JP6327609B2 - 通気構造を有する布帛及び衣服 - Google Patents

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Description

本発明は、布帛の構造を変えることで機能性を高めた通気構造を有する布帛及び衣服に関するものである。
本発明の通気構造を有する布帛は、内部に蓄積する熱気と湿気を外部に効率よく放散することができるため、作業着、ワイシャツ、ユニフォーム、ジャンパー、コート、カジュアルウエア、運動用衣服、学生服、スポーツウエア、白衣、アンダーウエアなどの衣服に使用される。
特に、繊維織物にポリウレタンやポリエステルなどの樹脂をコーティングした布帛、ナイロン、ポリエステルなどの樹脂シート、ゴムシートなどの防水性布帛を使用した衣服用布帛の通気性を向上させることができため、例えばレインコート、レインスーツ、各種作業着、ヤッケ、アノラック、ウインドブレーカー、トレーナー、ポンチョ、登山衣、ブルゾンなどの防水性の各種衣服に好適に使用される。
以下の説明では、ポリエステル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、綿・麻などの天然繊維、レーヨンなどの再生繊維等を使用した織物、編物などの繊維製品、該繊維製品に樹脂をコーティン,または樹脂フィルムを積層したシート、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂シート、又はそれらを積層した樹脂シート、繊維製品にウレタンコーティング、ウレタンラミネートあるいはアクリルコーティングにより防湿加工を施した防水透湿性の複合シート、ゴムシートなどを総称して布帛という。
従来より、作業服やワイシャツ等の衣服は暑い時期、特にシャツなどのアンダーウエアを着用した場合には発汗し易く、衣服内部が蒸れて不快感を生じるとともに、発汗して蒸れた状態で冷房設備が備えられた建物内に入ると、急激に体温が低下して体に多大な負担をかける。そのため通気性や透湿性を備えた衣服が要望されている。
特に、雨天に着用するレインコート、レインスーツなどは、通気性が乏しく、内部が蒸れて発汗し、不快感を生じるため、防水性とともに、通気性、透湿性の機能を備えていることが強く要望されている。
近年、防水性と透湿性の両方の機能を備えた衣服用の布帛として、防水透湿性フィルムを布帛に積層した防水透湿性布帛や、防水透湿性フィルムの表面に織物の表生地を積層し、その裏面に裏生地を積層した防水透湿性を有する布帛などが提案されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
しかしながら、従来の防水透湿性を有する布帛には、次のような問題があった
(1)布帛の表面に水膜ができると通気孔が塞がれて透湿性が低下する。例えば、防水透湿性布帛を使用した衣服は、長年の使用により衣服表面の撥水性能が低下して表面に水膜ができたり、また、綿生地のような保水性のアンダーウエアを着用した場合には、綿生地が汗を吸って濡れて水膜の役割をして透湿性を阻害する。
(2)防水透湿性を有する布服は、衣服の内部で発生した水蒸気が外気圧以上に上昇するまで衣服を透過できないため、蒸気圧が上昇するまで衣服内部は蒸れた状態が維持される。
(3)水透湿性フィルムの強度を上げるためにフィルムに織物、編物等の布帛を積層すると防水透湿性布帛の製造コストがアップする。
(4)防水透湿性布帛を使用した雨衣、例えばスポーツ用の雨衣では、布帛に通気性がないため風であおられた時などに布帛同士が擦れて音が発生するため耳障りである。特にゴルフではスイング時の耳障りな音と雨衣の上衣が体にまとわりつくことでスムースなスイングができない。
本発明者らは、従来の防水防湿性を有する布帛及び該布帛を使用した衣服を徹底的に検討した結果、従来の防水透湿性布帛を使用した衣服、特に雨衣などでは布帛に通気性がないため基本的に上記問題点の解決が困難であり、通気性は布帛構造によってのみ改善されるとの結論に到達し、布帛に通気口を設け、かつ該通気口からの雨水侵入を防止することで
(1)通気性が向上し、かつ、通気口から流出する空気が衣服内部の湿気を同伴するため蒸れも解消できる。
(2)通気口からの雨水の侵入を確実に阻止する構造を採用することで雨衣の防水性が確保される。
ことを見出し、更に検討した結果、布帛を上下に分割し、該分割された上段布帛の下部と下段布帛の上部を重ね、かつ、該下段布帛の上端部を外側に折り返して雨水浸入防止用堰を形成し、該折り返し片と上段布帛の端部を、例えば3次元立体織物などの通気性の連結手段で連結して、該折り返し片と上段布帛との間に第一の通気口、該上段布帛の端部と下段布帛との間に第二の通気口を設け、該上段布帛の端部と重ね合せ部より下方の下段布帛を細幅の布帛で連結した通気性衣服を提案した(特許文献4参照)。
本発明者らが提案した、通気口を有する通気性衣服、例えば雨衣は、
(1)第二の通気口から流入する雨水が雨水浸入防止用堰で阻止される。
(2)第二の通気口から流入する空気が内部で発生する水蒸気を伴って第一の通気口から外部に排出される。
(3)上段布帛の端部と重ね合せ部より下方の下段布帛を細い布帛で連結することで、風の強い時に上段布帛の端部の捲き上がりが防止される。
