JP2008214794A - 立体形状を有する手袋インサート及びその製造方法 - Google Patents

立体形状を有する手袋インサート及びその製造方法 Download PDF

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和広 中野
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Abstract

【課題】掌部にて生地タブリが生じず装着感等が良いため、インナー兼用として使用することができ、高品質でありながら安価な二層構造の小型手袋を提供することを可能とする手袋インサート及びその製造方法を提供する。
【解決手段】伸縮性を有する布帛に透湿防水膜を積層してなる透湿防水膜積層布帛からなる甲部と掌部とが、布帛側の面の周縁部において接着剤によって貼り合わされて、ほぼ指の形に沿う形状に形成された手袋インサートにおいて、甲部寸法に対する掌部寸法の比率をタテ方向において70〜100%の範囲内とし、ヨコ方向において60〜85の範囲内とし、甲部が掌部に向かって湾曲した立体形状を有するものとする。
【選択図】図3

Description

本発明は、素材に伸縮性を有し、手袋のアウターシェルの形状に合った立体形状をもち備え、手袋のアウターシェル(表地)とインナー(裏地)との中間層として、又はインナーとして用いられるインサート及びその製造方法に関する。さらには、スポーツ用途、例えばスキー、登山、ライダー、ハンティング等に適した手袋のインサート又はインナーに広く適用することのできる、フィット感や透湿防水機能に優れるインサート及びその製造方法に関する。
スキー、登山、ライダー、ハンティング等に使用される従来の透湿防水手袋は、外側にアウターシェル、裏地にインナー、アウターシェルとインナーの中間に透湿防水層であるインサートが存在する三層構造にて形成されている(例えば特許文献1)。
従来のインサートは平面型の薄いフィルム単体であったため、裏地の薄い小型手袋を作製する際に、インサート自身を直接手に触れるインナーとして使用すると、肌触りが悪いだけでなく、アウターシェルとインサートの形状が合わないことより、掌部でインサートのタブリが生じ、装着感が悪くなるという問題があった。そのためインサート自身をインナーとして使用することはできず、インサート取り付け後、必ず後加工にて裏地を取り付ける必要性があり、手袋縫製の際に手間が掛かっていた。従って、インサートをインナーとして使用し、簡単に作製できて、安価な二層構造の小型手袋を提供することは極めて困難であった。
また、透湿防水膜に布帛を貼り合わせた素材からなるインサートも存在するが、従来のものは、伸縮性のない布帛を使用し、平面形状をしたものであり、手袋の裏地として使用した場合、装着した際に手が動かしにくいだけでなく、アウターシェルとインサートの形状が合わないことにより掌部でインサートにタブリが生じ、装着感が悪くなり、実用には耐えないものであった。従って、上記のフィルム単体のインサート同様に裏地を後から取り付ける必要性があり、手袋縫製の際に手間が掛かるという問題は解決されていなかった(特許文献2及び特許文献3)。
以上のように、掌部にて生地タブリが生じず、装着感が良いため、インナーを兼ねて使用可能であり、二層構造の小型手袋を安価で提供できる手袋インサートはいまだ得られていないのが現状である。
特開2005−307404号公報 特開平07−216609号公報 特開2000−064109号公報
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、フィット感に優れ、手を動かしやすく、掌部にて生地タブリが生じず装着感が良いため、インナー兼用として使用することができ、よって安価な二層構造の小型手袋の製造を可能とする手袋インサート及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の手袋インサートは、伸縮性を有する布帛に透湿防水膜を積層してなる透湿防水膜積層布帛からなる甲部と掌部とが、布帛側の面の周縁部において接着剤によって貼り合わされて、ほぼ指の形に沿う形状に形成された手袋インサートであって、上記の課題を解決するために、甲部寸法に対する掌部寸法の比率がタテ方向において70〜100%の範囲内であり、ヨコ方向において60〜85%の範囲内であり、甲部が掌部に向かって湾曲した立体形状を有するものとする。
