JP2017135172A - 厚銅回路基板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】板厚の薄い厚銅回路基板に微細かつ大電流及び放熱に対応した回路を形成しやすくした厚銅回路基板およびその製造方法を提供する。【解決手段】絶縁性布材1と、絶縁性布材1の少なくとも一方の面に形成された絶縁樹脂層3と、前記絶縁樹脂層3に形成された溝部2a内に充填された導体材料から構成された回路部2とを備えた積層板10と、この積層板10の表面に導体層6とを備え、前記導体材料が金属ワイヤ5を含むことを特徴とする厚銅回路基板。【選択図】図1

Description

本発明は、微細回路を有し、放熱に対応した大電流基板である厚銅回路基板およびその製造方法に関する。
厚銅回路基板において、大電流回路基板や電源回路など、厚肉の導体が要求される場合には、特許文献1に示すような製造方法が提案されている。
この製造方法は、銅板または厚銅箔の一方にハーフエッチングで厚銅回路の片面を形成し、ハーフエッチング側にプリプレグを接触させ積層し、このプリプレグと反対側の面(未加工側)に、厚銅回路の残りを形成する、という工程からなる。
しかしながら、銅板または銅箔単体のハーフエッチングが必要なため、工程が複雑になり製造コストが高くなってしまう。また、一般的な厚銅基板では板厚が厚くなり、最近のモジュール等の薄型の高密度配線基板には適用が困難であるし、銅板または銅箔が厚ければ、微細回路の形成は困難である。
また、回路の高さが高いほど、エッチングの裾引きの影響で、回路幅精度が悪くなる。ハーフエッチング分の回路高さhに対し、エッチングによる裾引きの目安値が1/2h程度である。この値の裾引きが大きいほどそのばらつきも大きくなる。また、回路厚が薄くても100μm以上はあるため、回路幅100μm以下のような微細回路の形成は、回路幅精度が悪く不可能である。
特許3806294号公報
本発明の課題は、板厚の薄い厚銅回路基板に微細かつ大電流及び放熱に対応した回路を形成しやすくした厚銅回路基板およびその製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、以下の構成からなる解決手段を見出し、本発明を完成するに至った。
(1)絶縁性布材と、絶縁性布材の少なくとも一方の面に形成された絶縁樹脂層と、前記絶縁樹脂層に形成された溝部内に充填された導体材料から構成された回路部とを備えた積層板と、この積層板の表面に導体層とを備え、前記導体材料が金属ワイヤを含むことを特徴とする厚銅回路基板。
(2)絶縁性布材と、絶縁性布材の少なくとも一方の面に形成された絶縁樹脂層と、前記絶縁樹脂層に形成された溝部内に充填された導体材料から構成された回路部と、前記絶縁樹脂層上に貼付された導電性金属箔とを備えた積層板と、この積層板の表面に、導電性金属箔と共に表層を形成した導体層とを備え、前記導体材料が金属ワイヤを含むことを特徴とする厚銅回路基板。
(3)前記積層板の絶縁樹脂層に、回路部と電気的に接続されるビアホールが設けられた(1)または(2)に記載の厚銅回路基板。
(4)前記導体層が回路部の直上に設けられた(1)〜(3)のいずれかに記載の厚銅回路基板。
(5)前記絶縁性布材がガラスクロスである(1)〜(4)のいずれかに記載の厚銅回路基板。
(6)前記回路部を構成する導体材料の金属ワイヤが銅線である(1)〜(5)のいずれかに記載の厚銅回路基板。
(7)前記回路部を構成する導体材料が銅線および銅めっきである(1)〜(6)のいずれかに記載の厚銅回路基板。
(8)前記導電性金属箔が銅箔である(2)〜(7)のいずれかに記載の厚銅回路基板。
(9)絶縁性布材の両面に絶縁樹脂層を形成し絶縁樹脂層上に導電性金属箔を形成した積層板を得る工程と、前記積層板の絶縁樹脂層をレーザ加工して溝部を形成した後、レーザ加工した溝部に金属ワイヤを圧入または配設し、熱硬化性樹脂で金属ワイヤを固定して回路部を形成する工程と、導電性金属箔に、めっき処理をした後、エッチングにて導電回路を形成する工程と、を含むことを特徴とする厚銅回路基板の製造方法。
