JP6637247B2 - 積層シート - Google Patents

積層シート Download PDF

Info

Publication number
JP6637247B2
JP6637247B2 JP2015075080A JP2015075080A JP6637247B2 JP 6637247 B2 JP6637247 B2 JP 6637247B2 JP 2015075080 A JP2015075080 A JP 2015075080A JP 2015075080 A JP2015075080 A JP 2015075080A JP 6637247 B2 JP6637247 B2 JP 6637247B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
melting point
film
elongation
laminated sheet
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015075080A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016193569A (ja
Inventor
俊弘 坪田
俊弘 坪田
基史 林
基史 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiren Co Ltd
Original Assignee
Seiren Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiren Co Ltd filed Critical Seiren Co Ltd
Priority to JP2015075080A priority Critical patent/JP6637247B2/ja
Publication of JP2016193569A publication Critical patent/JP2016193569A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6637247B2 publication Critical patent/JP6637247B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、柔軟性、伸縮性およびフィルムの剥離耐久性に優れた積層シートに関するものである。
従来、伸縮性を有する布帛への防水性、防風性の付与、あるいは、目止め効果等を得る方法として、布帛に合成樹脂皮膜(以下、フィルムともいう)をコーティングまたはラミネートにより積層したものが知られている。用いられる合成樹脂としては、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂やポリウレタン系樹脂等種々の樹脂が挙げられるが、中でもポリウレタン系樹脂は、微多孔質皮膜あるいはストレッチ性を備えた皮膜の形成が容易であることから布帛との複合が盛んに用いられている。
一般に、伸縮性を有する布帛にフィルムをラミネートする場合、布帛の伸縮性を阻害しないために、接着剤をグラビアやスプレー等を用いてドット状もしくは蜘蛛の巣状に付与し、布帛と感圧接着するドライラミネート手法が知られている(特許文献1)。しかし、このような方法によりフィルムをラミネートされた伸縮性積層シートは、伸長時に接着部のドット跡が発生し、外観品位が低下するおそれがある。また、フィルムの接着部分と非接着部分で伸長差が生じることから、摩擦などの外的要因によりフィルムが破断し易く、また、洗濯によってフィルム剥離が発生しやすいなど、耐久性が不十分であった。
このような問題を避けるために、フィルム全面に接着剤を塗布して貼り合わせたものがあるが(特許文献2)、風合いが硬くなり、また、積層シートの伸縮回復時にフィルムに残留ひずみが生じやすく伸長回復性が悪くなり、外観の品位が大きく低下する問題がある。
また、熱溶融接着性を有する熱可塑性ポリウレタンフィルムを、直接伸縮性の布帛に熱融着してなる積層シートも知られているが(特許文献3)、熱融着時に布帛表面の凹凸の影響を受けやすく、フィルムが溶融変形し、厚みが不均一になり、伸縮後にフィルムに残留歪みが発生し、伸長回復性が悪いものとなるおそれがあった。
特開昭61-72543号公報 特開昭61-222740号公報 特開平5−138783号公報