上記手袋インサートにおいては、甲部寸法に対する掌部寸法の比率が、タテ方向における比率よりもヨコ方向における比率の方が小さいことが好ましい。
上記手袋インサートは、掌部を形成するための透湿防水膜積層布帛をヨコ方向に20〜60%、タテ方向に0〜40%引き伸ばした状態で、実質的に引き延ばしていない状態の甲部を形成するための透湿防水膜積層布帛と貼り合わせることにより得られる。
甲部および掌部に使用する透湿防水膜積層布帛は、JIS−L−1096法による伸度が経緯両方向ともに50%以上であり、かつストレッチバック性能を有し、JIS−L−1096法による伸長回復率が経緯両方向ともに70〜100%であることが好ましい。
また、上記透湿防水膜積層布帛は、100%伸長時における応力が5〜100N/3cmであることが好ましい。
伸縮性を有する布帛としては、ポリエステル、ナイロン、レーヨン等の合成繊維、綿、ウール等の天然繊維およびそれらの混紡あるいはこれらの繊維とポリウレタン繊維よりなる伸縮性繊維の中から選ばれた材料からなる織物または編物のいずれかを好適に用いることができる。
透湿防水膜としては、透湿性多孔ポリウレタン膜又は透湿性無孔ポリウレタン膜を好適に用いることができる。
透湿防水膜が透湿性多孔ポリウレタン膜である場合は、その膜厚が10〜70μであり、JIS−L−1099A−1法による透湿度が4,000g/m・24H以上であり、かつJIS−L−1092高耐水圧法による耐水圧が50kPa以上であることが好ましい。
透湿防水膜が透湿性無孔ポリウレタン膜である場合は、その膜厚が5〜50μであり、JIS1099B−1法による透湿度が10,000g/m・24H以上であり、かつ耐水圧が100kPa以上であることが好ましい。
甲部と掌部とは布帛側の面の周縁部において接着巾1〜5mmで貼り合わされていることが好ましい。
また、甲部と掌部とを貼り合わせた接着剤は70〜150℃の温度範囲で塗工可能であるホットメルト性を有するポリウレタンであることが好ましい。
さらに、甲部と掌部とを貼り合わせた接着部分がJIS1092静水圧法で2,000mm水柱以上の耐水圧を有することが好ましい。
本発明の手袋インサートの製造方法は、伸縮性を有する布帛に透湿防水膜を積層してなる透湿防水膜積層布帛からなる甲部と掌部とが、布帛側の面の周縁部において接着剤によって貼り合わされて、ほぼ指の形に沿う形状に形成された手袋インサートの製造方法であって、掌部を形成するための透湿防水膜積層布帛をヨコ方向に20〜60%、タテ方向に0〜40%引き伸ばした状態で固定する工程と、甲部を形成するための透湿防水膜積層布帛の布帛側の面に接着剤を塗工する工程と、上記掌部用透湿防水膜積層布帛の布帛側の面と甲部用透湿防水膜積層布帛の布帛側の面とを前記接着剤によって貼り合わせる工程とを含み、甲部が掌部に向かって湾曲した立体形状を有する手袋インサートを製造するものである。
本発明の手袋インサートは、手袋のアウターシェルと同様に掌部に向かって湾曲した立体形状を有し、掌部の生地タブリがなく、装着フィット感に優れたものとなる。従って、通常のインサート(中間層)として用いてもよいが、インナーを設けない、アウターシェルとインサートのみからなる二層構造の手袋に用いた場合、従来にはなかった高品質で安価な小型手袋を提供することが可能となる。
透湿防水膜積層布帛として上記のような100%伸長時応力、伸度、伸長回復率を有するものとしたとき、特に着用感やフィット感に優れたものとすることができる。
また、透湿防水膜として上記のような特性を有する透湿性多孔ポリウレタン膜又は透湿性無孔ポリウレタン膜を用いた場合、透湿防水機能のみならず、肌触り、装着時の手の動かしやすさ等にも優れるため、スキー、登山、ライダー、ハンティングなどのスポーツ手袋用インサートとして特に好適に用いられる。
さらに、甲部と掌部との接着巾を所定の範囲にすることにより着用感がより良好となり、また接着部分の耐水圧を所定値以上とすることにより、手袋内部への水の侵入を防ぐことができる。
本発明の手袋インサートの製造方法によれば、上記のような本発明の手袋インサートが容易に得られる。
1.手袋インサートの素材
本発明の手袋インサートの素材は、伸縮性のある布帛を透湿防水膜に積層させてなる透湿防水膜積層布帛である。