など布帛構造によって防水防湿性に加えて通気性も有する雨衣の画期的な提案であったが、雨衣の装着者が前屈みになったり、両手を前で組むと背面に設けられた重ね合せ部の上段布帛が横方向に引っ張られて第一及び第二の通気口を塞ぐことがある。通気口が塞がれると通気性低下とともに透湿性も低下する。また下段布帛を引っ張ると下段布帛が垂れ下がって型崩れすることがある。更に、連結手段に使用する不織布や三次元立体編物は厚くて、柔らかいため上段布帛との縫着が困難で、例え縫着できたとしても縫着ラインに発生する凹凸と、使用後に乾燥した縫着糸の収縮により発生する皺が雨衣の表面に現れて外観を著しく損なうなどの問題があった。
特開2002−61009号公報 特開昭60−39014号公報 特開平10−298869号公報 特許第4697560号公報
したがって、本発明の第一の目的は、三次元立体編物と布帛との接合が容易で、しかも接合時に縫着ラインに凹凸が発生せず、また縫着糸が収縮しても縫着ラインに発生する皺が布帛の表面に現れない通気構造を有する布帛を提供することである。
本発明の第二の目的は、該通気構造を有する布帛を使用した雨衣の装着者が前屈みなどの姿勢をとっても通気口が閉塞されて通気性や透湿性が損なわれることのない通気構造を有する布帛を提供することである。
本発明の第三の目的は、下段布帛の垂れ下がりによる型崩れのない通気構造を有する布帛を提供することである。
本発明の第四の目的は、布帛の撥水性が低下して布帛の表面に水膜ができたとしても、第一の開口から水膜が侵入しない通気構造を有する布帛を提供することである。
本発明の第五の目的は、製造が容易で大量生産可能な安価な通気構造を有する布帛及び衣服を提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、本発明に到達したものである。すなわち、本発明は、
(1)上面編地と下面編地を連結する多数の連結糸からなる疎水性の細幅状三次元立体編物の上面編地が接着層を介して三次元立体編物より幅広の帯状の上段補助布帛に接合され、該立体編物の下面編地が接着層を介して三次元立体編物より幅広の帯状の下段補助布帛に接合された通気部材ユニットが、上下に重なるように配置された上段布帛と下段布帛の重ね合せ部に配置されるとともに、該通気部材ユニットの帯状の上段補助布帛の両側端部が上段布帛に取着され、帯状の下段補助布帛の両側端部、または下側端部が下段布帛に取着されて、該下段補助布帛の上側端部と上段布帛との間に第一の通気口、該上段布帛の下端部と下段布帛との間に第二の通気口を設けたことを特徴とする通気構造を有する布帛である。
(2)該帯状の下段補助布帛の上側端部が玉縁処理されてなることを特徴とする請求項1記載の通気構造を有する布帛である。
(3)該通気部材ユニットが、三次元立体編物の上面編地に接合された上段補助布帛と、下面編地に接合された下段補助布帛の下端部間に帯状のメッシュ布帛が配置され、該メッシュ布帛の両端部が上段及び下段補助布帛の下端部に取着されたことを特徴とする請求項1乃至2のいずれか1つに記載の通気構造を有する布帛である。
(4)該上段補助布帛の下端部、又は上段布帛の下端部と、下段補助布帛の下端部、又は下段布帛にスライドファスナーの左右の支持テープが各々取着され、第二の通気口の開口幅が調整可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の通気構造を有する布帛である。
(5)請求項1乃至4のいずれか1つに記載の通気構造を有する布帛用の通気部材ユニットである。
(6)請求項1乃至4のいずれか1つに記載の通気構造を有する布帛を使用した上衣及び/又はズボンである。
(7)請求項1乃至4のいずれか1つに記載の通機構造を有する布帛を使用したアウトドア製品である。
本発明の通気構造を有する布帛は、
・ 上面編地と下面編地の間から侵入する雨水は上下編地を連結する多数の疎水性連結糸に接触して確実に捕捉される。また、下段布帛の表面に拡散する水膜は下段布帛と通気部材ユニットの下段補助布帛を接合した接着層で阻止され、布帛内部への水膜(雨水)の侵入は確実に防止される。
・ 三次元立体編物の上面編地に接合された上段補助布帛が上段布帛の先端部を内方に折り曲げた折返し部、または上段布帛の先端部に接合されるため、上段布帛の表面に接合皴や三次元立体編物の凹凸は現れない。
・ 三次元立体編物の上面編地に上段補助布帛、下面編地に下段補助布帛を各々接着層を介して接合した通気部材ユニットを、上下に重なるように配置された上段布帛と下段布帛の重ね合せ部に配置することで通気構造を有する布帛の製作が容易となりコストダウンが可能である。
・ 薄い布帛を使用した衣服では下段布帛の上端を玉縁処理して剛性を付与することで型崩れが防止できる。
・ 本発明の通気構造を有する布帛を使用した衣服は生体に対する負担度が少なく、疲労が少ない。
などの優れた効果を奏している。
通気構造を有する布帛(1)の模式図 通気部材ユニットの模式図 通気構造を有する布帛(2)の模式図 通気構造を有する布帛(3)の模式図 通気構造を有する布帛(4)の模式図 通気構造を有する布帛(5)の模式図 通気構造を有する布帛(6)の模式図 図7に示す通気部材ユニットの製作説明図 スライドファスナーを取り付けた重ね合せ部の模式図 既製の衣服への通気部材ユニットの取り付け模式図 通気構造を有する布帛(1)の使用状態の説明図 雨衣(1)の前面模式図 雨衣(1)の背面模式図 雨衣(2)の前面模式図 雨衣(2)の背面模式図 雨衣(3)の前面模式図 雨衣(3)の背面模式図 ズボンの模式図 作業着の前面模式図 作業着の背面模式図 ジャンバーの前面模式図 ジャンバーの背面模式図 ランニングウエアの前面模式図 袖口の模式図 傘、又はパラソルの模式図 屋外用遮蔽幕の模式図 簡易設営テントの模式図 幌付トラックの模式図 外気温とカッパ内温度の差の変化を示すグラフ 外気温と3種類のカッパ内温度との差の変化を示すグラフ 被験者の心拍数の変化を示すグラフ 被験者の酸素摂取量の変化を示すグラフ 被験者の酸素脈の変化を示すグラフ
