JP2011110311A - 面ファスナー積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】
表面に多数の係合素子を有する編織物の面ファスナーに布帛が積層されてなる面ファスナー積層体であって、面ファスナーを繰り返し着脱させても面ファスナー積層体の係合素子に抜けや歪みが少なく、積層体にバブリングや部分剥離の少ない面ファスナー積層体を提供する。
【解決手段】
基布の表面に多数の係合素子を有する面ファスナーの裏面に、樹脂層、布帛層が順に積層されてなる面ファスナー積層体であって、該積層体の9.8N荷重時の伸長率が0.5〜3%、回復率が95%以上である面ファスナー積層体。
【選択図】 図1

Description

本発明は、表面に多数の係合素子を有してなる面ファスナーと布帛を積層してなる、面ファスナー積層体に関し、特に着脱耐久性に優れ、長期間の使用においてもバブリング(生地の波打ち)等の発生の少ない、血圧計のカフなどに好ましく用いられる、面ファスナー積層体に関するものである。
面ファスナーは、着脱自在の締着閉鎖具として、被服類、靴、シートカバー及びその他の広範囲な用途に普及しているもので、その構成は、表面に多数の鈎またはキノコ型小片のようなフック型係合素子を有する編織布からなるシートと、表面に多数のループ型係合素子を有する編織布からなるシートとからなり、上記係合素子同士の係合作用により両シートを接合するようになしたものが代表的なものとして知られている。
これらの面ファスナーは、各面ファスナーシートの裏面に編織布や不織布等の布帛、皮革或いは塩ビなどのプラスチックシートなどの基材を縫合や接着などにより取り付けた面ファスナー積層体にして使用されている。
しかし、これらの面ファスナー積層体を、例えば、血圧計のカフなどの様に、面ファスナー同士の着脱を頻繁に行うような用途に用いた場合、面ファスナーの係合素子が抜けたり、面ファスナー積層体の面ファスナーと布帛が剥離したり、面ファスナー積層体にバブリングが発生するなどの虞があった。
これらの問題に対し、例えば、特許文献1には、基布の一方の面に多数の係合針を立設してなる係止用テープにおいて、基布の他の面に樹脂コーティング層を設けると共に、さらにその上部に合成樹脂の被膜層を設けてなるものが記載され、樹脂コーティングだけでは十分でなかった基布の補強が一層強力なものとなり、係合素子の抜け防止性が改善され、面ファスナーを多回数開閉操作しても周囲部がほつれたり巻き上がることがなく長期間にわたって係合力を保てることが開示されている。
しかし、この方法では、面ファスナー部材のほつれや巻き上がりによる係合力低下は防止できるが、面ファスナーと合成樹脂皮膜層を積層してなる面ファスナー積層体のバブリングの発生を防止する効果は不十分であった。
また、特許文献2には、鞘に低融点高分子体を配した芯鞘状複合繊維を少なくともグランド部に用い、該芯鞘状複合繊維が低融点成分の融着により接合されてなるパイル織編物からなる面ファスナー雌材が開示され、風合いに優れ、繰り返しの使用に対しても優れた保形性を有することが記載されている。しかし、面ファスナーと布帛を積層してなる面ファスナー積層体のバブリングの発生を防止する効果は不十分であった。
実公昭55−019125号公報 特開平5−115312号公報
本発明の面ファスナー積層体はこのような現状に鑑みてなされたものであり、面ファスナーの着脱を繰り返し行った場合でも、面ファスナーの係合素子の抜けや変形が少なく、また、該積層体のバブリングの発生を抑える面ファスナー積層体に関するものである。
本発明は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果到達したものである。
即ち、本発明は、
(1)に、基布の表面に多数の係合素子を有してなる面ファスナーの裏面に、樹脂層、布帛が順に積層されてなる面ファスナー積層体であって、該積層体の9.8N荷重時の伸長率が0.5〜3%、伸長回復率が95%以上である面ファスナー積層体である。
また、(2)に、樹脂層が積層面積の85〜100%の部分に、20〜500g/mで形成されてなることを特徴とする(1)記載の面ファスナー積層体である。
また、(3)に、面ファスナーの基布部に芯鞘構造融着糸が用いられていることを特徴とする(1)乃至(2)のいずれかに記載の面ファスナー積層体である。