伸縮性のある布帛としては緯編みの編地が挙げられる。また、ポリウレタンスパンデックッスのような伸縮性のある繊維の交編布帛を使用した場合、その伸長性および伸長回復性が顕著に現れ、このような伸縮性を有する繊維を使用した場合には編地に限らず織物においても伸縮性を発現する。したがって、本発明において使用する布帛としては、伸縮性能が発現されるのであれば、編地、織物のいずれであってもよい。
また、その繊維材料としては、その用途や要求される肌触り等に応じて、ポリエステル、ナイロン、レーヨン等の合成繊維、綿、ウール等の天然繊維およびそれらの混紡、あるいは、これらの繊維とポリウレタン繊維よりなる伸縮性繊維のいずれのものも使用可能である。
本発明における手袋インサートの透湿防水機能は、上記伸縮性布帛に積層させた透湿防水膜によって発現されるものであり、使用可能な透湿防水膜の例としては、ポリウレタンの多孔膜又は無孔膜、多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜等が挙げられる。
ポリウレタンの多孔膜又は無孔膜を使用した場合、膜自身が伸縮性を有し、積層後も伸縮性が維持されるため好ましい。一方、多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜を使用した場合、膜自身が伸縮性をもたないため、布帛積層後の伸縮性を阻害するのみならず、多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜に破れが発生してしまうおそれがある。
ポリウレタンの無孔膜と多孔膜としては、要求される透湿防水機能が発現されるのであれば、伸縮性のある透湿性無孔ポリウレタン膜もしくは伸縮性のある透湿性多孔ポリウレタン膜のいずれを用いても構わない。
透湿性無孔ポリウレタン防水膜は、厚みに比例して防水性は向上するが、透湿性が低下するので、5〜50μの厚みにすることが好ましく、さらに好ましくは10〜30μとする。また、透湿性多孔膜ポリウレタン防水膜は、膜厚による透湿度と耐水圧の変動は少ないので、膜強度や風合いなどの点より、膜の厚みは10〜70μであることが好ましく、さらに好ましくは30〜50μである。
透湿防水膜積層布帛が伸び難いものであれば小型手袋用インサートとした場合、着用感が窮屈になり、それを避けるためには大きなインサートを作製する必要性があり、小型手袋の裏地として適用できないため好ましくない。すなわち、着用感を窮屈ではないものとし、かつインサートを小型手袋の裏地として適用可能とするためには、透湿防水膜積層布帛の伸度が経方向に50%以上であり、緯方向に50%以上であることが好ましく、経方向に100%以上、緯方向に100%以上であるのがさらに好ましい。
また、防水膜積層布帛は縮み性を有するものである必要性があり、その伸長回復率は70〜100%であることが好ましく、さらに好ましくは90〜100%である。伸長回復率が70%より小さいと、手袋インサートとして着用後形状が変形するため好ましくない。
さらに、透湿防水膜積層布帛の縮む力が弱いと手袋インサートとして着用した際、十分なフィット感が得られないため好ましくない。また、縮む力が強すぎると着用した際窮屈に感じるため好ましくない。従って、透湿防水膜積層布帛の縮む力すなわち100%伸長時における応力は5〜100N/3cmであることが好ましく、さらに好ましくは5〜50N/3cmである。
なお、本明細書における伸度及び伸長回復率は共にJIS−L−1096法によるものとし、100%伸長時における応力も同法に準じて測定することができる。
透湿防水膜積層布帛の透湿防水膜として透湿性多孔ポリウレタン膜を使用した場合は膜自身湿気となじまないため、不感蒸泄の排出を評価するJIS−L−1099A−1法による透湿度にて評価することが適切であり、このA−1透湿度が低いと蒸れ感を感じ好ましくない。具体的には透湿性多孔ポリウレタン膜を使用した透湿防水膜積層布帛のA−1透湿度としては、4,000g/m・24H以上であることが好ましく、さらに好ましくは6,000g/m・24H以上である。
透湿防水膜として透湿性無孔ポリウレタン膜を使用した場合は、膜自身湿気となじむため、結露した汗の排出を評価するJIS−L−1099B−1法による透湿度にて評価することが適切であり、このB−1透湿度が低いと結露した汗が溜まり、着用感が不快なものとなるため好ましくない。すなわち、透湿性無孔ポリウレタン膜使用透湿防水膜積層布帛のB−1透湿度は10,000g/m・24H以上であることが好ましく、さらに好ましくは15,000g/m・24H以上である。
