JP4352524B2 - 感光性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紫外線硬化型インキやフォトレジストなどに有用な感光性組成物に関するものであり、特に、カラー液晶表示装置や撮像素子などに用いられるカラーフィルターを形成するためのレジストに好適な感光性着色樹脂組成物に関するものである。本発明はまた、特定の樹脂をバインダー樹脂とする感光性樹脂組成物にも向けられている。
【0002】
【従来の技術】
カラー液晶表示装置や撮像素子などにおけるカラーフィルターは通常、ガラスなどの透明基板に、原色系の赤、緑及び青の三画素、又は補色系のイエロー、マゼンタ及びシアンの三画素を形成することにより製造されている。また、これら画素間を遮光するためにブラックマトリックスと呼ばれる遮光層を設けることもある。感光性着色樹脂組成物を用いて着色画素を形成するには、透明基板上に、各色に相当する顔料などの着色材料を含む感光性組成物をスピンコーターなどによって均一に塗布した後、加熱乾燥(プリベーク)し、その塗膜にマスクを介して露光し、アルカリ現像後、さらに後硬化(ポストベーク)する方法が採用されている。これらの操作をカラーフィルターに必要とされる色毎に繰り返すことにより、各色の画素を得ている。
【0003】
このようなカラーフィルターに求められる特性の一つとして、耐光性が挙げられる。すなわち、カラーフィルターは光を受けて作用するものであるため、耐光性に優れることは、カラーフィルター採否の大きな要因となる。そして、耐光性の優劣は感光性樹脂組成物に使用される着色材料に大きく依存しているため、使用できる着色材料が制限されてしまうのが実情である。さらに、色特性の向上、とりわけ高明度化に対する要求も高まっている。色特性の優劣もまた着色材料に依存しており、高明度化の要求が材料選択の幅を制限してしまっている。これら耐光性と色特性の両立は困難であり、従来は、耐光性を重視し、色特性が劣る着色材料を選択するか、あるいは耐光性を多少犠牲にしても色特性に優れる着色材料を選択し、使用してきた。
【0004】
色特性に優れる着色材料を使用するための耐光性改良の試みとして、感光性組成物(レジスト)へのヒンダードアミン系光安定剤や紫外線吸収剤を添加することが考えられる。しかしながら、これらの薬剤を添加しても実際にはあまり効果が現れず、また、たとえ効果が現れたとしても、多量の添加を必要とするため、レジストのバランスを崩し、アルカリ可溶性を失ったり、現像後の現像残渣が著しく増加したり、あるいはまた昇華物の発生を招くなどの不具合が起こることから、実用的とはいえない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そして、色特性の向上や耐光性等の信頼性に対する要求が日増しに高まっている今日、上記のような従来技術では対応が困難になってきている。
【0006】
したがって本発明の目的は、かかる従来技術の問題点を解決し、カラーフィルターの耐光性を改善して信頼性を高め、さらに色特性に優れるカラーフィルターを製造しうる感光性樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
本発明の別の目的は、着色材料以外の面から耐光性改善効果を付与することにより、カラーフィルター用途に利用できる着色材料の範囲を広げ、従来、耐光性が劣るために本用途で利用できなかった着色材料をも使用しうる感光性樹脂組成物を提供することにある。
【0008】
さらに本発明のもう一つの目的は、特定の樹脂をバインダー樹脂とすることにより、耐光性の改良された感光性樹脂組成物を提供することにある。
【0009】
本発明者らは、かかる目的を達成すべく鋭意研究を行った結果、ある特定の吸光特性を有する樹脂を感光性樹脂組成物のバインダーとして用いれば、レジストのバランスを崩すことなく、優れた結果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、バインダー樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤及び着色材料を含有する組成物であって、そのバインダー樹脂が、それを膜厚1μmのフィルムとしたときの波長365nmにおける光学密度をOD365、同じく波長400nmにおける光学密度をOD400として、OD365/OD400>30の関係を満たす吸光特性を有し、ベンゾトリアゾール骨格を有するバインダー樹脂である感光性樹脂組成物を提供するものである。
【0011】
バインダー樹脂が上記のOD365/OD400>30の関係を満たすようにするためには、当該バインダー樹脂中にベンゾトリアゾール骨格を存在させるのが有効である。ベンゾトリアゾール骨格を存在させることにより、その樹脂をバインダーとする感光性樹脂組成物の耐光性を高めることができる
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明において、第一の見地から特定する感光性樹脂組成物は、バインダー樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤及び着色材料を含有し、当該バインダー樹脂として、それを膜厚1μm のフィルムとしたときに、波長365nmにおける光学密度OD365 と波長400nmにおける光学密度OD400 とが、OD365/OD400>30の関係を満たす樹脂を用いたものである。
【0013】
ここでいう光学密度とは、物質(この場合は樹脂のフィルム)への入射光の強さをI0 とし、その物質を通った後の透過光の強さをIとしたときに、次式で計算される値ODを意味し、一般には分光光度計によって測定することができる。
