≪ブラックカラムスペーサ用感光性樹脂組成物≫
ブラックカラムスペーサ用感光性樹脂組成物(以下、単に「感光性樹脂組成物」という。)は、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)光重合性モノマー、(C)光重合開始剤、及び(D)遮光剤を含有する。
そして(B)光重合性モノマーは、(B1)4官能以上の多官能モノマーと、(B2)2官能モノマー及び/又は3官能モノマーとを含む。
感光性樹脂組成物が上記の構成を備えることにより、皺を生じさせることなく平滑な膜を形成したうえで、ブラックカラムスペーサを形成することができる。
ところで、液晶表示装置等の表示装置では、基板上に素子が形成されたTFT基板等の基板が使用されることも多い。かかる基板を用いる場合、基板に形成された素子上、又は素子が形成された基板と対になる基板の素子と対向する個所にブラックカラムスペーサを形成する必要がある場合がある。このような場合、素子の高さを考慮して、素子が形成された個所と、その他の個所とで、ブラックカラムスペーサの高さを変える必要がある。
上記の構成を備える感光性樹脂組成物を用いてブラックカラムスペーサを形成する場合、感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を、ハーフトーンマスクを介して露光することで、高さの異なるブラックカラムスペーサを形成しやすい。
この場合、感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を、ghi線で所定の露光量で露光し、0.05質量%のKOH水溶液を用いて25℃で70秒間現像した後、230℃で20分間、ポストベークを行って得られる膜厚2.5μm以上のブラックカラムスペーサについて、所定の露光量が、70mJ/cm2であるときの膜厚HFTと、6.3mJ/cm2であるときの膜厚HHTとの差ΔH(=HFT−HHT)が2500〜6000Åであるのが好ましい。
以下、感光性樹脂組成物に含まれる必須又は任意の成分等について説明する。
<(A)アルカリ可溶性樹脂>
本発明に係る感光性樹脂組成物は、(A)アルカリ可溶性樹脂を含有する。
アルカリ可溶性樹脂とは、樹脂濃度20質量%の樹脂溶液(溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)により、膜厚1μmの樹脂膜を基板上に形成し、濃度0.05質量%のKOH水溶液に1分間浸漬した際に、膜厚0.01μm以上溶解するものをいう。
(A)アルカリ可溶性樹脂としては、上記の要件を満たすものであれば特に限定されない。アルカリ可溶性樹脂の好適な例としては、(A1)カルド構造を有する樹脂と(A2)アクリル系樹脂とが挙げられる。
(A1)カルド構造を有する樹脂としては、特に限定されるものではなく、従来公知の樹脂を用いることができる。その中でも、下記式(a−1)で表される樹脂が好ましい。
上記式(a−1)中、Xaは、下記式(a−2)で表される基を示す。
上記式(a−2)中、Ra1は、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜6の炭化水素基、又はハロゲン原子を示し、Ra2は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、Waは、単結合又は下記式(a−3)で表される基を示す。
また、上記式(a−1)中、Yaは、ジカルボン酸無水物から酸無水物基(−CO−O−CO−)を除いた残基を示す。ジカルボン酸無水物の例としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸等が挙げられる。
また、上記式(a−1)中、Zaは、テトラカルボン酸二無水物から2個の酸無水物基を除いた残基を示す。テトラカルボン酸二無水物の例としては、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
また、上記式(a−1)中、mは、0〜20の整数を示す。
(A1)カルド構造を有する樹脂の質量平均分子量は、1000〜40000であることが好ましく、2000〜30000であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、良好な現像性を得ながら、十分な耐熱性、膜強度を得ることができる。
(A2)アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位、及び/又は(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を含むものを用いる。(メタ)アクリル酸は、アクリル酸、又はメタアクリル酸である。(メタ)アクリル酸エステルは、下記式(a−4)で表されるものであって、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されない。
上記式(a−4)中、Ra3は、水素原子又はメチル基であり、Ra4は、エチレン性又はアセチレン性不飽和結合を含まない一価の有機基である。この有機基は、該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
Ra4の有機基中の炭化水素基以外の置換基としては、本発明の効果が損なわれない限り特に限定されず、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシル基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、ヒドロキシイミノ基、アルキルエーテル基、アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アミノ基(−NH2、−NHR、−NRR’:R及びR’はそれぞれ独立に炭化水素基を示す)等が挙げられる。上記置換基に含まれる水素原子は、炭化水素基によって置換されていてもよい。また、上記置換基に含まれる炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれでもよい。
Ra4としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基、又は複素環基が好ましく、これらの基は、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、又は複素環基で置換されていてもよい。また、これらの基がアルキレン部分を含む場合、アルキレン部分は、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合により中断されていてもよい。
アルキル基が、直鎖状又は分岐鎖状のものである場合、その炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10が特に好ましい。好適なアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、イソデシル基等が挙げられる。
アルキル基が、脂環式基、又は脂環式基を含む基である場合、アルキル基に含まれる好適な脂環式基としてはとしては、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等単環の脂環式基や、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、及びテトラシクロドデシル基等の多環の脂環式基が挙げられる。
アルキル基が、脂環式基、又は脂環式基である、(メタ)アクリル酸エステルの好適な例としては、例えば下記式(a4−1)〜(a4−7)で表される化合物が挙げられる。これらの中では、現像性に優れる感光性樹脂組成物を得やすいことから、下記式(a4−3)〜(a4−8)で表される化合物が好ましく、下記式(a4−3)、又は(a4−4)で表される化合物がより好ましい。
上記式(a4−1)〜(a4−8)中、Ra3は水素原子又はメチル基を示し、Ra5は単結合又は炭素原子数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、Ra6は水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を示す。Ra5としては、単結合、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。Ra6としては、例えばメチル基、エチル基が好ましい。
Ra4におけるアリール基としては、炭素原子数6〜20のものが好ましく、炭素原子数6〜10のものがより好ましい。好適なアリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。
Ra4におけるアラルキル基としては、炭素原子数7〜20のものが好ましく、炭素原子数7〜12のものがより好ましい。アラルキル基の例としては、ベンジル基、α−メチルベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基、フェニルエチル基、フェニルエテニル基等が挙げられる。
Ra4における複素環基としては、窒素原子、硫黄原子、及び酸素原子の少なくとも1つの原子を含む5員環以上、好ましくは5〜7員環の複素環基が挙げられる。この複素環基には縮合環が含まれていてもよい。複素環基の例としては、ピロリル基、ピリジル基、ピリミジル基、フリル基、チエニル基等が挙げられる。
また、(A2)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸、及び(メタ)アクリル酸エステル以外の他の化合物をさらに重合させたものであってもよい。このような他の化合物としては、(メタ)アクリルアミド類、不飽和カルボン酸類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類等が挙げられる。これらの化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N−アリール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−アリール(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
不飽和カルボン酸類としては、クロトン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸;これらジカルボン酸の無水物;等が挙げられる。
アリル化合物としては、酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル等のアリルエステル類;アリルオキシエタノール;等が挙げられる。
ビニルエーテル類としては、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル;ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロロフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロロフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテル等のビニルアリールエーテル;等が挙げられる。
ビニルエステル類としては、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロアセテート、ビニルジクロロアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフエニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロロ安息香酸ビニル、テトラクロロ安息香酸ビニル、ナフトエ酸ビニル等が挙げられる。
