JP2016211101A - 通気構造を有する防水性布帛及び雨具 - Google Patents
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Abstract
【課題】内部に蓄積する熱気と湿気を外部に効率よく放散でき、しかも雨水が内部に侵入せず、常に快適な状態に保ち得る通気構造を有する布帛及び雨具の提供。【解決手段】上段布帛2の下端と下段布帛3の上端を重ね合せ、該重ね合せ部4に上面編地2と下面編地3を連結する多数の連結糸からなる細幅状三次元立体編物5を配置した後、下段布帛3の裏面を受け台の下段布帛3支持面に接するように受け台に支持させ、加圧端子により上段布帛2の表面を受け台の下段布帛支持面の方向に押圧しつつ加圧端子に高周波振動を付与し、上段布帛の裏面と下段布帛の表面を溶融させて三次元立体編物の表面網状組織に絡ませ一体化した防水性布帛及び雨具。【選択図】図1
Description
本発明は、布帛の構造を変えることで機能性を高めた通気構造を有する防水性布帛及び雨具に関するものである。
本発明の通気構造を有する防水性布帛は、ポリエステル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、綿・麻などの天然繊維、レーヨンなどの再生繊維等を使用した織物、編物などの繊維製品に樹脂をコーティン、または樹脂フィルムを積層したシートやナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂シート、繊維製品にウレタンコーティング、ウレタンラミネートあるいはアクリルコーティングにより防湿加工を施した防水透湿性の複合シートに通気構造を付与した布帛である。
本発明の通気構造を有する防水性布帛は、通気性、透湿性が優れているため内部に蓄積する熱気と湿気を外部に効率よく放散することができ、レインコート、レインスーツ、ヤッケ、アノラック、ウインドブレーカーなどの雨具に使用される。
本発明の通気構造を有する防水性布帛は、通気性、透湿性が優れているため内部に蓄積する熱気と湿気を外部に効率よく放散することができ、レインコート、レインスーツ、ヤッケ、アノラック、ウインドブレーカーなどの雨具に使用される。
従来より、雨天に着用するレインコート、レインスーツなどの雨具は、通気性が乏しく、内部が蒸れて発汗して不快感を生じるため、防水性とともに、通気性、透湿性の機能が強く要望されている。
近年、防水性と透湿性の両方の機能を備えた雨具用の布帛として、防水透湿性フィルムを布帛に積層した防水透湿性布帛や、防水透湿性フィルムの表面に織物の表生地を積層し、その裏面に裏生地を積層した防水透湿性を有する布帛などが提案されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
近年、防水性と透湿性の両方の機能を備えた雨具用の布帛として、防水透湿性フィルムを布帛に積層した防水透湿性布帛や、防水透湿性フィルムの表面に織物の表生地を積層し、その裏面に裏生地を積層した防水透湿性を有する布帛などが提案されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
しかしながら、従来の防水透湿性を有する布帛を使用した雨具には、次のような問題があった
(1)布帛の表面に水膜ができると通気孔が塞がれて透湿性が低下する。例えば、防水透湿性布帛を使用した雨具は、長年の使用により布帛表面の撥水性能が低下して表面に水膜ができたり、また、綿生地のような保水性のアンダーウエアを着用した場合には、綿生地が汗を吸って濡れて水膜の役割をして透湿性を阻害する。
(2)防水透湿性を有する雨具の内部で発生した水蒸気が外気圧以上に上昇するまで衣服を透過できないため、蒸気圧が上昇するまで雨具内部は蒸れた状態が維持される。
(3)透湿性フィルムの強度を上げるためにフィルムに織物、編物等の布帛を積層すると防水透湿性布帛の製造コストがアップする。