また、(4)に、血圧測定用カフに用いられることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の面ファスナー積層体である。
本発明によれば、面ファスナーの着脱を繰り返しても、面ファスナーの係合素子の抜けが少なく、面ファスナー積層体のバブリングの発生を抑えた、血圧計のカフなどに好ましく用いられる面ファスナー積層体を提供することができる。
本発明に係る面ファスナー積層体の概略断面図である。 本発明に係る面ファスナー積層体において、樹脂層がバックコート層と接着性コーティング樹脂層から形成された実施態様を示す概略断面図である。 本発明に係る面ファスナー積層体において、樹脂層がバックコート層とラミネート層からなる実施態様を示す概略断面図である。 本発明に係る面ファスナー積層体において、樹脂層がバックコーティング層、ラミネート層、接着性樹脂層からなる実施態様を示す概略断面図である。 面ファスナー積層体のバブリングの高さを表す概略断面図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の面ファスナー積層体は、基布の表面に多数の係合素子を有してなる面ファスナーの裏面に、樹脂層、布帛が順に積層されてなる面ファスナー積層体であって、該積層体の9.8N荷重時の伸長率が0.5〜3%、伸長回復率が95%以上である面ファスナー積層体である。伸長率が0.5%未満であると、面ファスナーの着脱を繰り返し、面ファスナー積層体が繰り返し屈曲された場合、加えられた応力により、該積層体の面ファスナーと布帛が剥離したり、積層体にバブリングが発生しやすくなる。また、伸長率が3%を超えると、血圧測定時に積層体が伸びて正確に測定できない虞がある。
また、回復率が95%未満であると、面ファスナーの着脱を繰り返し、面ファスナー積層体が繰り返し屈曲された場合、積層体にバブリングが発生する虞が大きくなる。
また、積層体の面ファスナーと布帛の剥離強度は3N以上であることが好ましい。剥離強度が3N未満であると、面ファスナーの着脱を繰り返した場合、加えられた応力により面ファスナーと布帛が剥離しやすくなったり、面ファスナー積層体にバブリングが発生し、外観品位が損なわれる虞がある。
面ファスナー積層体は、引張強度が400〜1500N、好ましくは700〜1300Nである。400N未満であると剥離やバブリングが発生しやすく、1500Nより大きいと硬く、重くなる虞がある。
また、目付が300〜1000g/mであることが好ましく、より好ましくは、350〜900g/mである。目付が300g/m未満であると、面ファスナーの着脱を繰した場合、強度が十分に得られない虞があり、また、面ファスナー積層体にバブリングの発生が起こりやすくなる。目付が1000g/mを超えると、重く、硬くなり、使い難くなる虞がある。
面ファスナー積層体の剛軟性は60〜150mmであることが好ましい。剛軟性が60mm未満であると、面ファスナーの着脱を繰り返した場合にバブリングが発生する虞がある。剛軟性が150mmを超えると、硬く、折れ皺が発生する虞がある。
本発明で使用される面ファスナーとしては、好ましくは編織製の面ファスナーであり、編織物からなる基布にフィラメント糸を編織り込み、基布表面に該フィラメントからなるループを多数立設し、該ループの側部をカットしてフック状係合素子を形成したものや該ループの頭部を溶融してキノコ状の膨らみを形成してキノコ状係合素子としたものなどからなる面ファスナー雄材や、基布表面に面ファスナー雄材と係合するループ状係合素子となるフィラメント糸を編織により多数立設した面ファスナー雌材、さらには、フック状係合素子(またはキノコ状係合素子)とループ状係合素子を同一基布面上に立設したもの等が挙げられる。
本発明の面ファスナーの基布部及びパイル部(係合素子)を構成する繊維としては、従来公知の繊維を用いることができるが、強度、弾性率、変形回復性などの点からナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等のポリアミド系繊維、または、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維が好ましい。