本発明の目的は、摩擦などの外的要因によるフィルムの剥離耐久性の低下や、布帛の伸縮に対する追従性の不良による積層シートの残留歪みの発生などの従来技術の問題点を解決し、柔軟性、洗濯耐久性及び伸長回復性を兼ね備えた防風性を有する積層シートを提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成するために、積層シートを構成するフィルムの物性と接着状態を検討し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、(1)伸縮性を有する布帛に高融点ポリウレタン樹脂を主体とするフィルムが、低融点ポリウレタン樹脂を主体とするフィルムによって熱融着されて接合一体化されている積層シートであって、積層シートの経方向および緯方向の14.7N荷重時の伸度が100%以上であり、50%伸長後の伸長回復率が80%以上であり、引張り応力低下率は、積層シートを初期長の80%まで伸長させることを3回繰り返した時の、1回目の30%伸長時の引張り応力に対し3回目の30%伸長時の引張り応力の低下率が、55%未満であり、
低融点ポリウレタン樹脂を主体とするフィルムの融点が80〜150℃の範囲であり、組み合わせる高融点ポリウレタン樹脂を主体とするフィルムの融点が165〜200℃であって、低融点ポリウレタン樹脂を主体とするフィルムの融点より30℃以上高く、
布帛がポリウレタン系弾性糸を含み、14.7N荷重時の伸度が経方向、緯方向ともに150%以上であり、80%伸長後の伸長回復率が85%以上である編物であることを特徴とする積層シートである。
)高融点のポリウレタン樹脂を主体とするフィルムの100%モジュラスが8.0MPa以下であり、低融点のポリウレタンを主体とするフィルムの100%モジュラスが10.0MPa以下であることを特徴とする請求項に記載の積層シート。
(1)または(2)に記載の積層シートを用いてなる衣料用繊維製品である。
)離型基材上に、融点が165〜200℃で、低融点ポリウレタン樹脂を主体とする樹脂の融点より30℃以上高い高融点ポリウレタン樹脂を主体とする、粘度が5000から50000cpsの樹脂溶液を塗布、乾燥製膜後、得られたフィルム上に融点が80〜150℃の低融点ポリウレタン樹脂を主体とする、粘度が5000から50000cpsの樹脂溶液を塗布、乾燥してなる離型シートを、編物に積層し、熱圧着後に離型基材を剥離する積層シートの製造方法である。
本発明に係る積層シートは、伸長性、伸長回復性、フィルムの剥離耐久性に優れているので、着用者の動きを妨げることが少なく、防風性を必要とするスポーツウエアなどに好ましく用いることができる。
本発明で用いる布帛としては、例えば、ポリウレタン系等の弾性糸を含む織物、編物、不織布等が挙げられる。織組織としてはサテン、平織、ツイル、二重織等が挙げられ、編組織としてはパワーネット、メッシュ、チュール、パイル、サテン、トリコットレース、及びジャガード(以上経編)、リバーシブル天竺、スムース、モック、パイル、ベロア、メッシュ、及びジャガード(以上丸編)等が挙げられるが、より高い伸縮性を有する点から編物を使用することが好ましく、衣料として着用した場合に動きやすさを確保するという点において、14.7N荷重時の伸度が経方向、緯方向ともに150%以上であり、好ましくは150〜200%であり、80%伸長後の伸長回復性が85%以上であり、これらの物性は、使用する糸の加工、編み織りの組織設計、例えば、ポリウレタン系弾性糸の混率を調整することにより実現される。14.7N荷重時の伸度が150%より小さいと、積層シートとした場合の伸度が十分確保できないおそれがある。200%を超えると伸長回復性が悪くなるおそれがある。また、80%伸長後の伸長回復性が85%より小さいと、積層シートとした場合の伸長回復性が不十分となり、残留歪みが生じるおそれがある。
また、布帛を構成する繊維素材としては、特に限定されるものではないが、ナイロン6やナイロン66で代表されるポリアミド系繊維やポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル系繊維の他、ポリウレタン系繊維、ポリアクリルニトリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、または、トリアセテート等の半合成繊維、あるいは綿等の天然繊維、及びこれらの混合繊維等が挙げられる。繊維の形態は、フィラメント糸、紡績糸等特に限定されないが、強力の点からはフィラメント糸を使用するのが好ましい。また、繊維には適宜、酸化チタン、カオリン、シリカ、硫酸バリウム、カ−ボンブラック、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を含んでいても良い。
