JP6327609B2 - 通気構造を有する布帛及び衣服 - Google Patents
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Description
特に、繊維織物にポリウレタンやポリエステルなどの樹脂をコーティングした布帛、ナイロン、ポリエステルなどの樹脂シート、ゴムシートなどの防水性布帛を使用した衣服用布帛の通気性を向上させることができため、例えばレインコート、レインスーツ、各種作業着、ヤッケ、アノラック、ウインドブレーカー、トレーナー、ポンチョ、登山衣、ブルゾンなどの防水性の各種衣服に好適に使用される。
以下の説明では、ポリエステル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、綿・麻などの天然繊維、レーヨンなどの再生繊維等を使用した織物、編物などの繊維製品、該繊維製品に樹脂をコーティン,または樹脂フィルムを積層したシート、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂シート、又はそれらを積層した樹脂シート、繊維製品にウレタンコーティング、ウレタンラミネートあるいはアクリルコーティングにより防湿加工を施した防水透湿性の複合シート、ゴムシートなどを総称して布帛という。
特に、雨天に着用するレインコート、レインスーツなどは、通気性が乏しく、内部が蒸れて発汗し、不快感を生じるため、防水性とともに、通気性、透湿性の機能を備えていることが強く要望されている。
近年、防水性と透湿性の両方の機能を備えた衣服用の布帛として、防水透湿性フィルムを布帛に積層した防水透湿性布帛や、防水透湿性フィルムの表面に織物の表生地を積層し、その裏面に裏生地を積層した防水透湿性を有する布帛などが提案されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
(1)布帛の表面に水膜ができると通気孔が塞がれて透湿性が低下する。例えば、防水透湿性布帛を使用した衣服は、長年の使用により衣服表面の撥水性能が低下して表面に水膜ができたり、また、綿生地のような保水性のアンダーウエアを着用した場合には、綿生地が汗を吸って濡れて水膜の役割をして透湿性を阻害する。
(2)防水透湿性を有する布服は、衣服の内部で発生した水蒸気が外気圧以上に上昇するまで衣服を透過できないため、蒸気圧が上昇するまで衣服内部は蒸れた状態が維持される。
(3)水透湿性フィルムの強度を上げるためにフィルムに織物、編物等の布帛を積層すると防水透湿性布帛の製造コストがアップする。
(4)防水透湿性布帛を使用した雨衣、例えばスポーツ用の雨衣では、布帛に通気性がないため風であおられた時などに布帛同士が擦れて音が発生するため耳障りである。特にゴルフではスイング時の耳障りな音と雨衣の上衣が体にまとわりつくことでスムースなスイングができない。
(1)通気性が向上し、かつ、通気口から流出する空気が衣服内部の湿気を同伴するため蒸れも解消できる。
(2)通気口からの雨水の侵入を確実に阻止する構造を採用することで雨衣の防水性が確保される。
ことを見出し、更に検討した結果、布帛を上下に分割し、該分割された上段布帛の下部と下段布帛の上部を重ね、かつ、該下段布帛の上端部を外側に折り返して雨水浸入防止用堰を形成し、該折り返し片と上段布帛の端部を、例えば3次元立体織物などの通気性の連結手段で連結して、該折り返し片と上段布帛との間に第一の通気口、該上段布帛の端部と下段布帛との間に第二の通気口を設け、該上段布帛の端部と重ね合せ部より下方の下段布帛を細幅の布帛で連結した通気性衣服を提案した(特許文献4参照)。
(1)第二の通気口から流入する雨水が雨水浸入防止用堰で阻止される。