スチレン類としては、スチレン;メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン等のアルキルスチレン;メトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレン等のアルコキシスチレン;クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレン、テトラクロロスチレン、ペンタクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、トリフルオロスチレン、2−ブロモ−4−トリフルオロメチルスチレン、4−フルオロ−3−トリフルオロメチルスチレン等のハロスチレン;等が挙げられる。
(A2)アクリル系樹脂における、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位の量と、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の量とは、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。(A2)アクリル系樹脂における、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位の量は、アクリル系樹脂の質量に対して、5〜50質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。また、(A2)アクリル系樹脂における、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の量は、アクリル系樹脂の質量に対して、10〜95質量%が好ましく、30〜90質量%がより好ましい。
(A2)アクリル系樹脂における、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位の量と、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の量との合計は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、(A2)アクリル系樹脂の質量に対して、5〜100質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。(A2)アクリル系樹脂が、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位と、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位とを、かかる範囲の量で含有することにより、ハーフトーン特性に優れた感光性樹脂組成物を得やすい。感光性樹脂組成物がハーフトーン特性に優れる場合、ハーフトーンマスクを介して露光することによって、光線透過率に応じて十分に高さに差があるブラックカルムスペーサを形成しやすい。
(A2)アクリル系樹脂としては、不飽和結合を有するものを用いることもできる。不飽和結合を有するアクリル系樹脂を調製する方法は特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位と、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位とを含む樹脂の等のカルボキシル基を含むアクリル系樹脂のカルボキシル基の少なくとも一部と、エポキシ基含有不飽和化合物とを反応させる方法が挙げられる。
エポキシ基含有不飽和化合物は、不飽和結合と、エポキシ基とを含有する化合物であれば特に限定されないが、脂環式基を有さない(a−5)エポキシ基含有不飽和化合物、又は(a−6)脂環式エポキシ基含有不飽和化合物が好ましい。
脂環式基を有さない(a−6)エポキシ基含有不飽和化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エポキシアルキルエステル類;α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸6,7−エポキシヘプチル等のα−アルキルアクリル酸エポキシアルキルエステル類;等が挙げられる。これらの中でも、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、及び6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレートが好ましい。これらの(a−6)エポキシ基含有不飽和化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(a−6)脂環式エポキシ基含有不飽和化合物において、脂環式エポキシ基を構成する脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。これらの(a−6)脂環式エポキシ基含有不飽和化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
具体的に、(a−6)脂環式エポキシ基含有不飽和化合物としては、例えば下記式(a−6−1)〜(a−6−16)で表される化合物が挙げられる。これらの中でも、感光性樹脂組成物の現像性を適度なものするためには、下記式(a−6−1)〜(a−6−6)で表される化合物が好ましく、下記式(a−6−1)〜(a−6−4)で表される化合物がより好ましい。
上記式中、Ra3は水素原子又はメチル基を示し、Ra8は炭素原子数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、Ra9は水素原子又はメチル基を示し、Ra10は炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基を示し、nは0〜10の整数を示す。Ra8としては、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。R13としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、フェニレン基、シクロヘキシレン基、−CH2−Ph−CH2−(Phはフェニレン基を示す)が好ましい。
(A2)アクリル系樹脂が不飽和結合を有するものである場合、アクリル系樹脂における、不飽和結合を有する構成単位の量は、(A2)アクリル系樹脂の質量に対して、1〜20質量%が好ましく、1〜10質量%であるのがより好ましい。かかる範囲の量の不飽和結合を有する構成単位を含むアクリル系樹脂を(A2)アクリル系樹脂として用いる場合、ハーフトーン特性に優れる感光性樹脂組成物を得やすい。
(A2)アクリル系樹脂の質量平均分子量は、2000〜200000であることが好ましく、5000〜30000であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感光性樹脂組成物の膜形成能、露光後の現像性のバランスがとりやすい傾向がある。
(A)アルカリ可溶性樹脂は、上記(A1)カルド構造を有する樹脂、及び上記(A2)アクリル系樹脂以外の、従来公知の他のアルカリ可溶性樹脂を含んでいてもよい。
ただし、(A)アルカリ可溶性樹脂に占める、上記(A1)カルド構造を有する樹脂と上記(A2)アクリル系樹脂との合計割合は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%が最も好ましい。
(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部中、上記(A1)カルド構造を有する樹脂の割合は、10〜100質量部であることが好ましく、20〜100質量部であることがより好ましい。
(A)アルカリ可溶性樹脂の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分に対して20〜85質量%であることが好ましく、30〜75質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、現像性のバランスをとりやすい傾向がある。
<(B)光重合性モノマー>
感光性樹脂組成物は、(B)光重合性モノマーを含む。(B)光重合性モノマーは、(B1)4官能以上の多官能モノマーと、(B2)2官能モノマー及び/又は3官能モノマーとを組み合わせて含む。
以下、(B)光重合性モノマーを「(B)成分」とも記し、(B1)4官能以上の多官能モノマーを「(B1)成分」とも記し、(B2)2官能モノマー及び/又は3官能モノマーを「(B3)成分」とも記す。
これにより、感光性樹脂組成物を用いて、弾性復元率が高く、平滑な膜を形成しやすい。また、感光性樹脂組成物を用いてブラックカラムスペーサを形成する際に、ハーフトーンマスクを用いて感光性樹脂層を露光することにより、十分に高さの差があるブラックカラムスペーサを形成しやすい。この場合、一度の露光で、高さの異なるブラックカラムスペーサを形成できる。
(B1)成分は、4以上の不飽和二重結合を含み、(C)光重合開始剤の存在下において露光により重合可能な化合物であれば特に限定されない。また、(B2)成分は、2以上の不飽和二重結合を含み、(C)光重合開始剤の存在下において露光により重合可能な化合物であれば特に限定されない。
(B1)成分の好適な例としては、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、及び多価アルコールとN−メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物等が挙げられる。
(B2)成分のうち2官能モノマーの好適な例としては、例えば、(B2−1)炭素原子数2〜6のアルカンジオールのジ(メタ)アクリレート、(B2−2)−O(−Rb1−O)p−で表される2価基の両端に(メタ)アクリロイル基が結合したジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、Rb1は炭素原子数2〜6のアルキレン基であり、pは2以上の整数である。Rb1の炭素原子数は、2又は3が好ましい。pは2以上20以下が好ましい。pが2以上の整数である場合、複数のRb1は同一であっても、異なってもいてもよい。
(B2−1)炭素原子数2〜6のアルカンジオールのジ(メタ)アクリレートとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオール(ジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート(ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート)、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート(ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート)、及び1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(B2−2)−O(−Rb1−O)p−で表される2価基の両端に(メタ)アクリロイル基が結合したジ(メタ)アクリレートとしては、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシ基の繰り返し数が5以上のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンレンオキシ基の繰り返し数が5以上のポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、及びエトキシ化ポリプロピレングリコールのジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エトキシ化ポリプロピレングリコールのジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、プロピレンオキシ単位12と、エチレンオキシ単位6とを含むものを、1206PE(興和株式会社製)として入手可能である。