本発明では、融点が80〜150℃、好ましくは、100〜150℃の低融点ポリウレタン樹脂を主体とするフィルム(以下、低融点ポリウレタンフィルムともいう)と、融点が165〜200℃の高融点ポリウレタン樹脂を主体とするフィルム(以下、高融点ポリウレタンフィルムともいう)を用いる。低融点ポリウレタンフィルムの融点が80℃より低いと、夏場の自動車車内など高温となる場所で使用した場合、フィルム剥離などの不具合が発生するおそれがある。150℃より高くすると、熱融着時の熱により、布帛を構成する繊維の黄変、強度低下、風合いの硬化や染色堅牢度の低下のおそれがある。また、高融点ポリウレタンフィルムの融点は低融点ポリウレタンフィルムの融点よりも30℃以上高いことが必要である。融点の温度差が30℃より小さいと、低融点ポリウレタンフィルムと布帛を熱融着させる際に、低融点ポリウレタンフィルムを熱融着させる温度条件において、高融点ポリウレタンフィルムの皮膜形成維持が困難となり、高融点ポリウレタンフィルムの持つ伸長回復性が大きく損なわれるおそれがある。
また,本発明において、ポリウレタン樹脂を主体とする樹脂とは、ポリウレタン樹脂成分を50%以上含むものをいう。
また、高融点ポリウレタンフィルムの100%モジュラスは、8.0MPa以下であることが好ましく、更に好ましくは2.0〜6.0MPaである。また、80%伸長時の伸長回復率が80%以上であることが好ましい。伸長回復率が80%より小さいと、伸長後に残留歪みが生じるおそれがある。高融点ポリウレタン樹脂層の100%モジュラスが、8.0MPaより大きいと、風合いが硬くなり、柔軟性も損なわれる。
また、低融点ポリウレタンフィルムの100%モジュラスは、10MPa以下であることが好ましく、更に好ましくは2.0〜6.0MPaである。10MPaより大きいと、風合いが硬くなり、柔軟性も損なわれる。
また、80%伸長時の伸長回復率が80%以上であることが好ましい。伸長回復率が80%より小さいと、伸長後に残留歪みが生じるおそれがある。
また、積層シートの引張り応力低下率は、積層シートを初期長の80%まで伸長させることを3回繰り返した時の、1回目の30%伸長時の引張り応力に対し3回目の30%伸長時の引張り応力の低下率が、55%未満であ、更に好ましくは45%未満である。55%以上であると伸長回復性が不十分となり、残留ひずみが大きくなるおそれがある。
本発明に用いられるウレタン樹脂は、溶剤系または水系のどちらでも良い。また、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタンやポリカーボネート系ポリウレタンなど何れも使用できるが、凝集力が高く、また、耐加水分解性や耐光性に優れている点で、ポリカーボネート系ポリウレタンが好ましく用いられる。また、これらのウレタン樹脂はブレンドして用いることもできるが、特に、耐光性や加水分解耐性が重視されるような用途の場合は、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を全樹脂組成物の20重量%以上の割合で用いられることがより好ましい。
また、ウレタン樹脂には架橋剤として、カルボジイミド系、メラミン系、イソシアネート系、オキサゾリン系、エポキシ系等の樹脂を添加することもできるが、構造上、剛直で、高強度、高弾性が期待できるカルボジイミド系架橋剤が好ましい。
また、ブロッキング防止剤として、アクリル系、シリカ系、シリコン系樹脂を混合することもできるが、タックを防止し、潤滑性を出す目的で、アクリル系樹脂とシリコン系樹脂を混合して使用することが好ましい。
さらに、本発明では、ポリウレタン樹脂にシリカなどの無機微粒子を添加することにより、積層シートに透湿性を付与することも可能である。
ポリウレタン樹脂の皮膜形成時におけるポリウレタン樹脂溶液の粘度としては、5000〜50000cpsである。粘度が5000cpsより低いと、コーティング加工時に所定の膜厚に制御することが難しくなる。50000cpsより高いと、コーティング加工時に所定の膜厚より大きくなったり、樹脂膜にピンホールが発生しやすくなり、被膜形成が難しくなる。
各フィルムの乾燥膜厚としては、高融点ポリウレタンフィルムは5〜30μmが好ましく、低融点ポリウレタンフィルムは10〜80μmであることが好ましく、30〜50μmであることがより好ましい。それぞれの膜厚が上記範囲より小さいと樹脂剥離が起こりやすくなったり、積層シートの伸長回復率の低下のおそれがある。また、大きいと風合いが硬くなる。
また、低融点ポリウレタンフィルムのみを用いることも可能であるが、布帛へ熱融着した場合、布帛の凹凸に応じて樹脂が入り込むため、部分的に厚み変化が生じる。そのため伸長した場合に、樹脂の部分的な厚みの違いによる樹脂の伸長歪み(厚みが薄い部分は伸び易く、厚い部分は伸び難くなる)が生じやすく、伸長回復性に必要なフィルムの形成維持が困難となるおそれがある。