(10)絶縁性布材の両面に絶縁樹脂層を形成した積層板を得る工程と、前記積層板の絶縁樹脂層をレーザ加工して溝部を形成した後、レーザ加工した溝部に金属ワイヤを圧入または配設し、熱硬化性樹脂で金属ワイヤを固定して回路部を形成する工程と、前記絶縁樹脂層表面に選択的にめっき処理をして導電回路を形成する工程と、を含むことを特徴とする厚銅回路基板の製造方法。
(11)前記導電回路が、サブトラクティブ法、MSAP、セミアディティブ法、またはフルアディティブ法のいずれかの工法で形成される(9)または(10)に記載の厚銅回路基板の製造方法。
(12)前記レーザ加工が、絶縁性布材に接触するまで続けられる(9)〜(11)のいずれかに記載の厚銅回路基板の製造方法。
(13)前記絶縁樹脂層にビアホールを形成するための穴を形成する工程を含む(9)〜(12)のいずれかに記載の厚銅回路基板の製造方法。
(14)前記回路部の金属ワイヤを熱硬化性樹脂で固定しない(9)〜(13)のいずれかに記載の厚銅回路基板の製造方法。
本発明の厚銅回路基板によれば、積層板に回路部を形成する際、導体材料が金属ワイヤを含むことにより、レーザ光で寸止め加工して形成した溝部からのめっきの染み出しおよびめっきの充填不良を防ぐことができる。
本発明の一実施形態に係る厚銅回路基板を示す断面図である。 (a)〜(d)は、本発明の一実施形態に係る厚銅回路基板の製造方法を示す工程説明図である。 (e)〜(g)は、本発明の一実施形態に係る厚銅回路基板の製造方法を示す工程説明図である。 (a)は、溝部を形成するためのCuダイレクト工法を示す説明図であり、(b)は、ビアホール下穴を形成するためのCuダイレクト工法を示す説明図である。 (a)は、溝部を形成するためのウインドウ工法を示す説明図であり、(b)は、ビアホール下穴を形成するためのウインドウ工法を示す説明図である。 (h)および(i)は、本発明の一実施形態に係る厚銅回路基板の製造方法を示す工程説明図である。 本発明の他の実施形態に係る厚銅回路基板を示す断面図である。 (a)〜(e)は、本発明の他の実施形態に係る厚銅回路基板の製造方法を示す工程説明図である。 (f)〜(i)は、本発明の他の実施形態に係る厚銅回路基板の製造方法を示す工程説明図である。 (j)および(k)は、本発明の他の実施形態に係る厚銅回路基板の製造方法を示す工程説明図である。 本発明のさらに他の実施形態に係る厚銅回路基板を示す断面図である。
本発明の一実施形態である厚銅回路基板100は、図1に示すように、絶縁性布材1と、
絶縁性布材1の少なくとも一方の面に形成された絶縁樹脂層3と、前記絶縁樹脂層3に形成された溝部2a内に内蔵された導体材料から構成された回路部2とを備えた積層板10と、この積層板10の表面に導体層6とを備える。また、積層板10は、その表裏面を貫通し、導体層6を備えたビアホール7を有している。
絶縁性布材1は、絶縁性を有する素材で、後述するめっき(導体材料)やレーザが通過しないように、隙間の無いものが好ましい。このような絶縁性を有する素材としては、例えば、ガラス繊維のクロスや不織布などがよい。ガラスクロスとしては、例えばガラス繊維から作られる高密度ガラスクロス、高開繊クロスなどが挙げられる。
絶縁性布材1の表面には、絶縁樹脂層3が積層され含浸されている。絶縁樹脂層3を形成する樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、フェノール樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ケイ素樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリフェニレンオキシド(PPO)樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は2種以上を混合してもよい。絶縁樹脂層3を形成する樹脂には、シリカ、硫酸バリウム、タルク、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの補強材や無機充填材、フェノール樹脂やメタクリル樹脂からなる有機充填材が含まれていてもよい。
