JP2017135956A - スイッチング素子の駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 デッドタイムの短縮化と構成の簡素化との両立を図ることが可能なスイッチング素子の制御装置を提供する。【解決手段】 本発明のスイッチング素子の制御装置(100)は、複数種類のデッドタイムの中から一のデッドタイムを選択するデッドタイム選択部(31)を備えている。デッドタイム選択部(31)は、電圧正常状態および電流正常状態のうちの少なくとも一方が成立するときに、過電圧状態および過電流状態の両方が成立するときに選択されるデッドタイムである基準デッドタイムと比べて短く設定されたデッドタイムを選択する。【選択図】 図2
Description
本発明は、スイッチング素子の駆動装置に関する。
スイッチング素子の駆動装置に係る発明の一例として、特許文献1に記載の発明が挙げられる。特許文献1に記載の発明では、デッドタイム生成部およびゲート信号生成部を備えている。デッドタイム生成部は、第2スイッチング素子のゲート電圧に基づいて、第2スイッチング素子がオフしてから第1スイッチング素子がオンするまでの第1デッドタイムと、第1スイッチング素子がオフしてから第2スイッチング素子がオンするまでの第2デッドタイムとを生成する。そして、ゲート信号生成部は、第1デッドタイムおよび第2デッドタイムに基づいて、第1スイッチング素子および第2スイッチング素子の各々のオンディレイ時間を可変する。
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、第1スイッチング素子および第2スイッチング素子の各々のゲート電圧に基づいて、第1デッドタイムおよび第2デッドタイムを生成するデッドタイム生成部を具備する必要がある。さらに、特許文献1に記載の発明では、デッドタイム生成部の出力をゲート信号生成部に入力し、比較器を用いて出力信号を生成する必要がある。そのため、特許文献1に記載の発明では、回路構成が増大化し、複雑化する可能性がある。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、デッドタイムの短縮化と構成の簡素化との両立を図ることが可能なスイッチング素子の制御装置を提供することを課題とする。
本発明に係るスイッチング素子の制御装置は、直流電源の正極側に接続される正極側スイッチング素子と前記直流電源の負極側に接続される負極側スイッチング素子とが直列接続されている少なくとも一対のスイッチング素子と、前記少なくとも一対のスイッチング素子の各々のスイッチング素子を開閉制御する制御装置とを備えるスイッチング素子の制御装置であって、前記一対のスイッチング素子のうちの一のスイッチング素子が閉状態から開状態に切り替えられた時点から他のスイッチング素子が開状態から閉状態に切り替えられる時点までの時間が異なる複数種類のデッドタイムの中から一の前記デッドタイムを選択するデッドタイム選択部と、前記一対のスイッチング素子のうちの前記一のスイッチング素子が前記閉状態から前記開状態に切り替えられた直後に発生するサージ電圧が収束した後の前記開状態のときに、当該スイッチング素子の入力端子と出力端子との間の端子間電圧を検出する電圧検出部と、当該スイッチング素子が前記閉状態から前記開状態に切り替えられる直前に、当該スイッチング素子の前記入力端子と前記出力端子との間に流れる端子間電流を検出する電流検出部と、を備え、前記電圧検出部によって検出された前記端子間電圧が当該スイッチング素子の保護に関して設定された電圧閾値以下の状態を電圧正常状態とし、前記端子間電圧が前記電圧閾値を超えている状態を過電圧状態とし、前記電流検出部によって検出された前記端子間電流が当該スイッチング素子の保護に関して設定された電流閾値以下の状態を電流正常状態とし、前記端子間電流が前記電流閾値を超えている状態を過電流状態とし、前記過電圧状態および前記過電流状態の両方が成立するときに選択される前記デッドタイムを基準デッドタイムとするとき、前記デッドタイム選択部は、前記電圧正常状態および前記電流正常状態のうちの少なくとも一方が成立するときに、前記基準デッドタイムと比べて短く設定されたデッドタイムを選択する。
本発明に係るスイッチング素子の制御装置によれば、デッドタイム選択部は、複数種類のデッドタイムの中から一のデッドタイムを選択する。そのため、本発明に係るスイッチング素子の制御装置は、スイッチング素子の状態に応じてデッドタイムを生成してデッドタイムを可変する場合と比べて、構成を簡素化することができる。また、デッドタイム選択部は、電圧正常状態および電流正常状態のうちの少なくとも一方が成立するときに、過電圧状態および過電流状態の両方が成立するときに選択される基準デッドタイムと比べて短く設定されたデッドタイムを選択する。そのため、本発明に係るスイッチング素子の制御装置は、デッドタイムを短縮化して出力電流に生じる歪みを低減することができ、効率を改善することができる。このように、本発明に係るスイッチング素子の制御装置は、デッドタイムの短縮化と構成の簡素化との両立を図ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、図面は、各実施形態について、共通する箇所には共通の符号が付されており、本明細書では、重複する説明が省略されている。また、図面は、概念図であり、細部構造の寸法まで規定するものではない。
<第一実施形態>
(スイッチング素子の制御装置100の構成)
図1に示すように、本実施形態のスイッチング素子の制御装置100は、三組の一対のスイッチング素子20,20,20と、制御装置30とを備えている。三組の一対のスイッチング素子20,20,20の各々は、正極側スイッチング素子21および負極側スイッチング素子22を備えており、正極側スイッチング素子21および負極側スイッチング素子22は、直列接続されている。正極側スイッチング素子21は、直流電源10の正極側に接続されており、負極側スイッチング素子22は、直流電源10の負極側に接続されている。
(スイッチング素子の制御装置100の構成)
図1に示すように、本実施形態のスイッチング素子の制御装置100は、三組の一対のスイッチング素子20,20,20と、制御装置30とを備えている。三組の一対のスイッチング素子20,20,20の各々は、正極側スイッチング素子21および負極側スイッチング素子22を備えており、正極側スイッチング素子21および負極側スイッチング素子22は、直列接続されている。正極側スイッチング素子21は、直流電源10の正極側に接続されており、負極側スイッチング素子22は、直流電源10の負極側に接続されている。
制御装置30は、三組の一対のスイッチング素子20,20,20の各々のスイッチング素子(正極側スイッチング素子21および負極側スイッチング素子22)を開閉制御する。三組の一対のスイッチング素子20,20,20は、負荷である回転電機40と接続されている。制御装置30は、各スイッチング素子(正極側スイッチング素子21および負極側スイッチング素子22)を開閉制御することにより、直流電源10から供給される直流電力を交流電力に変換し回転電機40に給電して、回転電機40を駆動制御することができる。以下、各構成について具体的に説明する。
直流電源10は、直流電力を供給する電源装置であり、例えば、公知の鉛蓄電池(バッテリ)、リチウムイオン電池、電気二重層コンデンサなどを用いることができる。直流電源10は、正極側端子10aと負極側端子10bと平滑コンデンサ10cとを備えている。直流電力は、正極側端子10aと負極側端子10bとの間に出力される。負極側端子10bの電位を基準電位とし、接地(GND)すると、正極側端子10aの電位は、Vccで表すことができる。また、平滑コンデンサ10cの正極側端部は、正極側端子10aに接続されており、平滑コンデンサ10cの負極側端部は、負極側端子10bに接続されている。これにより、リップルが低減されている。なお、直流電力は、例えば、公知のダイオードブリッジ等を用いて、交流電力を直流電力に変換しても良い。
回転電機40は、例えば、公知のブラシレスモータを用いることができる。回転電機40は、固定子41と回転子45とを備えている。固定子41は、U相コイル42uとV相コイル42vとW相コイル42wとを備えており、これらは、Y結線されている。具体的には、U相コイル42uの一端側は、U相端子43uに接続され、U相コイル42uの他端側は、中性点44に接続されている。V相コイル42vの一端側は、V相端子43vに接続され、V相コイル42vの他端側は、中性点44に接続されている。W相コイル42wの一端側は、W相端子43wに接続され、W相コイル42wの他端側は、中性点44に接続されている。
U相コイル42u、V相コイル42vおよびW相コイル42wは、集中巻、分布巻などの公知の方法で巻装することができる。また、回転子45は、例えば、回転子鉄心の内部に永久磁石が埋め込まれた埋込磁石形とすることができ、回転子鉄心の外周表面に永久磁石が設けられた表面磁石形とすることもできる。なお、固定子41のスロット数および回転子45の磁極数に特段の制約はない。また、U相コイル42u、V相コイル42vおよびW相コイル42wは、Δ結線で構成することもできる。なお、同図は、これらのコイルの電気的な接続状態を示しており、固定子41および回転子45は、模式的に図示されている。
三組の一対のスイッチング素子20,20,20は、直流電源10と回転電機40との間に設けられており、インバータが構成されている。インバータは、直流電源10の直流電力を交流電力に変換して回転電機40に給電する。具体的には、三組の一対のスイッチング素子20,20,20は、三相ブリッジ回路で構成されており、3つの正極側スイッチング素子21,21,21と、3つの負極側スイッチング素子22,22,22とがブリッジ接続されている。