【0014】
OD= log10(I0/I)
【0015】
着色材料、光重合性モノマー及び光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物に従来から用いられているバインダーは、アクリル又はメタクリル系の透明樹脂であって、通常、400nm以下の波長領域には大きな吸収を示さない。これに対して本発明では、少なくとも365nm付近の波長に吸収を示し、一方で、400nm付近の波長における吸収が小さく、したがって、波長365nmにおける光学密度OD365 と波長400nmにおける光学密度OD400 との比OD365/OD400が大きいものを用いる。かかる特定の吸光特性を有するバインダー樹脂を用いることによって、それを含む感光性樹脂組成物から得られる画素の耐光性を改善することができる。
【0016】
バインダー樹脂につき、波長400nm付近における光学密度は小さいが、波長365nm付近における光学密度が大きいものとするには、波長365nm付近の紫外領域に吸収を有する、すなわち紫外線吸収能を有する骨格、例えば、ポリマー用の紫外線吸収剤の分野で知られている骨格を樹脂中に導入すればよい。紫外線吸収能を有する骨格の一つとして、ベンゾトリアゾール骨格がある。そこで、本発明において第二の見地から特定する感光性樹脂組成物は、ベンゾトリアゾール骨格を有する樹脂をバインダー樹脂とするものである。
【0017】
ベンゾトリアゾール骨格は、具体的には例えば、下式(I)の2H−ベンゾトリアゾール−2−イル骨格であることができる。
【0018】
Figure 0004352524
【0019】
式中、Xは水素、ハロゲン又は炭素数1〜20のアルキルを表す。このベンゾトリアゾール骨格は特に、下式(II)で示されるものが有利である。
【0020】
Figure 0004352524
【0021】
式中、Xは先に定義したとおりであり、Rは水素、炭素数1〜20のアルキル又はアリールアルキルを表す。
【0022】
この分野のバインダー樹脂としては、先にも述べたとおり、従来からアクリル又はメタクリル系のものが用いられている。本発明に用いるバインダー樹脂も、エチレン性不飽和二重結合を有する反応性モノマーの付加重合によって調製することができる。例えば、前記式(I)、好ましくは前記式(II)で示されるベンゾトリアゾール骨格を有するとともにエチレン性不飽和二重結合を有する反応性モノマーを用いて付加重合を行うことによって、ベンゾトリアゾール骨格を樹脂中に導入することができる。このようなエチレン性不飽和二重結合を有する反応性モノマーとして、例えば、下式(III) で示される(メタ)アクリル酸エステル化合物を挙げることができる。
【0023】
Figure 0004352524
【0024】
式中、X及びRは先に定義したとおりであり、R1 は水素又はメチルを表し、nは1〜4の整数を表す。この化合物の重合によって、下式(IV)で示される単位が形成される。
【0025】
Figure 0004352524
【0026】
式中、X、R、R1 及びnは先に定義したとおりである。
【0027】
式(I)〜(IV)において、Xは水素、ハロゲン又はアルキルであり、またRは水素、アルキル又はアリールアルキルである。これらのうちアルキルは、1〜20の範囲の炭素数をとることができるが、一般には炭素数1〜8程度で十分であり、炭素数3以上の場合は、直鎖でも分岐していてもよい。X又はRがアルキルである場合の具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ヘキシル、オクチル、tert−オクチルなどを挙げることができる。Xがハロゲンの場合の具体例としては、塩素や臭素などが挙げられる。さらに、Rがアリールアルキルの場合、そのアルキルは炭素数1〜4程度であることができ、またアリールは、典型的にはフェニル又はナフチルであり、それらの芳香環には、アルキルなどの置換基が結合していてもよい。アリールアルキルにおける合計炭素数は、7〜20程度の値をとることができる。典型的なアリールアルキルはベンジルである。
【0028】
式(III) に相当する(メタ)アクリル酸エステル化合物は、一部市販されており、また例えば、特開平 9-118720 号公報の記載に準じて、対応する3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニルアルカノールと、アクリル酸、メタクリル酸、又はそれらの塩化物など反応性誘導体とのエステル化反応によって製造することもできる。式(III) に相当する(メタ)アクリル酸エステル化合物として、具体的には例えば、次のようなものを挙げることができる。
【0029】
2−〔3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕エチル メタクリレート、
2−〔3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕エチル メタクリレート、
3−〔3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピル メタクリレート、
3−〔3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピル メタクリレート、
3−〔3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル〕プロピル メタクリレート、