回路部2は、レーザ加工により絶縁樹脂層3に形成した溝部2aに、導体材料として金属ワイヤ5を内蔵して形成される。この回路部2の直上と、絶縁性布材1に対して反対側の絶縁樹脂層3の層上には導体層6がそれぞれ設けられる。
回路部2の溝部2aは絶縁性布材1を底面にして、レーザで寸止め加工することにより形成される。このレーザ加工で用いられるレーザ光としては、CO2レーザ、UV−YAGレーザなどが挙げられる。
回路部2の金属ワイヤ5は、溝部2aに内蔵された場合、熱硬化性樹脂50により溝部2a内に固定される。熱硬化性樹脂50としては、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂などが使用される。なお、金属ワイヤ5が溝部2aに圧入され固定される場合、熱硬化性樹脂50による金属ワイヤ5の固定工程は不要である。金属ワイヤ5を導体材料に用いることにより、レーザ光で寸止め加工して形成した溝部2aからのめっきの染み出しおよびめっきの充填不良を防ぐことができる。
なお、本実施形態で用いる金属ワイヤ5は、回路部2を後述するビアホール7や他の部品基板と電気的に接続するものであるなら特に限定されない。金属ワイヤ5の素材としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウムなどが挙げられ、特に銅線であるのがよい。また、導体材料として金属ワイヤ5と金属めっきとを併用して用いてもよく、この金属めっきとしては、例えば銅めっきがよい。
導電回路6aは、エッチングなどによって形成される。その形成方法は、例えば、感光性レジスト(例えば、ドライフィルムのエッチングレジスト)をロールラミネートで貼り付け、露光および現像して回路部2と導電回路6a、ビアホール7以外の部分を露出させた後、露出部分の導体層6(導体材料)をエッチングにより除去する。エッチング液としては、例えば塩化第二鉄水溶液などが挙げられる。ドライフィルムのエッチングレジストを剥離して、導電回路6aが形成される。
前記絶縁樹脂層3の表面には、電解めっきのシード層として導電性金属箔4が積層され、プレス処理等によって積層板10となる。導電性金属箔4としては特に限定されないが、例えば、銅箔または薄銅箔であるのが好ましい。
積層板10にはビアホール7を設けてもよい。このビアホール7は積層板10の上下面に設けた導体層6を通して回路部2と電気的に接続される。
このビアホール7は、後述するビアホール下穴7aに導体(導電性樹脂や金属めっき)が充填されたものである。
図1に示す厚銅回路基板100では、回路部2と絶縁樹脂層3は、厚銅回路基板の上下面にそれぞれ1層積層されているが、1層に限定されない。例えば、回路部2および絶縁樹脂層3を積層・含浸させた絶縁性布材1を交互に積層させて多層のビルドアップ層としてもよい。この場合、積層した各絶縁樹脂層3にビアホール7が形成されて電気的に接続される。さらに、ビルドアップ厚銅回路基板に限らず、通常の多層厚銅回路基板、貼り合わせ多層厚銅回路基板、多重多層厚銅回路基板などに適用できることは、言うまでもない。
次に、本実施形態に係る厚銅回路基板の製造方法を説明する。本発明に係る厚銅回路基板の製造方法は、下記の工程(i)〜(iv)を含む。
(i)絶縁性布材の両面に絶縁樹脂層および導電性金属箔を形成して積層板を得て、積層板の絶縁樹脂層にレーザ加工して回路部形成用の溝部を形成し、かつレーザ加工またはドリル加工にてビアホール下穴を形成する工程。
(ii)積層板の回路部形成用の溝部に、導体材料として金属ワイヤを内蔵または圧入し固定し、金属ワイヤの高さを積層板と同じ高さに加工した後、ビアホール下穴にめっき処理をして導体層を形成する工程。
(iii)導体上にドライフィルムを貼付し、露光および現像して回路部および導電回路、ビアホールを形成したい場所以外のドライフィルムを除去する工程。
(iv)ドライフィルムを除去後、積層板表面の導電性金属箔および導体層をエッチングして回路部および導電回路、ビアホールを形成する工程。
