの計算は、従来公知の有限要素法による諸計算により行なえばよい。そして、ここで求められた相当塑性歪値は、比較部40に送られる。また、計算の終了後、算出の過程で得られたSSカーブのデータが均一伸び算出部50に送られる。
[比較部]
比較部40は、閾値と、解析値算出工程において各要素の歪みから算出された各要素の相当塑性歪値とを比較するものである。すなわち、閾値設定部20で設定された閾値と、解析値算出部30で算出されたミクロの相当塑性歪値とを対比して、要素毎に相当塑性歪値が閾値よりも大きいか否かを判断する。この判断は、コンピュータにより自動的に行なわれる。そして、判断結果は解析値算出部30に送られる。
このように、解析値算出部30および比較部40は、図示しない有限要素解析部(有限要素解析手段)を構成し、有限要素法の有限要素解析において、引張応力が最大荷重点を超えるまで経時的に材料(複相組織)に変形を付与し、この変形を進める中でボイドが生成する挙動を模擬する。
[均一伸び算出部]
均一伸び算出部50は、有限要素解析によって得られた、応力と歪みとの関係を示す曲線であるSSカーブと、このSSカーブの微分曲線との交点の歪み量から均一伸びを算出するものである。すなわち、解析値算出部30における算出の過程で得られたSSカーブ(すなわち、マクロの応力および歪みから得られたSSカーブ)を用いて、このSSカーブから微分曲線を得ることで均一伸びを算出する。均一伸び算出部50は、均一伸びを算出するための計算に必要とされる各種のデータやパラメータが記憶されたデータベースを備えており、ここでの計算は、前記した塑性不安定条件による諸計算により行なうことができる。
このように、予測システム100によって所望の複相組織における均一伸びを予測することができる。
ここで、予測システム100は、所謂、コンピュータであり、前記した各部は、所定のデータ等を入力する外部入力手段(外部入力部)(例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等)と、入力データや計算結果等を表示する表示手段(表示部)(例えば、液晶ディスプレイ等)と、オペレーティングシステムプログラムや各種の計算プログラムや、計算に用いるデータおよび計算結果データ等を記憶・保存している記憶手段(記憶部)(例えば、ハードディスク、ROM、RAM等)と、弾塑性計算以外の計算プログラム等を実行する演算手段(演算部)(CPU)と、これらの手段同士の間でデータを通信するデータ通信手段(データ通信部)(システムバス)等と共に構成されており、その動作態様は一般的なパーソナルコンピュータと同様である。なお、これらの各手段については図示しない。
次に、均一伸びの予測方法についての各工程について説明する。
[初期設定工程]
初期設定工程は、材料の複相組織を撮影した画像と、複相組織における各構成相の単相での応力と歪みとの関係式(応力−歪関係式)と、を入力し、画像をメッシュ分割してメッシュデータを作成するとともに、ボイドの生成について判断するための相当塑性歪についての閾値を設定する工程である。具体的には、この工程は、メッシュデータ作成工程と、インプットデータ入力工程と、閾値設定工程と、を有する。
(メッシュデータ作成工程)
メッシュデータ作成工程は、まず、材料の複相組織を撮影した画像を入力し、この画像をメッシュ分割してメッシュデータを作成する工程である。
メッシュデータとして用いる組織形態については、例えば、まず組織観察用試験片を用いてSEMによる組織観察を実施し、観察倍率1000倍における組織写真を撮影する。そして、これをコンピュータに取り込んで画像処理して各構成相(例えば、フェライトおよびマルテンサイト)に分離した2値化画像とし、FEM解析を実施する際の初期組織(画像:以下、画像を単に組織という)とする。この組織に対して、各要素にメッシュ分割する。
後記するように、ボイドの生成について判断するための相当塑性歪についての閾値と各要素に生じる相当塑性歪値とを比較し、各要素に生じる相当塑性歪値が閾値(予め設定した相当塑性歪値)を超えた場合にボイドが生成したものとする。その場合、ボイドの最小単位は要素1つの大きさとなるため、組織メッシュはある程度の細かさが必要になる。
