JP7474225B2 - 金属材料のミクロ組織の損傷挙動評価方法 - Google Patents

金属材料のミクロ組織の損傷挙動評価方法 Download PDF

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Description

本発明は、金属材料のミクロ組織の損傷挙動評価方法に関する。
金属材料の多くは、例えば製造過程の塑性加工時、該金属材料で形成された構造体を使用時に、大きな荷重を受けうる。大きな荷重を受けて、上記金属材料の破断ひずみ量を超える大きなひずみが発生した場合、金属材料は破断し、その結果、製造過程では製造不良となり、構造体として使用時にはその機能が失われる。よって、金属材料の破断特性を事前に把握すること、例えばあるひずみ発生下で材料が破断するかどうかを評価することは非常に重要である。
延性破壊を示す金属材料は、上記ひずみで変形中にミクロ組織内でマイクロボイドが発生し、それが成長および連結することによって最終的に破断に至る。本明細書では、上記マイクロボイドの発生(成長も含む)を「金属材料の損傷」ということがある。そのため、マイクロボイド発生・成長挙動を評価することができれば、その材料の、例えば破断伸び、局所延性等の破断特性を評価できると考えられる。上記マイクロボイドの発生には、材料に生じる塑性ひずみと静水圧応力が関係することが知られており、例えば非特許文献1および非特許文献2では、材料の破断時の塑性ひずみ量と応力三軸度(=静水圧応力/相当塑性ひずみ)の関係を定義して、有限要素法(FEM)等のシミュレーション上でその材料の破断を表現する、GISSMOモデルが使用されている。
ところで上記金属材料の開発では、所望の機械的特性が得られるよう、合金成分の調整や熱処理による工夫等により、ミクロ組織の種類、組織形状、各組織の相分率等が様々な金属材料が製造される。しかし、上記非特許文献1および非特許文献2の技術では、上記様々なミクロ組織に応じて、マイクロボイド発生・成長挙動を明確に把握することが難しかった。
一方、材料のマイクロボイド発生挙動を直接評価する方法が提案されている。例えば非特許文献3には、連続体損傷力学を適用したミクロ組織の解析モデルを用いて、応力解析により材料のマイクロボイド発生挙動を直接評価することが提案されている。
F.Neukamm et al., 7th European LS-DYNA Conference,2009 鎮西将太ら,R&D神戸製鋼技報,Vol.66,No.2(2017),page76-81 米村繁ら,新日鐵住金技報,第410号(2018),page47-56
従来、ミクロ組織の損傷挙動の評価には、非特許文献3の連続体損傷力学モデルのような複雑で計算負荷の高い計算モデルを使用する必要があった。しかし、該連続体損傷力学モデルは、決定の困難な材料パラメータを多数含んでいる。よって例えば複相鋼の場合、各構成相について該材料パラメータを全て決定することは難しく、経験的に想定して上記材料パラメータを設定せざるを得ず、実態に即した破断特性の評価は難しかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、複雑な数値解析モデルを使用することなく、かつ評価する金属材料のミクロ組織を対象に、実態に即した金属材料のミクロ組織損傷挙動の評価方法を提供することにある。
本発明の態様1は、
コンピュータを用いて金属材料のミクロ組織の損傷挙動を評価する方法であって、コンピュータが、
前記金属材料のミクロ組織画像を取得するステップ1と、
前記ミクロ組織画像を複数の要素に分割し、有限要素法(FEM)によって前記ミクロ組織画像を模擬したFEM解析モデルを作成するステップ2と、
前記FEM解析モデルのパラメータとして前記金属材料の材料特性を取得するステップ3と、
境界条件として、前記FEM解析モデルの各要素に付与する、前記金属材料の破断までに生じる応力若しくはひずみ、または前記応力若しくは前記ひずみの履歴を設定するステップ4と、
前記境界条件でFEM解析を実行し、前記各要素の相当塑性ひずみと応力三軸度を出力するステップ5と、
前記FEM解析において前記FEM解析モデルに与えた応力またはひずみ別に、出力された前記各要素の相当塑性ひずみと応力三軸度の分布を求めるステップ6と、
前記相当塑性ひずみと前記応力三軸度の分布から、ミクロ組織の損傷挙動を評価するステップ7と
を実行する、金属材料のミクロ組織の損傷挙動評価方法である。
本発明の態様2は、
前記ステップ4は、各要素の積分点に付与する、前記応力若しくは前記ひずみ、または前記応力若しくは前記ひずみの前記履歴を設定し、
前記ステップ5は、各要素の積分点における前記相当塑性ひずみと応力三軸度を出力する、態様1に記載の金属材料のミクロ組織の損傷挙動評価方法である。
本発明の態様3は、
前記金属材料は、2種類以上の構成相を有し、
前記ステップ5~7を構成相ごとに実施する、態様1または2に記載の金属材料のミクロ組織の損傷挙動評価方法である。
本発明の態様4は、
予め用意された、前記2種類以上の構成相それぞれの応力-ひずみ曲線を、前記ステップ3にて前記材料特性として取得することを含む、態様3に記載の金属材料のミクロ組織の損傷挙動評価方法である。
本発明の態様5は、
前記ステップ7で、予め定められた手順に従って損傷クライテリアを決定し、決定された前記損傷クライテリアを用いてミクロ組織の損傷有無を判断する、態様1から4のいずれか一項に記載の金属材料のミクロ組織の損傷挙動評価方法である。
本発明の態様6は、
前記損傷クライテリアの決定を、
前記金属材料からなる試験片を用意し、該試験片に、連続的にひずみを付与しながら、該試験片の同一視野のミクロ組織画像を複数取得するステップ11と、
前記複数のミクロ組織画像から、マイクロボイド発生位置と、マイクロボイド発生時の塑性ひずみ量を決定するステップ12と、
前記ミクロ組織画像を複数の要素に分割した、前記ミクロ組織画像を模擬したFEM解析モデルを作成するステップ13と、
前記FEM解析モデルのパラメータとして前記金属材料の材料特性を取得するステップ14と、
境界条件として、前記FEM解析モデルの各要素に付与する、ひずみ量を設定するステップ15と、
前記境界条件でFEM解析を実行し、前記マイクロボイド発生時の各塑性ひずみ量における前記各要素の相当塑性ひずみと応力三軸度を出力するステップ16と、
出力された前記各要素の相当塑性ひずみと応力三軸度のデータの中から、前記マイクロボイド発生位置における相当塑性ひずみと応力三軸度のデータを抽出するステップ17と、
抽出された各位置の相当塑性ひずみと応力三軸度の分布を求めるステップ18と、
前記分布において、マイクロボイドが発生する相当塑性ひずみと応力三軸度の関係から、損傷クライテリアを決定するステップ19と
を含む工程で行う、態様5に記載の金属材料のミクロ組織の損傷挙動評価方法である。
本発明の態様7は、
前記金属材料は、2種類以上の構成相を有し、
前記損傷クライテリアの決定でのステップ17~19を構成相ごとに実施する、請求項6に記載の金属材料のミクロ組織の損傷挙動評価方法である。
本発明によれば、複雑な数値解析モデルを使用することなく、かつ評価する金属材料のミクロ組織を対象に、実態に即した金属材料のミクロ組織損傷挙動の評価方法を提供することができる。
