JP2017133071A - 絶縁処理された軟磁性材料、軟磁性材料を含む圧粉磁心 - Google Patents

絶縁処理された軟磁性材料、軟磁性材料を含む圧粉磁心 Download PDF

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Abstract

【課題】微細な磁性材料の高充填化を可能とするために絶縁処理剤量を低減した絶縁層を有する軟磁性材料、及び前記処理により絶縁処理された軟磁性粉末を用いた圧粉磁心を提供すること。【解決手段】前記課題は、平均粒子径0.1〜20μmのFe含有粒子の表面に絶縁層を有する軟磁性粉末であって、該絶縁層が、亜リン酸エステルおよびチオエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種の酸化防止剤を含有することを特徴とする軟磁性粉末によって解決される。【選択図】なし

Description

本発明は、微細な磁性材料の高充填化を可能とするために絶縁処理剤量を低減した絶縁層を有する軟磁性材料、及び前記処理により絶縁処理された軟磁性粉末を用いた圧粉磁心に関する。
近年、通信機器及び電子制御機器の小型化、高出力化に伴って、これらに用いられる電源ラインに対応するパワーインダクタにも小型化、かつ、高電流化に対応することが求められる。このようなパワーインダクタには、直流電流下でのインダクタス低下が小さいことが必要であり、これらの性能を満たす材料として高飽和磁化を有する材料として、FeSi系のフェライト、カルボニル法などで製造される鉄粉が圧粉磁心として広く用いられていられる。
一方で電源回路を高周波に駆動することによりインダクタ等の小型化が可能であることから、高周波にてヒステリシス損失、渦電流損失を低減する必要があった。ヒステリシス損失の低減には、保磁力の小さな材料を用いることが有効である。一方で渦電流損失を低減するためには、鉄粉の粒子間、および粒子内での渦電流損失を低減する必要があり、その為には、鉄粉の粒子間の絶縁性を向上させ、鉄粉の粒子を微細化することが有効である。特に高周波対応をするためには、渦電流損失が駆動周波数に応じて劇的に増加するため、渦電流損失の低減が重要である。
軟磁性材料の絶縁処理方法としては、以下の方法が知られている。
特許文献1、特許文献2には、シランカップリング剤にて絶縁層を設ける方法が記載されている。特許文献2には、金属アルコキシドの加水分解を用いて絶縁層を設ける方法が記載されている。また、特許文献3には、リン酸に絶縁層を設ける方法が記載されている。これらの方法は、粒子径が30μm以上の鉄系軟磁性粒子には有効であるが、高周波対応に有効である20μm以下の粒子径では、絶縁処理に必要な材料を多く用いる必要があり、かつ、処理後の分散性が悪化するため、圧粉磁心の成型密度が低下する問題が発生する。
特開昭62−247004号公報 特開2007−129154号公報 特開平9−512388号公報
微細な磁性材料の高充填化を可能とするために絶縁処理剤量を低減した絶縁層を有する軟磁性材料、及び前記処理により絶縁処理された軟磁性粉末を用いた圧粉磁心を提供することを目的とする。
本発明は平均粒子径0.1〜20μmのFe含有粒子の表面に絶縁層を有する軟磁性粉末であって、該絶縁層が、亜リン酸エステルおよびチオエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種の酸化防止剤を含有することを特徴とする軟磁性粉末に関する。
さらに上記の酸化防止剤の分子量が、600以下である前記軟磁性粉末に関する。
さらに絶縁層が、Fe含有粒子100質量部に対して、絶縁層形成樹脂0.1〜1質量部、酸化防止剤0.05〜0.5質量部を含有してなる前記軟磁性粉末に関する。
さらに絶縁層が、Fe含有粒子100質量部に対して、さらに分散剤0.05〜0.5質量部を含有し、分散剤が、リン酸エステルを含む前記軟磁性粉末に関する。