本発明はこのような不具合を改善したものであり、低融点ポリウレタンフィルムと高融点ポリウレタンフィルムを積層させることにより、低融点ポリウレタンフィルムが融着する温度においても高融点ポリウレタンフィルムが熱による変形を受けず、高融点ポリウレタンフィルムの膜厚が均一に保てるため積層シート伸長後の伸長回復性が良好に維持されるものである。
ポリウレタンフィルムの形成方法としては、一般的な乾式法を用いることができる。例えば、離型性を有する紙またはフィルム等の離型基材上に、高融点ポリウレタン樹脂を主体とする樹脂溶液を所定の膜厚にて塗布、乾燥する。その後、製膜した高融点ポリウレタンフィルム上に重ねて低融点ポリウレタン樹脂を主体とする樹脂溶液を所定の膜厚にて塗布、乾燥し離型シートを作成する。フィルムのピンホール対策や膜厚の調整のために高融点ポリウレタン樹脂溶液を複数回重ね塗りしても良い。塗布にはコンマコーター、ナイフコーターおよびリバースロールコーター等、公知のコーティング方法を用いることができる。
さらに、このようにして得られた離型シートを、布帛に積層し、フラットまたは熱ロールプレス機等により、低融点ポリウレタンフィルムが十分軟化溶融し、且つ、高融点ポリウレタンフィルムが損なわれない温度で、加熱圧着することにより、布帛と高融点ポリウレタンフィルムが、低融点ポリウレタン樹脂フィルム熱可塑性シートによって熱融着されて接合一体化される。
その後、離型基材を剥離することにより、目的とする積層シートが得られる。
さらに高融点ポリウレタンフィルムの物性が大きく損なわれない範囲で、凹凸などの意匠性のある離型基材を使用したり、ラミネート後に、凹凸などの意匠性を有する離型基材を樹脂面と重ねて再度熱プレスすることにより、意匠性を付与することも可能である。
また、高融点ポリウレタンフィルムへ各種機能剤を添加することも可能であり、例えば、カーボンなどの黒顔料の添加による光蓄熱性の付与や吸湿微粒子の添加によるムレ感の軽減や結露防止性の付与などが挙げられる。
本発明の積層シートの通気度は、6cc/cm・sec(JIS L1018フラジール形法)以下であることが好ましい。伸縮性コーティング布帛の通気度が6cc/cm・secを超えると、スポーツ衣服とした際に十分な防風性が得られない。
通常、通気度は20cc/cm・ sec以下であれば、一般的な防風性素材として使用可能である。しかし、伸縮性コーティング布帛は、伸長時に通気度が一気に増加する傾向があるため、伸縮性コーティング布帛においては、より小さな通気度が求められている。
また最近は、ニット素材をダウン衣料に用いる例が増えてきており、このような用途であると伸縮性コーティング布帛の通気度は1cc/cm・sec以下であることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明の構成および効果をさらに詳細に説明する。尚、実施例における各物性は下記方法により求めたものである。
(1)ウレタン樹脂の融点
水性分散性のポリウレタン樹脂溶液を、乾燥被膜の厚さが0.20mmとなるようにバーコーターを用いてガラス板上に塗布し、120℃で20分間乾燥し、得られた厚さ0.20mmのフィルムの融点を熱機械分析装置「EXSTER6000 TMA/SS6100」(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を使用して測定した。
(2)ウレタン樹脂の100%モジュラス
乾燥被膜の厚さが0.20mmのフィルムを20mm幅に切断した試料を、オートグラフAG−IS AGS−J(株式会社島津製作所製)を用い、つかみ幅100mm、300mm/分の引張り速度で引張り試験を行い、応力−歪み曲線を求めた。フィルムの100%伸長時における単位面積当りの応力を100%モジュラスとして得た。
(3)ウレタン樹脂の伸長回復率
乾燥被膜の厚さが0.20mmになるように、アプリケーターを用いて樹脂フィルム作成する。得られた樹脂被膜を経15cm×緯2.54cmにカットした試料を、オートグラフAG−IS AGS−J(株式会社島津製作所製)で、つかみ幅100mmで、引張り速度300mm/minの条件で、布帛の経方向、緯方向にそれぞれ、つかみ間隔の80%まで伸長させ、直ちに同速度で除重し、記録したヒステリシスカーブから伸長回復率を求めた。
伸長回復率(%)=(β/α)×100
α:80%伸長時の伸び
β:応力が初荷重と等しくなった点までの回復伸び
○:90%以上
△:70%以上90%未満
×:70%未満
(4)布帛の伸度
布帛試料を、経15cm×緯2.54cm、緯15cm×経2.54cmにそれぞれ3枚カットした。その後、オートグラフAG−IS AGS−J(株式会社島津製作所製)により、つかみ間隔100mm、引張り速度300mm/分の条件で、カットした布帛の経方向、緯方向にそれぞれ引張り、14.7N荷重時の試料長を測定し、下記式により算出し、下記基準で評価した。