上記以外に(B2)成分として好適に使用できる2官能モノマーとしては、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、キシリレングリコールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサン−1,3−ジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、及び1,3,5−(2’−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(B2)成分のうち3官能モノマーの好適な例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ジグリセリントリ(メタ)アクリレート、ポリグリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、及びトリアクリルホルマール等が挙げられる。
(B)成分は、(B1)成分及び(B2)成分以外に、所望する効果が阻害されない範囲で(B3)単官能モノマー(以下(B3)成分とも記す。)を含んでいてもよい。
(B3)成分としては、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
また、以下の脂環式の単官能モノマーも、好適に使用される。
(B)光重合性モノマーにおいて、(B2)成分の含有量は、(B1)成分の質量と(B2)成分の質量との合計に対して80質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。
また、(B2)成分の含有量は、(B1)成分の質量と(B2)成分の質量との合計に対して1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。
(B)光重合性モノマーの質量における、(B1)成分の質量と(B2)成分の質量との合計の比率は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が特に好ましく、100質量%が最も好ましい。
(B)光重合性モノマーの含有量は、感光性樹脂組成物の固形分に対して1〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感度、現像性、解像性のバランスがとりやすい傾向がある。
<(C)光重合開始剤>
光重合開始剤としては、特に限定されず、従来公知の光重合開始剤を用いることができる。
光重合開始剤として具体的には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシル安息香酸、4−ジメチルアミノ−2−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンヒドロペルオキシド、2−メルカプトベンゾイミダール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン(すなわち、ミヒラーズケトン)、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン(すなわち、エチルミヒラーズケトン)、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、p−メトキシトリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、「IRGACURE OXE02」、「IRGACURE OXE01」、「IRGACURE 369」、「IRGACURE 651」、「IRGACURE 907」(商品名:BASF製)、「NCI−831」(商品名:ADEKA製)等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、オキシム系光重合開始剤を用いることが感度の面で特に好ましく、カルバゾール骨格を有するオキシム系光重合開始剤を用いることが特に好ましい。
オキシム系光重合開始剤の好ましい例としては、下記式(c−1)で表される光重合開始剤が挙げられる。
上記式(c−1)中、Rc1は、置換基を有していてもよい、複素環基、縮合環式芳香族基、又は芳香族基を示す。Rc2〜Rc4はそれぞれ独立に1価の有機基を示す。
Rc1における複素環基としては、窒素原子、硫黄原子、及び酸素原子の少なくとも1つの原子を含む5員環以上、好ましくは5員環又は6員環の複素環基が挙げられる。複素環基の例としては、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基等の含窒素5員環基;ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジル基、ピリダジニル基等の含窒素6員環基;チアゾリル基、イソチアゾリル基等の含窒素含硫黄基;オキサゾリル基、イソオキサゾリル基等の含窒素含酸素基;チエニル基、チオピラニル基等の含硫黄基;フリル基、ピラニル基等の含酸素基;等が挙げられる。この中でも、窒素原子又は硫黄原子を1つ含むものが好ましい。この複素環には縮合環が含まれていてもよい。縮合環が含まれる複素環基の例としてはベンゾチエニル基等が挙げられる。
Rc1における縮合環式芳香族基としては、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。また、Rc1における芳香族基としては、フェニル基が挙げられる。
複素環基、縮合環式芳香族基、又は芳香族基は、置換基を有していてもよい。特にRc1が芳香族基である場合には、置換基を有していることが好ましい。このような置換基としては、−NO2、−CN、−SO2Rc5、−CORc5、−NRc6Rc7、−Rc8、−ORc8、−O−Rc9−O−Rc10等が挙げられる。
Rc5は、それぞれ独立にアルキル基を示し、これらはハロゲン原子で置換されていてもよく、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合により中断されていてもよい。Rc5におけるアルキル基は、炭素原子数1〜5であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。
Rc6及びRc7は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、又はアルコキシ基を示し、これらはハロゲン原子で置換されていてもよく、これらのうちアルキル基及びアルコキシ基のアルキレン部分は、エーテル結合、チオエーテル結合、又はエステル結合により中断されていてもよい。また、Rc6とRc7とが結合して環構造を形成していてもよい。Rc6及びRc7におけるアルキル基又はアルコキシ基は、炭素原子数1〜5であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられる。
Rc6とRc7とが結合して形成し得る環構造としては、複素環が挙げられる。この複素環としては、少なくとも窒素原子を含む5員環以上、好ましくは5〜7員環の複素環が挙げられる。この複素環には縮合環が含まれていてもよい。複素環の例としては、ピペリジン環、モルホリン環、チオモルホリン環等が挙げられる。これらの中でも、モルホリン環が好ましい。
Rc8は、水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を示す。Rc8におけるアルキル基は、炭素原子数1〜6であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。
Rc9及びRc10は、それぞれ独立にアルキル基を表し、これらはハロゲン原子で置換されていてもよく、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合により中断されていてもよい。好ましい炭素原子数やその具体例は、上記Rc1の説明と同様である。
これらの中でも、Rc1としては、ピロリル基、ピリジル基、チエニル基、チオピラリル基、ベンゾチエニル基、ナフチル基、置換基を有するフェニル基が好ましい例として挙げられる。
上記式(c−1)中、Rc2は、一価の有機基を示す。この有機基としては、−Rc11、−ORc11、−CORc11、−SRc11、−NRc11Rc12で表される基が好ましい。Rc11及びRc12は、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、又は複素環基を示し、これらはハロゲン原子、アルキル基、又は複素環基で置換されていてもよく、これらのうちアルキル基及びアラルキル基のアルキレン部分は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合により中断されていてもよい。また、Rc11とRc12とが結合して窒素原子とともに環構造を形成していてもよい。
Rc11及びRc12におけるアルキル基としては、炭素原子数1〜20のものが好ましく、炭素原子数1〜5のものがより好ましい。アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、イソデシル基等の直鎖状又は分枝鎖状の基が挙げられる。また、このアルキル基は置換基を有していてもよい。置換基を有するものの例としては、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピロキシエトキシエチル基、メトキシプロピル基等が挙げられる。
Rc11及びRc12におけるアルケニル基としては、炭素原子数1〜20のものが好ましく、炭素原子数1〜5のものがより好ましい。アルケニル基の例としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、エテニル基、プロピニル基等の直鎖状又は分枝鎖状の基が挙げられる。また、このアルケニル基は置換基を有していてもよい。置換基を有するものの例としては、2−(ベンゾオキサゾール−2−イル)エテニル基等が挙げられる。
Rc11及びRc12におけるアリール基としては、炭素原子数6〜20のものが好ましく、炭素原子数6〜10のものがより好ましい。アリール基の例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。
Rc11及びRc12におけるアラルキル基としては、炭素原子数7〜20のものが好ましく、炭素原子数7〜12のものがより好ましい。アラルキル基の例としては、ベンジル基、α−メチルベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基、フェニルエチル基、フェニルエテニル基等が挙げられる。
Rc11及びRc12における複素環基としては、窒素原子、硫黄原子、及び酸素原子の少なくとも1つの原子を含む5員環以上、好ましくは5〜7員環の複素環基が挙げられる。この複素環基には縮合環が含まれていてもよい。複素環基の例としては、ピロリル基、ピリジル基、ピリミジル基、フリル基、チエニル基等が挙げられる。
これらのRc11及びRc12のうち、アルキル基及びアラルキル基のアルキレン部分は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合により中断されていてもよい。
また、Rc11とRc12とが結合して形成し得る環構造としては、複素環が挙げられる。この複素環としては、少なくとも窒素原子を含む5員環以上、好ましくは5〜7員環の複素環が挙げられる。この複素環には縮合環が含まれていてもよい。複素環の例としては、ピペリジン環、モルホリン環、チオモルホリン環等が挙げられる。
これらの中でも、Rc2としては、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基であることが最も好ましい。
上記式(c−1)中、Rc3は、1価の有機基を示す。この有機基としては、炭素原子数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜12のアリール基、下記式(c−2)で表される基、又は置換基を有していてもよい複素環基が好ましい。置換基としては、上記Rc1の場合と同様の基が挙げられる。炭素原子数6〜12のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。
上記式(c−2)中、Rc13は、酸素原子で中断されていてもよい炭素原子数1〜5のアルキレン基を示す。このようなアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、sec−ペンチレン基等の直鎖状又は分枝鎖状の基が挙げられる。これらの中でも、Rc13はイソプロピレン基であることが最も好ましい。
