JP2010118521A - 射出成形を利用した軟磁性材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】軟磁性の部材に求められる最適な形状の軟磁性材を製造する方法を提供する。
【解決手段】軟磁性材の製造方法は、純鉄粉および/または鉄系合金粉を絶縁材でコーティングする段階と、前記段階で得られた絶縁された粉末に対して20〜60vol%のバインダーを混合・混錬またはコーティングする段階と、前記段階で得られた混練体またはバインダーがコーティングされた粉末を射出成形する段階と、前記段階で得られた射出成形体のバインダーを分解し軟磁性の部材を得る段階とを含む。
【選択図】図1A
【解決手段】軟磁性材の製造方法は、純鉄粉および/または鉄系合金粉を絶縁材でコーティングする段階と、前記段階で得られた絶縁された粉末に対して20〜60vol%のバインダーを混合・混錬またはコーティングする段階と、前記段階で得られた混練体またはバインダーがコーティングされた粉末を射出成形する段階と、前記段階で得られた射出成形体のバインダーを分解し軟磁性の部材を得る段階とを含む。
【選択図】図1A
Description
本発明は、軟磁性材、特にモーターやインバーターのコアなどの3次元形状の軟磁性材を製造する方法及びその製法により得られた部材に関するものである。
現在、広い意味で粉末冶金の中の一つの技術としてMIM(Metal Injection Molding=金属粉射出成形)法が広がりつつある。これは10μm程度の鉄系統の粉末をバインダーと混煉し、その後プラスチックの射出成形と同様な射出成形機を用いて射出成形し、脱バインダーを行った上で、焼結するというものである。この工法だと、本当の意味で制限の無い3次元形状部品が得られる(細かい粉末を用いて、長時間の焼結になるので、密度も高いものが得られる)。
しかしながら、上記MIM(金属粉射出成形)法では、焼結してしまうので鉄の塊となり、モーターのコアに用いると渦電流損失が相当大きく軟磁性材としての特性は低いという問題点がある。そのため、モーターのコア等の軟磁性材の製造技術としては不適であり利用されていないのが現状である。
そのため現在モーターのコアは高Si鋼に絶縁材を塗布し、重ねていくもの(積層絶縁鋼板)が殆んどであるが、最近になって鉄粉の周りを燐酸塩等でコーティング、絶縁し、若干の潤滑剤を混入させるか、型に塗布し、プレスで圧縮成形し、コアに用いる圧粉成形コアが紹介されて来ている(例えば、特許文献1参照)。
圧粉成形コアの特徴としては積層絶縁鋼板に比べて形状の自由度が高く、それでいながら、かかる工数が少ないという特徴がある。ここでいう形状の自由度とは、この材料で出来たコアに対してエナメル線等を巻いて電気磁石化する場合に、電線を止めるための出っ張りやストッパーのぎりぎりまで巻けるような形状が成形可能であり、電気磁石の性能向上に役立つことができるわけである。
特開2007−129154号公報
しかしながら、特許文献1に記載の従来の圧粉成形コアでは、1軸方向のプレスで成形するため、アンダーカット形状は成形が困難であった。また、プレス方向に対して、直角に作動するような機構を持たせれば、アンダーカット形状は成形できるが、必ずしもコアの最適形状にならないという問題点があった。
そこで本発明の目的は、軟磁性材としての特性を損なうことなく、軟磁性の部材に求められる最適な形状の軟磁性材を製造する方法を提供するものである。
上記目的を達成する為の本発明は、上記特許文献などの技術発展の上に構築されたものである。
即ち、本発明は、軟磁性材である純鉄あるいは鉄−Si系の微粉を燐酸塩等の絶縁材でコーティングし、バインダーと混錬し射出成形し、その後にバインダーを分解し、最適な形状の軟磁性の部材を製造する方法により達成されるものである。
本発明によれば、軟磁性材としての特性(=保磁力が小さく、透磁率が大きく鉄損が小さいという特性)を損なうことなく、アンダーカット形状のような軟磁性の部材に求められる最適な三次元形状の成形を可能とする。そのため、複雑な三次元形状を持つ軟磁性の部材であるモーター等の設計の自由度が向上する。
[三次元形状の軟磁性材の製造方法]
本発明に係る三次元形状の軟磁性材の製造方法としては、下記(a)〜(d)段階を含むことを特徴とするものである。以下、本発明の製造方法の好適な実施形態につき、(a)〜(d)の各段階ごとに、詳しく説明する。
本発明に係る三次元形状の軟磁性材の製造方法としては、下記(a)〜(d)段階を含むことを特徴とするものである。以下、本発明の製造方法の好適な実施形態につき、(a)〜(d)の各段階ごとに、詳しく説明する。
<(a)段階について>
(a)段階は、純鉄粉および/または鉄系合金粉を絶縁材でコーティング(被覆)する段階である。
(a)段階は、純鉄粉および/または鉄系合金粉を絶縁材でコーティング(被覆)する段階である。
ここで、原料の軟磁性の粉末としては、純鉄粉および/または鉄系合金粉が利用できる。このうち、純鉄粉としては、カルボニル鉄粉、アトマイズ鉄粉、還元鉄粉などが利用できる。還元鉄粉は球状でないので、射出成形しにくいため、球状で射出成形性に優れ、更に絶縁材やバインダーの均一な厚さにコーティング(被膜)し易いカルボニル鉄粉、アトマイズ鉄粉などが好適に利用できる。また、鉄系合金粉も純鉄粉と同様に高磁束密度が得られるものである。鉄系合金粉としては、鉄−珪素系合金粉、鉄−アルミニウム系合金粉末、センダスト合金粉、パーマロイ系合金粉、パーメンジュール合金粉、鉄基アモルファス合金粉などが利用できる。ここで、センダスト合金粉は、Fe−Al−Si合金粉をいい、飽和磁束密度・透磁率が高く、鉄損が小さく、耐摩耗性に優れている。パーマロイ合金粉は、Fe−Ni合金粉をいい、初透磁率が大きい合金である。該パーマロイ合金粉には、例えば、Ni、Feの他にMoを加えたスーパーマロイ(supermalloy)やCu、Crを加えたミューメタルなどの合金も含まれる。パーメンジュール合金粉は、鉄とコバルトを1対1の割合で混ぜた合金をいい、実用化された軟磁性材料の中で最大の飽和磁束密度を持つことから電磁石の鉄芯等に好適に用いられている。本発明では、広くFe−Co系合金を含むものとする。鉄系合金粉として好ましくは、鉄−珪素系合金粉末である。鉄−珪素系合金粉末を用いることで、モーターやインバーターのコアとして、渦電流損失を少なくできる為である。特に、本発明の製法では、4wt%を超える高いシリコン量の鉄−珪素系合金粉末を利用できる点で優れる。これは、珪素が多ければ多いほど鉄損が低下する。ここで、鉄損とは、軟磁性材コアにコイルを巻き電流を流した場合(交流で磁化した時)熱エネルギーとしてロスするもの(失われる電気エネルギー)であり、電動機や発電機、変圧器等の電気機械の効率を低下させる。鉄損はヒステリシス損と渦電流損の合計で表される。ところが、電磁鋼板(珪素鋼板)では珪素(シリコン;Si)量4wt%が限界でこれ以上多いと圧延時に割れてしまうため、通常は3wt%程度である。通常の圧粉コア(粉末をプレス成形し、キュアリングするコア)でもシリコン量が4wt%を超えると粉末圧縮が困難になり、コアとして成り立たない。一方、本発明の射出成形を利用する製法では、4wt%を超える高いシリコン量(最大6wt%程度)の鉄−珪素系合金粉末を利用でき、鉄損を低減し優れた軟磁性特性を発現できるためである。また、本発明の射出成形を利用する製法では、既存の圧粉法では難しいセンダスト合金粉、パーマロイ合金粉、鉄基アモルファス合金粉などの硬く、脆い粉末でも成形できる点で優れている。