伸度(%)=((14.7N荷重時の試料長−つかみ間隔)/つかみ間隔)×100
○:150%以上
△:100%以上150%未満
×:100%未満
(5)布帛の伸長回復率
布帛試料を、経15cm×緯2.54cm、緯15cm×経2.54cmにそれぞれ3枚カットした。その後、オートグラフAG−IS AGS−J(株式会社島津製作所製)で、つかみ間隔100mmで、引張り速度300mm/minの条件で、カットした布帛の経方向、緯方向にそれぞれ、つかみ間隔の80%まで伸長させ、直ちに同速度で除重し、記録したヒステリシスカーブから伸長回復率を求めた。
伸長回復率(%)=(β/α)×100
α:80%伸長時の伸び
β:応力が初荷重と等しくなった点までの回復伸び
○:85%以上
△:75%以上85%未満
×:75%未満
(6)積層シートの伸度
積層シート試料を、布帛の経方向、緯方向に沿って、経15cm×緯2.54cm、緯15cm×経2.54cmにそれぞれ3枚カットした。その後、オートグラフAG−IS AGS−J(株式会社島津製作所製)で、つかみ間隔100mm、引張り速度300mm/minの条件で、布帛の経方向、緯方向にそれぞれ引張り、14.7N荷重時の生地長を測定し、下記式により伸度を算出し、3枚の平均値で評価した。
伸度(%)=((14.7N荷重時の試料長−つかみ間隔)/つかみ間隔)×100
○:100%以上
△:80%以上100%未満
×:80%未満
(7)積層シートの伸長回復率
積層シート試料を、経15cm×緯2.54cm、緯15cm×経2.54cmにそれぞれ3枚カットした。その後、オートグラフAG−IS AGS−J(株式会社島津製作所製)で、つかみ間隔100mmで、引張り速度300mm/minの条件で、カットした積層シートの経方向、緯方向にそれぞれ、つかみ間隔の80%まで伸長させ、直ちに同速度で除重し、記録したヒステリシスカーブから伸長回復率を求めた。
伸長回復率(%)=(β/α)×100
α:80%伸長時の伸び
β:応力が初荷重と等しくなった点までの回復伸び
○:80%以上
△:70%以上80%未満
×:70%未満
(8)積層シートの引張り応力低下率
積層シート試料を、布帛の経方向、緯方向に沿って、経15cm×緯2.54cmにそれぞれ3枚カットし、オートグラフAG−IS AGS−J(株式会社島津製作所製)で、つかみ間隔100mm、引張速度300mm/minの条件で、積層シートの経方向、緯方向にそれぞれ、つかみ間隔の80%まで伸長させることを3回繰り返し引張り、下記式により応力低下率を算出し、3枚の平均値で評価した。
引張り応力低下率(伸度30%時)(%) =(1− (3rd LD/1stLD))×100
rdLD:3回目に伸長させたときの、30%伸長時の応力
stLD:1回目に伸長させたときの、30%伸長時の応力
◎:45%未満
○:45以上55%未満
×:55%以上
(9)風合い
積層シート試料について、初期と高温(60℃×24h)放置後について、ハンドリングにより評価を行った。
○:柔らかい
△:やや硬い
×:硬い
(10)洗濯耐久性
積層シート試料をJIS L0217 103法の条件にて、50回洗濯・すすぎを行い、脱水・風乾させる。その後、試料を経および緯方向に150%引張り、布帛からのフィルムの剥離状態を目視評価した。
○:剥離無し
△:部分的に剥離あり
×:広範囲に剥離あり
[実施例1]
布帛としてポリウレタン糸(20dtex/2f)30重量%とナイロン糸(22dtex/20f)70重量%を交編させたスムース(ナイロンベアスムース)を一般的な加工条件により染色、加工し目的とする布帛を作製した。
次に、下記処方1の高融点ポリウレタン樹脂を主体とする樹脂溶液(粘度30000cps)を耐熱離型紙上に乾燥後の厚みが20μmとなるようにコンマコーターによりコーティングし、熱風乾燥機により120℃で1分間乾燥し高融点ポリウレタンフィルムを作成した。その後、下記処方2の低融点ポリウレタン樹脂を主体とする樹脂溶液(粘度30000cps)を高融点ポリウレタンフィルム上に乾燥後の厚みが30μmとなるようにコンマコーターを用いて重ねてコーティングし、熱風乾燥機により120℃で1分乾燥して目的とする低融点ポリウレタンフィルムを作成し、フィルム積層体を得た。高融点ポリウレタンフィルムの融点は165℃、低融点ポリウレタンフィルムの融点は120℃であった。
次に、布帛とフィルム積層体を150℃、圧力0.4MPaの条件で1分間加熱圧着して低融点ポリウレタンフィルムを熱溶融させてフィルム積層体を布帛に積層することにより目的とする積層シートを得た。得られた積層シートの評価結果を表1に示す。