上記式(c−2)中、Rc14は、−NRc15Rc16で表される1価の有機基を示す(Rc15及びRc16は、それぞれ独立に1価の有機基を示す)。そのような有機基の中でも、Rc14の構造が下記式(c−3)で表されるものであれば、光重合開始剤の溶解性を向上することができる点で好ましい。
上記式(c−3)中、Rc17及びRc18は、それぞれ独立に炭素原子数1〜5のアルキル基を示す。このようなアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、Rc17及びRc18はメチル基であることが最も好ましい。
Rc3における複素環基としては、窒素原子、硫黄原子、及び酸素原子の少なくとも1つの原子を含む5員環以上、好ましくは5員環又は6員環の複素環基が挙げられる。複素環基の例としては、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基等の含窒素5員環基;ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジル基、ピリダジニル基等の含窒素6員環基;チアゾリル基、イソチアゾリル基等の含窒素含硫黄基;オキサゾリル基、イソオキサゾリル基等の含窒素含酸素基;チエニル基、チオピラニル基等の含硫黄基;フリル基、ピラニル基等の含酸素基;等が挙げられる。この中でも、窒素原子又は硫黄原子を1つ含むものが好ましい。この複素環には縮合環が含まれていてもよい。縮合環が含まれる複素環基の例としてはベンゾチエニル基等が挙げられる。
また、複素環基は置換基を有していてもよい。置換基としては、上記Rc1の場合と同様の基が挙げられる。
上記式(c−1)中、Rc4は、1価の有機基を示す。この中でも、炭素原子数1〜5のアルキル基であることが好ましい。このようなアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、Rc4はメチル基であることが最も好ましい。
また、オキシム系光重合開始剤の好ましい他の例としては、特開2010−15025号公報で提案されている下記式(c−4)で表される光重合開始剤が挙げられる。
上記式(c−4)中、Rc21及びRc22は、それぞれ独立に、Rc31、ORc31、CORc31、SRc31、CONRc32Rc33、又はCNを示す。
Rc31、Rc32、及びRc33は、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、又は炭素原子数2〜20の複素環基を示す。アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、及び複素環基の水素原子は、さらにORc41、CORc41、SRc41、NRc42Rc43、CONRc42Rc43、−NRc42−ORc43、−NCORc42−OCORc43、−C(=N−ORc41)−Rc42、−C(=N−OCORc41)−Rc42、CN、ハロゲン原子、−CRc41=CRc42Rc43、−CO−CRc41=CRc42Rc43、カルボキシル基、又はエポキシ基で置換されていてもよい。Rc41、Rc42、及びRc43は、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、又は炭素原子数2〜20の複素環基を示す。
上記Rc31、Rc32、Rc33、Rc41、Rc42、及びRc43における置換基のアルキレン部分のメチレン基は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、チオエステル結合、アミド結合、又はウレタン結合により1〜5回中断されていてもよく、上記置換基のアルキル部分は分岐鎖があってもよく、環状アルキルであってもよく、上記置換基のアルキル末端は不飽和結合であってもよく、また、Rc32とRc33、及びRc42とRc43はそれぞれ結合して環構造を形成していてもよい。
上記式(c−4)中、Rc23及びRc24は、それぞれ独立に、Rc31、ORc31、CORc31、SRc31、CONRc32Rc33、NRc31CORc32、OCORc31、COORc31、SCORc31、OCSRc31、COSRc31、CSORc31、CN、ハロゲン原子、又は水酸基を示す。a及びbは、それぞれ独立に0〜4の整数を示す。
Rc23は、−Xc2−を介して隣接するベンゼン環の炭素原子の1つと結合して環構造を形成していてもよく、Rc23とRc24とが結合して環構造を形成していてもよい。
上記式(c−4)中、Xc1は、単結合又はCOを示す。
上記式(c−4)中、Xc2は、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、CRc51Rc52、CO、NRc53、又はPRc54を示す。Rc51、Rc52、Rc53、及びRc54は、それぞれ独立に、Rc31、ORc31、CORc31、SRc31、CONRc32Rc33、又はCNを示す。Rc51、Rc53、及びRc54は、それぞれ独立に、隣接するどちらかのベンゼン環と一緒になって環構造を形成していてもよい。
上記式(c−4)中、Rc31、Rc32、Rc33、Rc41、Rc42、及びRc43におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基等が挙げられる。
上記式(c−4)中、Rc31、Rc32、Rc33、Rc41、Rc42、及びRc43におけるアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、クロロフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスレニル基等が挙げられる。
上記式(c−4)中、Rc31、Rc32、Rc33、Rc41、Rc42、及びRc43におけるアリールアルキル基としては、ベンジル基、クロロベンジル基、α−メチルベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基、フェニルエチル基、フェニルエテニル基等が挙げられる。
上記式(c−4)中、Rc31、Rc32、Rc33、Rc41、Rc42、及びRc43における複素環基としては、ピリジル基、ピリミジル基、フリル基、チエニル基、テトラヒドロフリル基、ジオキソラニル基、ベンゾオキサゾール−2−イル基、テトラヒドロピラニル基、ピロリジル基、イミダゾリジル基、ピラゾリジル基、チアゾリジル基、イソチアゾリジル基、オキサゾリジル基、イソオキサゾリジル基、ピペリジル基、ピペラジル基、モルホリニル基等の5〜7員環が好ましく挙げられる。
上記式(c−4)中、Rc32とRc33とが結合して形成し得る環、Rc42とRc43とが結合して形成し得る環、及びRc23が隣接するベンゼン環と一緒になって形成し得る環としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロペンテン環、ベンゼン環、ピペリジン環、モルホリン環、ラクトン環、ラクタム環等の5〜7員環が挙げられる。
なお、Xc2がNRc53であり、Rc23が隣接するベンゼン環の炭素原子の1つと結合して、Xc2とともに5員環構造を形成する場合、光重合開始剤はカルバゾール骨格を有することになる。
上記式(c−4)中、Rc31、Rc32、Rc33、Rc41、Rc42、及びRc43を置換してもよいハロゲン原子、及びRc24、Rc25におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
上記置換基のアルキレン部分のメチレン基は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、チオエステル結合、アミド結合、又はウレタン結合により1〜5回中断されていてもよい。この場合、中断する結合基は1種又は2種以上の基でもよく、連続して中断し得る基の場合は2つ以上連続して中断してもよい。また、上記置換基のアルキル部分は分岐鎖があってもよく、環状アルキルであってもよく、上記置換基のアルキル末端は不飽和結合であってもよい。
また、下記式(c−5)で表される化合物も、(C)光重合開始剤として好ましい。
(R
1は水素原子、ニトロ基又は1価の有機基であり、R
2及びR
3は、それぞれ、置換基を有してもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子であり、R
2とR
3とは相互に結合して環を形成してもよく、R
4は1価の有機基であり、R
5は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜11のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、nは0〜4の整数であり、mは0又は1である。)
式(c−5)中、R1は、水素原子、ニトロ基又は1価の有機基である。R1は、式(c−5)中のフルオレン環上で、−(CO)m−で表される基に結合する6員芳香環とは、異なる6員芳香環に結合する。式(c−5)中、R1のフルオレン環に対する結合位置は特に限定されない。式(c−5)で表される化合物が1以上のR1を有する場合、式(c−5)で表される化合物の合成が容易であること等から、1以上のR1のうちの1つがフルオレン環中の2位に結合するのが好ましい。R1が複数である場合、複数のR1は同一であっても異なっていてもよい。
R1が有機基である場合、R1は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から適宜選択される。R1が有機基である場合の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基等が挙げられる。
R1がアルキル基である場合、アルキル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。また、R1がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。R1がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、R1がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
R1がアルコキシ基である場合、アルコキシ基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。また、R1がアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。R1がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチルオキシル基、tert−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、R1がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
R1がシクロアルキル基又はシクロアルコキシ基である場合、シクロアルキル基又はシクロアルコキシ基の炭素原子数は、3〜10が好ましく、3〜6がより好ましい。R1がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。R1がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
R1が飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、2〜21が好ましく、2〜7がより好ましい。R1が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n−ブタノイル基、2−メチルプロパノイル基、n−ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロパノイル基、n−ヘキサノイル基、n−ヘプタノイル基、n−オクタノイル基、n−ノナノイル基、n−デカノイル基、n−ウンデカノイル基、n−ドデカノイル基、n−トリデカノイル基、n−テトラデカノイル基、n−ペンタデカノイル基、及びn−ヘキサデカノイル基等が挙げられる。R1が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、2−メチルプロパノイルオキシ基、n−ペンタノイルオキシ基、2,2−ジメチルプロパノイルオキシ基、n−ヘキサノイルオキシ基、n−ヘプタノイルオキシ基、n−オクタノイルオキシ基、n−ノナノイルオキシ基、n−デカノイルオキシ基、n−ウンデカノイルオキシ基、n−ドデカノイルオキシ基、n−トリデカノイルオキシ基、n−テトラデカノイルオキシ基、n−ペンタデカノイルオキシ基、及びn−ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