次に本発明の通気構造を有する布帛の一実施例を図面にて説明する。図1は本発明の通気構造を有する布帛1の説明図であり、該布帛1は上段布帛2の下部と下段布帛3の上部を重ね合せた重ね合せ部4が設けられている。該重ね合せ部4に上面編地8と下面編地9を連結する多数の連結糸11からなる疎水性の細幅状三次元立体編物10と上面編地8に接合された上段補助布帛13と、下面編地9に接合された下段補助布帛14から構成された通気部材ユニット5が取着されている。Aは下段補助布帛の上端部と上段布帛2との間に形成された第一の通気口であり、Bは上段布帛2の下端部と下段布帛3との間に形成された第二の通気口である。
通気部材ユニット5は図2(a)に示すようにと、三次元立体編物の上面編地8に接着層12を介して上段補助布帛13が接合されている。三次元立体編物10の下面編地9に下段補助布帛14が接着層12を介して接合されている。
通気部材ユニット5の上下段補助布帛13、14は、三次元立体編物10よりも幅広であり、例えばその両端に5〜20mm、通常8〜15mm程度の接合部15を有している。また、本発明の通気構造を有する布帛1を雨衣などに適用すると、通気部材ユニット5を上下段布帛2、3と接合する際に、左右両側端部に空隙ができ、その空隙から雨水が内部に侵入する恐れがある。かかる空隙の発生は、例えば次の方法で防止できる。図2(b)に示すように、通気部材ユニット5を製作する際に、(1)三次元立体編物10の左右両側部分の厚さを漸減させ、これを上下段布帛13、14で挟んで接合する。(2)三次元立体編物10の左右両端部6を圧縮させた状態で接合する。図2(b)は(2)の方法であり、上下布帛の左側部近傍で縫着している。一点鎖線は縫着ライン7であり、二条の縫着ラインを示している。
上段補助布帛13の上端部は、上段布帛2と縫着され、更に、縫着ラインからの雨水の浸透を防ぐため、上段補助布帛13の裏面側の縫着ラインの上から目止めテープ(図示せず)が貼着されている。縫着の代わりに上段補助布帛13の上端部を上段布帛2の裏面に貼着、
または接着テープで接合してもよい。
上段補助布帛13の下端部は、上段布帛2の下端部を内側に短く折り返した折り返し片17の先端部に接合、例えば縫着されている。縫着の代わりに、両面接着テープ、溶着、接着などで接合してもよい。重ね合せ部4は、上段布帛2と上段補助布帛13の二重構造のため、三次元立体編物の貼着部に発生する上段補助布帛13の皺や凹凸が上段布帛2の表面に現れることがなく、外観を損ねることはない。
下段布帛14、または下段補助布帛14の先端部は、型崩れ防止のため図1のように玉縁処理(パイピング)16を施すことが好ましい。
玉縁処理(パイピング)16は、下段布帛14または下段補助布帛14の先端部にバイアス布、テープ、リボン、撚糸やコードなどの芯材を包むように施される。玉縁処理されたテープ、例えばパイピングテープなどを下段布帛3または下段補助布帛14の上端に取付けてもよい。布帛の先端が玉縁処理されているため先端部が硬くなり、下段布帛3が下方に引っ張られたとしても型崩れしない。柔らかい布帛の場合では玉縁処理16が着用者の背中に当たって着心地が悪くなる恐れがある。その場合は玉縁の芯材に柔らかい芯材、例えば糸芯などを使用することが好ましい。型崩れしない剛性のある布帛やゴムシートなどを
使用する場合は玉縁処理を施さなくてもよい。
通気部材ユニット5を構成する三次元立体編物の上面編地8または下面編地9に接着層12を介して上段補助布帛13または下段補助布帛14を接合する方法は特に限定されないが、通常下記の接合方法が採用される。
(1)上面編地8と下面編地9を連結する多数の連結糸11からなる疎水性の帯状三次元立体編物10の上下面を接着剤からなる接着層12を介して上下段補助布帛と接合する場合には、上段補助布帛13及び下段補助布帛14に接着剤を塗布して接着層12を設けた後、帯状の三次元立体編物10を上段補助布帛13の接着層12上に積層し、次いで接着層12を有する下段補助布帛14を三次元立体編物10に積層する。その後、熱プレス機の成形型間に介装させて加熱、加圧することにより積層一体化することができる。また、上下段補助布帛と三次元立体編物10を接着層12を介して積層した後、この積層体を加熱し、次いで、冷間プレス機の成形型間に介装させ、加圧することにより積層一体化することもできる。また、接着性樹脂フィルムを用いる場合は、上下段布帛と帯状三次元立体編物10との間にフィルムを介装させて積層し、その後、加熱、加圧することにより積層一体化することもできる。
上下段布帛と三次元立体編物を接合する接着剤も特に限定されず、各種の接着剤を用いることができる。この接着剤としては、接着性成分を有するエマルジョン、スラリー、ゲル状接着剤、パウダー状接着剤、接着性樹脂フィルム、発泡樹脂からなる接着剤等が挙げられる。
(2)繊維織物にポリウレタン、ポリエステル、アクリルなどの樹脂をコーティングした布帛、塩化ビニールなどの熱可塑性シート等の布帛では、布帛を融点を超えるまで加熱し、圧力を加えることで溶着することができる。溶着技術には、注音波溶着、振動溶着、誘導溶着、高周波溶着、半導体レーザー溶着、熱溶着等の技術があるが、中でも高周波溶着は溶着する箇所のみを内部加熱させるため、短時間で、かつ溶着しない箇所に熱の影響を与えないため仕上がりが綺麗で好ましい。高周波溶着は電極の役目となる金型を下段補助布帛14と三次元立体編物10及び上段補助布帛13からなる積層体に圧着させ、高周波振動管から出力された電磁波で金型が圧着している部分だけを誘導加熱することにより、上下段補助布帛13、14の表面が溶融した接着層が形成されて三次元立体編物10と溶着させることができる。