上記原料の純鉄粉および/または鉄系合金粉の粒径については、特に制限されるものではない。通常、粒径粒径分布でいうと0.5〜100μmの範囲(平均粒径2〜20μmの範囲)のものを利用するのが望ましい。これは、カルボニル鉄粉(ペンタカルボニル鉄を200〜250℃に加熱分解して得られる鉄粉)の場合だと、平均粒径が2〜5μm(粒径分布でいうと0.5μm〜15μm)になる。またアトマイズ鉄粉(溶けた鉄をジェット水または窒素冷却ガスで粉砕し、冷却し鉄粉にする)の場合だと、平均粒径が10〜20μm(分布だと5μm〜100μm)になるためである。即ち、これらの粒径範囲は、軟磁性特性に優れたこれらの鉄粉や合金粉を生産性よく製造できる範囲といえる。本発明では、これらを混合して使う場合もある。また、実施例に示すようにこれら鉄粉や合金粉ごとに異なる絶縁材(最適な絶縁材)をコーティングした粉末を2種以上混合して用いてもよい。ただし、本発明では、粒径によって軟磁性特性が変わるわけではないので、粒径0.5〜100μmの範囲(平均粒径2〜20μmの範囲)を外れる場合であっても、射出成形を利用して成形体を得ることができる場合には、本発明の技術範囲に含まれるものとする。例えば、高圧で射出することにより、粒径が100μmを超えるのものであっても、所望の形状に成形することができる。一方、上記鉄基アモルファス合金粉以外では、純鉄粉および/または鉄系合金粉の(結晶)粒径がナノ化、具体的には10nm未満であるものであっても好適に利用可能である。純鉄粉および/または鉄系合金粉の(結晶)粒径をナノ化(具体的には10nm未満の微粉)にすることで、例えば、急冷凝固によりナノ化することで、軟磁性特性を向上することができる点で優れている。なお、純鉄粉および/または鉄系合金粉の粒径の測定方法に関しても、特に制限されるものではない。当該技術分野で多く用いられている「レーザ回折・散乱法」を測定原理とする粒度分布測定装置であるレーザ回折・散乱式粒度分布測定器を使用して粒度を測定し、平均粒径や(粒度)分布を求めることができる。
上記絶縁材としては、(b)〜(d)段階で分解されずに軟磁性粉末表面に被覆(コーティング)され得るものを好適に利用でき、無機絶縁材および有機絶縁材のいずれも利用可能である。信頼性が高く、硬度が高い無機物絶縁材が望ましい。該無機絶縁材としては、燐酸塩、SiO2などが挙げられる。好ましくは、燐酸塩である。これは、信頼性、硬度が高く、バインダーを分解する際の600℃以上(実施例では800℃)の加熱に対しても耐熱性を有し、保形性や機械的強さに優れる三次元形状の軟磁性の部材を得ることができるためである(実施例参照)。該燐酸塩としては、例えば、耐熱性などにも優れる燐酸亜鉛、燐酸マンガンなどが挙げられるが、これらに制限されるものではない。有機絶縁材としては、高温分解系のポリマーなどが挙げられる。該高温分解系のポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリスチレンのいずれか1種または2種以上の混合物などが挙げられるが、これらに制限されるものではない。ここでいう高温分解系のポリマーとは、上記したように(b)〜(d)段階で分解されずに軟磁性粉末表面に被覆され得るものであればよく、これら(b)〜(d)段階で付加される温度寄りも高い温度域に分解温度を有するポリマーであれば利用可能である。本発明の製法では、既存の圧粉成形(特許文献1参照)を行う必要がなく、軟磁性粉の密度を向上させるために、圧縮成形の圧力を大きくする必要がないため、こうした有機絶縁材を用いることもできる。このように本発明の製法では、無機絶縁材および有機絶縁材のいずれにせよ、圧縮成形の圧力を大きくする必要がないため、成形時の磁粉の歪が大きくなく、ヒステリシス損の増大を招くこともない。そのため、鉄損の抑制が容易である。なお、(a)段階で得られた絶縁された粉末として、市販のものを用いてもよく、例えば、ヘガネス社製の商品名ソマロイ500、550等を用いてもよい。ソマロイ500等の粉末では、鉄粉の表面に、絶縁材のコーティング被膜としてリン酸化合物被膜が形成されている。鉄粉の平均粒径は150μm以下であり、リン酸化合物被膜の平均厚みは20nmである。
純鉄粉および/または軟磁性合金粉末を絶縁材でコーティングする方法としては、特に制限されるものではない。実施例に示すように、粒径0.5〜100μmの範囲(平均粒径2〜20μmの範囲)の鉄粉および/または軟磁性合金粉末を、無機絶縁材を含有する溶液に浸漬し、取り出し乾燥させる方法などが利用できる。上記無機絶縁材を含有する溶液としては、例えば、燐酸塩を含有する溶液の場合、燐酸とマンガンと水またはアルコールの混合溶液、或いは燐酸と亜鉛と水またはアルコールの混合溶液、燐酸と硼酸とマグネシアと水またはアルコールの混合溶液などが挙げられる。上記無機絶縁材を含有する溶液としては、例えば、SiO2を含有する溶液の場合、Na2O/SiO2系水ガラスと水との混合溶液などが挙げられる。あるいは、上記したコーティング方法に何ら制限されるものではなく、例えば、粒径0.5〜100μmの範囲(平均粒径2〜20μmの範囲)の鉄粉および/または軟磁性合金粉末に対して、有機絶縁材を必要に応じて適用な溶剤に混合・混錬する方法を利用することもできる。上記有機絶縁材には、上記した高温分解ポリマーのポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリスチレンなどが挙げられる。
かかるコーティングにより、平均厚さ1〜700nm、好ましくは10〜650nm、より好ましくは100〜600nm、特に150〜550nmの絶縁層を有する磁性粉(絶縁された粉末)を作製することができる。絶縁層が1nm以上であれば、トンネル電流が発生しにくく、絶縁性を安定して保持できる。一方、絶縁層が700nm以下であれば、絶縁層の占積率が大きくなく、硬度の高い絶縁層を表面に有する軟磁性粉の高密度化が容易であり、結果的に高磁束密度を得ることができる。但し、かかる絶縁層の厚さは、上記範囲に制限されるものではなく、所期の目的(絶縁性の確保)が達成されているものであればよい。
<(b)段階について>
(b)段階は、前記(a)段階で得られた絶縁された粉末に対して20〜60vol%のバインダーを混合・混錬またはコーティングする段階である。
(b)段階は、前記(a)段階で得られた絶縁された粉末に対して20〜60vol%のバインダーを混合・混錬またはコーティングする段階である。