本実施形態に係る評価システムのブロック図である。 本実施形態に係るミクロ組織の損傷挙動を評価する方法をステップ順に示すフロー図である。 本実施形態に係るミクロ組織を模擬した解析モデルを作成する手順の一例を示す図である。 本実施形態に係るミクロ組織の損傷クライテリアを決定する方法をステップ順に示すフロー図である。 実施例で用いた材料の顕微鏡写真である。 実施例における相当塑性ひずみと応力三軸度のグラフである。 実施例における相当塑性ひずみと応力三軸度の別のグラフである。 実施例における相当塑性ひずみと応力三軸度の別のグラフである。 実施例における相当塑性ひずみと応力三軸度の別のグラフである。 実施例で用いた引張試験片の形状を示す図である。 実施例で用いた準連続ミクロ組織観察-引張試験装置の側面図である。 実施例で用いた引張試験片における観察位置を示す図である。 実施例において引張試験中の顕微鏡観察時期を示す図である。 実施例におけるミクロ観察結果の一部を示す顕微鏡写真である。 実施例におけるミクロ観察結果の別の一部を示す顕微鏡写真である。 実施例におけるミクロ観察結果の別の一部を示す顕微鏡写真である。 実施例におけるミクロ観察結果の別の一部を示す顕微鏡写真である。 実施例におけるミクロ観察結果の別の一部を示す顕微鏡写真である。 実施例におけるミクロ観察結果の別の一部を示す顕微鏡写真である。 実施例におけるミクロ観察結果の別の一部を示す顕微鏡写真である。 実施例におけるフェライト相の相当塑性ひずみと応力三軸度の関係と損傷クライテリアを示すグラフである。 実施例におけるマルテンサイト相の相当塑性ひずみと応力三軸度の関係と損傷クライテリアを示すグラフである。
本発明者らは、従来技術の様に複雑な計算モデルを使用しなくとも、評価するミクロ組織を対象に、実態に即した損傷挙動の評価を行うことのできる方法を実現すべく、鋭意研究を行った。その結果、金属組織の数値解析で得られる相当塑性ひずみと応力三軸度を、ミクロ組織の損傷挙動の評価に適用すればよいこと、具体的には、ミクロ組織画像から作成した数値解析モデルにおいて、金属材料の破断までに生じる応力またはひずみまたはそれらの履歴を境界条件として設定して構造計算を行い、得られた相当塑性ひずみ(εeq)と応力三軸度(η)の分布により、ミクロ組織中の、マイクロボイドの発生位置、発生するタイミング、発生量等のマイクロボイド発生挙動に適用すればよいことを見出した。
本実施形態に係る金属材料のミクロ組織損傷挙動を評価する方法を実行する一例である、評価システム1について説明する。図1は、本実施形態に係る評価システム1のブロック図である。評価システム1は、コンピュータシステムであって、試験部10と、制御部20と、記憶部30と、表示部40と、入力部50とを備える。少なくとも制御部20および記憶部30により、コンピュータが構成される。
試験部10は、応力/ひずみ付与部11と、撮影部12とを有する。応力/ひずみ付与部11は、金属材料を保持し、所定の応力またはひずみを付与することができる実験装置である(詳細は後述する図11参照)。応力/ひずみ付与部11は、金属片の伸び計測用の撮影装置(例えば、CCD、CMOS等の撮像素子を備えたビデオカメラ)を備え、応力またはひずみの付与中に金属材料の変形を測定することができる。金属材料の詳細は、後述する。応力/ひずみ付与部11は、金属材料全体が画角に十分収まるように撮影を開始し、金属材料の変形を時間的に連続して撮影する。応力/ひずみ付与部11は、金属材料の左右方向または上下方向の端部間の距離を測定することで、変形を測定できる。また、後述するように金属材料に目印となるマーク(例えばシール)を取り付け、当該マーク間の距離を測定することで、変形を測定してもよい。
撮影部12は、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)等であり、応力若しくはひずみを付与される前、および応力/ひずみ付与部で応力若しくはひずみを付与された金属材料の少なくとも一部を部分的に拡大したミクロ組織画像を撮影することができる。撮影部12は、撮影したミクロ組織画像のデータを制御部20に送信する。後述するように制御部20は、受け取ったミクロ組織画像のデータを記憶部30に保存する。
制御部20は、モデル作成処理21、パラメータ設定処理22、解析処理23および分布作成処理24を実行する。制御部20は、プログラムを実行することにより所定の機能を実現するCPUまたはMPUのような汎用プロセッサを含む。制御部20は、例えば記憶部30に格納された演算プログラム等を呼び出して実行することにより、評価システム1における各種の処理を実現する。制御部20は、記憶部30に格納された演算プログラム等を呼び出して実行することにより、モデル作成処理21、パラメータ設定処理22、解析処理23および分布作成処理24を実現できる。制御部20は、ハードウェアとソフトウェアの協働により所定の機能を実現するものに限定されず、所定の機能を実現する専用に設計されたハードウェア回路でもよい。すなわち、制御部20は、CPU、MPU以外にも、GPU、FPGA、DSP、ASIC等、種々のプロセッサで実現され得る。このような制御部20は、例えば、半導体集積回路である信号処理回路で構成され得る。
制御部20は、モデル作成処理21により、撮影部12で撮影された金属材料のミクロ組織画像から、FEM解析で使用するためのFEM解析モデルを作成する。FEM解析モデルを作成するためのプログラム、パラメータ等は、例えば、記憶部30に格納されており、必要に応じて制御部20が読み出し、モデル作成に使用する。後述するように、制御部20は、例えば、イメージベースモデリングによりFEM解析モデルを作成することができる。イメージベースモデリングを行う場合、制御部20は、ミクロ組織画像の少なくとも一部の領域に対して任意の画像処理フィルタを適用し、金属材料の当該領域のミクロ組織形状に基づいた形状データを形成する。そして、制御部20は、後述するパラメータ設定処理22により設定されたFEM解析モデルの各パラメータ(例えば、作成されるモデルの要素の種類、要素数、節点数など)に基づいて、上記領域を模擬したFEM解析モデルを作成できる。作成されたFEM解析モデルは、記憶部30へと出力され、格納される。
制御部20は、パラメータ設定処理22により、各種のパラメータを設定する。当該パラメータには、例えば、応力/ひずみ付与部11が付与する応力またはひずみ、制御部20がモデル作成処理21により作成するFEM解析モデルの要素の種類、要素数および節点数が含まれてもよい。また、当該パラメータには、FEM解析によって解析したい金属材料の特性(金属材料のヤング率、降伏応力および耐力、加工硬化指数並びに結晶方位など)、解析処理23によりFEM解析する際の境界条件等が含まれてもよい。当該パラメータは、記憶部30へと出力され、格納される。そして、必要に応じて、各構成要素は記憶部30から当該パラメータを読み込み、使用する。
制御部20は、解析処理23により、作成されたFEM解析モデルを用いて、金属材料に応力またはひずみが付与された際の形状変形をシミュレーションするためにFEM解析を行うことができる。解析に使用するFEM解析モデル、シミュレーションを行うためのプログラム、境界条件等は、例えば記憶部30に格納されており、必要に応じて制御部20が読み出し、解析に使用する。本実施形態に係る評価システム1の制御部20は、解析処理23により、FEM解析モデルに与えた応力またはひずみ別に、FEM解析モデルの各要素の積分点における応力三軸度および相当塑性ひずみを算出し、出力することができる。応力三軸度および相当塑性ひずみは、表示部40へと出力されて、表示部40で表示されてもよいし、記憶部30に出力され、格納されてもよいし、後述する出力部60へと出力され、別の制御装置へと伝達されてもよい。