[処方1]
CRISVON S−123 100部
(大日本インキ株式会社製、ポリカーボネート系高融点ポリウレタン樹脂)
CARBODILITE V−07 3部
(日清紡ケミカル株式会社製、カルボジイミド系架橋剤)
CRISVON ASSISTOR NB−60−33 3部
(大日本インキ株式会社製、アクリル系ブロッキング防止剤)
クリスボンアディティブNo.10 3部
(大日本インキ株式会社製、シリコン添加剤)

[処方2]
セイカボンドHS−520S 50部
(大日精化工業株式会社製、ポリカーボネート系低融点ポリウレタン樹脂)
ハイレムンY611−124 50部
(大日精化工業株式会社製、ポリエーテル系低融点ポリウレタン樹脂)
CARBODILITE V−07 3部
(日清紡ケミカル株式会社製、カルボジイミド系架橋剤)
[実施例2]
高融点ポリウレタン樹脂をCRISVON S−703(大日本インキ株式会社製、ポリカーボネート系ウレタン樹脂)に変更した以外は、実施例1と同様な処方で樹脂溶液を作製し、同様な方法で、製膜した。高融点ポリウレタンフィルムの融点は200℃であった。その後、実施例1と同様な方法および条件で積層シートを得た。得られた積層シートの評価結果を表1に示す。
[実施例3]
布帛をポリウレタン糸(20dtex/2f)10重量%とナイロン糸(22dtex/20f)90重量%を交編させたスムース(ナイロンベアスムース)の変更した以外は実施例1と同様に加工し
目的とする布帛を作製した。得られた積層シートの評価結果を表1に示す。
[比較例1]
高融点ポリウレタン樹脂としてハイレムンY−611−124(大日精化工業株式会社製、ポリエーテル系ウレタン樹脂)のみを使用した以外は、実施例1と同様な処方で樹脂溶液を作製し、同様な方法で製膜した。高融点ポリウレタンフィルムの融点は140℃であった。その後、実施例1と同様な方法および条件で積層シートを得た。得られた積層シートの評価結果を表1に示す。
[比較例2]
低融点ポリウレタン樹脂として、セイカボンドHS−530S(大日精化工業株式会社製、ポリカーボネート系ウレタン樹脂)のみを使用した以外は、実施例1と同様な処方で樹脂溶液を作製し、同様な方法で、製膜した。低融点ポリウレタンフィルムの融点は140℃であった。その後、実施例1と同様な方法および条件で積層シートを得た。得られた積層シートの評価結果を表1に示す。
[比較例3]
低融点ポリウレタン樹脂として、タイフォースAH−407(大日本インキ株式会社製、ポリエステル系ウレタン樹脂)のみを使用した以外は、実施例1と同様な処方で樹脂溶液を作製し、同様な方法で、製膜した。低融点ポリウレタンフィルムの融点は59℃であった。その後、実施例1と、同様な方法および条件で積層シートを得た。得られた積層シートの評価結果を表1に示す。
[比較例4]
実施例1において、低融点ポリウレタン樹脂を主体とする樹脂溶液のみを耐熱離型紙上に乾燥後の厚みが45μmとなるようにコンマコーターを用いてコーティングし、実施例1と同様に110℃で1分間乾燥し、製膜した。
次に、布帛と低融点ポリウレタンフィルムを150℃、圧力0.4MPaで1分間加熱転写して目的とする積層シートを得た。得られた積層シートの評価結果を表1に示す。
[評価]
実施例1および2に係る積層シートは、伸長性と伸長回復性に優れた防風性を有する積層シートであった。比較例1に係る積層シートは、積層シート中の高融点ポリウレタン樹脂部の融点が低く、表層にポリウレタン被膜を形成できず、生地に浸透する樹脂量が多いため、積層シートの伸度が低く、また伸長回復性が劣ったものであった。比較例2に係る積層シートは、低融点ポリウレタン樹脂のモジュラスが高いため、風合いが硬く、また伸度が低い。さらに積層シート伸長後に残留歪みが発生し、伸長回復性が劣った積層シートであった。また、低融点ポリウレタン樹脂の融点が高いため、生地への樹脂浸透が十分でなく、洗濯耐久性についても劣る結果であった。比較例3に係る積層シートは、低融点ポリウレタン樹脂の融点が低く、生地への樹脂浸透が過多になり、伸長性に劣るものであった。比較例4に係る積層シートは、風合い、伸度は良好であったが、高融点ポリウレタン樹脂被膜が形成されていないため、伸長後に残留歪みが発生し、伸長回復性が劣った積層シートであり、洗濯後の状態も悪いものであった。