三次元立体編物10の上面編地8と下面編地9は、上下段布帛14の表面に接合されている。しかし、上下段布帛14の表面に被覆された表面処理剤により上下段布帛3との接合強度が低下する恐れがある。その場合には、(1)上下段布帛14の表面に被覆された表面処理剤を溶剤等で除去するか、(2)上下段布帛14の裏面を三次元立体編物10との接合面とすることで接合強度の低下を防止することができる。例えば、(2)を採用する場合、図3のように三次元立体編物10下面編地9に下段補助布帛14の裏面を接合する。その場合、下段補助布帛14の下端に下段布帛の上部との接合部に相当する長さの垂下り部が設けられる。下段補助布帛14の上部は三次元立体編物の上端部で下方に折り返されて玉縁処理(パイピング)が施される。下段布帛3の上端部が下段補助布帛14の垂下り部と接合される。なお、本発明でいう接合とは、接着、接着テープ、縫着、溶着等の総称である。
三次元立体編物10は、通気抵抗が少なく、かつ雨摘の透過を阻止するために、厚さが5〜15mm、好ましくは8〜10mm、幅が10〜40mm、好ましくは15〜25mmの三次元立体編物が使用される。厚さが5mm以下では通気断面積が少ない。また、断面積(厚さ)は大きい程望ましいが、厚さ15mm以上では取り扱い難いうえに、布帛に大きな断層ができて見栄えが悪い。三次元立体編物10の幅が10mm以下では立体織物の切断が困難である。幅が40mm以上では通気性が低下して実用的でない。三次元立体編物の厚さと幅は、特に衣服では着心地やデザインなどを考慮して決定される。
三次元立体編物10は、表裏二層の編地を連結糸で連結した構造であり、通常ダブルラッセル編機、ダブルトリコット編機、ダブル丸編機、Vベッドを有する横編機等で編成される。表裏面二層の編地を構成する糸としてはポリエステル系繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維などの疎水性の繊維が用いられる。また表裏面二層の編地を連結する連結糸は上記表裏面二層の編地と同じ繊維が使用されるが、通常圧縮回復率の優れたポリエステル系繊維が好ましく用いられる。
図4では、上段補助布帛13の上下端部は、上段布帛2の下端部を内側に長く折返した折り返し片17と縫着されている。また、折返し片の上端は目止めテープで上段布帛に接合されている。下段補助布帛14と下段布帛3の接合は図1と同じであり説明を省略する。
図5は通気構想を有する布帛の他の例であり、下段補助布帛14の上端部に下段布帛3の上端部が縫着され、かつ、下段補助布帛14の下端部も下段布帛3に縫着されている。上段補助布帛13と上段布帛2の接合は図1と同じであり説明を省略する。
図6は、通気構想を有する布帛の上段布帛2と上段補助布帛13の接合例であり、上段布帛2の下端部を内側に長く折返した折り返し片17の先端部と上段補助布帛13の下端部を接合されている。上段補助布帛13の上端部は折り返し片17を挟んで上段布帛2と縫着されている。また、縫着ラインの裏側には目止めテープが貼着されている。下段補助布帛14と下段布帛3の接合は図1と同じであり説明を省略する。
図7は通気構想を有する布帛の上段補助布帛13と上段布帛2の他の接合例であり、下段補助布帛14と上段補助布帛13の下端部の間にメッシュ布帛19が取り付けられている。メッシュ布帛19により三次元立体編物10の多数の連結糸11が通気部材ユニットから露出することを隠すことができる。メッシュ布帛19は三次元立体編物10の紫外線による劣化を防止するため、紫外線が透過し難い、例えば黒や紺色などの暗黒色系統の布帛が好ましい。暗黒色系統の色でない場合は通気部材ユニット5が目立たない色、例えば上下段布帛と類似した色とすることが好ましい。上段補助布帛13と上段布帛2の接合、下段補助布帛14と下段布帛3の接合は図1と同じであり説明を省略する。
次に、図7に示す通気構造を有する布帛1に使用する通気部材ユニット5の製作方法の一例を図8にて説明する。図8ではメッシュ布帛を縫着で取り付けた例である。メッシュ布帛は縫着のほかに、接着、接着テープ、溶着などの接合手段で取り付けてもよい。なお、メッシュ布帛は外部から三次元立体編物10の連結糸が見える場合は取り付けることが望ましいが、外部から三次元立体編物10の連結糸が見え難い厚さが8mm以下の薄い三次元立体編物では、メッシュ布帛を取り付けなくてもよい。通気部材ユニット5の製作方法は、まず、
(1)上下段補助布帛13、14を上下段布帛2、3との縫着部に相当する端部を残して折り曲げ、該折り曲げ部を対向させて三次元立体編物10の厚みに相当する間隔をあけて配置する。
(2)次に、該間隔を跨ぐようにその上部にメッシュ布帛19を配置してメッシュ布帛19の両端を上下段補助布帛13、14に接合する。
(3)接着層12を設けた下段補助布帛14に三次元立体編物10を積層して貼着する。その後、
(4)接着層12を設けた上段補助布帛13を折り曲げて三次元立体編物10と積層して貼着する。必要であれば、この積層体を加熱し、次いで、冷間プレス機の成形型間に介装させ、加圧することにより完全に貼着できる。なお、下段補助布帛14の上端はパイピングが施されている。