また、透湿防水膜積層布帛の耐水圧が低いと、そのインサートを用いた手袋を着用したとき、雨天時等で手袋が水に濡れた際に手袋内部にまで水が浸入してくるため好ましくない。したがって、透湿防水膜積層布帛の耐水圧は、その膜が透湿性多孔ポリウレタン膜である場合にはJIS−L−1092高耐水圧法による耐水圧で50kPa以上であることが好ましく、さらに好ましくは100kPa以上である。また、透湿防水膜積層布帛の膜が透湿性無孔ポリウレタン膜である場合は、無孔膜であるという構造上、高耐水圧を発現させることが可能であるため、耐水圧は100kPa以上であることが好ましく、さらに好ましくは150kPa以上である。
2.手袋インサートの構造及び製造
本発明の手袋インサートは形状が平面型ではなく、手袋甲部の面積の方が掌部の面積よりも大きく、掌部に向かって湾曲した立体形状をなすものである。手袋インサートが平面形状を有している場合、アウターシェルとインサートとの二層構造の手袋を作製する際に、インサートの掌部素材が掌部にてタブリが生じ、着用不快感を与えるので好ましくない。手袋インサートの形状が掌部に向かって湾曲した立体形状を有する場合、アウターシェルの形状に合い、掌部素材のタブリもないため、着用感が良好となる。
手袋インサートを掌部に向かって湾曲した立体形状とするため、甲部寸法に対する掌部寸法の比率がタテ方向において70〜100%であり、ヨコ方向において60〜85%であるものとする。この比率は、タテ方向において80〜100%であり、ヨコ方向において70〜80%の範囲であるのがより好ましい。ただし、タテ方向よりもヨコ方向において甲部寸法と掌部寸法との差を大きくした方が掌部のタブリが少なくなる傾向があるため、タテ方向における(掌部寸法/甲部寸法)よりも、ヨコ方向における(掌部寸法/甲部寸法)の方が小さな値をとることが好ましい。
図1は、手袋インサートの一実施例を示す斜視図である。符号1は甲部と掌部との接着部2を示す。本図に示すように、手袋インサートAはほぼ指の形に沿った形状(手形状)に形成され、本明細書でいう「タテ方向」とは図1に示した中指の中心線の方向(インサートの長さ方向)をいい、「ヨコ方向」とは上記中指の中心線に垂直な方向(インサートの幅方向)をいうものとする。
また、甲部に対する掌部の面積比率は40〜80%とし、好ましくは50〜70%とする。甲部に対する掌部の面積比率が80%より大きければ顕著な立体形状を示さず、平面形状のインサート同様、アウターシェルと組み合わせた際に掌部にてタブリが生じ、着用不快感を与えるので好ましくない。一方、手袋インサート甲部に対する掌部の面積比率が40%より小されば、各指部にカールが発生し、アウターシェルの取り付けが困難となるため好ましくない。
ここで、本発明における甲部に対する掌部の面積比率(%)とは、
[(掌部素材の面積)/(甲部素材の面積)]×100
の式にて定義され、その数値が高ければ高いほど甲部素材と掌部素材の大きさが近づき、低ければ低いほど甲部素材と掌部素材の大きさがかけ離れることを意味する。
手袋インサートが上記のような甲部と掌部の寸法(面積)比率を有し、掌部に向かって湾曲した立体形状を有するものにするには、掌部を形成するための透湿防水膜積層布帛をヨコ方向に20〜60%、タテ方向に0〜40%引き伸ばした状態で、実質的に引き伸ばしていない状態の甲部を形成するための透湿防水膜積層布帛と貼り合わせることが好ましい。
貼り合わせる方法は特に限定されないが、甲部を形成するための透湿防水膜積層布帛の布帛側の面に所定の形状に接着剤を塗工し、上記引き伸ばした状態の掌部用透湿防水膜積層布帛の布帛側の面とその接着剤によって貼り合わせ、接着剤の硬化後に塗工部の外側の不要部を切除するのが効率的であるため好ましい。
すなわち、図1に示すように、手袋インサートはほぼ指の形に沿った形状(手形状)に形成されるので、接着剤は、その周縁部1となるべき手形状の線に沿って連続的に塗工すればよい。
