JP2017132118A - 血液・ウイルスバリア性積層布帛、及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】血液・ウイルスバリア性の耐久性及び耐剥離性に優れ、片面のみに布帛を配した場合も、耐摩耗性に優れた積層布帛の提供。【解決手段】ポリエステル系合成繊維を含む基布2の片面に、接着剤層3、防水膜4及び保護膜5がこの順に積層され、接着剤層3はポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を主成分として含有する硬化型接着剤を含み、かつ厚みが15〜50μmであり、防水膜4はポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部、及び架橋アクリル微粒子3〜30質量部を含有し、かつ厚みが7〜20μmであり、保護膜5はポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部、及び耐摩耗性向上剤8〜35質量部を含有し、厚みが1〜10μmである、血液・ウイルスバリア性積層布帛1。好ましくは、基布2の厚みが40〜100μmである、血液・ウイルスバリア積層性布帛。【選択図】図1

Description

本発明は、手術衣、無菌衣、又は手術用ドレープなどに好適な血液・ウイルスバリア性積層布帛、及びその製造方法に関する。
表地、樹脂膜及び裏地がこの順に積層された血液・ウイルスバリア性積層布帛が知られている。例えば、特許文献1には、表地用繊維布帛、乾式膜、湿式膜、接着剤層及び裏地用繊維布帛が、この順に積層された布帛が記載されている。また、特許文献2には、表地、第一接着剤層、微多孔質ポリテトラフルオロエチレンフィルム、第二接着剤層及び裏地が、この順に積層された布帛が記載されている。
特開2014−65226号公報 特開2014−121858号公報
特許文献1及び2に記載の積層布帛は、何れも初期の血液・ウイルスバリア性に優れるだけでなく、工業洗濯及び湿熱滅菌処理に対する耐久性にも優れる。そのため、手術衣又は手術用ドレープなどの医療用途に好適に使用される。さらに、これらは透湿性にも優れるため、手術衣などに快適な着用感を付与できる。
しかしながら、特許文献1及び2に記載の積層布帛は、表裏における布帛を必要とし、かつ製造工程が複雑であることから、製造コストが嵩む場合がある。また、着用快適性を向上させるために透湿性を発揮させえているが故に、過酷な着用、洗濯及び滅菌の繰り返しにより、血液・ウイルスバリアが通過しやすくなる危険性を孕んでいる。また、表裏の布帛が厚みと重量感とを与えてしまい、耐剥離性に劣るばかりか、軽量で取り扱い易い積層布帛が望まれる昨今の要望に、十分に応えられていない。ここで、軽量性を発現させるために片面のみに布帛を用いた場合は、耐摩耗性が不十分となってしまう
本発明は、上記従来技術の欠点を解消するものであり、簡易な操作で得られ、工業洗濯及び湿熱滅菌処理後においても血液・ウイルスバリア性を発揮し、さらに耐剥離性に優れ、片面のみに布帛を採用した場合であっても耐摩耗性に優れる積層布帛を提供することを課題とする。
本発明者らは、各々の厚み及び組成が特定のものである接着剤層、及び防水膜、並びに組成が特定のものである保護膜を、この順で基布上に積層することで、上記の課題を解決できることを初めて見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下の(1)〜(6)を要旨とする。
(1)ポリエステル系合成繊維を含む基布の片面に、接着剤層、防水膜及び保護膜がこの順に積層されて含まれる血液・ウイルスバリア性積層布帛であって、前記接着剤層はポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を主成分として含有する硬化型接着剤を含み、かつ厚みが15〜50μmであり、前記防水膜はポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部、及び架橋アクリル微粒子3〜30質量部を含有し、かつ厚みが7〜20μmであり、前記保護膜はポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部、及び耐摩耗性向上剤8〜35質量部を含有する、血液・ウイルスバリア性積層布帛。
(2)前記保護膜の厚みが1〜10μmである、(1)の血液・ウイルスバリア性積層布帛。
(3)前記基布の厚みが40〜100μmであり、前記接着剤層の厚みが前記基布の厚みに対し2/5以下である、(1)又は(2)の血液・ウイルスバリア性積層布帛。
(4)工業洗濯10回分と湿熱滅菌処理10回分との連続処理を1サイクルとして、10サイクル処理後に、ASTM F 1670−08B法に従って評価した人工血液バリア性の判定が合格である、(1)〜(3)の何れかの血液・ウイルスバリア性積層布帛。
(5)工業洗濯10回分と湿熱滅菌処理10回分との連続処理を1サイクルとして、10サイクル処理後に、ASTM F 1671−07B法に従って評価したウイルスバリア性の判定が合格である、(1)〜(4)の何れかの血液・ウイルスバリア性積層布帛。
(6)(1)〜(5)の何れか1項に記載の血液・ウイルスバリア性積層布帛を製造する方法であって、前記基布と前記防水膜とを、前記接着剤層で貼りあわせた後、前記防水膜上に前記保護膜を形成する、血液・ウイルスバリア性積層布帛の製造方法。
