JP2006310873A - 圧粉磁心及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】圧粉磁心として、高い温度環境における使用でも磁気特性を維持でき、強度低下や寸法変化がなく、切削加工等に耐えうるものを実現する。
【解決手段】粒子径が10〜200μmの鉄粉、又は該鉄粉の表面に燐酸化合物被膜を施した鉄粉を樹脂で結合した圧粉磁心を対象とする。構成特徴は、結合用樹脂はポリフェニレンサルファイド及び熱可塑性ポリイミドの何れか、又は、ポリフェニレンサルファイド及び熱可塑性ポリイミドの混合物であり、また、樹脂含有量が全質量の0.3〜0.75質量%となっている。
【選択図】なし

Description

本発明は、特に、金型成形性及び軟磁性特性に優れた圧粉磁心及びその製造方法に関する。
近年の電気、電子機器の小型化及び高密度化に伴い、これらに使用される磁心材料に対しても小型で高い磁束密度と透磁率及び低鉄損を具備する高周波鉄心の要求が高まっている。このような磁心材料としては、フェライトコアが使用されているものの飽和磁束密度が低いという欠点がある。これに対し、センダスト、パーマロイ等の合金粉末をフェノール樹脂やエポキシ樹脂等の絶縁性樹脂で結合した圧粉磁心においては、100kHz以上でも渦電流損失を抑えられるが、実用の磁束密度はフェライトコアより高い程度で、小型化の要求を充分満たすことは困難である。また、モータ鉄心やトランスコア用として、磁性粒子を高純度の鉄粉とした圧粉磁心は、比較的高い磁束密度を有することが知られている。これは例えば、特許文献1に記載されているような、ヘガネス社の軟磁性複合材料(名称:Soft Magnetic Composite:CMC)であり、高純度のアトマイズ鉄粉や還元鉄粉の表面に燐酸系の極薄い絶縁被膜を形成し、結合用樹脂を熱硬化性樹脂などを使用するもので、高磁束密度、高透磁率、低鉄損が特徴とされる。
特開平11−251131号公報
上記したような圧粉磁心は、低価格であり、コアの小形化に有望なものであるるが、機械的な強度が低いため、切削加工やドリル孔開け加工を行う場合に割れや欠損を生じやすく、また、温度が高い環境の下で使用すると機械的強度が著しく低下しやすい。即ち、この種の軟磁性材料は、自動車や産業機械等の用途において、温度の高い環境で使用されることが多く、そのような環境で高い磁気特性を維持すると共に強度低下や寸法変化がなく、切削加工等に耐えうる材料強度を持ち、しかもより一層の価格低減が要求されている。勿論、用いられる周波数は比較的高いものとなっており、高透磁率であることも望まれる。
本発明者らは、上記従来圧粉磁心の持つ課題を如何に解消するか検討を重ねてきた結果、結合用樹脂の選定、添加量、樹脂粉末や混合態様等を工夫することにより上記課題を解消できるとの確証に至り、本発明を完成した。
請求項1〜2の発明は、粒子径が10〜200μmの鉄粉、又は該鉄粉の表面に燐酸化合物被膜を施した鉄粉を樹脂で結合した圧粉磁心において、前記結合用樹脂が下記の何れかであって、樹脂含有量が全質量の0.3〜0.75質量%であることを特徴としている。
(請求項1)ポリフェニレンサルファイド(以下、PPSと記す)、又は、熱可塑性ポリイミド(以下、熱可塑性PIと記す)
(請求項2)PPSと熱可塑性PIとの混合物
請求項3〜5は以上の圧粉磁心の製法で、次のような構成特徴からなる。
(請求項3)粒子径が10〜200μmの鉄粉、又は該鉄粉の表面に燐酸化合物被膜を施した鉄粉に、前記した(請求項1〜2に挙げた)何れかの結合用樹脂の粉末を質量比で0.3〜0.75質量%混合し、この混合粉を圧縮成形すると共に加熱処理する。
(請求項4)粒子径が10〜200μmの鉄粉、又は該鉄粉の表面に燐酸化合物被膜を施した鉄粉に、前記した(請求項1〜2に挙げた)何れかの結合用樹脂を有機溶剤に溶融した液を混合したのち乾燥して、結合用樹脂の含有量が質量比で0.3〜0.75質量%である樹脂被覆鉄粉とし、この樹脂被覆鉄粉を圧縮成形すると共に加熱処理する。