(2)第二の通気口から流入する空気が内部で発生する水蒸気を伴って第一の通気口から外部に排出される。
(3)上段布帛の端部と重ね合せ部より下方の下段布帛を細い布帛で連結することで、風の強い時に上段布帛の端部の捲き上がりが防止される。
など布帛構造によって防水防湿性に加えて通気性も有する雨衣の画期的な提案であったが、雨衣の装着者が前屈みになったり、両手を前で組むと背面に設けられた重ね合せ部の上段布帛が横方向に引っ張られて第一及び第二の通気口を塞ぐことがある。通気口が塞がれると通気性低下とともに透湿性も低下する。また下段布帛を引っ張ると下段布帛が垂れ下がって型崩れすることがある。更に、連結手段に使用する不織布や三次元立体編物は厚くて、柔らかいため上段布帛との縫着が困難で、例え縫着できたとしても縫着ラインに発生する凹凸と、使用後に乾燥した縫着糸の収縮により発生する皺が雨衣の表面に現れて外観を著しく損なうなどの問題があった。
本発明の第二の目的は、該通気構造を有する布帛を使用した雨衣の装着者が前屈みなどの姿勢をとっても通気口が閉塞されて通気性や透湿性が損なわれることのない通気構造を有する布帛を提供することである。
本発明の第三の目的は、下段布帛の垂れ下がりによる型崩れのない通気構造を有する布帛を提供することである。
本発明の第四の目的は、布帛の撥水性が低下して布帛の表面に水膜ができたとしても、第一の開口から水膜が侵入しない通気構造を有する布帛を提供することである。
本発明の第五の目的は、製造が容易で大量生産可能な安価な通気構造を有する布帛及び衣服を提供することである。
(1)上面編地と下面編地を連結する多数の連結糸からなる疎水性の細幅状三次元立体編物の上面編地が接着層を介して三次元立体編物より幅広の帯状の上段補助布帛に接合され、該立体編物の下面編地が接着層を介して三次元立体編物より幅広の帯状の下段補助布帛に接合された通気部材ユニットが、上下に重なるように配置された上段布帛と下段布帛の重ね合せ部に配置されるとともに、該通気部材ユニットの帯状の上段補助布帛の両側端部が上段布帛に取着され、帯状の下段補助布帛の両側端部、または下側端部が下段布帛に取着されて、該下段補助布帛の上側端部と上段布帛との間に第一の通気口、該上段布帛の下端部と下段布帛との間に第二の通気口を設けたことを特徴とする通気構造を有する布帛である。
(2)該帯状の下段補助布帛の上側端部が玉縁処理されてなることを特徴とする請求項1記載の通気構造を有する布帛である。
(3)該通気部材ユニットが、三次元立体編物の上面編地に接合された上段補助布帛と、下面編地に接合された下段補助布帛の下端部間に帯状のメッシュ布帛が配置され、該メッシュ布帛の両端部が上段及び下段補助布帛の下端部に取着されたことを特徴とする請求項1乃至2のいずれか1つに記載の通気構造を有する布帛である。
(4)該上段補助布帛の下端部、又は上段布帛の下端部と、下段補助布帛の下端部、又は下段布帛にスライドファスナーの左右の支持テープが各々取着され、第二の通気口の開口幅が調整可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の通気構造を有する布帛である。
(5)請求項1乃至4のいずれか1つに記載の通気構造を有する布帛用の通気部材ユニットである。
(6)請求項1乃至4のいずれか1つに記載の通気構造を有する布帛を使用した上衣及び/又はズボンである。
(7)請求項1乃至4のいずれか1つに記載の通機構造を有する布帛を使用したアウトドア製品である。
・ 上面編地と下面編地の間から侵入する雨水は上下編地を連結する多数の疎水性連結糸に接触して確実に捕捉される。また、下段布帛の表面に拡散する水膜は下段布帛と通気部材ユニットの下段補助布帛を接合した接着層で阻止され、布帛内部への水膜(雨水)の侵入は確実に防止される。
