本発明は、パンツタイプ使い捨ておむつに関するものである。
パンツタイプ使い捨ておむつは、前身頃及び後身頃を個別又は一体的に構成する外装体と、前身頃から後身頃にわたるように外装体の内面に対して取り付けられた、吸収体を含む内装体とを備え、前身頃の外装体の両側縁部と後身頃の外装体の両側縁部とが接合されてサイドシール部が形成され、ウエスト開口及び左右一対の脚開口が形成されているものが一般的である(特許文献2〜6参照)。サイドシール部は、素材溶着(超音波シールやヒートシール)により形成されることが一般的である。
このようなパンツタイプ使い捨ておむつでは、身体へのフィット性を向上させるために、外装体を複数のシート層を有する積層構造とするとともに、そのシート層間に糸ゴム等の細長状弾性伸縮部材を伸長状態で取り付けることにより、幅方向の伸縮構造を形成することが行われており、中でも、サイドシール部と対応する前後方向範囲として定まる胴周り領域や、前後の胴周り領域の間に位置する中間領域に、幅方向に沿う細長状弾性伸縮部材が前後方向に間隔を空けてそれぞれ幅方向に伸長された状態で取り付けられているものは、身体に対するフィット性が比較的に高いものとなっている。
このような伸縮構造においては、シート層に対する弾性伸縮部材の固定やシート層相互の固定のための手段が柔軟性やコストに影響するため、固定面積を減少させる構造が提案されている。代表的なものとしては、図17に示すように、2枚のシート層12H,12Sを幅方向及び前後方向に間欠的に接合することにより多数のシート接合部20を形成し、2枚のシート層12H,12S間に、シート接合部20を通らないように(非接合部を通るように)細長状の弾性伸縮部材19を多数配置し、これら弾性伸縮部材19の両端部のみ両シート層12H,12Sに固定する伸縮構造(特許文献1参照。)が提案されている。この先行技術の伸縮構造では、シート接合部20が前後方向に整列する部分が前後方向に連続する溝となり、その溝間の部分では2枚のシート層が互いに反対向きに(表裏両側に)同程度に膨出して襞80を形成し、全体として蛇腹状の構造となる。そして、ある程度伸長した状態では、襞80は伸縮方向に膨らんだ形状となるが、自然長状態では、伸縮方向に薄い襞が伸縮方向と直交する方向に連続し、その襞の先端が小さな曲率半径で屈曲して素材の折り目を形成するとともに、この折目を有する襞が同じ高さで近接して整列した状態となるものである。シート接合部20はホットメルト接着剤を用いて形成することもできるが、資材コストを削減する目的で、シート層12H,12Sの溶着(超音波シールやヒートシール)を用いることが多くなってきている。
しかし、上記先行技術の伸縮構造は、弾性伸縮部材の収縮に伴い2枚のシート層が最も収縮した自然長状態で手触りが硬く、使用者が製品を手に持ったときに硬い感じがするという問題点があった。自然長状態での手触りは使用者の商品選択に影響するため、改善が強く望まれるところである。
この問題点を解決するものとして、伸縮方向と直交方向に隣接する弾性伸縮部材の自由部の間の領域でシート接合部を幅方向に連続させると、自然長状態での手触りが柔軟になるとの知見が得られている。この知見は、シート接合部の連続性が高まるほど、つまりシート接合部が密集するほど硬くなるという従来の一般的な認識からは考えられないことであった。実際に、この実験ではシート接合部を2枚のシート材の溶着により形成しており、溶着した部分のみを見れば溶着していない部分と比べて硬質になっていた。しかし、自然長状態で形成される波状の表面を手で持つと、とても柔軟に感じるのである。この理由については後に詳述する。
他方、このようなパンツタイプ使い捨ておむつにおいては、排泄後などにおいておむつを脱がす際、サイドシール部において前身頃の外装体の両側縁部と後身頃の外装体の両側縁部との接合を引き剥がし、身体から取り除くことが行われる。このため、サイドシール部には、装着中に破れないようなシール強度だけでなく、使用後の引き剥がしやすさも求められている。
特開2005−080859号公報
特開2010−115424号公報
特開2010−119577号公報
特開2000−316898号公報
特開2003−038573号公報
特開2002−369842号公報
しかし、シート接合部は溶着部分であるため他の部分と比較して周縁が破断しやすい部分であり、このようなシート接合部がサイドシール部に隣接する伸縮領域において幅方向に実質的に連続していると、ミシン目のような破断しやすい部分が幅方向に沿って設けられている状態に近くなり、図25に矢印で示すようにサイドシール部13を剥がす途中で、サイドシール部13の溶着が剥がれずに、前身頃の外装体12F及び後身頃の外装体12Bの少なくとも一方(図示例では前身頃の外装体12F)におけるシート接合部に沿って幅方向中央側に向かって裂ける(以下、横裂けともいう)おそれがある。
そこで、本発明の主たる課題は、シート接合部に起因するサイドシール部の横裂けを防止することにある。
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
前身頃及び後身頃を個別又は一体的に構成する外装体と、
前身頃の外装体から後身頃の外装体にかけて幅方向中間部に設けられた、吸収体を含む内装体と、
前記前身頃の外装体の両側部と前記後身頃の外装体の両側部とが、縦方向に間欠的かつ規則的パターンで設けられた溶着部を介してそれぞれ接合されたサイドシール部と、
ウエスト開口部及び左右一対の脚開口部とを有しており、
前記外装体は、前記サイドシール部の幅方向中央側に隣接する伸縮領域を有しており、
前記伸縮領域は、幅方向及び前後方向に延びる2枚のシート層と、これらシート層の間に前記前後方向に間隔を空けて配置された、幅方向に沿って延びる複数本の細長状の弾性伸縮部材とを有し、
前記弾性伸縮部材は、前記伸縮方向の両端部が前記2枚のシート層に固定された固定端部と、これら固定端部の間の部分であってかつ前記2枚のシート層に非固定とされた自由部とを有しており、
前記直交方向に隣接する前記自由部の間の領域として定まる自由部間領域で、前記2枚のシート層が溶着されたシート接合部を有している、
パンツタイプ使い捨ておむつにおいて;
少なくとも前記自由部間領域では、前記シート接合部が幅方向に実質的に連続されており、
前記サイドシール部を幅方向に二等分し、その幅方向中央側を第1領域とし、幅方向外側を第2領域としたとき、前記第1領域及び第2領域のそれぞれに、前記溶着部が縦方向に間欠的かつ規則的パターンで設けられており、前記第1領域の剥離強度が前記第2領域の剥離強度よりも低い、
ことを特徴とするパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
サイドシール部を剥がすときの剥離の進行方向は、当初は幅方向外側に向かうのであるが、剥離が進むにつれて縦方向に近づいていき、外装体に幅方向に沿う断裂が発生しやすい状況となる。この際、サイドシール部が幅方向中央側でも幅方向外側でも剥離力が同じであると、外装体の側部を側縁から幅方向中央側に向かって引き裂くような力が加わりやすく、シート接合部が幅方向に実質的に連続していると横裂けが発生やすくなる。これに対して、上述のように、サイドシール部を幅方向に二等分した第1領域及び第2領域のそれぞれに、溶着部が縦方向に間欠的かつ規則的パターンで設けられ、第1領域の剥離強度が前記第2領域の剥離強度よりも低いと、剥離の方向が幅方向外側に向かいやすく、その結果として外装体の側部に側縁から幅方向中央側に向かって引き裂くような力が発生しにくくなるため、シート接合部が幅方向に実質的に連続していても横裂けは発生しにくくなる。
なお、シート接合部が「伸縮方向に実質的に連続」しているとは、少なくとも伸縮方向と直交する方向(展開状態で2枚のシート層に平行で、かつ弾性伸縮部材と直交する方向)から見て連続する(途切れなく続く)ことを意味し、その限りにおいて、シート接合部が伸縮方向に連続する(2枚のシート層が伸縮方向に連続的に接合されている)形態だけでなく、シート接合部が伸縮方向に間欠的に配置される(2枚のシート層が伸縮方向に間欠的に接合されている)形態も含む意味である。また、剥離強度は、特開平5−317356号公報の段落[0011]記載の方法において、試験片の幅を25mmとして行い、第1領域が剥離し終えるまでの引張力の最大値を第1領域の剥離強度とし、第2領域が剥離し終えるまでの引張力の最大値を第2領域の剥離強度とするものである。
<請求項2記載の発明>
前記第1領域に占める前記溶着部の面積率が前記第2領域に占める前記溶着部の面積率よりも低い、請求項1記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
第1領域及び第2領域の剥離強度の違いは溶着の程度の違い等によって形成しても良いが、このように面積率によって形成することが望ましい。なお、第1領域及び第2領域における溶着部の面積率は、溶着部の総面積を各領域の面積で除して求まるものである。
<請求項3記載の発明>
前記第1領域及び第2領域には、点状の溶着部が縦方向に間隔を空けて並ぶ溶着部列を一列又は複数列設けられており、
前記第2領域よりも前記第1領域の方が、前記溶着部の数が少ない、前記溶着部の面積が小さい、又はその両方である、請求項2記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
サイドシール部の溶着部を点状とすると、柔軟性に富むため好ましい。
<請求項4記載の発明>
前記第1領域から前記第2領域にわたり幅方向に細長く連続する溶着部が縦方向に間隔を空けて配列されており、前記溶着部は前記第2領域に位置する部分よりも前記第1領域に位置する部分の方が、縦方向の幅が狭い四角形状である、請求項2記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
このような幅方向に細長く連続する溶着部を用いることもできる。
<請求項5記載の発明>
前記第1領域の最も幅方向中央側における前記溶着部の縦方向間隔が、前記自由部間領域におけるシート接合部の形成領域の縦方向の幅よりも大きい、請求項1〜4のいずれか1項に記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
このように、第1領域の最も幅方向中央側における溶着部の縦方向間隔を、シート接合部の形成領域の縦方向の幅に対して大きくすることにより、第1領域におけるサイドシール部の溶着部とシート接合部との連続性が無くなる、又は乏しくなるため、横裂けしにくくなる。
<請求項6記載の発明>
前記シート接合部又はそれを仮想的に幅方向外側に延長した延長部分が、少なくとも前記第1領域で縦方向に隣接する前記溶着部の間の縦方向中間に位置されている、請求項5記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
このような配置とすることにより、第1領域におけるサイドシール部の溶着部とシート接合部との連続性が無くなるため、横裂けしにくくなる。
<請求項7記載の発明>
前記シート接合部は前記サイドシール部まで実質的に連続されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
シート接合部がサイドシール部まで実質的に連続されていると、横裂けが発生しやすいため、本発明はこのような横裂けの対策として好適である。
<請求項8記載の発明>
前記シート接合部の前記サイドシール部側の端部は前記サイドシール部から離間している、請求項1〜7のいずれか1項に記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
このようにシート接合部のサイドシール部側の端部がサイドシール部から離間していると、サイドシール部を剥がす際に、サイドシール部とシート接合部との交差位置を起点とした横裂けを効果的に防止することができる。
<請求項9記載の発明>
前記シート接合部は、前記サイドシール部側に位置する前記固定端部の幅方向中間位置まで幅方向に実質的に連続している、請求項8記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
弾性伸縮部材の固定端部は、2枚のシート層を接合する機能も有するため、この幅方向位置まで弾性伸縮部材間のシート接合部が確実に連続していれば、伸縮領域の幅方向全体にわたり2枚のシート層が接合されていることになり、伸縮領域の全体にわたり前述の柔軟な襞が形成される。
以上のとおり、本発明によれば、シート接合部に起因するサイドシール部の横裂けを防止できる等の利点がもたらされる。
パンツタイプ使い捨ておむつの内面を示す、展開状態の平面図である。
パンツタイプ使い捨ておむつの外面を示す、展開状態の平面図である。
図1の3−3断面図である。
図1の4−4断面図である。
図1の5−5断面図である。
パンツタイプ使い捨ておむつの斜視図である。
図1の3−3断面に相当する内装体の断面図である。
図1の4−4断面に相当する内装体の断面図である。
パンツタイプ使い捨ておむつの外面を示す、展開状態の平面図である。
図9の6−6断面に相当する断面図である。
外装体の展開状態の要部拡大平面図である。
外装体の展開状態の要部拡大平面図である。
外装体の展開状態の要部拡大平面図である。
外装体の展開状態の要部拡大平面図である。
(a)外装体の展開状態の要部拡大平面図、(b)外装体の展開状態の7−7断面図である。
(a)外装体の自然長状態の8−8断面図、(b)外装体の自然長状態の9−9断面図、(c)外装体の自然長状態の10−10断面図、(d)外装体の自然長状態の7−7断面図である。
(a)外装体の展開状態の要部拡大平面図、(b)外装体の自然長状態の8−8断面図、(c)外装体の自然長状態の10−10断面図、(d)外装体の自然長状態の7−7断面図である。
パンツタイプ使い捨ておむつの斜視図である。
切断装置の斜視図である。
外装体の非伸縮領域及び伸縮領域の拡大平面図である。
外装体の展開状態の要部拡大平面図である。
外装体の展開状態の要部拡大平面図である。
展開状態におけるサイドシール部分の要部拡大図である。
図23の要部拡大図である。
展開状態におけるサイドシール部分の要部拡大図である。
図25の要部拡大図である。
展開状態におけるサイドシール部分の要部拡大図である。
図27の要部拡大図である。
展開状態におけるサイドシール部分の要部拡大図である。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ詳説する。
図1〜図6は、パンツタイプ使い捨ておむつの一例を示している。断面図における点模様部分はその表側及び裏側に位置する各構成部材を接合する接合手段としての接着剤を示しており、ホットメルト接着剤などのベタ、ビード、カーテン、サミット若しくはスパイラル塗布などにより、また弾性伸縮部材の固定部分はこれに代えて又はこれとともにコームガンやシュアラップ塗布などの弾性伸縮部材の外周面への塗布により形成されるものである。各構成部材を接合する接合手段としてはヒートシールや超音波シール等の素材溶着による固定手段を用いることもできる。
本形態のパンツタイプ使い捨ておむつは、前身頃F及び後身頃Bを構成する外装体12F,12Bと、前身頃Fから股間部を経て後身頃Bまで延在するように外装体12F,12Bの内側に設けられた内装体200とを備えており、前身頃Fの外装体12Fの両側部と後身頃Bの外装体12Bの両側部とが溶着により接合されてサイドシール部13が形成されたものである。符号Yは展開状態におけるおむつの全長(前身頃Fのウエスト開口WOの縁から後身頃Bのウエスト開口WOの縁までの縦方向長さ)を示しており、符号Xは展開状態におけるおむつの全幅を示している。
内装体200は、尿等の排泄物を吸収保持する部分であり、外装体12は着用者の身体に対して内装体200を支えるための部分である。本形態では、外装体12F,12Bの上部開口は、装着者の胴を通すウエスト開口WOとなり、内装体200の幅方向両側において外装体12F,12Bの下縁及び内装体200の側縁によりそれぞれ囲まれる部分が脚を通す脚開口部LOとなる。
また、本形態のパンツタイプ使い捨ておむつは、サイドシール部13を有する縦方向範囲(ウエスト開口WOから脚開口LOの上端に至る縦方向範囲)として定まる胴周り領域Tと、脚開口LOを形成する部分の前後方向範囲(前身頃Fのサイドシール部13を有する縦方向領域と後身頃Bのサイドシール部13を有する縦方向領域との間)として定まる中間領域Lとを有する。胴周り領域Tは、概念的にウエスト開口の縁部を形成する「ウエスト部」Wと、これよりも下側の部分である「ウエスト下方部」Uとに分けることができる。通常、胴周り領域T内に幅方向伸縮応力が変化する境界(例えば弾性伸縮部材の太さや伸長率が変化する)を有する場合は、最もウエスト開口WO側の境界よりもウエスト開口WO側がウエスト部Wとなり、このような境界が無い場合は吸収体56又は内装体200よりもウエスト開口WO側がウエスト部Wとなる。これらの縦方向の長さは、製品のサイズによって異なり、適宜定めることができるが、一例を挙げると、ウエスト部Wは15〜40mm、ウエスト下方部Uは65〜120mmとすることができる。一方、中間領域Lの両側縁は被着者の脚周りに沿うようにコ字状又は曲線状に括れており、ここが装着者の脚を入れる部位となる。この結果、展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつは、全体として略砂時計形状をなしている。
(外装体)
外装体12F,12Bは、前身頃Fを構成する部分である前側外装体12Fと、後身頃Bを構成する部分である後側外装体12Bとからなり、前側外装体12F及び後側外装体12Bは脚側で連続しておらず、離間されている。この離間距離12dは150〜250mm程度とすることができる。図示しないが、この離間部分における内装体200の裏面の露出部分の一部(例えば前側外装体12Fと後側外装体12Bとの間に露出する部分の前後方向全体にわたるが、内装体200の前後端まで延びず、また幅方向両側縁も内装体200の両側縁までは達しない程度)又は全体を覆うように、不織布等からなる股間部カバーシートを貼り付けることもできる。また、図9及び図10に示すように、外装体12が、前身頃Fから後身頃Bにかけて股間を通り連続する一体的なものとすることもできる。つまり、前身頃F及び後身頃Bを個別に構成する外装体12F,12Bが前者の形態に相当し、前身頃F及び後身頃Bを一体的に構成する外装体12が後者の形態に相当する。
外装体12F,12Bは、胴周り領域Tと対応する縦方向範囲である胴周り部を有する。また、本形態では、前側外装体12Fには中間領域Lと対応する部分を有していないが、後側外装体12Bは胴周り領域Tから中間領域L側に延び出る臀部カバー部14を有している。図示しないが、前側外装体12Fにも胴周り領域Tから中間領域L側に延び出る鼠蹊カバー部を設けたり、鼠径カバー部は設けるものの臀部カバー部は設けない形態としたり、前側外装体12F及び後側外装体12Bの両方に中間領域Lと対応する部分を設けなくても良い。また、図示形態では、臀部カバー部14の下縁は、前側外装体12Fの下縁と同様、幅方向に沿う直線状に形成しているが、幅方向外側に向かうにつれてウエスト開口側に位置するようになる曲線とすることもできる。