目安としては、二次元の場合、全要素の合計の面積に占める、全要素中の最大の要素の面積の割合が0.0001以下、3次元の場合、全要素の合計の体積に占める、全要素中の最大の要素の体積が0.0001以下であることが好ましい。すなわち、要素1つの大きさが全体の1万分の1以下であることが好ましい。より好ましくは10万分の1以下、さらに好ましくは30万分の1以下である。なお、FEM解析を開始する前の状態のメッシュデータである初期メッシュを設定した際には種々の大きさの要素が存在するが、最大の要素とは、この中で最大の大きさの要素ということである(要素の大きさは、組織の変形によってほとんど変化しないので、組織が変形しても、要素の大きさは、常にほぼ一定である)。
メッシュデータの作成は、前記したメッシュデータ作成部5で行なわれる。
(インプットデータ入力工程)
インプットデータ入力工程は、前記作成されたメッシュデータと、複相組織における各構成相の単相での応力−歪関係式とを入力する工程である。
インプットデータとしては、複相組織を撮影した画像を処理したもの、すなわち組織形態を取り込んだメッシュデータ(組織メッシュ)、および、各構成相の単相での構成式(すなわち、応力−歪関係式)が必要になる。メッシュデータについては、前記説明したとおりである。
各構成相の単相での構成式(応力−歪関係式)は、通常のFEM解析でも必要であり、本発明でも通常の方法により与えればよい。例えば、各構成相の単相と同様の組織を作製し、これについて引張試験をすることによって求める方法等が挙げられる。あるいは構成式は、一般的に用いられる前記のswiftの式で与えてもよいし、またはこれに類するものや、独自の関係式を用いてもよく、応力と歪みとの関係が明らかになっていれば、形式は限定されるものではない。なお、引張試験は、例えば、JIS Z 2201に従ってJIS5号引張試験片を作製し、JIS Z 2241に従って行なうことができる。
その他、有限要素法を行なう前提として、解析条件として、変形条件(変形量、歪速度等)、境界条件、変形モード(平面応力、平面歪等)、応力or歪制御等々の種々条件を決定し、これらもインプットデータとして入力する。
これらメッシュデータ、応力−歪関係式、解析条件等のインプットデータの入力は、前記したインプットデータ入力部10によって行なわれる。
(閾値設定工程)
閾値設定工程は、ボイドの生成について判断するための相当塑性歪についての閾値を設定する工程である。すなわち、予測の対象となる材料について、実際にボイドが生成すると思われる均一変形領域での相当塑性歪値(閾値)を設定する工程である。
閾値は、後記するように、各要素に生じる相当塑性歪値と比較してボイドが生成したか否かを判断するための数値である。閾値は、予め実験により定めた相当塑性歪値を用いることができる。この実験は、例えば、以下の手順により行なうことができる。
(1)微小引張試験片を作成し、平行部中央部の組織観察(SEM観察)を実施する。その際に、以下の引張試験中のボイド生成挙動が観察できるように、ビッカース圧痕によるマークを付与しておく。(2)前記試験片に対しSEMの中で引張試験を行うとともに変形中の組織観察を行い、組織観察箇所におけるボイド生成状況の観察とその際のマクロ歪み測定を実施する。(3)一方、前記(1)における観察組織(変形前初期組織)を取り込んだFEM解析を実施する。(4)前記(2)におけるボイドが発生したマクロ歪みにおけるボイド発生箇所の相当塑性歪値を、前記(3)におけるシミュレーションから算出する。(5)前記(4)における実験結果と、前記(3)におけるシミュレーションの比較を10サンプルについて行い、その平均値を閾値とする。
閾値の設定は、前記した閾値設定部20によって行なわれる。
そして、前記したインプットデータの入力と閾値の設定とを行なった上で、前記決定した有限要素法における解析条件に沿ってFEM解析を実施する。FEM解析は、例えば、平面応力モデルにおける単軸引張変形を付与することにより行なう。
[有限要素解析工程]
有限要素解析工程は、有限要素法の有限要素解析において、引張応力が最大荷重点を超えるまで経時的に変形を付与し、この変形を進める中でボイドが生成する挙動を模擬する工程であり、解析値算出工程と、比較工程と、を有する。
(解析値算出工程)