制御部20は、例えばグラフ作成処理等の分布作成処理24により、付与した応力またはひずみ別に、解析処理23により算出し出力したFEM解析モデルの各積分点における応力三軸度および相当塑性ひずみの分布を求めることができる。具体的に例えば、それらを軸とするグラフにプロットすることができる。また、使用者が例えば入力部50を使って積分点を選択し、選択した積分点の応力三軸度および相当塑性ひずみをグラフにプロットすることもできる。グラフを作成するためのプログラム、パラメータ等は、例えば、記憶部30に格納されており、必要に応じて制御部20が読み出し、グラフ作成に使用する。
記憶部30は、種々の情報を記録できる記録媒体である。記憶部30は、例えば、DRAMやSRAM、フラッシュメモリ等のメモリ、HDD、SSD、その他の記憶デバイスまたはそれらを適宜組み合わせて実現される。記憶部30は、撮影部12で撮影された画像、モデル作成処理21で作成されたFEM解析モデル等のデータを格納することができる。また、記憶部30は、パラメータ設定処理22で設定された、解析に使用する材料特性や境界条件等のパラメータ、および解析処理23で算出し出力された解析結果のデータ等を格納することができる。さらに、必要に応じて、記憶部30は、制御部20、表示部40等の各構成要素へと格納している情報を送信することができる。各構成要素は、記憶部30を介さずに各構成要素間で直接、情報を送受信してもよい。
表示部40は、任意のデータを表示できるディスプレイであり、金属材料のミクロ組織画像、FEM解析モデル、解析に使用する材料特性や境界条件等のパラメータ、算出された解析結果、作成されたグラフ等、任意の情報を表示することができる。使用者は、表示部40に表示された情報を基に入力部50を操作して制御部20のパラメータ設定処理22によってパラメータを設定したり、撮影部12で撮影されたミクロ組織画像と、制御部20が解析処理23で算出した解析結果とを対比させたりすることができる。
入力部50は、例えば、キーボードやマウスなどのコンピュータの一般的な入力装置であり、制御部20のパラメータ設定処理22にパラメータ等を入力したり、表示部40に表示された制御部20の解析処理23による解析結果に対して位置を指示したりできる。また、表示部40にタッチパネルを用いた場合など、表示部40が、使用者が触れた位置を検知する機構のような入力部50に相当する機能を併せ持ってもよい。
また、評価システム1は、他の装置へと取得した情報や算出した情報等を伝達することができる出力部60等を備えてもよい。出力部60は、例えば、USB端子またはイーサネット端子である。また、無線通信を行うための通信装置であってもよい。そのような通信装置として、例えば2.4GHz/5.2GHz/5.3GHz/5.6GHz等の周波数を利用して無線通信を行う、Wi-Fi(登録商標)規格に準拠した規格が採用され得る。
なお、評価システム1は少なくとも制御部20と記憶部30とを有していればよい。例えば、制御部20は、試験部10から画像を受け取るための受信端子、及び、入力部50から使用者の指示を受け付ける受信端子を有し、表示部40および/または出力部60に信号を出力するための出力端子を有していればよい。このとき、試験部10、表示部40、入力部50及び出力部60の一部または全部は、評価システム1に包含されなくてもよい。
本実施形態に係る金属材料のミクロ組織損傷挙動を評価する方法について、図2のミクロ組織の損傷挙動評価フロー図を例に説明する。
[ステップ1:金属材料のミクロ組織画像の取得]
まず図2のステップ1(S1)の通り、金属材料のミクロ組織画像を取得する。
ミクロ組織画像は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)、光学顕微鏡(OM)、電子線後方散乱回折(EBSD)、コンピュータ断層撮影(CT)、超音波探傷検査(UT)等で観察した画像を用いればよい。ミクロ組織を構成する構成相の種類によっては、エッチング等の前処理をあらかじめ行ってもよい。上記ミクロ組織画像のサイズ、倍率等は、評価領域、評価位置等に応じて適宜設定すればよい。
対象とする金属材料の鋼種、強度レベル等は問わない。金属材料として、鉄鋼に限らず、アルミニウム系、チタン系、銅系、マグネシウム系の純金属または合金が挙げられる。金属材料が鉄鋼である場合、ミクロ組織の種類、組織形状、相分率は限定されない。ミクロ組織を構成する構成相として、例えば、フェライト、マルテンサイト、ベイナイト、パーライト、残留オーステナイト、MAのうちの1以上を含み、その他セメンタイト等の析出物を含みうる。前記組織形状は、結晶の形状をいい、例えば枝状、粒状、針状等が挙げられる。前記鉄鋼の成分組成も限定されない。前記金属材料の製造方法も限定されず、所望のミクロ組織が得られるように、例えば熱間圧延条件、熱処理条件等の製造条件が適宜設定されうる。複数の金属材料を評価、例えば複数の金属材料間で対比する場合は、例えばミクロ組織の構成相の種類、組織形状、相分率のうちの1以上が異なる複数の金属材料を用意することが挙げられる。簡便に説明するため、以下に記載する評価方法において、金属材料は、軟質相としてフェライトおよび硬質相としてマルテンサイトから構成される二相鋼を、金属材料のミクロ組織損傷挙動を評価する対象としている。
[ステップ2:FEM解析モデルの作成]
図2のステップ2(S2)の通り、制御部20は、モデル作成処理21にて、FEM解析に使用するFEM解析モデルとしてメッシュモデルを作成する。当該解析モデルは、例えば、金属材料の取得したミクロ組織画像を用いてイメージベースモデリングにより作成できる。モデル作成方法の一例を図3に記載する。図3Aは取得されたミクロ組織画像を示す。制御部20は、このようなミクロ組織画像の画素の濃度または輝度に対して所定の閾値を設定し、任意の画素位置の濃度等が当該閾値を超えるか否かによって当該画素位置の値を設定する二値化処理を行うことで二値画像を作成する。図3Bは、図3Aのミクロ組織画像から作成された二値画像である。これにより、マルテンサイト相を抽出し、それ以外の相と分離することができる。
次に、制御部20は、二値画像からマルテンサイト相に対応する領域の輪郭を取得する。当該輪郭は、例えばエッジを検出する画像処理フィルタ(例えば、ソーベルフィルタ、ラプラシアンフィルタ等)を用いることで取得することができる。図3Cは、二値画像から取得された、マルテンサイト相(硬質相)に対応する領域の輪郭を表す。
次に、制御部20は、上記の輪郭から、マルテンサイト相に対応する領域の形状データと、フェライト相に対応する領域の形状データとを作成する。図3Dは、マルテンサイト相に対応する領域Mと、フェライト相に対応する領域Fを作成した形状データである。その後、制御部20は、当該形状データを所定の条件に基づいて設定されるメッシュに分割した2次元のメッシュモデルを作成する。図3Eは、このようにして作成されたメッシュ領域の一例である。本実施形態に係るメッシュモデルでは、四辺形要素のメッシュに分割している。図3Eには、右上の一部の領域を部分的に拡大し、メッシュの形状を例示した。四辺形要素は長方形である必要はない。また四辺形であることも必須ではなく、三角形以上の多角形であればよい。