・ 三次元立体編物の上面編地に接合された上段補助布帛が上段布帛の先端部を内方に折り曲げた折返し部、または上段布帛の先端部に接合されるため、上段布帛の表面に接合皴や三次元立体編物の凹凸は現れない。
・ 三次元立体編物の上面編地に上段補助布帛、下面編地に下段補助布帛を各々接着層を介して接合した通気部材ユニットを、上下に重なるように配置された上段布帛と下段布帛の重ね合せ部に配置することで通気構造を有する布帛の製作が容易となりコストダウンが可能である。
・ 薄い布帛を使用した衣服では下段布帛の上端を玉縁処理して剛性を付与することで型崩れが防止できる。
・ 本発明の通気構造を有する布帛を使用した衣服は生体に対する負担度が少なく、疲労が少ない。
などの優れた効果を奏している。
通気部材ユニット5は図2(a)に示すようにと、三次元立体編物の上面編地8に接着層12を介して上段補助布帛13が接合されている。三次元立体編物10の下面編地9に下段補助布帛14が接着層12を介して接合されている。
通気部材ユニット5の上下段補助布帛13、14は、三次元立体編物10よりも幅広であり、例えばその両端に5〜20mm、通常8〜15mm程度の接合部15を有している。また、本発明の通気構造を有する布帛1を雨衣などに適用すると、通気部材ユニット5を上下段布帛2、3と接合する際に、左右両側端部に空隙ができ、その空隙から雨水が内部に侵入する恐れがある。かかる空隙の発生は、例えば次の方法で防止できる。図2(b)に示すように、通気部材ユニット5を製作する際に、(1)三次元立体編物10の左右両側部分の厚さを漸減させ、これを上下段布帛13、14で挟んで接合する。(2)三次元立体編物10の左右両端部6を圧縮させた状態で接合する。図2(b)は(2)の方法であり、上下布帛の左側部近傍で縫着している。一点鎖線は縫着ライン7であり、二条の縫着ラインを示している。
または接着テープで接合してもよい。
上段補助布帛13の下端部は、上段布帛2の下端部を内側に短く折り返した折り返し片17の先端部に接合、例えば縫着されている。縫着の代わりに、両面接着テープ、溶着、接着などで接合してもよい。重ね合せ部4は、上段布帛2と上段補助布帛13の二重構造のため、三次元立体編物の貼着部に発生する上段補助布帛13の皺や凹凸が上段布帛2の表面に現れることがなく、外観を損ねることはない。
玉縁処理(パイピング)16は、下段布帛14または下段補助布帛14の先端部にバイアス布、テープ、リボン、撚糸やコードなどの芯材を包むように施される。玉縁処理されたテープ、例えばパイピングテープなどを下段布帛3または下段補助布帛14の上端に取付けてもよい。布帛の先端が玉縁処理されているため先端部が硬くなり、下段布帛3が下方に引っ張られたとしても型崩れしない。柔らかい布帛の場合では玉縁処理16が着用者の背中に当たって着心地が悪くなる恐れがある。その場合は玉縁の芯材に柔らかい芯材、例えば糸芯などを使用することが好ましい。型崩れしない剛性のある布帛やゴムシートなどを
使用する場合は玉縁処理を施さなくてもよい。
(1)上面編地8と下面編地9を連結する多数の連結糸11からなる疎水性の帯状三次元立体編物10の上下面を接着剤からなる接着層12を介して上下段補助布帛と接合する場合には、上段補助布帛13及び下段補助布帛14に接着剤を塗布して接着層12を設けた後、帯状の三次元立体編物10を上段補助布帛13の接着層12上に積層し、次いで接着層12を有する下段補助布帛14を三次元立体編物10に積層する。その後、熱プレス機の成形型間に介装させて加熱、加圧することにより積層一体化することができる。また、上下段補助布帛と三次元立体編物10を接着層12を介して積層した後、この積層体を加熱し、次いで、冷間プレス機の成形型間に介装させ、加圧することにより積層一体化することもできる。また、接着性樹脂フィルムを用いる場合は、上下段布帛と帯状三次元立体編物10との間にフィルムを介装させて積層し、その後、加熱、加圧することにより積層一体化することもできる。