解析値算出工程は、有限要素法によって複相組織の変形中の応力および歪みを算出する工程である。すなわち、FEM解析にしたがって弾塑性変形解析を行なうことで弾塑性計算を行ない、前記解析値算出部30で説明したように、各要素の応力および歪み、全体としての応力および歪み、各要素の相当塑性歪値(全要素の相当塑性歪値)、全体としての相当応力および相当塑性歪値を算出する。
ここで、材料に変形を付与した場合、各要素に生じる相当応力σeqが各要素に与えられた降伏応力σy未満であれば弾性変形となり、これを超えた場合には、これを満たした要素から弾塑性変形を生じる。そして最大荷重点を超えるまで、各要素に生じる相当塑性歪値を算出する。すなわち本発明においては、通常の有限要素解析(すなわち弾塑性解析)を実施して、各要素の応力および歪み、全体としての応力および歪みを計算ステップ毎に計算し、さらに、各要素の歪みから、計算ステップ毎に各要素の相当塑性歪値を算出する。一方で、全体の応力からマクロの相当応力を算出する。弾塑性計算は、従来公知の有限要素法における一般的な方法で行えばよい。例えば、以下のように行なうことができる。
有限要素法では、計算ステップ毎に各要素の応力と歪みが算出される。その際、歪みの値はスカラーではなく、3×3=9個の成分を持つテンソルとして計算する。なお、スカラーとは、例えば質量や距離のように、一つの値で表現できるものであり、テンソルとは、例えばベクトル(方向と大きさの2つの成分を持つ)のように複数の成分を持つものである。また、歪みや応力は9個の成分を持つテンソルである。そして、相当塑性歪値は、この9個の成分を使って、公知の計算式(例えば「弾塑性力学の基礎」共立出版(株)発行、吉田総仁著、P155.(11.19)式)により計算することで算出する。
相当塑性歪値の算出は、前記した解析値算出部30によって行なわれる。
(比較工程)
比較工程は、閾値と、解析値算出工程において各要素の歪みから算出された各要素の相当塑性歪値とを比較する工程である。すなわち、閾値設定工程で設定された閾値、つまり所定の値と、前記解析値算出工程において算出されたミクロの相当塑性歪値とを要素毎に比較して、後記するようにボイドが生成したか否かを判断する。
これらの比較は、前記した比較部40によって行なわれる。
そして、比較工程において相当塑性歪値が閾値よりも大きくなった場合に、解析値算出工程において要素をボイドに置き換えて有限要素解析を行なう。すなわち、有限要素解析で材料を最大荷重点を超えるまで経時的に変形させている状態において、解析値算出工程において算出された各要素の相当塑性歪値が予め与えた閾値を超えた時点で、その該当要素、すなわち閾値を超えた要素についてはボイドとみなして、その要素をボイドに置き換える。
このように、ボイドの生成については、変形の進行に伴い変化する各要素の相当塑性歪値が閾値に到達したか否かで判定するが、これに達した時点で、当該要素をボイドに相当するものに置き換える。その方法としては、相当塑性歪値が閾値よりも大きくなった場合に要素を消失させる(すなわち、無にする)方法が挙げられる。あるいは、相当塑性歪値が閾値よりも大きくなった場合に要素の変形抵抗が低下するように物性値を変化させる方法、例えば、要素の物性値を零に極めて近いものに置き換える方法等が挙げられる。そして変形抵抗を低下させる方法としては、要素のヤング率E、または、有限要素解析を行なう前の応力−歪関係式を変化させる方法を用いることができる。また、低下させた後の変形抵抗は、要素の初期変形抵抗と比較して1/10以下であることが好ましい。
そして、解析値算出工程では、複相組織の変形中における所定の時点(計算ステップ)において、全ての要素において閾値と相当塑性歪値との対比が終わったときに、引張応力が最大荷重点を超えたか否かを判断し、最大荷重点を超えた時点で計算を終了する(終了判断工程)。すなわち、ボイドの生成について判断を行ないながら計算を継続し、最大荷重点を超えた時点で計算を終了する。この際、計算終了の判断、すなわち最大荷重点を超えたか否かの判断の方法は特に限定されないが、例えばマクロの相当応力が最大荷重点を超えたか否かを判断することで行なうことができる。具体的には、例えば計算中に得られたマクロの相当応力の最大値と比較して、5%以上の相当応力の低下があった場合に計算を終了する方法が挙げられる。
[均一伸び算出工程]