本実施形態におけるFEM解析モデルとして、上記のメッシュモデルは、4節点アイソパラメトリック要素を設定して、総要素数が40,279、総節点数が40,507の2Dモデルで作成する。そして、当該2Dモデルを画像の奥行き方向へ1層分拡張し、8節点アイソパラメトリック要素により総要素数が40,279、総節点数が81,014の3Dモデルを作成し、当該3Dモデルを用いてFEM解析を行う。モデルの条件は上記に限定されるものではなく、例えば、要素の種類に関して、構成節点数が異なる要素を使用してもよい。また、総要素数や総節点数が異なる3Dモデルを作成して、FEM解析を行ってもよい。また、3Dモデルではなく、2Dモデルを作成してFEM解析モデルとして使用してもよい。
[ステップ3:材料特性の取得]
図2のステップ3(S3)の通り、制御部20は、パラメータ設定処理22により、FEM解析を行うために二相鋼を構成する各相に関する各材料の特性を取得し、パラメータとして設定する。ここで、取得する材料特性とは、例えば、フェライト相とマルテンサイト相それぞれのヤング率、降伏応力および耐力、加工硬化指数並びに結晶方位などである。また、制御部20は、金属材料を構成する各材料に関する応力-ひずみ曲線(本実施形態においては、フェライトに関する応力-ひずみ曲線とマルテンサイトに関する応力-ひずみ曲線)をそれぞれ材料特性として取得する。これにより、制御部20が解析処理23にて、後述するFEM解析を行った際、FEM解析モデルに与える応力またはひずみに対して、当該モデルを構成する各相の形状および特性に基づいて、各積分点に与えられる応力またはひずみが算出される。金属材料を構成する各材料に関する応力-ひずみ曲線は、例えば、当該材料で構成されている試験片に対して引張試験を行うことで、取得することができる。
[ステップ4:境界条件の設定]
図2のステップ4(S4)の通り、制御部20は、パラメータ設定処理22により、FEM解析モデルに与える境界条件を設定する。当該境界条件は、金属材料を構成する構造体が破壊されるまでに実際に材料に生じると考えられる応力またはひずみの履歴を与える。当該応力またはひずみの履歴は、構造体の構造解析によりあらかじめ推定することができる。また、実際に構造物から、例えばひずみゲージを用いることで計測してもよいし、任意の条件を設定してもよい。境界条件は、応力またはひずみの履歴に限定されず、例えば、応力またはひずみを与えてもよい。この場合、制御部20はパラメータ設定処理22により、当該境界条件に基づいて所定の増加幅で、FEM解析を行うためのパラメータを設定する。
[ステップ5:FEM解析の実行(相当塑性ひずみと応力三軸度の出力)]
図2のステップ5(S5)の通り、制御部20は、解析処理23により、作成したFEM解析モデルを用いてFEM解析を実行する。FEM解析では、作成したFEM解析モデルに対して境界条件として設定した応力またはひずみの履歴を与えることで、金属材料に応力またはひずみが加えられた際にどのように変形するかシミュレーションにより解析することができる。解析により、FEM解析モデルの各要素に与えた応力またはひずみ別に、FEM解析モデルの各要素における「応力三軸度」および「相当塑性ひずみ」を算出し、出力することができる。FEM解析モデルの各要素には、解析時の積分を行うための積分点が予め設定されている。「応力三軸度」および「相当塑性ひずみ」は、積分点に与えられたに与えた応力またはひずみ別に算出される。なお、FEM解析モデルの各要素の積分点以外に、例えば積分点について算出された解から計算される要素解または節点解を用いて「応力三軸度」および「相当塑性ひずみ」を算出してもよい。
[ステップ6:相当塑性ひずみと応力三軸度の分布作成]
図2のステップ6(S6)の通り、制御部20は、例えばグラフ作成処理等の分布作成処理24により、相当塑性ひずみと応力三軸度の分布を求めることができる。具体的に例えば、相当塑性ひずみと応力三軸度のグラフを作成する。詳細には、前記境界条件として設定した応力またはひずみ別に、出力された前記各位置の相当塑性ひずみと応力三軸度を、これらを軸とするグラフにプロットする。また、制御部20は、算出された相当塑性ひずみと応力三軸度を所定の時間刻みごとに(例えば、FEM解析において1回の解析あたりに進める時間間隔ごとに)当該グラフにプロットしてもよい。前記グラフは、例えば縦軸を相当塑性ひずみ、横軸を応力三軸度とすることができる。後記の実施例では、全ての積分点の相当塑性ひずみと応力三軸度をプロットしているが、これに限られず、前記位置として、前記モデルにおける一部の積分点の、相当塑性ひずみと応力三軸度をプロットしてもよい。
[ステップ7:ミクロ組織の損傷挙動の評価]
図2のステップ7(S7)の通り、前記相当塑性ひずみと応力三軸度の分布から、ミクロ組織の損傷挙動を評価する。評価方法の一例として、前記境界条件として設定した応力またはひずみ別に、前記プロット点の分布形態を観察することが挙げられる。または、前記境界条件として設定した応力またはひずみの異なる、プロット点の2以上の分布を対比することによって、変形過程すなわち塑性ひずみ(εmicro)量の変化に伴うプロット点の推移を観察し、マイクロボイド発生挙動の評価に用いることができる。本実施形態によれば、従来技術の様に複雑な連続体損傷モデルを用いる必要がなく、金属材料のマイクロボイド発生挙動を簡便に評価することが可能となる。
本実施形態に係る評価方法は、前述の通り、対象とする金属材料を特に限定しない。前記金属材料は、構成相が1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。前記金属材料の構成相が2種類以上である場合、前記ステップ5~7を構成相ごとに実施することができる。この場合、前記ステップ7で、構成相別に示した相当塑性ひずみと応力三軸度のプロット点の分布形態を対比して、マイクロボイド発生のしやすさを評価することが挙げられる。
前記ステップ7で、別途用意した損傷クライテリアを用い、ミクロ組織の損傷有無を判断してもよい。損傷クライテリアとして、下記の通り、実験的に決定した損傷クライテリアを用いることが好ましい。該損傷クライテリアは、まず、ミクロ組織の損傷であるマイクロボイドの発生位置とマイクロボイド発生時の塑性ひずみ量を簡便な実験により求め、これらの情報と、金属材料のFEM解析で得られる、マイクロボイド発生位置の相当塑性ひずみおよび応力三軸度とを、関連付けることで得られる。該損傷クライテリアを用いれば、実態に即したミクロ組織の損傷挙動の評価を行うことができる。なお、本実施例では、該損傷クライテリアを導出するために複数のプロット点をグラフ上に表示したが、複数のプロット点を表示することは必須ではない。複数のプロット点の表示に代えて、導出された該損傷クライテリアを表示してもよい。
以下、損傷クライテリアを実験的に決定する方法について、図4のミクロ組織の損傷クライテリア決定フロー図を例に説明する。
[ステップ11:塑性変形中の複数のミクロ組織画像の取得]
図4のステップ11(S11)の通り、撮影部12は、塑性変形中の複数のミクロ組織画像を取得する。詳細には、金属材料からなる試験片を用意し、該試験片に、連続的にひずみを付与しながら、該試験片の同一視野のミクロ組織画像を複数取得する。