本実施形態に係る厚銅回路基板の製造方法を、図2および図3に基づいて説明する。
まず、図2(a)に示すように、絶縁性布材1と絶縁樹脂層3と導電性金属箔4とを前記したようにプレス処理等して積層板10を得て、これにレーザ加工を施し、回路部2のための溝部2aを形成する。この溝部2aは放熱・大電流が必要な箇所の絶縁樹脂層3に形成される。
また、溝部2aを形成する際、積層板10の絶縁樹脂層3と絶縁性布材1とを貫通し、一方の導電性金属箔4まで達するビアホール下穴7aを形成してもよい。
なお、絶縁性布材1、絶縁樹脂層3、導電性金属箔4は上述の通りであるが、本実施形態では絶縁性布材1としてガラスクロス、導電性金属箔4として銅箔を使用する。また、積層板10は、層数を増やしたビルドアップ層、両面基板や通常の多層基板でも適用できる。
前記溝部2aは、回路部2を形成するための溝である。溝部2aは、レーザ加工によって形成する場合、溝部2aの形成と同時に、溝部2a直上の導電性金属箔4を開口させてもよい。このレーザ加工で用いられるレーザ光としては、CO2レーザ、UV−YAGレーザなどが挙げられる。特にUV−YAGレーザは、ガラスクロス(絶縁性布材1)を打ち抜くことができないことで、加工の深さを容易に調整可能である点から好ましい。また、一般的なCO2レーザであっても、ガラスクロスを貫通しない出力に調整することができる。
レーザの照射条件によって、開口の調節は可能であり、レーザのマスク径のサイズを何種類か持つことによって色々な径(回路幅)を作る事が可能になる。
また、溝部2aの底部がガラスクロス(絶縁性布材1)であると、レーザ光を止めることができ、いわゆるクロス寸止め加工が行いやすい。
前記クロス寸止めには、例えば、Cuダイレクト工法とウインドウ工法の2つの工法があげられる。
図4(a)は、溝部2aを形成するためのCuダイレクト工法を示す説明図である。
この積層板10は、上述した導電性金属箔4と絶縁樹脂層3とガラスクロス(絶縁性布材1)が積層されてなるものであり、導電性金属箔4には、レーザ光を吸収しやすくさせるため、表面処理を行なっており、例えば、Vボンド処理(メック株式会社製)があげられる。
図4(a)に示すようにガラスクロス(絶縁性布材1)にてレーザLが止まる出力でレーザ加工すると、導電性金属箔4の下の絶縁樹脂層3への影響が減り、絶縁性布材1を底面とする溝部2aが形成される。
ビアホール下穴7aを形成するには、図4(b)に示すように、レーザ加工の出力をあげ、ガラスクロス(絶縁性布材1)を貫通させればよい。
図5(a)は、溝部2aを形成するためのウインドウ工法を示す説明図である。
ウインドウ工法は、積層板10の表面の導電性金属箔4に予め溝部2aより幅広の開口部9を設けておき、これにレーザ加工を施すやり方である。図5(a)に示すように、ガラスクロス(絶縁性布材1)が底面になるようにレーザLを照射すると、溝部2aが形成される。
ビアホール下穴7aの形成は、図5(b)に示すように、レーザの出力を上げ、レーザLを照射して行なう。
レーザ加工によって積層板10にビアホール下穴7aを形成すると、それぞれの底部に薄い樹脂膜が残存する場合がある。この場合、デスミア処理が行われる。デスミア処理は、強アルカリによって樹脂を膨潤させ、次いで酸化剤(例えば、クロム酸、過マンガン酸塩水溶液など)を用いて樹脂を分解除去する。あるいは、研磨材によるウェットブラスト処理やプラズマ処理によって、樹脂膜を除去してもよい。さらに、必要ならばビアホール下穴7aの内壁面を粗面化してもよい。粗面化処理としては、例えば、酸化剤(例えば、クロム酸、過マンガン酸塩水溶液など)によるウェットプロセス、プラズマ処理やアッシング処理などのドライプロセスなどが挙げられる。
次いで、図2(b)に示すように、溝部2aに、回路部2を形成するための導体材料として金属ワイヤ5を内蔵する。金属ワイヤ5は、溝部2aの底面に、その高さが積層板10の表面と同じか、または溝部2aから突き出るよう高く設置される。なお、金属ワイヤ5は溝部2a内の大きさにできるだけ一致する大きさであるのがよく、後述するように、溝部2a内に圧入させて固定してもよい。金属ワイヤ5が溝部2aに圧入された場合は、後述の熱硬化性樹脂50による固定工程は不要となる。なお、この金属ワイヤ5としては銅線が好ましい。