(請求項5)以上の製造方法において、第1段階として、前記した(請求項1〜2に挙げた)何れかの結合用樹脂を有機溶剤に溶解した液を混合したのち乾燥して、前記樹脂の含有量が質量比で、0.3質量%以下である樹脂被覆鉄粉とする。第2段階として、前記樹脂被覆鉄粉に前記結合用樹脂粉末の何れかを添加して前記樹脂の全量を質量比で0.3〜0.75%とし、この混合粉を圧縮成形すると共に加熱処理する。
(請求項6と7)以上の製造方法において、前記結合用樹脂粉末は粒度1〜150μmものが好ましいこと、前記混合粉又は樹脂被覆粉末の圧縮成形は常温下でもよいが、前記結合用樹脂が溶融しない温度に加熱した状態で行うことができることを確認したものである。
また、請求項7以降は前記加熱処理条件等の細部構成である。即ち、請求項7〜9では、圧縮成形の形態として、第1に樹脂溶融しない温度以下で加熱する態様、第2に加熱しないで成形した圧粉体を樹脂溶融しない温度以下で加熱する態様、第3に樹脂溶融する温度下で加熱する態様、何れであってもよいことを特定した。請求項10では、請求項3から5の加熱処理について、大気中、不活性ガス中、減圧中の何れかにおいて、結合用樹脂の少なくとも1種が溶融する温度で加熱する態様を特定した。これは例えば、PPSでは250〜400℃、熱可塑性PIでは300〜450℃に加熱することである。請求項11では、加熱した状態で圧縮成形を行い、離型された熱い圧粉体を大気中、不活性ガス中、減圧中の何れかにおいて、前記結合用樹脂の少なくとも1種が溶融する温度で加熱処理する態様、つまり加熱圧粉成形と圧粉体の加熱処理を連続して行うことを特定した。請求項12では、圧縮成形と共に加熱処理した圧粉磁心を、温度150〜320℃で加熱して安定化熱処理を施す態様を特定した。
以上説明したように、本願の各発明は、例えば、請求項1や2に特定されるごとく粒子径が10〜200μmの鉄粉、又は該鉄粉の表面に燐酸化合物被膜を施した鉄粉に、ポリフェニレンサルファイド及び熱可塑性ポリイミドの何れかか、ポリフェニレンサルファイド及び熱可塑性ポリイミドの混合物の形で、0.3〜0.75質量%含むものとしたことで、透磁率が高く、特に高周波領域で使用される場合に優れた特性を示し、また、温度が高い環境で使用される場合でも、固有抵抗及び耐熱強度が高いものであるから、用いられる装置の性能及び小型化に寄与でき、圧粉磁心の適用範囲を拡大することができる。
次に、以上の発明を実施の形態及び実施例により明らかにする。この説明では、まず、発明対象の磁性粉末、結合用樹脂及びその含有量、磁性粉末と樹脂の混合、圧縮成形、加熱処理、安定化熱処理について順に詳述する。その後、試験の代表的なものを実施例に挙げ利点を明らかにする。
(1.磁性粉末)
対象の鉄粉は、アトマイズ法、還元法等の各種製法による鉄粉を適用することができる。鉄粉の粒度は、要求される磁束密度及び使用される周波数領域により選択される。粒子径は一般に粉末冶金で使用される200μm以下を使用することができるが、圧縮性を考慮すると150μm以下である。鉄粉の粒子径が小さいほど過電流損失が小さくなり、高周波特性が向上するため、粒子径は100μm以下とすることがより好ましい。細かい粒子については特に限定しなくてもよいが、細かな粒子が多い粒度分布は、粉末圧縮性及び粉末流動性が悪くなり、高密度な圧粉磁心が得られないため、粒子径10μm以上の粉末とすることが好ましい。
燐酸化合物被膜を表面に施した鉄粉は、その被膜が絶縁層として作用し、鉄粉粒子間の過電流発生を抑制する効果があり、結合用樹脂の存在によって、過電流の発生を抑制する効果がさらに高くなり、より高周波特性が向上する。被膜用燐酸化合物は、燐酸鉄、燐酸マンガン、燐酸亜鉛、リン酸カルシウム等が好適である。また、燐酸酸化合物被膜を表面に施した鉄粉の市販品でも差し支えない。この例としては、ヘガネス社製の鉄粉(商品名:Permite、或いはSomaloy)等が挙げられる。