外装体12F,12Bは、図2〜図5に示されるように、外側シート層12S及び内側シート層12Hにより表裏が形成されている。外側シート層12S及び内側シート層12Hは、図5に示すように、一枚のシート材をウエスト開口側に折目が位置するように折り畳んで形成する他、図27に示すように、二枚のシート材を貼り合わせて形成することもできる。また、この図27に示す例のウエスト部Wとウエスト下方部Uとの違いからも分かるように、外側シート層12S及び内側シート層12Hの少なくとも一方は、その一部が他の部分と異なるシート材により形成されていても良い。
外側シート層12S及び内側シート層12Hに用いるシート材としては、溶着により接合可能なシート状素材であれば特に限定無く使用できるが、不織布であるのが好ましい。不織布は、その原料繊維が何であるかは特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。ただし、シート接合部20を溶着にて形成する場合には、オレフィン系繊維からなる不織布が好適である。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。特に、柔軟性の観点からは、ポリピロピレン繊維のスパンボンド不織布が、外側シート層12S及び内側シート層12Hに好適である。もちろん、外側シート層12S及び内側シート層12Hに用いるシート材としては、互いに異なるものを使用することができる。
不織布を用いる場合、繊度は1〜3dtex程度とするのが好ましく、目付けは10〜30g/m2程度とするのが好ましい。よって、外装体12F,12Bに用いる不織布の総目付けは20〜60g/m2程度であるのが好ましい。また、KES法(Kawabata's Evaluation System for Fabrics)に基づく不織布の平均表面摩擦係数MIUは0.30以下、特に0.05〜0.20(MDとCDの両方)とし、表面摩擦係数の変動偏差MMDは0.01以下、特に0.003〜0.008(MDとCDの両方)、且つ荷重0.5g/cm2時の厚みが0.05〜0.25mm、特に0.10〜0.20mmであるのが好ましい。MIU及びMMDはカトーテック株式会社製の摩擦感テスターKES−SEにより測定することができる。
そして、外装体12F,12Bには、吸収体56よりもウエスト開口側に幅方向に連続する連続伸縮領域A3を有するとともに、吸収体56を有する前後方向範囲に、幅方向中間に設けられた非伸縮領域A1と、この非伸縮領域A1の幅方向両側に設けられた間欠伸縮領域A2とを有しており、連続伸縮領域A3及び間欠伸縮領域A2における外側シート層12S及び内側シート層12H間には、糸ゴム等の細長状弾性伸縮部材19(15〜18)が幅方向に沿って所定の伸長率で取り付けられて、幅方向に伸縮可能(幅方向が伸縮方向)とされている。細長状弾性伸縮部材19としては、合成ゴムを用いても、天然ゴムを用いても良い。図示形態における非伸縮領域A1及び間欠伸縮領域を有する前後方向範囲の一部又は全部について、幅方向全体にわたり連続伸縮領域A3としたり、図示形態における非伸縮領域A1の前後方向範囲をウエスト側又は股間側に拡大したりしても良い。
図示形態についてより詳細に説明すると、先ず、外装体12F,12Bのウエスト部Wにおける外側シート層12S及び内側シート層12H間には、幅方向全体にわたり連続するように、複数のウエスト部弾性伸縮部材17が前後方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で取り付けられている。ウエスト部弾性伸縮部材17のうち、ウエスト下方部Uに隣接する領域に配設される1本または複数本については、内装体200と重なっていてもよいし、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けてもよい。ウエスト部弾性伸縮部材17としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、5〜20mm、特に8〜16mmの間隔で3〜22本程度、それぞれ伸長率150〜400%、特に220〜320%程度で取り付けるのが好ましい。また、ウエスト部弾性伸縮部材17は、その全てを同じ太さと伸長率にする必要はなく、例えばウエスト部Wの上部と下部で弾性伸縮部材の太さと伸長率が異なるようにしてもよい。
また、外装体12F,12Bのウエスト下方部Uにおける外側シート層12S及び内側シート層12H間には、非伸縮領域A1を除いて、その上側及び幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、細長状弾性伸縮部材からなるウエスト下方部弾性伸縮部材15,18が複数本、前後方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で取り付けられている。ウエスト下方部弾性伸縮部材15,18としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、5〜20mm、特に8〜16mmの間隔で5〜30本程度、それぞれ伸長率200〜350%、特に240〜300%程度で取り付けるのが好ましい。
また、後側外装体12Bの臀部カバー部14における外側シート層12S及び内側シート層12H間には、非伸縮領域A1を除いて、その幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、細長状弾性伸縮部材からなるカバー部弾性伸縮部材16が複数本、前後方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で取り付けられている。カバー部弾性伸縮部材16としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、5〜20mm、特に8〜16mmの間隔で2〜10本程度、それぞれ伸長率150〜300%、特に180〜260%で取り付けるのが好ましい。前側外装体12Fに鼠径カバー部を設ける場合には同様にカバー部弾性伸縮部材を設けることができる。
なお、図示形態の間欠伸縮領域A2のように、外装体12F,12Bに設けられる弾性伸縮部材19(図示形態ではウエスト下方部弾性伸縮部材15,18及びカバー部弾性伸縮部材16)が、非伸縮領域A1を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けられていると、当該非伸縮領域A1において吸収体56の幅方向収縮が防止される。よって、非伸縮領域A1は、吸収体56と幅方向に重なる部分の一部又は全部を含む幅方向中間(好ましくは内外固定部201の全体を含む)の領域とされ、その幅方向両側におけるサイドシール部13までの幅方向全体が間欠伸縮領域A2とされることが好ましい。
(弾性伸縮部材の固定部)
図2、図9及び図11〜図14等に示すように、連続伸縮領域A3及び間欠伸縮領域A2における弾性伸縮部材19は、その幅方向両端部が外側シート層12S及び内側シート層12Hに固定されてなる固定端部19fとされるとともに、これら固定端部19fの間の部分は外側シート層12S及び内側シート層12Hに非固定の自由部19mとされている。この弾性伸縮部材19の自由部19mは、幅方向に自由に伸縮し、かつ後述するシート接合部20の間の空間内で前後方向(伸縮方向と直交する方向)に自由に移動可能とされている。つまり、図示形態のように、外装体12F,12Bにおける内装体200と重なる部分の一部又は全部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けられている弾性伸縮部材19の場合には、幅方向両側の各弾性伸縮部材19の両端部が固定端部19fとされ、外装体12F,12Bの幅方向全体にわたり連続する弾性伸縮部材19の場合には、弾性伸縮部材19における外装体12F,12Bの幅方向両端部に位置する部分が固定端部19fとされる。このように、2枚のシート層12S,12Hに対する弾性伸縮部材19の自由度が高いと、伸縮力のロスが少なく、シート層12S,12Hの剛性にムラがあっても(例えばシート層12S,12Hが不織布の場合に不織布の繊維密度にムラがあっても)自然に収縮させることが可能であり、弾性伸縮部材19の使用量を従来より減らすことも可能となる。
固定端部19fは、弾性伸縮部材19が外側シート層12S及び内側シート層12Hに固定される限り、その固定手段は限定されるものではなく、公知のあらゆる手段を用いることができるが、ホットメルト接着剤を用いるのが好ましい。ホットメルト接着剤を用いる場合、図2、図9、図11及び図14に示すように各弾性伸縮部材19の端部の部位にのみ塗布する他、図12及び図13に示すように複数の弾性伸縮部材19の端部にわたるように前後方向に連続する塗布パターンで塗布することもできる。特に後者の場合、サイドシール部13の前後方向範囲全体にわたるようにホットメルト接着剤を連続させると、サイドシール部13の幅方向中央側に高強度の部分が連続的に形成され、横裂け防止効果に優れるようになる。
固定端部19fを固定するためのホットメルト接着剤は、外側シート層12S及び内側シート層12Hの少なくとも一方に対して塗布する他、各弾性伸縮部材19の端部の部位にのみ塗布する場合には、コームガンやシュアラップノズル等の塗布手段により弾性伸縮部材19の両端部となる部分の外周面にのみホットメルト接着剤を塗布しても良い。
サイドシール部13側に位置する固定端部19fは、図示形態のようにサイドシール部13に隣接していることが望ましいが、サイドシール部13から幅方向中央側に離間させることもできる。
(伸縮領域におけるシート接合部)
図2、図5及び図11に示すように、前後方向に隣接する弾性伸縮部材19の自由部19mの間の領域として定まる自由部間領域FA(図11のハッチングを付した領域。他の図では省略。)の各々では、外側シート層12S及び内側シート層12Hが接合されることによりシート接合部20が形成されている。
シート接合部20は、図15及び図16に示すように、超音波シールやヒートシールのように外側シート層12S及び内側シート層12Hの溶着により形成された溶着部分である。溶着によってシート接合部20を形成する場合は、複雑なパターン形成も容易である(意匠性も訴求できる)点に優れるが、接合部20に沿ってシートが破れやすくなる可能性がある。
各自由部間領域FAにおけるシート接合部20を有する領域の前後方向の長さ20zは、前後方向に隣接する固定端部19fの前後方向間隔19d(すなわち弾性伸縮部材19の前後方向間隔)の5〜100%とすることができ、特に5〜50%とすることが好ましく、具体的な長さとしては0.5〜10mmとすることが好ましい。
また、伸縮領域A2,A3の展開状態で、各自由部間領域FAにおける前後方向の両端部に、シート接合部20を有しない無シート接合領域21が幅方向に連続していると、弾性伸縮部材19の自由部19mが、シート接合部20を有する領域までは前後方向(伸縮方向と直交する方向)に自由に移動可能となり、フィット性に優れた伸縮構造となるため好ましい。つまり、図11〜図14等に示すように、展開状態では、弾性伸縮部材19及びシート接合部20はその幅方向全体にわたり前後方向に離間されるが、弾性伸縮部材19は隣接するシート接合部20間で前後方向に移動可能であるため、通常の装着状態や自然長状態では弾性伸縮部材19の中間の一部は前後方向に移動しシート接合部20に接触することもありうる。無シート接合領域21の前後方向長さは適宜定めることができるが、前後方向に隣接する固定端部19fの前後方向間隔19dの10〜49%、特に25〜49%とすることが好ましく、具体的な長さとしては2〜12mm、特に4〜9mmとすることが好ましい。
シート接合部20のパターンは、2枚のシート層12S,12Hが収縮状態で互いに沿うような波状をなすためには2枚のシート層12S,12Hの一体性がある程度以上確保されていることが必要である。例えば、図17に示す従来形態のように、シート接合部20の無い部分が伸縮方向と直交する方向(図示形態では前後方向)に連続すると、そのシート接合部20の無い部分において2枚のシート層12S,12Hが互いに離れるように膨らむのに対して、2枚のシート層12S,12Hの全体が一体であれば、互いに沿うような波状になるほかない。
このような観点から、シート接合部20の好ましいパターンは、図11〜図14、図21〜図22に示すように、自由部間領域FAでシート接合部20が幅方向に実質的に連続されている(換言すると自由部間領域FAの幅方向全体にわたり実質的に連続線状又は連続帯状をなしている)形態である。シート接合部20が幅方向に実質的に連続する部分は、幅方向外側においてサイドシール部13まで連続していても、また外装体12F,12Bの幅方向全体にわたっていても良いが、自由部間領域FA以外であれば部分的又は全体的にシート接合部20が形成されていなくても良い。
例えば、図21に示すように、実質的に連続するシート接合部20のサイドシール部13側の端部が符号13xで示すようにサイドシール部13から離間されており、その結果としてサイドシール部13側の端部に、サイドシール部13から突出するシート接合部20を有しない形態とすることもできる。このようにシート接合部20のサイドシール部13側の端部がサイドシール部13から離間していると、サイドシール部13を剥がす際に、サイドシール部13とシート接合部20との交差位置を起点とした横裂けを効果的に防止することができる。シート接合部20と、サイドシール部13との離間距離13xは適宜定めれば良いが、通常の場合、2〜10mm程度とすることが望ましい。この場合、シート接合部20を自由部間領域FAの側縁(固定端部19fの幅方向中央側の端縁の位置)まで連続させるために、シート接合部20の端部を自由部間領域FAの側縁に合わせることは困難であるため、図11、図12及び図14等に示すように、サイドシール部13側に位置する固定端部19fの幅方向中間位置まで幅方向に実質的に連続させ、その結果としてシート接合部20のサイドシール部13側の端部をサイドシール部13から離間させるのは好ましい形態である。弾性伸縮部材19の固定端部19fは、2枚のシート層12S,12Hを接合する機能も有するため、この幅方向位置まで弾性伸縮部材19間のシート接合部20が確実に連続していれば、伸縮領域A2,A3の幅方向全体にわたり2枚のシート層12S,12Hが接合されていることになる。
このように構成された外装体12F,12Bの伸縮領域A2,A3では、シート接合部20が伸縮方向に実質的に連続しているため、図16に示すように、自然長状態では2枚のシート層12S,12Hは互いに沿うようにしか変形しない。この結果、自然長状態を含め、弾性伸縮部材19の収縮に伴い2枚のシート層12S,12Hが収縮した状態では、2枚のシート層12S,12Hが互いに沿うような波状をなして表裏両面に襞80が形成されることとなる。図16(d)に二点鎖線で示された部分は、実線で示された部分の襞80に隣接する反対向きの襞80を形成する部分である。
図16に示すように、2枚のシート層12S,12Hが互いに沿うような波状をなすときには、単なるシート層数による剛性向上、及び2枚のシート層12S,12Hの曲率の違いにより、従来の襞80の頂部よりも緩やかに曲がる(特に自然長状態で従来との違いが顕著となる)結果、手触りが滑らかで、厚み方向に潰れやすくなり、手触りの柔軟性が向上する。しかも、2枚のシート層12S,12Hが互いに沿うような緩やかな波状をなすときには、伸縮方向において波の山と山、谷と谷とが離間するため、波が厚み方向に潰れる際や倒れる際、波の山と山、谷と谷とが支え合う作用が弱くなり、この点でも手触りがより柔軟になると考えられる。
また、平滑な素材を表裏から指で摘む場合は、同じ素材でも1枚よりも2枚を重ねて摘むほうが滑らかさを感じやすい。これは、指同士あるいは指と素材の間の摩擦抵抗よりも素材同士の摩擦抵抗が低いために、2枚を重ねて摘んだ場合に摩擦抵抗が低く(滑らかに)感じることができるためである。2枚のシート層が互いに沿うようになっていると、この滑り感を強く感覚することができると考えられる。したがって、2枚のシート層12S,12Hに用いるシート材の摩擦特性は、前述のようなものとするのが好ましい。
自由部間領域FAでシート接合部20が幅方向に実質的に連続する形態には、図11及び図12に示すように、シート接合部20が幅方向に連続的に形成された(2枚のシート層12S,12Hが幅方向に連続線状に接合されている)形態、図13、図14、図21及び図22に示すように、シート接合部20が幅方向に間欠的に配置されている(2枚のシート層12S,12Hが幅方向に間欠的に接合されている)ものの、一つの自由部間領域FA内に配置された多数のシート接合部20の群の一部又は全部を前後方向から見たときに連続する(途切れなく続く)形態が含まれる。
シート接合部20は伸縮方向に完全に連続していても良いが、柔軟性の低下は避けられない。また、不織布等からなるシート層を融着して形成する場合は接合部20が連続線状であると、接合部20に沿ってシートが破れやすい。よって、シート接合部20は伸縮方向に間欠的に設けることが好ましい。
シート接合部20が幅方向に間欠的に配置されるが実質的に連続する形態としては、図13に示すようにシート接合部20が伸縮方向に間隔を空けて並ぶ列が一列である一列形態、あるいは図14、図21〜図22に示すように前後方向に複数列形成されるとともに、各列における各シート接合部20は、前後方向に隣接する他の列における幅方向に隣接するシート接合部20間に跨るように配置される複数列形態を採用することができる。このようにシート接合部20を幅方向に間欠的に設けると柔軟性が低下しにくいため好ましい。また、複数列形態では一列形態と比較して、個々のシート接合部20が小さくなり、より柔軟性に富むものとなる。しかも、多数のシート接合部20で2枚のシート層12S,12Hを接合するため接合強度も十分に確保される。
一列形態では、伸縮方向に隣接する一方のシート接合部20と他方のシート接合部20との幅方向の重なり幅20wが、当該重なり幅の部分における一方のシート接合部20と他方のシート接合部20との前後方向の間隔20d(変化する場合は最大値)よりも広いことが望ましい。また、複数列形態では、前後方向に隣接する一方の列のシート接合部20と他方の列のシート接合部20との幅方向の重なり幅が、一方の列のシート接合部20と他方の列のシート接合部20との前後方向の間隔よりも広いことが望ましい。
特に複数列形態の場合、図14に示す形態のように、各列における各シート接合部20の前後方向の一部が、隣の列のシート接合部20の前後方向の一部と、前後方向において重なるように、各列における各シート接合部20が配置されていると、襞の形状安定性がより高いものとなるため好ましい。
個々のシート接合部20の形状は、円形、楕円形、多角形(三角形、四角形等)等、適宜定めることができる。一列形態においてシート接合部20の形状を簡素なものとするには、三角形、平行四辺形(図示例)これらの組合せとするのが好ましく、複数列形態においてシート接合部20の形状を簡素なものとするには、三角形、菱形、又はこれらの組合せ(図示例)とするのが好ましい。
シート接合部20の寸法や配置間隔は適宜定めることができるが、シート接合部20を間欠配置とする場合、以下のとおりとするのが好ましい。