前記(a)段階で得られた絶縁された粉末に対するバインダー量は、20〜60vol%、好ましくは30〜50vol%の範囲である。バインダー量が20vol%以上であれば、射出成形を用いて所望の形状をだすことが可能となる。一方、60vol%以下であれば、(c)段階で射出成形する際に容易に押し出すことができる。上記バインダー量が20vol%未満の場合には、(c)段階で射出成形する際、射出成形機のスクリューで押し出すことが困難である。一方、バインダー量が60vol%を超える場合には、バインダー量が多くなりすぎ、(d)段階でバインダーを分解し、脱バインダーしていく過程で、形状が十分保てなくなり、自重で崩れ、崩壊する恐れがあるなど好ましくない。また、バインダーがカーボン等の形で残るなどして、絶縁性が低下し軟磁性特性が低下する恐れがある。また脱バインダーしていく過程で酸化し易く、この点でも軟磁性特性が低下する恐れがある。
ここで、バインダーとしては、特に制限されるものではないが、高温分解系としてのポリマー、低温分解系としてのワックスおよび高級脂肪酸よりなる群から選ばれてなる少なくとも1種が好適に利用可能である。これらバインダーは、高温ないし低温分解可能なバインダーで、なおかつ射出成形に利用できる樹脂、特に原料の鉄粉等の表面を樹脂コーティングし射出成形性(流動性)、潤滑性、結着性、保形性等を効果的に付与し得るバインダー材料である。そのため、アンダーカット形状のような軟磁性の部材に求められる最適な三次元形状の射出成形を可能とし、その後の分解によっても保形性を有し、更に機械的強さや絶縁特性にも寄与し得るという、三次元形状の軟磁性の部材を樹脂成形技術であった射出成形とその後の分解により具現する上で有用な材料である。
上記バインダーとして高温分解系のポリマーを用いる場合、該ポリマーとしては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)およびポリスチレン(PS)のいずれか1種または2種以上の混合物が好適に挙げられる。これらのポリマーは、高温分解系のバインダーであり、流動性(射出成形性)、熱分解性に優れ、熱分解により残渣などを残さないため、軟磁性特性を損なうこともない。更に、脱バインダー中の保形性がよく最終製品の形状も設計要件を満たし(ネットシェープ)機械的強さも強い三次元形状軟磁性材ができる。また、これらのポリマーは、ワックスや高級脂肪酸などのバインダーに比して高温分解である。そのため、低温分解系のバインダーと混合して、あるいは以下に示すように(b)段階を2段階で実施する場合に、粉末の内側にコーティングするバインダーとして有効に利用することができる。このように、低温分解系のバインダーと混合あるいは2層化してコーティングすることで、三次元形状軟磁性材に求められる特性を適宜発現させることができる。例えば、保形性と共に絶縁特性が求められる場合には、該高温安定の絶縁性のポリマーを分解させずに残す形態とすればよい。あるいは保形性と共に機械的強さが必要な場合には、低温分解系のバインダーだけでなく、高温分解系のバインダーも分解させる形態(絶縁鉄粉同士を緻密に固化させる形態)とするなど、その用途に応じた形態を適宜選択することができる、このような観点から、低温分解系のワックスや高級脂肪酸などのバインダーに比して高温分解であるポリマーであれば、上記に例示したPEやPP等のポリオレフィン(ポリアルケン)やポリスチレンに何ら制限されるものではない。例えば、ポリ−p−キシリレン、ポリ酢酸ビニル、ポリ(メタ)アクリレート(アクリル樹脂)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ふっ素系樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ジエン系プラスチック、ポリウレタン、ABS樹脂、変性PPE、ポリビニルアルコール、ポリアセタール、PPS樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、ポリイミドなどの中から適宜選択して利用してもよい。好ましくは、常温で固体(または半固体)であり、混練時材料の酸化を抑えるために150℃以下で混合・混錬することで、バインダーとして有効に機能し、熱分解により残渣などを残さない高温分解であるポリマー材料を適宜選択して利用するのが望ましい。
上記バインダーとして低温分解系のワックスを用いる場合、該ワックスとしては、パラフィンワックスまたはカルナバロウワックスのいずれか1種あるいはその混合物が好適に挙げられる。これらのワックスは、流動性(射出成形性)、熱分解性に優れ、低温分解系のバインダーであり、熱分解により残渣などを残さないため、軟磁性特性を損なうこともない。更に、脱バインダー中の保形性がよく最終製品の形状も設計要件を満たし(ネットシェープ)機械的強さも強い三次元形状軟磁性材ができる。これらのワックスは、上記高温分解であるポリマーバインダーに比して低温分解であり、低温分解である高級脂肪酸バインダーとの併用も可能である。さらに、高温分解系のバインダーと混合して、あるいは以下に示すように(b)段階を2段階で実施する場合に、粉末の外側にコーティングするバインダーとして有効に利用することができる。このように、高温分解系のバインダーと混合あるいは2層化してコーティングすることで、三次元形状軟磁性材に求められる特性を適宜発現させることができる。例えば、保形性と共に絶縁特性が求められる場合には、該低温分解系のバインダーのみを分解し、高温安定の絶縁性のポリマーを分解させずに残す形態とすればよい。あるいは保形性と共に機械的強さが必要な場合には、当該低温分解系のバインダー共に高温分解系のバインダーも分解させる形態(絶縁鉄粉同士を緻密に固化させる形態)とするなど、その用途に応じた形態を適宜選択することができる、このような観点から、高温分解であるポリマーバインダーに比して低温分解であるワックスであれば、上記に例示したパラフィンワックスやカルナバロウワックスに何ら制限されるものではない。例えば、蜜蝋、鯨蝋などなどの動物ワックス;カルナバロウワックス以外の木蝋、米糠蝋などの植物ワックス;モンタンワックス(石炭ベース)、オゾケライトなどの鉱物ワックス;パラフィンワックス以外のマイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油ワックス;などの天然ワックス、フッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等のホモポリマーワックス、コポリマーワックス、その他合成ワックス;などの合成ワックス、アマイドワックス、変性モンタンワックスなどの半合成ワックス;などの中から適宜選択して利用してもよい。好ましくは、常温で固体(または半固体)であり、混練時材料の酸化を抑えるために150℃以下で混合・混錬することで、バインダーとして有効に機能し、熱分解により残渣などを残さない低温分解であるワックス材料を適宜選択して利用するのが望ましい。