手袋インサートの甲部および掌部の布帛面と布帛面を手形状に塗工した接着剤にて貼り合わせる際、その接着巾(図1におけるa)が狭いと接着強度が弱く、手袋縫製時および手袋着用時にインサートが破損するおそれがあるため好ましくない。また、接着巾が広すぎると手袋完成品および手袋インサート着用時に接着部が指に当たり、着用感が不快なものとなる。従って、手形状に塗工した接着剤の巾は1〜5mmであることが好ましく、さらに好ましくは2〜4mmである。
甲部および掌部の布帛面と布帛面とを貼り合せる接着剤の例としては、二液硬化型接着剤、ホットメルト型接着剤などが挙げられるが、その作業性を考慮に入れるとホットメルト型接着剤を使用することが好ましく、材質としてはポリウレタン、アクリルなどが挙げられるが、風合いの良さからポリウレタンを使用することが好ましい。熱プレスを行う際に、あまり温度をかけすぎると布帛および透湿防水膜に損傷を与えてしまい好ましくないため、接着剤として使用するホットメルト性を有するポリウレタンは70〜150℃で塗工可能であることが好ましく、より好ましくは80〜120℃で塗工する。
手袋インサートの甲部および掌部の貼り合せ箇所の耐水圧が低すぎると手袋に組み込んで着用したとき、雨天時等、手袋が水に濡れた際に手袋内部にまで水が浸入してくるため好ましくない。従って、甲部および掌部の接着部分の耐水圧は、JIS1092静水圧法による耐水圧で2,000mm水柱以上であることが好ましく、5,000mm以上であることがさらに好ましくい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
[透湿防水膜積層布帛の調製例]
繊維太さ50dのナイロン繊維と40dのポリウレタン繊維との交編トリコットの一方の面に、溶融させた湿気反応型ポリウレタン(タイホースNH124:大日本インキ化学工業(株)製)をバインダーとしてグラビアコーターで塗布し、厚さ50μ、JIS−L−1099A−1法による透湿度15,000g/m・24H、JIS−L−1092高耐水圧法による耐水圧100kPaの伸縮性ポリウレタン多孔膜を接着面積40%でラミネートし、48時間室温にて熟成することにより、透湿防水膜積層布帛を得た。
この透湿防水膜積層布帛は、厚さが0.15mm、伸度がJIS−L−1096法により経:73%、緯:110%、伸長回復率が同法により経:91%、緯:89%、100%伸長時における応力が10N/3cm、透湿度がJIS−L−1099A−1法により10,000g/m・24H、耐水圧がJIS−L−1092高耐水圧法により100kPaであった。なお、JIS−L−1096法による試験は、試験片の幅5cm、長さ(つかみ間隔)20cm、引張速度15cm/minとし、3枚の試験片の平均値を求めた。
[実施例1]
上記で得られた透湿防水膜積層布帛の甲部用布帛面にカートリッジ式反応性ホットメルト用ハンドガンTR70.3(ドイツReka社製)を使用して、手形状に湿気反応型ポリウレタン(タイホースNH124:大日本インキ化学工業)を塗工温度100〜120℃で2.5mm巾に塗工し、あらかじめアルミ枠にタテ方向に40%、ヨコ方向に60%伸ばして固定しておいた掌部用布帛の布帛面を甲部布帛の塗工面に貼り合せ、48時間室温にて熟成後、手形状のトムソン刃にて切り抜き、右手用の手袋インサートを得た。甲部に対する掌部のタテ方向の寸法比率は71%、ヨコ方向の寸法比率は63%、面積比率は45%である。また、接着部の耐水圧はJIS1092静水圧法による耐水圧で2000mm水柱以上であった。
得られた手袋インサートを手首部でつるし、写真を撮影した。図2は手袋インサートを掌部側から撮影したものであり、図3は親指側から撮影したものであり、図4は小指側から撮影したものである。
得られた手袋インサートは、掌部布帛が縮み、図2〜4に示されたように立体形状をなし、インサートを装着後、手袋のアウターシェルをその上から装着した際、掌部のタブリはなく、快適な装着感が得られた。
[実施例2]
タテ方向に20%、ヨコ方向に40%伸ばしてアルミ枠に固定した掌部布帛を用い、実施例1と同製法にて立体インサートを作製した。甲部に対する掌部のタテ方向の寸法比率は83%、ヨコ方向の寸法比率は71%、面積比率は60%である。
インサートの形状は立体型をなし、インサートを装着後、手袋のアウターシェルをその上から装着した際、掌部のタブリはなく、快適な装着感が得られた。
[実施例3]
アルミ枠にタテ方向0%、ヨコ方向に40%伸ばして固定した掌部布帛を実施例1と同製法にて立体インサートを作製した。甲部に対する掌部のタテ方向の寸法比率は100%、ヨコ方向の寸法比率は71%、面積比率は71%である。