Figure 0006637247

Claims (4)

  1. 伸縮性を有する布帛に高融点ポリウレタン樹脂を主体とするフィルムが、低融点ポリウレタン樹脂を主体とするフィルムによって熱融着されて接合一体化されている積層シートであって、
    積層シートの経方向および横方向の14.7N荷重時の伸度が100%以上であり、50%伸長後の伸長回復率性が80%以上であり、引張り応力低下率は、積層シートを初期長の80%まで伸長させることを3回繰り返した時の、1回目の30%伸長時の引張り応力に対し3回目の30%伸長時の引張り応力の低下率が、55%未満であり、
    低融点ポリウレタン樹脂を主体とするフィルムの融点が80〜150℃の範囲であり、組み合わせる高融点ポリウレタン樹脂を主体とするフィルムの融点が165〜200℃であって、低融点ポリウレタン樹脂を主体とするフィルムの融点より30℃以上高く、
    布帛がポリウレタン系弾性糸を含み、14.7N荷重時の伸度が経方向、緯方向ともに150%以上であり、80%伸長後の伸長回復率が85%以上である編物であることを特徴とする積層シート。
  2. 高融点のポリウレタン樹脂を主体とするフィルムの100%モジュラスが8.0MPa以下であり、低融点のポリウレタンを主体とするフィルムの100%モジュラスが10.0MPa以下であることを特徴とする請求項に記載の積層シート。
  3. 請求項1または2のいずれかに記載の積層シートを用いてなる衣料用繊維製品。
  4. 離型基材上に、融点が165〜200℃で、低融点ポリウレタン樹脂を主体とする樹脂の融点より30℃以上高い高融点ポリウレタン樹脂を主体とする、粘度が5000〜50000cpsの樹脂溶液を塗布、乾燥製膜後、得られたフィルム上に融点が80〜150℃の低融点ポリウレタン樹脂を主体とする、粘度が5000〜50000cpsの樹脂溶液を塗布、乾燥してなる離型シートを、編物に積層し、熱圧着後に離型基材を剥離する積層シートの製造方法。
JP2015075080A 2015-04-01 2015-04-01 積層シート Active JP6637247B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015075080A JP6637247B2 (ja) 2015-04-01 2015-04-01 積層シート