各スイッチング素子(正極側スイッチング素子21および負極側スイッチング素子22)は、例えば、公知の電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)などを用いることができる。図2に示すように、正極側スイッチング素子21は、入力端子21aと出力端子21bと制御端子21cと還流ダイオード21dとセンス端子21sとを備えている。
ここで、制御端子21cと出力端子21bとの間の電圧を制御電圧Vg1とする。例えば、制御電圧Vg1がローレベル(所定電圧値以下の電圧状態)のときには、入力端子21aと出力端子21bとの間が電気的に遮断された開状態に制御される。一方、制御電圧Vg1がハイレベル(所定電圧値を超えた電圧状態)のときには、入力端子21aと出力端子21bとの間が電気的に導通された閉状態に制御される。
還流ダイオード21dは、正極側スイッチング素子21のボディダイオード(寄生ダイオード)を用いることができる。なお、ボディダイオードの代わりに、還流ダイオードを別途設けて、入力端子21aと出力端子21bとの間に並列接続することもできる。還流ダイオード21dは、正極側スイッチング素子21が開状態のときに、出力端子21b側から入力端子21a側に向かう電流経路を形成することができる。これにより、正極側スイッチング素子21の開閉制御に伴って生じる逆電流から正極側スイッチング素子21を保護することができる。
センス端子21sは、入力端子21aと出力端子21bとの間に流れる電流である端子間電流と相関する微小電流を出力する。端子間電流には、還流ダイオード21dを流れる電流が含まれる。なお、入力端子21aと出力端子21bとの間の電圧を端子間電圧という。
正極側スイッチング素子21について既述したことは、負極側スイッチング素子22についても同様に言える。つまり、負極側スイッチング素子22は、入力端子22aと出力端子22bと制御端子22cと還流ダイオード22dとセンス端子22sとを備えている。制御端子22cと出力端子22bとの間の電圧を制御電圧Vg2とする。例えば、制御電圧Vg2がローレベル(所定電圧値以下の電圧状態)のときには、入力端子22aと出力端子22bとの間が電気的に遮断された開状態に制御される。一方、制御電圧Vg2がハイレベル(所定電圧値を超えた電圧状態)のときには、入力端子22aと出力端子22bとの間が電気的に導通された閉状態に制御される。還流ダイオード22dは、正極側スイッチング素子21の還流ダイオード21dと同様であり、センス端子22sは、正極側スイッチング素子21のセンス端子21sと同様である。
正極側スイッチング素子21と負極側スイッチング素子22との間には、出力端子23が設けられている。図1に示すように、回転電機40のU相端子43uと、一の一対のスイッチング素子20の出力端子23との間は、U相電力線40uによって電気的に接続されている。また、回転電機40のV相端子43vと、他の一の一対のスイッチング素子20の出力端子23との間は、V相電力線40vによって電気的に接続されている。さらに、回転電機40のW相端子43wと、残りの一の一対のスイッチング素子20の出力端子23との間は、W相電力線40wによって電気的に接続されている。U相電力線40u、V相電力線40vおよびW相電力線40wは、三組の一対のスイッチング素子20,20,20によって変換された交流電力を回転電機40に給電する。
図1に示すように、制御装置30は、本体部30aと、複数(3つ)の正極側駆動制御部30bと、複数(3つ)の負極側駆動制御部30cとを備えている。これらは、公知の中央演算装置、記憶装置および通信インターフェースをそれぞれ備えており(いずれも図示略)、制御線を介して通信可能になっている。中央演算装置は、CPU:Central Processing Unitであり、種々の演算処理を行うことができる。記憶装置は、第一記憶装置および第二記憶装置を備えている。第一記憶装置は、読み出しおよび書き込み可能な揮発性の記憶装置(RAM:Random Access Memory)であり、第二記憶装置は、読み出し専用の不揮発性の記憶装置(ROM:Read Only Memory)である。
例えば、本体部30aの中央演算装置は、第二記憶装置に記憶されている回転電機40の駆動制御プログラムを第一記憶装置に読み出して、駆動制御プログラムを実行する。本体部30aは、駆動制御プログラムに基づいて、正極側スイッチング素子21の駆動信号(正極側駆動信号)および負極側スイッチング素子22の駆動信号(負極側駆動信号)を生成する。正極側駆動信号は、正極側駆動制御部30bに送信され、負極側駆動信号は、負極側駆動制御部30cに送信される。
正極側駆動制御部30bの中央演算装置は、第二記憶装置に記憶されている正極側スイッチング素子21の開閉制御プログラムを第一記憶装置に読み出して、開閉制御プログラムを実行する。正極側駆動制御部30bは、本体部30aによって生成された正極側駆動信号を増幅し、正極側スイッチング素子21の制御端子21cに付与する。負極側駆動制御部30cは、本体部30aによって生成された負極側駆動信号を増幅し、負極側スイッチング素子22の制御端子22cに付与する。このようにして、制御装置30は、正極側スイッチング素子21の制御端子21cおよび負極側スイッチング素子22の制御端子22cにそれぞれ制御電圧を印加して、正極側スイッチング素子21および負極側スイッチング素子22を開閉制御することができる。
(制御部の構成)
図2に示すように、スイッチング素子の制御装置100は、制御ブロックとして捉えると、デッドタイム選択部31、電圧検出部32、電流検出部33、切り替え速度選択部34、駆動信号生成部35および駆動信号増幅部36を備えている。電圧検出部32は、正極側電圧検出部32aおよび負極側電圧検出部32bを備えている。電流検出部33は、正極側電流検出部33aおよび負極側電流検出部33bを備えている。切り替え速度選択部34は、正極側切り替え速度選択部34aおよび負極側切り替え速度選択部34bを備えている。駆動信号生成部35は、正極側駆動信号生成部35aおよび負極側駆動信号生成部35bを備えている。駆動信号増幅部36は、正極側駆動信号増幅部36aおよび負極側駆動信号増幅部36bを備えている。
図2に示すように、スイッチング素子の制御装置100は、制御ブロックとして捉えると、デッドタイム選択部31、電圧検出部32、電流検出部33、切り替え速度選択部34、駆動信号生成部35および駆動信号増幅部36を備えている。電圧検出部32は、正極側電圧検出部32aおよび負極側電圧検出部32bを備えている。電流検出部33は、正極側電流検出部33aおよび負極側電流検出部33bを備えている。切り替え速度選択部34は、正極側切り替え速度選択部34aおよび負極側切り替え速度選択部34bを備えている。駆動信号生成部35は、正極側駆動信号生成部35aおよび負極側駆動信号生成部35bを備えている。駆動信号増幅部36は、正極側駆動信号増幅部36aおよび負極側駆動信号増幅部36bを備えている。
デッドタイム選択部31は、複数種類(本実施形態では、二種類)のデッドタイムの中から一のデッドタイムを選択する。二種類のデッドタイムは、一対のスイッチング素子20のうちの一のスイッチング素子(例えば、正極側スイッチング素子21)が閉状態から開状態に切り替えられた時点から他のスイッチング素子(例えば、負極側スイッチング素子22)が開状態から閉状態に切り替えられる時点までの時間が異なる。
図3は、デッドタイムの一例を示す模式図である。曲線L11は、正極側スイッチング素子21の駆動信号の経時変化の一例を示している。曲線L12は、負極側スイッチング素子22の駆動信号の経時変化の一例を示している。横軸は、時刻を示している。例えば、時刻t11において、正極側スイッチング素子21は、閉状態から開状態に切り替えられる(曲線L11参照)。このとき、負極側スイッチング素子22は、開状態が維持されている(曲線L12参照)。つまり、時刻t11において、正極側スイッチング素子21および負極側スイッチング素子22の両方が開状態になる。この状態は、時刻t12まで継続される。時刻t12において、負極側スイッチング素子22は、開状態から閉状態に切り替えられる(曲線L12参照)。このとき、正極側スイッチング素子21は、開状態が維持されている(曲線L11参照)。
このように、正極側スイッチング素子21および負極側スイッチング素子22の両方が開状態に制御されている時間(この場合、時刻t11から時刻t12までの時間)をデッドタイムという。デッドタイムを適切に設定することにより、正極側スイッチング素子21と負極側スイッチング素子22との間の短絡が防止される。
次に、時刻t13において、負極側スイッチング素子22は、閉状態から開状態に切り替えられる(曲線L12参照)。このとき、正極側スイッチング素子21は、開状態が維持されている(曲線L11参照)。つまり、時刻t13において、正極側スイッチング素子21および負極側スイッチング素子22の両方が開状態になる。この状態は、時刻t14まで継続される。時刻t14において、正極側スイッチング素子21は、開状態から閉状態に切り替えられる(曲線L11参照)。このとき、負極側スイッチング素子22は、開状態が維持されている(曲線L12参照)。この場合のデッドタイム(時刻t13から時刻t14までの時間)は、上述したデッドタイム(時刻t11から時刻t12までの時間)と同じ時間に設定されている。
本実施形態では、二種類のデッドタイムを備えている。二種類のデッドタイムを第一デッドタイムDT1、第二デッドタイムDT2とする。第一デッドタイムDT1は、基準デッドタイムDT0と比べて短く設定されており、第二デッドタイムDT2は、第一デッドタイムDT1と比べて短く設定されている。これらのデッドタイムおよびデッドタイム選択部31によるデッドタイムの選択方法については、後述する。