3−〔3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル〕プロピル メタクリレート、
これらに対応するアクリレートなど。
【0030】
ベンゾトリアゾール骨格を有するとともにエチレン性不飽和二重結合を有する反応性モノマー、例えば、前記式(III) で示される(メタ)アクリル酸エステル化合物は、他のエチレン性不飽和二重結合を有する反応性モノマーと共重合させることができる。共重合されるモノマーとしては、不飽和カルボン酸、不飽和リン酸、芳香族ビニル化合物、不飽和カルボン酸エステル、カルボン酸ビニルエステル、シアン化ビニル化合物などが挙げられる。
【0031】
感光性樹脂組成物は、露光後にアルカリ現像でパターンを形成できるようにしておくのが有利である。そのためには、バインダー樹脂をアルカリ可溶性としておくのが好ましい。バインダー樹脂をアルカリ可溶性とするためには、その樹脂中に、アルカリ可溶性基、例えば、カルボキシル基のような酸性基を存在させておけばよい。そこで、アルカリ可溶性モノマーを共重合させることにより、そのバインダー樹脂をアルカリ可溶性としておくのが好ましい。さらには、その他のアルカリ不溶性モノマーを追加的に共重合させることもできる。
【0032】
ここでいうアルカリ可溶性モノマーとは、アルカリ可溶性基、例えば酸性基を有するモノマーであり、具体的には例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸及びフマル酸のような不飽和カルボン酸や、アクリロイロキシエチルリン酸及びメタクリロイロキシエチルリン酸のような不飽和リン酸などを挙げることができる。なかでも、不飽和カルボン酸を共重合させるのが好ましく、とりわけ、アクリル酸又はメタクリル酸が適当である。また、アルカリ不溶性モノマーとは、アルカリ可溶性基を有しないモノマーであり、具体的には例えば、スチレン、α−メチルスチレン及びビニルトルエンのような芳香族ビニル化合物、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、アミノエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、アミノエチルメタクリレート及びグリシジルメタクリレートのような不飽和カルボン酸エステル、酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニルのようなカルボン酸ビニルエステル、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル及びα−クロロアクリロニトリルのようなシアン化ビニル化合物などを挙げることができる。なかでも、ベンゾトリアゾール骨格を有しない(メタ)アクリル酸エステル、特にアルキル又はベンジル(メタ)アクリレートが第三のモノマーとして好ましく用いられる。もちろん、アルカリ可溶性モノマーとして、それぞれの化合物を単独で用いることもできるし、2種以上組み合わせて用いることもでき、またアルカリ不溶性モノマーについても、それぞれの化合物を単独で用いることもできるし、2種以上組み合わせて用いることもできる。
【0033】
共重合にあたって、前記式(III) で示される(メタ)アクリル酸エステル化合物のようなベンゾトリアゾール骨格を有するモノマー、及びアクリル酸又はメタクリル酸のような不飽和カルボン酸は、共重合される全モノマー量に対して、それぞれ10モル%以上用いるのが好ましく、さらには、それぞれ20モル%以上用いるのが一層好ましい。またそれらの上限は、それぞれ80モル%程度まで、さらには70モル%程度までとするのが適当である。他のモノマー、例えば、ベンゾトリアゾール骨格を有しない(メタ)アクリル酸エステルを追加的に共重合させる場合は、60モル%以下程度の割合で用いることができ、好ましくは、やはり10モル%以上用いられる。このように三元又はそれ以上の共重合体とする場合は、ベンゾトリアゾール骨格を有するモノマーを10〜50モル%程度、不飽和カルボン酸を10〜50モル%程度、その他のモノマーを10〜60モル%程度とするのが適当である。
【0034】
共重合は一般に、重合開始剤を用いて、溶媒中で行われる。重合開始剤としては、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリルや2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオン酸メチル)のようなアゾ化合物、過酸化ベンゾイルや過酸化tert−ブチルのような過酸化物などが用いられうる。また溶媒は、各モノマーを溶解するものであればよく、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類などが用いられうる。反応温度は、重合開始剤の分解温度や溶剤及びモノマーの沸点などを考慮して決定すればよい。なお、このようにして得られる共重合体の側鎖を、感光性基を有する化合物で変成して、感光性の樹脂とすることもできる。
【0035】
バインダー樹脂は、ポリスチレン換算重量平均分子量が 5,000〜400,000 の範囲にあるのが好ましく、さらには 10,000〜300,000の範囲の重量平均分子量を有するのがより好ましい。ベンゾトリアゾール骨格を有する樹脂、特にアクリル系又はメタクリル系の樹脂は、実質的にそれだけを溶剤に溶解させて、感光性樹脂組成物とすることができるが、この組成物は、さらに光重合性モノマー及び光重合開始剤を含有するのが好ましい。また、カラーフィルターの製造に用いる感光性着色樹脂組成物とするためには、さらに着色材料を含有させることになる。バインダー樹脂を光重合性モノマー及び光重合開始剤とともに用いる場合、また着色材料とともに用いる場合、バインダー樹脂は、感光性樹脂組成物中の全固形分量を基準に、一般には5〜90重量%、好ましくは20〜70重量%の範囲で含有される。