インサートの形状は立体型をなし、インサートを装着後、手袋のアウターシェルをその上から装着した際、掌部のタブリは殆ど感じられず、快適な装着感が得られた。
[実施例4]
アルミ枠にタテ方向0%、ヨコ方向に20%伸ばして固定した掌部布帛を実施例1と同製法にて立体インサートを作製した。甲部に対する掌部のタテ方向の寸法比率は100%、ヨコ方向の寸法比率は83%、面積比率は83%である。
インサートの形状は立体型をなし、インサートを装着後、手袋のアウターシェルをその上から装着した際、掌部のタブリは殆ど感じられず、快適な装着感が得られた。
[比較例1]
アルミ枠にタテ方向60%、ヨコ方向に80%伸ばして固定した掌部布帛を用いて、実施例1と同製法にて立体インサートを作製した。甲部に対する掌部のタテ方向の寸法比率は63%、ヨコ方向の寸法比率は56%、面積比率は34%である。
得られた手袋インサートの写真を実施例1と同様にして撮影した。図5は掌部側から、図6は親指側から、図7は小指側からそれぞれ撮影したものである。
写真から分かるように、インサートは中指、薬指、小指部分でカールが発生した。見た目も良くなく、アウターシェルとの縫製が困難な形状であった。
[比較例2]
アルミ枠にタテ方向0%、ヨコ方向に10%伸ばして固定した掌部布帛を用いて、実施例1と同製法にて立体インサートを作製した。甲部に対する掌部のタテ方向の寸法比率は100%、ヨコ方向の寸法比率は91%、面積比率は91%である。
得られた手袋インサートの写真を実施例1と同様にして撮影した。図8は掌部側から、図9は親指側から、図10は小指側からそれぞれ撮影したものである。
写真から分かるように、インサートの形状はほぼ平面状となり、インサートを装着後、手袋のアウターシェルをその上から装着した際に掌部に不快なタブリが発生した。
上記実施例のように、伸縮性のある布帛を透湿防水膜に積層させた所定の透湿防水膜積層布帛を手袋インサートの素材として使用し、掌部と甲部の寸法を所定の範囲内とすることにより、手袋インサートの形状を手袋のアウターシェルと同様に掌部に向かって湾曲した立体形状にすることができ、かつ手袋のインナー材として要求される肌触り、フィット感、装着時の手の動かしやすさ、および掌部の生地タブリがないといった特性を持ち備えるものとすることができる。従って、これまで製造困難であったアウターシェルとインサートのみで形成される二層構造でありながら高品質の小型手袋を安価で提供することが可能となる。
本発明に係る立体形状を有する手袋インサートは、通常のインサート(中間層)として用いることもできるが、アウターシェルとインサートのみで形成される二層構造の小型手袋のインナーを兼ねたインサートとして広く利用することができ、その優れた肌触り、フィット感、装着時の手の動かし易さ、掌部の生地タブリがないといった特性から、スキー、登山、ライダー、ハンティングなど、透湿防水機能のみならず装着感の良さが要求されるスポーツ手袋用インサートとして特に好適に用いられる。
手袋インサートの一実施例を示す図である。 実施例1により得られた手袋インサートを掌部側から撮影した写真である。 実施例1により得られた手袋インサートを親指側から撮影した写真である。 実施例1により得られた手袋インサートを小指側から撮影した写真である。 比較例1により得られた手袋インサートを掌部側から撮影した写真である。 比較例1により得られた手袋インサートを親指側から撮影した写真である。 比較例1により得られた手袋インサートを小指側から撮影した写真である。 比較例2により得られた手袋インサートを掌部側から撮影した写真である。 比較例2により得られた手袋インサートを親指側から撮影した写真である。 比較例2により得られた手袋インサートを小指側から撮影した写真である。
符号の説明
A……手袋インサート
1……接着部(周縁部)

Claims (13)

  1. 伸縮性を有する布帛に透湿防水膜を積層してなる透湿防水膜積層布帛からなる甲部と掌部とが、布帛側の面の周縁部において接着剤によって貼り合わされて、ほぼ指の形に沿う形状に形成された手袋インサートであって、
    甲部寸法に対する掌部寸法の比率がタテ方向において70〜100%の範囲内であり、ヨコ方向において60〜85%の範囲内であり、
    甲部が掌部に向かって湾曲した立体形状を有する