図2に示すように、正極側電圧検出部32aは、第一抵抗器32a1および第二抵抗器32a2を備えており、第一抵抗器32a1および第二抵抗器32a2は、直列接続されている。直列接続された2つの抵抗器の第一抵抗器32a1側の端部は、正極側スイッチング素子21の入力端子21aに接続されている。一方、直列接続された2つの抵抗器の第二抵抗器32a2側の端部は、出力端子23を介して、正極側スイッチング素子21の出力端子21bに接続されている。また、第一抵抗器32a1と第二抵抗器32a2との間には、出力端子32a3が設けられている。出力端子32a3は、制御装置30(正極側駆動制御部30b)の入力ポート30b1に接続されている。
正極側スイッチング素子21の入力端子21aと出力端子21bとの間の端子間電圧を分圧した電圧が出力端子32a3から出力され、正極側駆動制御部30bに入力される。なお、第二抵抗器32a2は、第一抵抗器32a1と比べて抵抗値が十分小さく設定されている。第二抵抗器32a2の抵抗値は、出力端子32a3から出力される電圧が制御装置30に入力可能な電圧レベルになるように設定されている。制御装置30には、公知のA/D変換器(図示略)が設けられている。これにより、正極側電圧検出部32aは、出力端子32a3から出力される電圧を知得することができ、当該電圧から端子間電圧を検出(推定)することができる。
正極側電圧検出部32aは、正極側スイッチング素子21が閉状態から開状態に切り替えられた直後に発生するサージ電圧が収束した後の開状態のときに、正極側スイッチング素子21の入力端子21aと出力端子21bとの間の端子間電圧V1を検出する。図4は、端子間電圧V1と電圧閾値VT0との関係の一例を示す模式図である。曲線L2は、端子間電圧の経時変化の一例を示している。縦軸は、端子間電圧を示しており、横軸は、時刻を示している。
時刻t21において、正極側スイッチング素子21は、閉状態から開状態に切り替えられる。これにより、端子間電圧が上昇し始めて、端子間電圧は、時刻t22においてピーク値(最大値)を迎える。このときの端子間電圧は、開放電圧E1にサージ電圧e1が加算された電圧になっている。なお、インダクタンスをL1とし、電流をiとし、時間をtとすると、サージ電圧e1は、L1×(di/dt)で表すことができる。
時刻t22を経過すると、端子間電圧が下降し始めて、端子間電圧は、時刻t23において概ね一定になる。このときの端子間電圧は、開放電圧E1になっている。時刻t24において、正極側スイッチング素子21は、開状態から閉状態に切り替えられる。これにより、端子間電圧が下降し始める。つまり、サージ電圧が収束した後の開状態の期間は、時刻t23から時刻t24までの時間である。本実施形態では、正極側電圧検出部32aは、正極側スイッチング素子21が開状態から閉状態に切り替えられる時刻t24において、端子間電圧V1を検出する。
正極側電圧検出部32aについて既述したことは、負極側電圧検出部32bについても同様に言える。負極側電圧検出部32bは、第一抵抗器32b1、第二抵抗器32b2および出力端子32b3を備えている。出力端子32b3は、制御装置30(負極側駆動制御部30c)の入力ポート30c1に接続されている。負極側電圧検出部32bは、負極側スイッチング素子22が閉状態から開状態に切り替えられた直後に発生するサージ電圧が収束した後の開状態のときに、負極側スイッチング素子22の入力端子22aと出力端子22bとの間の端子間電圧V2を検出する。このように、電圧検出部32は、一対のスイッチング素子20のうちの一のスイッチング素子が閉状態から開状態に切り替えられた直後に発生するサージ電圧が収束した後の開状態のときに、当該スイッチング素子の入力端子と出力端子との間の端子間電圧を検出する。
図2に示すように、正極側電流検出部33aは、シャント抵抗器33a1を備えている。シャント抵抗器33a1の一端側は、正極側スイッチング素子21のセンス端子21sに接続されており、シャント抵抗器33a1の他端側は、出力端子23に接続されている。センス端子21sとシャント抵抗器33a1との間には、出力端子33a2が設けられている。出力端子33a2は、制御装置30(正極側駆動制御部30b)の入力ポート30b2に接続されている。
シャント抵抗器33a1により、正極側スイッチング素子21の入力端子21aと出力端子21bとの間に流れる端子間電流と相関する電流を電圧に置き換えることができる。当該電圧は、出力端子33a2から出力されて、正極側駆動制御部30bに入力される。制御装置30には、公知のA/D変換器(図示略)が設けられている。これにより、正極側電流検出部33aは、出力端子33a2から出力される電圧を知得することができ、当該電圧から端子間電流を検出(推定)することができる。
正極側電流検出部33aは、正極側スイッチング素子21が閉状態から開状態に切り替えられる直前に、正極側スイッチング素子21の入力端子21aと出力端子21bとの間に流れる端子間電流I1を検出する。図5は、端子間電流I1と電流閾値IT0との関係の一例を示す模式図である。曲線L3は、端子間電流の経時変化の一例を示している。縦軸は、端子間電流を示しており、横軸は、時刻を示している。
時刻t31において、正極側スイッチング素子21は、開状態から閉状態に切り替えられる。これにより、端子間電流が上昇し始める。時刻t32において、正極側スイッチング素子21は、閉状態から開状態に切り替えられる。これにより、端子間電流が下降し始める。正極側電流検出部33aは、正極側スイッチング素子21が閉状態から開状態に切り替えられる直前の時刻t32において、端子間電流I1を検出する。
正極側電流検出部33aについて既述したことは、負極側電流検出部33bについても同様に言える。負極側電流検出部33bは、シャント抵抗器33b1および出力端子33b2を備えている。出力端子33b2は、制御装置30(負極側駆動制御部30c)の入力ポート30c2に接続されている。負極側電流検出部33bは、負極側スイッチング素子22が閉状態から開状態に切り替えられる直前に、負極側スイッチング素子22の入力端子22aと出力端子22bとの間に流れる端子間電流I2を検出する。このように、電流検出部33は、一対のスイッチング素子20のうちの一のスイッチング素子が閉状態から開状態に切り替えられる直前に、当該スイッチング素子の入力端子と出力端子との間に流れる端子間電流を検出する。
ここで、正極側電圧検出部32aによって検出された端子間電圧V1が正極側スイッチング素子21の保護に関して設定された電圧閾値VT0以下の状態を電圧正常状態とし、端子間電圧V1が電圧閾値VT0を超えている状態を過電圧状態とする。電圧閾値VT0は、端子間電流I1に関わらず、開放電圧E1にサージ電圧e1が加算された最大電圧が、最大定格Vmaxを超えないように設定することができる。例えば、図4では、端子間電圧V1が電圧閾値VT0を超えており、正極側スイッチング素子21の電圧状態は、過電圧状態である。しかしながら、時刻t22において、開放電圧E1にサージ電圧e1が加算された最大電圧は、最大定格Vmaxを超えていない。なお、電圧閾値VT0は、端子間電流I1の大きさを考慮して、複数設けることもできる。
また、正極側電流検出部33aによって検出された端子間電流I1が正極側スイッチング素子21の保護に関して設定された電流閾値IT0以下の状態を電流正常状態とし、端子間電流I1が電流閾値IT0を超えている状態を過電流状態とする。例えば、図5では、端子間電流I1が電流閾値IT0を超えており、正極側スイッチング素子21の電流状態は、過電流状態である。既述したように、サージ電圧e1は、L1×(di/dt)で表すことができる。つまり、サージ電圧e1は、端子間電流の単位時間あたりの変化量(di/dt)を用いて規定することができる。電流閾値IT0は、想定される開放電圧E1が最大の場合においても、開放電圧E1にサージ電圧e1が加算された最大電圧が、最大定格Vmaxを超えないように設定することができる。なお、電流閾値IT0は、開放電圧E1の大きさを考慮して、複数設けることもできる。
端子間電圧V1および端子間電流I1について既述したことは、端子間電圧V2および端子間電流I2についても同様に言える。負極側電圧検出部32bによって検出された端子間電圧V2が負極側スイッチング素子22の保護に関して設定された電圧閾値VT0以下の状態を電圧正常状態とし、端子間電圧V2が電圧閾値VT0を超えている状態を過電圧状態とする。また、負極側電流検出部33bによって検出された端子間電流I2が負極側スイッチング素子22の保護に関して設定された電流閾値IT0以下の状態を電流正常状態とし、端子間電流I2が電流閾値IT0を超えている状態を過電流状態とする。このように、正極側スイッチング素子21および負極側スイッチング素子22のいずれにおいても、同じ閾値(電圧閾値VT0および電流閾値IT0)を用いることができる。なお、閾値(電圧閾値VT0および電流閾値IT0)は、回路構成によって異なるので、予め、シミュレーション、実機による検証等によって導出しておくと良い。
図2に示すように、正極側切り替え速度選択部34aは、第一抵抗器34a1および第二抵抗器34a2を備えている。第一抵抗器34a1の一端側は、制御装置30(正極側駆動制御部30b)の出力ポート30b3に接続されている。第二抵抗器34a2の一端側は、制御装置30(正極側駆動制御部30b)の出力ポート30b4に接続されている。第一抵抗器34a1の他端側および第二抵抗器34a2の他端側は、正極側スイッチング素子21の制御端子21cに接続されている。第二抵抗器34a2は、第一抵抗器34a1と比べて抵抗値が小さく設定されている。