さらに上記記載の軟磁性粉末を含有することを特徴とする分散体に関する。
さらに上記記載の軟磁性粉末を含有することを特徴とする圧粉磁心に関する。
本発明を用いることで微細な磁性材料の高充填化を可能とするために絶縁処理剤量を低減した絶縁層を有する軟磁性材料、及び前記処理により絶縁処理された軟磁性粉末を用いた圧粉磁心を得ることができる。
<Fe含有粒子>
本発明におけるFe含有粒子としては、アトマイズ鉄粉、還元鉄粉、カルボニル鉄粉等の鉄粉、Fe−Si合金、Fe−Si−Al合金、Fe−Ni合金等の軟磁性粉末を用いることができ、場合によっては2種以上を混合し使用することができる。得られる圧粉磁心の透磁率、磁束密度等の磁気特性を考慮すると鉄粉を用いることがより好ましい。
本発明におけるFe含有粒子の平均粒子径としては、0.1〜20μmである。Fe含有粒子は、0.1μm以上であれば、絶縁層の厚さを薄膜で維持できるため、結果として圧粉磁心としての成型密度が増加し、磁気特性が向上する。さらに、20μm以下であれば、微細に分散することによりFe含有粒子の渦電流損失を抑制することができる。平均粒子径としては、好ましくは1.0〜15μmである。
また、高周波に対応するための渦電流損失は、軟磁性粉末の分散性にも依存する。軟磁性粉末の平均粒子径付近まで微細に分散することにより、渦電流損失を低減することが可能であるため、絶縁層を設ける際にも分散性を考慮した設計をすることが好ましい。
なお、本発明における平均粒子径とは、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することによって得られる値の平均値のことを指す。詳細には、軟磁性粉末を20000倍で観察し、任意の100個の粒子を選択し、粒子径を平均することから算出される。なお、粒子形状が長軸、短軸を有する場合には、長軸と短軸の長さの平均を粒子径とした。
<酸化防止剤>
本発明における絶縁層を形成し得る酸化防止剤としては、亜リン酸エステルおよびチオエーテルから選ばれる材料を少なくとも1種、場合によっては2種以上を混合し使用することができる。亜リン酸エステルおよび/またはチオエーテルを絶縁層の材料として用いることにより、軟磁性粉末の絶縁性を向上させうると共に軟磁性粉末の二次凝集を防止することができ、分散性の向上が可能であり、圧粉磁心の成型密度の向上が可能である。亜リン酸エステルおよびチオエーテルの分子量は、600以下であることが絶縁性の向上の点から好ましい。効果の要因に関しては、詳細を把握できていないが、分子量が600以下であることにより、分子量が600以上の場合と比較して同質量時の絶縁層形成に用いる分子数が増加し、効率的に絶縁層形成を促進すると推測している。
酸化防止剤の添加量としては、Fe含有粒子100質量部に対して0.05〜0.5質量部添加することが好ましい。0.05質量部以上を添加することにより、絶縁性だけでなく、処理後の軟磁性粉末の分散性も向上させることができ、結果、圧粉磁心の成型密度を増加させ、磁束密度を向上させることができる。一方で0.5質量部以下では、絶縁層を薄膜のまま維持できるため、圧粉磁心の成型密度が低下せず、磁束密度も高い値を維持できる。
<絶縁層形成用樹脂>
絶縁層形成用樹脂は、一般的に用いられる樹脂であれば、特に限定されず、1種もしくは、2種を混合して使用してもよい。例えばエポキシ樹脂、イミド樹脂、フェノール樹脂、又は、シリコーン樹脂が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、必要に応じて公知の硬化剤や架橋剤を含有してもよい。
絶縁層形成用樹脂は、一般的に成形時の絶縁層の剥離を防止するための絶縁層の強度の向上を目的として添加する。本発明では、前記酸化防止剤と絶縁層形成用樹脂を混合して使用することにより、絶縁性を劇的に向上可能であることから、混合して用いることがより好ましい。