・シート接合部の幅方向最大長さ20x:0.5〜5.0mm
・シート接合部の前後方向最大長さ20y:0.2〜2.0mm
・シート接合部の幅方向間隔20t:シート接合部の幅方向最大長さ20xの0.2〜0.9倍
・シート接合部の前後方向間隔20d:シート接合部の前後方向最大長さ20yの0.5〜1.5倍
・シート接合部の幅方向重なり幅20w:シート接合部の前後方向間隔20dの0.2倍以上
・自由部間領域におけるシート接合部を有する領域の前後方向長さ20z:1〜10mm
・隣接する自由部間領域におけるシート接合部の前後方向間隔20s:4〜20mm
また、自由部間領域FAでは、前後方向の中央に近づくほど2枚のシート層12S,12Hの自由度が高くなるため、シート接合部20の面積率を高くし、2枚のシート層12S,12Hの一体性を高めると、2枚のシート層12S,12Hの互いに沿う状態が崩れにくくなるため好ましい。一方、自由部間領域FAにおける前後方向の両側(つまり弾性伸縮部材19に近い側)では、弾性伸縮部材19が2枚のシート層12S,12Hの近接を阻害するため、各シート層12S,12Hがこの弾性伸縮部材19による阻害作用を吸収して互いに沿う状態となるように個々に変形(収縮や曲り)するためには、シート接合部20の面積率を低くし、各シート層12S,12Hの自由度を高めることが望ましい。弾性伸縮部材19に対する各シート層12S,12Hの自由度が低いと、これらが一体的に変形しようとするため、各シート層12S,12Hは弾性伸縮部材19からわずかに離間しつつ小さな多数の皺を形成することになり、ザラザラとした不快な手触り感を生じることになる。よって、図示形態のように、自由部間領域FAにおける前後方向両側に向かうにつれて段階的にシート接合部20の面積率(単位面積当たりのシート接合部20の面積の割合)が低くなるように、シート接合部20が配列されているのは好ましい形態である。
シート接合部20の面積率を自由部間領域FAにおける前後方向両側に向かうにつれて変化させるには、図示形態のように無シート接合領域21を設けたり、これとともに(又はこれに代えて)、複数列形態の場合には、前後方向両側の列ほどシート接合部20の数を減少させたりすることができる。また、個々のシート接合部20の形状や面積を変更しても良い。
通常の場合、伸縮領域A2,A3の展開状態で、自由部間領域FAを前後方向に三等分し、その三領域FA1,FA2,FA3のうち前後方向の中央に位置する領域を中央領域FA2とし、かつその両側に位置する領域を両側領域FA1,FA3としたとき(図22参照)、中間領域FA2に占めるシート接合部20の面積率は3〜25%、特に5〜20%、とするのが好ましく、両側領域FA1,FA3に占めるシート接合部20の面積率は10%以下、特に3%以下とするのが好ましい。また、中間領域FA2に占めるシート接合部20の面積率に対する、両側領域FA1,FA3に占めるシート接合部20の面積率の割合を20%以下、特に10%以下とするのは好ましい。また、両側領域FA3にシート接合部20を有しないと、弾性伸縮部材19に対する各シート層12S,12Hの自由度が向上できるだけでなく、製造時においてシート接合部20と弾性伸縮部材19とが接触する(溶着による接合の場合弾性伸縮部材19が意図せず切断される)リスクが低くなるため、更に好ましい。
もちろん、シート接合部20の面積率が自由部間領域FAにおける前後方向に一様である形態や、自由部間領域FAにおける前後方向両側に向かうにつれて段階的にシート接合部20の面積率が高くなる形態とすることもできる。
(非伸縮領域の形成)
非伸縮領域A1は、内側シート層12Hと外側シート層12Sとの間に弾性伸縮部材19を供給し、間欠伸縮領域A2とする領域の端部で弾性伸縮部材19の固定端部19fのみホットメルト接着剤により固定した後、非伸縮領域A1とする領域において、弾性伸縮部材19を幅方向中間の1か所又は複数か所で加圧及び加熱により切断するか、又は弾性伸縮部材15,16,19のほぼ全体を加圧及び加熱により細かく切断し、間欠伸縮領域A2に伸縮性を残しつつ非伸縮領域A1では伸縮性を殺すことにより構築することができる。
図19(a)は、弾性伸縮部材19を幅方向中間の1か所で切断する場合を示しており、周方向の1か所に切断凸部72を有する加圧部71を外周面に備え、切断凸部72が所望の温度に加熱されるシールロール70と、これに対向配置された表面平滑なアンビルロール80とにより、内側シート層12H及び外側シート層12S間に弾性伸縮部材19を取り付けた切断対象を挟み、切断凸部72とアンビルロール80の外周面との間に挟まれる部位のみ弾性伸縮部材19を加圧及び加熱して切断するものである。このような加工を施した製品では、図20(a)(b)に示すように、非伸縮領域A1における外側シート層12S及び内側シート層12H間には、間欠伸縮領域A2の弾性伸縮部材19から連続する切断残部のみが不要弾性伸縮部材18として残り、溶融跡22が一本だけ切断痕跡として残ることになる。図示しないが、複数か所で切断する場合は、周方向の複数か所に切断凸部72を有するシールロール70を用いれば良い。
また、図19(b)は、弾性伸縮部材19のほぼ全体を細かく切断する場合を示しており、千鳥状等の間欠配置とされた多数の切断凸部73を有する加圧部71を外周面に備え、切断凸部72が所望の温度に加熱されるシールロール70と、これに対向配置された表面平滑なアンビルロール80とにより、内側シート層12H及び外側シート層12S間に弾性伸縮部材15〜17,19を取り付けた切断対象を挟み、切断凸部73とアンビルロール80の外周面との間に挟まれる部位のみ弾性伸縮部材19を加圧及び加熱して切断するものである。このような加工を施した製品では、図20(c)に示すように、非伸縮領域A1における外側シート層12S及び内側シート層12H間には、間欠伸縮領域A2の弾性伸縮部材19から連続する切断残部、及び両方の間欠伸縮領域A2の弾性伸縮部材19と連続しない弾性伸縮部材の切断片が、不要弾性伸縮部材18として前後方向及び幅方向に間欠的に残り、溶融跡22が切断痕跡として前後方向及び幅方向に間欠的に残ることになる。
(非伸縮領域におけるシート接合部)
非伸縮領域A1にはシート接合部20を設けなくても良いが、外側シート層12Sが内側シート層12Hに対してずれたり、浮いたりするのは好ましくないため、シート接合部20を設けるのが好ましい。非伸縮領域のシート接合部20は、2枚のシート層12S,12Hが接合される限り特に限定されるものではないが、図2、図6、図20等に示すように、非伸縮領域A1では、不要弾性伸縮部材70は2枚のシート層12S,12Hに対して非固定とされるとともに、不要弾性伸縮部材70の前後方向両側で、幅方向に実質的に連続するシート接合部20により2枚のシート層12S,12Hが接合されていると好ましい。このように、不要弾性伸縮部材70が2枚のシート層12S,12Hに対して非固定とされていると、不要弾性伸縮部材70の収縮力が2枚のシート層12S,12Hに対して完全に作用しない状態とすることができる。さらに、非伸縮領域A1では、不要弾性伸縮部材70の前後方向両側で、幅方向に実質的に連続するシート接合部20により2枚のシート層12S,12Hが接合されており、不要弾性伸縮部材70の前後方向の移動はその前後両側に位置するシート接合部20間に限られるため、見栄えが悪化するような大きな移動は防止される。もちろん、非伸縮領域A1における不要弾性伸縮部材70は2枚のシート層12S,12Hに対してホットメルト接着剤により固定しても良い。図20(a)(b)のように弾性伸縮部材19を幅方向中間の1か所(または複数か所)で切断する場合は、接着力が低くなるようにホットメルト接着剤の塗布量等を調整する。図20(c)のように弾性伸縮部材19を細かく切断する場合は、接着力が高くても非伸縮領域A1の伸縮性をほぼ殺すことができる。
非伸縮領域A1におけるシート接合部20は、間欠伸縮領域A2におけるシート接合部20と基本的に同様とすることができる。非伸縮領域A1におけるシート接合部20の形状、寸法、数、及び配置等は、間欠伸縮領域A2におけるシート接合部20と異なるものとしても良い。例えば、非伸縮領域A1におけるシート接合部20は、図13に示される形態に倣って、不要弾性伸縮部材70間に複数列形成し、不要弾性伸縮部材70とシート接合部20との距離を狭くすることにより、不要弾性伸縮部材70の移動を効果的に防止しつつ、間欠伸縮領域A2においては柔軟性を重視して図11に示す形態のように弾性伸縮部材19間に一列とすることができる。
ただし、製造容易性及び製造安定性の観点からは、図2、図6、図20等に示すように、非伸縮領域A1におけるシート接合部20の形状、寸法、数、及び配置等は、間欠伸縮領域A2におけるシート接合部20と同様とすることが望ましく、少なくとも、間欠伸縮領域A2におけるシート接合部20及び非伸縮領域A1におけるシート接合部20が、幅方向に実質的に連続されていると好ましい。
この場合、間欠伸縮領域A2における2枚のシート層12S,12H間の空間が、非伸縮領域A1における2枚のシート層12S,12H間の空間と連続することになり、不要弾性伸縮部材70が間欠伸縮領域A2側に移動するおそれがある。そこで、間欠伸縮領域A2における弾性伸縮部材19の固定端部19fを、少なくとも幅方向中央側の端部では、図12及び図13に示すように当該間欠伸縮領域A2の前後方向全体にわたり連続するホットメルト接着剤により形成し、同時に2枚のシート層12S,12Hを当該間欠伸縮領域A2の前後方向全体にわたり接合するのも好ましい形態である。これにより、非伸縮領域A1における2枚のシート層12S,12H間の空間が、非伸縮領域A1の幅方向両側で閉じられるため、不要弾性伸縮部材70が間欠伸縮領域A2に移動して見栄えが悪化するのを防止することができる。
その他、非伸縮領域A1における実質的に連続するシート接合部20の詳細は、伸縮領域におけるシート接合部20の項で述べたとおりであるため、ここではあえて説明を省略する。
(サイドシール部)
サイドシール部13の幅sは特に限定されないが、通常の場合、2〜7mm程度とすることができる。サイドシール部13全体に占める溶着部13sの総面積の割合(面積率)は適宜定めることができるが、通常の場合8〜40%程度とすることができる。
サイドシール部13における溶着接合はヒートシールにより行うことも可能であるが、超音波シールを用いると、ヒートシールと比べて溶着部13s周囲への熱影響がほとんどなく、サイドシール部13の素材が伸びやすく柔軟に仕上がるため好ましい。ただし、超音波シールの場合、サイドシール部13の素材の伸びやすさが災いして同じシールパターンで比べるとより引き剥がし難く、横裂けが発生しやすい。よって、本発明は超音波シールを採用する場合に好適である。超音波シール装置は特に限定されるものではない。
特徴的には、サイドシール部13を幅方向に二等分し、その幅方向中央側を第1領域13Aとし、幅方向外側を第2領域13Bとしたとき、第1領域13A及び第2領域13Bのそれぞれに、溶着部13sが縦方向に間欠的かつ規則的パターンで設けられており、第1領域13Aの剥離強度が第2領域13Bの剥離強度よりも低いものとされている。剥離強度の定義は前述のとおりである。サイドシール部13を剥がすときの剥離の進行方向は、当初は幅方向外側に向かうのであるが、剥離が進むにつれて縦方向に近づいていき、外装体12F,12Bに幅方向に沿う断裂が発生しやすい状況となる。この際、サイドシール部13が幅方向中央側でも幅方向外側でも剥離力が同じであると、外装体12F,12Bの側部を側縁から幅方向中央側に向かって引き裂くような力が加わりやすく、シート接合部20が幅方向に実質的に連続していると図25に示すように横裂けが発生やすくなる。これに対して、上述のように、サイドシール部13を幅方向に二等分した第1領域13A及び第2領域13Bのそれぞれに、溶着部13sが縦方向に間欠的かつ規則的パターンで設けられ、第1領域13Aの剥離強度が第2領域13Bの剥離強度よりも低いと、剥離の方向が幅方向外側に向かいやすく、その結果として外装体12F,12Bの側部に側縁から幅方向中央側に向かって引き裂くような力が発生しにくくなるため、シート接合部20が幅方向に実質的に連続していても横裂けは発生しにくくなる。特に、図示形態のようにシート接合部20がサイドシール部13まで実質的に連続されていると、横裂けが発生しやすいため、本発明はこのような横裂けの対策として好適である。
第1領域13Aの最も幅方向中央側における溶着部13sの縦方向間隔k1を、シート接合部20の形成領域の縦方向の幅20zよりも大きくするのは一つの好ましい形態である。これにより、第1領域13Aにおけるサイドシール部13の溶着部13sとシート接合部20との連続性が無くなる、又は乏しくなるため、横裂けしにくくなる。さらにこれを発展させて、図29に示すように、シート接合部20(又はシート接合部20がサイドシール部13まで連続しない場合には、シート接合部20を仮想的に幅方向外側に延長した延長部分)を、少なくとも第1領域13Aで(図示形態では、第1領域及び第2領域の全体にわたり)縦方向に隣接する溶着部13sの間の縦方向中間に配置すると、サイドシール部13の溶着部13sとシート接合部20との連続性が無くなるため、横裂け防止効果がより一層のものとなる。
第1領域13A及び第2領域13Bの剥離強度の違いは溶着の程度の違い等によって形成しても良いが、面積率によって形成することが望ましい。つまり、第1領域13Aに占める溶着部13sの面積率が第2領域13Bに占める溶着部13sの面積率よりも低くなるよう、溶着部13sのパターンを定めることが望ましい。第1領域13Aに占める溶着部13sの面積率及び第2領域13Bに占める溶着部13sの面積率は適宜定めることができるが、通常の場合、第1領域13Aに占める溶着部13sの面積率は6〜30%、特に10〜25%とすることが好ましく、第2領域13Bに占める溶着部13sの面積率は10〜50%、特に15〜35%とすることが好ましい。また、第2領域13Bの溶着部13sの面積率に対する第1領域13Aの溶着部13sの面積率の比は、0.45〜0.90倍、特に0.55〜0.70倍とすることが望ましい。
溶着部13sのパターンは特に限定されず、図23及び図24、図27及び図28に示すように点状の溶着部13sが間隔を空けて配列されたドットパターンや、図25及び図26に示すように第1領域13Aから第2領域13Bにわたり幅方向に細長く連続する四角形状の溶着部13sが間隔を空けて配列されたバーパターン等とすることができる。
バーパターンで第1領域13Aに占める溶着部13sの面積率を第2領域13Bに占める溶着部13sの面積率よりも低くするには、例えば図示するように、溶着部13sの形状を、第2領域13Bに位置する部分よりも第1領域13Aに位置する部分の方が縦方向の幅が狭い四角形状とすることができる。このような四角形状としては、図示形態のように幅方向外側に向かうにつれて連続的に縦方向の幅が増加する形状が好適であるが、段階的、例えば第1領域13Aと第2領域13Bとの境界で幅が変化する形態(図示略)とすることもできる。
バーパターンにおける寸法及び位置は適宜定めることができるが、図示形態で乳幼児用途の場合、次の範囲内とするのが好ましい。
・各溶着部13sの面積:3.5〜15.0mm2
・各溶着部13sの幅方向長さg:2.0〜7.0mm
・各溶着部13sの縦方向長さh:0.6〜2.0mm(特に0.8〜1.5mm)
・各溶着部13sの最大縦方向長さh2:1.0〜2.0mm(特に1.5〜2.0mm)
・各溶着部13sの最小縦方向長さh1:0.0〜1.0mm(特に0.5〜1.0mm)
・溶着部の縦方向長さの変化率(h2−h1)/g:0.03〜0.7
・溶着部13sの縦方向間隔k:0.5〜5.0mm(特に0.8〜1.5mm)
・無溶着部13nの縦方向長さn:0.0〜2.0mm(特に0.1〜1.0mm)
・サイドシール部13の幅方向長さs(溶着最大幅):2.0〜7.0mm
・第1領域13Aに占める溶着部13sの面積率:6〜30%(特に10〜25%)
・第2領域13Bに占める溶着部13sの面積率:10〜50%(特に15〜35%)
・第2領域13Bの溶着部13sの面積率に対する第1領域13Aの溶着部13sの面積率の比:0.45〜0.90倍(特に0.55〜0.70倍)
一方、ドットパターンで第1領域13Aに占める溶着部13sの面積率を第2領域13Bに占める溶着部13sの面積率よりも低くするには、例えば図示するように、第1領域13A及び第2領域13Bの溶着部13sの面積を同じとし、第2領域13Bの溶着部13sの数よりも第1領域13Aの溶着部13sの数を少なくする、つまり溶着部13s間の間隔を部分的又は全体的に広げることができる。また、第1領域13A及び第2領域13Bの溶着部13sの数及び中心配置を同じとし、第2領域13Bよりも第1領域13Aの方が溶着部13sの面積が小さいパターンとしても良い。もちろん、溶着部13sの数の違いと、溶着部13sの面積の違いとを組み合わせて、第1領域13Aに占める溶着部13sの面積率を第2領域13Bに占める溶着部13sの面積率よりも低くすることもできる。
各溶着部13sは点状である限り、三角形状等の多角形状や半円形状、星形状、楕円形状等特に限定されないが、図示形態のような円形状であるのが好ましい。
ドットパターンの配列は特に限定されず、図23に示すように2列とする他、図27の下部に示すように三列以上とすることもできる。より詳細に説明すると、図示のドットパターンは、縦方向に間隔を空けて列なる点状の溶着部13sの列が幅方向に複数並び、かつ全体として互い違い又は千鳥状のドットパターンを基本として、幅方向外側の溶着部13sの列では縦方向に等間隔で溶着部13sを設け、幅方向中央側の列に、溶着部13s複数個おきに溶着部13sの無い(抜かれた)間隔拡大部分13dを設け、三列以上の場合には幅方向中央側の列ほど間隔拡大部分が広くなるパターンである。三列以上の場合、第1領域13A及び第2領域13Bに跨る溶着部13sを有していても良い。
また、ドットパターンの場合、図示形態のように、サイドシール部13の幅方向全体にわたる無溶着部13nを僅かであっても各溶着部13sの縦方向両側に形成すると、シール装置における溶着部13s形成用の凸部間の隙間に不織布の繊維屑が付着し難くなるとともに、付着した繊維屑を取り除くのも容易となる。すなわち、パンツタイプ使い捨ておむつでは、おむつを幅方向に移送しつつサイドシール部13を形成するため、繊維屑が発生してもシール装置における無溶着部13n形成用の凹溝(溶着部13s形成用の凸部の間)を通って排出され、溶着部13s形成用の凸部間に留まりにくい。具体的に、繊維屑が溜まる時間は従来の一般的な横縞状パターンと同等となる。また、長時間経過して、溶着部13s形成用の凸部間に繊維屑が溜まったとしても、当該凸部間の溝はラインの流れ方向に連続するため、ラインの流れ方向にブラシをかけるだけで簡単に繊維屑を除去することができる。
ドットパターンにおける寸法及び位置は適宜定めることができるが、図示形態で乳幼児用途の場合、次の範囲内とするのが好ましい。
・各溶着部13sの面積:0.3〜7.1mm2
・溶着部13sの列数:2〜4列、特に2〜3列
・各溶着部13sの幅方向長さg:0.6〜3.0mm(特に0.8〜1.5mm)