本発明の積層布帛は、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を主成分とする接着剤層、防水膜及び保護膜をこの順で基布上に積層するとともに、接着剤層に含まれる接着剤を硬化型とし、防水膜においてポリカーボネート系ポリウレタン樹脂との相溶性に優れ耐熱性向上にも寄与し得る架橋アクリル微粒子を特定の割合で含有させているために、本発明の積層布帛は、防水性、血液・ウイルスバリア性、工業洗濯及び湿熱滅菌処理の耐久性、並びに風合いに優れるとともに、基布と防水膜との接着性向上及び一体化が図られ耐剥離性に顕著に優れる。さらに本発明の積層布帛は、保護膜に耐摩耗性向上剤を特定の割合で含有させているために、表面の外観品位、タッチ感、及び耐摩耗性にも優れる。本発明の積層布帛は医療用衣服・資材一般に好適であり、特に手術衣、無菌衣、又は手術用ドレープなどの過酷な条件下での工業洗濯及び湿熱滅菌処理が施されるリユース素材において、好ましく使用できる。
本発明の血液・ウイルスバリア性積層布帛の態様を例示する模式図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の血液・ウイルスバリア性積層布帛(積層布帛)は、ポリエステル系合成繊維を含む基布、接着剤層、防水膜及び保護膜を有する。詳しくは、図1にて示されるように、本発明の血液・ウイルスバリア性積層布帛1は、基布2の片面に、接着剤層3、防水膜4及び保護膜5がこの順に積層されて含まれる。接着剤層、防水膜及び保護膜は、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を主成分として含む。
[基布]
基布としては、工業洗濯及び湿熱滅菌処理に耐え得る強度を有するものであれば、特に限定されないが、汎用性、及び高温かつ高圧下での耐湿熱性に優れるため、ポリエステル系合成繊維を主たる構成繊維とするものが好ましい。例えば、ポリエステル系合成繊維の混率が90質量%以上、好ましくは100質量%である基布が好ましい。また、軽量性及び風合いの観点から、基布の厚みは40〜100μmであることが好ましく、50〜90μmであることがより好ましい。
基布には、工業洗濯及び湿熱滅菌処理の耐久性を損なわない範囲で、ポリエステル系合成繊維以外の合成繊維(例えば、ナイロン6、ナイロン66のようなポリアミド系、ポリアクリルニトリル系、又はポリビニルアルコール系の合成繊維)が含まれていてもよい。基布の形態としては、織物(例えば、リップタフタ、ツイルなど)、編物、又は不織布などが挙げられる。基布には、撥水加工、カレンダー加工、制電加工又は抗菌加工などの公知の加工が施されていてもよい。
[防水膜]
防水膜は防水性に寄与するものであり、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を主たる成分として含み、さらに架橋アクリル微粒子を含有する。
(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂)
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂は、それ自体が耐熱性及び耐加水分解性などに優れる。そのため、本発明の積層布帛は、工業洗濯及び湿熱滅菌処理に対する耐久性に優れる。
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂としては、ポリカーボネートジオールと有機ポリイソシアネートとを原料とし、例えばワンショット法(ポリカーボネートジオール、有機ポリイソシアネート、及び鎖延長剤を、一括に仕込んで反応させる方法)、又はプレポリマー法(予めポリカーボネートジオールと有機ポリイソシアネートとを反応させ、次いで、鎖延長剤を加える方法)により得られる公知の樹脂が挙げられる。
ポリカーボネートジオールとしては、例えば、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどのアルキルジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、又は2−ペンチル,2−プロピル−1,3−プロパンジオールなどの2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオールのような1種又は2種以上のジオールと、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネートなどのジアリールカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのジアルキルカーボネート、エチレンカーボネート、又はテトラメチレンカーボネートなどのアルキレンカーボネートのような1種又は2種以上の炭酸ジエステルとのエステル交換反応により得られるものが挙げられる。なかでも、有機溶剤に対する溶解性、又は溶融樹脂としての粘性などの観点から、結晶性を低減させるために、ジオールとしては2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオールポリカーボネートジオールを主体とするものが好ましく、高圧下での湿熱滅菌処理に対する耐久性の観点から、炭酸ジエステルとしてはジアリールカーボネートを主体とするものが好ましい。