【0036】
光重合性モノマーは、光及び光重合開始剤の作用によって重合を起こす化合物であり、一般には、重合性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物がこれに該当する。この光重合性モノマーは、単官能モノマーの他、2官能、その他の多官能モノマーであることができる。単官能モノマーの具体例としては、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。 また、2官能モノマーの具体例としては、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイロキシエチル)エーテル、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレートなどが、その他の多官能モノマーの具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(メタクリロイロキシエチル)イソシアヌレートなどが、それぞれ挙げられる。光重合性モノマーは、それぞれ単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。光重合性モノマーを用いる場合は、感光性樹脂組成物中の全固形分重量を基準に、一般には5〜90重量%の範囲で、好ましくは20〜70重量%の範囲で含有される。
【0037】
光重合開始剤は、この分野で通常用いられているものであることができ、例えば、アセトフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、s−トリアジン系、及びその他の開始剤が包含される。アセトフェノン系開始剤の具体例としては、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパン−1−オンのオリゴマーなどが挙げられる。 ベンゾイン系開始剤の具体例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。ベンゾフェノン系開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルサルファイド、3,3′,4,4′−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンなどが挙げられる。チオキサントン系開始剤の具体例としては、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンなどが挙げられる。s−トリアジン系開始剤の具体例としては、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−ジエチルアミノ−2−メチルスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(3,4−ジメトキシスチリル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。 その他の開始剤の具体例としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアントラキノン、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物などが挙げられる。これらの光重合開始剤も、それぞれ単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0038】
また、光重合開始剤に光開始助剤を組み合わせて用いることもできる。光開始助剤としては、例えばアミン系のものやアルコキシアントラセン系のものが挙げられ、その具体例には、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセンなどが包含される。これら光開始助剤も、それぞれ単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0039】
光重合開始剤を用いる場合及び任意にさらに光開始助剤を用いる場合は、それらの合計量として、バインダー樹脂及び光重合性モノマーの合計100重量部に対し、一般には3〜50重量部の範囲で、好ましくは5〜40重量部の範囲で含有される。また、光重合開始剤及び光開始助剤のうち少なくとも1種は、その分光スペクトルの400nmにおける吸光係数が、100m2/kg以上であるのが好ましい。なお、光学密度又は吸光度(無単位)=吸光係数×濃度(kg/m3)×物質層の距離(m)の関係から、吸光係数の単位はm2/kgとした。
【0040】
着色材料としては通常、色素又は顔料が用いられ、より好ましくは有機顔料又は無機顔料が用いられる。無機顔料としては、金属酸化物や金属錯塩のような金属化合物が挙げられ、具体的には、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモンなどの金属の酸化物又は複合金属酸化物が挙げられる。また有機顔料として具体的には、カラーインデックス(Colour Index)(The Society of Dyers and Colourists 出版)で、ピグメント(Pigment) に分類されている化合物が挙げられる。これらの顔料は、それぞれ単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。より具体的には、以下のようなカラーインデックス(C.I.)番号の化合物が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0041】