・各溶着部13sの縦方向長さh:0.6〜3.0mm(特に0.8〜1.5mm)
・隣り合う溶着部13sの列の幅方向間隔q:+1.0mm〜+4.0mm(なお、+(プラス)は隣接列の溶着部13sの幅方向位置が重ならない場合を意味する。)
・同一列における隣り合う溶着部13sの縦方向間隔k:0.5〜5.0mm(特に0.8〜1.5mm)
・無溶着部13nの縦方向長さn:0.0〜2.0mm(特に0.1〜1.0mm)
・間隔拡大部分13d:3.5〜15.0mm
・間隔拡大部分13dの間の縦方向長さ(縦方向範囲13y):2.0〜5.0mm
・間隔拡大部分13dの縦方向長さに対する、間隔拡大部分13dの間の縦方向範囲13yの比率:0.16〜0.60倍
・サイドシール部13の幅方向長さs(溶着最大幅):2.0〜7.0mm
・第1領域13Aに占める溶着部13sの面積率:6〜30%(特に10〜25%)
・第2領域13Bに占める溶着部13sの面積率:10〜50%(特に15〜35%)
・第2領域13Bの溶着部13sの面積率に対する第1領域13Aの溶着部13sの面積率の比:0.45〜0.90倍(特に0.55〜0.70倍)
他方、図27及び図28に示すW,U1〜U3、14の各部のように、サイドシール部13の縦方向中間でシート材の積層数が変化する場合、シート積層数に応じて溶着部13sのパターンを変化させることができる。このような変化はドットパターンに限られず、バーパターンでも適用することができる。
(内装体)
内装体200の形状、構造は特に限定されず、例えば以下に述べる形状、構造を採用することができる。内装体200は任意の形状を採ることができるが、図示の形態では長方形である。内装体200は、図3〜図5に示されるように、装着者の肌側となる液透過性トップシート30と、液不透過性シート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えているものであり、吸収機能を担う本体部である。符号40は、トップシート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させるために、トップシート30と吸収要素50との間に設けられた中間シート(セカンドシートとも呼ばれる)を示しており、符号60は、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、内装体の吸収面の幅方向両側に沿って延在された、装着者の脚周りに向かって立ち上がる部分である脚周りギャザー60を示している。
(トップシート)
トップシート30は、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシート等、液透過性素材であれば特に限定無く利用できるが、図3及び図4に示す形態のようにトップシート30が脚周りギャザー60の液不透過性シート64の被覆材を兼ねる場合には不織布が用いられる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンボンド法、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、エアスルー法、ポイントボンド法、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
また、トップシート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、トップシート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
トップシート30の幅方向両側が脚周りギャザー60の液不透過性シート64の被覆材を兼ねない場合は、例えば図7及び図8に示す形態のように、吸収要素50と脚周りギャザー60との間を通して、吸収要素50の裏側まで回り込ませ、液の浸透を防止するために、液不透過性シート11及び脚周りギャザー60に対してホットメルト接着剤等により接着することができる。
(中間シート)
図7及び図8に示す形態のように、トップシート30の裏側に、トップシートより親水性に優れる中間シート(「セカンドシート」とも呼ばれている)40を設けることができる。この中間シート40は、吸収した液の吸収体からの逆戻り現象を防止し、トップシート30上のさらっとした肌触りを確保するためのものである。中間シート40は省略することもできる。
中間シート40としては、トップシート30と同様の素材や、スパンレース、スパンボンド、SMS、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布が嵩高であるため好ましい。エアスルー不織布には芯鞘構造の複合繊維を用いるのが好ましく、この場合芯に用いる樹脂はポリプロピレン(PP)でも良いが剛性の高いポリエステル(PET)が好ましい。目付けは20〜80g/m2が好ましく、25〜60g/m2がより好ましい。不織布の原料繊維の太さは2.2〜10dtexであるのが好ましい。不織布を嵩高にするために、原料繊維の全部又は一部の混合繊維として、芯が中央にない偏芯の繊維や中空の繊維、偏芯且つ中空の繊維を用いるのも好ましい。
図示の形態の中間シート40は、吸収体56の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の長手方向長さは、吸収体56の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
(液不透過性シート)
吸収体56の裏側に設けられる液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等からなるプラスチックフィルムを例示することができる。液不透過性シート11には、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている不透液性かつ透湿性を有する素材を用いることが好ましい。透湿性を有するプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性プラスチックフィルムが広く用いられている。
液不透過性シート11は、図3及び図4に示す形態のように、吸収体56よりも側方に延在させて、脚周りギャザー60内の液透過性フィルム64を兼ねるものとしたり、図7及び図8に示す形態のように、吸収要素50の裏側に収まる幅とする、又は吸収要素50の幅方向両側を回り込ませて吸収要素50のトップシート30側面の両側部まで延在させたりすることができる。
また、液不透過性シート11の内側、特に吸収体56側面に、液分の吸収により色が変化する排泄インジケータを設けることができる。
(吸収要素)
吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の全体を包む包装シート58とを有する。包装シート58は省略することもできる。
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。吸収体56中には高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。
吸収体56は長方形形状でも良いが、図6にも示すように、前端部、後端部及びこれらの間に位置し、前端部及び後端部と比べて幅が狭い括れ部とを有する砂時計形状をなしていると、吸収体56及び脚周りギャザー60の脚周りへのフィット性が向上するため好ましい。
また、吸収体の寸法は適宜定めることができるが、前後方向及び幅方向において、内装体の周縁部又はその近傍まで延在しているのが好ましい。なお、符号56Xは吸収体56の幅を示している。
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56には、その一部又は全部に高吸収性ポリマー粒子を含有させることができる。高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子54としては、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、例えば500μmの標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)でふるい上に残る粒子の割合が30重量%以下のものが望ましく、また、180μmの標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)でふるい上に残る粒子の割合が60重量%以上のものが望ましい。
高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量(JIS K7223−1996「高吸水性樹脂の吸水量試験方法」)が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が70秒以下、特に40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が遅すぎると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生しやすくなる。
また、高吸収性ポリマー粒子としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m2を超えると、効果が飽和する。
必要であれば、高吸収性ポリマー粒子は、吸収体56の平面方向で含有率を変化させることができる。例えば、液の排泄部位を他の部位より含有率を高くすることができる。男女差を考慮する場合、男用は前側の含有率を高め、女用は中央部の含有率を高めることができる。また、吸収体56の平面方向において局所的(例えばスポット状)にポリマーが存在しない部分を設けることもできる。
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等の液透過性素材を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMS不織布(SMS、SSMMS等)が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン複合材などを使用できる。目付けは、5〜20g/m2、特に8〜15g/m2のものが望ましい。
包装シート58の包装形態は適宜定めることができるが、製造容易性や前後端縁からの高吸収性ポリマー粒子の漏れ防止等の観点から、吸収体56の表裏面及び両側面を取り囲むように筒状に巻付け、かつその前後縁部を吸収体56の前後からはみ出させ、このはみ出し部分を表裏方向に潰してホットメルト接着剤等の接合手段により接合する形態が好ましい。
(脚周りギャザー)
脚周りギャザー60は、内装体200の吸収面の幅方向両側に沿って延在された、装着者の脚周りに向かって立ち上がる部分であり、トップシート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を遮断し、横漏れを防止するために設けられているものである。
本形態の脚周りギャザー60は、図3及び図4に示すように、幅方向内側の面を構成する内側不織布層61と、幅方向外側の面を構成する外側不織布層62と、前後方向中間における少なくとも先端部における内側不織布層61及び外側不織布層62の間に前後方向に沿って設けられたギャザー弾性伸縮部材63と、基端から基端よりも先端側の位置までの範囲にわたり、内側不織布層61及び外側不織布層62の間に挟まれた液不透過性シート64(11)とを有している。図示形態では、脚周りギャザー60における液不透過性シート64を有する部分であってかつ先端部よりも基端側の部分が、脚周りギャザー60の前後方向全体にわたり、内側不織布層61が存在せず液不透過性シート64が露出する不織布不存在部分65とされている。このように、脚周りギャザー60に内側不織布層61の無い不織布不存在部分65を設けることにより不織布使用量を削減することができる。また、脚周りギャザー60の先端部は肌に接触する部分であるため、そこを避けて不織布不存在部分65を設けることにより、液不透過性シート64が肌に接触し難くなり、肌触りの悪化を抑制することができる。
図1〜図6に示す形態において内側不織布層61をトップシート30の側部まで延在させることにより、又は図7及び図8に示す構造の脚周りギャザー60とすることにより、液不透過性シート64の全体を隠しても良い。
ギャザー弾性伸縮部材63は、脚周りギャザー60の先端部にのみ設けても良いが、図示形態のように脚周りギャザー60の先端から基端に向かう方向に間隔を空けて複数本設けられているのが好ましい。通常の場合、ギャザー弾性伸縮部材63の本数は、2〜6本が好ましく、その相互間隔60dは3〜10mmが好ましい。このように、複数本のギャザー弾性伸縮部材63を間隔を空けて設けると、その間の部分が外側に窪むため、図示形態のようにこの間隔部分にのみ不織布不存在部分65を設けると、不織布不存在部分65に露出する液不透過性シート64が窪んで肌に接触し難くなるため好ましい。この場合、図1〜図6に示す形態のように、少なくとも脚周りギャザー60の先端部及び基端部にのみそれぞれ一本又は複数本間隔を空けてギャザー弾性伸縮部材63を設け、基端部のギャザー弾性伸縮部材63と先端部のギャザー弾性伸縮部材63との間の間隔部分にのみ不織布不存在部分65を設けると特に好ましい。
脚周りギャザー60におけるギャザー弾性伸縮部材63を設ける前後方向範囲は、脚周りギャザー60の前後方向全体とすることもできるが、立ち上がり部分の前後方向範囲以下とするのが好ましい。
また、ギャザー弾性伸縮部材63は、内側不織布層61及び外側不織布層62の間に設けられる限り(このため不織布不存在部分65には設けられない)、脚周りギャザー60に内蔵される液不透過性シート64に対して図3及び図7に示す形態のように内側に設けることも、また図示しないが外側に設けることも可能である。
液透過性フィルム64を設ける範囲は、脚周りギャザー60の基端から基端よりも先端側の位置までの範囲であれば、基端から基端及び先端の中間位置までとすることもできるが、遮水性を十分に向上させるためには先端部まで設けることが望ましく、特に図3及び図4に示す形態のように先端部より若干(例えばギャザー弾性部材複数本分。具体的には5〜30mm程度)離間した位置までとし、先端部には液透過性フィルム64を内蔵させないことにより肌触りの柔軟性を確保することが好ましい。
また、不織布不存在部分65に液不透過性シート64が露出する形態では、脚周りギャザー60における前側外装体12F及び後側外装体12Bと重なる部分60Wにおいて、不織布不存在部分65に露出する液不透過性シート64が肌に押し付けられるおそれがある。しかし、図1〜図6に示す形態のように、当該部分60Wを前側外装体12F及び後側外装体12Bに固定して、前側外装体12F及び後側外装体12Bの弾性伸縮部材15,19により幅方向に収縮させると、当該部分60Wは液不透過性シート64が露出するとしても収縮皺により肌に対する接触面積は顕著に低減するため、肌触りへの影響は少ないものとなる。なお、この形態の脚周りギャザー60では、前側外装体12F及び後側外装体12Bに対する固定部分60Wの間の領域が、ギャザー弾性伸縮部材63の収縮に伴い、吸収体56の側縁を基端として図3に二点鎖線で示すように脚周りに向かって立ち上がるようになる。
脚周りギャザー60の部材構成は特に限定されず、公知の構造を採用することができる。図1〜図6に示す形態では、トップシート30を不織布からなるものとし、かつその幅方向両側を吸収体56の側縁から延び出るように構成し、また、吸収体56の裏側には不織布からなるギャザーシート66を設け、かつその幅方向両側を吸収体56の側縁から延び出るように構成し、さらに、このギャザーシート66の側端部を折り返すとともに、その折り返し部分66rの先端をトップシート30の先端から離間させるとともに、少なくとも、ギャザーシート66の折り返し部分66rの間から、トップシート30とギャザーシート66との間にかけて液不透過性シート64を設けている。そして、その結果、ギャザーシート66の折り返し部分66r以外の部分により外側不織布層62が形成されるとともに、ギャザーシート66の折り返し部分66r及びトップシート30における吸収体56の側方に延び出る部分により内側不織布層61が形成され、かつギャザーシート66の折り返し部分66rとトップシート30とが離間する部分により不織布不存在部分65が形成されている。このように、脚周りギャザー60における不織布不存在部分65より基端側の内側不織布層61をトップシート30により形成し、それ以外をギャザーシート66により形成すると、素材の切断を要さずに不織布不存在部分65を設けることができ、また、その構造も非常に簡素となり、製造も容易となる。
この場合、脚周りギャザー60の液不透過性シート64は、図3及び図4に示す形態のように、一方側の脚周りギャザー60から吸収体56の裏側を通り他方側の脚周りギャザー60まで延在されていると、脚周りギャザー60の遮水性だけでなく、吸収体56の裏側の遮水性も一体的に確保することができるため好ましいが、図7及び図8に示す形態のように脚周りギャザー60に内蔵させる液透過性フィルム64と、吸収体56の裏側を覆う液透過性フィルム11とを個別に設けることもできる。後者の場合、脚周りギャザー60に内蔵させる液透過性フィルム64の素材と、吸収体56の裏側を覆う液透過性フィルムの素材11とを同一のものとしても、また異なるものとしても良い。
同様に、ギャザーシート66も、図3及び図4に示す形態のように、一方側の脚周りギャザー60から吸収体56の裏側を通り他方側の脚周りギャザー60まで一体のシートにより形成されていると、前述の股間部カバーシートを別途設けなくてもなくても布のような外面が得られるため好ましいが、図7及び図8に示す形態のようにギャザーシート66と、股間部カバーシート12Mを個別に設けても良い。
他の脚周りギャザー60の構造として、図7及び図8に示す形態のように、内装体200の裏側に固定された取付け部分68と、この取付け部分68から内装体200の側方を回り込んで内装体200の側部表面まで延在された延在部分69と、この延在部分69の前後方向両端部が倒伏状態で内装体200の側部表面に固定されて形成された倒伏部分69Bと、延在部分における倒伏部分の間の中間部が非固定とされて形成された自由部分69Fと、この自由部分69Fの少なくとも先端部に前後方向に沿って伸長状態で固定されたギャザー弾性伸縮部材63と、を有するものも採用することができる。この脚周りギャザー60では、ギャザー弾性伸縮部材63の収縮に伴い、自由部分69Fが取付け部分68との境を基端として脚周りに向かって立ち上がるようになる。
図7及び図8に示す形態の脚周りギャザー60の延在部分69は、幅方向中央側に向かう付け根側部分と、この付け根側部分の先端から幅方向外側に折り返された先端側部分とからなるが、幅方向外側に折り返されずに、幅方向中央側に向かう部分のみからなる形態とすることもできる(図示略)。