図9は、通気構造を有する布帛1の第二の通気口Bをスライドファスナー20によって、開閉、又は開口幅が調整可能な重ね合せ部4の詳細図であり、図1に示す通気構造を有する布帛1を構成する上段補助布帛13の下端部と、下段補助布帛14の下端部に各々スライドファスナーの一対の支持テープ20(1)、20(2)が取り付けられている。支持テープ20(1)、20(2)は第二の通気口Bから流入する雨摘が支持テープと布帛との接合部に溜まらないように下向きに取付けることが好ましい。また、スライダー(図示せず)は一つ、又は両端に一つづつ取り付けると、第二の通気口Bの開口位置及び開口幅が調整できて好ましい。第二の通気口Bを開閉したり、開口幅を調整することで、内部に流入、又は流出する空気量が調整できて、冬山登山などでの低体温症防止などの効果が期待される。
図10は、通気構造のない既製の雨衣などの衣服へ通気部材ユニットを取り付けて通気構造を有する衣服に変更する例であり、まず、
(1)衣服の通気部材ユニット取り付け位置をカッターなどで直線状に切断して布帛を上下段布帛2、3に分割した後、
(2)通気部材ユニット1を該切断部から挿入して、上段補助布帛13の下端を上段布帛2の下端部に接合する。上段補助布帛13の上端も、目止めテープ18などで上段布帛2の裏面に接合する。
(3)下段補助布帛14は、その下端を上段布帛2の下端(切れ目)の位置より接合部の長さ分だけ長くして、下段布帛3の上端部を下段補助布帛14の下端部に接合する。接合は縫着、溶着、接着などが採用されるが、両面接着テープを採用すれば容易に、かつ綺麗に接合できる。両面接着テープの場合には、接着前に接着面の表面層を除去すると強固な接着が可能である。
(4)雨衣では、図2に示すように、通気部材ユニット1の上下に積層された上下段布帛2、3を通気部材ユニット1の両側端部を圧縮して上下方向に縫着する。なお、上下段補助布帛13、14は衣服に使用された布帛と同一の布帛を使用することが好ましい。上下段布帛2、3を通気部材ユニット1の両側端部を圧縮して上下方向に縫着する。なお、上下段補助布帛13、14は衣服に使用された布帛と同一の布帛を使用することが好ましい。雨衣以外の衣服ではこの工程は不要である。
上記方法で通気部材ユニット5を取り付けると通気性のない既製の衣服を容易に通気構造を有する衣服に変更することができる。
図11は図1の通気構造を有する布帛1を使用した雨衣の模式図であり、雨摘Wは上下段布帛2、3に沿って流下し、雨摘を含む外気は矢印Xのように第二の開口Bから三次元立体編物10を構成する多数の連結糸11に垂直方向から内部に侵入するが、多数の連結糸11で雨滴が捕捉されて雨衣の内部への侵入が阻止される。外気は三次元立体編物10の連結糸間を通過して雨衣内部に侵入する。雨衣内部に流入した外気は雨衣内の暖かく湿った空気を同伴しながら矢印Yのように第一の開口Aから三次元立体編物10を経て第二の開口Bから外部に排出される。第二の開口Bから流入する微細な雨滴は、三次元立体編物10を構成する疎水性の連結糸11に付着し、更にその上に微細な雨滴が付着する現象の繰り返しにより微細な雨滴が集合して次第に大きく成長し、ついには、大きな雨滴の集合物(例えば直径20〜100μm)として外部に流れ出る。また、上、下段補助布帛13、14が三次元立体編物10の全表面に密着して接合されているため、布帛の撥水性が低下した時に水膜状に拡散する雨滴の第二の開口Bの接合部からの雨衣内部への侵入が阻止されるともに、装着者が前屈みになった時に第二の開口Bに溜まった雨滴の雨衣内部への侵入も阻止される。
本発明の通気構造を有する布帛1を衣服に使用する場合は、衣服とシャツなどのアンダーウエアとの密着防止と、衣服着用時に重ね合せ部4に形成された第一の通気口Aに手を引掛けないよう、布帛1の内側に通気性の裏地、例えばメッシュ布帛などを散りつけることが好ましい。通気性の裏地によりアンダーウエアと衣服との間に隙間が形成されて通気性が向上し、かつアンダーウエアとのべとつき等がなく清涼感を保つことができる。アウトドア製品に通気構造を有する布帛を使用する場合は裏地を取り付けなくてもよい。
図12は本発明の通気構造を有する布帛1を使用した雨衣21の前面模式図であり、左右の前身頃a,a’の上下二カ所に夫々重ね合せ部4が設けられている。また、左右の脇見頃b、b’の上部に通気部24が設けられている。該通気部24は多数の通気孔を設けていても、上下の布帛を重ね合わせて上下の布帛の隙間にメッシュ布帛や薄い三次元立体編物を設けてもよい。25は左右の脇見頃に設けられた脇ポケットである。帽子23は雨衣の首回りに予め取付けていても、ホックや面ファスナーなどで着脱自在に取付けてもよい。図13は雨衣21と帽子23の背面模式図であり、後身頃26の上下二カ所に重ね合せ部4が設けられている。下部重ね合せ部の上段布帛には再帰反射素材のパイピング27が施されている。上部重ね合せ部は肩甲骨の近傍に設けるとことが好ましい。
また重ね合せ部4はベンチュレーション効果による通気性向上のため通常上下二カ所に設けることが望ましい。雨衣に着脱自在に取付けられる帽子23の後方に空気流出用の重ね合わせ部4が設けられ、帽子の前面から帽子内に侵入する風を重ね合わせ部4から流出させて帽子が飛ばされることを防止している。帽子23に設けられる重ね合せ部4は帽子の後方のほかに、両側の耳の近くに設けると外からの声や音を聞き取り易くなる。