(4)防水透湿性布帛を使用した雨具、例えばスポーツ用の雨具では、布帛に通気性がないため風であおられた時などに布帛同士が擦れて音が発生するため耳障りである。特にゴルフではスイング時の耳障りな音と雨具の上衣が体にまとわりつくことでスムースなスイングができない。
(1)布帛の表面に水膜ができると通気孔が塞がれて透湿性が低下する。例えば、防水透湿性布帛を使用した雨具は、長年の使用により布帛表面の撥水性能が低下して表面に水膜ができたり、また、綿生地のような保水性のアンダーウエアを着用した場合には、綿生地が汗を吸って濡れて水膜の役割をして透湿性を阻害する。
(2)防水透湿性を有する雨具の内部で発生した水蒸気が外気圧以上に上昇するまで衣服を透過できないため、蒸気圧が上昇するまで雨具内部は蒸れた状態が維持される。
(3)透湿性フィルムの強度を上げるためにフィルムに織物、編物等の布帛を積層すると防水透湿性布帛の製造コストがアップする。
(4)防水透湿性布帛を使用した雨具、例えばスポーツ用の雨具では、布帛に通気性がないため風であおられた時などに布帛同士が擦れて音が発生するため耳障りである。特にゴルフではスイング時の耳障りな音と雨具の上衣が体にまとわりつくことでスムースなスイングができない。
本発明者らは、従来の防水防湿性を有する布帛及び該布帛を使用した雨具を徹底的に検討した結果、従来の防水透湿性布帛を使用した雨具は布帛に通気性がないため基本的に上記問題点の解決が困難であり、通気性は布帛構造によってのみ改善されるとの結論に到達し、布帛に通気口を設け、かつ該通気口からの雨水侵入を防止することで
(1)通気性が向上し、かつ、通気口から流出する空気が雨具内部の湿気を同伴するため蒸れも解消できる。
(2)通気口からの雨水の侵入を確実に阻止する構造を採用することで雨具の防水性が確保される。
ことを見出し、更に検討した結果、布帛を上下に分割し、該分割された上段布帛の下部と下段布帛の上部を重ね、かつ、該下段布帛の上端部を外側に折り返して雨水浸入防止用堰を形成し、該折り返し片と上段布帛の端部を、例えば3次元立体織物などの通気性の連結手段で連結して、該折り返し片と上段布帛との間に第一の通気口、該上段布帛の端部と下段布帛との間に第二の通気口を設け、該上段布帛の端部と重ね合せ部より下方の下段布帛を細幅の布帛で連結した布帛を使用した雨具を提案した(特許文献4参照)。
(1)通気性が向上し、かつ、通気口から流出する空気が雨具内部の湿気を同伴するため蒸れも解消できる。
(2)通気口からの雨水の侵入を確実に阻止する構造を採用することで雨具の防水性が確保される。
ことを見出し、更に検討した結果、布帛を上下に分割し、該分割された上段布帛の下部と下段布帛の上部を重ね、かつ、該下段布帛の上端部を外側に折り返して雨水浸入防止用堰を形成し、該折り返し片と上段布帛の端部を、例えば3次元立体織物などの通気性の連結手段で連結して、該折り返し片と上段布帛との間に第一の通気口、該上段布帛の端部と下段布帛との間に第二の通気口を設け、該上段布帛の端部と重ね合せ部より下方の下段布帛を細幅の布帛で連結した布帛を使用した雨具を提案した(特許文献4参照)。
本発明者らが提案した、通気口を有する雨具は、
(1)第二の通気口から流入する雨水が雨水浸入防止用堰で阻止される。
(2)第二の通気口から流入する空気が内部で発生する水蒸気を伴って第一の通気口から外部に排出される。
(3)上段布帛の端部と重ね合せ部より下方の下段布帛を細い布帛で連結することで、風の強い時に上段布帛の端部の捲き上がりが防止される。
など布帛構造によって防水防湿性に加えて通気性も有する雨具の画期的な提案であったが、雨具装着者が前屈みになったり、両手を前で組むと背面に設けられた重ね合せ部の上段布帛が横方向に引っ張られて第一及び第二の通気口を塞ぐことがあり、それによって通気性低下とともに透湿性も低下する。また下段布帛を引っ張ると下段布帛が垂れ下がって型崩れすることがある。更に、連結手段に使用する不織布や三次元立体編物は厚くて、柔らかいため上段布帛との縫着が困難で、例え縫着できたとしても縫着ラインに発生する凹凸と、使用後に乾燥した縫着糸の収縮により発生する皺が雨具の表面に現れて外観を著しく損なうなどの問題があった。