R1がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2〜20が好ましく、2〜7がより好ましい。R1がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec−オクチルオキシルカルボニル基、tert−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
R1がフェニルアルキル基である場合、フェニルアルキル基の炭素原子数は、7〜20が好ましく、7〜10がより好ましい。また、R1がナフチルアルキル基である場合、ナフチルアルキル基の炭素原子数は、11〜20が好ましく、11〜14がより好ましい。R1がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、及び4−フェニルブチル基が挙げられる。R1がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、2−(α−ナフチル)エチル基、及び2−(β−ナフチル)エチル基が挙げられる。R1が、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、R1は、フェニル基、又はナフチル基上にさらに置換基を有していてもよい。
R1がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。ヘテロシクリル基は、芳香族基(ヘテロアリール基)であっても、非芳香族基であってもよい。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、キノキサリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。R1がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基はさらに置換基を有していてもよい。
R1がヘテロシクリルカルボニル基である場合、ヘテロシクリルカルボニル基に含まれるヘテロシクリル基は、R1がヘテロシクリル基である場合と同様である。
R1が1又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜21の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素原子数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素原子数11〜20のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、R1と同様である。1、又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、n−ノニルアミノ基、n−デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n−ブタノイルアミノ基、n−ペンタノイルアミノ基、n−ヘキサノイルアミノ基、n−ヘプタノイルアミノ基、n−オクタノイルアミノ基、n−デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α−ナフトイルアミノ基、及びβ−ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
R1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。R1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。R1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
以上説明した基の中でも、R1としては、ニトロ基、又はR6−CO−で表される基であると、感度が向上する傾向があり好ましい。R6は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から選択できる。R6として好適な基の例としては、炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリル基が挙げられる。R6として、これらの基の中では、2−メチルフェニル基、チオフェン−2−イル基、及びα−ナフチル基が特に好ましい。
また、R1が水素原子であると、透明性が良好となる傾向があり好ましい。なお、R1が水素原子であり且つR4が後述の式(R4−2)で表される基であると透明性はより良好となる傾向がある。
式(c−5)中、R2及びR3は、それぞれ、置換基を有してもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子である。R2とR3とは相互に結合して環を形成してもよい。これらの基の中では、R2及びR3として、置換基を有してもよい鎖状アルキル基が好ましい。R2及びR3が置換基を有してもよい鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基は直鎖アルキル基でも分岐鎖アルキル基でもよい。
R2及びR3が置換基を持たない鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6が特に好ましい。R2及びR3が鎖状アルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、R2及びR3がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
R2及びR3が置換基を有する鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6が特に好ましい。この場合、置換基の炭素原子数は、鎖状アルキル基の炭素原子数に含まれない。置換基を有する鎖状アルキル基は、直鎖状であるのが好ましい。
アルキル基が有してもよい置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。置換基の好適な例としては、シアノ基、ハロゲン原子、環状有機基、及びアルコキシカルボニル基が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。これらの中では、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。環状有機基としては、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基、ヘテロシクリル基が挙げられる。シクロアルキル基の具体例としては、R1がシクロアルキル基である場合の好適な例と同様である。芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。ヘテロシクリル基の具体例としては、R1がヘテロシクリル基である場合の好適な例と同様である。R1がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基の炭素原子数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。
鎖状アルキル基が置換基を有する場合、置換基の数は特に限定されない。好ましい置換基の数は鎖状アルキル基の炭素原子数に応じて変わる。置換基の数は、典型的には、1〜20であり、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。
R2及びR3が環状有機基である場合、環状有機基は、脂環式基であっても、芳香族基であってもよい。環状有機基としては、脂肪族環状炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロシクリル基が挙げられる。R2及びR3が環状有機基である場合に、環状有機基が有してもよい置換基は、R2及びR3が鎖状アルキル基である場合と同様である。
R2及びR3が芳香族炭化水素基である場合、芳香族炭化水素基は、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が炭素−炭素結合を介して結合して形成される基であるか、複数のベンゼン環が縮合して形成される基であるのが好ましい。芳香族炭化水素基が、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が結合又は縮合して形成される基である場合、芳香族炭化水素基に含まれるベンゼン環の環数は特に限定されず、3以下が好ましく、2以下がより好ましく、1が特に好ましい。芳香族炭化水素基の好ましい具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。
R2及びR3が脂肪族環状炭化水素基である場合、脂肪族環状炭化水素基は、単環式であっても多環式であってもよい。脂肪族環状炭化水素基の炭素原子数は特に限定されないが、3〜20が好ましく、3〜10がより好ましい。単環式の環状炭化水素基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基、及びアダマンチル基等が挙げられる。
R2及びR3がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。ヘテロシクリル基は、芳香族基(ヘテロアリール基)であっても、非芳香族基であってもよい。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、キノキサリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。
R2とR3とは相互に結合して環を形成してもよい。R2とR3とが形成する環からなる基は、シクロアルキリデン基であるのが好ましい。R2とR3とが結合してシクロアルキリデン基を形成する場合、シクロアルキリデン基を構成する環は、5員環〜6員環であるのが好ましく、5員環であるのがより好ましい。
R2とR3とが結合して形成する基がシクロアルキリデン基である場合、シクロアルキリデン基は、1以上の他の環と縮合していてもよい。シクロアルキリデン基と縮合していてもよい環の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、及びピリミジン環等が挙げられる。
以上説明したR2及びR3の中でも好適な基の例としては、式−A1−A2で表される基が挙げられる。式中、A1は直鎖アルキレン基であり、A2は、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、環状有機基、又はアルコキシカルボニル基である挙げられる。
A1の直鎖アルキレン基の炭素原子数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。A2がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシ基の炭素原子数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。A2がハロゲン原子である場合、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。A2がハロゲン化アルキル基である場合、ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。ハロゲン化アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。A2が環状有機基である場合、環状有機基の例は、R2及びR3が置換基として有する環状有機基と同様である。A2がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の例は、R2及びR3が置換基として有するアルコキシカルボニル基と同様である。