正極側切り替え速度選択部34aは、複数種類(本実施形態では、二種類)の切り替え速度の中から一の切り替え速度を選択する。二種類の切り替え速度は、正極側スイッチング素子21が開状態から閉状態に切り替えられるときの切り替え速度が異なる。二種類の切り替え速度を第一切り替え速度SV1、第二切り替え速度SV2とする。第二切り替え速度SV2は、第一切り替え速度SV1と比べて速く設定されている。なお、正極側スイッチング素子21が閉状態から開状態に切り替えられるときの切り替え速度は、正極側スイッチング素子21が開状態から閉状態に切り替えられるときの切り替え速度と概ね同じであり、本明細書では、これらを区別していない。これらの切り替え速度を区別して、切り替え速度をさらに細分化することもできる。
ここで、正極側スイッチング素子21の制御端子21cと出力端子21bとの間の静電容量を静電容量Cg1とする。また、第一抵抗器34a1の抵抗値と静電容量Cg1とを乗じた時定数を時定数τ1とする。さらに、第二抵抗器34a2の抵抗値と静電容量Cg1とを乗じた時定数を時定数τ2とする。第二抵抗器34a2は、第一抵抗器34a1と比べて抵抗値が小さく設定されているので、時定数τ2は、時定数τ1と比べて小さくなる。
正極側切り替え速度選択部34aは、低速側の切り替え速度(第一切り替え速度SV1)を選択するときには、第一抵抗器34a1を介して駆動信号を出力する。一方、正極側切り替え速度選択部34aは、高速側の切り替え速度(第二切り替え速度SV2)を選択するときには、第二抵抗器34a2を介して駆動信号を出力する。このようにして、正極側切り替え速度選択部34aは、二種類の切り替え速度(第一切り替え速度SV1および第二切り替え速度SV2)の中から一の切り替え速度を選択することができる。
正極側切り替え速度選択部34aについて既述したことは、負極側切り替え速度選択部34bについても同様に言える。負極側切り替え速度選択部34bは、第一抵抗器34b1および第二抵抗器34b2を備えている。第一抵抗器34b1の一端側は、制御装置30(負極側駆動制御部30c)の出力ポート30c3に接続されている。第二抵抗器34b2の一端側は、制御装置30(負極側駆動制御部30c)の出力ポート30c4に接続されている。第一抵抗器34b1の他端側および第二抵抗器34b2の他端側は、負極側スイッチング素子22の制御端子22cに接続されている。第一抵抗器34b1は、正極側切り替え速度選択部34aの第一抵抗器34a1と同じ抵抗値に設定されており、第二抵抗器34b2は、正極側切り替え速度選択部34aの第二抵抗器34a2と同じ抵抗値に設定されている。
負極側切り替え速度選択部34bは、低速側の切り替え速度(第一切り替え速度SV1)を選択するときには、第一抵抗器34b1を介して駆動信号を出力する。一方、負極側切り替え速度選択部34bは、高速側の切り替え速度(第二切り替え速度SV2)を選択するときには、第二抵抗器34b2を介して駆動信号を出力する。このようにして、負極側切り替え速度選択部34bは、二種類の切り替え速度(第一切り替え速度SV1および第二切り替え速度SV2)の中から一の切り替え速度を選択することができる。
切り替え速度選択部34(正極側切り替え速度選択部34aおよび負極側切り替え速度選択部34b)は、複数種類(本実施形態では、二種類)の切り替え速度(第一切り替え速度SV1および第二切り替え速度SV2)の中から一の切り替え速度を選択する。第一切り替え速度SV1は、基準切り替え速度SV0と比べて速く設定されており、第二切り替え速度SV2は、第一切り替え速度SV1と比べて速く設定されている。これらの切り替え速度および切り替え速度選択部34による切り替え速度の選択方法については、後述する。
正極側駆動信号生成部35aは、正極側スイッチング素子21の駆動信号(正極側駆動信号)を生成する。負極側駆動信号生成部35bは、負極側スイッチング素子22の駆動信号(負極側駆動信号)を生成する。正極側駆動信号および負極側駆動信号は、例えば、回転電機40の回転子45の回転数、相電流(出力トルク)、直流電源10の直流電圧などに基づいて、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)信号として生成することができる。また、正極側駆動信号および負極側駆動信号には、デッドタイム選択部31によって選択されたデッドタイムが設けられる。
正極側駆動信号増幅部36aは、正極側駆動信号生成部35aによって生成された正極側駆動信号を増幅し、正極側スイッチング素子21の制御端子21cに付与する。増幅された正極側駆動信号は、出力ポート30b3または出力ポート30b4から出力され、正極側切り替え速度選択部34aが選択した切り替え速度に対応する抵抗器(第一抵抗器34a1または第二抵抗器34a2)を介して付与される。負極側駆動信号増幅部36bは、負極側駆動信号生成部35bによって生成された負極側駆動信号を増幅し、負極側スイッチング素子22の制御端子22cに付与する。増幅された負極側駆動信号は、出力ポート30c3または出力ポート30c4から出力され、負極側切り替え速度選択部34bが選択した切り替え速度に対応する抵抗器(第一抵抗器34b1または第二抵抗器34b2)を介して付与される。
既述したように、負極側電圧検出部32bは、正極側電圧検出部32aと同様にして、端子間電圧V2を検出する。また、負極側電流検出部33bは、正極側電流検出部33aと同様にして、端子間電流I2を検出する。さらに、負極側切り替え速度選択部34bは、正極側切り替え速度選択部34aと同様にして、切り替え速度を選択する。そのため、以下の説明では、正極側電圧検出部32aおよび正極側電流検出部33aの検出結果に基づいて、正極側スイッチング素子21を開閉制御する場合について説明する。負極側電圧検出部32bおよび負極側電流検出部33bの検出結果に基づいて、負極側スイッチング素子22を開閉制御する場合についても同様に行うことができる。
(制御の詳細)
図6は、端子間電圧V1および端子間電流I1に対するデッドタイムおよび切り替え速度の一例を示す模式図である。同図のNo.11は、端子間電圧V1が電圧正常状態であり、端子間電流I1が過電流状態のときには、デッドタイム選択部31によって第一デッドタイムDT1が選択されることを示している。No.12は、端子間電圧V1が過電圧状態であり、端子間電流I1が電流正常状態のときには、デッドタイム選択部31によって第一デッドタイムDT1が選択されることを示している。No.13は、端子間電圧V1が電圧正常状態であり、端子間電流I1が電流正常状態のときには、デッドタイム選択部31によって第二デッドタイムDT2が選択されることを示している。
図6は、端子間電圧V1および端子間電流I1に対するデッドタイムおよび切り替え速度の一例を示す模式図である。同図のNo.11は、端子間電圧V1が電圧正常状態であり、端子間電流I1が過電流状態のときには、デッドタイム選択部31によって第一デッドタイムDT1が選択されることを示している。No.12は、端子間電圧V1が過電圧状態であり、端子間電流I1が電流正常状態のときには、デッドタイム選択部31によって第一デッドタイムDT1が選択されることを示している。No.13は、端子間電圧V1が電圧正常状態であり、端子間電流I1が電流正常状態のときには、デッドタイム選択部31によって第二デッドタイムDT2が選択されることを示している。
ここで、過電圧状態および過電流状態の両方が成立するときに設定されるデッドタイムを基準デッドタイムDT0とする。デッドタイム選択部31は、電圧正常状態および電流正常状態のうちの少なくとも一方が成立するときに、基準デッドタイムDT0と比べて短く設定されたデッドタイム(本実施形態では、第一デッドタイムDT1または第二デッドタイムDT2)を選択する。第二デッドタイムDT2は、第一デッドタイムDT1と比べて短く設定されている。第一デッドタイムDT1および第二デッドタイムDT2は、後述する出力電流の歪みを低減可能に、予め、シミュレーション、実機による検証等によって導出しておくと良い。
また、同図のNo.11は、端子間電圧V1が電圧正常状態であり、端子間電流I1が過電流状態のときには、切り替え速度選択部34(正極側切り替え速度選択部34a)によって第一切り替え速度SV1が選択されることを示している。No.12は、端子間電圧V1が過電圧状態であり、端子間電流I1が電流正常状態のときには、切り替え速度選択部34(正極側切り替え速度選択部34a)によって第一切り替え速度SV1が選択されることを示している。No.13は、端子間電圧V1が電圧正常状態であり、端子間電流I1が電流正常状態のときには、切り替え速度選択部34(正極側切り替え速度選択部34a)によって第二切り替え速度SV2が選択されることを示している。
ここで、過電圧状態および過電流状態の両方が成立するときに設定される切り替え速度を基準切り替え速度SV0とする。切り替え速度選択部34(正極側切り替え速度選択部34a)は、電圧正常状態および電流正常状態のうちの少なくとも一方が成立するときに、基準切り替え速度SV0と比べて速く設定された切り替え速度(本実施形態では、第一切り替え速度SV1または第二切り替え速度SV2)を選択する。第二切り替え速度SV2は、第一切り替え速度SV1と比べて速く設定されている。第一切り替え速度SV1および第二切り替え速度SV2は、後述するスイッチング損失を低減可能に、予め、シミュレーション、実機による検証等によって導出しておくと良い。