(2.結合樹脂)
結合用樹脂としては、耐熱性に優れるPPS、熱可塑性PIもよい特性を示し好適である。圧粉磁心の使用される温度が180℃を越えるような環境であり、長時間にわたって使用されると、圧粉磁心の形状、寸法に経時変化を生じたり、見掛けの絶縁性能が低下する虞がある。その理由は、前者は圧縮成形時に生じる複雑な残留応力があるものと考えられること、後者は高温環境により、磁性粉末間の絶縁樹脂の厚さが減少する可能性が考えられる。このような虞には、前記PPS又は熱可塑性PIに、これらよりガラス転移点が高い樹脂を混合すると、特性が改善される。これは、磁性粒子(鉄粒子)間の樹脂が、熱特性が異なる複合状態であるため、使用中の変形や移動を生じ難くしているものと考えられる。ガラス転移点が高い樹脂の含有量は、主体となるPPS又は熱可塑性PIの量を超えない範囲とされる。PPSに熱可塑性PIを混合することも、この技術思想と同じことである。
(3.結合樹脂の含有量)
結合用樹脂の含有量は、全質量の0.3〜0.75質量%の範囲が好適である。0.3質量%未満では、磁性粉末の粒子が結合及び絶縁する効果が少なく、圧粉磁心の強度が不十分となり、磁性粉末間の絶縁性が悪いものとなる。また、結合用樹脂の含有量が1質量%、より厳密には樹脂の含有量が0.75質量%を越えると、圧粉磁心の強度及び絶縁性が高いものとなる反面、圧粉磁心に占める磁性粒子の占有率が低くなり、磁性粒子の密度が低いものとなるため、高い磁束密度及び透磁率が得られなくなる。
透磁率との関係において、50Hz程度の低周波数領域では樹脂の含有量が多いものほど低くなる。5kHz程度の高い周波数の領域では、樹脂を含まないものは低周波領域における透磁率よりはるかに低い値を示し、これに比べて、樹脂含有量が0.3質量%近傍で透磁率が最大値を示して低周波における透磁率とほぼ同じ値となる。樹脂含有量がさらに増加すると、低周波の場合の透磁率と同様に、次第に低下していき、樹脂含有量が1質量%、より厳密には樹脂の含有量が0.75質量%を越えると、樹脂を含まない場合の透磁率の値とほぼ同じかそれより低くなる。このような樹脂量と透磁率の関係からも、結合用樹脂の含有量は、0.3〜0.75質量%が最適となる。樹脂含有量は、0.3質量%近傍が特に好ましい。また、密度は7.35g/cm 以上であることが望ましい。
(4.磁性粉末と結合用樹脂の混合)
結合用樹脂は、磁性粉粒子間を絶縁し、過電流の発生を抑制する。燐酸化合物被膜を施した鉄粉は、粉末圧縮成形の際に剥離や脱落によって、燐酸化合物による絶縁が破られる虞があるが、結合用樹脂の存在によって保護され、より過電流の発生を抑制することができる。
結合用樹脂は粉末の形で混合することができる。その際は、磁性粉末の粒度分布と同等又は細かめとすると、混合状態が良好になり、耐熱性も向上する。磁性粉末間の絶縁性を向上させるためには、60μm以下の粒度とすることが好ましい。また、結合用樹脂に、n−メチル−2−ピロリドン等の極性が強い有機溶剤を添加して低粘度化させておき、流動層式又は撹拌混合式のコーティング装置を用いて、鉄粉に必要な量のコーティングを行ったのち、乾燥する方法も好ましい。
また、有機溶剤を含む結合用樹脂を、前記した場合より少ない樹脂量でコーティングしたのち乾燥して、樹脂被覆粉末を作り、この樹脂被覆粉末に結合用樹脂の粉末を混合する方法としてもよい。有機溶剤を含む結合用樹脂を用いて得られる樹脂被膜は、絶縁性能がより優れたものとなる。樹脂の膜厚は、20nm以上であると過電流の発生が少なくなる。膜厚20nmの樹脂被膜を得るには、おおよそ樹脂量0.15質量%程度となる樹脂溶液が混合される。一方、樹脂膜厚が200nmを越えると、粉末の圧縮性が悪くなり、その結果、磁気特性の不十分な圧粉磁心になる。樹脂を被覆した磁性粉末に、追加で結合用樹脂粉末を混合すると、被覆樹脂が保護され、より優れた磁性特性が得られる。