R2及びR3の好適な具体例としては、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、及びn−オクチル基等のアルキル基;2−メトキシエチル基、3−メトキシ−n−プロピル基、4−メトキシ−n−ブチル基、5−メトキシ−n−ペンチル基、6−メトキシ−n−ヘキシル基、7−メトキシ−n−ヘプチル基、8−メトキシ−n−オクチル基、2−エトキシエチル基、3−エトキシ−n−プロピル基、4−エトキシ−n−ブチル基、5−エトキシ−n−ペンチル基、6−エトキシ−n−ヘキシル基、7−エトキシ−n−ヘプチル基、及び8−エトキシ−n−オクチル基等のアルコキシアルキル基;2−シアノエチル基、3−シアノ−n−プロピル基、4−シアノ−n−ブチル基、5−シアノ−n−ペンチル基、6−シアノ−n−ヘキシル基、7−シアノ−n−ヘプチル基、及び8−シアノ−n−オクチル基等のシアノアルキル基;2−フェニルエチル基、3−フェニル−n−プロピル基、4−フェニル−n−ブチル基、5−フェニル−n−ペンチル基、6−フェニル−n−ヘキシル基、7−フェニル−n−ヘプチル基、及び8−フェニル−n−オクチル基等のフェニルアルキル基;2−シクロヘキシルエチル基、3−シクロヘキシル−n−プロピル基、4−シクロヘキシル−n−ブチル基、5−シクロヘキシル−n−ペンチル基、6−シクロヘキシル−n−ヘキシル基、7−シクロヘキシル−n−ヘプチル基、8−シクロヘキシル−n−オクチル基、2−シクロペンチルエチル基、3−シクロペンチル−n−プロピル基、4−シクロペンチル−n−ブチル基、5−シクロペンチル−n−ペンチル基、6−シクロペンチル−n−ヘキシル基、7−シクロペンチル−n−ヘプチル基、及び8−シクロペンチル−n−オクチル基等のシクロアルキルアルキル基;2−メトキシカルボニルエチル基、3−メトキシカルボニル−n−プロピル基、4−メトキシカルボニル−n−ブチル基、5−メトキシカルボニル−n−ペンチル基、6−メトキシカルボニル−n−ヘキシル基、7−メトキシカルボニル−n−ヘプチル基、8−メトキシカルボニル−n−オクチル基、2−エトキシカルボニルエチル基、3−エトキシカルボニル−n−プロピル基、4−エトキシカルボニル−n−ブチル基、5−エトキシカルボニル−n−ペンチル基、6−エトキシカルボニル−n−ヘキシル基、7−エトキシカルボニル−n−ヘプチル基、及び8−エトキシカルボニル−n−オクチル基等のアルコキシカルボニルアルキル基;2−クロロエチル基、3−クロロ−n−プロピル基、4−クロロ−n−ブチル基、5−クロロ−n−ペンチル基、6−クロロ−n−ヘキシル基、7−クロロ−n−ヘプチル基、8−クロロ−n−オクチル基、2−ブロモエチル基、3−ブロモ−n−プロピル基、4−ブロモ−n−ブチル基、5−ブロモ−n−ペンチル基、6−ブロモ−n−ヘキシル基、7−ブロモ−n−ヘプチル基、8−ブロモ−n−オクチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−n−ペンチル基等のハロゲン化アルキル基が挙げられる。
R2及びR3として、上記の中でも好適な基は、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、2−メトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−フェニルエチル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−n−ペンチル基である。
R4の好適な有機基の例としては、R1と同様に、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基等が挙げられる。これらの基の具体例は、R1について説明したものと同様である。また、R4としてはシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェノキシアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基、も好ましい。フェノキシアルキル基、及びフェニルチオアルキル基が有していてもよい置換基は、R1に含まれるフェニル基が有していてもよい置換基と同様である。
有機基の中でも、R4としては、アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又はシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基が好ましい。アルキル基としては、炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1〜4のアルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。置換基を有していてもよいフェニル基の中では、メチルフェニル基が好ましく、2−メチルフェニル基がより好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるシクロアルキル基の炭素原子数は、5〜10が好ましく、5〜8がより好ましく、5又は6が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1〜8が好ましく、1〜4がより好ましく、2が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基の中では、シクロペンチルエチル基が好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1〜8が好ましく、1〜4がより好ましく、2が特に好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基の中では、2−(4−クロロフェニルチオ)エチル基が好ましい。
また、R4としては、−A3−CO−O−A4で表される基も好ましい。A3は、2価の有機基であり、2価の炭化水素基であるのが好ましく、アルキレン基であるのが好ましい。A4は、1価の有機基であり、1価の炭化水素基であるのが好ましい。
A3がアルキレン基である場合、アルキレン基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。A3がアルキレン基である場合、アルキレン基の炭素原子数は1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4が特に好ましい。
A4の好適な例としては、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、及び炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基が挙げられる。A4の好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−ナフチルメチル基、及びβ−ナフチルメチル基等が挙げられる。
−A3−CO−O−A4で表される基の好適な具体例としては、2−メトキシカルボニルエチル基、2−エトキシカルボニルエチル基、2−n−プロピルオキシカルボニルエチル基、2−n−ブチルオキシカルボニルエチル基、2−n−ペンチルオキシカルボニルエチル基、2−n−ヘキシルオキシカルボニルエチル基、2−ベンジルオキシカルボニルエチル基、2−フェノキシカルボニルエチル基、3−メトキシカルボニル−n−プロピル基、3−エトキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−プロピルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−ブチルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−ペンチルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−ヘキシルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−ベンジルオキシカルボニル−n−プロピル基、及び3−フェノキシカルボニル−n−プロピル基等が挙げられる。
以上、R
4について説明したが、R
4としては、下記式(R4−1)又は(R4−2)で表される基が好ましい。
(式(R4−1)及び(R4−2)中、R
7及びR
8はそれぞれ有機基であり、pは0〜4の整数であり、R
7及びR
8がベンゼン環上の隣接する位置に存在する場合、R
7とR
8とが互いに結合して環を形成してもよく、qは1〜8の整数であり、rは1〜5の整数であり、sは0〜(r+3)の整数であり、R
9は有機基である。)
式(R4−1)中のR7及びR8についての有機基の例は、R1と同様である。R7としては、アルキル基又はフェニル基が好ましい。R7がアルキル基である場合、その炭素原子数は、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましく、1が最も好ましい。つまり、R7はメチル基であるのが最も好ましい。R7とR8とが結合して環を形成する場合、当該環は、芳香族環でもよく、脂肪族環でもよい。式(R4−1)で表される基であって、R7とR8とが環を形成している基の好適な例としては、ナフタレン−1−イル基や、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−5−イル基等が挙げられる。上記式(R4−1)中、pは0〜4の整数であり、0又は1であるのが好ましく、0であるのがより好ましい。
上記式(R4−2)中、R9は有機基である。有機基としては、R1について説明した有機基と同様の基が挙げられる。有機基の中では、アルキル基が好ましい。アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。アルキル基の炭素原子数は1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。R9としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基であることがより好ましい。
上記式(R4−2)中、rは1〜5の整数であり、1〜3の整数が好ましく、1又は2がより好ましい。上記式(R4−2)中、sは0〜(r+3)であり、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0が特に好ましい。上記式(R4−2)中、qは1〜8の整数であり、1〜5の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましく、1又は2が特に好ましい。
式(c−5)中、R5は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜11のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基である。R5がアルキル基である場合に有してもよい置換基としては、フェニル基、ナフチル基等が好ましく例示される。また、R1がアリール基である場合に有してもよい置換基としては、炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が好ましく例示される。
式(c−5)中、R5としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、フェニル基、ベンジル基、メチルフェニル基、ナフチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基又はフェニル基がより好ましい。
式(c−5)で表される化合物は単独で用いても2種以上用いてもよく、2種以上使用する場合、以下の(i)〜(iii)が好ましい。
(i)R1が水素原子である化合物とR1がニトロ基である化合物との組み合わせ