図7は、スイッチング素子の制御装置100の制御手順の一例を示すフローチャートである。同図に示す制御は、正極側スイッチング素子21の駆動信号(正極側駆動信号)の一周期毎に繰り返し実行される。図8は、正極側スイッチング素子21の駆動信号、端子間電圧、端子間電流、切り替え速度および負極側スイッチング素子22の駆動信号の経時変化の一例を示すタイミングチャートである。曲線L41は、正極側スイッチング素子21の駆動信号の経時変化の一例を示している。曲線L42は、正極側スイッチング素子21の端子間電圧の経時変化の一例を示している。曲線L43は、正極側スイッチング素子21の端子間電流の経時変化の一例を示している。曲線L44は、正極側スイッチング素子21および負極側スイッチング素子22の切り替え速度の経時変化の一例を示している。曲線L45は、負極側スイッチング素子22の駆動信号の経時変化の一例を示している。以下、図7および図8に基づいて、スイッチング素子の制御装置100の制御について具体的に説明する。
まず、正極側電圧検出部32aは、時刻t41において、端子間電圧V1を検出する(ステップS11)。時刻t41では、正極側スイッチング素子21が開状態から閉状態に切り替わる(曲線L41参照)。以下、正極側電圧検出部32aが端子間電圧V1を検出するタイミングは、同様である。また、正極側電流検出部33aは、時刻t42において、端子間電流I1を検出する(ステップS11)。時刻t42では、正極側スイッチング素子21が閉状態から開状態に切り替わる(曲線L41参照)。以下、正極側電流検出部33aが端子間電流I1を検出するタイミングは、同様である。
正極側電圧検出部32aは、端子間電圧V1が電圧閾値VT0を超えているか否かを判断する(ステップS12)。端子間電圧V1が電圧閾値VT0を超えている場合(Yesの場合)、制御は、ステップS13に進む。そして、正極側電圧検出部32aは、正極側スイッチング素子21の電圧状態を過電圧状態に設定する(ステップS13)。一方、端子間電圧V1が電圧閾値VT0以下の場合(Noの場合)、制御は、ステップS14に進む。そして、正極側電圧検出部32aは、正極側スイッチング素子21の電圧状態を電圧正常状態に設定する(ステップS14)。図8に示すように、時刻t41において、端子間電圧V1は、電圧閾値VT0より小さい。よって、正極側電圧検出部32aは、正極側スイッチング素子21の電圧状態を電圧正常状態に設定する(ステップS14)。
次に、正極側電流検出部33aは、端子間電流I1が電流閾値IT0を超えているか否かを判断する(ステップS15)。端子間電流I1が電流閾値IT0を超えている場合(Yesの場合)、制御は、ステップS16に進む。そして、正極側電流検出部33aは、正極側スイッチング素子21の電流状態を過電流状態に設定する(ステップS16)。一方、端子間電流I1が電流閾値IT0以下の場合(Noの場合)、制御は、ステップS17に進む。そして、正極側電流検出部33aは、正極側スイッチング素子21の電流状態を電流正常状態に設定する(ステップS17)。図8に示すように、時刻t42において、端子間電流I1は、電流閾値IT0より小さい。よって、正極側電流検出部33aは、正極側スイッチング素子21の電流状態を電流正常状態に設定する(ステップS17)。
次に、正極側切り替え速度選択部34aは、電圧正常状態および電流正常状態のうちの少なくとも一方が成立したか否かを判断する(ステップS18)。ステップS18の条件が成立する場合(Yesの場合)、制御は、ステップS19に進む。そして、正極側切り替え速度選択部34aは、電圧正常状態および電流正常状態の両方が連続して複数回(本実施形態では、二回)成立したか否かを判断する(ステップS19)。
ステップS19の条件が成立する場合(Yesの場合)、制御は、ステップS20に進む。そして、正極側切り替え速度選択部34aは、正極側スイッチング素子21の切り替え速度として、第二切り替え速度SV2を選択する(ステップS20)。また、デッドタイム選択部31は、第二デッドタイムDT2を選択する(ステップS20)。そして、制御は、一旦、終了する。一方、ステップS19の条件が成立しない場合(Noの場合)、制御は、ステップS21に進む。そして、正極側切り替え速度選択部34aは、正極側スイッチング素子21の切り替え速度として、第一切り替え速度SV1を選択する(ステップS21)。また、デッドタイム選択部31は、第一デッドタイムDT1を選択する(ステップS21)。そして、制御は、一旦、終了する。なお、ステップS18の条件が成立しない場合(Noの場合)、制御は、一旦、終了する。
この場合、電圧正常状態および電流正常状態の両方が成立している。しかしながら、電圧正常状態および電流正常状態の両方が連続して複数回(二回)成立していない。よって、正極側切り替え速度選択部34aは、正極側スイッチング素子21の切り替え速度として、第一切り替え速度SV1を選択する(ステップS21)。また、デッドタイム選択部31は、第一デッドタイムDT1を選択する(ステップS21)。これらの結果、正極側スイッチング素子21の切り替え速度は、第一切り替え速度SV1が継続する。また、正極側スイッチング素子21が閉状態から開状態に切り替えられた時点(時刻t42)から負極側スイッチング素子22が開状態から閉状態に切り替えられる時点(時刻t43)までの時間は、第一デッドタイムDT1に設定される。
なお、図2に示すように、デッドタイム選択部31には、正極側切り替え速度選択部34aの判定結果(過電圧状態または電圧正常状態と、過電流状態または電流正常状態)が入力される。同様に、デッドタイム選択部31には、負極側切り替え速度選択部34bの判定結果(過電圧状態または電圧正常状態と、過電流状態または電流正常状態)が入力される。本実施形態では、デッドタイム選択部31は、正極側切り替え速度選択部34aの判定結果に基づいて、デッドタイムを選択する。よって、負極側スイッチング素子22が閉状態から開状態に切り替えられた時点(時刻t44)から正極側スイッチング素子21が開状態から閉状態に切り替えられる時点(時刻t45)までの時間も、第一デッドタイムDT1に設定される。
なお、デッドタイム選択部31は、負極側切り替え速度選択部34bの判定結果に基づいて、デッドタイムを選択することもできる。また、デッドタイム選択部31は、正極側切り替え速度選択部34aの判定結果および負極側切り替え速度選択部34bの判定結果を交互に用いて、デッドタイムを選択することもできる。さらに、ステップS11のうち、正極側電流検出部33aによる端子間電流I1の検出は、正極側電圧検出部32aの判断および電圧状態の設定(ステップS12〜ステップS14)の後に実行することもできる。また、正極側電流検出部33aの判断および電流状態の設定(ステップS15〜ステップS17)は、正極側電圧検出部32aの判断および電圧状態の設定(ステップS12〜ステップS14)より先に実行することもできる。
次に、正極側電圧検出部32aは、時刻t45において、端子間電圧V1を検出する(ステップS11)。また、正極側電流検出部33aは、時刻t46において、端子間電流I1を検出する(ステップS11)。時刻t45において、端子間電圧V1は、電圧閾値VT0より小さい。よって、正極側電圧検出部32aは、正極側スイッチング素子21の電圧状態を電圧正常状態に設定する(ステップS14)。また、時刻t46において、端子間電流I1は、電流閾値IT0より小さい。よって、正極側電流検出部33aは、正極側スイッチング素子21の電流状態を電流正常状態に設定する(ステップS17)。
この場合、電圧正常状態および電流正常状態の両方が成立している。また、前回においても、電圧正常状態および電流正常状態の両方が成立している。つまり、この場合、電圧正常状態および電流正常状態の両方が連続して複数回(二回)成立している。よって、正極側切り替え速度選択部34aは、正極側スイッチング素子21の切り替え速度として、第二切り替え速度SV2を選択する(ステップS20)。また、デッドタイム選択部31は、第二デッドタイムDT2を選択する(ステップS20)。
これらの結果、正極側スイッチング素子21の切り替え速度は、第一切り替え速度SV1から第二切り替え速度SV2に変更される。また、正極側スイッチング素子21が閉状態から開状態に切り替えられた時点(時刻t46)から負極側スイッチング素子22が開状態から閉状態に切り替えられる時点(時刻t47)までの時間は、第二デッドタイムDT2に設定される。さらに、負極側スイッチング素子22が閉状態から開状態に切り替えられた時点(時刻t48)から正極側スイッチング素子21が開状態から閉状態に切り替えられる時点(時刻t49)までの時間も、第二デッドタイムDT2に設定される。
次に、正極側電圧検出部32aは、時刻t49において、端子間電圧V1を検出する(ステップS11)。また、正極側電流検出部33aは、時刻t50において、端子間電流I1を検出する(ステップS11)。時刻t49において、端子間電圧V1は、電圧閾値VT0より小さい。よって、正極側電圧検出部32aは、正極側スイッチング素子21の電圧状態を電圧正常状態に設定する(ステップS14)。一方、時刻t50において、端子間電流I1は、電流閾値IT0を超えている。よって、正極側電流検出部33aは、正極側スイッチング素子21の電流状態を過電流状態に設定する(ステップS16)。
この場合、正極側スイッチング素子21の電流状態は過電流状態であり、電圧正常状態および電流正常状態の両方が成立していない。よって、正極側切り替え速度選択部34aは、正極側スイッチング素子21の切り替え速度として、第一切り替え速度SV1を選択する(ステップS21)。また、デッドタイム選択部31は、第一デッドタイムDT1を選択する(ステップS21)。