(1)第二の通気口から流入する雨水が雨水浸入防止用堰で阻止される。
(2)第二の通気口から流入する空気が内部で発生する水蒸気を伴って第一の通気口から外部に排出される。
(3)上段布帛の端部と重ね合せ部より下方の下段布帛を細い布帛で連結することで、風の強い時に上段布帛の端部の捲き上がりが防止される。
など布帛構造によって防水防湿性に加えて通気性も有する雨具の画期的な提案であったが、雨具装着者が前屈みになったり、両手を前で組むと背面に設けられた重ね合せ部の上段布帛が横方向に引っ張られて第一及び第二の通気口を塞ぐことがあり、それによって通気性低下とともに透湿性も低下する。また下段布帛を引っ張ると下段布帛が垂れ下がって型崩れすることがある。更に、連結手段に使用する不織布や三次元立体編物は厚くて、柔らかいため上段布帛との縫着が困難で、例え縫着できたとしても縫着ラインに発生する凹凸と、使用後に乾燥した縫着糸の収縮により発生する皺が雨具の表面に現れて外観を著しく損なうなどの問題があった。
したがって、本発明の第一の目的は、三次元立体編物と布帛との接合が容易で、しかも接合時に縫着ラインに凹凸が発生せず、また縫着糸が収縮しても縫着ラインに発生する皺が布帛の表面に現れない通気構造を有する布帛及び雨具を提供することである。
本発明の第二の目的は、該通気構造を有する布帛を使用した雨具の装着者が前屈みなどの姿勢をとっても通気口が閉塞されて通気性や透湿性が損なわれることのない通気構造を有する布帛及び雨具を提供することである。
本発明の第三の目的は、布帛の撥水性が低下して布帛の表面に水膜ができたとしても、第一の開口から雨具内に水膜が侵入しない通気構造を有する布帛及び雨具を提供することである。
本発明の第四の目的は、通気構造を有する布帛を使用した製造が容易で大量生産可能な安価な通気構造を有する布帛及び雨具を提供することである。
本発明の第二の目的は、該通気構造を有する布帛を使用した雨具の装着者が前屈みなどの姿勢をとっても通気口が閉塞されて通気性や透湿性が損なわれることのない通気構造を有する布帛及び雨具を提供することである。
本発明の第三の目的は、布帛の撥水性が低下して布帛の表面に水膜ができたとしても、第一の開口から雨具内に水膜が侵入しない通気構造を有する布帛及び雨具を提供することである。
本発明の第四の目的は、通気構造を有する布帛を使用した製造が容易で大量生産可能な安価な通気構造を有する布帛及び雨具を提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、本発明に到達したものである。すなわち、本発明は、
(1)上段布帛の下端と下段布帛の上端を重ね合せ、該重ね合せ部に上面編地と下面編地を連結する多数の連結糸からなる細幅状三次元立体編物を配置した後、下段布帛の裏面を受け台の下段布帛支持面に接するように受け台に支持させ、加圧端子により上段布帛の表面を受け台の下段布帛支持面の方向に押圧しつつ加圧端子に高周波振動を付与し、上段布帛の裏面と下段布帛の表面を溶融させて三次元立体編物の編地組織に絡ませ一体化したことを特徴とする通気構造を有する防水性布帛である。
(2)該細幅状三次元立体編物が配置された重ね合せ部の両端端部に高い押圧力を付与しつつ、加圧端子に高周波振動を付与することにより、重ね合せ部の上段布帛と下段布帛を三次元立体編物を介して溶着させて薄い両端端部を形成したことを特徴とする上記(1)記載の通気構造を有する防水性布帛である。
(3)上記(1)乃至(2)記載の通気構造を有する防水性布帛を使用した雨具である。
(1)上段布帛の下端と下段布帛の上端を重ね合せ、該重ね合せ部に上面編地と下面編地を連結する多数の連結糸からなる細幅状三次元立体編物を配置した後、下段布帛の裏面を受け台の下段布帛支持面に接するように受け台に支持させ、加圧端子により上段布帛の表面を受け台の下段布帛支持面の方向に押圧しつつ加圧端子に高周波振動を付与し、上段布帛の裏面と下段布帛の表面を溶融させて三次元立体編物の編地組織に絡ませ一体化したことを特徴とする通気構造を有する防水性布帛である。