上下段布帛と三次元立体編物を接合する接着剤も特に限定されず、各種の接着剤を用いることができる。この接着剤としては、接着性成分を有するエマルジョン、スラリー、ゲル状接着剤、パウダー状接着剤、接着性樹脂フィルム、発泡樹脂からなる接着剤等が挙げられる。
図5は通気構想を有する布帛の他の例であり、下段補助布帛14の上端部に下段布帛3の上端部が縫着され、かつ、下段補助布帛14の下端部も下段布帛3に縫着されている。上段補助布帛13と上段布帛2の接合は図1と同じであり説明を省略する。
(1)上下段補助布帛13、14を上下段布帛2、3との縫着部に相当する端部を残して折り曲げ、該折り曲げ部を対向させて三次元立体編物10の厚みに相当する間隔をあけて配置する。
(2)次に、該間隔を跨ぐようにその上部にメッシュ布帛19を配置してメッシュ布帛19の両端を上下段補助布帛13、14に接合する。
(3)接着層12を設けた下段補助布帛14に三次元立体編物10を積層して貼着する。その後、
(4)接着層12を設けた上段補助布帛13を折り曲げて三次元立体編物10と積層して貼着する。必要であれば、この積層体を加熱し、次いで、冷間プレス機の成形型間に介装させ、加圧することにより完全に貼着できる。なお、下段補助布帛14の上端はパイピングが施されている。
(1)衣服の通気部材ユニット取り付け位置をカッターなどで直線状に切断して布帛を上下段布帛2、3に分割した後、
(2)通気部材ユニット1を該切断部から挿入して、上段補助布帛13の下端を上段布帛2の下端部に接合する。上段補助布帛13の上端も、目止めテープ18などで上段布帛2の裏面に接合する。
(3)下段補助布帛14は、その下端を上段布帛2の下端(切れ目)の位置より接合部の長さ分だけ長くして、下段布帛3の上端部を下段補助布帛14の下端部に接合する。接合は縫着、溶着、接着などが採用されるが、両面接着テープを採用すれば容易に、かつ綺麗に接合できる。両面接着テープの場合には、接着前に接着面の表面層を除去すると強固な接着が可能である。
(4)雨衣では、図2に示すように、通気部材ユニット1の上下に積層された上下段布帛2、3を通気部材ユニット1の両側端部を圧縮して上下方向に縫着する。なお、上下段補助布帛13、14は衣服に使用された布帛と同一の布帛を使用することが好ましい。上下段布帛2、3を通気部材ユニット1の両側端部を圧縮して上下方向に縫着する。なお、上下段補助布帛13、14は衣服に使用された布帛と同一の布帛を使用することが好ましい。雨衣以外の衣服ではこの工程は不要である。
上記方法で通気部材ユニット5を取り付けると通気性のない既製の衣服を容易に通気構造を有する衣服に変更することができる。
また重ね合せ部4はベンチュレーション効果による通気性向上のため通常上下二カ所に設けることが望ましい。雨衣に着脱自在に取付けられる帽子23の後方に空気流出用の重ね合わせ部4が設けられ、帽子の前面から帽子内に侵入する風を重ね合わせ部4から流出させて帽子が飛ばされることを防止している。帽子23に設けられる重ね合せ部4は帽子の後方のほかに、両側の耳の近くに設けると外からの声や音を聞き取り易くなる。
模式図(b)では、ズボンの上部ベルト芯縫付ラインから下方に傾斜した重ね合せ部4が設けられている。他は(a)と同じであり説明は省略する。
しやすいようにお椀を伏せた形状をしているため、風が強いと傘34が飛ばされたり、破
損する危険があるが、傘布45に通気性の布帛1を使用して、重ね合せ部4を傘の上部に設けると傘34の内側のお椀内に侵入する風を重ね合せ部4から外部へ逃がして、傘が受ける風圧を減衰させることができる。重ね合せ部4は、傘の大きさ、使用目的等により、複数設けてもよい。また、傘骨間に設ける重ね合せ部4の数は同じでも、異なっていても