前記ひずみを付与する方法は特に限定されず、連続的にひずみを付与できればよい。前記方法として、例えば引張試験が挙げられ、例えば一軸方向の引張試験を行うことが挙げられる。上記引張試験を行う場合、後述する実施例に記載の通り、所定の塑性ひずみ量になるまで試験片を引っ張り、引張試験機から試験片を取り外して顕微鏡観察し、再度、試験片を引張試験機に設置して引っ張ることを繰り返し行う、準連続ミクロ組織観察-引張試験が挙げられる。しかしこれに限定されず、種々の塑性ひずみ量を付与時の複数枚のミクロ組織画像を取得できればよい。例えば非特許文献3に示されたようなミクロ組織観察と引張試験の方法等を採用してもよい。
前記引張試験に用いる引張試験片は、前記ミクロ組織画像を取得するための面が、鏡面研磨、さらにはミクロ組織の種類により必要に応じて、エッチング等の前処理があらかじめ施されていてもよい。前記ミクロ組織画像は、前記ステップ1と同様に、走査型電子顕微鏡(SEM)等で観察した画像を用いることができる。上記ミクロ組織画像のサイズ、倍率等は、評価領域、評価位置等に応じて適宜設定すればよい。
前記引張試験による引張試験片の公称ひずみ量は、後述する実施例に記載の通り、試験片に伸びを計測するためのマーク(シール)を付した状態で、試験片の変形を撮影し、前記マークの位置から求めることができる。また、試験片の変形前後のミクロ組織写真に表示された金属材料の組織形状等を対比することで、同一の領域を特定し、当該領域の変形量からの推定により、当該写真が撮影された時点でのミクロ組織の局所的な領域の塑性ひずみ量(εmicro)を求めることができる。なお公称ひずみ量および塑性ひずみ量は、例えば、変形前の試験片の形状を100としたときの変位の程度(%)で表される。一例として、本発明者は、公称ひずみεnominal=13.3%、及び公称ひずみεnominal=18.2%の時点において、塑性ひずみεmicro=17.1%、及び塑性ひずみεmicro=35.5%のミクロ組織画像を取得した。
[ステップ12:ミクロ組織画像からのマイクロボイド発生位置とマイクロボイド発生時の塑性ひずみの把握]
図4のステップ12(S12)の通り、前記複数のミクロ組織画像から、マイクロボイド発生位置と、マイクロボイド発生時の塑性ひずみ量(εmicro)を把握する。マイクロボイドが発生した位置の確認は、前記ミクロ組織画像において目視でまたは画像解析で行うことができる。マイクロボイド発生位置は、金属材料を構成する構成相が2種類以上である場合、いずれの構成相で発生したかも把握する。例えば、ミクロ組織画像に、マイクロボイド発生位置と、マイクロボイド発生時の金属材料に付与した塑性ひずみ量(εmicro)を記録することが挙げられる。
[ステップ13:FEM解析モデルの作成]
図4のステップ13(S13)の通り、制御部20は、モデル作成処理21により、FEM解析に使用するFEM解析モデルとして、メッシュモデルを作成する。FEM解析モデルは、上述のステップ2と同様の方法で作成することができる。
[ステップ14:材料特性の取得]
図4のステップ14(S14)の通り、制御部20は、パラメータ設定処理22により、ステップ11で試験した金属材料を構成する各材料の特性を取得する。ここで、取得する材料特性とは、ステップ3で記載しているように、例えば、構成する材料それぞれのヤング率、降伏応力および耐力、加工硬化指数、結晶方位、並びに応力-ひずみ曲線などである。
[ステップ15:境界条件の設定]
図4のステップ15(S15)の通り、制御部20は、パラメータ設定処理22により、FEM解析モデルに与える境界条件を設定する。当該境界条件は、上記のステップ4と同様、金属材料を構成する構造体が破壊されるまでに実際に材料に生じると考えられる応力またはひずみ量の履歴を与える。
[ステップ16:FEM解析の実行(相当塑性ひずみと応力三軸度の出力)]
図4のステップ16(S16)の通り、制御部20は、解析処理23により、作成したFEM解析モデルを用いてFEM解析を実行する。上記のステップ5と同様、作成したFEM解析モデルに対して境界条件として設定した応力またはひずみの履歴を与えることで、金属材料に応力またはひずみが加えられた際にどのように変形するかシミュレーションにより解析することができる。解析により、FEM解析モデルに与えた応力またはひずみ別に、FEM解析モデルの各位置における応力三軸度および相当塑性ひずみを算出し、出力することができる。
[ステップ17:マイクロボイド発生位置の相当塑性ひずみと応力三軸度の抽出]
図4のステップ17(S17)の通り、制御部20は、解析処理23により、出力された前記各位置の相当塑性ひずみと応力三軸度のデータの中から、マイクロボイド発生位置における相当塑性ひずみと応力三軸度のデータを抽出する。当該抽出データは、ステップ12にて記録した当該マイクロボイドが発生した際の塑性ひずみεmicroを、FEM解析モデルに与えてどのように変形するか解析することで算出した値を抽出する。したがって、マイクロボイドが発生した際の塑性ひずみεmicroに対応した相当塑性ひずみおよび応力三軸度のデータを抽出することができる。
[ステップ18:抽出されたマイクロボイド発生位置の相当塑性ひずみと応力三軸度の分布作成]
図4のステップ18(S18)の通り、制御部20は、例えばグラフ作成処理等の分布作成処理24により、抽出された前記各位置の相当塑性ひずみと応力三軸度の分布を求める。具体的に例えば、これらを軸とするグラフにプロットする。該分布を求めることで、対象の構成相における、マイクロボイドが発生する、相当塑性ひずみと応力三軸度の関係(相当塑性ひずみと応力三軸度の組み合わせ値)が明らかになる。分布としてグラフを作成する場合、前記グラフは、例えば縦軸を相当塑性ひずみ(εeq)、横軸を応力三軸度(η)とすることができる。
[ステップ19:分布における損傷クライテリアの決定]
図4のステップ19(S19)の通り、前記グラフ等の分布において、マイクロボイドが発生する相当塑性ひずみと応力三軸度の関係から、損傷クライテリアを決定する。本決定方法の分布の一例によれば、マイクロボイドが発生する、相当塑性ひずみと応力三軸度の組み合わせ値がプロット点としてグラフに示される。また前述のとおり、相当塑性ひずみと応力三軸度が大きいほど損傷が生じやすい傾向にある。言い換えると、相当塑性ひずみと応力三軸度の小さい領域はマイクロボイドが生じにくいといえる。よって、損傷クライテリアは、上記マイクロボイドの生じにくい領域と、マイクロボイドが発生した上記プロット点の集合域との境界線として示される。前記プロット点は、多ければ多いほど精度が高まることから、例えば3点以上、更には5点以上示すことが好ましい。制御部20が、分布作成処理24により、プロットされた結果から、損傷クライテリアをグラフ上に表示してもよい。代替的に、制御部20は、分布作成処理24により、FEM解析においてFEM解析モデルに与えた応力またはひずみ別に、出力された各要素の相当塑性ひずみと応力三軸度とから、損傷クライテリアをグラフ上に表示してもよい。
後記する実施例では、相当塑性ひずみと応力三軸度の関係のクライテリアとして反比例の近似式を示しているがこれに限定されない。データに応じて近似式の係数も変わりうる。前記クライテリアの式は、得られたデータに応じて直線近似線等であってもよい。
金属材料が複相鋼であり、構成相が2種類以上である場合、損傷クライテリアは、各構成相で求める。よって複相鋼の場合、損傷クライテリアは、構成相ごとに、上記ステップ17~19を実施して決定する。例えば構成相がフェライト相とマルテンサイト相である場合、後記の実施例に例示の通り、これらフェライト相とマルテンサイト相のそれぞれにおいて、損傷クライテリアを決定することが挙げられる。