また、本発明において、面ファスナー基布部には、上記繊維を用いたものの他、鞘に低融点高分子体を配した芯鞘状複合繊維を少なくとも一部に用いることが好ましい。
該芯鞘状複合繊維としては、鞘部に低融点高分子体を配したもので、該低融点高分子体としては融点110〜220℃であるものが好ましく、更には170〜210℃のものが好ましい。融点が110℃未満であると基布部の融着が不完全となり、カールし易くなる虞があり、また、220℃より高くなるとパイル部が熱により脆化し強度が低下する虞がある。該低融点高分子としては、例えばイソフタール酸共重合比率が15〜35モル%のイソフタール酸共重合ポリエステル等が挙げられる。
また、該低融点高分子体と組み合わせる芯部の高分子体としては、ポリエチレンテレフタレートやナイロン6、ナイロン66等を挙げることができ、鞘部と芯部の高分子体の融点差が30〜50℃であることが好ましい。融点差が30℃未満であると、低融点成分のみを選択的に溶融固化して、長繊維相互間を固着しにくくなり、高融点成分が軟化又は溶融したりして、得られる面ファスナーの柔軟性が低下したり、或いは曲げ剛性が大きくなる虞がある。逆に、融点差が50℃を超えると、従来公知の複合溶融紡糸法で複合長繊維を紡糸しにくくなる虞がある。
また、面ファスナー基布部を構成する糸は、12〜36本のフィラメントからなる50〜350dtexの太さのマルチフィラメント糸であることが好ましい。
また、パイル部のループ状係合素子を構成する糸としては5〜20本のフィラメントからなる150〜350dtexの太さのマルチフィラメント糸が好ましく、フック状係合素子(またはキノコ状係合素子)を構成する糸としては100〜500dtexのモノフィラメントが好ましい。
係合素子の密度としては1200〜4000個/平方インチが好ましい。1200個/平方インチ未満では係合性能が得られない虞がある。また4000個/平方インチを超えると相手係合子の挿入係合隙間が不足し係合性能が低下する虞がある。
面ファスナーの目付は、目付が150〜400g/mであることが好ましい。目付が150g/m未満であると、面ファスナーの強度が十分でなく、係合素子が抜けたり変形しやすくなる虞がある。目付が400g/mを超えると、風合いが硬くなり、積層後の重量が重くなる虞がある。
また、面ファスナーの引張強度は100〜450Nであることが好ましい。引張強度が100N未満であると、伸び、変形などの歪みが出やすくなる虞がある。引張強度が240Nを超えると、風合いが硬くなることにより使用感が損なわれる虞がある。
また、面ファスナーの9.8N荷重時の伸長率は1〜5%、好ましくは1.5〜4%である。伸長率が1%未満であると面ファスナーと布帛を積層してなる面ファスナー積層体の面ファスナーの着脱を繰り返し、該積層体が繰り返し屈曲された場合に、面ファスナー積層体の面ファスナーと布帛が剥離したり、該積層体に皺が入る虞がある。伸長率が5%を超えるとバブリングが発生しやすくなる。
本発明の面ファスナーに積層される布帛は、合成繊維からなる織編物が好ましく用いられる。
合成繊維としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等のポリアミド系繊維、または、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維、ポリアクリル系繊維、ポリオレフィン系繊維やフッ素系繊維などを挙げることができ、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いる。なかでも強度や耐熱性に優れている点でポリエステル系繊維が好ましく用いられる。
また、その繊度は24〜144本のフィラメントからなる56〜330dtexの太さのマルチフィラメント糸であることが好ましい。
また、布帛の組織としては組織が変形しにくい織物や経編地が好ましく用いられる。丸編物は織物や経編物に比べルーズなため寸法安定性、形態安定性がなく好ましくない。織物組織としては平組織、綾組織が、編物組織としてはトリコット編やラッセル編などが好ましく用いられる。
また、布帛目付は50〜200g/mであることが好ましい。目付が50g/m未満であると、布帛の強度が得られにくく、バブリングが発生しやすくなる虞がある。目付が200g/mを超えると、風合いが硬く、積層後の重量が重くなる虞がある。