(5.圧縮成形)
樹脂被覆磁性粉末は金型を用いて圧縮成形される。圧縮成形のとき、圧縮性向上や圧粉体抜き出し摩擦の低減のために、金型面に粉末冶金で通常用いられるステアリン酸亜鉛やエチレンビスステアロアマイド等の成形潤滑剤粉末を静電塗布等により予め塗布しておくことが望ましい。また、より高い密度に成形するには、結合用樹脂が溶融しない温度に加熱した状態で行う態様、混合粉や樹脂被膜鉄粉を加熱しない状態で1次圧縮成形した後、結合用樹脂が溶融しない温度に加熱した状態で2次圧縮成形を行う態様、更に結合用樹脂が軟化する温度から溶融する温度まで加熱した状態で圧縮形成を行う態様で行うことである。なお、成形後処理としては、成形したのち、常温まで冷却して、以降に述べる加熱処理を行う方法としてもよいが、成形したのち、成形体が熱いままで加熱処理へ移行する方法とすれば熱エネルギーと冷却時間を省くことができるので、合理的である。
(6.加熱処理)
加熱処理は、結合用樹脂を溶融させ、さらに結合用樹脂の結晶化による樹脂特性の安定化を図る工程である。加熱温度、加熱時間は使用する樹脂の種類により選定される。温度は、樹脂の融点から樹脂が熱劣化しない範囲であり、PPSでは250〜400℃、熱可塑性PIでは300〜450℃とされる。加熱時間は一般的に約0.5〜1時間程度である。
加熱時の雰囲気は大気中で行うことができる。但し、大気中の酸素の存在は、樹脂の強度低下、機械的特性の低下を生じる虞が考えられる。これは、酸素の存在によって、樹脂の重合反応が進行し、ガス状の縮合物が発生しやすくなり、樹脂内に気泡として残存することも起こり得るからである。そのため、より好ましくは、大気中での加熱に先立ち、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気中で加熱される。また、減圧された雰囲気中で加熱すると、雰囲気の酸素量が減少すると共に、ガス状の縮合物をより樹脂から放出させることができる。これら雰囲気は、適宜組み合わせることができる。加熱処理の冷却過程では、温度320〜150℃程度の領域において時間をかけて冷却すると、以下に述べる安定化熱処理を兼ねることができる。
(7.安定化熱処理)
安定化熱処理を行うと、結合用樹脂の特性を安定化し、圧粉磁心を高い温度で使用したとき、経時変化を生じ難いものとすることができる。この場合、前記加熱処理を行い、一旦、冷却したのち、150〜320℃程度で1〜2時間程度加熱される。また、前記加熱処理の冷却過程で、320〜150℃程度の温度領域で1〜2時間保持する方法によることができる。
次に、本発明の実施例と比較例により、発明構成及び利点を明らかにする。
(1)準備した粉末は次の(1)〜(8)の8種類である。
(1).アトマイズ鉄粉:これは「ヘガネス社製、品番:ABC100.30,」粒度が150μm以下のものである(以下、純鉄粉と記す)。
(2).燐酸被膜処理アトマイズ鉄粉:これは「ヘガネス社製、品番:Somaloy500、」粒度が150μm以下のものである(以下、被膜形成鉄粉と記す)。
(3).熱可塑性ポリアミド樹脂(以下、ポリアミドと記す)入り燐酸被膜処理アトマイズ鉄粉:これは「ヘガネス社製の市販粉末」、燐酸被膜処理アトマイズ鉄粉(Somaloy500)に熱可塑性ポリアミドを0.6質量%混合したものである。
(4).PPS粉末:これは「大日本インキ製」粒度が150μm以下(−150μm)のもの、60μm以下(−60μm)のものである(以下、PPSと記す)。
(5).熱可塑性ポリイミド粉末:これは「三井化学製」、粒度が150μm以下(−150μm)のものと、及び60μm以下(−60μm)のものである(以下、熱可塑性PIと記す)。