前述の通り、従来の連続体損傷モデルを用いると、マイクロボイド発生挙動を直接評価するにあたり、決定の困難なパラメータが複数あるのに対し、本発明の損傷クライテリアの決定方法によれば、上記マイクロボイド発生の実態と、相当塑性ひずみと応力三軸度とを突き合わせて損傷クライテリアを決定しているため、簡易にかつ実態に即した閾値を決定でき、かつこの損傷クライテリアを用いて、実態に即した損傷の評価を行うことができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前述および後述する趣旨に合致し得る範囲で、適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。すなわち、以下では軟質相であるフェライト相と硬質相であるマルテンサイト相の二相で構成される二相鋼を用いた実施例を示しているが、これに限定されない。また以下では、応力三軸度および相当塑性ひずみの分布の一例としてグラフの作成を行っているが、これに限定されない。
本実施例では、軟質層と硬質相の二相で構成される二相鋼であって、該二相鋼を構成する相の種類が同じで組織形状と相分率の異なる2種類の鋼板を対象とし、この2種類の鋼板のマイクロボイド発生挙動を、下記の通り評価した。
1.金属材料の準備
材料1として、C:0.063質量%、Si:0.50質量%、およびMn:1.46質量%(実績)を含む鋼を溶製し、インゴットを得てから鍛造し、熱処理を施して、マルテンサイトとフェライトの二相鋼を用意した。また材料2として、硬質相であるマルテンサイトの面積分率が材料1とは異なる、マルテンサイトとフェライトの二相鋼を用意した。上記材料1と材料2を用いて、下記の手順によりミクロ組織の損傷挙動の評価を行った。
2.金属材料のミクロ組織画像の取得
上記各材料を、顕微鏡観察面がおおよそ10mm×10mm程度のサイズに切り出し、ナイタールでエッチングしてから、走査型電子顕微鏡にて倍率1000倍で顕微鏡写真を撮影し、ミクロ組織の画像を取得した。材料1の顕微鏡写真を図5A、材料2の顕微鏡写真を図5Bに示す。図5Aにおいて、白色部分は硬質相Qであるマルテンサイト相を示し、グレー部分は軟質相Rであるフェライト相を示す。また、図5Bにおいて、薄いグレー部分は硬質相Qであるマルテンサイト相を示し、濃いグレー部分は軟質相Rであるフェライト相を示す。図5Aおよび図5Bにおいて、該顕微鏡写真の画像解析を行ったところ、硬質相Qであるマルテンサイトの面積分率は、材料1では約15%であり、材料2では約50%であった。
3.FEM解析モデルの作成
次に、評価システム1の制御部20にモデル作成処理21を実行させて、FEM解析に使用するFEM解析モデルとして上記材料1と材料2それぞれのミクロ組織の画像を模したメッシュモデルを作成した。FEM解析モデルは、上述のステップ2と同様の方法で作成され得る。本実施例では、ステップ2に記載したFEM解析モデルと同様、メッシュモデルは、4節点アイソパラメトリック要素を設定して、総要素数が40,279、総節点数が40,507の2Dモデルで作成されている。制御部20にモデル作成処理21を実行させることで、当該2Dモデルに対して、画像の奥行き方向へ1層分拡張し、8節点アイソパラメトリック要素により総要素数が40,279、総節点数が81,014の3Dモデルを作成する。その後、制御部20に解析処理23を実行させて、当該3Dモデルを用いてFEM解析を行わせた。
作成された2Dのメッシュモデルは、硬質相であるマルテンサイトに対応する領域の面積分率が、材料1では約15%となるように、材料2では約50%となるように作成されている。同様に、3Dのメッシュモデルは、硬質相であるマルテンサイトに対応する領域の体積分率が、材料1では約15%となるように、材料2では約50%となるように作成されている。
4.材料特性の取得
金属材料を構成する材料であるフェライトおよびマルテンサイトの特性を取得して制御部20のパラメータ設定処理22として入力し、FEM解析モデルにおけるフェライトに対応する領域およびマルテンサイトに対応する領域のパラメータとして設定した。ここで、取得した材料特性とは、ステップ3で記載しているように、例えば、フェライトとマルテンサイトそれぞれのヤング率、降伏応力および耐力、加工硬化指数並びに結晶方位などである。また、金属材料を構成するフェライトとマルテンサイトそれぞれに関する応力-ひずみ曲線を取得し、材料特性として制御部20に設定した。それらの応力-ひずみ曲線は、フェライトで構成されている単相鋼とマルテンサイトで構成されている単相鋼それぞれに対して引張試験を行い、取得した。
5.境界条件の設定
次に、各FEM解析モデルに与える境界条件を制御部20に設定した。当該境界条件は、上記のステップ4と同様、金属材料を構成する構造体が破壊されるまでに実際に材料に生じると考えられるひずみ量の履歴を与えた。本実施例では、後述するように一軸方向の引張試験により引張試験片に対してひずみを生じさせる。したがって、FEM解析モデルに与える境界条件として、引張試験における引っ張り方向に対応する方向をx軸(図5Aおよび図5Bにおける左右方向)、x軸に直交する方向をyおよびz軸(それぞれ図5Aおよび図5Bにおける上下方向および奥行き方向)とすると、ε=-νε=-νεとなるようにひずみ増分を与えた。ここで、εはx軸方向のひずみ増分、εはy軸方向のひずみ増分、εは、z軸方向のひずみ増分である。また、νは、ポアソン比である。本実施例では、ν=0.5として設定した。したがって、各軸の方向のひずみ増分は、x軸方向:y軸方向:z軸方向=1:-0.5:-0.5となるように設定した。
6.FEM解析の実行(相当塑性ひずみと応力三軸度の出力)
次に、制御部20に解析処理23を実行させて、作成したFEM解析モデルを用いてFEM解析を実行させる。FEM解析では、上記のような境界条件で設定された塑性ひずみがFEM解析モデルに与えられた際、解析モデルがどのように変形するかシミュレーションにより解析することができる。それにより、解析モデルでの各位置における変位を算出し、応力三軸度および相当塑性ひずみを算出し、出力することができる。本実施例では、各位置として、FEM解析モデルの各要素の積分点における値を用いた。上記FEM解析は、境界条件として設定する塑性ひずみを変更することで、任意の塑性ひずみに対する解析を行うことができる。
7.相当塑性ひずみと応力三軸度のグラフ作成
制御部20に分布作成処理24を実行させて、上記計算結果から得られた、ミクロ組織内の各位置、すなわち全積分点の応力三軸度と相当塑性ひずみの値を、境界条件として与えたひずみ値ごとに、縦軸を相当塑性ひずみ(εeq)、横軸を応力三軸度(η)とするグラフにプロットさせた。上記プロットしたグラフとして、x軸方向の塑性ひずみが5%のときの材料1と材料2の軟質相のグラフをそれぞれ図6Aと図6B、x軸方向の塑性ひずみが5%のときの材料1と材料2の硬質相のグラフをそれぞれ図7Aと図7B、x軸方向の塑性ひずみが20%のときの材料1と材料2の軟質相のグラフをそれぞれ図8Aと図8B、x軸方向の塑性ひずみが20%のときの材料1と材料2の硬質相の2軸グラフをそれぞれ図9Aと図9Bに示す。
8.ミクロ組織の損傷挙動の評価