他方、脚周りギャザー60のうち立ち上がり部分となる前後方向中間領域では、内側不織布層61と外側不織布層62との貼り合わせや、その間に挟まれるギャザー弾性伸縮部材63の固定に、種々の塗布方法によるホットメルト接着剤及びヒートシールや超音波シール等の素材溶着による固定手段の少なくとも一方を用いることができる。内側不織布層61及び外側不織布層62の全面を貼り合わせると柔軟性を損ねるため、ギャザー弾性伸縮部材63の接着部以外の部分は接着しないか弱く接着するのが好ましい。図示形態では、コームガンやシュアラップノズル等の塗布手段によりギャザー弾性伸縮部材63の外周面にのみホットメルト接着剤を塗布して内側不織布層61及び外側不織布層62間に挟むことにより、当該ギャザー弾性伸縮部材63の外周面に塗布したホットメルト接着剤のみで、内側不織布層61及び外側不織布層62への細長状弾性伸縮部材の固定と、内側不織布層61及び外側不織布層62間の固定とを行う構造となっている。
また、脚周りギャザー60のうち前後方向両側の非立ち上がり部分では、内側不織布層61と外側不織布層62との貼り合わせや、図1〜図6に示す形態の脚周りギャザー60の前側外装体12F及び後側外装体12Bへの固定、並びに図7及び図8に示す形態の脚周りギャザー60における付け根側部分及び先端側部分の固定及びその内装体200の側部表面への固定に、種々の塗布方法によるホットメルト接着剤、及びヒートシールや超音波シール等の素材溶着による固定手段67の少なくとも一方を用いることができる。図示形態では、ホットメルト接着剤と素材溶着による固定手段67を組み合わせているが、いずれか一方の手段のみで、これらの固定を行うこともできる。
脚周りギャザー60の寸法は適宜定めることができるが、乳幼児用紙おむつの場合は、脚周りギャザー60の起立高さ(展開状態における先端と基端との幅方向間隔)は15〜60mm、特に20〜40mmであるのが好ましい。
上記各形態において、内側不織布層61及び外側不織布層62としてはスパンボンド不織布(SS、SSS等)やSMS不織布(SMS、SSMMS等)、メルトブロー不織布等の柔軟で均一性・隠蔽性に優れた不織布に、必要に応じてシリコンなどにより撥水処理を施したものを好適に用いることができ、繊維目付けは10〜30g/m2程度とするのが好ましい。図3及び図4に示す形態では、不織布不存在部分65より基端側の内側不織布層61がトップシート30により形成されていることからも分かるように、内側不織布層61及び外側不織布層62の素材を部分的に異ならしめることも可能であり、また内側不織布層61及び外側不織布層62の素材を異ならしめることも可能である。
上記各形態において、ギャザー弾性伸縮部材63としては糸状のゴム、帯状のゴム等の細長状弾性伸縮部材を用いることができる。糸ゴムを用いる場合は、太さは470〜1240dtexが好ましく、620〜940dtexがより好ましい。固定時の伸長率は、150〜350%が好ましく、200〜300%がより好ましい。
上記各形態は脚周りギャザー60を左右各一列設けるものであるが、複数列設けることもできる。
<評価試験>
下記例1及び例2のサンプルを作製し、30名の被験者によりどちらが自然長状態での手触りが柔軟であるかを評価した。
(例1)
ポリピロピレン繊維のスパンボンド不織布(繊度2.2dtex、目付け15g/m2)をMD方向100mm×CD方向100mmの寸法で2枚用意した。一方のシート層におけるMD方向の両端部上に10g/m2の塗布量でホットメルト接着剤を塗布するとともに、その上に、270%の伸長率に伸長した太さ470dtexの糸ゴムをCD方向に5mmの間隔19dを空けて平行に配置し、更にその上に他方のシート層をMD方向及びCD方向を合わせて重ねた後、隣接する弾性伸縮部材の間の部位でMD方向に実質的に連続するパターン(図12に示されるパターン)で超音波シールを行い、2枚のシート層を接合し、MD方向を伸縮方向とし、かつCD方向を伸縮方向に直交する直交方向とする伸縮シートサンプルを作製した。シート接合部の寸法、間隔は以下のとおりとした。
・シート接合部の伸縮方向最大長さ20x:1.57mm
・シート接合部の直交方向最大長さ20y:0.70mm
・シート接合部の伸縮方向間隔20t:1.23mm(シート接合部の伸縮方向最大長さ20xの0.78倍)
・シート接合部の直交方向間隔20d:0.70mm(シート接合部の直交方向最大長さ20yの1.0倍)
・シート接合部の伸縮方向重なり幅20w:0.17mm(シート接合部の直交方向間隔20dの0.24倍)
・自由部間領域におけるシート接合部を有する領域の直交方向長さ20z:1.25mm
・隣接する自由部間領域におけるシート接合部の直交方向間隔20s:6.75mm
(例2)
超音波シールのパターンを図17に示されるパターンとした以外は例1と同様とし、シート接合部20の寸法、間隔は以下のとおりとした。
・個々のシート接合部の寸法(伸縮方向20x×直交方向20y):0.8mm×5.0mm
・シート接合部の伸縮方向間隔20r:8.0mm
・シート接合部の直交方向間隔20v:3.0mm
(評価結果)
例1の方が例2よりも柔軟であると感じた被験者数は30名中30名であった。
<その他>
(a)2枚のシート層12S,12Hの素材は適宜定めることができるが、伸縮方向の剛軟度が、伸縮方向と直交する方向の剛軟度よりも高いと、襞80の頂部が緩やかに曲がりやすくなるため好ましい。
(b)図示形態のように、前後方向に隣接する弾性伸縮部材19の間の部位の各々に、シート接合部20が形成されていると好ましいが、複数本置きにシート接合部20が形成されていても良い。つまり、前後方向に隣接するシート接合部20間には弾性伸縮部材19を一本のみ配置することが望ましいが、複数本配置しても良い。
(c)前後方向に隣接する弾性伸縮部材19の間に設けられるシート接合部20の本数(実質的に連続する部分を一本とする)は、図示形態のように一本とする他、図13に示すように複数本とすることもできる。
(d)図示形態では、外装体12F,12Bの幅方向の伸縮構造の全体に本発明を適用しているが、一部のみ本発明を適用し、残り(例えばウエスト部のみ)については、弾性伸縮部材19の幅方向全体にわたり弾性伸縮部材19の外周面にのみホットメルト接着剤を塗布して2枚のシート層12S,12H間に固定する等、公知の伸縮構造とすることができる。また、前側外装体12F及び後側外装体12Bのいずれか一方のみ本発明を適用することもできる。
<明細書中の用語の説明>
明細書中で以下の用語が使用される場合、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
・「前後(縦)方向」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味する。
・「展開状態」とは、収縮や弛み無く平坦に展開した状態を意味する。
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。
・「人口尿」は、尿素:20wt%、食塩:8wt%、塩化カルシウム二水和物:0.3wt%、酸化マグネシウム七水和物:0.8wt%、及び純水:70.01wt%を混合したものであり、特に記載の無い限り、温度40度で使用される。
・「ゲル強度」は次のようにして測定されるものである。人工尿49.0gに、高吸収性ポリマーを1.0g加え、スターラーで攪拌させる。生成したゲルを40℃×60%RHの恒温恒湿槽内に3時間放置したあと常温にもどし、カードメーター(I.techno Engineering社製:Curdmeter−MAX ME−500)でゲル強度を測定する。
・「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度20±5℃、相対湿度65%以下)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を相対湿度10〜25%、温度50℃を超えない環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から米坪板(200mm×250mm、±2mm)を使用し、200mm×250mm(±2mm)の寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、20倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
・「厚み」は、自動厚み測定器(KES−G5 ハンディー圧縮試験機)を用い、荷重:10gf/cm2、及び加圧面積:2cm2の条件下で自動測定する。
・吸水量は、JIS K7223−1996「高吸水性樹脂の吸水量試験方法」によって測定する。
・「吸水速度」は、2gの高吸収性ポリマー及び50gの生理食塩水を使用して、JIS K7224‐1996「高吸水性樹脂の吸水速度試験法」を行ったときの「終点までの時間」とする。
・「剛軟度」は、JIS L 1096:2010「織物及び編物の生地試験方法」の「8.21.1 A法(45°カンチレバー法)」を意味する。
・試験や測定における環境条件についての記載が無い場合、その試験や測定は、標準状態(試験場所は、温度20±5℃、相対湿度65%以下)の試験室又は装置内で行うものとする。
・各部の寸法は、特に記載が無い限り、自然長状態ではなく展開状態における寸法を意味する。
本発明は、上記例のようなパンツタイプ使い捨ておむつに適用できるものである。
11…液不透過性シート、12B…後側外装体、12F,12B…外装体、12F…前側外装体、12H…内側シート層、12S,12H…2枚のシート層、12S…外側シート層、13…サイドシール部、13A…第1領域、13B…第2領域、13d…間隔拡大部分、13n…無溶着部、13s…溶着部、15,18…ウエスト下方部弾性伸縮部材、16…カバー部弾性伸縮部材、17…ウエスト部弾性伸縮部材、19…弾性伸縮部材、19f…固定端部、19m…自由部、20…シート接合部、21…無シート接合領域、30…トップシート、40…中間シート、50…吸収要素、56…吸収体、58…包装シート、60…脚周りギャザー、61…内側不織布層、62…外側不織布層、63…ギャザー弾性伸縮部材、64…液不透過性シート、65…不織布不存在部分、66…ギャザーシート、66r…折り返し部分、70…不要弾性伸縮部材、80…襞、200…内装体、201…内外固定部、A1…非伸縮領域、A2…間欠伸縮領域、A3…連続伸縮領域、FA…自由部間領域。
本発明は、パンツタイプ使い捨ておむつに関するものである。
パンツタイプ使い捨ておむつは、前身頃及び後身頃を個別又は一体的に構成する外装体と、前身頃から後身頃にわたるように外装体の内面に対して取り付けられた、吸収体を含む内装体とを備え、前身頃の外装体の両側縁部と後身頃の外装体の両側縁部とが接合されてサイドシール部が形成され、ウエスト開口及び左右一対の脚開口が形成されているものが一般的である(特許文献2〜6参照)。サイドシール部は、素材溶着(超音波シールやヒートシール)により形成されることが一般的である。
このようなパンツタイプ使い捨ておむつでは、身体へのフィット性を向上させるために、外装体を複数のシート層を有する積層構造とするとともに、そのシート層間に糸ゴム等の細長状弾性伸縮部材を伸長状態で取り付けることにより、幅方向の伸縮構造を形成することが行われており、中でも、サイドシール部と対応する前後方向範囲として定まる胴周り領域や、前後の胴周り領域の間に位置する中間領域に、幅方向に沿う細長状弾性伸縮部材が前後方向に間隔を空けてそれぞれ幅方向に伸長された状態で取り付けられているものは、身体に対するフィット性が比較的に高いものとなっている。
このような伸縮構造においては、シート層に対する弾性伸縮部材の固定やシート層相互の固定のための手段が柔軟性やコストに影響するため、固定面積を減少させる構造が提案されている。代表的なものとしては、図17に示すように、2枚のシート層12H,12Sを幅方向及び前後方向に間欠的に接合することにより多数のシート接合部20を形成し、2枚のシート層12H,12S間に、シート接合部20を通らないように(非接合部を通るように)細長状の弾性伸縮部材19を多数配置し、これら弾性伸縮部材19の両端部のみ両シート層12H,12Sに固定する伸縮構造(特許文献1参照。)が提案されている。この先行技術の伸縮構造では、シート接合部20が前後方向に整列する部分が前後方向に連続する溝となり、その溝間の部分では2枚のシート層が互いに反対向きに(表裏両側に)同程度に膨出して襞80を形成し、全体として蛇腹状の構造となる。そして、ある程度伸長した状態では、襞80は伸縮方向に膨らんだ形状となるが、自然長状態では、伸縮方向に薄い襞が伸縮方向と直交する方向に連続し、その襞の先端が小さな曲率半径で屈曲して素材の折り目を形成するとともに、この折目を有する襞が同じ高さで近接して整列した状態となるものである。シート接合部20はホットメルト接着剤を用いて形成することもできるが、資材コストを削減する目的で、シート層12H,12Sの溶着(超音波シールやヒートシール)を用いることが多くなってきている。
しかし、上記先行技術の伸縮構造は、弾性伸縮部材の収縮に伴い2枚のシート層が最も収縮した自然長状態で手触りが硬く、使用者が製品を手に持ったときに硬い感じがするという問題点があった。自然長状態での手触りは使用者の商品選択に影響するため、改善が強く望まれるところである。
この問題点を解決するものとして、伸縮方向と直交方向に隣接する弾性伸縮部材の自由部の間の領域でシート接合部を幅方向に連続させると、自然長状態での手触りが柔軟になるとの知見が得られている。この知見は、シート接合部の連続性が高まるほど、つまりシート接合部が密集するほど硬くなるという従来の一般的な認識からは考えられないことであった。実際に、この実験ではシート接合部を2枚のシート材の溶着により形成しており、溶着した部分のみを見れば溶着していない部分と比べて硬質になっていた。しかし、自然長状態で形成される波状の表面を手で持つと、とても柔軟に感じるのである。この理由については後に詳述する。
他方、このようなパンツタイプ使い捨ておむつにおいては、排泄後などにおいておむつを脱がす際、サイドシール部において前身頃の外装体の両側縁部と後身頃の外装体の両側縁部との接合を引き剥がし、身体から取り除くことが行われる。このため、サイドシール部には、装着中に破れないようなシール強度だけでなく、使用後の引き剥がしやすさも求められている。
特開2005−080859号公報
特開2010−115424号公報
特開2010−119577号公報
特開2000−316898号公報
特開2003−038573号公報
特開2002−369842号公報
しかし、シート接合部は溶着部分であるため他の部分と比較して周縁が破断しやすい部分であり、このようなシート接合部がサイドシール部に隣接する伸縮領域において幅方向に実質的に連続していると、ミシン目のような破断しやすい部分が幅方向に沿って設けられている状態に近くなり、図25に矢印で示すようにサイドシール部13を剥がす途中で、サイドシール部13の溶着が剥がれずに、前身頃の外装体12F及び後身頃の外装体12Bの少なくとも一方(図示例では前身頃の外装体12F)におけるシート接合部に沿って幅方向中央側に向かって裂ける(以下、横裂けともいう)おそれがある。
そこで、本発明の主たる課題は、シート接合部に起因するサイドシール部の横裂けを防止することにある。
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
前身頃及び後身頃を個別又は一体的に構成する外装体と、
前身頃の外装体から後身頃の外装体にかけて幅方向中間部に設けられた、吸収体を含む内装体と、
前記前身頃の外装体の両側部と前記後身頃の外装体の両側部とが、縦方向に間欠的かつ規則的パターンで設けられた溶着部を介してそれぞれ接合されたサイドシール部と、
ウエスト開口及び左右一対の脚開口とを有しており、
前記外装体は、前記サイドシール部の幅方向中央側に隣接する伸縮領域を有しており、
前記伸縮領域は、幅方向及び前後方向に延びる2枚のシート層と、これらシート層の間に前記前後方向に間隔を空けて配置された、幅方向に沿って延びる複数本の細長状の弾性伸縮部材とを有し、
前記弾性伸縮部材は、幅方向の両端部が前記2枚のシート層に固定された固定端部と、これら固定端部の間の部分であってかつ前記2枚のシート層に非固定とされた自由部とを有しており、
前後方向に隣接する前記自由部の間の領域として定まる自由部間領域で、前記2枚のシート層が溶着されたシート接合部を有している、
パンツタイプ使い捨ておむつにおいて;
少なくとも前記自由部間領域では、前記シート接合部が幅方向に実質的に連続されており、
前記サイドシール部を幅方向に二等分し、その幅方向中央側を第1領域とし、幅方向外側を第2領域としたとき、前記第1領域及び第2領域のそれぞれに、前記溶着部が縦方向に間欠的かつ規則的パターンで設けられており、
前記第1領域に占める前記溶着部の面積率が前記第2領域に占める前記溶着部の面積率よりも低く、前記第1領域の剥離強度が前記第2領域の剥離強度よりも低い、
ことを特徴とするパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
サイドシール部を剥がすときの剥離の進行方向は、当初は幅方向外側に向かうのであるが、剥離が進むにつれて縦方向に近づいていき、外装体に幅方向に沿う断裂が発生しやすい状況となる。この際、サイドシール部が幅方向中央側でも幅方向外側でも剥離力が同じであると、外装体の側部を側縁から幅方向中央側に向かって引き裂くような力が加わりやすく、シート接合部が幅方向に実質的に連続していると横裂けが発生やすくなる。これに対して、上述のように、サイドシール部を幅方向に二等分した第1領域及び第2領域のそれぞれに、溶着部が縦方向に間欠的かつ規則的パターンで設けられ、第1領域の剥離強度が前記第2領域の剥離強度よりも低いと、剥離の方向が幅方向外側に向かいやすく、その結果として外装体の側部に側縁から幅方向中央側に向かって引き裂くような力が発生しにくくなるため、シート接合部が幅方向に実質的に連続していても横裂けは発生しにくくなる。
なお、シート接合部が「伸縮方向に実質的に連続」しているとは、少なくとも伸縮方向と直交する方向(展開状態で2枚のシート層に平行で、かつ弾性伸縮部材と直交する方向)から見て連続する(途切れなく続く)ことを意味し、その限りにおいて、シート接合部が伸縮方向に連続する(2枚のシート層が伸縮方向に連続的に接合されている)形態だけでなく、シート接合部が伸縮方向に間欠的に配置される(2枚のシート層が伸縮方向に間欠的に接合されている)形態も含む意味である。また、剥離強度は、特開平5−317356号公報の段落[0011]記載の方法において、試験片の幅を25mmとして行い、第1領域が剥離し終えるまでの引張力の最大値を第1領域の剥離強度とし、第2領域が剥離し終えるまでの引張力の最大値を第2領域の剥離強度とするものである。
また、第1領域及び第2領域の剥離強度の違いは溶着の程度の違い等によって形成するのではなく、このように面積率によって形成することが望ましい。なお、第1領域及び第2領域における溶着部の面積率は、溶着部の総面積を各領域の面積で除して求まるものである。
<請求項2記載の発明>
前記第1領域及び第2領域には、点状の溶着部が縦方向に間隔を空けて並ぶ溶着部の列が一列又は複数列設けられており、
前記第2領域よりも前記第1領域の方が、前記溶着部の数が少ない、前記溶着部の面積が小さい、又はその両方である、請求項1記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