(6).熱硬化性フェノール樹脂粉末:これは「大日本インキ製」、粒度が150μm以下(−150μm)のものである(以下、フェノールと記す)。
(7).ステアリン酸亜鉛粉:これは一般に使用されている成形型用潤滑剤である。
(2)「実施例1」樹脂の含有量と圧粉磁心の実効透磁率
前記被膜処理鉄粉にPPS(−150μm)を所定量(全質量%で、0%、0.15%、0.3%、0.45%、0.6%、0.75%、1.0%、1.2%となるよう)混合し、ステアリン酸亜鉛粉を塗布した金型を用い、混合粉を成形圧力1470MPaでリング形状(φ10×φ23×5mm)に圧縮成形した。成形体は、空気中で温度320℃で1時間加熱したのち、温度240℃で1時間加熱して、冷却することにより圧粉磁心を得た。なお、PPSを含まないものは純圧粉体である。
実効透磁率は、B−Hアナライザーにより測定した。周波数は、50Hz及び5000Hzで、印加磁束密度は1T(テスラー)である。実効透磁率の測定結果は図1の通りである。即ち、50Hzにおける実効透磁率は、樹脂含有量の増加に対してほぼ直線的に低下している。一方、5000Hzにおける実効透磁率は、PPSを含まないものは低く、PPS含有量が0.3質量%近傍で最大値となり、50Hzの場合とほぼ同等の実効透磁率を示す。それ以上のPPS含有量では、50Hzの場合とほぼ同等の実効透磁率を示して緩やかに低下しており、PPS含有量が0.75質量%1のときにPPSを含まない圧粉磁心の値より若干高く、PPS含有量が1.0質量%のときにPPSを含まない圧粉磁心の値とほぼ同じになっている。なお、樹脂がPPSの例を挙げたが、他の樹脂粉末の場合でも同様な傾向となる。
以上のことから、発明の樹脂含有量に関し、樹脂含有量の少ない領域では、実効透磁率の平均変化率が大きく、かつ低周波数と高周波数との実効透磁率の差が大きいので、樹脂含有量は実効透磁率が最大かつ低周波数と高周波数の場合の差がない0.3質量%以上とした。樹脂含有量の多い側では、樹脂を含まない圧粉磁心の実効透磁率より若干高い0.75質量%以下の樹脂含有量とした。
(3)「実施例2」純鉄粉を用いた樹脂の種類と圧粉磁心の耐熱性
前記純鉄粉に各樹脂粉末を所定量添加し、V型混合機で混合した。樹脂粉末の混合割合は表2に示す通りである。PPS及び熱可塑性PIは粒度が−150μmのものを用いた。
Figure 2006310873
各混合粉は、成形圧力1470MPaで円柱(φ23×5mm)及び円筒形状(φ10×φ23×10mm)に圧縮成形した。成形では、金型の内壁面に予めステアリン酸亜鉛を静電塗布しておき、混合粉を充填及び圧粉した。成形体の加熱処理温度は、樹脂がPPSを含むもの、及び熱可塑性PIを含むものは320℃、フェノールを含むものは150℃とし、窒素ガス雰囲気中でそれぞれ1時間加熱した。安定化熱処理は、樹脂がPPS及び熱可塑性PIを含むものについて行い、大気中で、240℃で1時間加熱した。
円柱形状(φ23×5mm)の各試料は、5×23×5mmの角柱形状に切削加工し、絶縁性能評価に供した。絶縁性能評価は、温度200℃の恒温層中で、100時間加熱したのち、四端子法(試料両端に直流電流を流し、その間に2端子を接して電気抵抗を測定)による見掛け固有抵抗値を測定し、加熱する前の値に対する低下率で評価した。また、円筒形状(φ10×φ23×10mm)の各試料については圧環強度値を測定した。圧環強度は室温及び温度200℃において、圧縮速度毎分0.5mmで圧縮して破壊するまでの最大荷重である。表3に見掛け固有抵抗、室温及び200℃の圧環強度の測定結果を示した。
Figure 2006310873