図14は、他の雨衣21と帽子23の前面模式図であり、警備など夜間作業用に適している。重ね合せ部4が左右の前身頃a,a’の上下二カ所に設けられている。また、左右の脇見頃b、b’の上部に図12と同じ通気部24が設けられている。25は左右の脇見頃b、b’に設けられた脇ポケットであり、28は左前身頃に設けられた胸ポケットである。29は右袖の上部に設けられた袖ポケットである。上下の重ね合せ部4の上段布帛2には再帰反射素材のパイピング27が施されている。また、左袖の上部に再帰反射素材のパイピング27が三重に施されている。帽子23は視界を確保するため透明である。図15は雨衣21と帽子23の後面模式図であり、図13と同様に、後身頃26の上下二カ所に重ね合せ部4が設けられ、上下部重ね合せ部4の下布帛に再帰反射素材のパイピング27が施されている。雨衣に着脱自在に取付けられる帽子23の後方に空気流出用の重ね合わせ部4が設けられている。
図16は本発明の通気構造を有する布帛を使用した他の雨衣21の前面模式図であり、左右の前身頃a,a’の上下二カ所に重ね合せ部4が設けられている。また、左右の脇見頃b、b’の上下二カ所にも重ね合せ部4が設けられ、袖にも重ね合せ部4が設けられている。図17は背面の模式図であり、後身頃26の上下二カ所に重ね合せ部4が設けられている。また、後身頃26の上部重ね合せ部がハの字状に取付けられているため、雨衣の装着者が前屈みになったなどに発生する後見頃の突っ張りが少なく装着性が優れている。また、後身頃26の下部重ね合せ部4の中心は上段布帛の下端部が捲き上がらないように上下段布帛を縫着している。
図18はズボン29の前面をモデル的に示す模式図(a)、(b)である。ズボン29では脚を動かし易いように重ね合せ部4を膝下部に設けるのが好ましい。重ね合せ部はズボンの全周であっても半周であってもよい。また、ベルト又はゴムライン22の下部に、幅2〜3cmのメッシュ布帛を胴回り全周、半周、あるいは長さ5〜10cmのメッシュ布帛を複数取り付けるか、または、内径6.5〜15mmのアイレットを、例えば5〜8個取り付けて重ね合せ部4から流入する外気の排出口としてもよい。メッシュ布帛を胴回り全周又は半周取り付ける場合は、ベルトラインの下部と上段布帛を細幅の布帛で連結し、メッシュ布帛を補強することが好ましい。ベルト付近に設けられたメッシュ布帛、又はアイレットは上着を着用すると隠れるため雨水が流入することはない。31はポケットである。
模式図(b)では、ズボンの上部ベルト芯縫付ラインから下方に傾斜した重ね合せ部4が設けられている。他は(a)と同じであり説明は省略する。
上着及びズボンに設けられた重ね合せ部4の位置と形状は、通気性の衣服の種類、着用者の身体の大きさ、着用場所、デザイン等を考慮して適宜決定される。また、各接合ラインには、日が暮れるのが早い雨天の日の安全性を確保するため、再帰反射素材のパイピングなどを施すことが好ましい。
図19は本発明の通気構造を有する布帛を使用した作業着の前面模式図であり、左右の前身頃a,a`の上下二カ所に重ね合せ部4が設けられている。また、左右の袖にも重ね合せ部4が設けられている。17はスライドファスナーである。図20は作業着の後面模式図であり、後身頃26の上下二カ所に重ね合せ部4が設けられている。なお、本発明の通気構造を有する作業着を着用しても高温環境での作業や重労働等で大量に汗をかいたときに汗を十分に排出できない場合には、例えば特許第4329118号や特許第4399765号などに記載されているように、左右の前身頃a,aの下部にファン取り付け口(図示せず)を設け、該ファン取り付け口にファンを取り付けることが望ましい。該ファン取り付け口に取り付けたファン(図示せず)が作業服内に外気を強制的に取り込み、作業着内の水蒸気を伴って重ね合せ部4に設けられた第二の開口Bから効率よく排出させるため作業着の膨張による着用感の低下がなく、しかもファンで強制的に取り込まれた外気が作業服内に発生した水蒸気を伴って第二の開口Bから排出されるため汗をかいたときの着用感も向上する。
図21は本発明の通気構造を有する布帛を使用したジャンバーの前面模式図であり、左右の前身頃a,aの上部に設けられた上部重ね合せ部4と袖下から斜め下方に伸びる重ね合せ部4が設けられている。図22はジャンバーの後面模式図であり、後身頃26の上部に重ね合せ部4が設けられ、前身頃と同様に袖下から斜め下方に伸びる重ね合せ部4が設けられている。
図23は、ランニングウエアの前面模式図であり、上下3枚の布片からなる前身頃a及び左右の脇見頃b、b’で構成されている。また、前見頃の上下二カ所に重ね合せ部4が設けられている。上下の重ね合せ部4は後見頃にも同様に設けられている。ランニングウエアでは通気性を向上させるため通気性の裏地、例えばメッシュ布帛などを取り付けることが好ましい。ランニングウエアでは、着用者がランニングすると前身頃に設けられた通気口から空気が流入して、ウエア内の空気を伴って背中側の通気口から排出されるため、ウエア内の相対湿度を効率よく低下させ、発汗によりウエアが濡れても乾燥するので着用感が向上する。
図24は本発明の通気性の布帛を円筒状に加工した袖口32の模式図であり、袖口32は直径が先端方向に向けて漸次縮小されている。4は重ね合せ部であり、2、3は上下段布帛である。該重ね合せ部4は袖の全周囲、半周囲、あるいは周囲の一部に設けてもよい。また、袖口32となる下段布帛3の先端に面ファスナー33を取り付けると袖口32の先端を手首に締め付けることができ袖口32からの雨摘の侵入が阻止できる。面ファスナー33の代わりに下段布帛の先端にリング状の空洞を設け、この空洞内にゴム又は細紐を挿入して袖口32の先端を締め付けるようにしてもよい。
図25は、本発明の通気構造を有する布帛を使用した傘、又はパラソル(以下傘という)44の模式図である。傘に使用する傘布45は防水性で通気性がなく、しかも雨摘が流下
しやすいようにお椀を伏せた形状をしているため、風が強いと傘34が飛ばされたり、破