上記バインダーとして低温分解系の高級脂肪酸を用いる場合、該高級脂肪酸としては、ステアリン酸が好適に挙げられる。該高級脂肪酸は、低温分解系のバインダーであり、流動性(射出成形性)、熱分解性に優れ、熱分解により残渣などを残さないため、軟磁性特性を損なうこともない。更に脱バインダー中の保形性がよく最終製品の形状も設計要件を満たし(ネットシェープ)機械的強さも強い三次元形状軟磁性材ができる。該高級脂肪酸は、上記高温分解であるポリマーバインダーに比して低温分解であり、低温分解であるワックスバインダーとの併用も可能である。さらに、高温分解系のバインダーと混合して、あるいは以下に示すように(b)段階を2段階で実施する場合に、粉末の外側にコーティングするバインダーとして有効に利用することができる。このように上記高級脂肪酸は、高温分解系のバインダーと混合あるいは2層化してコーティングすることで、三次元形状軟磁性材に求められる特性を適宜発現させることができる。例えば、保形性と共に絶縁特性が求められる場合には、該低温分解系のバインダーのみを分解し、高温安定の絶縁性のポリマーを分解させずに残す形態とすればよい。あるいは保形性と共に機械的強さが必要な場合には、当該低温分解系のバインダー共に高温分解系のバインダーも分解させる形態(絶縁鉄粉同士を緻密に固化させる形態)とするなど、その用途に応じた形態を適宜選択することができる、このような観点から、高温分解であるポリマーバインダーに比して低温分解である高級脂肪酸であれば、上記に例示したステアリン酸に何ら制限されるものではない。例えば、アラキドン酸、イソステアリン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ベヘニン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、ラノリン脂肪酸、硬質ラノリン脂肪酸、軟質ラノリン脂肪酸、リノール酸、リノレン酸などの中から適宜選択して利用してもよい。好ましくは、常温で固体(または半固体)であり、混練時材料の酸化を抑えるために150℃以下で混合・混錬することで、バインダーとして有効に機能し、熱分解により残渣などを残さない低温分解である高級脂肪酸材料を適宜選択して利用するのが望ましい。
上記バインダーは、上記ポリマー、ワックスおよび高級脂肪酸から2種以上から選ばれてなることを特徴とするのが望ましい。2種以上を併用することで、射出成形性(流動性)、耐熱性に優れ、所望の三次元形状の軟磁性材を成形することができる。更に脱バインダー中の保形性と共に絶縁特性や最終製品の形状も設計要件を満たし(ネットシェープ)機械的強さも強い三次元形状軟磁性材ができるためである。特に、高温分解系のポリマーと低温分解系のワックスないし高級脂肪酸を用いるのが望ましい。これは、複雑な三次元形状の軟磁性材を製造する場合には、これら分解温度が異なるバインダーを用いて二層化することで、非常に複雑な三次元形状の軟磁性材も成形可能とし、更に脱バインダー中の保形性と共に絶縁特性や最終製品の形状も設計要件を満たし(ネットシェープ)機械的強さも強い三次元形状軟磁性材ができるためである。なお、これら分解温度が異なるバインダーを混合して用いる場合でも、同様の効果が得られる(実施例参照)点で優れている。
上記バインダーは、前記(a)段階で得られた絶縁された粉末に対して20〜60vol%、好ましくは30〜50vol%の範囲で添加するのが望ましい。該バインダーの添加量が上記範囲を外れる場合には、(b)段階で得られた混練体を射出成形する段階で押し出す(射出する)のが困難となったり、(b)段階で得られる混練体や(c)段階で得られる射出成形体が崩壊してしまう恐れがあるため好ましくない。
前記(a)段階で得られた絶縁された粉末に対して所定量のバインダーを混合・混錬する方法としては、例えば、加圧ニーダー、二軸式混練機、二軸混練押出機、ソルトミリングニーダー、アシデータなどの混合、混練装置を単独又は組み合わせて利用して行うことができる。更に、混合・混練装置を用いて得られた混合体(混合粉体)を、適当な造粒装置に投入して、適当な大きさの混合体(ペレット)としてもよい。なお、混合・混錬する方法(装置)としては、上記に例示したものに制限されるものではなく、粉末とバインダーとを混合・混練できるものであれば、有効に利用できる。
上記混合・混錬する際には、混練時材料の酸化を抑えるために150℃以下に温度調節しながら行うのが望ましい。また、混合・混錬する際の雰囲気は特に制限されるものではなく、大気下で行えばよいが、混練時材料の酸化を抑える観点から、混合・混錬する際の雰囲気、非酸化性ガス雰囲気、例えば、窒素ガス雰囲気などの不活性ガス雰囲気で行ってもよい。こうした雰囲気ガスを調節する場合には、上記調節温度は緩和してもよい(もう少し高めの温度で行ってもよい)と言える。
また、絶縁された粉末に対して所定量のバインダーを混合・混錬する際にも、必要に応じて、溶液またはスラリー等の液状原料の粘度調整を行うための適当な溶媒を加えても良い。かかる溶媒としては、特に制限されるものではなく、水溶液、有機溶媒、および水溶液+有機溶媒の混合液のいずれも適用することができる。また、混合、混練は、バインダーの混練が十分になされた段階で終了すればよく、特に制限されるものではない。なお、上記したように更に、混合・混練装置を用いて得られた混合体(混合粉体)を、適当な造粒装置に投入して、適当な大きさの混合体(ペレット)としてもよい。混合体をペレット化することで、その後の射出成形装置への投入が容易となるなど、取り扱い性が向上するためである。
また、上記前記(a)段階で得られた絶縁された粉末に対して所定量のバインダーをコーティングする方法としては、スプレードライヤー(噴霧乾燥機)を用いて、スプレードライ(噴霧乾燥)方式により行うこともできる。即ち、前記(a)段階で得られた絶縁された粉末及びバインダーを含む溶液またはスラリー等の液状原料を、噴霧・微粒化させ、乾燥室中(好ましくは高温真空中)で高温気流と接触させて瞬間的に球状の粉粒体に造粒乾燥を行う装置を用いて、造粒することで、(a)段階で得られた絶縁された粉末にバインダーをコーティングするようにしてもよい。この際にも、材料の酸化を抑えるために150℃以下に温度調節しながら行うのが望ましい。また、溶液またはスラリー等の液状原料を調整するための適当な溶媒としては、特に制限されるものではなく、水溶液、有機溶媒、および水溶液+有機溶媒の混合液のいずれも、スプレードライヤー(噴霧乾燥機)に適用することができる。したがって、絶縁材およびバインダーの種類に応じて最適な溶媒を適宜選択すればよい。すなわち、軟磁性粉末や絶縁層に対しては不溶(難溶)であり、バインダーに対しては易溶性である溶媒が好適に利用できるものと言える。
前者の混合・混錬方法は、当該(b)段階を1段階で行う場合に適している。後者のコーティング方法は、当該(b)段階を下記に示すように2段階で行う場合や、下記に示すように(a)段階で有機絶縁材を用いた粉末を用いる場合に適している。上記(b)段階を2段階で行う場合は、形状が複雑な場合はバインダー層を二層化してまず、原料の絶縁層の上に高温分解系のポリマーをコーティングし、さらにその上に低温分解系としてはワックス系や高級脂肪酸のバインダーをコーティングして、(c)段階の射出成形をすればよい。
上記(b)段階を2段階で行う場合、前記(b)段階は、下記(b−1)段階および(b−2)段階からなる。
(b−1)段階は、前記(a)段階で得られた絶縁被覆された粉末に対して、内側のバインダーとして高温分解であるポリマーをコーティングする第一表面コーティング段階である。