よい。重ね合せ部4は傘を折り畳みやすい位置に設けることが好ましい。
本発明の通気構造を有する布帛を使用した雨カッパの効果を確認するため分速90mのトレッドミル歩行時の雨衣内温度及び外気温を下記の3条件で測定し、外気と雨衣間の温度差を求めた。
・ 雨衣の第2の開口をテープで閉止した状態で無風下での走行を開始し、40分後にテープを剥して開口を開放し、その状態で20分間歩行する。
・ 上記条件と同様であるが、20分間歩行後に被験者の2m前方から工業用扇風機で送風(弱風)する。
・ 雨衣の第2の開口を開放した状態で、被験者の2m前方から工業用扇風機で送風(弱風)しながら60分間歩行する。
なお、実験に使用した雨カッはナイロンにウレタンをコーティングした耐水圧:2000mm以上、透湿:0の布帛を使用して図12のカッパを製作した。布帛は図1の通気構造を採用した。また、ポリエステルのメッシュ布帛からなる収容空間に三次元立体編物(20mm幅に切断した旭化成商事株式会社製「フォージョンR」品番:AKE65710(厚さ:10mm))を収容した通気部材を使用した。裏地にはポリエステルのメッシュ布帛を使用した。
温度の計測にはJ熱電対を使用し、J熱電対が衣服やカッパに接触しないように衣服の表面に両面接着テープで張り付け、その上からカッパを着用した。
被験者はポリエステル製の半袖Tシャツの上に同素材のロングTシャツを着用した。
図29は、上記3条件でトレッドミル歩行中の外気温とカッパ内温度を測定し、外気温とカッパ内温度の差の変化を示すグラフである。グラフから歩行開始前に第2の開口をテープで閉止し、40分後にテープを剥して開口を開放すると、外気とカッパ内の温度が小さくなったことから、本発明の通気構造が有効であることが明らかである。
次に、本発明の通気構造を有する布帛を使用したカッパ1(実施例1で使用したカッパ)と機能の異なる2種類の布帛を使用したカッパ2及び3の効果を比較するため被験者に各カッパを着用させて、2m前方から工業用扇風機で送風(弱風)しながらトレッドミル歩行(分速90m)を60分間行なわせ、トレッドミル歩行中の外気温、カッパ内温度、心拍数、酸素摂取量を測定した。
カッパ1: 発明品
布帛:ナイロンにウレタンをコーティング
耐水圧:20000mm以上
透湿:0
カッパ2: ノースフェイス社製
商品名:ノースフェイス NP10180
布帛:「HYVENTR・D」(ナイロンに防水透湿ウレタンをコー
ティング)
耐水圧:20000mm以上
透湿:15000g/m2/24h以上
カッパ3: マック社製
商品名:フェニックスAS−7200
布帛:ナイロンに透湿ウレタンをコーティング
耐水圧:10000mm以上
透湿:2000g/m2/24h以上
このことからカッパ3はカッパ1、2よりもカッパ内温度が高く、かつ、カッパ1とカッパ2のカッパ内温度は同等、言い換えれば、本発明の通気構造を有する布帛を使用したカッパと、透湿性の優れた布帛を使用したカッパの透湿性能は同等である。
心拍数は温度の高い環境で作業や運動をすると高い値を示すため、各カッパ着用時のトレッドミル歩行中の歩行速度が同じ速度(90m/分)なので、心拍数が低いということはカッパ1がカッパ2、3と比べ生体への負担が少ないことを示している。
グラフからカッパ1を着用して歩行した場合は、カッパ2、3を着用して歩行した場合と比べ酸素摂取量が明らかに低いことを示している。
カッパ1を着用して歩行した場合は、カッパ2、3を着用して歩行した場合と比べ明らかに酸素脈が高いことを示している。
一方、生体への負荷については、本発明の布帛を使用したカッパ1は、カッパ2、3よりも負担度が低く、疲労が少ない。
また、雨天下では歩行時に風圧を受け、通気量が増大するためカッパの性能が上昇する可能性がある。