次いで、図2(c)に示すように、溝部2aに熱硬化性樹脂50を充填し、金属ワイヤ5を溝部2a内に固定する。このとき、熱硬化性樹脂50は溝部2aからはみ出すまで充填してもよい。
次いで、図2(d)に示すように、溝部2aから突き出た金属ワイヤ5および熱硬化性樹脂50を切除あるいは研磨し、積層板10の表面と同じ高さになるように加工する。
次いで、図3(e)に示すように、積層板10の表面とビアホール下穴7aの穴内にめっき処理を施し導体層6を形成する。導体層6は、例えば、銅めっきは化学銅めっき(無電解銅めっき)でもよく、電解銅めっきでもよい。これにより積層板10の表面およびビアホール下穴7aには銅めっきが形成される。ビアホール下穴7aを充填するには、電解銅めっきが適している。
なお、このとき、回路部2の形成場所である溝部2aの金属ワイヤ5や溝部2aに生じた隙間にも同時に銅めっきが充填されることで、回路部2の直上に設ける導体層6の高さは、導電性金属箔4やビアホール下穴7a上の導体層6の高さと同一(フラット)になる。
このように、回路部2の形成の際には、溝部2aの直上にも回路を形成し、溝部2aを含めた厚銅回路とすることができる。
次いで、図3(f)に示すように、積層板10の表面にドライフィルム8(感光性エッチングレジスト)をラミネート加工で貼り付け、露光および現像した後、回路部2および導体回路6a、ビアホール7を形成したい場所以外のドライフィルムを除去し、エッチングすると、それぞれ導体層6を有する回路部2と導電回路6a、ビアホール7が形成される。ドライフィルム8を剥離すると、図3(g)に示すような厚銅回路基板100が完成する。
図3(g)で得た厚銅回路基板100に、任意回数のビルドアップを行ない、多層厚銅回路基板(厚銅回路基板)を作ることもできる。
ビルドアップを行なう際は、図6(h)に示すように、まず厚銅回路基板100の上下面にそれぞれ、絶縁樹脂層31と絶縁性布材11と導電性金属箔41とを積層する。なお、それぞれの部材は、上述した積層板10を構成するものと同じ作用を持ち、且つ同じ工程により形成されるため説明は省略する。
次いで、図6(i)に示すように、回路部21とビアホール71と導体層61とを設けて、基板表面の所定の位置にソルダーレジスト12を形成し、表面処理、外形加工を施すと、図6(i)に示すような多層の厚銅回路基板200が得られる。
このとき、回路部21は、前述した回路部2と同様に、回路部21形成のための溝部(図示せず)を絶縁樹脂層31に設け、金属ワイヤ5'および熱硬化性樹脂50'を内蔵させることにより形成される。
ソルダーレジスト12の形成方法は、まず、スプレーコート、ロールコート、カーテンコート、スクリーン法などを用い、感光性液状ソルダーレジストを10〜80μm程度の厚みで塗布して乾燥する、あるいは感光性ドライフィルム・ソルダーレジストをロールラミネートで貼り付ける。その後、露光および現像してパッド部分を開口させて加熱硬化させる。
ソルダーレジスト12を形成する前に、形成面をCZ処理などの銅の粗面化処理に供してもよい。ソルダーレジスト12の開口部に、無電解ニッケルめっきを3μm以上の厚みで形成し、その上に無電解金めっきを0.03μm以上(好ましくは0.05μm以上、ワイヤーボンディング用途の場合は0.3μm以上)の厚みで形成してもよい。さらに、その上にはんだプリコートを施す場合もある。無電解めっきではなく、電解めっきで形成してもよい。めっきではなく、水溶性防錆有機被膜(例えば、四国化成工業(株)製タフエースなど)を形成してもよく、もしくは、無電解銀、無電解スズめっきを形成してもよい。
このような厚銅回路基板の製造方法は、コア層や、IVH(Interstitial Via Hole)層など、導体を形成した後のあらゆる部位に適用できる。また、バックドリル、スキップビアなどを有する厚銅回路基板でも、有効に適用できる。