(b−2)段階は、前記(b−1)段階で得られた第一表面コーティングされた粉末に対して外側のバインダーとして低温分解であるワックス、高級脂肪酸のいずれか一方または両方をコーティングする第二表面コーティング段階である。
そして、上記(b−1)段階の内側のバインダーと(b−2)段階の外側のバインダーの合計量が、前記(a)段階で得られた絶縁された粉末に対して20〜60vol%とするものである。これにより、純鉄粉および/または軟磁性合金粉末の表面を絶縁層(絶縁材コーティング層)、高温分解ポリマー層(第一表面コーティング層)、低温分解ワックス及び/又は高級脂肪酸層(第二表面コーティング層)の3層コーティングしたものを得ることができる。
これらの実施形態の製法では、複雑な三次元形状の軟磁性材を製造する場合に、分解温度が異なる高温分解系のポリマーと低温分解系のワックスまたは高級脂肪からなるバインダーを用いて二層化するため、複雑な三次元形状の軟磁性材を成形可能とする。更に後述する(d)段階で外側の低温分解系のバインダーのみを分解する実施形態の場合には、保形性と共に絶縁特性を向上させることもできる点で優れている。一方、後述する(d)段階で内側と外側の両方のバインダーを分解する実施形態の場合には、脱バインダー中の保形性がよく最終製品の形状も設計要件を満たし(ネットシェープ)機械的強さも強い三次元形状軟磁性材ができる点で優れている。
また、前記(a)段階の絶縁材として高温分解であるポリマーを用いる場合には、本(b)段階は、前記(a)段階で得られたポリマーで絶縁被覆された粉末に対して、20〜60vol%の低温分解であるワックス、高級脂肪酸のいずれか一方または両方からなるバインダーをコーティングする段階としてもよい。本実施形態の製法では、複雑な三次元形状の軟磁性材を製造する場合に、絶縁材とバインダーで分解温度が異なる高温分解系のポリマー絶縁材と低温分解系のワックスまたは高級脂肪からなるバインダーを用いてなるため、複雑な三次元形状の軟磁性材を成形可能とする。更に絶縁層上の低温分解系のバインダーを分解することで、保形性と共に絶縁特性を向上させることができる。
<(c)段階について>
(c)段階は、前記(b)段階で得られた混練体またはバインダーがコーティングされた粉末を射出成形する段階である。
(c)段階は、前記(b)段階で得られた混練体またはバインダーがコーティングされた粉末を射出成形する段階である。
本発明では、従来の圧粉成形技術と異なり、射出成形技術を応用し、尚且つ後述する(d)段階の分解技術と組み合わせることにより、軟磁性の部材に求められる最適な三次元形状の軟磁性材を製造できる。具体的にはバインダー量を20〜60vol%と既存の圧粉成形に比して非常に多く加えて、射出成形する際の原料の流動性及び潤滑性を高めることで3次元形状の射出成形を可能としたものである。更にこうした多量のバインダーを分解により、徐々に脱バインダーすることで、射出成形体と相似形に収縮させることができるため、射出成形で形成した複雑な3次元形状を損なうことなく、複雑な3次元形状の軟磁性の部品を創り出すことができるものである。なお、射出成形体から軟磁性部品への収縮率は、使用する材料や配合比率が決まれば、簡単な形状での予備実験などにより求めることができるので、軟磁性部品の形状、サイズから射出成形時の金型の形状、サイズも容易に求めることができる。これにより、モーター等の設計の自由度を向上することができる。加えて射出成形により多数個取りをすれば生産性の向上になる点でも優れている。更に球面電磁モータのような非常に複雑なモーターコアを本製法により一体成形できる点で特に優れており、工数(部品点数)低減でき生産性に優れる。また複数のパーツを組み合わせる場合、各パーツごとに設計許容差がある為、部品に組み上げた際の歪が出やすいが本発明ではそうした組み合わせによる寸法のバラツキが生じにくい点で、高精度化が容易である。
図1Aは、形状が複雑な三次元形状の軟磁性材である球面同期モータータイプ用のモーターコアの斜視図であり、図1Bは、図1Aのモーターコアに絶縁銅線を巻き付けてなる球面同期モータータイプのモーターの部品の概略図である。
本(c)段階では、前記(b)段階で得られた混練体またはバインダーがコーティングされた粉末を、射出成形機で射出成形するものである。これにより、図1Aに示すような目的とする三次元形状の軟磁性材と同じ形状の3次元形状の射出成形体を得ることができる。
射出成形機としては、基本的にはプラスチックの射出成形機と同様な装置を用いることができる。但し、射出する原料が樹脂ではなく、磁粉であるため、スクリュウのみを耐摩耗向上させるのが望ましい。具体的には、スクリュウのみ表面が工具鋼材や超硬材になっているものなどを用いるのが望ましい。
射出成形時の温度としては、装置(射出成形機)は加熱せず、原料の混練体またはバインダーがコーティングされた粉末を130℃〜190℃に加熱して射出すればよい。射出成形時の原料温度が130℃以上であれば、原料の流動性、潤滑性など射出成形するのに適した状態(特性)に調整できるためである。また、190℃以下であれば、原料が低粘性化しすぎることもなく、適度な流動性及び潤滑性を発現できる点で優れている。また、射出原料の酸化を抑えるために150℃以下に温度調節しながら行うのがより望ましい。また、射出成形する際の装置内部の雰囲気は特に制限されるものではなく、開放系として大気雰囲気で行ってもよい。あるいは、射出成形時原料の酸化を抑える観点から、装置内部を密閉系として非酸化性ガス雰囲気、例えば、窒素ガス雰囲気などの不活性ガスに置換した後、上記温度に加熱し射出成形するようにしてもよい。
射出成形圧力は、定量をスクリュウで押し出し金型内へ注入し得る圧力であれば特に制限されるものではない。例えば、金型形状が図1に示すような複雑な3次元形状でも、概ね、40〜60Mpa程度の範囲であれば、好適に利用できる。但し、本製法では、これらに何ら制限されるものではない。
また、射出成形金型には、3次元形状の軟磁性の部材、例えば、モーターのコアが型彫で形成されているものを用いればよい(図1A参照)。本発明では、射出成形体のバインダーを分解前後で形状変化が起こらず、軟磁性の部材の複雑な3次元形状を高精度に確保(保形)することができるためである。また、生産性向上の観点からは、射出成形により多数個取りするのが望ましい。
なお、射出成形後は、型を冷却し、常温で射出成形体を取り出せばよい。
<(d)段階について>
(d)段階は、前記(c)段階で得られた射出成形体のバインダーを分解し三次元形状の軟磁性の部材を得る段階である。
(d)段階は、前記(c)段階で得られた射出成形体のバインダーを分解し三次元形状の軟磁性の部材を得る段階である。
前記(c)段階で得られた射出成形体のバインダーを分解する方法としては、特に制限されるものではないが、加熱により分解する方法が利用できる。
加熱によりバインダーを分解する場合、徐々に脱バインダーするのが、射出成形体の形状を相似形で収縮させることができ、所望の3次元形状の軟磁性材を得る上で好ましい。こうして、加熱により脱バインダーする場合には、高温分解系のポリマーや低温分解系の高級脂肪酸等では熱分解して脱バインダーしてもよいし、低温分解系のワックス等では昇華させて脱バインダーさせてもよい。低温分解系のワックス等のように昇華させて脱バインダーする場合には、昇華させた低温分解系のワックス等を回収して再利用するのが、経済性、更には熱分解してCO2等を発生させるものではないので、地球環境保護の観点から望ましいものと言える。