有機ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニールジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートが挙げられる。なかでも、高圧下での湿熱滅菌処理に対する耐久性の観点から、芳香族ジイソシアネートを主体とするものが好ましい。
鎖延長剤としては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレンジアミンなどが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂は、血液バリア性及びウイルスバリア性、並びに複数回の工業洗濯及び湿熱滅菌処理を施した場合のリユース性に優れるために、透湿性を有しないものであることが好ましい。
防水膜に含まれる樹脂(架橋アクリル微粒子以外の樹脂)としては、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂のみであってもよい。または、架橋アクリル微粒子との相溶性、耐熱性及び耐加水分解性(耐湿熱性)などに影響を与えない範囲で、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂に加えてその他の樹脂を含有させてもよい。その他の樹脂としては任意の樹脂が挙げられ、例えば、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリアクリル系樹脂などが挙げられる。耐湿熱性の観点から、防水膜を構成する全樹脂中、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の割合が70質量%以上であることが好ましい。
防水膜の厚みは7〜20μmであり、9〜18μmであることが好ましい。防水膜の厚みが7μm以上であると、基布の厚み又は組織等を問わずに防水性、及び血液・ウイルスバリア性の耐久性に優れる。防水膜の厚みが20μm以下であると、血液・ウイルスバリア性の耐久性及び風合いに優れる。
(架橋アクリル微粒子)
架橋アクリル微粒子は、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂との相溶性に優れるため、防水膜全体の耐久性を向上させる。架橋アクリル微粒子としては、例えば、アクリル酸エステル類、又はメタクリル酸エステル類などを主成分とする重合性モノマーと、架橋性モノマーとを重合反応することにより得られる微粒子が挙げられる。
アクリル酸エステル類としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられる。また、メタクリル酸エステル類としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチルなどが挙げられる。これらを単独で又は混合して用いることができる。
架橋性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールアクリレート、ジエチレングリコールアクリレート、ジプロピレングリコールアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、エチレングリコールメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、ジプロピレングリコールメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルアジペートなどのビニル系架橋性モノマー、ジアリルフタレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレートなどのアリル基含有架橋性モノマーなどが挙げられる。
架橋アクリル微粒子の製造方法の一例は、以下の通りである。上記重合性モノマー及び架橋性モノマーを混合し、無機又は有機過酸化物などの重合開始剤の存在下で、一般的な懸濁重合法、ミクロ懸濁重合法、乳化重合法、又は分散重合法などを採用して製造することができる。
架橋アクリル微粒子の形状は、特に限定されるものでないが、血液・ウイルスバリア性又は防水性(耐水圧)の観点から、球状が好ましい。また、架橋アクリル微粒子の粒子径は0.1〜20μmが好ましく、1〜15μmがより好ましい。0.1μm以上であると取扱性に優れ、防水膜中に均一に分散させ易くなり架橋アクリル微粒子の含有効果がより効果的に発現する。0.1〜20μm以下であると、防水膜中での分散性がより良好となり防水性の低下をいっそう抑制できる。
防水膜における架橋アクリル微粒子の含有量は、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部に対して3〜30質量部であり、6〜25質量部が好ましい。3質量部以上であると耐熱性及び耐湿熱性に優れ、さらにタック感(粘着性)が強い樹脂系においても粘着性を適切に抑制することができ、取扱性及び巻取性が良好となる。30質量部以下であると、接着剤層を介した基布との接着性に優れるため一体化が容易となり、工業洗濯及び湿熱滅菌処理の多サイクルの処理が施された場合であっても耐剥離性に優れ、さらに風合いも良好となる。さらに、30質量部を超えると防水膜中に凝集物が生じ易くなり、複数回(多サイクル)の工業洗濯及び湿熱滅菌処理が施された場合に、加圧下で膜破損の起点が発生しやすくなるため、血液・ウイルスバリア性に劣る場合がある。
[接着剤層]