また、布帛の引張強度は50〜900Nであることが好ましい。引張強度が50N未満であると、該布帛を面ファスナーと積層し、面ファスナーの着脱を繰り返した場合に、バブリングが発生する虞がある。引張強度が900Nを超えると、風合いが硬くなり、使用感が損なわれる虞がある。
また、布帛の9.8N荷重時の伸長率は1.5〜60%、好ましくは2〜30%である。伸長率が1.5%未満であると面ファスナーと布帛を積層体してなる面ファスナー積層体の面ファスナーの着脱を繰り返し、該積層体が繰り返し屈曲された場合に、面ファスナー積層体の面ファスナーと布帛が剥離したり、該積層体に皺が入る虞がある。伸長率が60%を超えるとバブリングが発生しやすくなる。
本発明において、樹脂層は面ファスナーの係合素子の抜けや変形を抑えたり、面ファスナーと布帛を接着し、面ファスナー積層体としての強度を高め、バブリングなどの発生を抑えるための接着性樹脂層として用いられる。
樹脂層の形成方法としては、コーティングやラミネートが用いられる。
コーティングによる形成方法としてはコンマコーター、フローティングナイフコーター、ナイフオーバーロールコーター、リバースロールコーター、ロールドクターコーター、グラビアロールコーター、キスロールコーター、ニップロールコーターなどを用い、樹脂を面ファスナー及び/または布帛の積層面に付与することにより形成することができる。
また、複数回コーティングすることで形成することもできる。複数回コーティングとは、例えば、面ファスナーと布帛を積層するに際し、予め、面ファスナー裏面に樹脂をコーティングした所謂バックコートした面ファスナーと布帛とをコーティングにより積層することなどが挙げられる。面ファスナーにバックコートすることにより、更に、係合素子の抜けや変形を防止した面ファスナー積層体を得ることができる。
また、バックコートされた面ファスナーは、引張強度が250〜600Nであることが好ましい。引張強度が250N未満であると、面ファスナーの着脱を繰り返すと、面ファスナーが変形する虞がある。引張強度が600Nを超えると、風合いが硬くなり使用感が損なわれる虞がある。
また、ラミネートにより樹脂層を形成する場合は、樹脂層を形成する樹脂をフィルム化或いは不織布化したものや、これらを組み合わせたものを面ファスナーと布帛の間に積層することにより形成することができる。
この場合、該樹脂フィルムまたは不織布の引張強度は5〜120Nであることが好ましい。引張強度が5N未満であると、パイル抜け防止効果等が得難くなる虞がある。引張強度が120Nを超えると、風合いが硬く、使用感が損なわれる虞がある。
更にコーティングとラミネートなどを組み合わせて樹脂層を形成することもできる。
樹脂層に使用できる樹脂としては、天然ゴム、ニトリルゴム系やクロロプレンゴム系などの合成ゴム、酢酸ビニル系樹脂系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ塩化ビニルなどが単独でまたは混合して用いられるが、そのなかでも、弾性があり、高モジュラス−高伸長タイプのポリエステル系樹脂、または、ポリエーテル系などのウレタン系樹脂が好ましく用いられる。高モジュラス−高伸長タイプのものを用いることにより、面ファスナー着脱時に面ファスナー積層体が屈曲した際にも追従し、面ファスナーと布帛の剥離やバブリングの発生を防止しやすくなる。
また、接着耐久性の観点から、硬化型接着性樹脂を用いるのが好ましい。硬化型接着性樹脂は、水酸基、イソシアネート基、アミノ基またはカルボキシル基などの反応基を持ついわゆる架橋性を有したポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂などが自己架橋するか、或いはイソシアネート系化合物またはエポキシ系化合物などの架橋剤と架橋して、硬化するものが好ましい。
また、樹脂の性状は、エマルジョン型、溶剤型或いはホットメルト型等のいずれであっても良い。
エマルジョン型又は溶剤型の樹脂を用いる場合は、コーティングにより樹脂層を形成することが好ましい。この場合、樹脂液の粘度を1000〜15000mPa・s程度として、前記の方法により、面ファスナー裏面及び/または布帛の積層面側にコーティングする。その後、面ファスナーと布帛とをラミネート機で圧着又は熱圧着して貼合すればよい。