更に、本発明の通気構造を有する布帛の優れた機能は、晴天時に着用するジャンバー、ユニフォームなどの衣服、テントなどのアウトドア製品などにも適用できる。
実施例1で使用した通気構造を有する布帛を使用したカッパ1の強風下における第一の開口からの雨水の侵入の有無について試験した。まず、カッパに設けられた第一の開口を囲んで雨水の侵入確認用のティッシュペーパーを張り付けた後、綿の肌着の上にポリエステルのスポーツシャツを着た被験者にカッパを着用させた。工業用扇風機で送風(強)し、かつ、送風口に水を滴下させて風雨の激しい状態とした。次に工業用扇風機の2m前方で被験者に10分間体操をしてもらった。その後第一の開口に取付けたティッシュペーパーが濡れているか否かを目視で確認したが、濡れは全く確認できなかった。
されて閉止されることがないため蓄積する熱気と湿気が外部に効率よく放散でき作業服、
ユニフォーム、カッターシャツ、ジャンバー、ワイシャツ、学生服等の衣服用の布帛とし
て好適である。
また、雨水の侵入を阻止する防水加工された通気構造を有する布帛は、内部に熱気と湿気
が蓄積して蒸れやすいレインコート、ヤッケ、アノラックなどの雨衣や、各種テント、ト
ラックや乗用車などの幌、遮蔽幕などのアウトドア製品に好適である。更に、風圧により
飛ばされたり、破損する恐れのある幕、雨傘、日傘、レインコートのフードなどに使用さ
れる。
2 上段布帛
3 下段布帛
4 重ね合せ部
5 通気部材ユニット
8 上面編地
9 下面編地
10 三次元立体編物
11 連結糸
12 接着層
13 上段補助布帛
14 下段補助布帛
15 接合部
16 玉縁処理
17 折返し片
21 雨衣
23 帽子
29 ズボン
32 袖口
34 傘
36 遮蔽幕
40 簡易テント
43 トラック
44 幌
Claims (7)
- 上面編地と下面編地を連結する多数の連結糸からなる疎水性の細幅状三次元立体編物の上面編地が接着層を介して三次元立体編物より幅広の帯状の上段補助布帛に接合され、該立体編物の下面編地が接着層を介して三次元立体編物より幅広の帯状の下段補助布帛に接合された通気部材ユニットが、上下に重なるように配置された上段布帛と下段布帛の重ね合せ部に配置されるとともに、該通気部材ユニットの帯状の上段補助布帛の両側端部が上段布帛に取着され、帯状の下段補助布帛の両側端部、または下側端部が下段布帛に取着されて、該下段補助布帛の上側端部と上段布帛との間に第一の通気口、該上段布帛の下端部と下段布帛との間に第二の通気口を設けたことを特徴とする通気構造を有する布帛。
- 該帯状の下段補助布帛の上側端部が玉縁処理されてなることを特徴とする請求項1記載の通気構造を有する布帛。
- 該通気部材ユニットが、三次元立体編物の上面編地に接合された上段補助布帛と、下面編
地に接合された下段補助布帛の下端部間に帯状のメッシュ布帛が配置され、該メッシュ布
帛の両端部が上段及び下段補助布帛の下端部に取着されたことを特徴とする請求項1乃至
2のいずれか1つに記載の通気構造を有する布帛。 - 該上段補助布帛の下端部、又は上段布帛の下端部と、下段補助布帛の下端部、又は下段布
帛にスライドファスナーの左右の支持テープが各々取着され、第二の通気口の開口幅が調
整可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の通気構造を有する
布帛。 - 請求項1乃至4のいずれか1つに記載の通気構造を有する布帛用の通気部材ユニット。
- 請求項1乃至4のいずれか1つに記載の通気構造を有する布帛を使用した上衣及び/又は
ズボン。 - 請求項1乃至4のいずれか1つに記載の通機構造を有する布帛を使用したアウトドア製品。
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