前記樹脂の添加量としては、Fe含有粒子100質量部に対して0.1〜1質量部添加することが好ましい。0.1質量部以上では、絶縁層を強固に形成することができ、絶縁層が剥離し難くなる。一方で1質量部以下であれば、圧粉磁心の成型密度が低下せず、磁束密度も高い値を維持できる。
<分散剤>
Fe含有粒子に対して、処理後の軟磁性粉末の二次凝集を抑制するために、分散剤を添加することも可能である。軟磁性粉末の分散に一般的に用いられる材料であれば、特に限定されず、1種もしくは、2種を混合して使用してもよい。例えば、分散剤としては、界面活性剤、樹脂型分散剤、カップリング剤が挙げられる。その中でも本発明における軟磁性粉末においてはリン酸エステルを含む分散剤が好ましい。
前記分散剤の添加量としては、Fe含有粒子100質量部に対して0.05〜0.5質量部添加することが好ましい。0.05質量部以上では、絶縁層形成後の軟磁性粉末の凝集を抑制し、微細に分散することができるため、圧粉磁心の成型密度が増加し、磁束密度が向上する。一方で、0.5質量部以下では、絶縁層の薄膜化が維持できるため、圧粉磁心の成型密度が維持でき、磁束密度が高い値を維持できる。
<分散媒>
本軟磁性粉末に関しては、絶縁層を形成する際に二次凝集を抑えることが出来ているため、分散媒を介して軟磁性粉末の分散体として用いることも可能である。分散媒としては、軟磁性粉末を分散可能であれば、1種もしくは、2種を混合して使用してもよいが、温度25℃の条件下において液状の材料を指す。例えば、溶剤、液状のモノマー、および、液状の樹脂が挙げられる。
<分散方法>
本軟磁性粉末を分散媒に分散する方法として、一般的に用いられる分散機を用いることで、より微細に分散することが可能である。分散機としては、ディスパー、ホモミキサー、プラネタリーミキサー、エム・テクニック社製「クレアミックス」、PRIMIX社「フィルミックス」、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製の「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS−5」、奈良機械製作所社製「マイクロス」、ロールミル等の分散機が挙げられる。分散機は、一種類のみを使用しても良いし、複数種を併用してもよい。
上記の分散機は一例であり、特に限定されることはなく、当技術分野で一般的に用いられるものであれば使用してよい。また、分散機は、一種類のみを使用しても良いし、複数種を併用してもよい。Fe含有粒子、特に純鉄粉は、ボールミルのようなメディアを用いた分散機を使用すると扁平状に変形しやすいため、メディアレスの分散機を用いることが好ましい。
<添加物>
本発明における分散体としての適性を向上させるために、塗料に種々の添加剤を配合してもよい。添加剤としては、乾燥防止剤、キレート剤、レオロジーコントロール剤等が挙げられる。
<絶縁層の形成方法>
絶縁層の形成方法に関しては、絶縁層を形成可能であれば特に限定されないが、原料となる軟磁性粉末は二次凝集を解砕するような機械エネルギーを加えながら、絶縁層を形成することが好ましい。機械エネルギーを加える手段として、前記分散方法に記載した分散機を使用することができる。
また、Fe含有粒子、特に純鉄粉は、ボールミルのようなメディアを用いた分散機を使用すると扁平状に変形しやすいため、メディアレスの分散機を用いることが好ましい。
<圧粉磁心の製造方法>
本発明における圧粉磁心は、一般的に用いられる公知の方法にて製造できる。具体的には軟磁性材料を加圧成型した後に、熱処理することにより得ることができる。
加圧成型工程では、プレス機械の成型金型内に本発明おける絶縁層を有する軟磁性粉末を充填し、その後、加圧して圧縮成型することにより、成型体を得る。この圧縮成型における条件は特に限定されず、表面処理粉の性状、圧粉磁心の形状、寸法、密度に応じて設定してよい。例えば、一般的には、成型圧力は、400〜1200MPaであり、この圧力にて1分程度保持することで成型する。