これらの結果、正極側スイッチング素子21の切り替え速度は、第二切り替え速度SV2から第一切り替え速度SV1に変更される。また、正極側スイッチング素子21が閉状態から開状態に切り替えられた時点(時刻t50)から負極側スイッチング素子22が開状態から閉状態に切り替えられる時点(時刻t51)までの時間は、第一デッドタイムDT1に設定される。さらに、負極側スイッチング素子22が閉状態から開状態に切り替えられた時点(時刻t52)から正極側スイッチング素子21が開状態から閉状態に切り替えられる時点(時刻t53)までの時間も、第一デッドタイムDT1に設定される。
次に、正極側電圧検出部32aは、時刻t53において、端子間電圧V1を検出する(ステップS11)。また、正極側電流検出部33aは、時刻t54において、端子間電流I1を検出する(ステップS11)。時刻t53において、端子間電圧V1は、電圧閾値VT0を超えている。よって、正極側電圧検出部32aは、正極側スイッチング素子21の電圧状態を過電圧状態に設定する(ステップS13)。一方、時刻t54において、端子間電流I1は、電流閾値IT0より小さい。よって、正極側電流検出部33aは、正極側スイッチング素子21の電流状態を電流正常状態に設定する(ステップS17)。
この場合、正極側スイッチング素子21の電圧状態は過電圧状態であり、電圧正常状態および電流正常状態の両方が成立していない。よって、正極側切り替え速度選択部34aは、正極側スイッチング素子21の切り替え速度として、第一切り替え速度SV1を選択する(ステップS21)。また、デッドタイム選択部31は、第一デッドタイムDT1を選択する(ステップS21)。
これらの結果、正極側スイッチング素子21の切り替え速度は、第一切り替え速度SV1が継続される。また、正極側スイッチング素子21が閉状態から開状態に切り替えられた時点(時刻t54)から負極側スイッチング素子22が開状態から閉状態に切り替えられる時点(時刻t55)までの時間は、第一デッドタイムDT1に設定される。さらに、負極側スイッチング素子22が閉状態から開状態に切り替えられた時点(時刻t56)から正極側スイッチング素子21が開状態から閉状態に切り替えられる時点(時刻t57)までの時間も、第一デッドタイムDT1に設定される。以降、同様にして、切り替え速度が選択され、デッドタイムが選択される。
図9Aは、参考形態に係り、出力電流の経時変化の一例を示す模式図である。曲線L51は、図1に示すU相電力線40uに流れる出力電流の経時変化の一例を示している。縦軸は、出力電流を示し、横軸は、時刻を示している。参考形態では、デッドタイムは、常に基準デッドタイムDT0に設定されている。そのため、図9Aに示すように、出力電流に歪みが生じている。
図9Bは、本実施形態に係り、出力電流の経時変化の一例を示す模式図である。曲線L52は、図1に示すU相電力線40uに流れる出力電流の経時変化の一例を示している。縦軸は、出力電流を示し、横軸は、時刻を示している。本実施形態では、上述したように、電圧正常状態および電流正常状態のうちの少なくとも一方が成立するときに、基準デッドタイムDT0と比べて短く設定されたデッドタイム(第一デッドタイムDT1または第二デッドタイムDT2)が選択される。その結果、図9Bでは、図9Aと比べて、出力電流の歪みが低減されている。よって、インバータ効率(三組の一対のスイッチング素子20,20,20の効率)を改善することができ、回転電機40の効率を改善することができる。なお、図9Aおよび図9Bでは、U相電力線40uに流れる出力電流を例に説明したが、上述したことは、V相電力線40vに流れる出力電流についても同様に言え、W相電力線40wに流れる出力電流についても同様に言える。
本実施形態のスイッチング素子の制御装置100によれば、デッドタイム選択部31は、複数種類(二種類)のデッドタイムの中から一のデッドタイムを選択する。そのため、本実施形態のスイッチング素子の制御装置100は、スイッチング素子(正極側スイッチング素子21および負極側スイッチング素子22)の状態に応じてデッドタイムを生成してデッドタイムを可変する場合と比べて、構成を簡素化することができる。また、デッドタイム選択部31は、電圧正常状態および電流正常状態のうちの少なくとも一方が成立するときに、過電圧状態および過電流状態の両方が成立するときに選択される基準デッドタイムDT0と比べて短く設定されたデッドタイム(第一デッドタイムDT1または第二デッドタイムDT2)を選択する。そのため、本実施形態のスイッチング素子の制御装置100は、デッドタイムを短縮化して出力電流に生じる歪みを低減することができ、効率を改善することができる。このように、本実施形態のスイッチング素子の制御装置100は、デッドタイムの短縮化と構成の簡素化との両立を図ることができる。
また、端子間電圧V1が電圧閾値VT0以下であり、かつ、端子間電流I1が電流閾値IT0以下のとき(つまり、電圧正常状態かつ電流正常状態のとき)には、デッドタイムによる出力電流の歪みが効率の低下に与える影響が顕著になる。
本実施形態のスイッチング素子の制御装置100によれば、電圧正常状態および電流正常状態の両方が成立するときに選択されるデッドタイム(第二デッドタイムDT2)は、電圧正常状態および電流正常状態のうちの一方のみが成立するときに選択されるデッドタイム(第一デッドタイムDT1)と比べて短く設定されている。そのため、本実施形態のスイッチング素子の制御装置100は、電圧正常状態および電流正常状態の両方が成立するときにデッドタイムを最短化して出力電流に生じる歪みをさらに低減することができ、効率の改善効果を高めることができる。
さらに、本実施形態のスイッチング素子の制御装置100によれば、切り替え速度選択部34(正極側切り替え速度選択部34aおよび負極側切り替え速度選択部34b)は、複数種類(二種類)の切り替え速度の中から一の切り替え速度を選択する。また、切り替え速度選択部34は、電圧正常状態および電流正常状態のうちの少なくとも一方が成立するときに、過電圧状態および過電流状態の両方が成立するときに選択される基準切り替え速度SV0と比べて速く設定された切り替え速度(第一切り替え速度SV1または第二切り替え速度SV2)を選択する。そのため、本実施形態のスイッチング素子の制御装置100は、切り替え速度を高速化して、スイッチング素子(正極側スイッチング素子21および負極側スイッチング素子22)の開閉に伴う損失(スイッチング損失)を低減することができる。このように、本実施形態のスイッチング素子の制御装置100は、デッドタイムの短縮化とスイッチング損失の低減との両立を図ることができる。
また、本実施形態のスイッチング素子の制御装置100によれば、電圧正常状態および電流正常状態の両方が成立するときに選択される切り替え速度(第二切り替え速度SV2)は、電圧正常状態および電流正常状態のうちの一方のみが成立するときに選択される切り替え速度(第一切り替え速度SV1)と比べて速く設定されている。そのため、本実施形態のスイッチング素子の制御装置100は、電圧正常状態および電流正常状態の両方が成立するときに切り替え速度を最速化してスイッチング損失の低減効果を高めることができる。
<第二実施形態>
本実施形態は、デッドタイム選択部31が三種類のデッドタイムの中から一のデッドタイムを選択する点で、第一実施形態と異なる。また、本実施形態は、切り替え速度選択部34が三種類の切り替え速度の中から一の切り替え速度を選択する点で、第一実施形態と異なる。
本実施形態は、デッドタイム選択部31が三種類のデッドタイムの中から一のデッドタイムを選択する点で、第一実施形態と異なる。また、本実施形態は、切り替え速度選択部34が三種類の切り替え速度の中から一の切り替え速度を選択する点で、第一実施形態と異なる。
図10に示すように、デッドタイム選択部31は、複数種類(本実施形態では、三種類)のデッドタイムの中から一のデッドタイムを選択する。三種類のデッドタイムの中には、基準デッドタイムDT0が含まれる。同図のNo.21は、端子間電圧V1が過電圧状態であり、端子間電流I1が過電流状態のときには、デッドタイム選択部31によって基準デッドタイムDT0が選択されることを示している。No.22は、端子間電圧V1が電圧正常状態であり、端子間電流I1が過電流状態のときには、デッドタイム選択部31によって第一デッドタイムDT1が選択されることを示している。No.23は、端子間電圧V1が過電圧状態であり、端子間電流I1が電流正常状態のときには、デッドタイム選択部31によって第一デッドタイムDT1が選択されることを示している。No.24は、端子間電圧V1が電圧正常状態であり、端子間電流I1が電流正常状態のときには、デッドタイム選択部31によって第二デッドタイムDT2が選択されることを示している。
このように、デッドタイム選択部31は、過電圧状態および過電流状態の両方が成立するときに、基準デッドタイムDT0を選択する。一方、デッドタイム選択部31は、電圧正常状態および電流正常状態のうちの少なくとも一方が成立するときに、基準デッドタイムDT0と比べて短く設定されたデッドタイム(第一デッドタイムDT1または第二デッドタイムDT2)を選択する。第二デッドタイムDT2は、第一デッドタイムDT1と比べて短く設定されている。
また、切り替え速度選択部34(正極側切り替え速度選択部34aおよび負極側切り替え速度選択部34b)は、複数種類(本実施形態では、三種類)の切り替え速度の中から一の切り替え速度を選択する。三種類の切り替え速度の中には、基準切り替え速度SV0が含まれる。