均一伸び算出工程は、有限要素解析によって得られた、応力と歪みとの関係を示す曲線であるSSカーブと、このSSカーブの微分曲線との交点の歪み量から均一伸びを算出する工程である。
有限要素解析工程における計算(FEM計算、すなわち弾塑性計算)の過程で、対象となる複相組織の応力と歪みとの関係を示す曲線、すなわちSSカーブが得られる。そして、この得られたSSカーブから微分曲線を得て、SSカーブと、この微分曲線との交点の歪み量を算出する。FEM計算終了後、均一伸びを算出する方法は、前記した塑性不安定条件に沿って決定すればよい。例えば、以下のようにして行なうことができる。まず、計算ステップ毎に算出されるマクロ(全体)の真応力、真歪から、真応力−真歪曲線(SSカーブ)を描く。次に、このSSカーブを微分して微分曲線を描く。そして、前記SSカーブと微分曲線の交点(塑性不安定条件に該当)の歪みを求める。この値が均一伸びになる。
均一伸びの算出は、前記した均一伸び算出部50によって行なわれる。
なお、本手法で算出した均一伸びは真歪の表現になっているが、これを通常用いられる公称歪に換算する場合は、以下の式(3)を用いればよい。
<均一伸びの予測方法の具体的な手順>
次に、均一伸びの予測方法の具体的な手順の概略について図1、図2を参照して説明する。
図1、図2に示すように、均一伸びの予測方法では、まずインプットデータ入力部10において、インプットデータとして、FEM解析条件の他、複相組織のメッシュデータと、各構成相の単相での応力−歪関係式と、を入力する(S101)。また、インプットデータの入力とともに、閾値設定部20において閾値を設定する(S102)。
続いて、解析値算出部30において、有限要素解析によって、各要素の応力および歪み、全体としての応力および歪み、各要素の相当塑性歪値(全要素の相当塑性歪値)、全体としての相当応力および相当塑性歪値等の解析値を算出する(S201)。すなわち、S201では、所定の時点(計算ステップ)において、まず、各要素の応力と歪みを算出するとともに、全体としての応力と歪みを算出する。次に、各要素の歪みから、各要素のミクロの相当塑性歪値を算出するとともに、全体の応力から、マクロの相当応力および相当塑性歪値を算出する。ここでの計算については、前記した解析値算出工程で説明したとおりである。
続いて、比較部40において、S102で設定された閾値と、S201で算出された各要素の相当塑性歪値とを比較し(S202)、要素毎に相当塑性歪値が閾値よりも大きいか否かを判断する。そして、この比較の結果、算出された各要素の相当塑性歪値が閾値以下である場合には、その要素についてはボイドとみなさず、すなわちボイドに変更せず、一方、相当塑性歪値が閾値よりも大きい場合には、要素をボイドに置き換え、すなわち要素をボイドに変更する(S203)。
そして、S202において、全ての要素において閾値と相当塑性歪値との対比が終了し、S203において、相当塑性歪値が閾値より大きい要素をボイドに変更した後は、引張応力(例えばマクロの相当応力)が最大荷重点を超えたか否かを判断する(S204)。その結果、引張応力が最大荷重点を超えていなければ(S204:No)、複相組織の変形中における次の計算ステップに移行し、S201において、次の変形に対して再び各要素について相当塑性歪値の算出が行なわれる。これにより、S201〜S204の手順が繰り返される。一方、最大荷重点を超えていれば(S204:Yes)、計算(弾塑性計算)を終了する(S205)。
そして、計算終了後、均一伸び算出部50において、算出過程で得られたSSカーブと、このSSカーブの微分曲線との交点の歪み量とから均一伸びを算出して(S300)、均一伸びの予測を終了する。
≪均一伸びの予測プログラム≫
次に、均一伸びの予測プログラムについて説明する。
本発明の均一伸びの予測プログラムは、有限要素法を用いて数値シミュレーションを実施し、複相組織を有する材料の均一伸びを予測する均一伸びの予測プログラムであって、コンピュータを、メッシュデータ作成手段、インプットデータ入力手段、閾値設定手段、有限要素解析手段、および、均一伸び算出手段として機能させるものである。そして、前記有限要素解析手段は、解析値算出手段、および、比較手段として機能する。