接着剤層は、基布と防水膜とを接着して積層する。接着剤層に含まれる接着剤は、耐久性の点からポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を主成分とする。接着剤としては、ホットメルト型接着剤、又は溶剤型接着剤等の何れであってもよいが、接着性、工業洗濯及び湿熱滅菌処理後の耐久性、並びに耐剥離性に優れるために硬化型接着剤であることが必須である。ホットメルト型接着剤の好ましい態様としては、空気中の湿気で硬化する(湿気硬化型)接着剤、又は硬化剤とポリカーボネート系ポリウレタン樹脂とからなる2液型接着剤が挙げられる。
接着剤層は基布と防水膜との間の接着性を損なわないように形成されるものであればよく、部分的に形成されていてもよいし、全面に形成されていてもよいが、血液・ウイルスバリア性の観点からは全面、又はほぼ全面に形成されていることが好ましく、例えば、基布に対する面積比で40〜100%の範囲で形成されていることが好ましい。接着剤層が部分的に形成されている場合、その形状としては、点状、格子状、市松模様、又は亀甲型等が挙げられる。
接着剤層の厚みは15〜50μmであり、18〜40μmであることが好ましい。15μm以上であると接着力が十分となるため耐剥離性に優れる。50μm以下であると工業洗濯及び湿熱滅菌処理の耐久性に優れ、さらに風合いが良好となり可撓性に優れる積層布帛を得ることができる。
基布が薄地(例えば、40〜100μm程度)である場合、又は、例えば、経糸若しくは緯糸として繊度が22〜56dtexであるポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントを用いたタフタ、又はリップタフタなどである場合には、接着剤層の厚みは、基布の厚みに対し2/5以下とすることが好ましく、1/3以下とすることがより好ましい。接着剤層の厚みをこうした範囲とすることで、軽量性により優れるとともに引裂強力も良好なものとなり、さらに接着剤層を過度に厚くしないことで耐揉性にも優れる積層布帛が得られる。加えて、基布と接着剤層との間での負荷を受け難く、その結果、多サイクルの工業洗濯及び湿熱滅菌処理を施した場合であっても、接着剤層の部分的な剥離が抑制され、血液・ウイルスバリア性に優れるものとなる。なお、本発明でいう基布の厚みとは、接着剤層、防水膜、保護膜のような樹脂膜が形成されていない基布における平均的な厚みを言う。
[保護膜]
本発明の積層布帛においては、防水膜上に、防水性、耐剥離性、耐摩耗性、耐久性向上に寄与する保護膜が形成されている。保護膜は、耐熱性及び耐湿熱性に優れるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を主成分として含有し、さらに耐摩耗性向上剤を含有する。耐摩耗性向上剤は、保護膜表面において、滑り感、タッチ感及びマット感を向上させるとともに、耐摩耗性を向上させる。耐摩耗性向上剤の具体例としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、炭化カルシウム、架橋アクリル樹脂、架橋ポリスチレン樹脂、シリコーン樹脂、若しくはポリテトラフルオロエチレン等からなる微粒子、又はNε−ラウロイル−L−リジン等のような平板状の粉体物が挙げられる。なかでも、架橋アクリル樹脂若しくはポリテトラフルオロエチレンからなる微粒子、又はNε−ラウロイル−L−リジンが好ましく、架橋アクリル樹脂若しくはポリテトラフルオロエチレンからなる微粒子が特に好ましい。
耐摩耗性向上剤の含有量は、保護膜に含まれるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部に対して8〜35質量部であり、10〜30質量部が好ましい。8〜35質量部であると多サイクルの工業洗濯及び湿熱滅菌処理を施した場合であっても、耐摩耗性等に優れる。詳しくは、耐摩耗性向上剤の含有量が8質量部以上であると、工業洗濯及び湿熱滅菌処理の多サイクル処理後での耐久性、及び耐摩耗性に優れる。一方、35質量部以下であると、風合いが硬化せず、保護膜を形成するための組成物(保護膜形成用樹脂組成物)を塗布する際に塗布筋等の発生を抑制することができ、外観品位にも優れる。
保護膜の厚みは1〜10μmであることが好ましく、3〜7μmであることがより好ましい。保護膜の厚みが1μm以上であると、防水性、耐剥離性、耐摩耗性、耐熱性、耐湿熱性を発現させることができる。保護膜の厚みが10μm以下であると、特に基布が薄手生地であっても風合い硬化を抑制することができ、物性の向上が飽和することがないという利点がある。
[積層布帛の製造方法]
上記のような本発明の血液・ウイルスバリア性積層布帛の製造方法の一例について、以下に説明する。詳しくは、本発明の製造方法としては、まず基布と防水膜とを準備する。そして、基布と防水膜とを接着剤層を介して貼り合わせた後、防水膜上に保護膜を形成する。