(ii)R4が式(R4−1)である化合物とR4が式(R4−2)である化合物との組み合わせ
(iii)R4が式(R4−1)又は式(R4−2)である化合物とR4が炭素原子数1〜4のアルキル基である化合物
中でも、感度及び硬化物の透過率等の特性向上の点で、上記(i)の組み合わせが好ましく、上記(i)と、(ii)又は(iii)とを満たす組み合わせがより好ましい。
上記(i)〜(iii)の組み合わせによる各化合物の配合比(質量比)は、目的の感度等の特性に合わせて適宜調整すればよく、例えば、1:99〜99:1が好ましく、10:90〜90:10がより好ましく、30:70〜70;30がさらに好ましい。
式(c−5)で表される化合物の製造方法は特に限定されない。式(c−5)で表される化合物は、好ましくは、下式(c−6)で表される化合物に含まれるオキシム基(=N−OH)を、=N−O−COR
5で表されるオキシムエステル基に変換する工程を含む方法により製造される。R
5は、式(c−5)中のR
5と同様である。
(R
1、R
2、R
3、R
4、m、及びnは、式(c−5)と同様である。nは0〜4の整数であり、mは0又は1である。)
このため、上記式(c−6)で表される化合物は、式(c−5)で表される化合物の合成用中間体として有用である。
オキシム基(=N−OH)を、=N−O−COR5で表されるオキシムエステル基に変換する方法は特に限定されない。典型的には、オキシム基中の水酸基に、−COR5で表されるアシル基を与えるアシル化剤を反応させる方法が挙げられる。アシル化剤としては、(R5CO)2Oで表される酸無水物や、R5COHal(Halはハロゲン原子)で表される酸ハライドが挙げられる。
一般式(c−5)で表される化合物は、mが0である場合、例えば、下記スキーム1に従って合成することができる。スキーム1では、下記式(1−1)で表されるフルオレン誘導体を原料として用いる。R1がニトロ基又は1価の有機基である場合、式(1−1)で表されるフルオレン誘導体は、9位をR2及びR3で置換されたフルオレン誘導体に、周知の方法によって、置換基R1を導入して得ることができる。9位をR2及びR3で置換されたフルオレン誘導体は、例えば、R2及びR3がアルキル基である場合、特開平06−234668号公報に記載されるように、アルカリ金属水酸化物の存在下に、非プロトン性極性有機溶媒中で、フルオレンとアルキル化剤とを反応させて得ることができる。また、フルオレンの有機溶媒溶液中に、ハロゲン化アルキルのようなアルキル化剤と、アルカリ金属水酸化物の水溶液と、ヨウ化テトラブチルアンモニウムやカリウムtert−ブトキシドのような相間移動触媒とを添加してアルキル化反応を行うことで、9,9−アルキル置換フルオレンを得ることができる。
式(1−1)で表されるフルオレン誘導体に、フリーデルクラフツアシル化反応により、−CO−R4で表されるアシル基を導入し、式(1−3)で表されるフルオレン誘導体が得られる。を、−CO−R4で表されるアシル基を導入するためのアシル化剤は、ハロカルボニル化合物であってもよく、酸無水物であってもよい。アシル化剤としては、式(1−2)で表されるハロカルボニル化合物が好ましい。式(1−2)中、Halはハロゲン原子である。フルオレン環上にアシル基が導入される位置は、フリーデルクラフツ反応の条件を適宜変更したり、アシル化される位置の他の位置に保護及び脱保護を施したりする方法で、選択することができる。
次いで、得られる式(1−3)で表されるフルオレン誘導体中の−CO−R4で表される基を、−C(=N−OH)−R4で表される基に変換し、式(1−4)で表されるオキシム化合物を得る。−CO−R4で表される基を、−C(=N−OH)−R4で表される基に変換する方法は特に限定されないが、ヒドロキシルアミンによるオキシム化が好ましい。式(1−4)のオキシム化合物と、下式(1−5)で表される酸無水物((R5CO)2O)、又は下記一般式(1−6)で表される酸ハライド(R5COHal、Halはハロゲン原子。)とを反応させて、下記式(1−7)で表される化合物を得ることができる。
なお、式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)、(1−5)、(1−6)、及び(1−7)において、R1、R2、R3、R4、及びR5は、式(c−5)と同様である。
また、スキーム1において、式(1−2)、式(1−3)、及び式(1−4)それぞれに含まれるR4は、同一であっても異なってもいてもよい。つまり、式(1−2)、式(1−3)、及び式(1−4)中のR4は、スキーム1として示される合成過程において、化学修飾を受けてもよい。化学修飾の例としては、エステル化、エーテル化、アシル化、アミド化、ハロゲン化、アミノ基中の水素原子の有機基による置換等が挙げられる。R4が受けてもよい化学修飾はこれらに限定されない。
式(c−5)で表される化合物は、mが1である場合、例えば、下記スキーム2に従って合成することができる。スキーム2では、下記式(2−1)で表されるフルオレン誘導体を原料として用いる。式(2−1)で表されるフルオレン誘導体は、スキーム1と同様の方法によって、式(1−1)で表される化合物に、フリーデルクラフツ反応によって−CO−CH2−R4で表されるアシル基を導入して得られる。アシル化剤としては、式(1−8):Hal−CO−CH2−R4で表されるカルボン酸ハライドが好ましい。次いで、式(2−1)で表される化合物中の、R4とカルボニル基との間に存在するメチレン基をオキシム化して、下式(2−3)で表されるケトオキシム化合物を得る。メチレン基をオキシム化する方法は特に限定されないが、塩酸の存在下に下記一般式(2−2)で表される亜硝酸エステル(RONO、Rは炭素数1〜6のアルキル基。)を反応させる方法が好ましい。次いで、下記式(2−3)で表されるケトオキシム化合物と、下記式(2−4)で表される酸無水物((R5CO)2O)、又は下記一般式(2−5)で表される酸ハライド(R5COHal、Halはハロゲン原子。)とを反応させて、下記式(2−6)で表される化合物を得ることができる。なお、下記式(2−1)、(2−3)、(2−4)、(2−5)、及び(2−6)において、R1、R2、R3、R4、及びR5は、式(c−5)と同様である。
mが1である場合、式(c−5)で表される化合物を含有する感光性樹脂組成物を用いて形成されるパターン中での異物の発生をより低減できる傾向がある。
また、スキーム2において、式(1−8)、式(2−1)、及び式(2−3)それぞれに含まれるR4は、同一であっても異なってもいてもよい。つまり、式(1−8)、式(2−1)、及び式(2−3)中のR4は、スキーム2として示される合成過程において、化学修飾を受けてもよい。化学修飾の例としては、エステル化、エーテル化、アシル化、アミド化、ハロゲン化、アミノ基中の水素原子の有機基による置換等が挙げられる。R4が受けてもよい化学修飾はこれらに限定されない。
式(c−5)で表される化合物の好適な具体例としては、以下の化合物1〜化合物41が挙げられる。
(C)光重合開始剤の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分100質量部に対して0.5〜20質量部であることが好ましい。上記の範囲とすることにより、十分な耐熱性、耐薬品性を得ることができ、また塗膜形成能を向上させ、硬化不良を抑制することができる。
<(D)遮光剤>
本発明に係る感光性樹脂組成物は、遮光剤を含有する。遮光剤としては黒色顔料を用いることが好ましい。遮光剤として使用される黒色顔料としては、カーボンブラック、ペリレン系顔料、銀錫合金、チタンブラック、銅、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、カルシウム、銀等の金属酸化物、複合酸化物、金属硫化物、金属硫酸塩又は金属炭酸塩等、有機物、無機物を問わず各種の顔料を挙げることができる。これらの黒色顔料は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(D)遮光剤としては、感光性樹脂組成物を用いて形成されるブラックカラムスペーサの基板との密着性を良好なものとしやすいことから、ペリレン系顔料を含むものが好ましい。(D)遮光剤におけるペリレン系顔料の含有量は、(D)遮光剤の全質量に対して、85質量%以上が好ましく、90質量%以上が好ましく、100質量%以上であるのが特に好ましい。
ペリレン系顔料の具体例としては、下記一般式(d−1)で表されるペリレン系顔料、及び下記一般式(d−2)で表されるペリレン系顔料が挙げられる。また市販品ではBASF社製の製品名K0084、及びK0086や、ピグメントブラック21、30、31、32、33、及び34等を好ましく用いることができる。
(式(d−1)中、R
d1、R
d2は、それぞれ独立して炭素原子数1〜3のアルキレン基を表し、R
d3、R
d4は、それぞれ独立に水素原子、水酸基、メトキシ基又はアセチル基を表す。)
(式(d−2)中、R
d5、R
d6は、それぞれ独立して炭素原子数1〜7のアルキレン基を表す。)
前記一般式(d−1)で表される化合物、及び一般式(d−2)で表される化合物は、例えば特開昭62−1753号公報、特公昭63−26784号公報に記載の方法を用いて合成することができる。すなわち、ペリレン−3,5,9,10−テトラカルボン酸又はその二無水物とアミン類とを原料とし、水又は有機溶媒中で加熱反応を行う。そして、得られた粗製物を硫酸中で再沈殿させるか、又は、水、有機溶媒あるいはこれらの混合溶媒中で再結晶させることによって目的物を得ることができる。
また、感光性樹脂組成物中においてペリレン系顔料を良好に分散させるためには、ペリレン系顔料の平均粒径が10〜1000nmであることが好ましい。
また(D)遮光剤は、色調の調整の目的等で、黒色顔料と、赤、青、緑、黄、紫等の色相の色素とを併用することができる。黒色顔料以外の他の色相の色素は、公知の色素から適宜選択して用いることができる。黒色顔料以外の他の色相の色素は他の色素の使用量は、(D)遮光剤の全質量に対して、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
感光性樹脂組成物における(D)遮光剤の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で適宜選択でき、典型的には、感光性樹脂組成物の固形分に対して、5〜50質量%が好ましい。かかる範囲の量の遮光剤を用いることにより、感光性樹脂組成物を用いて得られるブラックカラムスペーサの遮光性を良好なものとしつつ、感光性樹脂組成物を露光する際の露光不良や硬化不良を抑制しやすい。
<(E)光吸収剤>
本発明に係る感光性樹脂組成物は、光吸収剤を含有することが好ましい。
光吸収剤としては、特に限定されず、露光光を吸収することができるものを用いることができるが、特に、200〜450nmの波長領域の光を吸収するものが好ましい。例えば、ナフタレン化合物、ジナフタレン化合物、アントラセン化合物、フェナントロリン化合物、染料等が挙げられる。
具体的には、桂皮酸2−エチルヘキシル、パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、メトキシケイ皮酸イソプロピル、メトキシケイ皮酸イソアミル等の桂皮酸誘導体;α−ナフトール、β−ナフトール、α−ナフトールメチルエーテル、α−ナフトールエチルエーテル、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のナフタレン誘導体;アントラセン、9,10−ジヒドロキシアントラセン等のアントラセン及びその誘導体;アゾ系染料、ベンゾフェノン系染料、アミノケトン系染料、キノリン系染料、アントラキノン系染料、ジフェニルシアノアクリレート系染料、トリアジン系染料、p−アミノ安息香酸系染料等の染料;等が挙げられる。これらの中でも、桂皮酸誘導体、ナフタレン誘導体を用いることが好ましく、桂皮酸誘導体を用いることが特に好ましい。これらの光吸収剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(E)光吸収剤の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分100質量部に対して0.5〜20質量部であることが好ましい。上記の範囲とすることにより、硬化後の破壊強度を良好に保ちながら、露光量を変化させたときの膜厚変化の割合を大きくすることができる。