上記ひずみ量別、構成相別に、材料1(硬質相が少ないミクロ組織)と材料2(硬質相が多いミクロ組織)を比較した。その結果、材料1と材料2の、軟質相と硬質相の両方において、同じひずみを与えたときに、材料2の方が、応力三軸度も相当塑性ひずみもより高い値を示す傾向にあることがわかる。またこの傾向は、ひずみ5%よりもひずみ20%の方がより顕著であることがわかる。前述のとおり、相当塑性ひずみと応力三軸度が大きいほど損傷が生じやすくなる傾向にあることから、応力三軸度と相当塑性ひずみが材料1よりも高い値を示す材料2は、材料1よりも、より早くミクロ組織内の微視的な損傷が生じやすいことがこれらのグラフの対比から判断できる。
9.損傷クライテリアの決定
下記手順に沿って損傷クライテリアを決定した。
(1)塑性変形中の複数のミクロ組織画像の取得(準連続ミクロ組織観察-引張試験)
引張試験途中の複数の段階でミクロ組織観察を行って、引張試験中の応力/ひずみと、該応力/ひずみを受けて変形したミクロ組織の撮影を行った。
詳細には、図10に示す形状の引張試験片を用意した。前記引張試験片はマルテンサイト面積率が13.7%である材料で作製した。そして、該引張試験片の一方の平面をミクロ観察用に鏡面研磨し(ナイタールエッチング有り)、他方の平面にビデオ伸び計用のシールを貼付し、上記した応力/ひずみ付与部11の一例である図11の準連続ミクロ組織観察-引張試験装置70の側面図の通り、(引張)試験片71を、チャック72で固定し、ビデオ伸び計用のシール73を貼付した面側にビデオカメラ74を配置した。そしてビデオカメラで撮影しながら引張試験を行った。引張試験の試験条件は、室温環境下、クロスヘッド変位速度1mm/minとした。(引張)試験片71のシール73貼付面とは反対側の面には、ミクロ組織観察用の研磨面75を有している。
試験では、まずSEM観察し、ひずみを与える前の状態のミクロ組織写真を取得した。そして、引張試験機に引張試験片71を設置して引っ張ることでひずみを与え、所定の伸び量となったところで引っ張りを止め、引張試験機から引張試験片71を取り出して、引張試験片71のミクロ組織観察用の研磨面75をSEM観察し、その後、引張試験機に引張試験片71を再度設置し、所定の伸び量となるまで引っ張ることを繰り返した。この繰り返しを行うことで、あるタイミング(ひずみ量)のときのミクロ組織を把握できる。観察位置は、図12に示す通り、引張試験片における矢印の位置とした。ミクロ組織の観察は走査型電子顕微鏡を用いて行った。ミクロ組織の観察は、同一視野を、図13に示す通り、測定開始時(無ひずみ)と、くびれ発生の前後を含めた破断直前までの複数時期に行った。上記各SEM観察では、引張試験片に各応力が付加された時点で、引張試験装置から引張試験片を一旦取り外し、試験片の研磨面のミクロ観察を行った。
(2)ミクロ組織画像からのマイクロボイド発生位置とマイクロボイド発生時の塑性ひずみの把握
上記ミクロ観察結果の一部を図14A~図14Cに示す。図14Aは、非ひずみ時、すなわち前記図13の〔1〕の黒丸の時点のミクロ組織写真、図14Bは、前記図13の〔2〕の黒丸の時点であって、引張試験による引張方向と同一の軸方向(すなわち、x軸方向)に関する塑性ひずみ(ミクロ組織写真に表示された金属材料の組織形状等をもとに視野の変形量から推定した、ミクロ組織写真に表示されている所定領域のひずみ値)εmicroが17.1%(ビデオ伸び計用のシールの変位量から推定した公称ひずみεnominalが13.3%)時のミクロ組織写真、図14Cは、前記図13の〔3〕の黒丸の時点であって、塑性ひずみεmicroが35.5%(公称ひずみεnominalが18.2%)時のミクロ組織写真である。図14A~図14Cに示す破線で囲われた領域は、上記所定領域を表しており、横方向(x軸方向)に伸び、縦方向(y軸方向)に縮んでいることが分かる。この準連続ミクロ組織観察-引張試験では、マクロひずみ量であるx軸方向の塑性ひずみ量(εmicro)、当該塑性ひずみ量でのマイクロボイド発生位置、マイクロボイド発生起点となった構成相の種類を評価項目とした。
準連続ミクロ組織観察-引張試験でのマイクロボイドの発生は、上記ミクロ組織写真において、図15Aの矢印または図15Bの丸囲みで示されるようなボイドを、目視で確認した。その確認結果の一例を図16~図19に示す。図16および図17は、フェライト相で発生したマイクロボイド発生位置の写真であり、図18および図19は、マルテンサイト相で発生したマイクロボイド発生位置の写真である。図16A~図16Cは引張試験片にくびれが発生する前の、フェライト相におけるマイクロボイドの発生写真であり、図16D、図16E、図17A~図17Dは引張試験片にくびれが発生した後の、フェライト相におけるマイクロボイドの発生写真である。また、図18Aが、引張試験片にくびれが発生する前の、マルテンサイト相におけるマイクロボイドの発生写真であり、図18B~図18D、図19Aおよび図19Bが、引張試験片にくびれが発生した後の、マルテンサイト相におけるマイクロボイドの発生写真である。図16~図19のいずれの写真においても、矢印で示すマイクロボイド発生位置を含む左側の写真と、該写真を拡大し、マイクロボイド発生位置を丸で示した右側の写真を示す。
評価の一例として、上記図14Cのミクロ組織写真において、上記図16~19に示すように項目を評価した結果を図20に示す。図20において、実線または点線で囲んだ部分はボイドが発生した箇所を示しており、実線の囲みはフェライト相で発生したボイドであることを示し、点線の囲みはマルテンサイト相で発生したボイドであることを示す。図20は公称ひずみεnominalが18.2%時の結果であるが、この図20と同様に、他の公称ひずみεnominal時の、ボイド発生位置、ボイド発生起点となった構成相の種類も、図16~図19の通り観察し、図20に示された様な評価結果を得た。
(3)上記引張試験に対応したひずみでの解析結果の出力
FEM解析を行うために、制御部20にモデル作成処理21を実行させて、上記と同様の方法にてFEM解析モデルを作成した。当該モデルは、図14Aにて点線で囲われた領域を用いてイメージベースモデリングにより作成されている。試験片のマルテンサイト相の面積分率は13.7%であるため、マルテンサイト相に相当する領域の体積分率が13.7%であるFEM解析モデルを作成した。また、金属材料を構成する材料であるフェライトおよびマルテンサイトの特性をパラメータとして制御部20に設定した。
次に、各FEM解析モデルに与える境界条件をパラメータとして制御部20に設定した。当該境界条件は、上記と同様、金属材料を構成する構造体が破壊されるまでに実際に材料に生じると考えられるひずみ量の履歴を与えている。また、ε=-νε=-νεとなるようにひずみ増分を与えており、ν=0.5として設定し、各軸の方向のひずみ増分は、x軸方向:y軸方向:z軸方向=1:-0.5:-0.5となるように設定した。
そして、制御部20に解析処理23を実行させてFEM解析を行い、上記ミクロ組織の写真から推定された各塑性ひずみεmicroと同等の塑性ひずみを上記FEM解析モデルに対して引張方向に与えた場合の、FEM解析モデルの変形を解析した。すなわち、本実施例では、FEM解析モデルの各積分点に、x軸方向に対して17.1%、35.5%およびその他の推定した塑性ひずみεmicroが与えられた際のそれぞれの塑性ひずみεmicroでのFEM解析モデルの変形を解析した。そして、解析モデルでの各位置における変位を算出し、応力三軸度および相当塑性ひずみを算出し、記憶部30に出力した。すなわち、当該塑性ひずみεmicroが試験片のミクロ組織写真の所定領域にて発生した場合における、所定領域内の任意の位置での応力三軸度および相当塑性ひずみを出力している。