(2)該細幅状三次元立体編物が配置された重ね合せ部の両端端部に高い押圧力を付与しつつ、加圧端子に高周波振動を付与することにより、重ね合せ部の上段布帛と下段布帛を三次元立体編物を介して溶着させて薄い両端端部を形成したことを特徴とする上記(1)記載の通気構造を有する防水性布帛である。
(3)上記(1)乃至(2)記載の通気構造を有する防水性布帛を使用した雨具である。
本発明の通気構造を有する布帛及び雨具は、
・ 上面編地と下面編地の間から侵入する雨水は上下編地を連結する多数の疎水性連結糸に接触して捕捉される。また、下段布帛の表面に拡散する水膜は三次元立体編物と上下段布帛が接合された粘着層で侵入が阻止される。そのため布帛内部への雨水の侵入が確実に防止できる。
・ 高周波溶着を採用することにより、短時間で、かつ溶着しない箇所への熱影響がないため、上段布帛の表面に皴や三次元立体編物の表面凹凸が現れない。
・ 高周波溶着により、製造が容易で大量生産可能な安価な雨具を提供することができる。
などの優れた効果を奏している。
・ 上面編地と下面編地の間から侵入する雨水は上下編地を連結する多数の疎水性連結糸に接触して捕捉される。また、下段布帛の表面に拡散する水膜は三次元立体編物と上下段布帛が接合された粘着層で侵入が阻止される。そのため布帛内部への雨水の侵入が確実に防止できる。
・ 高周波溶着を採用することにより、短時間で、かつ溶着しない箇所への熱影響がないため、上段布帛の表面に皴や三次元立体編物の表面凹凸が現れない。
・ 高周波溶着により、製造が容易で大量生産可能な安価な雨具を提供することができる。
などの優れた効果を奏している。
次に本発明の通気構造を有する布帛の一実施例を図面にて説明する。図1は本発明の通気構造を有する布帛1の説明図であり、該布帛1は上段布帛2の下部と下段布帛3の上部の重ね合せ部4に細幅状三次元立体編物5が配置されている。Aは下段布帛の上端部と上段布帛2との間に形成された第一の通気口であり、Bは上段布帛2の下端部と下段布帛3との間に形成された第二の通気口である。重ね合せ部4での細幅状三次元立体編物5と上下段布帛との接合は、図2の高周波溶着説明図で図示するように、重ね合せ部4を下段布帛の裏面を受け台17の下段布帛支持面に接するように受け台に支持させ、加圧端子18により上段布帛の表面を受け台の下段布帛支持面の方向に押圧しつつ加圧端子に高周波振動を付与し、上段布帛の裏面と下段布帛の表面を溶融させて三次元立体編物の編地組織に絡ませて細幅状三次元立体編物5と上下段布帛を接合一体化している。
三次元立体編物5は、通気抵抗が少なく、かつ雨摘の透過を阻止するために、厚みが5〜15mm、好ましくは8〜10mm、幅が10〜40mm、好ましくは15〜25mmの三次元立体編物が使用される。厚みが5mm以下では通気面積が少ない。また、厚みが厚い程通気性能が高く望ましいが、厚み15mm以上の立体織物は市販されていない。三次元立体編物10の幅は厚みによって適宜決定されるが、例えば、厚みが10mmを超える立体編物は切断が困難である。また、幅が40mm以上では通気性が低下する。
三次元立体編物10は、表裏二層の編地を連結糸で連結した構造であり、通常ダブルラッセル編機、ダブルトリコット編機、ダブル丸編機、Vベッドを有する横編機等で編成される。表裏面の編地は短繊維を撚った糸からハニカム状のメッシュを有する網目構造が形成されている。この網地組織は任意であり、細め組織やハニカム状以外の編地組織を採用することもできる。連結糸は表裏の編地が所定の間隔を保持するように、表裏の編地間に編み込んだもので、立体編物に所定の剛性を付与する。
表裏の編地を形成する糸の太さは、立体編地に必要な腰の強さを具備させることができるとともに、編成作業が困難にならない範囲のものが選定される。