損する危険があるが、傘布45に通気性の布帛1を使用して、重ね合せ部4を傘の上部に設けると傘34の内側のお椀内に侵入する風を重ね合せ部4から外部へ逃がして、傘が受ける風圧を減衰させることができる。重ね合せ部4は、傘の大きさ、使用目的等により、複数設けてもよい。また、傘骨間に設ける重ね合せ部4の数は同じでも、異なっていても
よい。重ね合せ部4は傘を折り畳みやすい位置に設けることが好ましい。
図26は屋外で使用される屋外用遮蔽幕36の模式図であり、屋外における着替やシャワー用として使用されるが、強風時に風圧で飛ばされることがある。該遮蔽幕36は、例えば4本のパイプ状支柱37を連結パイプ38で連結し、その周囲を通気性の布帛1で囲んでいる。重ね合せ部4を遮蔽幕36の上下部に設けることにより遮蔽幕36の内部に侵入する風を重ね合せ部4から外部へ逃がして、遮蔽幕が受ける風圧を減衰させることができるため風の強いときでも遮蔽幕36が飛ばされることがない。39はスライドファナーで開閉する出入り口である。
図27は、キャンプ用の簡易設営テント40の模式図である。簡易テントは、例えば4本の支柱41と各支柱間に通気性の布帛1が張設されて4つの屋根面を形成している。また、4つの屋根面の内の一つに出入口42が設けられている。また、屋根面に重ね合せ部4が設けられている。例えば、上部重ね合せ部4を屋根の頂部付近に設け、下部重ね合せ部4をテントの下部に設けるとベンチュレーション効果によりテント内の湿った暖かい空気が効率よく排気されてテント内部を快適な空間とすることができる。
図28は、幌付トラック43の模式図であり、トラック43の荷台に複数の幌枠44が取り付けられ、該幌枠44に通気性の布帛1が張設されている。幌の上下に重ね合せ部4を設けるとベンチュレーション効果により幌の内部を快適な空間とすることができる。
実施例1
本発明の通気構造を有する布帛を使用した雨カッパの効果を確認するため分速90mのトレッドミル歩行時の雨衣内温度及び外気温を下記の3条件で測定し、外気と雨衣間の温度差を求めた。
・ 雨衣の第2の開口をテープで閉止した状態で無風下での走行を開始し、40分後にテープを剥して開口を開放し、その状態で20分間歩行する。
・ 上記条件と同様であるが、20分間歩行後に被験者の2m前方から工業用扇風機で送風(弱風)する。
・ 雨衣の第2の開口を開放した状態で、被験者の2m前方から工業用扇風機で送風(弱風)しながら60分間歩行する。
なお、実験に使用した雨カッはナイロンにウレタンをコーティングした耐水圧:2000mm以上、透湿:0の布帛を使用して図12のカッパを製作した。布帛は図1の通気構造を採用した。また、ポリエステルのメッシュ布帛からなる収容空間に三次元立体編物(20mm幅に切断した旭化成商事株式会社製「フォージョンR」品番:AKE65710(厚さ:10mm))を収容した通気部材を使用した。裏地にはポリエステルのメッシュ布帛を使用した。
温度の計測にはJ熱電対を使用し、J熱電対が衣服やカッパに接触しないように衣服の表面に両面接着テープで張り付け、その上からカッパを着用した。
被験者はポリエステル製の半袖Tシャツの上に同素材のロングTシャツを着用した。
図29は、上記3条件でトレッドミル歩行中の外気温とカッパ内温度を測定し、外気温とカッパ内温度の差の変化を示すグラフである。グラフから歩行開始前に第2の開口をテープで閉止し、40分後にテープを剥して開口を開放すると、外気とカッパ内の温度が小さくなったことから、本発明の通気構造が有効であることが明らかである。
実施例2及び比較例1
次に、本発明の通気構造を有する布帛を使用したカッパ1(実施例1で使用したカッパ)と機能の異なる2種類の布帛を使用したカッパ2及び3の効果を比較するため被験者に各カッパを着用させて、2m前方から工業用扇風機で送風(弱風)しながらトレッドミル歩行(分速90m)を60分間行なわせ、トレッドミル歩行中の外気温、カッパ内温度、心拍数、酸素摂取量を測定した。
カッパ1: 発明品
布帛:ナイロンにウレタンをコーティング
耐水圧:20000mm以上
透湿:0
カッパ2: ノースフェイス社製
商品名:ノースフェイス NP10180
布帛:「HYVENTR・D」(ナイロンに防水透湿ウレタンをコー
ティング)
耐水圧:20000mm以上
透湿:15000g/m2/24h以上
カッパ3: マック社製
商品名:フェニックスAS−7200
布帛:ナイロンに透湿ウレタンをコーティング
耐水圧:10000mm以上
透湿:2000g/m2/24h以上
図30は、各カッパ着用時のトレッドミル歩行中の外気温とカッパ内温度差の変化を示すグラフである。いずれのカッパも歩行開始10分後に定常を示したが、カッパ3は外気温よりもカッパ内温度が約2.2℃高い状態で定常となり、カッパ1とカッパ2はともに外気温よりも約1.9℃高い状態で定常となった。
このことからカッパ3はカッパ1、2よりもカッパ内温度が高く、かつ、カッパ1とカッパ2のカッパ内温度は同等、言い換えれば、本発明の通気構造を有する布帛を使用したカッパと、透湿性の優れた布帛を使用したカッパの透湿性能は同等である。
図31は、各カッパ着用時のトレッドミル歩行中の被験者の心拍数の変化を示すグラフである。図からカッパ1を着用して歩行した場合は、カッパ2、3を着用して歩行した場合と比べ心拍数が低いことが明らかである。
心拍数は温度の高い環境で作業や運動をすると高い値を示すため、各カッパ着用時のトレッドミル歩行中の歩行速度が同じ速度(90m/分)なので、心拍数が低いということはカッパ1がカッパ2、3と比べ生体への負担が少ないことを示している。