C.I.ピグメントイエロー 20, 24, 31, 53, 83, 86, 93, 94, 109, 110, 117, 125, 137, 138, 139, 147, 148, 150, 152, 153, 154, 155, 166, 173, 180 及び 185;
C.I.ピグメントオレンジ 13, 31, 36, 38, 40, 42, 43, 51, 55, 59, 61, 64, 65 及び 71;
C.I.ピグメントレッド 9, 97, 105, 122, 123, 144, 149, 166, 168, 176, 177, 180, 192, 215, 216, 224, 242 及び 254;
C.I.ピグメントバイオレット 14, 19, 23, 29, 32, 33, 36, 37 及び 38;
C.I.ピグメントブルー 15(15:3, 15:4, 15:6 など), 21, 22, 28, 60 及び 64;
C.I.ピグメントグリーン 7, 10, 15, 25, 36 及び 47;
C.I.ピグメントブラウン 28;
C.I.ピグメントブラック 1 及び 7 など。
【0042】
顔料の中には、それ自体では耐光性があまりよくないものもあるが、本発明に従って耐光性の改善されたバインダー樹脂と組み合わせることにより、耐光性の良好な感光性樹脂組成物とすることができる。着色材料を用いる場合は、感光性樹脂組成物中の全固形分量を基準に、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは10〜50重量%の範囲で含有される。
【0043】
本発明の感光性樹脂組成物は、着色材料を溶解又は分散させた着色レジストとして主に使用される。この場合は、溶剤中に着色材料が溶解又は分散され、さらに、バインダー樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、及び任意に使用されるその他の添加剤が、溶剤に溶解又は分散された状態で、組成物が調製される。
【0044】
溶剤は、この分野で用いられる各種のものであることができる。具体例としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチルのようなエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンのようなケトン類;3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類;ベンゼン、トルエン、o−、m−又はp−キシレンのような芳香族炭化水素類などが挙げられる。これらの溶剤は、それぞれ単独で、又は2種類以上混合して用いることができる。溶剤の使用量は、それを含む感光性樹脂組成物全体の量を基準に、好ましくは60〜90重量%、より好ましくは70〜85重量%である。
【0045】
本発明に係る感光性樹脂組成物はまた、必要に応じて、充填剤、他の高分子化合物、界面活性剤(顔料分散剤)、密着促進剤、酸化防止剤、凝集防止材などの添加剤を含有することもできる。 充填剤として具体的には、ガラス、シリカ、アルミナなどが、他の高分子化合物として具体的には、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフロロアルキルアクリレートなどが、界面活性剤(顔料分散剤)としては、ノニオン系、カチオン系、アニオン系などの各種のものが、密着促進剤として具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが、酸化防止剤として具体的には、2,2′−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールなどが、また凝集防止剤として具体的には、ポリアクリル酸ナトリウムなどが、それぞれ挙げられる。
【0046】
本発明の感光性樹脂組成物は、実質的にバインダー樹脂だけを、あるいはバインダー樹脂に加えて光重合性モノマー及び光重合開始剤を溶剤に溶解させて調製することもできるが、さらに、着色材料、例えば顔料を含有させて感光性着色樹脂組成物とする場合は、以下のようにして調製することができる。すなわち、顔料を予め溶剤と混合し、顔料の平均粒子径が0.2μm以下程度となるまで、ビーズミルなどを用いて分散させる。この際、必要に応じて分散剤が使用され、またバインダー樹脂の一部又は全部が配合されることもある。 得られた顔料分散液に、バインダー樹脂の残り、光重合性モノマー、光重合開始剤、必要に応じて使用されるその他の成分、さらには必要により追加の溶剤を、所定の濃度となるように添加し、目的の感光性着色樹脂組成物を得る。
【0047】
こうして調製された感光性樹脂組成物は、基板上に塗布され、光硬化及び現像を経て、着色画素などのパターンが形成される。感光性樹脂組成物が着色材料を含有し、それから着色画素を形成する方法の具体例について説明すると、まずこの組成物を、遮光層がパターン形成された透明基板(通常はガラス)上に、バーコーター、スピンコーター、スリットを備えた省液型スピンコーターなどを用いて塗布し、加温乾燥(プリベーク)して、平滑な乾燥塗膜を得る。このときの塗膜の厚さは、通常3μm 以下であり、好ましくは1〜2μm 程度である。得られた塗膜に、目的の画素を形成するためのネガ型フォトマスクを介して、紫外線を照射する。この際、露光部全体に均一に平行光線が照射され、マスクと基板の正確な位置合わせが行われるよう、マスクアライナーなどの装置を使用するのも有効である。さらにこの後、光硬化の終了した塗膜を現像液に接触させて未露光部を溶解させ、現像することにより、目的とする画素が得られる。現像後、必要に応じて150〜230℃で10〜60分程度の後硬化(ポストベーク)を施すこともできる。