(4)解析結果からの、マイクロボイド発生位置の相当塑性ひずみと応力三軸度の抽出と、抽出された相当塑性ひずみと応力三軸度のグラフ作成
制御部20に分布作成処理24を実行させて、出力された前記各位置の相当塑性ひずみと応力三軸度のデータの中から、マイクロボイド発生位置における相当塑性ひずみと応力三軸度のデータを抽出した。当該抽出データは、当該マイクロボイドが発生した際の塑性ひずみεmicroをFEM解析モデルに与えて算出した値を抽出している。そして各位置が対応する構成相別に、抽出された前記各位置の相当塑性ひずみと応力三軸度を、縦軸を相当塑性ひずみ(εeq)、横軸を応力三軸度(η)としたグラフにプロットし、各構成相において、マイクロボイドが発生する相当塑性ひずみと応力三軸度の関係を求めた。その結果を、フェライト相については図21、マルテンサイト相については図22に示す。上記図21および図22から、相当塑性ひずみと応力三軸度の値が、ひずみの増加により、早期に高くなる、すなわちグラフ上で早期にグラフ右上に推移するほど、マイクロボイドが早期に発生すると言える。
(5)グラフでの損傷クライテリアの決定
図21、図22のそれぞれにおいて、プロット点の領域と、相当塑性ひずみと応力三軸度が小さくなるグラフの左斜め下方向の領域との境界線として、反比例型の近似曲線を算出した。該近似曲線は、各構成相での損傷が発生する閾値曲線であり、該曲線よりも上は損傷が生じる領域であることを示す。
10.損傷クライテリアを用いたミクロ組織の損傷挙動の評価
FEM解析で得られた、各構成相の応力三軸度と相当塑性ひずみの関係を、上記求めた損傷クライテリアで判断することによって、各構成相の損傷挙動をより明確に判断することができる。詳細には、前記図6、図7、図8および図9のいずれにおいても、材料1よりも材料2のほうがグラフ右上のプロット点が多かった。このことから、材料2のほうが早期にマイクロボイドが発生すると考えられ、材料2のほうが破断特性は劣ると推察される。
近年、金属材料の成分組成と製造プロセスが複雑となりつつあることに伴い、金属材料のミクロ組織のスケールでは、組織や強度の分布(不均質性)が可避的に発現しやすく、該組織等の不均質性はマクロな強度特性に大きく影響する。更に、上記金属材料で形成の構造体に要求される強度特性は近年ますます厳しくなっている。しかし、本実施形態に係る方法によれば、上記組織等の不均質性の影響を正確に考慮して、実用スケールの構造体(部材)のマクロ強度特性を精度高く評価することができる。
本開示の請求項に記載の金属材料のミクロ組織の損傷挙動評価方法は、ハードウェア資源、例えば、プロセッサ、メモリ、と、ソフトウェア資源(コンピュータプログラム)との協働などによって実現される。
本実施形態に係る方法は、より厳しい強度特性の求められる、例えば建築物、船舶、海洋構造物、橋梁、タンク等の構造体を構成する金属材料の開発に有効に活用することができる。
1 評価システム
10 試験部
11 応力/ひずみ付与部
12 撮影部
20 制御部
21 モデル作成処理
22 パラメータ設定処理
23 解析処理
24 分布作成処理
30 記憶部
40 表示部
50 入力部
60 出力部
70 準連続ミクロ組織観察-引張試験装置
71 引張試験片
72 固定用チャック
73 ビデオ伸び計用のシール
74 ビデオカメラ
75 ミクロ組織観察用の研磨面

Claims (7)

  1. コンピュータを用いて金属材料のミクロ組織の損傷挙動を評価する方法であって、コンピュータが、
    前記金属材料のミクロ組織画像を取得するステップ1と、
    前記ミクロ組織画像を複数の要素に分割し、有限要素法(FEM)によって前記ミクロ組織画像を模擬したFEM解析モデルを作成するステップ2と、
    前記FEM解析モデルのパラメータとして前記金属材料の材料特性を取得するステップ3と、
    境界条件として、前記FEM解析モデルの各要素に付与する、前記金属材料の破断までに生じる応力若しくはひずみ、または前記応力若しくは前記ひずみの履歴を設定するステップ4と、
    前記境界条件でFEM解析を実行し、前記各要素の相当塑性ひずみと応力三軸度を出力するステップ5と、
    前記FEM解析において前記FEM解析モデルに与えた応力またはひずみ別に、出力された前記各要素の相当塑性ひずみと応力三軸度の分布を求めるステップ6と、
    前記相当塑性ひずみと前記応力三軸度の分布から、ミクロ組織の損傷挙動を評価するステップ7と
    を実行する、金属材料のミクロ組織の損傷挙動評価方法。
  2. 前記ステップ4は、各要素の積分点に付与する、前記応力若しくは前記ひずみ、または前記応力若しくは前記ひずみの前記履歴を設定し、
    前記ステップ5は、各要素の積分点における前記相当塑性ひずみと応力三軸度を出力する、請求項1に記載の金属材料のミクロ組織の損傷挙動評価方法。
  3. 前記金属材料は、2種類以上の構成相を有し、
    前記ステップ5~7を構成相ごとに実施する、請求項1または2に記載の金属材料のミクロ組織の損傷挙動評価方法。
  4. 予め用意された、前記2種類以上の構成相それぞれの応力-ひずみ曲線を、前記ステップ3にて前記材料特性として取得することを含む、請求項3に記載の金属材料のミクロ組織の損傷挙動評価方法。
  5. 前記ステップ7で、予め定められた手順に従って損傷クライテリアを決定し、決定された前記損傷クライテリアを用いてミクロ組織の損傷有無を判断する、請求項1から4のいずれか一項に記載の金属材料のミクロ組織の損傷挙動評価方法。
  6. 前記損傷クライテリアの決定を、
    前記金属材料からなる試験片を用意し、該試験片に、連続的にひずみを付与しながら、該試験片の同一視野のミクロ組織画像を複数取得するステップ11と、
    前記複数のミクロ組織画像から、マイクロボイド発生位置と、マイクロボイド発生時の塑性ひずみ量を決定するステップ12と、
    前記ミクロ組織画像を複数の要素に分割した、前記ミクロ組織画像を模擬したFEM解析モデルを作成するステップ13と、
    前記FEM解析モデルのパラメータとして前記金属材料の材料特性を取得するステップ14と、
    境界条件として、前記FEM解析モデルの各要素に付与する、ひずみ量を設定するステップ15と、
    前記境界条件でFEM解析を実行し、前記マイクロボイド発生時の各塑性ひずみ量における前記各要素の相当塑性ひずみと応力三軸度を出力するステップ16と、
    出力された前記各要素の相当塑性ひずみと応力三軸度のデータの中から、前記マイクロボイド発生位置における相当塑性ひずみと応力三軸度のデータを抽出するステップ17と、
    抽出された各位置の相当塑性ひずみと応力三軸度の分布を求めるステップ18と、
    前記分布において、マイクロボイドが発生する相当塑性ひずみと応力三軸度の関係から、損傷クライテリアを決定するステップ19と
    を含む工程で行う、請求項5に記載の金属材料のミクロ組織の損傷挙動評価方法。
  7. 前記金属材料は、2種類以上の構成相を有し、
    前記損傷クライテリアの決定でのステップ17~19を構成相ごとに実施する、請求項6に記載の金属材料のミクロ組織の損傷挙動評価方法。
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