表裏の編地を構成する糸または連結糸の素材としてはポリエステル系繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維などの合成繊維や再生繊維、などが挙げられるが、これらの素材は単独で用いてもよいし、これらを任意に併用してもよい。好ましくは、熱可塑性ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維などが用いられる。なお、ポリエステル系繊維はリサイクル性に優れ、かつ、圧縮回復率も優れており、好ましく用いられる。
表裏の編地を形成する糸の太さは、立体編地に必要な腰の強さを具備させることができるとともに、編成作業が困難にならない範囲のものが選定される。
表裏の編地を構成する糸または連結糸の素材としてはポリエステル系繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維などの合成繊維や再生繊維、などが挙げられるが、これらの素材は単独で用いてもよいし、これらを任意に併用してもよい。好ましくは、熱可塑性ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維などが用いられる。なお、ポリエステル系繊維はリサイクル性に優れ、かつ、圧縮回復率も優れており、好ましく用いられる。
上下段布帛2、3の重ね合せ部に三次元立体編物を配置して加圧端子により上段布帛の表面を受け台の下段布帛支持面の方向に押圧しつつ、加圧端子に高周波振動を付与すると、図3に示すように三次元立体編物の両端部に隙間6が形成され、該隙間6から雨水が内部に侵入する恐れがある。かかる雨水の侵入を防止するため、幅状三次元立体編物が配置された重ね合せ部を下段布帛の裏面を図4に示すような両端部が漸次盛り上がった受け台17に支持させて重ね合せ部の両端端部に高い押圧力を付与しつつ、加圧端子に高周波振動を付与すると、三次元立体編物が強く押圧されて潰された状態となるため上段布帛と下段布帛が溶着できる。その結果重ね合せ部の三次元立体編物の両端部が漸次薄くなり、隙間6がなくなるため雨水の侵入が防止できる。また、両端部が薄いため隣接する布帛との縫着が容易となる。
図5は通気構造を有する布帛の他の例であり、下段布帛3と上段布帛2の下端部の間にメッシュ布帛7が取り付けられている。メッシュ布帛7により三次元立体編物5の多数の連結糸11を隠すことができる。メッシュ布帛7は三次元立体編物5の紫外線による劣化を防止するため、紫外線が透過し難い、例えば黒や紺色などの暗黒色系統の布帛が好ましい。暗黒色系統の色でない場合は目立たない色、例えば上下段布帛と類似した色とすることが好ましい。メッシュ布帛7はその両端部を上段布帛の下端部と下段布帛の上端部に縫着してもよい。下段布帛の上端部に縫着した縫着ラインは布帛内部に目止めテープを張って水の侵入を防ぐ必要がある。また、三次元立体編物5の下端部にメッシュ布帛を仮止めして上段布帛2と下段布帛3の重ね合せ部に配置した後、高周波振動を付与すると上段布帛の裏面と下段布帛の表面を溶融させて三次元立体編物5の編地組織とメッシュ布帛に絡ませ一体化することができる。
図6は、通気構造を有する布帛1の第二の通気口Bをスライドファスナー8によって、開閉、又は開口幅が調整可能な重ね合せ部4であり、上段布帛2の下端部と、下段布帛3の下端部に各々スライドファスナーの一対の支持テープ8(1)、8(2)が取り付けられている。支持テープ8(1)、8(2)は第二の通気口Bから流入する雨水が支持テープと布帛との接合部に溜まらないように下向きに取付けることが好ましい。また、スライダー(図示せず)は一つ、又は両端に一つづつ取り付けると、第二の通気口Bの開口位置及び開口幅が調整できて好ましい。第二の通気口Bを開閉したり、開口幅を調整することで、内部に流入、又は流出する空気量が調整できて、冬山登山などでの低体温症防止などの効果が期待される。