図32は、各カッパ着用時のトレッドミル歩行中の被験者の酸素摂取量の変化を示すグラフである。酸素摂取量は、作業や運動中のエネルギー消費と比例関係にあり、温度の高い環境では上昇する。
グラフからカッパ1を着用して歩行した場合は、カッパ2、3を着用して歩行した場合と比べ酸素摂取量が明らかに低いことを示している。
図33は、各カッパ着用時のトレッドミル歩行中の被験者の心拍数と酸素摂取量から計算された酸素脈の変化を示すグラフである。酸素脈とは心臓が1拍収縮した時の体重1kgあたりの酸素の供給量を示す値であり、酸素脈が高い値の場合は、心臓が効率よく働いていることを示す指標である。グラフから
カッパ1を着用して歩行した場合は、カッパ2、3を着用して歩行した場合と比べ明らかに酸素脈が高いことを示している。
上記各グラフから換気構造を有する本発明の布帛を使用したカッパ1は、通気性については、透湿性が優れた布帛を使用したカッパ2と同等であるが、透湿性のない布帛を使用したカッパ3より優れていた。
一方、生体への負荷については、本発明の布帛を使用したカッパ1は、カッパ2、3よりも負担度が低く、疲労が少ない。
上記実施例と比較例は雨天下ではなく屋内で行われたものであるが、雨天下では外気温度が低く、カッパ内の温度は体の発熱によって上昇するため透湿性がさらに向上する可能性がある。
また、雨天下では歩行時に風圧を受け、通気量が増大するためカッパの性能が上昇する可能性がある。
更に、本発明の通気構造を有する布帛の優れた機能は、晴天時に着用するジャンバー、ユニフォームなどの衣服、テントなどのアウトドア製品などにも適用できる。
実施例3
実施例1で使用した通気構造を有する布帛を使用したカッパ1の強風下における第一の開口からの雨水の侵入の有無について試験した。まず、カッパに設けられた第一の開口を囲んで雨水の侵入確認用のティッシュペーパーを張り付けた後、綿の肌着の上にポリエステルのスポーツシャツを着た被験者にカッパを着用させた。工業用扇風機で送風(強)し、かつ、送風口に水を滴下させて風雨の激しい状態とした。次に工業用扇風機の2m前方で被験者に10分間体操をしてもらった。その後第一の開口に取付けたティッシュペーパーが濡れているか否かを目視で確認したが、濡れは全く確認できなかった。
本発明の通気構造を有する布帛は、型崩れがなく、かつ通気性に優れ、しかも開口が圧迫
されて閉止されることがないため蓄積する熱気と湿気が外部に効率よく放散でき作業服、
ユニフォーム、カッターシャツ、ジャンバー、ワイシャツ、学生服等の衣服用の布帛とし
て好適である。
また、雨水の侵入を阻止する防水加工された通気構造を有する布帛は、内部に熱気と湿気
が蓄積して蒸れやすいレインコート、ヤッケ、アノラックなどの雨衣や、各種テント、ト
ラックや乗用車などの幌、遮蔽幕などのアウトドア製品に好適である。更に、風圧により
飛ばされたり、破損する恐れのある幕、雨傘、日傘、レインコートのフードなどに使用さ
れる。
1 通気性の布帛
2 上段布帛
3 下段布帛
4 重ね合せ部
5 通気部材ユニット
8 上面編地
9 下面編地
10 三次元立体編物
11 連結糸
12 接着層
13 上段補助布帛
14 下段補助布帛
15 接合部
16 玉縁処理
17 折返し片
21 雨衣
23 帽子
29 ズボン
32 袖口
34 傘
36 遮蔽幕
40 簡易テント
43 トラック
44 幌

Claims (7)

  1. 上面編地と下面編地を連結する多数の連結糸からなる疎水性の細幅状三次元立体編物の上面編地が接着層を介して三次元立体編物より幅広の帯状の上段補助布帛に接合され、該立体編物の下面編地が接着層を介して三次元立体編物より幅広の帯状の下段補助布帛に接合された通気部材ユニットが、上下に重なるように配置された上段布帛と下段布帛の重ね合せ部に配置されるとともに、該通気部材ユニットの帯状の上段補助布帛の両側端部が上段布帛に取着され、帯状の下段補助布帛の両側端部、または下側端部が下段布帛に取着されて、該下段補助布帛の上側端部と上段布帛との間に第一の通気口、該上段布帛の下端部と下段布帛との間に第二の通気口を設けたことを特徴とする通気構造を有する布帛。
  2. 該帯状の下段補助布帛の上側端部が玉縁処理されてなることを特徴とする請求項1記載の通気構造を有する布帛。
  3. 該通気部材ユニットが、三次元立体編物の上面編地に接合された上段補助布帛と、下面編
    地に接合された下段補助布帛の下端部間に帯状のメッシュ布帛が配置され、該メッシュ布
    帛の両端部が上段及び下段補助布帛の下端部に取着されたことを特徴とする請求項1乃至
    2のいずれか1つに記載の通気構造を有する布帛。
  4. 該上段補助布帛の下端部、又は上段布帛の下端部と、下段補助布帛の下端部、又は下段布
    帛にスライドファスナーの左右の支持テープが各々取着され、第二の通気口の開口幅が調
    整可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の通気構造を有する
    布帛。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1つに記載の通気構造を有する布帛用の通気部材ユニット。
  6. 請求項1乃至4のいずれか1つに記載の通気構造を有する布帛を使用した上衣及び/又は
    ズボン。
  7. 請求項1乃至4のいずれか1つに記載の通機構造を有する布帛を使用したアウトドア製品。
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