防水膜の調製方法について以下に述べる。防水膜は防水膜形成用樹脂組成物(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂、架橋アクリル微粒子、及び有機溶剤などを含む組成物)を用いて調製される。防水膜形成用樹脂組成物においてホットメルトタイプの樹脂を使用する場合は、樹脂中に架橋アクリル微粒子を高濃度で混練させてマスターバッチを作成し、所望の組成となるように架橋アクリル微粒子、必要に応じてさらなる樹脂を混合することで防水膜形成用樹脂組成物を調製する。そして、Tダイなどを用いて厚みを調整しながら、この樹脂組成物を離型材(離型紙、離型布又は離型フィルム等)の表面にフィルム状に押出成形し防水膜を形成することができる。また、防水膜形成用樹脂組成物において溶液タイプの樹脂を使用する場合は、樹脂及び溶媒を混合させた混合物中に架橋アクリル微粒子を分散させ、粘度を所望する範囲に調整し防水膜形成用樹脂組成物を得た後、離型材上に、所望とする厚みになるように、例えばコンマコータなどを用いて塗布し、例えば80〜150℃で1〜5分間、乾燥することで、防水膜を形成することができる(乾式コーティング法)。離型材は、後述のように基布と防水膜とを貼合わせた後又は熟成した後に、適宜に取り除くことができる。
次に、基布、若しくは防水膜の何れかの片面、又は離型材が付与された防水膜における防水膜側の表面に、接着剤層を形成する。例えば、コンマロール、グラビアロール、ロータリースクリーンなどを用い、ホットメルトタイプの接着剤を用いる場合であれば、接着剤層形成用樹脂組成物(接着剤、硬化剤、有機溶剤及び触媒などを含む組成物)を基布又は防水膜の片面に塗布した後に冷却し、接着剤層を形成する。溶液タイプの接着剤を用いる場合であれば、接着剤層形成用樹脂組成物を基布又は防水膜の片面に塗布した後に、80〜150℃で1〜5分間乾燥させて接着剤層を形成する。又は、離型材付き防水膜の防水膜の上に、同様の方法で接着剤層を形成する。その後、接着剤層を介して基布と防水膜とを貼り合わせ、これらを圧着或いは熱圧着した後、常温〜40℃の温度で3〜7日間熟成させることができる。なお、接着剤層を基布表面ではなく防水膜表面に直接形成し、基布と防水膜とを貼り合わせる手法を採用すると、接着剤層形成用樹脂組成物を低粘度とした場合であっても、塗布時に基布を構成する繊維同士の空隙から漏れることがなく、また基布表面の凹凸によらず塗布が容易であるという利点がある。
次に、防水膜上に保護膜を形成する。薄膜形成に適した公知の方法(例えば、ナイフコーティング法など)により、防水膜上に保護膜形成用樹脂組成物(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂、耐摩耗性向上剤、及び有機溶剤などを含む組成物)を塗布し、50〜150℃の温度で30秒〜5分間乾燥させることにより保護膜を形成し、本発明の積層布帛を得ることができる。その後、例えば150〜180℃の温度で、30秒〜3分間の熱処理を行ってもよい。
本発明の積層布帛は、工業洗濯及び湿熱滅菌処理を繰り返した後においても、優れた血液・ウイルスバリア性及び耐剥離性が維持され、さらに、風合い、表面のタッチ感、耐摩耗性、及び外観品位にも優れるものである。そのため、医療用衣服・資材一般に好適であり、とりわけ手術衣、無菌衣、又は手術用ドレープなどに好適に用いられる。
以下、実施例に従って本発明を具体的に説明する。本発明はこの実施例に限定されない。
(実施例1)
経糸及び緯糸としてポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント(84dtex72f)を用い、2/2ツイル織物(経糸密度170本/2.54cm、緯糸密度100本/2.54cm)を製織した。この織物を日華化学株式会社の製精練剤「サンモールFL(商品名)」を1g/L使用して、80℃で20分間精練した。
精練後の織物をフッ素系撥水剤エマルジョンの水分散液(濃度6質量%)にパディングし、ウェットピックアップ率を40%に調整した後、乾燥させた。さらに170℃で40秒間熱処理させて、基布(厚み150μm)とした。
次に、下記処方1の防水膜形成用樹脂組成物(粘度5000mPa・s/25℃、固形分質量21%)を調液し、経時で自然脱泡させた後、離型紙(リンテック株式会社製、「130TPD」)の離型面に、コンマコータにて70g/mの塗布量で塗布した。次いで90℃で5分間乾燥させて、厚みが15μmの防水膜(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部に対して架橋アクリル微粒子を17質量部含有)を形成した。
<処方1>
レザミンCUS−1500 100質量部
(大日精化工業株式会社製、固形分30質量%のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂)
MR−7GC 5質量部
(綜研化学株式会社製、球状で平均粒子径6μmの架橋アクリル微粒子)
トルエン 45質量部
メチルエチルケトン 15質量部
次いで、基布と防水膜とを貼り合わせた。
詳しくは、まず下記処方2の接着剤層形成用樹脂組成物(粘度3500mPa・s/25℃、固形分52質量%)を調液した後、離型紙付き防水膜の防水膜表面に、コンマコータにて塗布量65g/mにて塗布し、90℃で3分間乾燥させた。これにより、厚みが35μmの接着剤層を形成した(接着剤層の厚み/基布の厚み=7/30)。接着剤層と基布とを貼り合わせた後、温度80℃、圧力300kPaで熱圧着し、40℃で4日間の熟成を行って接着剤層を硬化させた。
<処方2>
ラックスキンUD4233−1 100質量部
(セイコー化成株式会社製、固形分60質量%のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂)
U−4000 10質量部
(セイコー化成株式会社製、イソシアネート系硬化剤)
UY−5 1質量部
(セイコー化成株式会社製、ジオクチルチン系触媒)