    ことを特徴とする手袋インサート。
  2. 前記甲部寸法に対する掌部寸法の比率が、タテ方向における比率よりもヨコ方向における比率の方が小さいことを特徴とする、請求項1又は2に記載の手袋インサート。
  3. 掌部を形成するための透湿防水膜積層布帛をヨコ方向に20〜60%、タテ方向に0〜40%引き伸ばした状態で、実質的に引き延ばしていない状態の甲部を形成するための透湿防水膜積層布帛と貼り合わせることにより得られたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の手袋インサート。
  4. 前記甲部および掌部に使用する透湿防水膜積層布帛のJIS−L−1096法による伸度が経緯両方向ともに50%以上であり、かつストレッチバック性能を有し、JIS−L−1096法による伸長回復率が経緯両方向ともに70〜100%であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の手袋インサート。
  5. 前記甲部および掌部に使用する透湿防水膜積層布帛の100%伸長時における応力が5〜100N/3cmであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の手袋インサート。
  6. 前記伸縮性を有する布帛が、ポリエステル、ナイロン、レーヨン等の合成繊維、綿、ウール等の天然繊維およびそれらの混紡あるいはこれらの繊維とポリウレタン繊維よりなる伸縮性繊維の中から選ばれた材料からなる織物または編物のいずれかであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の手袋インサート。
  7. 前記透湿防水膜が透湿性多孔ポリウレタン膜又は透湿性無孔ポリウレタン膜であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の手袋インサート。
  8. 前記透湿防水膜が透湿性多孔ポリウレタン膜であり、その膜厚が10〜70μであり、JIS−L−1099A−1法による透湿度が4,000g/m・24H以上であり、かつJIS−L−1092高耐水圧法による耐水圧が50kPa以上であることを特徴とする、請求項7に記載の手袋インサート。
  9. 前記透湿防水膜が透湿性無孔ポリウレタン膜であり、その膜厚が5〜50μであり、JIS−L−1099B−1法による透湿度が10,000g/m・24H以上であり、かつJIS−L−1092高耐水圧法による耐水圧が100kPa以上であることを特徴とする、請求項7に記載の手袋インサート。
  10. 前記甲部と掌部とが布帛側の面の周縁部において接着巾1〜5mmで貼り合わされたことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の手袋インサート。
  11. 前記甲部と掌部とを貼り合わせた接着剤が70〜150℃の温度範囲で塗工可能であるホットメルト性を有するポリウレタンであることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の手袋インサート。
  12. 前記甲部と掌部とを貼り合わせた接着部分がJIS1092静水圧法で2,000mm水柱以上の耐水圧を有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の手袋インサート。
  13. 伸縮性を有する布帛に透湿防水膜を積層してなる透湿防水膜積層布帛からなる甲部と掌部とが、布帛側の面の周縁部において接着剤によって貼り合わされて、ほぼ指の形に沿う形状に形成された手袋インサートの製造方法であって、
    掌部を形成するための透湿防水膜積層布帛をヨコ方向に20〜60%、タテ方向に0〜40%引き伸ばした状態で固定する工程と、
    甲部を形成するための透湿防水膜積層布帛の布帛側の面に接着剤を塗工する工程と、
    前記掌部用透湿防水膜積層布帛の布帛側の面と甲部用透湿防水膜積層布帛の布帛側の面とを前記接着剤によって貼り合わせる工程とを含み、
    甲部が掌部に向かって湾曲した立体形状を有する手袋インサートを製造する
    ことを特徴とする手袋インサートの製造方法。
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