すなわち、メッシュデータ作成手段は、材料の複相組織を撮影した画像をメッシュ分割してメッシュデータを作成するように機能し、インプットデータ入力手段は、メッシュデータと、複相組織における各構成相の単相での応力と歪みとの関係式と、を入力するように機能し、閾値設定手段は、有限要素法の有限要素解析を行なうことでメッシュデータの要素に生じるボイドの生成について判断するための相当塑性歪についての閾値を設定するように機能する。また、有限要素解析手段は、有限要素法の有限要素解析において、引張応力が最大荷重点を超えるまで経時的に変形を付与し、この変形を進める中で前記ボイドが生成する挙動を模擬するように機能し、均一伸び算出手段は、有限要素解析によって得られた、応力と歪みとの関係を示す曲線であるSSカーブと、このSSカーブの微分曲線との交点の歪み量から均一伸びを算出するように機能する。
また、解析値算出手段は、有限要素法によって複相組織の変形中の応力および歪みを算出するように機能し、比較手段は、閾値と、解析値算出手段において各要素の歪みから算出された各要素の相当塑性歪値とを比較するように機能する。そして、比較手段において相当塑性歪値が閾値よりも大きくなった場合に、解析値算出手段において要素をボイドに置き換えて有限要素解析を行なうものである。
コンピュータは、前記「システム構成」で説明した予測システム100であり、メッシュデータ作成手段、インプットデータ入力手段、閾値設定手段、解析値算出手段、比較手段、および、均一伸び算出手段は、それぞれ、メッシュデータ作成部5、インプットデータ入力部10、閾値設定部20、解析値算出部30、比較部40、および、均一伸び算出部50と同様である。よって、ここでは説明を省略する。
次に、本発明に係る実施例について説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものでない。本実施例では、実際に引張試験を実施し、均一伸びを測定して実測値を求め、かつ、FEM解析によって、本発明におけるボイドを考慮した場合の均一伸び、および、従来におけるボイドを考慮しない場合の均一伸びを算出し、これらの算出した値と、実測値とを比較して、本発明の効果を確認した。
まず、表1に示す成分の鋼を溶解し、熱延、酸洗、冷延工程を経た後、図3に示す条件で連続焼鈍熱処理を施すことにより、3種類のDP鋼板を得た。これらの鋼板から、それぞれJIS5号引張試験片および組織観察用試験片を採取した。3種類のDP鋼板における連続焼鈍での熱処理条件を表2に示す。なお、図3において、ACは空冷、WQは水冷である。
次に、前記採取した3種類のJIS5号引張試験片(試験片記号I〜III)を用いて引張試験を実施し、均一伸びを測定した(実測)。なお、引張試験は、JIS Z 2201に従ってJIS5号引張試験片を作製し、JIS Z 2241に従って、ひずみ速度=1.67×10−3/secの条件で実施した。
また、3種類の組織観察用試験片(試験片記号I〜III)を用いてSEMによる組織観察を実施し、観察倍率1000倍における組織写真を撮影した。これを画像処理して各構成相(フェライトおよびマルテンサイト)に分離した2値化画像とし、FEM解析を実施する際の初期組織とした。図4(a)〜(c)に各試験片の組織写真を示し、図5(a)〜(c)にこれらの2値化画像を示す。なお、図4、図5において、白色の部分がフェライト2であり、黒色の部分がマルテンサイト3である。また、図4、図5において、I、II、IIIは、それぞれ、試験片記号I、II、IIIに対応している。
これらの組織に対して約80万個の要素にメッシュ分割を行ってメッシュデータとした上で、フェライト2およびマルテンサイト3に対応する各要素に対し、それぞれ対応するフェライト2およびマルテンサイト3の応力−歪関係式を予めインプットデータとして与え、後記するようにFEM解析による計算を実施した。この際、各構成相(フェライト2およびマルテンサイト3)の応力−歪関係式は、通常用いられる方法で決定すればよいが、本実施例においては、DP組織を構成するフェライト2およびマルテンサイト3の単相組織を実験的に作成し、これらに対して引張試験を実施することにより、各構成相単相での応力−歪関係式を求めた。なお、引張試験の条件は前記の実測の場合と同様である。この方法により得られた、実施例で用いた各構成相の応力−歪関係式を表3に示す。本実施例では、この実験で得られた応力−歪関係(SSカーブ)を前記した式(2)のswiftの式で近似して与えており、表3には、式(2)における定数A、B、nの値を示している。