(評価)見掛け固有抵抗は、樹脂の含有量の増加によって一次関数的に上昇する。樹脂含有量が0.3質量%と0.75質量%では見掛け固有抵抗が異なるが、圧粉磁心の用途によってそれぞれ実用できるものである。樹脂の種類による加熱前後の見掛け固有抵抗をみると、PPSを含むもの(試料A1〜A3)は樹脂含有量が変わっても加熱前後の変化量がほぼ同じで、低下率(変化率)では樹脂含有量が多いほど少なくなっている。熱可塑性PIを含むもの(試料A4)でも同じなっている。これらに比べて、フェノールを含むもの(試料A7)は、加熱前の見掛け固有抵抗はPPS等を含むものより高いが、加熱後の変化量がきわめて多く、加熱後の見掛け固有抵抗が著しく低いものとなっている。
圧環強度は樹脂含有量が多いほど低くなる。室温と200℃との差は、PPSを含むもの(試料A1〜A3)及び熱可塑性PIを含むもの(試料A4)共にほぼ同じであるが、フェノールを含むもの(試料A7)は、室温の強度も低いが、200℃における強度が著しく低いものとなっている。
(4)「実施例3」被膜形成鉄粉を用いた樹脂の種類と圧粉磁心の耐熱性
前記被膜形成鉄粉に、表4に示す各樹脂を所定量添加した混合粉を作製した。なお、試料B16のポリアミドは上記した燐酸被膜処理アトマイズ鉄粉(Somaloy500)にポリアミドを0.6質量%混合した市販粉末である。試料B13は、PPSに有機溶剤としてn−メチル−2−ピロリドンを添加した液を被膜形成鉄粉に加えて混合し、乾燥してPPS含有量が0.15質量%で被覆された磁性粉末としたのち、更にPPSを混合してPPS含有量を0.6質量%とした混合粉である。それ以外の混合粉は、被膜形成鉄粉に樹脂の粉末を添加し、V型混合機で混合した。試料B14〜16は比較例である。各混合粉は、前記実施例2と同様な条件で円柱(φ23×5mm)及び円筒形状(φ10×φ23×10mm)に圧縮成形した。
成形体の加熱処理温度は、樹脂がPPS及び熱可塑性PIを含むものは320℃、フェノールを含むものは150℃、ポリアミドを含むものは275℃とし、窒素ガス雰囲気中でそれぞれ1時間加熱した。なお、試料B12については空気中で行った。安定化熱処理は、樹脂がPPS及び熱可塑性PIを含むものについて行い、温度240℃で1時間加熱した。
Figure 2006310873
前記実施例2と同様な方法で、温度200℃で100時間加熱したのちの見掛け固有抵抗値と、室温及び温度200℃における圧環強度を測定した。測定結果は表4のと通りである。
Figure 2006310873
(評価)見掛け固有抵抗は、純鉄粉を用いた圧粉磁心より高い。燐酸化合物被膜があるだけ、鉄粉粒子の絶縁がよくなっていることが分かる。樹脂の含有量の増加によって一次関数的に上昇することは、純鉄粉のものと同様である。樹脂の種類による加熱前後の見掛け固有抵抗をみると、PPSを含むものは樹脂含有量に係わらず、変化量がほぼ同じであり、低下率(変化率)では樹脂含有量が多いほど少なくなる。また、粒度が−150μmのPPS、このPPSと熱可塑性PIとの混合物のもの、粒度が−150μmの熱可塑性PIのものは、ほぼ同じ特性を示す。
PPSも熱可塑性PIも添加した粉末の粒度を−60μmとしたものは、加熱前後ともに粒度−150μmのものより高くなっている。試料B13のPPSを湿式混合して被覆し、PPSを混合したものは、粉末で混合したものより、僅かに見掛け固有抵抗が高い。試料B13の加熱処理を空気中で行ったものは、加熱による見掛け固有抵抗の低下が大きいが、窒素ガス中加熱より高い値を示している。これらに比べて、フェノールを含むもの(試料B15)及びポリアミドのもの(試料B16)は、初期値が低く、加熱した低下量が大きくなっている。また、ポリアミドだけを含むもの(試料B16)では、加熱による低下量は少ないが、低い値を示している。
圧環強度は、純鉄粉の場合と殆ど同じ水準で、樹脂含有量との関係及び200℃に加熱したときの低下量共に同じ傾向を示している。圧環強度においては、樹脂粉末の粒度の影響、樹脂の湿式被覆、加熱処理の雰囲気中の違いに差は認められない。PPS系及び熱可塑性PI系に比べて、フェノールを含むもの及びポリアミドのものは初期値が低く、加熱したときの低下量が大きいこと、見掛け固有抵抗の場合の序列と同じになっている。