熱処理工程では、上述のようにして得られた成型体を、150〜300℃の温度にて15〜120分程度保持することにより、圧粉磁心を得ることができる。
なお、必要に応じて、熱処理工程後に公知の手法に従って、防錆処理工程を設けてもよい。
本発明の絶縁層を有する軟磁性粉末、圧粉磁心、および、磁気デバイスは、低周波から高周波までの幅広い周波数帯に対応可能であり、磁気デバイスの小型化に貢献可能であるため、インダクタ、リアクタ、モーター、アンテナ等の磁気デバイス、および、それらを用いる各種機器に広く利用可能である。
以下に、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中、「部」とは質量部を意味する。
<Fe含有粒子>
粒子A:平均粒子径0.2μm、粒子はFeが96.5部、Siが3.5部から構成される
粒子B:平均粒子径1μm、粒子は純鉄(カルボニル鉄粉)
粒子C:平均粒子径6μm、粒子は純鉄(カルボニル鉄粉)
粒子D:平均粒子径15μm、粒子はFeが96.5部、Siが3.5部から構成される
粒子E:平均粒子径20μm、粒子はFeが96.5部、Siが3.5部から構成される
粒子F:平均粒子径0.05μm、粒子はFeが96.5部、Siが3.5部から構成される
粒子G:平均粒子径45.0μm、粒子はFeが96.5部、Siが3.5部から構成される
<平均粒子径の測定方法>
平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した粒子径の算術平均値である。詳細には、Fe含有粒子の粉末を倍率20000倍、ならびに100000倍で観察し、任意の100個の粒子を選択し、各々の粒子径を平均して求めた値である。粒子形状が長軸、短軸を有する場合には、長軸と短軸の長さの平均値を、その粒子の粒子径として用いた。
<酸化防止剤>
酸化防止剤A:JP−310(城北化学工業社製、亜リン酸エステル系、分子量:502)
酸化防止剤B:JP−302(城北化学工業社製、亜リン酸エステル系、分子量:166)
酸化防止剤C:JP−312L(城北化学工業社製、亜リン酸エステル系、分子量:586)
酸化防止剤D:JPE−13R(城北化学工業社製、亜リン酸エステル系、分子量:592)
酸化防止剤E:アデカスタブHP−10(ADEKA社製、亜リン酸エステル系、分子量:583)
酸化防止剤F:SUMILIZER WX−R(住友化学社製、チオエーテル系、分子量:359)
酸化防止剤G:アデカスタブAO−503(ADEKA社製、チオエーテル系、分子量:543)
酸化防止剤H:JP―318−O(城北化学工業社製、亜リン酸エステル系、分子量:832)
酸化防止剤I:アデカスタブ1500(ADEKA社製、亜リン酸エステル系、分子量:1112)
酸化防止剤J:アデカスタブAO−412S(ADEKA社製、チオエーテル系、分子量:1162)
酸化防止剤K:アデカスタブAO−30(ADEKA社製、フェノール系、分子量:545)
酸化防止剤L:アデカスタブAO−20(ADEKA社製、フェノール系、分子量:784)
<分散剤>
分散剤A:BYK−111(BYK Chemie社製、酸性分散剤、リン酸エステル含有分散剤)
分散剤B:BYK−145(BYK Chemie社製、酸性中和型分散剤、リン酸エステル含有分散剤)
分散剤C:フローレンG700(共栄社製、酸性有分散剤、リン酸エステル非含有)
分散剤D:アジスパーPB−821(味の素ファインテクノ社製、塩基性分散剤、リン酸エステル非含有)
<絶縁層形成用樹脂>
樹脂A:JER152(三菱化学社製、フェノールノボラック型エポキシ)
<硬化剤>
硬化剤A:JERキュアLV11(三菱化学社製、アミン系硬化剤)
<分散媒>
ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