バインダーが1種の場合には、当該バインダーの熱分解温度以上で、なおかつ絶縁層や純鉄粉および/または鉄系合金粉の分解・溶融温度より低い温度で加熱すればよい。また、熱分解温度の異なるバインダーを2種以上混合して用いている場合には、これらのバインダーのうち、熱分解温度の高いバインダーの熱分解温度以上で、なおかつ絶縁層や純鉄粉および/または鉄系合金粉の分解・溶融温度より低い温度で加熱すればよい。
さらに、形状が複雑な三次元形状の軟磁性の部材を製造する場合は、熱分解温度の異なるバインダーを前記(b−1)及び(b−2)段階にて第一及び第二表面コーティングして内側と外側の2層にコーティングしたものを用いるのが良い。そして、本段階では、形状が複雑な三次元形状の軟磁性の部材の使用用途に応じて求められる特性に応じて、これらのバインダーを以下のように部分熱分解または完全熱分解させるのが望ましい。即ち、熱分解温度の異なるバインダーが内側と外側の2層にコーティングされている場合、本段階では、前記(c)段階で得られた射出成形体の外側の低温分解系のバインダーだけを分解する。この方法だと、更に形状が複雑な三次元形状の軟磁性の部材を保形性よく製造できる。特に原料の絶縁層上に内側に高温分解系のバインダー、特に高温安定で絶縁性のある高温分解系のポリマーを15〜50vol%用いることで、保形性と共に絶縁特性も向上できる点で優れている。言い換えれば、外側の低温分解系のバインダーは、5〜45vol%(内側と外側のバインダー合計で20〜60vol%)用いることで上記効果を奏することができる。或いは、熱分解温度の異なるバインダーが内側と外側の2層にコーティングされている場合、機械的強さが必要な場合には、本段階では、2層ともバインダーを分解する。即ち、前記(c)段階で得られた射出成形体の内側及び外側の高温及び低温分解系の全てのバインダーを分解する。この方法だと、脱バインダー中の保形性がよく最終製品の形状も設計要件を満たし(ネットシェープ)機械的強さも強い三次元形状軟磁性材ができる点で優れている。この形態の場合、内側と外側のバインダーの配合比率は特に制限されるものではなく、上記したように内側と外側のバインダー量は、いずれも5〜55vol%(内側と外側のバインダー合計で20〜60vol%)程度であればよい。
上記(c)段階で取り出した射出成形体のバインダーの分解は、大気中、脱脂炉等を用いて行うことができる。
上記低温分解系のバインダーのみを分解するのであれば、高温分解系のバインダーの分解温度より低い温度、例えば、450℃以下、好ましくは400℃程度の所定分解温度まで、常温から数時間から数十時間かけて徐々に昇温しながら分解させ、脱バインダーするのが望ましい。尚、所定の分解温度に達した後、一定時間(数時間程度)保持するのが望ましい。この際の炉内雰囲気としては、特に制限されるものではないが、低温分解系のバインダーに昇華型のワックスを用いる場合には、回収が容易なように雰囲気ガスを循環系とするのが望ましい。また、ワックスが酸化等による劣化や分解を受けないように、不活性ガスを用いるのが望ましいといえる。一方、低温分解系のバインダーに熱分解系の高級脂肪酸を用いる場合には、熱分解されやすいように大気中で行える脱脂炉等を用いて、大気中で行うのが望ましい。但し、熱分解する場合でも、地球環境保護の観点から工場内で発生するCO2を回収して固定化したり、製品化(ドライアイス等)したりするのが望ましいと言える。
一方、低温分解系と高温分解系のバインダーをいずれも分解する場合には、高温分解系のバインダーの分解温度より高い温度、例えば500℃以上、好ましくは600℃程度の所定分解温度まで、常温から数時間から数十時間かけて徐々に昇温しながら分解させ、脱バインダーするのが望ましい。尚、所定の分解温度に達した後、一定時間(数時間程度)保持するのが望ましい。更に、実施例に示すように、更に高温、例えば、700℃以上、好ましくは800℃程度まで一定時間(数時間程度)かけて徐々に昇温し、当該温度に達した後、一定時間(数時間程度)保持することで、内側の高温分解系のバインダーを十分に分解し、脱バインダーさせるのがより望ましい(実施例参照)。
上記バインダーの分解後は、いずれの場合も、所定温度、例えば、300℃程度までは炉中で、徐々に冷却し、その後大気中に取り出すのが望ましい。炉中で徐冷することで、得られた三次元形状の軟磁性材に強い温度衝撃(熱ストレス)が加わるのを防止でき、ひび割れや変形などを生じさせるのを効果的に防止できる点で優れている。なお、上記バインダーの分解後、ただちに大気中に取り出すなどして急冷することも、三次元形状の軟磁性材の組成や形状等によっては可能であるが、形状が複雑な場合には、三次元形状の軟磁性材に強い温度衝撃(熱ストレス)が加わる恐れがあるため好ましくない。
[三次元形状の軟磁性材]
本発明の三次元形状の軟磁性材は、上記した本発明の三次元形状の軟磁性材の製造方法により得られてなることを特徴とするものである。上記した本発明の製造方法を用いることで、アンダーカット形状のような軟磁性の部材に求められる最適な三次元形状の成形が可能となり、複雑な三次元形状を持つ軟磁性の部材が得られる。また複雑な三次元形状を持つ軟磁性の部材であるモーター等の設計の自由度が向上する。とりわけ、今までのモーター形状の概念を覆すような複雑な三次元形状を持つ軟磁性の部材や作製困難であった形状のモーター等であっても一体成形部品として提供し得るものである。また、一方、本発明の射出成形を利用する製法で得られる三次元形状の軟磁性材では、4wt%を超える高いシリコン量(最大6wt%程度)の鉄−珪素系合金粉末でも利用できるため、鉄損を低減した非常に優れた軟磁性特性を有する軟磁性の部材を提供できる点で特に優れている。また、本発明の射出成形を利用する製法で得られる三次元形状の軟磁性材では、既存の圧粉成形法では難しいセンダスト合金粉、パーマロイ合金粉、鉄基アモルファス合金粉、パーメンジュール合金粉などの硬く、脆い粉末でも、プレス成形せずに成形できる。そのため、これらの合金が持つ優れた種々の特性を有する軟磁性の部材を提供できる点で特に優れている。具体的には、センダスト合金粉では、該合金粉の持つ飽和磁束密度・透磁率が高く、鉄損が小さく、耐摩耗性に優れている特性を活かした部品に好適に用いられる。パーマロイ合金粉では、該合金粉の持つ初透磁率が大きいという特性を活かした部品に好適に用いられる。パーメンジュール合金粉では、該合金粉の持つ実用化された軟磁性材料の中で最大の飽和磁束密度を持つという特性を活かした電磁石の鉄芯等に好適に用いられる。