サイドシール部の溶着部を点状とすると、柔軟性に富むため好ましい。
<請求項3記載の発明>
前記第1領域から前記第2領域にわたり幅方向に細長く連続する溶着部が縦方向に間隔を空けて配列されており、前記溶着部は前記第2領域に位置する部分よりも前記第1領域に位置する部分の方が、縦方向の幅が狭い四角形状である、請求項1記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
このような幅方向に細長く連続する溶着部を用いることもできる。
<請求項4記載の発明>
前記第1領域の最も幅方向中央側における前記溶着部の縦方向間隔が、前記自由部間領域におけるシート接合部の形成領域の縦方向の幅よりも大きい、請求項1〜3のいずれか1項に記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
このように、第1領域の最も幅方向中央側における溶着部の縦方向間隔を、シート接合部の形成領域の縦方向の幅に対して大きくすることにより、第1領域におけるサイドシール部の溶着部とシート接合部との連続性が無くなる、又は乏しくなるため、横裂けしにくくなる。
<請求項5記載の発明>
前記シート接合部又はそれを仮想的に幅方向外側に延長した延長部分が、少なくとも前記第1領域で縦方向に隣接する前記溶着部の間の縦方向中間に位置されている、請求項4記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
このような配置とすることにより、第1領域におけるサイドシール部の溶着部とシート接合部との連続性が無くなるため、横裂けしにくくなる。
<請求項6記載の発明>
前記シート接合部は前記サイドシール部まで実質的に連続されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
シート接合部がサイドシール部まで実質的に連続されていると、横裂けが発生しやすいため、本発明はこのような横裂けの対策として好適である。
<請求項7記載の発明>
前記シート接合部の前記サイドシール部側の端部は前記サイドシール部から離間している、請求項1〜6のいずれか1項に記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
このようにシート接合部のサイドシール部側の端部がサイドシール部から離間していると、サイドシール部を剥がす際に、サイドシール部とシート接合部との交差位置を起点とした横裂けを効果的に防止することができる。
<請求項8記載の発明>
前記シート接合部は、前記サイドシール部側に位置する前記固定端部の幅方向中間位置まで幅方向に実質的に連続している、請求項7記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
弾性伸縮部材の固定端部は、2枚のシート層を接合する機能も有するため、この幅方向位置まで弾性伸縮部材間のシート接合部が確実に連続していれば、伸縮領域の幅方向全体にわたり2枚のシート層が接合されていることになり、伸縮領域の全体にわたり前述の柔軟な襞が形成される。
以上のとおり、本発明によれば、シート接合部に起因するサイドシール部の横裂けを防止できる等の利点がもたらされる。
パンツタイプ使い捨ておむつの内面を示す、展開状態の平面図である。
パンツタイプ使い捨ておむつの外面を示す、展開状態の平面図である。
図1の3−3断面図である。
図1の4−4断面図である。
図1の5−5断面図である。
パンツタイプ使い捨ておむつの斜視図である。
図1の3−3断面に相当する内装体の断面図である。
図1の4−4断面に相当する内装体の断面図である。
パンツタイプ使い捨ておむつの外面を示す、展開状態の平面図である。
図9の6−6断面に相当する断面図である。
外装体の展開状態の要部拡大平面図である。
外装体の展開状態の要部拡大平面図である。
外装体の展開状態の要部拡大平面図である。
外装体の展開状態の要部拡大平面図である。
(a)外装体の展開状態の要部拡大平面図、(b)外装体の展開状態の7−7断面図である。
(a)外装体の自然長状態の8−8断面図、(b)外装体の自然長状態の9−9断面図、(c)外装体の自然長状態の10−10断面図、(d)外装体の自然長状態の7−7断面図である。
(a)外装体の展開状態の要部拡大平面図、(b)外装体の自然長状態の8−8断面図、(c)外装体の自然長状態の10−10断面図、(d)外装体の自然長状態の7−7断面図である。
パンツタイプ使い捨ておむつの斜視図である。
切断装置の斜視図である。
外装体の非伸縮領域及び伸縮領域の拡大平面図である。
外装体の展開状態の要部拡大平面図である。
外装体の展開状態の要部拡大平面図である。
展開状態におけるサイドシール部分の要部拡大図である。
図23の要部拡大図である。
展開状態におけるサイドシール部分の要部拡大図である。
図25の要部拡大図である。
展開状態におけるサイドシール部分の要部拡大図である。
図27の要部拡大図である。
展開状態におけるサイドシール部分の要部拡大図である。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ詳説する。
図1〜図6は、パンツタイプ使い捨ておむつの一例を示している。断面図における点模様部分はその表側及び裏側に位置する各構成部材を接合する接合手段としての接着剤を示しており、ホットメルト接着剤などのベタ、ビード、カーテン、サミット若しくはスパイラル塗布などにより、また弾性伸縮部材の固定部分はこれに代えて又はこれとともにコームガンやシュアラップ塗布などの弾性伸縮部材の外周面への塗布により形成されるものである。各構成部材を接合する接合手段としてはヒートシールや超音波シール等の素材溶着による固定手段を用いることもできる。
本形態のパンツタイプ使い捨ておむつは、前身頃F及び後身頃Bを構成する外装体12F,12Bと、前身頃Fから股間部を経て後身頃Bまで延在するように外装体12F,12Bの内側に設けられた内装体200とを備えており、前身頃Fの外装体12Fの両側部と後身頃Bの外装体12Bの両側部とが溶着により接合されてサイドシール部13が形成されたものである。符号Yは展開状態におけるおむつの全長(前身頃Fのウエスト開口WOの縁から後身頃Bのウエスト開口WOの縁までの縦方向長さ)を示しており、符号Xは展開状態におけるおむつの全幅を示している。
内装体200は、尿等の排泄物を吸収保持する部分であり、外装体12は着用者の身体に対して内装体200を支えるための部分である。本形態では、外装体12F,12Bの上部開口は、装着者の胴を通すウエスト開口WOとなり、内装体200の幅方向両側において外装体12F,12Bの下縁及び内装体200の側縁によりそれぞれ囲まれる部分が脚を通す脚開口LOとなる。
また、本形態のパンツタイプ使い捨ておむつは、サイドシール部13を有する縦方向範囲(ウエスト開口WOから脚開口LOの上端に至る縦方向範囲)として定まる胴周り領域Tと、脚開口LOを形成する部分の前後方向範囲(前身頃Fのサイドシール部13を有する縦方向領域と後身頃Bのサイドシール部13を有する縦方向領域との間)として定まる中間領域Lとを有する。胴周り領域Tは、概念的にウエスト開口の縁部を形成する「ウエスト部」Wと、これよりも下側の部分である「ウエスト下方部」Uとに分けることができる。通常、胴周り領域T内に幅方向伸縮応力が変化する境界(例えば弾性伸縮部材の太さや伸長率が変化する)を有する場合は、最もウエスト開口WO側の境界よりもウエスト開口WO側がウエスト部Wとなり、このような境界が無い場合は吸収体56又は内装体200よりもウエスト開口WO側がウエスト部Wとなる。これらの縦方向の長さは、製品のサイズによって異なり、適宜定めることができるが、一例を挙げると、ウエスト部Wは15〜40mm、ウエスト下方部Uは65〜120mmとすることができる。一方、中間領域Lの両側縁は被着者の脚周りに沿うようにコ字状又は曲線状に括れており、ここが装着者の脚を入れる部位となる。この結果、展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつは、全体として略砂時計形状をなしている。
(外装体)
外装体12F,12Bは、前身頃Fを構成する部分である前側外装体12Fと、後身頃Bを構成する部分である後側外装体12Bとからなり、前側外装体12F及び後側外装体12Bは脚側で連続しておらず、離間されている。この離間距離12dは150〜250mm程度とすることができる。図示しないが、この離間部分における内装体200の裏面の露出部分の一部(例えば前側外装体12Fと後側外装体12Bとの間に露出する部分の前後方向全体にわたるが、内装体200の前後端まで延びず、また幅方向両側縁も内装体200の両側縁までは達しない程度)又は全体を覆うように、不織布等からなる股間部カバーシートを貼り付けることもできる。また、図9及び図10に示すように、外装体12が、前身頃Fから後身頃Bにかけて股間を通り連続する一体的なものとすることもできる。つまり、前身頃F及び後身頃Bを個別に構成する外装体12F,12Bが前者の形態に相当し、前身頃F及び後身頃Bを一体的に構成する外装体12が後者の形態に相当する。
外装体12F,12Bは、胴周り領域Tと対応する縦方向範囲である胴周り部を有する。また、本形態では、前側外装体12Fには中間領域Lと対応する部分を有していないが、後側外装体12Bは胴周り領域Tから中間領域L側に延び出る臀部カバー部14を有している。図示しないが、前側外装体12Fにも胴周り領域Tから中間領域L側に延び出る鼠蹊カバー部を設けたり、鼠径カバー部は設けるものの臀部カバー部は設けない形態としたり、前側外装体12F及び後側外装体12Bの両方に中間領域Lと対応する部分を設けなくても良い。また、図示形態では、臀部カバー部14の下縁は、前側外装体12Fの下縁と同様、幅方向に沿う直線状に形成しているが、幅方向外側に向かうにつれてウエスト開口側に位置するようになる曲線とすることもできる。
外装体12F,12Bは、図2〜図5に示されるように、外側シート層12S及び内側シート層12Hにより表裏が形成されている。外側シート層12S及び内側シート層12Hは、図5に示すように、一枚のシート材をウエスト開口側に折目が位置するように折り畳んで形成する他、図27に示すように、二枚のシート材を貼り合わせて形成することもできる。また、この図27に示す例のウエスト部Wとウエスト下方部Uとの違いからも分かるように、外側シート層12S及び内側シート層12Hの少なくとも一方は、その一部が他の部分と異なるシート材により形成されていても良い。
外側シート層12S及び内側シート層12Hに用いるシート材としては、溶着により接合可能なシート状素材であれば特に限定無く使用できるが、不織布であるのが好ましい。不織布は、その原料繊維が何であるかは特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。ただし、シート接合部20を溶着にて形成する場合には、オレフィン系繊維からなる不織布が好適である。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。特に、柔軟性の観点からは、ポリピロピレン繊維のスパンボンド不織布が、外側シート層12S及び内側シート層12Hに好適である。もちろん、外側シート層12S及び内側シート層12Hに用いるシート材としては、互いに異なるものを使用することができる。
不織布を用いる場合、繊度は1〜3dtex程度とするのが好ましく、目付けは10〜30g/m2程度とするのが好ましい。よって、外装体12F,12Bに用いる不織布の総目付けは20〜60g/m2程度であるのが好ましい。また、KES法(Kawabata's Evaluation System for Fabrics)に基づく不織布の平均表面摩擦係数MIUは0.30以下、特に0.05〜0.20(MDとCDの両方)とし、表面摩擦係数の変動偏差MMDは0.01以下、特に0.003〜0.008(MDとCDの両方)、且つ荷重0.5g/cm2時の厚みが0.05〜0.25mm、特に0.10〜0.20mmであるのが好ましい。MIU及びMMDはカトーテック株式会社製の摩擦感テスターKES−SEにより測定することができる。
そして、外装体12F,12Bには、吸収体56よりもウエスト開口側に幅方向に連続する連続伸縮領域A3を有するとともに、吸収体56を有する前後方向範囲に、幅方向中間に設けられた非伸縮領域A1と、この非伸縮領域A1の幅方向両側に設けられた間欠伸縮領域A2とを有しており、連続伸縮領域A3及び間欠伸縮領域A2における外側シート層12S及び内側シート層12H間には、糸ゴム等の細長状弾性伸縮部材19(15〜18)が幅方向に沿って所定の伸長率で取り付けられて、幅方向に伸縮可能(幅方向が伸縮方向)とされている。細長状弾性伸縮部材19としては、合成ゴムを用いても、天然ゴムを用いても良い。図示形態における非伸縮領域A1及び間欠伸縮領域を有する前後方向範囲の一部又は全部について、幅方向全体にわたり連続伸縮領域A3としたり、図示形態における非伸縮領域A1の前後方向範囲をウエスト側又は股間側に拡大したりしても良い。
図示形態についてより詳細に説明すると、先ず、外装体12F,12Bのウエスト部Wにおける外側シート層12S及び内側シート層12H間には、幅方向全体にわたり連続するように、複数のウエスト部弾性伸縮部材17が前後方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で取り付けられている。ウエスト部弾性伸縮部材17のうち、ウエスト下方部Uに隣接する領域に配設される1本または複数本については、内装体200と重なっていてもよいし、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けてもよい。ウエスト部弾性伸縮部材17としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、5〜20mm、特に8〜16mmの間隔で3〜22本程度、それぞれ伸長率150〜400%、特に220〜320%程度で取り付けるのが好ましい。また、ウエスト部弾性伸縮部材17は、その全てを同じ太さと伸長率にする必要はなく、例えばウエスト部Wの上部と下部で弾性伸縮部材の太さと伸長率が異なるようにしてもよい。
また、外装体12F,12Bのウエスト下方部Uにおける外側シート層12S及び内側シート層12H間には、非伸縮領域A1を除いて、その上側及び幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、細長状弾性伸縮部材からなるウエスト下方部弾性伸縮部材15,18が複数本、前後方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で取り付けられている。ウエスト下方部弾性伸縮部材15,18としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、5〜20mm、特に8〜16mmの間隔で5〜30本程度、それぞれ伸長率200〜350%、特に240〜300%程度で取り付けるのが好ましい。
また、後側外装体12Bの臀部カバー部14における外側シート層12S及び内側シート層12H間には、非伸縮領域A1を除いて、その幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、細長状弾性伸縮部材からなるカバー部弾性伸縮部材16が複数本、前後方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で取り付けられている。カバー部弾性伸縮部材16としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、5〜20mm、特に8〜16mmの間隔で2〜10本程度、それぞれ伸長率150〜300%、特に180〜260%で取り付けるのが好ましい。前側外装体12Fに鼠径カバー部を設ける場合には同様にカバー部弾性伸縮部材を設けることができる。
なお、図示形態の間欠伸縮領域A2のように、外装体12F,12Bに設けられる弾性伸縮部材19(図示形態ではウエスト下方部弾性伸縮部材15,18及びカバー部弾性伸縮部材16)が、非伸縮領域A1を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けられていると、当該非伸縮領域A1において吸収体56の幅方向収縮が防止される。よって、非伸縮領域A1は、吸収体56と幅方向に重なる部分の一部又は全部を含む幅方向中間(好ましくは内外固定部201の全体を含む)の領域とされ、その幅方向両側におけるサイドシール部13までの幅方向全体が間欠伸縮領域A2とされることが好ましい。
(弾性伸縮部材の固定部)
図2、図9及び図11〜図14等に示すように、連続伸縮領域A3及び間欠伸縮領域A2における弾性伸縮部材19は、その幅方向両端部が外側シート層12S及び内側シート層12Hに固定されてなる固定端部19fとされるとともに、これら固定端部19fの間の部分は外側シート層12S及び内側シート層12Hに非固定の自由部19mとされている。この弾性伸縮部材19の自由部19mは、幅方向に自由に伸縮し、かつ後述するシート接合部20の間の空間内で前後方向(伸縮方向と直交する方向)に自由に移動可能とされている。つまり、図示形態のように、外装体12F,12Bにおける内装体200と重なる部分の一部又は全部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けられている弾性伸縮部材19の場合には、幅方向両側の各弾性伸縮部材19の両端部が固定端部19fとされ、外装体12F,12Bの幅方向全体にわたり連続する弾性伸縮部材19の場合には、弾性伸縮部材19における外装体12F,12Bの幅方向両端部に位置する部分が固定端部19fとされる。このように、2枚のシート層12S,12Hに対する弾性伸縮部材19の自由度が高いと、伸縮力のロスが少なく、シート層12S,12Hの剛性にムラがあっても(例えばシート層12S,12Hが不織布の場合に不織布の繊維密度にムラがあっても)自然に収縮させることが可能であり、弾性伸縮部材19の使用量を従来より減らすことも可能となる。
固定端部19fは、弾性伸縮部材19が外側シート層12S及び内側シート層12Hに固定される限り、その固定手段は限定されるものではなく、公知のあらゆる手段を用いることができるが、ホットメルト接着剤を用いるのが好ましい。ホットメルト接着剤を用いる場合、図2、図9、図11及び図14に示すように各弾性伸縮部材19の端部の部位にのみ塗布する他、図12及び図13に示すように複数の弾性伸縮部材19の端部にわたるように前後方向に連続する塗布パターンで塗布することもできる。特に後者の場合、サイドシール部13の前後方向範囲全体にわたるようにホットメルト接着剤を連続させると、サイドシール部13の幅方向中央側に高強度の部分が連続的に形成され、横裂け防止効果に優れるようになる。
固定端部19fを固定するためのホットメルト接着剤は、外側シート層12S及び内側シート層12Hの少なくとも一方に対して塗布する他、各弾性伸縮部材19の端部の部位にのみ塗布する場合には、コームガンやシュアラップノズル等の塗布手段により弾性伸縮部材19の両端部となる部分の外周面にのみホットメルト接着剤を塗布しても良い。