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015075080A JP6637247B2 (ja) 2015-04-01 2015-04-01 積層シート

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016193569A JP2016193569A (ja) 2016-11-17
JP6637247B2 true JP6637247B2 (ja) 2020-01-29

Family

ID=57322537

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015075080A Active JP6637247B2 (ja) 2015-04-01 2015-04-01 積層シート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6637247B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6196349B1 (ja) * 2016-05-02 2017-09-13 順益材料股▲フン▼有限公司 複合生地およびその製造方法
US11060215B2 (en) 2017-01-26 2021-07-13 Bright Cheers International Limited Reinforced composite fabric and method for preparing the same

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05351Y2 (ja) * 1987-08-07 1993-01-07
JP2622162B2 (ja) * 1988-08-22 1997-06-18 株式会社クラレ 皮革様シートおよびその製造法
JP2002095698A (ja) * 2000-09-22 2002-04-02 Kanebo Ltd おむつカバー
JP4267218B2 (ja) * 2001-06-15 2009-05-27 長四郎 硲口 被転写物である靴下、サポーター等の所望個所に二層構造の角質化防止膜として転写できる転写材
JP2008214794A (ja) * 2007-03-01 2008-09-18 Toray Coatex Co Ltd 立体形状を有する手袋インサート及びその製造方法
JP2011000721A (ja) * 2009-06-16 2011-01-06 Kb Seiren Ltd 伸縮性シート

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016193569A (ja) 2016-11-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1486323B1 (en) Laminated fabric
US20120100351A1 (en) Bonded fabric constructions with stretchability
WO2006095863A1 (ja) 積層体、およびこれを使用した繊維製品
JP6637247B2 (ja) 積層シート
EP2501544B1 (en) Elastic fabric with adhesive
JP6587947B2 (ja) 血液・ウイルスバリア性積層布帛、及びその製造方法
JP2009262547A (ja) 羽毛抜け防止性、防風性に優れる積層シート、それを用いた生地及びそれらの製造方法
JP2011110311A (ja) 面ファスナー積層体
EP2873707B1 (en) Waterproof tape and process for producing same
KR20210092627A (ko) 무늬 맞춤이 가능한 기능성 실크 직물 벽지
JP2016215441A (ja) 積層体布帛
KR102263969B1 (ko) 열접착이 가능한 투습방수성 멤브레인 구조 및 그 제조방법
JP2007217841A (ja) ラミネート布帛の製造方法
US20110053449A1 (en) Multipurpose Laminated Stretch Fabric
JP6067229B2 (ja) 伸縮性樹脂加工布帛
KR102340952B1 (ko) 실크 기능성 원단
WO2023163036A1 (ja) 接着加工品
JP7377630B2 (ja) 防風性布帛
US20220333298A1 (en) Modification of textile in selected area
JP2009172776A (ja) 防水透湿性布帛、防水透湿性布帛の製造方法及び防水透湿性布帛を用いた雨着
KR20220060646A (ko) VOCs-Free 신발 소재용 친환경 접착코팅원단
KR20220045738A (ko) 에이징 처리된 접착성 원사를 이용한 접착성 원단
JP2016055586A (ja) 布帛及びその製造方法
JP2017166254A (ja) 内装シート、及び内装シートの製造方法
CN110771976A (zh) 一种双面粘合的机织粘合衬

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180329

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20181219

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190107

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190621

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190809

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20191125

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191220

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6637247

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250