本発明の三次元形状の軟磁性材は、上記した本発明の三次元形状の軟磁性材の製造方法により得られてなることを特徴とするものである。上記した本発明の製造方法を用いることで、アンダーカット形状のような軟磁性の部材に求められる最適な三次元形状の成形が可能となり、複雑な三次元形状を持つ軟磁性の部材が得られる。また複雑な三次元形状を持つ軟磁性の部材であるモーター等の設計の自由度が向上する。とりわけ、今までのモーター形状の概念を覆すような複雑な三次元形状を持つ軟磁性の部材や作製困難であった形状のモーター等であっても一体成形部品として提供し得るものである。また、一方、本発明の射出成形を利用する製法で得られる三次元形状の軟磁性材では、4wt%を超える高いシリコン量(最大6wt%程度)の鉄−珪素系合金粉末でも利用できるため、鉄損を低減した非常に優れた軟磁性特性を有する軟磁性の部材を提供できる点で特に優れている。また、本発明の射出成形を利用する製法で得られる三次元形状の軟磁性材では、既存の圧粉成形法では難しいセンダスト合金粉、パーマロイ合金粉、鉄基アモルファス合金粉、パーメンジュール合金粉などの硬く、脆い粉末でも、プレス成形せずに成形できる。そのため、これらの合金が持つ優れた種々の特性を有する軟磁性の部材を提供できる点で特に優れている。具体的には、センダスト合金粉では、該合金粉の持つ飽和磁束密度・透磁率が高く、鉄損が小さく、耐摩耗性に優れている特性を活かした部品に好適に用いられる。パーマロイ合金粉では、該合金粉の持つ初透磁率が大きいという特性を活かした部品に好適に用いられる。パーメンジュール合金粉では、該合金粉の持つ実用化された軟磁性材料の中で最大の飽和磁束密度を持つという特性を活かした電磁石の鉄芯等に好適に用いられる。
本発明の三次元形状の軟磁性材としては、特に制限されるものではないが、上記したように、モーターのコア、インバーターのコアなどに好適に使用することができる。これらの用途では、図1に示すように、モーターコアに対してエナメル線等を巻いて電気磁石化する場合に、電線を止めるための出っ張りやストッパーのぎりぎりまで巻けるような形状が射出成形により一体成形可能である。そのため、これらのコア等を複数のパーツに分けて成形しボルト等で組み立てた場合のように、モーターを搭載する車両などからの外部振動等により、該ボルト締め部分が緩み、軟磁性特性が低下する等の問題等がなく、高信頼性の製品を提供できる点で優れている。また、電気磁石の性能向上にも大いに役立つことができるものである。同様に、インバーターのコアでも、エナメル線等を巻いて電気磁石化する場合に、電線を止めるための出っ張りやストッパーのぎりぎりまで巻けるような形状が射出成形により一体成形可能である。そのため、これらのインバーターのコアを複数のパーツに分けて成形しボルト等で組み立てた場合のように、インバーターを搭載する電気自動車などからの外部振動等により、該ボルト締め部分が緩み、軟磁性特性が低下する等の問題等がなく、高信頼性の製品を提供できる点で優れている。また、電気磁石の性能向上にも大いに役立つことができるものである。
3次元形状の軟磁性材の形状としては、特に制限されるものではなく、軟磁性の部材に求められる最適な三次元形状の軟磁性材を提供することができる。具体的には、図1に示すような、球面電磁モータのコア形状のような非常に複雑な3次元形状であっても、一体成形品として提供できるものである。
以下、本発明の実施例を製造段階に沿って説明する。
(a)段階
まず、平均粒径が2〜5μm(粒径0.5〜100μmの範囲)のカルボニル鉄粉を燐酸とマンガンと水またはアルコールの混合溶液に漬け、取り出し乾燥させて絶縁層500nm厚の磁性粉(絶縁されたカーボニル粉)を作成した。つづいて水アトマイズによる平均粒径が10〜20μmm(粒径分布でいうと0.5μm〜15μm)の純鉄粉を燐酸と亜鉛と水またはアルコールの混合溶液に漬け、取り出し乾燥させて絶縁層200nm厚の磁性粉(絶縁された水アトマイズ粉)を作製した。
まず、平均粒径が2〜5μm(粒径0.5〜100μmの範囲)のカルボニル鉄粉を燐酸とマンガンと水またはアルコールの混合溶液に漬け、取り出し乾燥させて絶縁層500nm厚の磁性粉(絶縁されたカーボニル粉)を作成した。つづいて水アトマイズによる平均粒径が10〜20μmm(粒径分布でいうと0.5μm〜15μm)の純鉄粉を燐酸と亜鉛と水またはアルコールの混合溶液に漬け、取り出し乾燥させて絶縁層200nm厚の磁性粉(絶縁された水アトマイズ粉)を作製した。
(b)段階
次に、前記(a)段階で得られた絶縁されたカーボニル粉と水アトマイズ粉を40:60の質量比で混合して混合磁粉とした。次この混合磁粉に対して、体積%(vol%)で50%のバインダーを加えた。このバインダーは、体積%で70%のパラフィンワックスと30%のポリプロピレンから構成されるものを用いた。混合磁粉とバインダーは加圧ニーダーで混合、混練し、混練時材料の酸化を押さえるために150℃以下に冷却した。45分混合、混練し、その後に造粒装置に投入し、ペレット(混練体)を作製した。
次に、前記(a)段階で得られた絶縁されたカーボニル粉と水アトマイズ粉を40:60の質量比で混合して混合磁粉とした。次この混合磁粉に対して、体積%(vol%)で50%のバインダーを加えた。このバインダーは、体積%で70%のパラフィンワックスと30%のポリプロピレンから構成されるものを用いた。混合磁粉とバインダーは加圧ニーダーで混合、混練し、混練時材料の酸化を押さえるために150℃以下に冷却した。45分混合、混練し、その後に造粒装置に投入し、ペレット(混練体)を作製した。
(c)段階
次に、前記(b)段階で得られたペレット(混練体)は、射出成形機(プラスチックの射出成形機と同様な装置を用いた。ただしスクリュウのみ表面が超硬材になっている。)に搬送され成形機のバレルのなかで130℃に加熱された。そして定量をスクリュウで押し出し金型内へ注入される.成形圧力は50MPaとした。金型には3次元形状のモーターのコアが型彫で形成されているものを用いた(図1A参照)。射出成形後型を冷却し、常温で射出成形体を取り出した。
次に、前記(b)段階で得られたペレット(混練体)は、射出成形機(プラスチックの射出成形機と同様な装置を用いた。ただしスクリュウのみ表面が超硬材になっている。)に搬送され成形機のバレルのなかで130℃に加熱された。そして定量をスクリュウで押し出し金型内へ注入される.成形圧力は50MPaとした。金型には3次元形状のモーターのコアが型彫で形成されているものを用いた(図1A参照)。射出成形後型を冷却し、常温で射出成形体を取り出した。
(d)段階
前記(c)段階で取り出した射出成形体(成形体形状は図1A参照)を大気中脱脂炉で600℃まで15時間をかけて行い、600℃で1時間保持した。次に800℃まで1時間かけて昇温し、1時間保持したその後、300℃まで炉中冷却し、その後大気中に取り出して、図1Aに示すモーターコア(三次元形状の軟磁性の部材)10とした。このモーターコア10の本体1の3軸部分(銅線巻付部)に絶縁銅線11を巻き(図1B参照)、球面同期モーター(文献1)タイプのモーターの部品20とした。なお、図中の符号2は、モーターコア10のコイルストッパー部である。また、モーターコア10の本体1の中心部の貫通穴には、磁石(図示せず)が入る部分である。また、上記文献1は、「矢野智昭,“球面電磁モーター”:日本機械学会誌 2008.3 vol111No.1072p42−43」である。