メチルエチルケトン 12質量部
N,N−ジメチルホルムアミド 12質量部
硬化後に離型紙を剥離し、下記処方3の保護膜形成用樹脂組成物(粘度2500mPa・s/25℃、固形分20質量%)を調液し、防水膜表面に、ナイフコータにて、塗布量25g/mで塗布した。次いで、100℃で3分間乾燥させることで、厚みが5μmの保護膜(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部に対して、耐摩耗性向上剤であるNε−ラウロイル−L−リジンの白色結晶性粉体及びKMR−3TAを、それぞれ10質量部含有)を形成した。続いて、170℃で1分間のセット加工を行い、実施例1の血液・ウイルスバリア性積層布帛を得た。
<処方3>
レザミンCUS−1500 100質量部
(大日精化工業株式会社製、固形分30質量%のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂)
アミホープLL 3質量部
(味の素株式会社製、耐摩耗性向上剤としての薄片状Nε−ラウロイル−L−リジンの白色結晶性粉体)
KMR−3TA 3質量部
(綜研化学株式会社製、耐摩耗性向上剤としての球状で平均粒子径3μmの架橋アクリル微粒子)
メチルエチルケトン 70質量部
(実施例2)
経糸及び緯糸としてポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント(44dtex48f)を用い、平組織織物(経糸密度160本/2.54cm、緯糸密度120本/2.54cm)を製織した。続いて、この織物を日華化学株式会社製の精練剤「サンモールFL(商品名)」1g/Lを使用し、80℃で20分間精練した。精練後の織物を、ダイスタージャパン株式会社製の分散染料「Dianix Blue UN−SE(商品名)」を0.5%omf使用して130℃で30分間染色した。
染色後の織物をフッ素系撥水剤エマルジョンの水分散液(濃度7質量%)にパディングし、ウェットピックアップ率を30%に調整した後、乾燥した。さらに170℃で40秒間熱処理することで、基布(厚み70μm)を得た。
次に、下記処方4の防水膜形成用樹脂組成物(粘度4500mPa・s/25℃、固形分質量20%)を調液し、経時で自然脱泡させた後、離型紙(リンテック株式会社製、「130TPD」)の離型面にコンマコータにて塗布量50g/mにて塗布した。次いで、90℃で5分間乾燥させて、厚みが11μmの防水膜(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部に対して架橋アクリル微粒子を10質量部含有)を形成した。
<処方4>
レザミンCUS−1500 100質量部
(大日精化工業株式会社製、固形分30質量%のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂)
MR−2G 3質量部
(綜研化学株式会社製、球状で平均粒子径が1μmの架橋アクリル微粒子)
トルエン 50質量部
メチルエチルケトン 15質量部
続いて、基布と防水膜とを貼り合わせた。
まず、下記処方5の接着剤形成用樹脂組成物(粘度2500mPa・s/25℃、固形分濃度48質量%)を調液し、離型紙付き防水膜の防水膜表面にコンマコータにて塗布量55g/mにて塗布し、90℃で3分間の乾燥により、厚みが20μmの接着剤層(接着剤層の厚み/基布の厚み=2/7)を形成した。その後、接着剤層を介して基布と防水膜とを積層し、温度80℃、圧力300kPaで熱圧着し、40℃で3日間の熟成を行い、接着剤層を硬化させた。
<処方5>
ラックスキンUD4233−1 100質量部
(セイコー化成株式会社製、固形分60質量%のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂)
U-4000 10質量部
(セイコー化成株式会社製、イソシアネート系硬化剤)
UY−5 1質量部
(セイコー化成株式会社製、ジオクチルチン系触媒)
メチルエチルケトン 20質量部
N,N−ジメチルホルムアミド 15質量部
次いで硬化後に離型紙を剥離した後、実施例1と同様の手法により保護膜(厚み5μm)を形成し、実施例2の血液・ウイルスバリア性積層布帛を得た。
(実施例3)
処方3の保護膜形成用樹脂組成物を、下記処方6(粘度4000mPa・s/25℃、固形分21質量%)の保護膜形成用樹脂組成物に変えて、厚みが6μmの保護膜(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部に対して、ポリテトラフルオロエチレン微粒子を27質量部含有)を形成した以外は、実施例2と同様の手法により、実施例3の血液・ウイルスバリア性積層布帛を得た。
<処方6>
レザミンCUS−1500 100質量部
(大日精化工業株式会社製、固形分30質量%のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂)
Fluon L173JE 8質量部
(旭硝子株式会社製、耐摩耗性向上剤としての一次粒子径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン微粒子)
トルエン 60質量部
メチルエチルケトン 20質量部
(実施例4)
処方6の保護膜形成用樹脂組成物の塗布量を55g/mに変更し、厚みが12μmの保護膜を形成した以外は、実施例3と同様の手法により、実施例4の積層布帛を得た。