サイドシール部13側に位置する固定端部19fは、図示形態のようにサイドシール部13に隣接していることが望ましいが、サイドシール部13から幅方向中央側に離間させることもできる。
(伸縮領域におけるシート接合部)
図2、図5及び図11に示すように、前後方向に隣接する弾性伸縮部材19の自由部19mの間の領域として定まる自由部間領域FA(図11のハッチングを付した領域。他の図では省略。)の各々では、外側シート層12S及び内側シート層12Hが接合されることによりシート接合部20が形成されている。
シート接合部20は、図15及び図16に示すように、超音波シールやヒートシールのように外側シート層12S及び内側シート層12Hの溶着により形成された溶着部分である。溶着によってシート接合部20を形成する場合は、複雑なパターン形成も容易である(意匠性も訴求できる)点に優れるが、接合部20に沿ってシートが破れやすくなる可能性がある。
各自由部間領域FAにおけるシート接合部20を有する領域の前後方向の長さ20zは、前後方向に隣接する固定端部19fの前後方向間隔19d(すなわち弾性伸縮部材19の前後方向間隔)の5〜100%とすることができ、特に5〜50%とすることが好ましく、具体的な長さとしては0.5〜10mmとすることが好ましい。
また、伸縮領域A2,A3の展開状態で、各自由部間領域FAにおける前後方向の両端部に、シート接合部20を有しない無シート接合領域21が幅方向に連続していると、弾性伸縮部材19の自由部19mが、シート接合部20を有する領域までは前後方向(伸縮方向と直交する方向)に自由に移動可能となり、フィット性に優れた伸縮構造となるため好ましい。つまり、図11〜図14等に示すように、展開状態では、弾性伸縮部材19及びシート接合部20はその幅方向全体にわたり前後方向に離間されるが、弾性伸縮部材19は隣接するシート接合部20間で前後方向に移動可能であるため、通常の装着状態や自然長状態では弾性伸縮部材19の中間の一部は前後方向に移動しシート接合部20に接触することもありうる。無シート接合領域21の前後方向長さは適宜定めることができるが、前後方向に隣接する固定端部19fの前後方向間隔19dの10〜49%、特に25〜49%とすることが好ましく、具体的な長さとしては2〜12mm、特に4〜9mmとすることが好ましい。
シート接合部20のパターンは、2枚のシート層12S,12Hが収縮状態で互いに沿うような波状をなすためには2枚のシート層12S,12Hの一体性がある程度以上確保されていることが必要である。例えば、図17に示す従来形態のように、シート接合部20の無い部分が伸縮方向と直交する方向(図示形態では前後方向)に連続すると、そのシート接合部20の無い部分において2枚のシート層12S,12Hが互いに離れるように膨らむのに対して、2枚のシート層12S,12Hの全体が一体であれば、互いに沿うような波状になるほかない。
このような観点から、シート接合部20の好ましいパターンは、図11〜図14、図21〜図22に示すように、自由部間領域FAでシート接合部20が幅方向に実質的に連続されている(換言すると自由部間領域FAの幅方向全体にわたり実質的に連続線状又は連続帯状をなしている)形態である。シート接合部20が幅方向に実質的に連続する部分は、幅方向外側においてサイドシール部13まで連続していても、また外装体12F,12Bの幅方向全体にわたっていても良いが、自由部間領域FA以外であれば部分的又は全体的にシート接合部20が形成されていなくても良い。
例えば、図21に示すように、実質的に連続するシート接合部20のサイドシール部13側の端部が符号13xで示すようにサイドシール部13から離間されており、その結果としてサイドシール部13側の端部に、サイドシール部13から突出するシート接合部20を有しない形態とすることもできる。このようにシート接合部20のサイドシール部13側の端部がサイドシール部13から離間していると、サイドシール部13を剥がす際に、サイドシール部13とシート接合部20との交差位置を起点とした横裂けを効果的に防止することができる。シート接合部20と、サイドシール部13との離間距離13xは適宜定めれば良いが、通常の場合、2〜10mm程度とすることが望ましい。この場合、シート接合部20を自由部間領域FAの側縁(固定端部19fの幅方向中央側の端縁の位置)まで連続させるために、シート接合部20の端部を自由部間領域FAの側縁に合わせることは困難であるため、図11、図12及び図14等に示すように、サイドシール部13側に位置する固定端部19fの幅方向中間位置まで幅方向に実質的に連続させ、その結果としてシート接合部20のサイドシール部13側の端部をサイドシール部13から離間させるのは好ましい形態である。弾性伸縮部材19の固定端部19fは、2枚のシート層12S,12Hを接合する機能も有するため、この幅方向位置まで弾性伸縮部材19間のシート接合部20が確実に連続していれば、伸縮領域A2,A3の幅方向全体にわたり2枚のシート層12S,12Hが接合されていることになる。
このように構成された外装体12F,12Bの伸縮領域A2,A3では、シート接合部20が伸縮方向に実質的に連続しているため、図16に示すように、自然長状態では2枚のシート層12S,12Hは互いに沿うようにしか変形しない。この結果、自然長状態を含め、弾性伸縮部材19の収縮に伴い2枚のシート層12S,12Hが収縮した状態では、2枚のシート層12S,12Hが互いに沿うような波状をなして表裏両面に襞80が形成されることとなる。図16(d)に二点鎖線で示された部分は、実線で示された部分の襞80に隣接する反対向きの襞80を形成する部分である。
図16に示すように、2枚のシート層12S,12Hが互いに沿うような波状をなすときには、単なるシート層数による剛性向上、及び2枚のシート層12S,12Hの曲率の違いにより、従来の襞80の頂部よりも緩やかに曲がる(特に自然長状態で従来との違いが顕著となる)結果、手触りが滑らかで、厚み方向に潰れやすくなり、手触りの柔軟性が向上する。しかも、2枚のシート層12S,12Hが互いに沿うような緩やかな波状をなすときには、伸縮方向において波の山と山、谷と谷とが離間するため、波が厚み方向に潰れる際や倒れる際、波の山と山、谷と谷とが支え合う作用が弱くなり、この点でも手触りがより柔軟になると考えられる。
また、平滑な素材を表裏から指で摘む場合は、同じ素材でも1枚よりも2枚を重ねて摘むほうが滑らかさを感じやすい。これは、指同士あるいは指と素材の間の摩擦抵抗よりも素材同士の摩擦抵抗が低いために、2枚を重ねて摘んだ場合に摩擦抵抗が低く(滑らかに)感じることができるためである。2枚のシート層が互いに沿うようになっていると、この滑り感を強く感覚することができると考えられる。したがって、2枚のシート層12S,12Hに用いるシート材の摩擦特性は、前述のようなものとするのが好ましい。
自由部間領域FAでシート接合部20が幅方向に実質的に連続する形態には、図11及び図12に示すように、シート接合部20が幅方向に連続的に形成された(2枚のシート層12S,12Hが幅方向に連続線状に接合されている)形態、図13、図14、図21及び図22に示すように、シート接合部20が幅方向に間欠的に配置されている(2枚のシート層12S,12Hが幅方向に間欠的に接合されている)ものの、一つの自由部間領域FA内に配置された多数のシート接合部20の群の一部又は全部を前後方向から見たときに連続する(途切れなく続く)形態が含まれる。
シート接合部20は伸縮方向に完全に連続していても良いが、柔軟性の低下は避けられない。また、不織布等からなるシート層を融着して形成する場合は接合部20が連続線状であると、接合部20に沿ってシートが破れやすい。よって、シート接合部20は伸縮方向に間欠的に設けることが好ましい。
シート接合部20が幅方向に間欠的に配置されるが実質的に連続する形態としては、図13に示すようにシート接合部20が伸縮方向に間隔を空けて並ぶ列が一列である一列形態、あるいは図14、図21〜図22に示すように前後方向に複数列形成されるとともに、各列における各シート接合部20は、前後方向に隣接する他の列における幅方向に隣接するシート接合部20間に跨るように配置される複数列形態を採用することができる。このようにシート接合部20を幅方向に間欠的に設けると柔軟性が低下しにくいため好ましい。また、複数列形態では一列形態と比較して、個々のシート接合部20が小さくなり、より柔軟性に富むものとなる。しかも、多数のシート接合部20で2枚のシート層12S,12Hを接合するため接合強度も十分に確保される。
一列形態では、伸縮方向に隣接する一方のシート接合部20と他方のシート接合部20との幅方向の重なり幅20wが、当該重なり幅の部分における一方のシート接合部20と他方のシート接合部20との前後方向の間隔20d(変化する場合は最大値)よりも広いことが望ましい。また、複数列形態では、前後方向に隣接する一方の列のシート接合部20と他方の列のシート接合部20との幅方向の重なり幅が、一方の列のシート接合部20と他方の列のシート接合部20との前後方向の間隔よりも広いことが望ましい。
特に複数列形態の場合、図14に示す形態のように、各列における各シート接合部20の前後方向の一部が、隣の列のシート接合部20の前後方向の一部と、前後方向において重なるように、各列における各シート接合部20が配置されていると、襞の形状安定性がより高いものとなるため好ましい。
個々のシート接合部20の形状は、円形、楕円形、多角形(三角形、四角形等)等、適宜定めることができる。一列形態においてシート接合部20の形状を簡素なものとするには、三角形、平行四辺形(図示例)これらの組合せとするのが好ましく、複数列形態においてシート接合部20の形状を簡素なものとするには、三角形、菱形、又はこれらの組合せ(図示例)とするのが好ましい。
シート接合部20の寸法や配置間隔は適宜定めることができるが、シート接合部20を間欠配置とする場合、以下のとおりとするのが好ましい。
・シート接合部の幅方向最大長さ20x:0.5〜5.0mm
・シート接合部の前後方向最大長さ20y:0.2〜2.0mm
・シート接合部の幅方向間隔20t:シート接合部の幅方向最大長さ20xの0.2〜0.9倍
・シート接合部の前後方向間隔20d:シート接合部の前後方向最大長さ20yの0.5〜1.5倍
・シート接合部の幅方向重なり幅20w:シート接合部の前後方向間隔20dの0.2倍以上
・自由部間領域におけるシート接合部を有する領域の前後方向長さ20z:1〜10mm
・隣接する自由部間領域におけるシート接合部の前後方向間隔20s:4〜20mm
また、自由部間領域FAでは、前後方向の中央に近づくほど2枚のシート層12S,12Hの自由度が高くなるため、シート接合部20の面積率を高くし、2枚のシート層12S,12Hの一体性を高めると、2枚のシート層12S,12Hの互いに沿う状態が崩れにくくなるため好ましい。一方、自由部間領域FAにおける前後方向の両側(つまり弾性伸縮部材19に近い側)では、弾性伸縮部材19が2枚のシート層12S,12Hの近接を阻害するため、各シート層12S,12Hがこの弾性伸縮部材19による阻害作用を吸収して互いに沿う状態となるように個々に変形(収縮や曲り)するためには、シート接合部20の面積率を低くし、各シート層12S,12Hの自由度を高めることが望ましい。弾性伸縮部材19に対する各シート層12S,12Hの自由度が低いと、これらが一体的に変形しようとするため、各シート層12S,12Hは弾性伸縮部材19からわずかに離間しつつ小さな多数の皺を形成することになり、ザラザラとした不快な手触り感を生じることになる。よって、図示形態のように、自由部間領域FAにおける前後方向両側に向かうにつれて段階的にシート接合部20の面積率(単位面積当たりのシート接合部20の面積の割合)が低くなるように、シート接合部20が配列されているのは好ましい形態である。
シート接合部20の面積率を自由部間領域FAにおける前後方向両側に向かうにつれて変化させるには、図示形態のように無シート接合領域21を設けたり、これとともに(又はこれに代えて)、複数列形態の場合には、前後方向両側の列ほどシート接合部20の数を減少させたりすることができる。また、個々のシート接合部20の形状や面積を変更しても良い。
通常の場合、伸縮領域A2,A3の展開状態で、自由部間領域FAを前後方向に三等分し、その三領域FA1,FA2,FA3のうち前後方向の中央に位置する領域を中央領域FA2とし、かつその両側に位置する領域を両側領域FA1,FA3としたとき(図22参照)、中間領域FA2に占めるシート接合部20の面積率は3〜25%、特に5〜20%、とするのが好ましく、両側領域FA1,FA3に占めるシート接合部20の面積率は10%以下、特に3%以下とするのが好ましい。また、中間領域FA2に占めるシート接合部20の面積率に対する、両側領域FA1,FA3に占めるシート接合部20の面積率の割合を20%以下、特に10%以下とするのは好ましい。また、両側領域FA3にシート接合部20を有しないと、弾性伸縮部材19に対する各シート層12S,12Hの自由度が向上できるだけでなく、製造時においてシート接合部20と弾性伸縮部材19とが接触する(溶着による接合の場合弾性伸縮部材19が意図せず切断される)リスクが低くなるため、更に好ましい。
もちろん、シート接合部20の面積率が自由部間領域FAにおける前後方向に一様である形態や、自由部間領域FAにおける前後方向両側に向かうにつれて段階的にシート接合部20の面積率が高くなる形態とすることもできる。
(非伸縮領域の形成)
非伸縮領域A1は、内側シート層12Hと外側シート層12Sとの間に弾性伸縮部材19を供給し、間欠伸縮領域A2とする領域の端部で弾性伸縮部材19の固定端部19fのみホットメルト接着剤により固定した後、非伸縮領域A1とする領域において、弾性伸縮部材19を幅方向中間の1か所又は複数か所で加圧及び加熱により切断するか、又は弾性伸縮部材15,16,19のほぼ全体を加圧及び加熱により細かく切断し、間欠伸縮領域A2に伸縮性を残しつつ非伸縮領域A1では伸縮性を殺すことにより構築することができる。
図19(a)は、弾性伸縮部材19を幅方向中間の1か所で切断する場合を示しており、周方向の1か所に切断凸部72を有する加圧部71を外周面に備え、切断凸部72が所望の温度に加熱されるシールロール75と、これに対向配置された表面平滑なアンビルロール76とにより、内側シート層12H及び外側シート層12S間に弾性伸縮部材19を取り付けた切断対象を挟み、切断凸部72とアンビルロール76の外周面との間に挟まれる部位のみ弾性伸縮部材19を加圧及び加熱して切断するものである。このような加工を施した製品では、図20(a)(b)に示すように、非伸縮領域A1における外側シート層12S及び内側シート層12H間には、間欠伸縮領域A2の弾性伸縮部材19から連続する切断残部のみが不要弾性伸縮部材70として残り、溶融跡22が一本だけ切断痕跡として残ることになる。図示しないが、複数か所で切断する場合は、周方向の複数か所に切断凸部72を有するシールロール75を用いれば良い。
また、図19(b)は、弾性伸縮部材19のほぼ全体を細かく切断する場合を示しており、千鳥状等の間欠配置とされた多数の切断凸部73を有する加圧部71を外周面に備え、切断凸部72が所望の温度に加熱されるシールロール75と、これに対向配置された表面平滑なアンビルロール76とにより、内側シート層12H及び外側シート層12S間に弾性伸縮部材15〜17,19を取り付けた切断対象を挟み、切断凸部73とアンビルロール76の外周面との間に挟まれる部位のみ弾性伸縮部材19を加圧及び加熱して切断するものである。このような加工を施した製品では、図20(c)に示すように、非伸縮領域A1における外側シート層12S及び内側シート層12H間には、間欠伸縮領域A2の弾性伸縮部材19から連続する切断残部、及び両方の間欠伸縮領域A2の弾性伸縮部材19と連続しない弾性伸縮部材の切断片が、不要弾性伸縮部材70として前後方向及び幅方向に間欠的に残り、溶融跡22が切断痕跡として前後方向及び幅方向に間欠的に残ることになる。
(非伸縮領域におけるシート接合部)
非伸縮領域A1にはシート接合部20を設けなくても良いが、外側シート層12Sが内側シート層12Hに対してずれたり、浮いたりするのは好ましくないため、シート接合部20を設けるのが好ましい。非伸縮領域のシート接合部20は、2枚のシート層12S,12Hが接合される限り特に限定されるものではないが、図2、図6、図20等に示すように、非伸縮領域A1では、不要弾性伸縮部材70は2枚のシート層12S,12Hに対して非固定とされるとともに、不要弾性伸縮部材70の前後方向両側で、幅方向に実質的に連続するシート接合部20により2枚のシート層12S,12Hが接合されていると好ましい。このように、不要弾性伸縮部材70が2枚のシート層12S,12Hに対して非固定とされていると、不要弾性伸縮部材70の収縮力が2枚のシート層12S,12Hに対して完全に作用しない状態とすることができる。さらに、非伸縮領域A1では、不要弾性伸縮部材70の前後方向両側で、幅方向に実質的に連続するシート接合部20により2枚のシート層12S,12Hが接合されており、不要弾性伸縮部材70の前後方向の移動はその前後両側に位置するシート接合部20間に限られるため、見栄えが悪化するような大きな移動は防止される。もちろん、非伸縮領域A1における不要弾性伸縮部材70は2枚のシート層12S,12Hに対してホットメルト接着剤により固定しても良い。図20(a)(b)のように弾性伸縮部材19を幅方向中間の1か所(または複数か所)で切断する場合は、接着力が低くなるようにホットメルト接着剤の塗布量等を調整する。図20(c)のように弾性伸縮部材19を細かく切断する場合は、接着力が高くても非伸縮領域A1の伸縮性をほぼ殺すことができる。
非伸縮領域A1におけるシート接合部20は、間欠伸縮領域A2におけるシート接合部20と基本的に同様とすることができる。非伸縮領域A1におけるシート接合部20の形状、寸法、数、及び配置等は、間欠伸縮領域A2におけるシート接合部20と異なるものとしても良い。例えば、非伸縮領域A1におけるシート接合部20は、図13に示される形態に倣って、不要弾性伸縮部材70間に複数列形成し、不要弾性伸縮部材70とシート接合部20との距離を狭くすることにより、不要弾性伸縮部材70の移動を効果的に防止しつつ、間欠伸縮領域A2においては柔軟性を重視して図11に示す形態のように弾性伸縮部材19間に一列とすることができる。
ただし、製造容易性及び製造安定性の観点からは、図2、図6、図20等に示すように、非伸縮領域A1におけるシート接合部20の形状、寸法、数、及び配置等は、間欠伸縮領域A2におけるシート接合部20と同様とすることが望ましく、少なくとも、間欠伸縮領域A2におけるシート接合部20及び非伸縮領域A1におけるシート接合部20が、幅方向に実質的に連続されていると好ましい。