<実施例1〜5>
表1に記載の組成に従って、窒素雰囲気下でプラネタリーミキサーを用いて、Fe含有粒子を分散しながら、撹拌混合した後に、50℃にて減圧乾燥し、メチルエチルケトンを取り除くことにより、絶縁層を有する軟磁性粉末を得た。尚、表1中の数値は部を表し、空欄は配合していないことを表す。
<実施例6〜15>
表2に記載の組成に従って、窒素雰囲気下でプラネタリーミキサーを用いて、Fe含有粒子を分散しながら、撹拌混合した後に、50℃にて減圧乾燥し、メチルエチルケトンを取り除くことにより、絶縁層を有する軟磁性粉末を得た。尚、表2中の数値は部を表し、空欄は配合していないことを表す。
<実施例16〜26>
表3に記載の組成に従って、窒素雰囲気下でプラネタリーミキサーを用いて、Fe含有粒子を分散しながら、撹拌混合した後に、50℃にて減圧乾燥し、メチルエチルケトンを取り除くことにより、絶縁層を有する軟磁性粉末を得た。尚、表3中の数値は部を表し、空欄は配合していないことを表す。
<比較例1〜5>
表4に記載の組成に従って、窒素雰囲気下でプラネタリーミキサーを用いて、Fe含有粒子を分散しながら、撹拌混合した後に、50℃にて減圧乾燥し、メチルエチルケトンを取り除くことにより、絶縁層を有する軟磁性粉末を得た。尚、表4中の数値は部を表し、空欄は配合していないことを表す。
<比較例6>
粒子B100部に対して、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製、KBM−903)0.5部、樹脂A 1部、精製水0.1部、メチルエチルケトン10部を窒素雰囲気下でプラネタリーミキサーを用いてFe含有粒子を分散しながら、撹拌混合した後に、80℃にて減圧乾燥し、メチルエチルケトンならびに水を取り除くことにより、絶縁層を有する軟磁性粉末を得た。
<比較例7>
粒子B100部に対して、リン酸0.5部、精製水100部を窒素雰囲気下でディスパーを用いて撹拌混合した後に180℃にて1時間乾燥させ、リン酸を絶縁層として有する粒子Bを得た。続いて、この処理された粒子B100.5部に対して、樹脂A 1部、メチルエチルケトン10部を窒素雰囲気下でプラネタリーミキサーを用いてFe含有粒子を分散しながら、撹拌混合した後に、80℃にて減圧乾燥し、メチルエチルケトンならびに水を取り除くことにより、絶縁層を有する軟磁性粉末を得た。
上記の方法にて得た軟磁性粉末を下記に示す<分散性>、<絶縁性>に従って評価した。実施例1〜26、比較例1〜7の評価結果を表5に示す。
<分散性>
実施例、比較例に示した軟磁性粉末100部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート20部に添加し、撹拌混合して分散体とした後にJIS K5101に従って粒状痕(密集)を測定した。下記の基準に基づいて評価を行った。
◎:材料として使用した軟磁性粉末の平均粒子径に2.5μmを加算した値のゲージ目盛以下から密集が観察される。(極めて優れている)
○:材料として使用した軟磁性粉末の平均粒子径に5.0μmを加算した値のゲージ目盛以下から密集が観察される。(優れている)
△:材料として使用した軟磁性粉末の平均粒子径に7.5μmを加算した値のゲージ目盛以下から密集が観察される。(実用上問題ない)
×:材料として使用した軟磁性粉末の平均粒子径に12.5μmを加算した値のゲージ目盛以上から密集が観察される。(分散不良)
<絶縁性>
実施例、比較例に示した軟磁性粉末100部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート20部に添加し、撹拌混合した。得られた分散体を100μm厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに乾燥後の膜厚が80μmとなるように塗工し、窒素雰囲気下にて140℃で30分間加熱し、塗膜を得た。得られた塗膜の表面抵抗値を抵抗測定器(三菱化学アナリテック社製、ハイレスターUX MCP−HT800)で測定した。下記の基準に基づいて評価を行った。