(比較例1)
実施例1において、処方2の接着剤層形成用樹脂組成物の塗布量を20g/mに変更し、接着剤層の厚みを11μmとした以外は、実施例1と同様の手法により、比較例1の積層布帛を得た。
(比較例2)
実施例1において、処方2の接着剤層形成用樹脂組成物の塗布量を100g/mに変更し、接着剤層の厚みを55μmとした以外は、実施例1と同様の手法により、比較例2の積層布帛を得た。
(比較例3)
実施例1において、処方1の防水膜形成用樹脂組成物の塗布量を20g/mに変更し、防水膜の厚みを5μmとした以外は、実施例1と同様の手法により、比較例3の積層布帛を得た。
(比較例4)
実施例1において、処方1の防水膜形成用樹脂組成物の塗布量を110g/mに変更し、防水膜の厚みを25μmとした以外は、実施例1と同様の手法により、比較例4の積層布帛を得た。
(比較例5)
実施例1において、処方1の防水膜形成用樹脂組成物においてMR−7GC(架橋アクリル微粒子)を用いずに防水膜を形成しようとした。しかし、タック感が強過ぎて巻き取れなかったため、その後の工程に付することができず、積層布帛を得ることができなかった。
(比較例6)
実施例1において、処方1の防水膜形成用樹脂組成物におけるMR−7GC(架橋アクリル微粒子)の含有量を10質量部に変更し、防水膜(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部に対して架橋アクリル微粒子を33質量部含有)形成した以外は、実施例1と同様の手法により、比較例6の積層布帛を得た。
(比較例7)
実施例2において、保護膜を形成しなかった以外は実施例2と同様の手法により、比較例7の積層布帛を得た。
(比較例8)
処方6の保護膜形成用樹脂組成物において、Fluon L173JE(耐摩耗向上剤)の含有量を2質量部に変更し、保護膜(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部に対して耐摩耗向上剤を7質量部含有)を形成した以外は、実施例2と同様の手法により、比較例8の積層布帛を得た。
(比較例9)
処方6の保護膜形成用樹脂組成物において、Fluon L173JEの量を12質量部に変更し、保護膜(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部に対して耐摩耗向上剤を40質量部含有)を形成した以外は、実施例2と同様の方法により、比較例9の積層布帛を得た。
(比較例10)
処方2の接着剤層形成用樹脂組成物において、U−4000(イソシアネート系硬化剤)を含有させなかった以外は、実施例1と同様の手法により、比較例10の積層布帛を得た。
実施例及び比較例で得られた積層布帛について、以下の方法による連続処理を行い、各々の物性を測定又は評価した。
[工業洗濯]
工業洗濯機(株式会社大栄科学精器製作所製、型式;WS−1SE)を用いて、標準的な1回分の洗濯条件「73℃×20分間」を下記条件に変更し、10回分の洗濯とした。
浴比;1:40(1.5kg:60L)
洗剤;ピュア−石鹸(株式会社不動化学製)1g/L、苛性ソーダ0.08g/Lを添加し、pH値を10に調整したものを用いた。
工程;洗い(73℃×200分間)→湯洗(40℃×30分間)→オーバーフローすすぎ(常温×15分間)→脱水→タンブル乾燥(60℃×20分間)
[湿熱滅菌処理]
高圧蒸気滅菌器(株式会社平山製作所製、「HV50型」)を用いて、標準的な1回分の滅菌条件「135℃×8分間」を「135℃×80分間」に変更し、10回分の湿熱滅菌処理とした。
[連続処理]
前記工業洗濯10回分と前記湿熱滅菌処理10回分との連続処理を、1サイクル(10回分)として処理を行った。
(1)耐水圧(防水性の耐久性)
JIS L 1092(高水圧法)に基づいて測定した。なお、防水性の耐久性評価を、10サイクル処理後の耐水圧の値により行った。
(2)耐摩耗性
JIS L 0849に従って評価した。試験片を幅15cmかつ長さ30cmの大きさに切り出し、摩擦試験機2型の試験片台上に平行に取り付け、4辺をガムテープで固定した。擦子先端に綿布(JIS L 0803規定の3号綿布)を装着して、1.96Nの力で保護膜表面を500回摩耗し、下記基準に基づいて目視評価した。
◎:摩耗損傷がほとんど目立たない。
○:摩耗損傷が少し目立つ。
△:摩耗損傷しているものの、大きく目立つ損傷は認められない。
△−×:損傷が目立つ。
×:摩耗損傷が大きく、膜に穴があくほどの損傷が認められる。
(3)風合い
得られた積層布帛に対しハンドリングにて、下記基準に基づいて評価した。
◎:ラミネート商品でありながら風合いが極めて良好である。
○:ラミネート商品でありながら風合いが良好である。
△:ラミネート商品として風合いが普通である。
△-×:ラミネート商品としてやや硬い。
×:ラミネート商品としては硬く、明らかに風合いに劣っている
(4)外観品位
得られた積層布帛の保護膜面の外観を、下記基準に基づいて評価した。
○:外観品位が極めて良好。
△:外観品位が良好。
×:塗布筋が目立つ。
(5)連続処理後の剥離状況(耐剥離性)
10サイクル(10Cとも表記する)の連続処理を行い、下記基準に基づき目視判定し、耐剥離性の評価とした。
◎:剥離なし。
○:部分的に少し剥離した。
△:部分的に剥離した。
△−×:ほぼ全面剥離した。
×:全面剥離した。
(6)人工血液バリア性