前記(c)段階で取り出した射出成形体(成形体形状は図1A参照)を大気中脱脂炉で600℃まで15時間をかけて行い、600℃で1時間保持した。次に800℃まで1時間かけて昇温し、1時間保持したその後、300℃まで炉中冷却し、その後大気中に取り出して、図1Aに示すモーターコア(三次元形状の軟磁性の部材)10とした。このモーターコア10の本体1の3軸部分(銅線巻付部)に絶縁銅線11を巻き(図1B参照)、球面同期モーター(文献1)タイプのモーターの部品20とした。なお、図中の符号2は、モーターコア10のコイルストッパー部である。また、モーターコア10の本体1の中心部の貫通穴には、磁石(図示せず)が入る部分である。また、上記文献1は、「矢野智昭,“球面電磁モーター”:日本機械学会誌 2008.3 vol111No.1072p42−43」である。
上記実施例により、形状が複雑な三次元形状の軟磁性の部材でも、本発明の製造方法であれば、軟磁性の部材に求められる最適な三次元形状の軟磁性材を製造できることが確認できた。また、本発明の製造方法であれば、脱バインダー中の保形性がよく最終製品の形状も設計要件を満たし(ネットシェープ)機械的強さも強い三次元形状軟磁性材ができることがわかった。また、本発明の製造方法であれば、本当の意味で制限の無い3次元形状部品が得られることもわかった。
1 モーターコアの本体、
2 コイルストッパー部、
10 モーターコア、
11 絶縁銅線、
20 球面同期モータータイプのモーターの部品。
2 コイルストッパー部、
10 モーターコア、
11 絶縁銅線、
20 球面同期モータータイプのモーターの部品。
Claims (16)
- (a)純鉄粉および/または鉄系合金粉を絶縁材でコーティングする段階と、
(b)前記(a)段階で得られた絶縁された粉末に対して20〜60vol%のバインダーを混合・混錬またはコーティングする段階と、
(c)前記(b)段階で得られた混練体またはバインダーがコーティングされた粉末を射出成形する段階と、
(d)前記(c)段階で得られた射出成形体のバインダーを分解し軟磁性の部材を得る段階と、を含むことを特徴とする軟磁性材の製造方法。 - 前記純鉄粉および/または鉄系合金粉の粒径が、0.5〜100μmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 前記バインダーが、ポリマー、ワックスおよび高級脂肪酸よりなる群から選ばれてなる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
- 前記鉄系合金粉が、鉄−珪素系合金粉末であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記絶縁材が、燐酸塩であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記バインダーが、ポリマーであり、
該ポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリスチレンのいずれか1種または2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。 - 前記バインダーが、ワックスであり、
該ワックスが、パラフィンワックスまたはカルナバロウワックスのいずれか1種あるいはその混合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。 - 前記バインダーが、高級脂肪酸であり、該高級脂肪酸がステアリン酸であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記バインダーが、ポリマー、ワックスおよび高級脂肪酸から2種以上から選ばれてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記(b)段階が、
(b−1)前記(a)段階で得られた絶縁被覆された粉末に対して、内側のバインダーとして高温分解であるポリマーをコーティングする第一表面コーティング段階と、
(b−2)前記(b−1)段階で得られた第一表面コーティングされた粉末に対して外側のバインダーとして低温分解であるワックス、高級脂肪酸のいずれか一方または両方をコーティングする第二表面コーティング段階とからなり、
該(b−1)段階の内側のバインダーと(b−2)段階の外側のバインダーとの合計量が、前記(a)段階で得られた絶縁された粉末に対して20〜60vol%であり、
前記(d)段階が、射出成形体の前記外側のバインダーだけを分解し三次元形状の軟磁性の部材を得ることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。 - 前記(b)段階が、
(b−1)前記(a)段階で得られた絶縁被覆された粉末に対して内側のバインダーとして高温分解である前記ポリマーをコーティングする第一表面コーティング段階と、
(b−2)前記(b−1)段階で得られた第一表面コーティングされた粉末に対して外側のバインダーとして低温分解であるワックス、高級脂肪酸のいずれか一方または両方をコーティングする第二表面コーティング段階とからなり、
該(b−1)段階の内側のバインダーと(b−2)段階の外側のバインダーとの合計量が、前記(a)段階で得られた絶縁された粉末に対して20〜60vol%であり、
前記(d)段階が、前記射出成形体の前記内側および外側の全てのバインダーを分解し三次元形状の軟磁性の部材を得ることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。 - 前記(a)段階の絶縁材として高温分解であるポリマーを用い、
前記(b)が、前記(a)段階で得られたポリマーで絶縁被覆された粉末に対して、20〜60vol%の低温分解であるワックス、高級脂肪酸のいずれか一方または両方からなるバインダーをコーティングする段階であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。 - 前記純鉄粉および/または鉄系合金粉は、粒径が10nm未満であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の製造方法。
- 請求項1〜13のいずれかの製造方法により得られてなることを特徴とする三次元形状の軟磁性材。
- 三次元形状の軟磁性材が、モーターのコアに使われてなることを特徴とする請求項14に記載の軟磁性材。
- 三次元形状の軟磁性材が、インバーターのコアに使われてなることを特徴とする請求項14に記載の軟磁性材。
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JP (1) | JP2010118521A (ja) |
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2008
- 2008-11-13 JP JP2008291051A patent/JP2010118521A/ja active Pending
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