前記のメッシュデータ、応力−歪関係式を用いてFEM解析を実施し、引張強度(TS)および均一伸び(u−EL)を算出した。FEM解析は、平面応力モデルにおける単軸引張変形を付与し、最大荷重点のマクロの相当応力値よりも5%以上の相当応力の低下があった時点で計算を終了させ、それまでに得られたSSカーブより、塑性不安定条件によって均一伸びを算出した。
前記FEM解析の際には、ボイドを生成させない従来の方法と、ボイドを生成させる本発明の方法による計算を行った。そして、これらの計算結果と、実測の実験結果とを比較した。なお、ボイドを生成させる本発明の方法については、前記した「均一伸びの予測方法の具体的な手順」に従って行なった。そしてボイドを生成させる本発明の方法では、ボイド生成の閾値を予備試験で算出した相当塑性歪値「1.0」を用いた。なお、予備試験は、前記した「閾値設定工程」で説明した、相当塑性歪値を実験により定める手順と同様にして行なった。
また、要素をボイドへ置き換える方法としては、ボイドの応力と歪みとの関係式を、ヤング率Eがフェライトの100分の1の弾性体として初期設定し、ボイドになった要素はこの応力−歪関係式に沿って変形するようにした。予測精度の評価は均一伸びで行い、いずれも実験結果に対して±10%以内のものを合格、この範囲にないものを不合格とした。なお、±10%以内というのは、実験結果と計算結果を比較した場合に、実験結果を基準として±10%以内の誤差範囲で計算結果が得られるということである(例えば、実験値が6.1%の場合、6.1%±0.61である)。表4に結果を示す。なお、表4において引張強度(TS)についての記載は省略している。
表4に示すように、試験No.1〜3のいずれの条件においても、発明例(実施例)であるボイドを考慮した場合では、均一伸びの計算結果と実測の実験結果が良好な相関を示し、判定が合格となった。一方、比較例であるボイド未考慮の場合では、均一伸びの計算結果が実測の実験結果と比較して乖離していたために、判定は不合格となった。
以上、本発明について実施の形態および実施例を示して詳細に説明したが、本発明の趣旨は前記した内容に限定されることなく、その権利範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈しなければならない。なお、本発明の内容は、前記した記載に基づいて広く改変・変更等することが可能であることはいうまでもない。
例えば、以上の記載においては、フェライトとマルテンサイトとの2相の複相組織を有するDP鋼について説明したが、その対象は、局所的な不均一変形が早期に進行する材料全般、例えば、フェライトとパーライトとの複相組織、フェライトとベイナイトとの複相組織、フェライトとベイナイトとマルテンサイトとの複相組織、さらには4相以上の複相組織を有する金属材料に適用してもよい。すなわち、多値化画像を用いて予測を行なうこともできる。
また、本実施形態では、SEMによる組織観察を実施して組織写真を撮影し、これを画像処理して2値化画像としたが、この2値化画像に対して、例えばフェライトやマルテンサイトの形状を人為的に加工し、組織形態を所望の状態に変更してもよい。これにより、変更した組織形態において、伸びや強度がどれほど変化するかなど、変形特性に及ぼす組織形態の影響を予めシミュレーションすることが可能となり、鋼板の開発における組織形態の示唆として利用することができる。
1 ボイド
2 フェライト
3 マルテンサイト
5 メッシュデータ作成部
10 インプットデータ入力部
20 閾値設定部
30 解析値算出部
30a 演算部
30b 全要素終了判断部
30c 計算終了判断部
40 比較部
50 均一伸び算出部
100 予測システム

Claims (8)

  1. 有限要素法を用いて数値シミュレーションを実施し、複相組織を有する材料の均一伸びを予測する均一伸びの予測方法であって、
    前記材料の複相組織を撮影した画像と、前記複相組織における各構成相の単相での応力と歪みとの関係式と、を入力し、前記画像をメッシュ分割してメッシュデータを作成するとともに、ボイドの生成について判断するための相当塑性歪についての閾値を設定する初期設定工程と、