(他の実施形態)
図7は、本発明に係る厚銅回路基板の他の実施形態を示している。図7に示す厚銅回路基板100’は、絶縁性布材1と、この絶縁性布材1の少なくとも一方の面に形成された回路部2と、回路部2が形成された絶縁性布材1の両面に積層され含浸された絶縁樹脂層3とを備えた積層板10’を有し、この積層板10’の表面に導体層6を備える。また、積層板10’の表裏面を貫通し、導体層6を備えたビアホール7を有していてもよい。
この厚銅回路基板100’は、導電性金属箔を有していないので、上述した厚銅回路基板100よりも板厚を薄くすることが可能である。また、セミアディティブ法、フルアディティブ法などが適用可能となる。
なお、厚銅回路基板100’のうち、上述した厚銅回路基板100を構成するものと同じ作用を持つ部材は、同一符号を付して説明は省略する。
図7に示す厚銅回路基板100’では、回路部2と絶縁樹脂層3は、厚銅回路基板の上下面にそれぞれ1層積層されているが、1層に限定されない。例えば、回路部2および絶縁樹脂層3を積層・含浸させた絶縁性布材1を交互に積層させて多層のビルドアップ層としてもよい。この場合、積層した各絶縁樹脂層3にビアホール7が形成されて電気的に接続される。さらに、ビルドアップ厚銅回路基板に限らず、通常の多層厚銅回路基板、貼り合わせ多層厚銅回路基板、多重多層厚銅回路基板などに適用できることは、言うまでもない。
次に、本発明に係る厚銅回路基板の他の実施形態の製造方法を説明する。この製造方法は、下記の工程(i)〜(vi)を含む。
(i)絶縁性布材の両面に絶縁樹脂層を形成して積層板を得て、積層板の絶縁樹脂層にレーザ加工して回路部形成用の溝部を形成し、かつレーザ加工またはドリル加工にてビアホール下穴を形成する工程。
(ii)積層板の溝部に、導体材料として金属ワイヤを内蔵または圧入し固定し、この金属ワイヤの高さを積層板と同じ高さに加工する工程。
(iii)積層板の表面とビアホール下穴の内壁面にシード層を形成する(触媒付与、無電解銅めっき)工程。
(iv)シード層上にドライフィルムを貼付し、露光および現像して、回路部および導電回路、ビアホールを形成したい場所のドライフィルムを除去する工程。
(v)ドライフィルムを除去後、絶縁樹脂層表面に選択的にめっき処理をして回路部および導電回路、ビアホールを形成する工程。
(vi)絶縁樹脂層表面のドライフィルムを除去し、次いで、フラッシュエッチングにて、回路部および導電回路、ビアホール以外の絶縁樹脂層表面のシード層を除去する工程。
本発明に係る厚銅回路基板の製造方法における他の実施形態を、図8および図9に基づいて説明する。
まず、図8(a)に示すように、絶縁性布材1と絶縁樹脂層3とをプレス処理等して積層板10’を得て、これにレーザ加工を施し、回路部2のための溝部2aを形成する。このとき、積層板10’の絶縁樹脂層3と絶縁性布材1とを貫通するビアホール下穴7aを形成してもよい。
次いで、図8(b)に示すように、溝部2aに、回路部2を形成するための導体材料として金属ワイヤ5を内蔵する。金属ワイヤ5は、溝部2aの底面に、その高さが積層板10’の表面と同じか、または溝部2aから突き出るよう高く設置される。金属ワイヤ5は溝部2a内の大きさにできるだけ一致する大きさであるのがよく、後述するように、溝部2a内に圧入されて固定されてもよい。圧入された場合は、後述の熱硬化性樹脂50による固定工程は不要である。
次いで、図8(c)に示すように、溝部2aに熱硬化性樹脂50を充填し、金属ワイヤ5を溝部2a内に固定する。このとき、熱硬化性樹脂50は溝部2aからはみ出すまで充填してもよい。
次いで、図8(d)に示すように、溝部2aから突き出た金属ワイヤ5および熱硬化性樹脂50を切除あるいは研磨し、積層板10’の表面と同じ高さになるように加工する。
次いで、図8(e)に示すように、積層板10’の表面と、回路部形成用の溝部2aおよびビアホール下穴7aの内壁面に、触媒付与、無電解銅めっきを施し、電解めっきのシード層6bを形成する。