同図のNo.21は、端子間電圧V1が過電圧状態であり、端子間電流I1が過電流状態のときには、切り替え速度選択部34(正極側切り替え速度選択部34a)によって基準切り替え速度SV0が選択されることを示している。No.22は、端子間電圧V1が電圧正常状態であり、端子間電流I1が過電流状態のときには、切り替え速度選択部34(正極側切り替え速度選択部34a)によって第一切り替え速度SV1が選択されることを示している。No.23は、端子間電圧V1が過電圧状態であり、端子間電流I1が電流正常状態のときには、切り替え速度選択部34(正極側切り替え速度選択部34a)によって第一切り替え速度SV1が選択されることを示している。No.24は、端子間電圧V1が電圧正常状態であり、端子間電流I1が電流正常状態のときには、切り替え速度選択部34(正極側切り替え速度選択部34a)によって第二切り替え速度SV2が選択されることを示している。
このように、切り替え速度選択部34(正極側切り替え速度選択部34a)は、過電圧状態および過電流状態の両方が成立するときに、基準切り替え速度SV0を選択する。一方、切り替え速度選択部34(正極側切り替え速度選択部34a)は、電圧正常状態および電流正常状態のうちの少なくとも一方が成立するときに、基準切り替え速度SV0と比べて速く設定された切り替え速度(第一切り替え速度SV1または第二切り替え速度SV2)を選択する。第二切り替え速度SV2は、第一切り替え速度SV1と比べて速く設定されている。
なお、正極側切り替え速度選択部34aは、低速側の切り替え速度(基準切り替え速度SV0)を選択するときには、第一抵抗器34a1を介して駆動信号を出力する。また、正極側切り替え速度選択部34aは、高速側の切り替え速度(第二切り替え速度SV2)を選択するときには、第二抵抗器34a2を介して駆動信号を出力する。さらに、正極側切り替え速度選択部34aは、中速側の切り替え速度(第一切り替え速度SV1)を選択するときには、第一抵抗器34a1および第二抵抗器34a2を介して駆動信号を出力する。このようにして、正極側切り替え速度選択部34aは、三種類の切り替え速度(基準切り替え速度SV0、第一切り替え速度SV1および第二切り替え速度SV2)の中から一の切り替え速度を選択することができる。
図11は、スイッチング素子の制御装置100の制御手順の一例を示すフローチャートである。同図に示す制御は、正極側スイッチング素子21の駆動信号(正極側駆動信号)の一周期毎に繰り返し実行される。例えば、同図のステップS31は、図7のステップS11に対応する。以下、同様であり、重複する説明を省略する。本実施形態では、ステップS42が追加されている点で、第一実施形態と異なる。
具体的には、過電圧状態および過電流状態の両方が成立した場合(ステップS38でNoの場合)、正極側切り替え速度選択部34aは、正極側スイッチング素子21の切り替え速度として、基準切り替え速度SV0を選択する(ステップS42)。また、デッドタイム選択部31は、基準デッドタイムDT0を選択する(ステップS42)。そして、制御は、一旦、終了する。
図12は、正極側スイッチング素子21の駆動信号、端子間電圧、端子間電流、切り替え速度および負極側スイッチング素子22の駆動信号の経時変化の一例を示すタイミングチャートである。曲線L61は、正極側スイッチング素子21の駆動信号の経時変化の一例を示している。曲線L62は、正極側スイッチング素子21の端子間電圧の経時変化の一例を示している。曲線L63は、正極側スイッチング素子21の端子間電流の経時変化の一例を示している。曲線L64は、正極側スイッチング素子21および負極側スイッチング素子22の切り替え速度の経時変化の一例を示している。曲線L65は、負極側スイッチング素子22の駆動信号の経時変化の一例を示している。以下、図11および図12に基づいて、第一実施形態と異なる点を中心に説明する。
まず、正極側電圧検出部32aは、時刻t61において、端子間電圧V1を検出する(ステップS31)。また、正極側電流検出部33aは、時刻t62において、端子間電流I1を検出する(ステップS31)。時刻t61において、端子間電圧V1は、電圧閾値VT0より小さい。よって、正極側電圧検出部32aは、正極側スイッチング素子21の電圧状態を電圧正常状態に設定する(ステップS34)。また、時刻t62において、端子間電流I1は、電流閾値IT0より小さい。よって、正極側電流検出部33aは、正極側スイッチング素子21の電流状態を電流正常状態に設定する(ステップS37)。
この場合、電圧正常状態および電流正常状態の両方が成立している。しかしながら、電圧正常状態および電流正常状態の両方が連続して複数回(二回)成立していない。よって、正極側切り替え速度選択部34aは、正極側スイッチング素子21の切り替え速度として、第一切り替え速度SV1を選択する(ステップS41)。また、デッドタイム選択部31は、第一デッドタイムDT1を選択する(ステップS41)。これらの結果、正極側スイッチング素子21の切り替え速度は、基準切り替え速度SV0から第一切り替え速度SV1に変更される。また、正極側スイッチング素子21が閉状態から開状態に切り替えられた時点(時刻t62)から負極側スイッチング素子22が開状態から閉状態に切り替えられる時点(時刻t63)までの時間は、第一デッドタイムDT1に設定される。さらに、負極側スイッチング素子22が閉状態から開状態に切り替えられた時点(時刻t64)から正極側スイッチング素子21が開状態から閉状態に切り替えられる時点(時刻t65)までの時間も、第一デッドタイムDT1に設定される。
次に、正極側電圧検出部32aは、時刻t65において、端子間電圧V1を検出する(ステップS31)。また、正極側電流検出部33aは、時刻t66において、端子間電流I1を検出する(ステップS31)。時刻t65において、端子間電圧V1は、電圧閾値VT0より小さい。よって、正極側電圧検出部32aは、正極側スイッチング素子21の電圧状態を電圧正常状態に設定する(ステップS34)。また、時刻t66において、端子間電流I1は、電流閾値IT0より小さい。よって、正極側電流検出部33aは、正極側スイッチング素子21の電流状態を電流正常状態に設定する(ステップS37)。
この場合、電圧正常状態および電流正常状態の両方が成立している。また、前回においても、電圧正常状態および電流正常状態の両方が成立している。つまり、この場合、電圧正常状態および電流正常状態の両方が連続して複数回(二回)成立している。よって、正極側切り替え速度選択部34aは、正極側スイッチング素子21の切り替え速度として、第二切り替え速度SV2を選択する(ステップS40)。また、デッドタイム選択部31は、第二デッドタイムDT2を選択する(ステップS40)。
これらの結果、正極側スイッチング素子21の切り替え速度は、第一切り替え速度SV1から第二切り替え速度SV2に変更される。また、正極側スイッチング素子21が閉状態から開状態に切り替えられた時点(時刻t66)から負極側スイッチング素子22が開状態から閉状態に切り替えられる時点(時刻t67)までの時間は、第二デッドタイムDT2に設定される。さらに、負極側スイッチング素子22が閉状態から開状態に切り替えられた時点(時刻t68)から正極側スイッチング素子21が開状態から閉状態に切り替えられる時点(時刻t69)までの時間も、第二デッドタイムDT2に設定される。
次に、正極側電圧検出部32aは、時刻t69において、端子間電圧V1を検出する(ステップS31)。また、正極側電流検出部33aは、時刻t70において、端子間電流I1を検出する(ステップS31)。時刻t69において、端子間電圧V1は、電圧閾値VT0より小さい。よって、正極側電圧検出部32aは、正極側スイッチング素子21の電圧状態を電圧正常状態に設定する(ステップS34)。一方、時刻t70において、端子間電流I1は、電流閾値IT0を超えている。よって、正極側電流検出部33aは、正極側スイッチング素子21の電流状態を過電流状態に設定する(ステップS36)。
この場合、正極側スイッチング素子21の電圧状態は電圧正常状態であり、正極側スイッチング素子21の電流状態は過電流状態である。よって、正極側切り替え速度選択部34aは、正極側スイッチング素子21の切り替え速度として、第一切り替え速度SV1を選択する(ステップS41)。また、デッドタイム選択部31は、第一デッドタイムDT1を選択する(ステップS41)。これらの結果、正極側スイッチング素子21の切り替え速度は、第二切り替え速度SV2から第一切り替え速度SV1に変更される。また、正極側スイッチング素子21が閉状態から開状態に切り替えられた時点(時刻t70)から負極側スイッチング素子22が開状態から閉状態に切り替えられる時点(時刻t71)までの時間は、第一デッドタイムDT1に設定される。さらに、負極側スイッチング素子22が閉状態から開状態に切り替えられた時点(時刻t72)から正極側スイッチング素子21が開状態から閉状態に切り替えられる時点(時刻t73)までの時間も、第一デッドタイムDT1に設定される。
次に、正極側電圧検出部32aは、時刻t73において、端子間電圧V1を検出する(ステップS31)。また、正極側電流検出部33aは、時刻t74において、端子間電流I1を検出する(ステップS31)。時刻t73において、端子間電圧V1は、電圧閾値VT0を超えている。よって、正極側電圧検出部32aは、正極側スイッチング素子21の電圧状態を過電圧状態に設定する(ステップS33)。また、時刻t74において、端子間電流I1は、電流閾値IT0を超えている。よって、正極側電流検出部33aは、正極側スイッチング素子21の電流状態を過電流状態に設定する(ステップS36)。