ホットメルト型の樹脂の場合は、80〜180℃の温度にて溶融させた後、面ファスナー裏面或いは布帛の積層面側にスプレー法などにより塗布することが好ましい。そして、必要に応じ冷却しながら、ラミネート機で面ファスナーと布帛とを圧着して貼合すればよい。
樹脂は、面ファスナー裏面や布帛の積層面に積層面積の85%以上の部分に付与されることが好ましい。樹脂の占有面積が85%未満では該樹脂の膜厚を厚くしても接着力が不十分となって面ファスナーの着脱を繰り返すと面ファスナーと布帛の積層体が剥離やバブリングを生じやすくなる虞が生じる。全面(積層面積の100%)に付与されない場合の付与形態としては点状、線状、市松模様、亀甲模様などの形態で付与することができるが、面ファスナーと布帛の積層面の全体にわたって均一に付与することが好ましい。
また、樹脂層を形成する樹脂量は、20〜500g/mであることが好ましい。樹脂量が20g/m未満であると、接着層が薄く、面ファスナーのパイル抜けや変形防止効果が得られにくく、また、面ファスナーと布帛の十分な接着性が得られず、面ファスナーと布帛が剥離したり、バブリングが発生する虞がある。樹脂量が500g/mを超えると、樹脂が裏抜けし外観品位が悪くなったり、重く、風合いが硬くなる虞がある。
特に、コーティングにより樹脂層を形成する場合の1回当たりの樹脂付与量は140g/m以下であることが好ましい。140g/mを超えると樹脂が裏漏れしやすく、外観が損なわれる虞がある。特に面ファスナーの係合子面に裏漏れした場合は、係合子の柔軟性が損なわれたり、係合性が損なわれる虞がある。
本発明に用いる繊維は、必要に応じて着色されたものであってもよく、繊維とする前の紡糸原液に顔料などを含有させることにより着色された所謂原着糸や、織編物とした後に染料などで染色することにより着色されたものなども使用出来る。
以下、本発明をさらに実施例にて詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものでない。なお、実施例、比較例中の各特性値は、以下の方法により測定したものである。
(1)面ファスナーのパイル抜け性
面ファスナー積層体を15×15cmにカットしたものと、面ファスナー雄材((株)クラレ社製 品番A02600)を10×10cmにカットしたものを用い、脱着を10000回繰り返した。脱着を10000回繰り返した後の面ファスナーについて、マイクロスコープ((株)キーエンス社製、デジタルマイクロスコープ、型式VHX−500)にて表面を観察することにより、1平方インチ当たりの、脱着前後でのパイル抜けや変形箇所の割合で評価した。
○:5%未満
△:5〜10%未満
×:10%以上
(2)バブリング(生地の波打ち)評価試験
面ファスナー積層体を15×15cmにカットしたものと、面ファスナー雄材((株)クラレ社製 品番A02600)を10×10cmにカットしたものを用い、着脱を10000回繰り返した後の面ファスナー積層体を水平な台の上に置き、5箇所の凹凸部分(凹凸部分が5箇所未満の場合その箇所でののみ測定)でバブリングの高さを測定し、その平均値でバブリングを評価した。
○:0〜1mm未満
△:1〜5mm未満
×:5mm以上
(3)剥離強度
面ファスナー積層体の面ファスナーと布帛について、JIS L−1089(試験布の幅:25mm)に準じて測定した。
(4)剛軟性
面ファスナー積層体について、JIS L−1018(A法、45°カンチレバー法、試験布の幅:20mm)に準じて測定した。
(5)引張強度
JIS L1096 引張強さA法(試験布の幅:25mm)に準じて測定した。
(6)伸長率
JIS L1096 定荷重伸長形法に準じ、9.8Nの応力を荷重し、その後除重し、これを10回繰り返した後の伸長率を測定した。
(7)伸長回復率
JIS L1096 定荷重伸長形法に準じ、9.8Nの応力を荷重し、その後除重し、これを10回繰り返した後の伸長回復率を測定した。
[実施例1]