次いで、図9(f)に示すように、積層板10’の表面のシード層6bの上にドライフィルム8をラミネート加工で貼り付けた後、露光および現像して、回路部2、導電回路6aおよびビアホール7を形成したい場所のドライフィルム8を除去する。
このとき、ドライフィルム8の厚みで、積層板10’上の導体層6の厚み(銅めっき厚)を調整することができる。すなわち、厚いドライフィルム8が無い場合や、厚いドライフィルム8の露光および現像が困難な場合、通常の厚みのドライフィルム8の貼り付け(ラミネート加工)、露光、現像を複数回繰り返すことで、厚いドライフィルム8を適用した時と同様の効果がある。
次いで、図9(g)に示すように、回路部2および導電回路6a、ビアホール7を形成したい場所に選択的にめっき処理を施し、導体層6を形成する。このとき、ビアホール下穴7aは、導体層6(銅めっき)で充填される。
次いで、図9(h)に示すように、ドライフィルム8を剥離すると、導体層6を有する回路部2とビアホール7、導電回路6aが形成される。
最後に、図9(i)に示すように、ドライフィルム8を剥離した後、ドライフィルム8の下の電解めっきのシード層6bを、フラッシュエッチングなどで除去すると、厚銅回路基板100’が完成する。フラッシュエッチングは、例えば硫酸過水系のエッチング液を用いる。
図9(i)で得た厚銅回路基板100’に、任意回数のビルドアップを行ない、多層厚銅回路基板(厚銅回路基板)を作ることもできる。
ビルドアップを行なう際は、図10(j)に示すように、まず厚銅回路基板100’の上下面にそれぞれ、絶縁樹脂層31と絶縁性布材11とを積層する。これに、回路部21とビアホール71と導体層61とを設ければ、多層厚銅回路基板が作成される。
なお、それぞれの部材は上述した積層板10’を構成するものと同じ作用を持ち、且つ同じ工程により形成されるため説明は省略する。
このビルドアップの回路形成は、MSAP、セミアディティブ法、フルアディティブ法およびサブトラクティブ法から任意に選択することができる。例えば、サブトラクティブ法、MSAPによって、銅箔(導電性金属箔)を積層板10’の表面に用いて積層した場合は、積層後に銅箔を除去する工程を加えればよい。また、銅箔を用いないセミアディティブ法、フルアディティブ法の場合は、離型フィルムなどを使用し、積層時の絶縁樹脂層31の樹脂流れ防止を行なえばよい。
最後に、基板表面の所定の位置にソルダーレジスト12を形成し、その後、露光および現像してパッド部分を開口させて加熱硬化させ、外形加工を施して、図10(k)に示す厚銅回路基板200’が得られる。
(さらに他の実施形態)
図11は、本発明に係る厚銅回路基板のさらに他の実施形態である厚銅回路基板101を示している。なお、厚銅回路基板101のうち、上述した厚銅回路基板100および厚銅回路基板100'を構成するものと同じ作用を持つ部材は、同一符号を付して説明は省略する。
厚銅回路基板101の回路部2は、絶縁樹脂層3に設けた回路部形成用の溝部2aに、導体材料として金属ワイヤ51を圧入して固定したものである。この金属ワイヤ51は、溝部2aに圧入されて固定されるので、厚銅回路基板100、100'などで溝部2aに内蔵固定された金属ワイヤ5のように、固定のために熱硬化性樹脂50で溝部2aを充填する必要がない(図2(c)、図8(c))。このように溝部2aに圧入される金属ワイヤ51を導体材料に用いることにより、レーザ光で寸止め加工して形成した溝部2aからのめっきの染み出しおよびめっきの充填不良を防ぐことができる。
溝部2aに金属ワイヤ51を圧入した後は、他の実施形態と同様に、積層板10’から突出した部分の金属ワイヤ51を、積層板10’の表面と同じ高さに加工すればよい。
また、金属ワイヤ51は、金属ワイヤ5と併用して用いることも可能であり、例えば多層厚銅回路基板において使用してもよい。
以上述べたように、本発明の厚銅回路基板は、金属ワイヤを含む導体材料で回路部を形成することにより、レーザ光で寸止め加工して形成した絶縁性布材1を底にした溝部2aからのめっきの染み出しおよびめっきの充填不良を防ぐことができる。さらに、任意回数のビルドアップを繰り返すことで、回路部の直上に回路を形成して、板厚の薄い厚銅回路基板に微細かつ大電流及び放熱に対応した回路を形成できる。