    前記有限要素法の有限要素解析において、引張応力が最大荷重点を超えるまで経時的に変形を付与し、この変形を進める中で前記ボイドが生成する挙動を模擬する有限要素解析工程と、
    前記有限要素解析によって得られた、応力と歪みとの関係を示す曲線であるSSカーブと、このSSカーブの微分曲線との交点の歪み量から均一伸びを算出する均一伸び算出工程と、を行い、
    前記有限要素解析工程は、前記有限要素法によって前記複相組織の変形中の応力および歪みを算出する解析値算出工程と、前記閾値と、前記解析値算出工程において各要素の歪みから算出された各要素の相当塑性歪値とを比較する比較工程と、を有し、
    前記比較工程において前記相当塑性歪値が前記閾値よりも大きくなった場合に、前記解析値算出工程において前記要素をボイドに置き換えて前記有限要素解析を行なうことを特徴とする均一伸びの予測方法。
  2. 前記有限要素解析工程において、前記相当塑性歪値が前記閾値よりも大きくなった場合に前記要素を消失させることで、前記要素をボイドに置き換えることを特徴とする請求項1に記載の均一伸びの予測方法。
  3. 前記有限要素解析工程において、前記相当塑性歪値が前記閾値よりも大きくなった場合に前記要素の変形抵抗が低下するように物性値を変化させることで、前記要素をボイドに置き換えることを特徴とする請求項1に記載の均一伸びの予測方法。
  4. 前記要素のヤング率E、または、有限要素解析を行なう前の応力と歪みとの関係式を変化させることで前記変形抵抗を低下させることを特徴とする請求項3に記載の均一伸びの予測方法。
  5. 前記低下させた後の変形抵抗は、前記要素の初期変形抵抗と比較して1/10以下であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の均一伸びの予測方法。
  6. 前記閾値は、予め実験により定めた相当塑性歪値であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の均一伸びの予測方法。
  7. 前記メッシュデータは、全要素の合計の面積に占める、全要素中の最大の要素の面積の割合が0.0001以下、または、全要素の合計の体積に占める、全要素中の最大の要素の体積が0.0001以下であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の均一伸びの予測方法。
  8. 有限要素法を用いて数値シミュレーションを実施し、複相組織を有する材料の均一伸びを予測する均一伸びの予測プログラムであって、
    コンピュータを、
    前記材料の複相組織を撮影した画像をメッシュ分割してメッシュデータを作成するメッシュデータ作成手段、
    前記メッシュデータと、前記複相組織における各構成相の単相での応力と歪みとの関係式と、を入力するインプットデータ入力手段、
    前記有限要素法の有限要素解析を行なうことで前記メッシュデータの要素に生じるボイドの生成について判断するための相当塑性歪についての閾値を設定する閾値設定手段、
    前記有限要素法の有限要素解析において、引張応力が最大荷重点を超えるまで経時的に変形を付与し、この変形を進める中で前記ボイドが生成する挙動を模擬する有限要素解析手段、
    前記有限要素解析によって得られた、応力と歪みとの関係を示す曲線であるSSカーブと、このSSカーブの微分曲線との交点の歪み量から均一伸びを算出する均一伸び算出手段として機能させるものであり、
    前記有限要素解析手段は、前記有限要素法によって前記複相組織の変形中の応力および歪みを算出するように機能する解析値算出手段、前記閾値と、前記解析値算出手段において各要素の歪みから算出された各要素の相当塑性歪値とを比較するように機能する比較手段と、を有し、前記比較手段において前記相当塑性歪値が前記閾値よりも大きくなった場合に、前記解析値算出手段において前記要素をボイドに置き換えて前記有限要素解析を行なうように機能することを特徴とする均一伸びの予測プログラム。
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