パイル部はナイロン6フィラメント糸(KBセーレン(株)社製、117dtex/12f)および、基布部もナイロン6フィラメント糸(KBセーレン(株)社製、78dtex/24f)から構成されたサテン組織のトリコット(フロント糸10/45、ミドル糸10/12、バック糸10/23で編成)を起毛し、乾熱150℃でプレセット、染色後、布帛の長さ方向に張力をかけながら乾熱185℃で1分間のファイナルセットを実施した。得られた面ファスナーの経密度は39コース/インチ、緯密度は54ウエル/インチ、パイル状係合素子の密度は2106個/平方インチ、目付が225g/mである面ファスナーを得た。
その後、下記に示す処方1の樹脂液を、面ファスナー裏面に樹脂量40g/mでバックコートを実施した。バックコート後の目付は、265g/mであった。
処方1
ハイドランHW−311 100部
(水系ウレタン系樹脂、DIC株式会社製)
パーマスタットCR−5L 2部
(エポキシ系架橋剤、DIC株式会社製)
ボンコートHV−E 1部
(アクリル系増粘剤、DIC株式会社製)
次いで、経糸、緯糸ともに167dtex/48f(単糸繊度3.48dtex)のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸で構成されたツイル織物からなる布帛を作製した。常法により精練、染色、仕上げを行った。得られた織物の経糸密度は95本/インチ、緯糸密度は97本/インチ、目付は147g/mであった。
布帛に処方2の樹脂液を積層面積に対し占有面積100%で、樹脂量52g/mにて塗工し、前記面ファスナーと積層し、面ファスナー積層体を得た。面ファスナー積層体の目付は464g/mであった。評価結果を表1に示す。
処方2
ハイドランHW−333 100部
(水系ウレタン系樹脂、DIC株式会社製)
パーマスタットCR−5L 2部
(エポキシ系架橋剤、DIC株式会社製)
ボンコートHV−E 4部
(アクリル系増粘剤、DIC株式会社製)
ノブコNXZ 0.2部
(消泡剤、サンノブコ株式会社製)
アンモニア水 0.6部
水 4部
[実施例2]
実施例1の面ファスナーにバックコートしなかった以外は実施例1と同様に加工し、処方2の樹脂液を積層面積に対し占有面積100%で、樹脂量89g/mで塗工、積層し、面ファスナー積層体を得た。面ファスナー積層体の目付は461g/mであった。評価結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1で得られたバックコートされた面ファスナーと布帛を、処方2の樹脂液を積層面積に対し占有面積100%で、樹脂量25g/mで塗布後、実施例1と同様に加工し、面ファスナー積層体を得た。面ファスナー積層体の目付は437g/mであった。評価結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1で得られた面ファスナーに処方3の樹脂液を樹脂量40g/mでバックコートした。バックコート後の目付は265g/mであった。
処方3
ファイコート30G 100部
(水系アクリル系樹脂、大和化学工業株式会社製)
パーマスタットCR−5L 2部
(エポキシ系架橋剤、DIC株式会社製)
ボンコートHV−E 2部
(アクリル系増粘剤、DIC株式会社製)
実施例1と同様に、布帛に処方2の樹脂液を積層面積に対し占有面積100%で、樹脂量52g/mで塗布後、上記で得られた面ファスナーと積層し、実施例1と同様に加工し、面ファスナー積層体を得た。面ファスナー積層体の目付は464g/mであった。評価結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例1で得られた面ファスナーに、処方1の樹脂液を樹脂量80g/mでバックコートした。バックコート後の目付は、305g/mであった。
次いで、84dtex/30fのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸で構成されたトリコット編物からなる布帛を作製した。常法により精練、染色、仕上げを行った。得られた編物の経密度は39コース/インチ、緯密度は40ウエル/インチ、目付は76g/mであった。
上記トリコット編物に、処方2の樹脂液を積層面積に対し占有面積100%で、樹脂量52g/mで塗布後、面ファスナーと積層して面ファスナー積層体を得た。面ファスナー積層体の目付は433g/mであった。評価結果を表1に示す。
[実施例6]