<(S)有機溶剤>
本発明に係る感光性樹脂組成物は、希釈のための有機溶剤を含有することが好ましい。有機溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、蟻酸n−ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルイソブチルアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルカプロラクタム、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ピリジン、及びN,N,N’,N’−テトラメチルウレア等の含窒素極性有機溶剤等が挙げられる。
これらの中でも、アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、上述した他のエーテル類、乳酸アルキルエステル類、上述した他のエステル類が好ましく、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、上述した他のエーテル類、上述した他のエステル類がより好ましい。また、各成分の溶解性や、(D)遮光剤の分散性等の点で、(S)有機溶剤が、含窒素極性有機溶剤を含むのも好ましい。含窒素極性有機溶剤としては、N,N,N’,N’−テトラメチルウレアが好ましい。
これらの溶剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(S)有機溶剤の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分濃度が1〜50質量%となる量が好ましく、5〜30質量%となる量がより好ましい。
<その他の成分>
本発明に係る感光性樹脂組成物は、必要に応じて、各種の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、増感剤、硬化促進剤、充填剤、密着促進剤、酸化防止剤、凝集防止剤、熱重合禁止剤、消泡剤、界面活性剤等が挙げられる。
<感光性樹脂組成物の調製方法>
本発明に係る感光性樹脂組成物は、上記の各成分を撹拌機で混合することにより調製される。なお、調製された感光性樹脂組成物が均一なものとなるよう、メンブランフィルタ等を用いて濾過してもよい。
≪スペーサ、表示装置、ブラックカラムスペーサの形成方法≫
本発明に係るブラックカラムスペーサは、本発明に係る感光性樹脂組成物から形成されたことを除き、従来のブラックカラムスペーサと同様である。また、本発明に係る表示装置は、本発明に係る感光性樹脂組成物から形成されたスペーサを備えることを除き、従来の表示装置と同様である。以下では、ブラックカラムスペーサの形成方法についてのみ説明する。
ブラックカラムスペーサの好適な形成方法は、
本発明に係る感光性樹脂組成物を基板上に塗布することによる、感光性樹脂層の形成(塗布工程)と、
所定のスペーサのパターンに応じた感光性樹脂層の露光(露光工程)と、
露光後の感光性樹脂層を現像することによる、スペーサのパターンの形成(現像工程)と、を含む。
まず、塗布工程では、ブラックカラムスペーサが形成されるべき基板上に、ロールコーター、リバースコーター、バーコーター等の接触転写型塗布装置やスピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコーター等の非接触型塗布装置を用いて本発明に係る感光性樹脂組成物を塗布し、必要に応じて、乾燥により溶媒を除去して、感光性樹脂層を形成する。
次いで、露光工程では、ネガ型のマスクを介して、感光性樹脂層に紫外線、エキシマレーザー光等の活性エネルギー線を照射し、感光性樹脂層をブラックカラムスペーサのパターンに応じて部分的に露光する。露光には、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、カーボンアーク灯等の紫外線を発する光源を用いることができる。露光量は感光性樹脂組成物の組成によっても異なるが、例えば10〜600mJ/cm2程度が好ましい。
なお、基板がTFT基板等の、基板上に素子が形成されたものである場合、素子上又は、素子が形成された基板と対になる基板の素子と対向する個所にブラックカラムスペーサを形成する必要がある場合がある。かかる場合、素子の高さを考慮して、素子が形成された個所と、その他の個所とで、ブラックカラムスペーサの高さを変える必要がある。そこで、このような場合には、ハーフトーンマスクを介して露光を行うのが好ましい。本発明に係る感光性樹脂組成物を用いれば、ハーフトーンマスクを介して露光を行うことにより、高さの異なるブラックカラムスペーサを容易に形成できる。
次いで、現像工程では、露光後の感光性樹脂層を現像液で現像することにより、ブラックカラムスペーサを形成する。現像方法は特に限定されず、浸漬法、スプレー法等を用いることができる。現像液の具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機系のものや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、4級アンモニウム塩等の水溶液が挙げられる。
その後、現像後のブラックカラムスペーサにポストベークを施して加熱硬化する。ポストベークは、150〜250℃で15〜60分間が好ましい。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1〜5、及び比較例1〜4>
(A)アルカリ可溶性樹脂5質量部と、(B1)成分2質量部と、(B2)成分又は(B3)成分0.8質量部と、(C)光重合開始剤2.5質量部と、顔料分散液(顔料:ペリレンブラック4.64質量部)と、α−ナフトール0.05質量部とを、固形分含有量が20質量%となるように溶剤中に分散・溶解させて感光性樹脂組成物を調製した。
なお、感光性組成物中の溶剤の組成を、メトキシブチルアセテートが10質量%、N,N,N’,N’−テトラメチウレアが10質量%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが80質量%、となるように調整した。
また、感光性樹脂組成物の成分としては、それぞれ以下のものを用いた。
((A)アルカリ可溶性樹脂)
(A)アルカリ可溶性樹脂として、以下の樹脂A−1を用いた。
A−1:下記製造方法により得られた樹脂(固形分55%、溶剤:3−メトキシブチルアセテート)
((B)光重合性モノマー)
(B1)成分としては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを用いた。
(B2)成分としては、表1に記載の化合物を用いた。表1に記載の化合物は以下の通りである。
B2−1:テトラエチレングリコールジメタクリレート
B2−2:エトキシ化ポリプロピレングリコールのジメタクリレート(プロピレンオキシ単位12と、エチレンオキシ単位6とを含む。1206PE(興和株式会社製))
B2−3:下記構造のジアクリレート化合物
B2−4:1,3,5−(2’−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸ジアクリレート
B2−5:1,3,5−(2’−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸トリアクリレート
(B3)成分として、表1に記載の化合物を用いた。表1に記載の(B3)成分である、B3−1、B3−2、B3−3、B3−4を以下に示す。
((C)光重合開始剤)
(C)光重合開始剤として、下記C1及びC2を用いた。C1の使用量が1.5質量部であり、C2の使用量が1質量部であった。
上記樹脂(A−1)の合成法は下記の通りである。
まず、500ml四つ口フラスコ中に、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量235)235g、テトラメチルアンモニウムクロライド110mg、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール100mg、及びアクリル酸72.0gを仕込み、これに25ml/分の速度で空気を吹き込みながら90〜100℃で加熱溶解した。次に、溶液が白濁した状態のまま徐々に昇温し、120℃に加熱して完全溶解させた。この際、溶液は次第に透明粘稠になったが、そのまま撹拌を継続した。この間、酸価を測定し、1.0mgKOH/g未満になるまで加熱撹拌を続けた。酸価が目標値に達するまで12時間を要した。そして室温まで冷却し、無色透明で固体状の下記式(a−7)で表されるビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレートを得た。
次いで、このようにして得られた上記のビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレート307.0gに3−メトキシブチルアセテート600gを加えて溶解した後、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物80.5g及び臭化テトラエチルアンモニウム1gを混合し、徐々に昇温して110〜115℃で4時間反応させた。酸無水物基の消失を確認した後、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸38.0gを混合し、90℃で6時間反応させ、樹脂(A−1)を得た。酸無水物基の消失はIRスペクトルにより確認した。
なお、この樹脂(A−1)は、上記式(a−1)で表される樹脂に相当する。
得られた感光性樹脂組成物を用いて、以下の方法に従って、ハーフトーン特性(ΔH)と、パターン密着性とを評価した。これらの評価結果を、表1に示す。
<表面粗さRa評価方法>
後述のハーフトーン特性評価方法に記載される方法によって、露光量70mJ/cm2で硬化された硬化膜について、原子間力顕微鏡(「AFM(装置名)」、SIIナノテクノロジー社製)を用いて表面荒れ(Ra)を評価した。結果を表1に示す。
<弾性復元率評価方法>
後述のハーフトーン特性評価方法に記載される方法によって、露光量70mJ/cm2で硬化された硬化膜の弾性復元率を、硬度計FISCHERSCOPE HM2000(フィッシャー・インストルメンツ製)で測定した。結果を表1に示す。
<ハーフトーン特性評価方法>
10cm×10cmのガラス基板上に感光性樹脂組成物を塗布した後、100℃で120秒間乾燥して、膜厚3.5μmの感光性樹脂層を形成した。同様の方法で、ガラス基板上に形成された感光性樹脂層を計2つ準備した。
次いで、この感光性樹脂層に、マスクサイズ30μmのネガマスクを介して、高圧水銀ランプを使用した露光機を用いて、一方の感光層樹脂層に対して露光量70mJ/cm2で、他方の感光性樹脂層に対して露光量6.3mJ/cm2で選択的露光を行った。
露光された感光性樹脂層を濃度0.04質量%のKOH水溶液を用いて、25℃で70秒間スプレー現像して、ブラックカラムスペーサを得た。
得られたブラックカラムスペーサに対して、230℃で20分間ポストベークを行った。
露光量70mJ/cm2で形成されたブラックカラムスペーサの膜厚(高さ、HFT)と、露光量6.3mJ/cm2で形成されたブラックカラムスペーサの膜厚(高さ、HHT)とを測定し、下式に従ってΔHの値を求めた。
ΔH(Å)=HFT−HHT
ΔHの値が2500Å以上である場合が、ハーフトーン特性が良好であると判断される。
表1の実施例から、感光性樹脂組成物が、(B1)4官能以上の多官能モノマーと、(B2)2官能モノマー及び/又は3官能モノマーとを含む場合、弾性復元率が高く皺が生じにくいブラックカラムスペーサを形成できることが分かる。
また、実施例の感光性樹脂組成物は、ハーフトーン特性にも優れる。
他方、比較例から、感光性樹脂組成物が、(B1)4官能以上の多官能モノマーと、(B3)単官能モノマーとを組み合わせて含むか、(B1)4官能以上の多官能モノマーのみを含む場合、感光性樹脂組成物の弾性復元率が低く、ハーフトーン特性も劣ることが分かる。