ASTM F 1670−08B法に基づいて評価した。本発明においては10サイクル後の判定が合格であれば実用に十分耐え得るものであり、好ましいと評価した。
(7)ウイルスバリア性
ASTM F 1671−07B法に基づいて評価した。本発明においては、10サイクル後の判定が合格であれば実用に十分耐え得るものであり、好ましいと評価した。
実施例及び比較例で得られた積層布帛の評価を表1にまとめて示す。なお、表1中「−」は接着剤層と基布の間で剥離が生じてしまい、評価不能であったことを示す。
表1から明らかなように、実施例1〜4で得られた本発明の積層布帛は、防水性、耐摩耗性、耐剥離性、風合い、外観品位、及び血液・ウイルスバリア性の耐久性の全てにおいて良好であった。特に、実施例2及び実施例3の積層布帛は、基布、防水膜及び接着剤層の厚みをより薄くしたため特に風合いに極めて優れていた。実施例3及び4の積層布帛は、保護膜を厚くし、さらに耐磨耗性向上剤としてポリテトラフルオロエチレン微粒子を用いたため耐摩耗性に顕著に優れていた。
比較例1の積層布帛は、接着剤層の厚みが過小であったため、6C目の工業洗濯中に全剥離した。比較例2の積層布帛は、接着剤層の厚みが過大であったために耐久性に劣り、10C後の工業洗濯及び湿熱滅菌処理後のウイルスバリア性に劣り、さらに風合いにも劣っていた。
比較例3の積層布帛は、防水膜の厚みが過小であったために防水性に劣り、さらに10C後の工業洗濯及び湿熱滅菌処理後の血液・ウイルスバリア性にも劣っていた。比較例4の積層布帛は、防水膜の厚みが過大であったために耐久性に劣り、10C後の工業洗濯及び湿熱滅菌処理後のウイルスバリア性に劣り、風合いにも劣っていた。
比較例6の積層布帛は、防水膜における架橋アクリル微粒子の含有量が過多であったために、高耐水圧が達成されているものの、凝集物が発生したことで膜破損が発生し、10C後の工業洗濯及び湿熱滅菌処理後のウイルスバリア性に劣り、さらに風合いにも劣っていた。
比較例7の積層布帛は、保護膜が形成されていなかったために、防水性、耐摩耗性、耐剥離性、耐久性に劣り、10C後の工業洗濯及び湿熱滅菌処理後の人工血液・ウイルスバリア性が不合格であった。比較例8の積層布帛は、保護膜における耐摩耗向上剤の含有量が過少であったため耐摩耗性に劣り、さらに10C後の工業洗濯及び湿熱滅菌処理後の人工血液・ウイルスバリア性が不合格であり、加えてタッチ感にも乏しかった。
比較例9の積層布帛は、10C後の工業洗濯及び湿熱滅菌処理後の人工血液・ウイルスバリア性は合格であったが、保護膜における耐摩耗向上剤の含有量が過多であったために外観品位、及び風合いに劣るものであった。
比較例10の積層布帛、接着剤層に含まれる接着剤が硬化型ではなかったために耐久性に劣り、2C目の工業洗濯処理中に剥離してしまい、その後の評価に付することができなかった。
1 血液・ウイルスバリア性積層布帛
2 基布
3 接着剤層
4 防水膜
5 保護膜

Claims (6)

  1. ポリエステル系合成繊維を含む基布の片面に、接着剤層、防水膜及び保護膜がこの順に積層されて含まれる血液・ウイルスバリア性積層布帛であって、
    前記接着剤層はポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を主成分として含有する硬化型接着剤を含み、かつ厚みが15〜50μmであり、
    前記防水膜はポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部、及び架橋アクリル微粒子3〜30質量部を含有し、かつ厚みが7〜20μmであり、
    前記保護膜はポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部、及び耐摩耗性向上剤8〜35質量部を含有することを特徴とする、血液・ウイルスバリア性積層布帛。
  2. 前記保護膜の厚みが1〜10μmであることを特徴とする、請求項1に記載の血液・ウイルスバリア性積層布帛。
  3. 前記基布の厚みが40〜100μmであり、前記接着剤層の厚みが前記基布の厚みに対し2/5以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の血液・ウイルスバリア積層性布帛。
  4. 工業洗濯10回分と湿熱滅菌処理10回分との連続処理を1サイクルとして、10サイクル処理後に、ASTM F 1670−08B法に従って評価した人工血液バリア性の判定が合格であることを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の血液・ウイルスバリア性積層布帛。
  5. 工業洗濯10回分と湿熱滅菌処理10回分との連続処理を1サイクルとして、10サイクル処理後に、ASTM F 1671−07B法に従って評価したウイルスバリア性の判定が合格であることを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の血液・ウイルスバリア性積層布帛。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載の血液・ウイルスバリア性積層布帛を製造する方法であって、
    前記基布と前記防水膜とを、前記接着剤層で貼りあわせた後、前記防水膜上に前記保護膜を形成することを特徴とする、血液・ウイルスバリア性積層布帛の製造方法。
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