【0048】
パターニング露光後の現像には、感光性樹脂組成物がアルカリ不溶性の場合は有機溶剤が用いられるが、一般には、前述したように感光性樹脂組成物をアルカリ可溶性とし、アルカリ性水溶液で現像するのが有利である。このために使用する現像液は、通常、アルカリ性化合物と界面活性剤を含む水溶液である。アルカリ性化合物は、無機及び有機のアルカリ性化合物のいずれでもよい。無機アルカリ性化合物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、燐酸水素二ナトリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸水素二アンモニウム、燐酸二水素アンモニウム、燐酸二水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、アンモニアなどが挙げられる。また、有機アルカリ性化合物の具体例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エタノールアミンなどが挙げられる。これらの無機及び有機アルカリ性化合物は、それぞれ単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。アルカリ現像液中のアルカリ性化合物の好ましい濃度は、0.01〜10重量%の範囲であり、より好ましくは0.05〜5重量%である。
【0049】
また界面活性剤は、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤又はカチオン系界面活性剤のいずれでもよい。ノニオン系界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、その他のポリオキシエチレン誘導体、オキシエチレン/オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミンなどが挙げられる。アニオン系界面活性剤の具体例としては、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウムやオレイルアルコール硫酸エステルナトリウムのような高級アルコール硫酸エステル塩類、ラウリル硫酸ナトリウムやラウリル硫酸アンモニウムのようなアルキル硫酸塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムやドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウムのようなアルキルアリールスルホン酸塩類などが挙げられる。カチオン系界面活性剤の具体例としては、ステアリルアミン塩酸塩やラウリルトリメチルアンモニウムクロライドのようなアミン塩又は第四級アンモニウム塩などが挙げられる。これらの界面活性剤は、それぞれ単独で用いることも、また2種以上組み合わせて用いることもできる。アルカリ現像液中の界面活性剤の濃度は、通常0.01〜10重量%の範囲、好ましくは0.05〜8重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。
【0050】
着色材料を含有する感光性樹脂組成物を用いてカラーフィルターを製造する場合は、以上のような感光性樹脂組成物の塗布、乾燥、得られる乾燥塗膜へのパターニング露光、そして現像という各操作を経て、組成物中の着色材料の色に相当する画素が得られ、さらにこれらの操作を、カラーフィルターに必要とされる色の数だけ繰り返すことにより、カラーフィルターが得られる。カラーフィルターは通常、赤、緑及び青の三原色、又はイエロー、マゼンタ及びシアンの三補色に相当する各画素を基板上に配置したものであり、もちろん、三色のうちいずれか一色又は二色にのみ、本発明の感光性樹脂組成物を適用することも可能である。また場合によっては、黒の着色材料を含有する本発明の感光性樹脂組成物を用いて、遮光層、すなわちブラックマトリックスを形成することもできる。
【0051】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%及び部は、特にことわらないかぎり重量基準である。
【0052】
合成例1
攪拌機、冷却管及び温度計を装着した200mlの四つ口フラスコに以下の原料を仕込んで、窒素気流下、四つ口フラスコを油浴に浸し、フラスコを85〜95℃に保ちながら5時間攪拌して反応を行った。
【0053】
メタクリル酸 6.0 g
ベンジルメタクリレート 18.0 g
2-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]エチル メタクリレート 16.0 g
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶媒) 74.3 g
2,2′−アゾビスイソブチロニトリル(開始剤) 1.0 g
【0054】