図7は図1の通気構造を有する布帛1を使用した雨具の模式図であり、雨摘Wは上下段布帛2、3に沿って流下し、雨摘を含む外気は矢印Xのように第二の開口Bから三次元立体編物5を構成する多数の連結糸に垂直方向から内部に侵入するが、多数の連結糸で雨滴が捕捉されて雨具の内部への侵入が阻止される。外気は三次元立体編物5の連結糸間を通過して雨具内部に侵入する。雨具内部に流入した外気は雨具内の暖かく湿った空気を同伴しながら矢印Yのように第一の開口Aから三次元立体編物5を経て外部に排出される。上段布帛の下端部と下段布帛の上端部が三次元立体編物10の裏表面に接合され、かつ三次元立体編物5の両端部に空隙が形成されないため、装着者が前屈みになった時や、布帛の撥水性が低下した時に雨滴の雨衣内部への侵入が阻止される。また、三次元立体編物5の連結糸に垂直方向から流入する雨摘は疎水性の連結糸に付着し、更にその上に微細な雨滴が付着する現象の繰り返しにより微細な雨滴が集合して次第に大きく成長し、ついには、大きな雨滴の集合物(例えば直径20〜100μm)として外部に流れ出るため雨具内部への雨滴の侵入を確実に阻止することができる。
本発明の通気構造を有する雨具は、シャツなどのアンダーウエアとの密着防止と、雨具乃着用時に重ね合せ部4に形成された第一の通気口Aに手を引掛けないよう、布帛1の内側に通気性の裏地、例えばメッシュ布帛などを設けることが好ましい。通気性の裏地によりアンダーウエアと雨具との間に隙間が形成されて通気性が向上し、かつアンダーウエアとのべとつき等がなく清涼感を保つことができる。
図8は本発明の通気構造を有する布帛1を使用した雨具9の前面模式図であり、左右の前身頃a,a’の上下二カ所に夫々重ね合せ部4が設けられている。また、左右の脇見頃b、b’の上部に通気部10が設けられている。該通気部10は多数の通気孔を設けていても、上下の布帛を重ね合わせて上下の布帛の隙間にメッシュ布帛や薄い三次元立体編物を設けてもよい。11は左右の脇見頃に設けられた脇ポケットである。帽子12は雨具の首回りに予め取付けていても、ホックや面ファスナーなどで着脱自在に取付けてもよい。図9は雨具9と帽子12の背面模式図であり、後身頃の上下二カ所に重ね合せ部4が設けられている。下部重ね合せ部の上段布帛には再帰反射素材のパイピング13が施されている。上部重ね合せ部は肩甲骨の近傍に設けるとことが好ましい。
また重ね合せ部4はベンチュレーション効果による通気性向上のため通常上下二カ所に設けられる。雨具に着脱自在に取付けられる帽子12の後方に空気流出用の重ね合わせ部4が設けられ、帽子の前面から帽子内に侵入する風を重ね合わせ部4から流出させて帽子が飛ばされることを防止している。帽子12に設けられる重ね合せ部4は帽子の後方のほかに、両側の耳の近くに設けると外からの声や音を聞き取り易くなる。
また重ね合せ部4はベンチュレーション効果による通気性向上のため通常上下二カ所に設けられる。雨具に着脱自在に取付けられる帽子12の後方に空気流出用の重ね合わせ部4が設けられ、帽子の前面から帽子内に侵入する風を重ね合わせ部4から流出させて帽子が飛ばされることを防止している。帽子12に設けられる重ね合せ部4は帽子の後方のほかに、両側の耳の近くに設けると外からの声や音を聞き取り易くなる。
図10は本発明の通気構造を有する布帛を使用した他の雨具9の前面模式図であり、左右の前身頃a,a`の上下二カ所に重ね合せ部4が設けられている。また、左右の脇見頃b、b`の上下二カ所にも重ね合せ部4が設けられ、袖にも重ね合せ部4が設けられている。図11は背面の模式図であり、後身頃の上下二カ所に重ね合せ部4が設けられている。また、後身頃の上部重ね合せ部がハの字状に取付けられているため、雨衣の装着者が前屈みになったなどに発生する後見頃の突っ張りが少なく装着性が優れている。