燐酸化合物被覆鉄粉をPPS樹脂で結合した圧粉磁心の樹脂含有量と実効透磁率の関係を示すグラフである。

Claims (12)

  1. 粒子径が10〜200μmの鉄粉、又は該鉄粉の表面に燐酸化合物被膜を施した鉄粉を樹脂で結合した圧粉磁心において、前記結合用樹脂はポリフェニレンサルファイド及び熱可塑性ポリイミドの何れかであり、樹脂含有量が全質量の0.3〜0.75質量%となっている、ことを特徴とする圧粉磁心。
  2. 粒子径が10〜200μmの鉄粉、又は該鉄粉の表面に燐酸化合物被膜を施した鉄粉を樹脂で結合した圧粉磁心において、前記結合用樹脂はポリフェニレンサルファイド及び熱可塑性ポリイミドの混合物であり、樹脂含有量が全質量の0.3〜0.75質量%となっている、ことを特徴とする圧粉磁心。
  3. 粒子径が10〜200μmの鉄粉、又は該鉄粉の表面に燐酸化合物被膜を施した鉄粉に、下記(1)から(3)に記載の何れかの結合用樹脂粉末を質量比で0.3〜0.75質量%混合し、この混合粉を圧縮成形すると共に加熱処理することを特徴とする圧粉磁心の製造方法。
    (1)ポリフェニレンサルファイド(以下、PPSという)
    (2)熱可塑性ポリイミド
    (3)前記PPSと熱可塑性ポリイミドの混合物
  4. 粒子径が10〜200μmの鉄粉、又は該鉄粉の表面に燐酸化合物被膜を施した鉄粉に、請求項3に記載の(1)〜(3)の何れかの結合用樹脂粉末を有機溶剤に溶解した液を混合したのち乾燥して、前記樹脂含有量が質量比で0.3〜0.75質量%である樹脂被覆鉄粉とし、前記樹脂被覆鉄粉を圧縮成形すると共に加熱処理することを特徴とする圧粉磁心の製造方法。
  5. 粒子径が10〜200μmの鉄粉、又は該鉄粉の表面に燐酸化合物被膜を施した鉄粉に、請求項3に記載の(1)〜(3)の何れかの結合用樹脂粉末を有機溶剤に溶解した液を混合したのち乾燥して、樹脂含有量が質量比で、0.3質量%以下である樹脂被覆鉄粉とし、前記樹脂被覆鉄粉に前記結合用樹脂粉末の何れかを添加して前記樹脂の全量を質量比で0.3〜0.75質量%とし、この混合粉を圧縮成形すると共に加熱処理することを特徴とする圧粉磁心の製造方法。
  6. 前記結合用樹脂粉末が粒度1〜150μmのものを用いる請求項3または5に記載の圧粉磁心の製造方法。
  7. 前記混合粉又は樹脂被覆鉄粉の圧縮成形は、前記結合用樹脂が溶融しない温度に加熱した状態で行う請求項3から6の何れかに記載の圧粉磁心の製造方法。
  8. 前記混合粉又は樹脂被覆鉄粉の圧縮成形は、加熱しない状態で1次圧縮成形を行ったのち、前記結合用樹脂が溶融しない温度に加熱した状態で2次圧縮成形を行う請求項3から6の何れかに記載の圧粉磁心の製造方法。
  9. 前記混合粉又は樹脂被覆鉄粉の圧縮成形は、前記結合用樹脂が軟化又は溶融する温度に加熱した状態で行う請求項3から6の何れかに記載の圧粉磁心の製造方法。
  10. 前記加熱処理は、大気中、不活性ガス中、減圧中の何れかにおいて、前記結合用樹脂の少なくとも1種が溶融する温度で加熱する請求項3から5の何れかに記載の圧粉磁心の製造方法。
  11. 加熱した状態で圧縮成形を行い、離型された熱い圧粉体を大気中、不活性ガス中、減圧中の何れかにおいて、前記結合用樹脂の少なくとも1種が溶融する温度で加熱処理する請求項7から9の何れかに記載の圧粉磁心の製造方法。
  12. 前記圧縮成形と共に加熱処理した圧粉磁心を、温度150〜320℃で加熱する安定化熱処理を施す請求項3から11の何れかに記載の圧粉磁心の製造方法。

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