反応終了後室温まで冷却して、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/2−〔3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕エチル メタクリレート共重合体のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た。なお、2−〔3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕エチル メタクリレートは、常温ではプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶けにくく、90℃程度で溶解している状態から温度を下げていくと析出してくるが、上記反応後の溶液を室温まで冷却しても析出が生じなかったことから、上記の条件で反応し、ポリマー中に組み込まれたものと判断した。この溶液の固形分濃度は35%であり、この共重合体のポリスチレン換算重量平均分子量は約 30,000 であった。この共重合体の溶液を BP1とする。
【0055】
合成例2
仕込み原料を以下のとおり変更する以外は、合成例1と同様の操作を行った。
【0056】
メタクリル酸 6.0 g
ベンジルメタクリレート 34.0 g
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶媒) 74.3 g
アゾビスイソブチロニトリル(開始剤) 1.0 g
【0057】
その結果、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た。この溶液の固形分濃度は35%であり、共重合体のポリスチレン換算重量平均分子量は約 30,000 であった。この共重合体の溶液を BP2とする。
【0058】
参考例1及び2
合成例1で得られた共重合体溶液 BP1、及び合成例2で得られた共重合体溶液 BP2をそれぞれ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで20%濃度に希釈したのち、スピンコーターを用いてガラス基板(コーニング #7059)に塗布し、次に100℃で30分間ベークして、膜厚1μm のバインダー樹脂の乾燥塗膜を形成させた。この乾燥塗膜の分光特性を分光光度計により測定して、365nm及び400nmにおける光学密度OD365及びOD400を記録し、さらに両者の比OD365/OD400を算出した。その結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
参考例 No. 1 2
──────────────────
バインダー樹脂 BP1 BP2
OD365 1.206 0.00097
OD400 0.00974 0.00053
OD365/OD400 124 1.8
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0060】
実施例1〜3及び比較例1〜3
合成例1及び2で得られた共重合体溶液 BP1及び BP2のほか、光重合性モノマー、光重合開始剤、着色材料及び溶剤として、以下の各成分を用い、表2に示す組成物を調製した。
【0061】
(1)光重合性モノマー: ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(2)光重合開始剤
イルガキュア907: 2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)から入手、分光スペクトルの400nmにおける吸光係数0.5m2/kg〕
DETX−S: 2,4−ジエチルチオキサントン〔日本化薬(株)から入手、分光スペクトルの400nmにおける吸光係数889m2/kg〕
(3)着色材料: C.I.ピグメントレッド 254/C.I.ピグメントイエロー 139/分散剤/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが 10.10/4.54/4.39/80.97の重量割合で混合された顔料分散液。
(4)溶剤: プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0062】
【表2】
Figure 0004352524
【0063】
ガラス基板(コーニング #7059)に、表2の組成物をスピンコーターにより塗布した後、70℃で3分間プリベークして、乾燥塗膜を得た。次いでこの乾燥塗膜に対し、フォトマスクを介して超高圧水銀灯により200mJ/cm2 の露光を行った後、非イオン系界面活性剤を含む0.04%水酸化カリウム水溶液に浸して現像し、さらに230℃で20分間の後硬化を施して、赤色フィルターを得た。同様の操作で、スピンコーターの回転数だけを変えて膜厚を変更し、 BP1を用いた場合及び BP2を用いた場合のそれぞれについて、表3に示すとおり合計3水準の色濃度を有する赤色フィルターを得た。
【0064】
得られた赤色フィルターを、オリンパス光学工業(株)製の顕微分光測光装置“OSP-SP200”により測色したのち、(株)島津製作所製の耐光性試験機“サンテスタ XF-180CPS”を用い、光源をキセノンランプとする330W/m2の照度で所定時間の曝露を行った。曝露後の基板について測色を行い、曝露前後での色変化(ΔE*ab)を求めて、その結果を表3に示した。
【0065】
次に、ベンゾトリアゾール骨格の導入されていない共重合体溶液 BP2を用い、以下に示す市販の紫外線吸収剤又は光安定剤を配合して感光性樹脂組成物を調製し、評価した例を掲げる。
【0066】
使用した紫外線吸収剤又は光安定剤
スミソーブ300: 2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール〔住友化学工業(株)から入手〕