また、本発明の厚銅回路基板の製造方法によると任意の部分に厚銅回路を得る事ができる。一般的なサブトラクティブ法で厚銅回路を形成可能であるので製造コストも低い。さらに、MSAP法、セミアディティブ法、フルアディティブ法も適用可能なので、厚銅回路同一層に回路幅35μm以下、回路間隙35μm以下も形成可能となる。
1 絶縁性布材
2 回路部
2a 溝部
3 絶縁樹脂層
4 導電性金属箔
5、5'、51 金属ワイヤ
6 導体層
6a 導電回路
6b シード層
7 ビアホール
7a ビアホール下穴
8 ドライフィルム
9 開口部
10、10’ 積層板
11 絶縁性布材
12 ソルダーレジスト
21 回路部
31 絶縁樹脂層
41 導電性金属箔
50、50' 熱硬化性樹脂
61 導体層
71 ビアホール
100、100'、101 厚銅回路基板
200、200’ 厚銅回路基板

Claims (14)

  1. 絶縁性布材と、絶縁性布材の少なくとも一方の面に形成された絶縁樹脂層と、前記絶縁樹脂層に形成された溝部内に充填された導体材料から構成された回路部とを備えた積層板と、この積層板の表面に導体層とを備え、前記導体材料が金属ワイヤを含むことを特徴とする厚銅回路基板。
  2. 絶縁性布材と、絶縁性布材の少なくとも一方の面に形成された絶縁樹脂層と、前記絶縁樹脂層に形成された溝部内に充填された導体材料から構成された回路部と、前記絶縁樹脂層上に貼付された導電性金属箔とを備えた積層板と、この積層板の表面に、導電性金属箔と共に表層を形成した導体層とを備え、前記導体材料が金属ワイヤを含むことを特徴とする厚銅回路基板。
  3. 前記積層板の絶縁樹脂層に、回路部と電気的に接続されるビアホールが設けられた請求項1または2に記載の厚銅回路基板。
  4. 前記導体層が回路部の直上に設けられた請求項1〜3のいずれかに記載の厚銅回路基板。
  5. 前記絶縁性布材がガラスクロスである請求項1〜4のいずれかに記載の厚銅回路基板。
  6. 前記回路部を構成する導体材料の金属ワイヤが銅線である請求項1〜5のいずれかに記載の厚銅回路基板。
  7. 前記回路部を構成する導体材料が銅線および銅めっきである請求項1〜6のいずれかに記載の厚銅回路基板。
  8. 前記導電性金属箔が銅箔である請求項2〜7のいずれかに記載の厚銅回路基板。
  9. 絶縁性布材の両面に絶縁樹脂層を形成し絶縁樹脂層上に導電性金属箔を形成した積層板を得る工程と、
    前記積層板の絶縁樹脂層をレーザ加工して溝部を形成した後、レーザ加工した溝部に金属ワイヤを圧入または配設し、熱硬化性樹脂で金属ワイヤを固定して回路部を形成する工程と、
    導電性金属箔に、めっき処理をした後、エッチングにて導電回路を形成する工程と、を含むことを特徴とする厚銅回路基板の製造方法。
  10. 絶縁性布材の両面に絶縁樹脂層を形成した積層板を得る工程と、
    前記積層板の絶縁樹脂層をレーザ加工して溝部を形成した後、レーザ加工した溝部に金属ワイヤを圧入または配設し、熱硬化性樹脂で金属ワイヤを固定して回路部を形成する工程と、
    前記絶縁樹脂層表面に選択的にめっき処理をして導電回路を形成する工程と、を含むことを特徴とする厚銅回路基板の製造方法。
  11. 前記導電回路が、サブトラクティブ法、MSAP、セミアディティブ法、またはフルアディティブ法のいずれかの工法で形成される請求項9または10に記載の厚銅回路基板の製造方法。
  12. 前記レーザ加工が、絶縁性布材に接触するまで続けられる請求項9〜11のいずれかに記載の厚銅回路基板の製造方法。
  13. 前記絶縁樹脂層にビアホールを形成するための穴を形成する工程を含む請求項9〜12のいずれかに記載の厚銅回路基板の製造方法。
  14. 前記回路部の金属ワイヤを熱硬化性樹脂で固定しない請求項9〜13のいずれかに記載の厚銅回路基板の製造方法。
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