この場合、正極側スイッチング素子21の電圧状態は過電圧状態であり、正極側スイッチング素子21の電流状態は過電流状態である。つまり、過電圧状態および過電流状態の両方が成立している。よって、正極側切り替え速度選択部34aは、正極側スイッチング素子21の切り替え速度として、基準切り替え速度SV0を選択する(ステップS42)。また、デッドタイム選択部31は、基準デッドタイムDT0を選択する(ステップS42)。これらの結果、正極側スイッチング素子21の切り替え速度は、第一切り替え速度SV1から基準切り替え速度SV0に変更される。また、正極側スイッチング素子21が閉状態から開状態に切り替えられた時点(時刻t74)から負極側スイッチング素子22が開状態から閉状態に切り替えられる時点(時刻t75)までの時間は、基準デッドタイムDT0に設定される。さらに、負極側スイッチング素子22が閉状態から開状態に切り替えられた時点(時刻t76)から正極側スイッチング素子21が開状態から閉状態に切り替えられる時点(時刻t77)までの時間も、基準デッドタイムDT0に設定される。以降、同様にして、切り替え速度が選択され、デッドタイムが選択される。
本実施形態のスイッチング素子の制御装置100によれば、デッドタイム選択部31は、複数種類(三種類)のデッドタイムの中から一のデッドタイムを選択する。また、デッドタイム選択部31は、電圧正常状態および電流正常状態のうちの少なくとも一方が成立するときに、過電圧状態および過電流状態の両方が成立するときに選択される基準デッドタイムDT0と比べて短く設定されたデッドタイム(第一デッドタイムDT1または第二デッドタイムDT2)を選択する。また、電圧正常状態および電流正常状態の両方が成立するときに選択されるデッドタイム(第二デッドタイムDT2)は、電圧正常状態および電流正常状態のうちの一方のみが成立するときに選択されるデッドタイム(第一デッドタイムDT1)と比べて短く設定されている。よって、本実施形態のスイッチング素子の制御装置100は、第一実施形態で既述した作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
さらに、本実施形態のスイッチング素子の制御装置100によれば、複数種類(三種類)のデッドタイムの中には、基準デッドタイムDT0が含まれる。そのため、デッドタイム選択部31は、過電圧状態および過電流状態が同時に成立した場合において、適切なデッドタイム(基準デッドタイムDT0)を選択することができる。
本実施形態のスイッチング素子の制御装置100によれば、切り替え速度選択部34(正極側切り替え速度選択部34aおよび負極側切り替え速度選択部34b)は、複数種類(三種類)の切り替え速度の中から一の切り替え速度を選択する。また、切り替え速度選択部34は、電圧正常状態および電流正常状態のうちの少なくとも一方が成立するときに、過電圧状態および過電流状態の両方が成立するときに選択される基準切り替え速度SV0と比べて速く設定された切り替え速度(第一切り替え速度SV1または第二切り替え速度SV2)を選択する。また、電圧正常状態および電流正常状態の両方が成立するときに選択される切り替え速度(第二切り替え速度SV2)は、電圧正常状態および電流正常状態のうちの一方のみが成立するときに選択される切り替え速度(第一切り替え速度SV1)と比べて速く設定されている。よって、本実施形態のスイッチング素子の制御装置100は、第一実施形態で既述した作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
さらに、本実施形態のスイッチング素子の制御装置100によれば、複数種類(三種類)の切り替え速度には、基準切り替え速度SV0が含まれる。そのため、切り替え速度選択部34は、過電圧状態および過電流状態が同時に成立した場合において、適切な切り替え速度(基準切り替え速度SV0)を選択することができる。
<その他>
本発明は、上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施することができる。例えば、本発明では、一対のスイッチング素子20の数は限定されない。つまり、負荷は、三相回転電機に限定されるものではなく、単相回転電機および多相回転電機に適用することができる。また、本発明は、種々の回転電機に用いることができ、例えば、車両の駆動用電動機、発電機、産業用または家庭用の電動機、発電機などに用いることができる。なお、本明細書では、インバータを例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、本発明は、スイッチング電源などに適用することもできる。
本発明は、上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施することができる。例えば、本発明では、一対のスイッチング素子20の数は限定されない。つまり、負荷は、三相回転電機に限定されるものではなく、単相回転電機および多相回転電機に適用することができる。また、本発明は、種々の回転電機に用いることができ、例えば、車両の駆動用電動機、発電機、産業用または家庭用の電動機、発電機などに用いることができる。なお、本明細書では、インバータを例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、本発明は、スイッチング電源などに適用することもできる。
また、デッドタイム選択部31は、四種類以上のデッドタイムの中から一のデッドタイムを選択することもできる。さらに、切り替え速度選択部34は、四種類以上の切り替え速度の中から一の切り替え速度を選択することもできる。
10:直流電源、
20:一対のスイッチング素子、
21:正極側スイッチング素子、22:負極側スイッチング素子、
21a,22a:入力端子、21b,22b:出力端子、
30:制御装置、
31:デッドタイム選択部、32:電圧検出部、33:電流検出部、
34:切り替え速度選択部、
100:スイッチング素子の制御装置、
V1,V2:端子間電圧、VT0:電圧閾値、
I1,I2:端子間電流、IT0:電流閾値、
DT0:基準デッドタイム、DT1:第一デッドタイム、DT2:第二デッドタイム、
SV0:基準切り替え速度、SV1:第一切り替え速度、SV2:第二切り替え速度。
20:一対のスイッチング素子、
21:正極側スイッチング素子、22:負極側スイッチング素子、
21a,22a:入力端子、21b,22b:出力端子、
30:制御装置、
31:デッドタイム選択部、32:電圧検出部、33:電流検出部、
34:切り替え速度選択部、
100:スイッチング素子の制御装置、
V1,V2:端子間電圧、VT0:電圧閾値、
I1,I2:端子間電流、IT0:電流閾値、
DT0:基準デッドタイム、DT1:第一デッドタイム、DT2:第二デッドタイム、
SV0:基準切り替え速度、SV1:第一切り替え速度、SV2:第二切り替え速度。
Claims (4)
- 直流電源の正極側に接続される正極側スイッチング素子と前記直流電源の負極側に接続される負極側スイッチング素子とが直列接続されている少なくとも一対のスイッチング素子と、前記少なくとも一対のスイッチング素子の各々のスイッチング素子を開閉制御する制御装置とを備えるスイッチング素子の制御装置であって、
前記一対のスイッチング素子のうちの一のスイッチング素子が閉状態から開状態に切り替えられた時点から他のスイッチング素子が開状態から閉状態に切り替えられる時点までの時間が異なる複数種類のデッドタイムの中から一の前記デッドタイムを選択するデッドタイム選択部と、
前記一対のスイッチング素子のうちの前記一のスイッチング素子が前記閉状態から前記開状態に切り替えられた直後に発生するサージ電圧が収束した後の前記開状態のときに、当該スイッチング素子の入力端子と出力端子との間の端子間電圧を検出する電圧検出部と、
当該スイッチング素子が前記閉状態から前記開状態に切り替えられる直前に、当該スイッチング素子の前記入力端子と前記出力端子との間に流れる端子間電流を検出する電流検出部と、
を備え、
前記電圧検出部によって検出された前記端子間電圧が当該スイッチング素子の保護に関して設定された電圧閾値以下の状態を電圧正常状態とし、前記端子間電圧が前記電圧閾値を超えている状態を過電圧状態とし、前記電流検出部によって検出された前記端子間電流が当該スイッチング素子の保護に関して設定された電流閾値以下の状態を電流正常状態とし、前記端子間電流が前記電流閾値を超えている状態を過電流状態とし、前記過電圧状態および前記過電流状態の両方が成立するときに選択される前記デッドタイムを基準デッドタイムとするとき、
前記デッドタイム選択部は、前記電圧正常状態および前記電流正常状態のうちの少なくとも一方が成立するときに、前記基準デッドタイムと比べて短く設定されたデッドタイムを選択するスイッチング素子の制御装置。 - 前記電圧正常状態および前記電流正常状態の両方が成立するときに選択されるデッドタイムは、前記電圧正常状態および前記電流正常状態のうちの一方のみが成立するときに選択されるデッドタイムと比べて短く設定されている請求項1に記載のスイッチング素子の制御装置。
- 前記一対のスイッチング素子のうちの前記一のスイッチング素子が前記開状態から前記閉状態または前記閉状態から前記開状態に切り替えられるときの切り替え速度が異なる複数種類の切り替え速度の中から一の前記切り替え速度を選択する切り替え速度選択部を備え、
前記過電圧状態および前記過電流状態の両方が成立するときに選択される前記切り替え速度を基準切り替え速度とするとき、
前記切り替え速度選択部は、前記電圧正常状態および前記電流正常状態のうちの少なくとも一方が成立するときに、前記基準切り替え速度と比べて速く設定された切り替え速度を選択する請求項1または請求項2に記載のスイッチング素子の制御装置。 - 前記電圧正常状態および前記電流正常状態の両方が成立するときに選択される切り替え速度は、前記電圧正常状態および前記電流正常状態のうちの一方のみが成立するときに選択される切り替え速度と比べて速く設定されている請求項2に従属する請求項3に記載のスイッチング素子の制御装置。
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