チヌビン144: ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル) 2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)から入手〕
チヌビン213: メチル 3−〔3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネートとポリエチレングリコール(分子量約300)との縮合物〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)から入手〕
【0067】
比較例4及び5
比較例1の組成物100部に対し、比較例4ではスミソーブ300を、そして比較例5ではチヌビン144をそれぞれ0.60部ずつ添加して感光性樹脂組成物を調製し、実施例1〜3と同様の方法で評価した。その結果を表3に示した。
【0068】
比較例6
比較例1の組成物100部に対し、チヌビン213を0.60部添加して感光性樹脂組成物を調製し、実施例1〜3と同様の方法で基板上に塗布したが、添加物が充分に溶けていなかった。そこで、この組成物を5μm のメンブランフィルターで濾過した後、実施例1〜3と同様の方法で評価した。その結果を表3に示した。
【0069】
【表3】
Figure 0004352524
【0070】
実施例1〜3及び比較例1〜3について、色度座標xと200時間暴露後の色変化ΔE*abとの相関を図1に、同じく500時間暴露後の色変化ΔE*abとの相関を図2に、それぞれ示した。これらの結果から明らかなように、曝露時間によらず、いずれの色度座標xに対しても、ベンゾトリアゾール骨格を有するバインダー BP1を用いた実施例1〜3は、同骨格を有しないバインダー BP2を用いた比較例1〜3に比べ、色変化が小さく抑えられていることがわかる。
【0071】
一方、市販の紫外線吸収剤又はヒンダードアミン系光安定剤を配合した比較例4〜6を、それらと近似した色度座標xを有する実施例2と比べても、ベンゾトリアゾール骨格を有するバインダー BP1を用いた実施例2は、紫外線吸収剤やヒンダードアミン系光安定剤を配合した比較例4〜6に比べ、色変化が小さく抑えられていることがわかる。
【0072】
【発明の効果】
本発明の感光性樹脂組成物はカラーフィルターの製造に好適であり、この組成物を用いれば、耐光性に優れたカラーフィルターを製造することができ、それによってカラーフィルターの信頼性を高めることができる。さらに、耐光性改善効果のために、カラーフィルター用途に利用できる着色材料の範囲が広がることから、従来、色特性は良好であるものの耐光性が低いためにこの用途に利用できなかった着色材料の使用も可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜3及び比較例1〜3で得た赤色カラーフィルターにおける色度座標xと200時間暴露後の色変化ΔE*abとの相関を示すグラフである。
【図2】実施例1〜3及び比較例1〜3で得た赤色カラーフィルターにおける色度座標xと500時間暴露後の色変化ΔE*abとの相関を示すグラフである。

Claims (8)

  1. バインダー樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤及び着色材料を含有する組成物であって、該バインダー樹脂が、それを膜厚1μmのフィルムとしたときの波長365nmにおける光学密度をOD365、同じく波長400nmにおける光学密度をOD400として、
    OD365/OD400>30
    の関係を満たす吸光特性を有し、ベンゾトリアゾール骨格を有するバインダー樹脂であることを特徴とする感光性樹脂組成物。
  2. バインダー樹脂がエチレン性不飽和二重結合を有する反応性モノマーの付加重合物である請求項1記載の組成物。
  3. バインダー樹脂がカルボキシル基を有し、アルカリ可溶性である請求項1又は2に記載の組成物。
  4. バインダー樹脂が、下式(II)
    Figure 0004352524
    (式中、Xは水素、ハロゲン又は炭素数1〜20のアルキルを表し、Rは水素、炭素数1〜20のアルキル又はアリールアルキルを表す)
    で示されるベンゾトリアゾール骨格を有する請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
  5. バインダー樹脂が、下式(IV)
    Figure 0004352524
    (式中、Xは水素、ハロゲン又は炭素数1〜20のアルキルを表し、Rは水素、炭素数1〜20のアルキル又はアリールアルキルを表し、R1 は水素又はメチルを表し、nは1〜4の整数を表す)
    で示される(メタ)アクリル酸エステル単位を有する請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
  6. バインダー樹脂がさらに、不飽和カルボン酸単位を有する請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
  7. 不飽和カルボン酸単位が、アクリル酸又はメタクリル酸の単位である請求項記載の組成物。
  8. バインダー樹脂がさらに、ベンゾトリアゾール骨格を有しない(メタ)アクリル酸エステル単位を有する請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
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