パイル部にナイロン6フィラメント糸(KBセーレン(株)社製、117dtex/12f)、基布部にポリエステル芯鞘複合繊維フィラメント糸84dtex/24f(KBセーレン(株)社製 芯部:レギュラーポリエステル、鞘部:融点160℃のポリエステル)から構成されたサテン組織のトリコット編物(フロント糸10/45,ミドル糸10/12,バック糸10/23で編成)を起毛し、190℃で熱セットを実施した。得られた面ファスナーの経密度は44コース/インチ、緯密度は44ウエル/インチ、パイル状係合素子の密度は1936個/平方インチ、目付は324g/mであった。
実施例1と同様に、樹脂量35g/mで面ファスナーにバックコートをした。バックコート後の目付は、359g/mであった。
実施例5で用いたトリコット編物に、実施例1と同様に処方2の樹脂液を積層面積に対し占有面積100%で、樹脂量52g/m塗布後、上記で得られた面ファスナーと積層し、面ファスナー積層体を得た。面ファスナー積層体の目付は487g/mであった。評価結果を表1に示す。
[実施例7]
実施例6で得られたバックコートされた面ファスナーと実施例1で用いた布帛を、ウレタン系不織布(KBセーレン(株)社製 エスパンシオーネFF、目付50g/m)を用いて、面ファスナーと布帛の間に積層して、160℃で2分間の熱融着し、面ファスナー積層体を得た。ウレタン系不織布の積層面積に対し占有面積は95%で、面ファスナー積層体の目付は556g/mであった。評価結果を表1に示す。
[実施例8]
ポリ塩化ビニルフィルム(オカモト株式会社製 目付400g/m)を、下記に示す処方4の樹脂液をポリ塩化ビニルフィルムに積層面積に対し占有面積100%で、樹脂量15g/mで塗布後、実施例2のバックコートを実施しなかった面ファスナーと積層した。
次いで、上記ポリ塩化ビニルフィルムの他面に処方4の樹脂液を積層面積に対し占有面積100%で、樹脂量15g/mで塗布後、実施例1で用いた布帛を積層して面ファスナー積層体を得た。面ファスナー積層体の目付は731g/mであった。評価結果を表1に示す。
処方4
クリスボン4365T 100部
(溶剤系ウレタン系樹脂、DIC株式会社製)
レザミンNE架橋剤 10部
(溶剤系ウレタン架橋剤、大日精化工業株式会社製)
アクセルT−81 1部
(溶剤系架橋促進剤、DIC株式会社製)
DMF 20部
[比較例1]
実施例1の面ファスナーにバックコートしなかった以外は実施例1と同様に、処方2の樹脂液を積層面積に対し占有面積100%で、樹脂量52g/mにて塗工・加工し面ファスナー積層体を得た。面ファスナー積層体の目付は424g/mであった。評価結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1において面ファスナーと布帛を処方2の樹脂液を積層面積に対し占有面積100%で、樹脂量6g/mで塗布、積層した以外は実施例1と同様に加工し、面ファスナー積層体を得た。面ファスナー積層体の目付は418g/mであった。評価結果を表1に示す。
[比較例3]
実施例1において面ファスナーと布帛を処方2の樹脂液を積層面積に対し占有面積70%で、樹脂量を30g/mでスプレー法にて付与、積層し、面ファスナー積層体を得た。面ファスナー積層体の目付は442g/mであった。評価結果を表1に示す。
1 面ファスナー
2 樹脂層
3 布帛
4 バックコート層
5 コーティング層
6 ラミネート層(フィルムまたは不織布)
7 面ファスナー積層体
a 凹凸部分の高さ
Figure 2011110311

Claims (4)

  1. 基布の表面に多数の係合素子を有してなる面ファスナーの裏面に、樹脂層、布帛層が順に積層されてなる面ファスナー積層体であって、該積層体の9.8N荷重時の伸長率が0.5〜3%、回復率が95%以上である面ファスナー積層体。
  2. 樹脂層が積層面積の85〜100%に20〜500g/mで形成されてなることを特徴とする請求項1記載の面ファスナー積層体。
  3. 面ファスナー基布部に芯鞘構造融着糸が用いられていることを特徴とする請求項1乃至3記載の面ファスナー積層体。
  4. 血圧測定用カフに用いられることを特徴とする請求項1乃至3記載の面ファスナー積層体。
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