◎:1014Ω/□以上の表面抵抗(きわめて優れている)
○:1011Ω/□以上1014未満の表面抵抗値(優れている)
△:109Ω/□以上1011未満の表面抵抗値(実用上問題ない)
×:109Ω/□未満の表面抵抗値 (不良)
<実施例27>
<圧粉磁心の製造及び評価>
実施例1で得られた軟磁性粉末100部に対して、硬化剤Aを0.05部添加し、プラネタリーミキサーを用いて均一に撹拌混合した。この混合粉末を成型圧力600MPaの条件 で成型し、外形11.0mm、内径6.5mm、高さ約3.0mmのリング形状の成型体を作製した。このようにして得られた成型体を、180℃で1時間の熱処理を行うことで圧粉磁芯を作製した。
<実施例28〜31、比較例8〜12>
実施例3、5、6、22および比較例1、4、5、6、7の軟磁性粉末を使用する以外は実施例27に示した圧粉磁心と同様の製造方法にて圧粉磁心をそれぞれ作製した。
上記方法にて得た圧粉磁心を下記に示す<成型密度>、<コアロスの周波数依存性>に従って評価した。実施例27〜31、比較例8〜12の結果を表6に示す。
<成型密度>
実施例、比較例に示す圧粉磁心の寸法と重量とを測定して圧粉磁心の成型密度(g/cm3)を算出した。成型密度が、7.5g/cm3を超えるものは高充填化された圧粉磁心の成型密度として十分な値である。
<コアロスの周波数依存性>
実施例、比較例に示す圧粉磁心をB−Hアナライザ(SY−8218、岩通社製)を用いて、印加磁界Bm=10mTにて、周波数f=1MHz、およびf=3MHzにて圧粉磁心のコアロス(Pcv(W/m3))を測定した。3MHzのコアロスを1MHzのコアロスで除して得られた値を以下の基準に従って評価した。コアロスはヒステリシス損失、渦電流損失および残留損失からなり、コアロスの周波数依存性が小さいほど、高周波における渦電流損失等が低減されることを意味しており、高周波用途に適している。
○:4.0以下の場合(優れている)
×:4.0を上回る場合(不良)
実施例1〜26に示すように亜リン酸エステルまたはチオエーテルにて処理した軟磁性粉末は、分散性、絶縁性共に良好な結果であった。さらに、実施例13〜15と比較すると分子量600以下の亜リン酸エステルまたはチオエーテルにて処理すると絶縁性の点でより好ましい結果であった。また、実施例21〜24に示すようにリン酸エステル骨格を有する分散剤を併用することにより、分散性の点でさらに好ましい。本発明の軟磁性粉末を用いて製造した圧粉磁心は実施例27〜31に示すように、成型密度、コアロスの周波数依存性共に良好であった。

Claims (6)

  1. 平均粒子径0.1〜20μmのFe含有粒子の表面に絶縁層を有する軟磁性粉末であって、該絶縁層が、亜リン酸エステルおよびチオエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種の酸化防止剤を含有することを特徴とする軟磁性粉末。
  2. 酸化防止剤の分子量が、600以下である請求項1記載の軟磁性粉末。
  3. 絶縁層が、Fe含有粒子100質量部に対して、絶縁層形成用樹脂0.1〜1質量部、酸化防止剤0.05〜0.5質量部を含有してなる請求項1または2記載の軟磁性粉末。
  4. 絶縁層が、Fe含有粒子100質量部に対して、さらに分散剤0.05〜0.5質量部を含有し、分散剤が、リン酸エステルを含む請求項1〜3いずれか記載の軟磁性粉末。
  5. 請求項1〜4いずれか記載の軟磁性粉末を含有することを特徴とする分散体。
  6. 請求項1〜4いずれか記載の軟磁性粉末を含有することを特徴とする圧粉磁心。
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