図12はズボン14の前面をモデル的に示す模式図である。ズボン14では脚を動かし易いように重ね合せ部4を膝下部に設けるのが好ましい。重ね合せ部はズボンの全周であっても半周であってもよい。また、ベルト又はゴムライン15の下部に、幅2〜3cmのメッシュ布帛を胴回り全周、半周、あるいは長さ5〜10cmのメッシュ布帛を複数取り付けるか、または、内径6.5〜15mmのアイレットを、例えば5〜8個取り付けて重ね合せ部4から流入する外気の排出口としてもよい。メッシュ布帛を胴回り全周又は半周取り付ける場合は、ベルトライン15の下部と上段布帛を細幅の布帛で連結し、メッシュ布帛を補強することが好ましい。ベルト付近に設けられたメッシュ布帛、又はアイレットは上着を着用すると隠れるため雨水が流入することはない。16はポケットである。
上着及びズボンに設けられた重ね合せ部4の位置と形状は、着用者の身体の大きさ、着用場所、デザイン等を考慮して適宜決定される。また、各接合ラインには、日が暮れるのが早い雨天の日の安全性を確保するため、再帰反射素材のパイピングなどを施すことが好ましい。
本発明の通気構造を有する布帛は、型崩れがなく、かつ通気性に優れ、しかも開口が圧迫
されて閉止されることがないため蓄積する熱気と湿気が外部に効率よく放散でき雨具用の
布帛として好適である。
されて閉止されることがないため蓄積する熱気と湿気が外部に効率よく放散でき雨具用の
布帛として好適である。
1 通気性の布帛
2 上段布帛
3 下段布帛
4 重ね合せ部
5 三次元立体編物
9 雨具
14 ズボン
2 上段布帛
3 下段布帛
4 重ね合せ部
5 三次元立体編物
9 雨具
14 ズボン
Claims (3)
- 上段布帛の下端と下段布帛の上端を重ね合せ、該重ね合せ部に上面編地と下面編地を連結する多数の連結糸からなる細幅状三次元立体編物を配置した後、下段布帛の裏面を受け台の下段布帛支持面に接するように受け台に支持させ、加圧端子により上段布帛の表面を受け台の下段布帛支持面の方向に押圧しつつ加圧端子に高周波振動を付与し、上段布帛の裏面と下段布帛の表面を溶融させて三次元立体編物の編地組織に絡ませ一体化したことを特徴とする通気構造を有する防水性布帛。
- 該細幅状三次元立体編物が配置された重ね合せ部の両端端部に高い押圧力を付与しつつ、加圧端子に高周波振動を付与することにより、重ね合せ部の上段布帛と下段布帛を三次元立体編物を介して溶着させて薄い両端端部を形成したことを特徴とする請求項1記載の通気構造を有する防水性布帛。
- 上記(1)乃至(2)記載の通気構造を有する防水性布帛を使用した雨具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015094349A JP2016211101A (ja) | 2015-05-01 | 2015-05-01 | 通気構造を有する防水性布帛及び雨具 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015094349A JP2016211101A (ja) | 2015-05-01 | 2015-05-01 | 通気構造を有する防水性布帛及び雨具 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016211101A true JP2016211101A (ja) | 2016-12-15 |
Family
ID=57551189
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015094349A Pending JP2016211101A (ja) | 2015-05-01 | 2015-05-01 | 通気構造を有する防水性布帛及び雨具 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2016211101A (ja) |
-
2015
- 2015-05-01 JP JP2015094349A patent/JP2016211101A/ja active Pending
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