この場合、間欠伸縮領域A2における2枚のシート層12S,12H間の空間が、非伸縮領域A1における2枚のシート層12S,12H間の空間と連続することになり、不要弾性伸縮部材70が間欠伸縮領域A2側に移動するおそれがある。そこで、間欠伸縮領域A2における弾性伸縮部材19の固定端部19fを、少なくとも幅方向中央側の端部では、図12及び図13に示すように当該間欠伸縮領域A2の前後方向全体にわたり連続するホットメルト接着剤により形成し、同時に2枚のシート層12S,12Hを当該間欠伸縮領域A2の前後方向全体にわたり接合するのも好ましい形態である。これにより、非伸縮領域A1における2枚のシート層12S,12H間の空間が、非伸縮領域A1の幅方向両側で閉じられるため、不要弾性伸縮部材70が間欠伸縮領域A2に移動して見栄えが悪化するのを防止することができる。
その他、非伸縮領域A1における実質的に連続するシート接合部20の詳細は、伸縮領域におけるシート接合部20の項で述べたとおりであるため、ここではあえて説明を省略する。
(サイドシール部)
サイドシール部13の幅sは特に限定されないが、通常の場合、2〜7mm程度とすることができる。サイドシール部13全体に占める溶着部13sの総面積の割合(面積率)は適宜定めることができるが、通常の場合8〜40%程度とすることができる。
サイドシール部13における溶着接合はヒートシールにより行うことも可能であるが、超音波シールを用いると、ヒートシールと比べて溶着部13s周囲への熱影響がほとんどなく、サイドシール部13の素材が伸びやすく柔軟に仕上がるため好ましい。ただし、超音波シールの場合、サイドシール部13の素材の伸びやすさが災いして同じシールパターンで比べるとより引き剥がし難く、横裂けが発生しやすい。よって、本発明は超音波シールを採用する場合に好適である。超音波シール装置は特に限定されるものではない。
特徴的には、サイドシール部13を幅方向に二等分し、その幅方向中央側を第1領域13Aとし、幅方向外側を第2領域13Bとしたとき、第1領域13A及び第2領域13Bのそれぞれに、溶着部13sが縦方向に間欠的かつ規則的パターンで設けられており、第1領域13Aの剥離強度が第2領域13Bの剥離強度よりも低いものとされている。剥離強度の定義は前述のとおりである。サイドシール部13を剥がすときの剥離の進行方向は、当初は幅方向外側に向かうのであるが、剥離が進むにつれて縦方向に近づいていき、外装体12F,12Bに幅方向に沿う断裂が発生しやすい状況となる。この際、サイドシール部13が幅方向中央側でも幅方向外側でも剥離力が同じであると、外装体12F,12Bの側部を側縁から幅方向中央側に向かって引き裂くような力が加わりやすく、シート接合部20が幅方向に実質的に連続していると図25に示すように横裂けが発生やすくなる。これに対して、上述のように、サイドシール部13を幅方向に二等分した第1領域13A及び第2領域13Bのそれぞれに、溶着部13sが縦方向に間欠的かつ規則的パターンで設けられ、第1領域13Aの剥離強度が第2領域13Bの剥離強度よりも低いと、剥離の方向が幅方向外側に向かいやすく、その結果として外装体12F,12Bの側部に側縁から幅方向中央側に向かって引き裂くような力が発生しにくくなるため、シート接合部20が幅方向に実質的に連続していても横裂けは発生しにくくなる。特に、図示形態のようにシート接合部20がサイドシール部13まで実質的に連続されていると、横裂けが発生しやすいため、本発明はこのような横裂けの対策として好適である。
第1領域13Aの最も幅方向中央側における溶着部13sの縦方向間隔k1を、シート接合部20の形成領域の縦方向の幅20zよりも大きくするのは一つの好ましい形態である。これにより、第1領域13Aにおけるサイドシール部13の溶着部13sとシート接合部20との連続性が無くなる、又は乏しくなるため、横裂けしにくくなる。さらにこれを発展させて、図29に示すように、シート接合部20(又はシート接合部20がサイドシール部13まで連続しない場合には、シート接合部20を仮想的に幅方向外側に延長した延長部分)を、少なくとも第1領域13Aで(図示形態では、第1領域及び第2領域の全体にわたり)縦方向に隣接する溶着部13sの間の縦方向中間に配置すると、サイドシール部13の溶着部13sとシート接合部20との連続性が無くなるため、横裂け防止効果がより一層のものとなる。
第1領域13A及び第2領域13Bの剥離強度の違いは溶着の程度の違い等によって形成するのではなく、面積率によって形成することが望ましい。つまり、第1領域13Aに占める溶着部13sの面積率が第2領域13Bに占める溶着部13sの面積率よりも低くなるよう、溶着部13sのパターンを定めることが望ましい。第1領域13Aに占める溶着部13sの面積率及び第2領域13Bに占める溶着部13sの面積率は適宜定めることができるが、通常の場合、第1領域13Aに占める溶着部13sの面積率は6〜30%、特に10〜25%とすることが好ましく、第2領域13Bに占める溶着部13sの面積率は10〜50%、特に15〜35%とすることが好ましい。また、第2領域13Bの溶着部13sの面積率に対する第1領域13Aの溶着部13sの面積率の比は、0.45〜0.90倍、特に0.55〜0.70倍とすることが望ましい。
溶着部13sのパターンは特に限定されず、図23及び図24、図27及び図28に示すように点状の溶着部13sが間隔を空けて配列されたドットパターンや、図25及び図26に示すように第1領域13Aから第2領域13Bにわたり幅方向に細長く連続する四角形状の溶着部13sが間隔を空けて配列されたバーパターン等とすることができる。
バーパターンで第1領域13Aに占める溶着部13sの面積率を第2領域13Bに占める溶着部13sの面積率よりも低くするには、例えば図示するように、溶着部13sの形状を、第2領域13Bに位置する部分よりも第1領域13Aに位置する部分の方が縦方向の幅が狭い四角形状とすることができる。このような四角形状としては、図示形態のように幅方向外側に向かうにつれて連続的に縦方向の幅が増加する形状が好適であるが、段階的、例えば第1領域13Aと第2領域13Bとの境界で幅が変化する形態(図示略)とすることもできる。
バーパターンにおける寸法及び位置は適宜定めることができるが、図示形態で乳幼児用途の場合、次の範囲内とするのが好ましい。
・各溶着部13sの面積:3.5〜15.0mm2
・各溶着部13sの幅方向長さg:2.0〜7.0mm
・各溶着部13sの縦方向長さh:0.6〜2.0mm(特に0.8〜1.5mm)
・各溶着部13sの最大縦方向長さh2:1.0〜2.0mm(特に1.5〜2.0mm)
・各溶着部13sの最小縦方向長さh1:0.0〜1.0mm(特に0.5〜1.0mm)
・溶着部の縦方向長さの変化率(h2−h1)/g:0.03〜0.7
・溶着部13sの縦方向間隔k:0.5〜5.0mm(特に0.8〜1.5mm)
・無溶着部13nの縦方向長さn:0.0〜2.0mm(特に0.1〜1.0mm)
・サイドシール部13の幅方向長さs(溶着最大幅):2.0〜7.0mm
・第1領域13Aに占める溶着部13sの面積率:6〜30%(特に10〜25%)
・第2領域13Bに占める溶着部13sの面積率:10〜50%(特に15〜35%)
・第2領域13Bの溶着部13sの面積率に対する第1領域13Aの溶着部13sの面積率の比:0.45〜0.90倍(特に0.55〜0.70倍)
一方、ドットパターンで第1領域13Aに占める溶着部13sの面積率を第2領域13Bに占める溶着部13sの面積率よりも低くするには、例えば図示するように、第1領域13A及び第2領域13Bの溶着部13sの面積を同じとし、第2領域13Bの溶着部13sの数よりも第1領域13Aの溶着部13sの数を少なくする、つまり溶着部13s間の間隔を部分的又は全体的に広げることができる。また、第1領域13A及び第2領域13Bの溶着部13sの数及び中心配置を同じとし、第2領域13Bよりも第1領域13Aの方が溶着部13sの面積が小さいパターンとしても良い。もちろん、溶着部13sの数の違いと、溶着部13sの面積の違いとを組み合わせて、第1領域13Aに占める溶着部13sの面積率を第2領域13Bに占める溶着部13sの面積率よりも低くすることもできる。
各溶着部13sは点状である限り、三角形状等の多角形状や半円形状、星形状、楕円形状等特に限定されないが、図示形態のような円形状であるのが好ましい。
ドットパターンの配列は特に限定されず、図23に示すように2列とする他、図27の下部に示すように三列以上とすることもできる。より詳細に説明すると、図示のドットパターンは、縦方向に間隔を空けて列なる点状の溶着部13sの列が幅方向に複数並び、かつ全体として互い違い又は千鳥状のドットパターンを基本として、幅方向外側の溶着部13sの列では縦方向に等間隔で溶着部13sを設け、幅方向中央側の列に、溶着部13s複数個おきに溶着部13sの無い(抜かれた)間隔拡大部分13dを設け、三列以上の場合には幅方向中央側の列ほど間隔拡大部分が広くなるパターンである。三列以上の場合、第1領域13A及び第2領域13Bに跨る溶着部13sを有していても良い。
また、ドットパターンの場合、図示形態のように、サイドシール部13の幅方向全体にわたる無溶着部13nを僅かであっても各溶着部13sの縦方向両側に形成すると、シール装置における溶着部13s形成用の凸部間の隙間に不織布の繊維屑が付着し難くなるとともに、付着した繊維屑を取り除くのも容易となる。すなわち、パンツタイプ使い捨ておむつでは、おむつを幅方向に移送しつつサイドシール部13を形成するため、繊維屑が発生してもシール装置における無溶着部13n形成用の凹溝(溶着部13s形成用の凸部の間)を通って排出され、溶着部13s形成用の凸部間に留まりにくい。具体的に、繊維屑が溜まる時間は従来の一般的な横縞状パターンと同等となる。また、長時間経過して、溶着部13s形成用の凸部間に繊維屑が溜まったとしても、当該凸部間の溝はラインの流れ方向に連続するため、ラインの流れ方向にブラシをかけるだけで簡単に繊維屑を除去することができる。
ドットパターンにおける寸法及び位置は適宜定めることができるが、図示形態で乳幼児用途の場合、次の範囲内とするのが好ましい。
・各溶着部13sの面積:0.3〜7.1mm2
・溶着部13sの列数:2〜4列、特に2〜3列
・各溶着部13sの幅方向長さg:0.6〜3.0mm(特に0.8〜1.5mm)
・各溶着部13sの縦方向長さh:0.6〜3.0mm(特に0.8〜1.5mm)
・隣り合う溶着部13sの列の幅方向間隔q:+1.0mm〜+4.0mm(なお、+(プラス)は隣接列の溶着部13sの幅方向位置が重ならない場合を意味する。)
・同一列における隣り合う溶着部13sの縦方向間隔k:0.5〜5.0mm(特に0.8〜1.5mm)
・無溶着部13nの縦方向長さn:0.0〜2.0mm(特に0.1〜1.0mm)
・間隔拡大部分13d:3.5〜15.0mm
・間隔拡大部分13dの間の縦方向長さ(縦方向範囲13y):2.0〜5.0mm
・間隔拡大部分13dの縦方向長さに対する、間隔拡大部分13dの間の縦方向範囲13yの比率:0.16〜0.60倍
・サイドシール部13の幅方向長さs(溶着最大幅):2.0〜7.0mm
・第1領域13Aに占める溶着部13sの面積率:6〜30%(特に10〜25%)
・第2領域13Bに占める溶着部13sの面積率:10〜50%(特に15〜35%)
・第2領域13Bの溶着部13sの面積率に対する第1領域13Aの溶着部13sの面積率の比:0.45〜0.90倍(特に0.55〜0.70倍)
他方、図27及び図28に示すW,U1〜U3、14の各部のように、サイドシール部13の縦方向中間でシート材の積層数が変化する場合、シート積層数に応じて溶着部13sのパターンを変化させることができる。このような変化はドットパターンに限られず、バーパターンでも適用することができる。
(内装体)
内装体200の形状、構造は特に限定されず、例えば以下に述べる形状、構造を採用することができる。内装体200は任意の形状を採ることができるが、図示の形態では長方形である。内装体200は、図3〜図5に示されるように、装着者の肌側となる液透過性トップシート30と、液不透過性シート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えているものであり、吸収機能を担う本体部である。符号40は、トップシート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させるために、トップシート30と吸収要素50との間に設けられた中間シート(セカンドシートとも呼ばれる)を示しており、符号60は、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、内装体の吸収面の幅方向両側に沿って延在された、装着者の脚周りに向かって立ち上がる部分である脚周りギャザー60を示している。
(トップシート)
トップシート30は、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシート等、液透過性素材であれば特に限定無く利用できるが、図3及び図4に示す形態のようにトップシート30が脚周りギャザー60の液不透過性シート64の被覆材を兼ねる場合には不織布が用いられる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンボンド法、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、エアスルー法、ポイントボンド法、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
また、トップシート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、トップシート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
トップシート30の幅方向両側が脚周りギャザー60の液不透過性シート64の被覆材を兼ねない場合は、例えば図7及び図8に示す形態のように、吸収要素50と脚周りギャザー60との間を通して、吸収要素50の裏側まで回り込ませ、液の浸透を防止するために、液不透過性シート11及び脚周りギャザー60に対してホットメルト接着剤等により接着することができる。
(中間シート)
図7及び図8に示す形態のように、トップシート30の裏側に、トップシートより親水性に優れる中間シート(「セカンドシート」とも呼ばれている)40を設けることができる。この中間シート40は、吸収した液の吸収体からの逆戻り現象を防止し、トップシート30上のさらっとした肌触りを確保するためのものである。中間シート40は省略することもできる。
中間シート40としては、トップシート30と同様の素材や、スパンレース、スパンボンド、SMS、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布が嵩高であるため好ましい。エアスルー不織布には芯鞘構造の複合繊維を用いるのが好ましく、この場合芯に用いる樹脂はポリプロピレン(PP)でも良いが剛性の高いポリエステル(PET)が好ましい。目付けは20〜80g/m2が好ましく、25〜60g/m2がより好ましい。不織布の原料繊維の太さは2.2〜10dtexであるのが好ましい。不織布を嵩高にするために、原料繊維の全部又は一部の混合繊維として、芯が中央にない偏芯の繊維や中空の繊維、偏芯且つ中空の繊維を用いるのも好ましい。
図示の形態の中間シート40は、吸収体56の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の長手方向長さは、吸収体56の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
(液不透過性シート)
吸収体56の裏側に設けられる液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等からなるプラスチックフィルムを例示することができる。液不透過性シート11には、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている不透液性かつ透湿性を有する素材を用いることが好ましい。透湿性を有するプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性プラスチックフィルムが広く用いられている。
液不透過性シート11は、図3及び図4に示す形態のように、吸収体56よりも側方に延在させて、脚周りギャザー60内の液不透過性シート64を兼ねるものとしたり、図7及び図8に示す形態のように、吸収要素50の裏側に収まる幅とする、又は吸収要素50の幅方向両側を回り込ませて吸収要素50のトップシート30側面の両側部まで延在させたりすることができる。
また、液不透過性シート11の内側、特に吸収体56側面に、液分の吸収により色が変化する排泄インジケータを設けることができる。
(吸収要素)
吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の全体を包む包装シート58とを有する。包装シート58は省略することもできる。
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。吸収体56中には高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。
吸収体56は長方形形状でも良いが、図6にも示すように、前端部、後端部及びこれらの間に位置し、前端部及び後端部と比べて幅が狭い括れ部とを有する砂時計形状をなしていると、吸収体56及び脚周りギャザー60の脚周りへのフィット性が向上するため好ましい。
また、吸収体の寸法は適宜定めることができるが、前後方向及び幅方向において、内装体の周縁部又はその近傍まで延在しているのが好ましい。なお、符号56Xは吸収体56の幅を示している。
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56には、その一部又は全部に高吸収性ポリマー粒子を含有させることができる。高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子54としては、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、例えば500μmの標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)でふるい上に残る粒子の割合が30重量%以下のものが望ましく、また、180μmの標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)でふるい上に残る粒子の割合が60重量%以上のものが望ましい。
高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量(JIS K7223−1996「高吸水性樹脂の吸水量試験方法」)が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が70秒以下、特に40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が遅すぎると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生しやすくなる。
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m2を超えると、効果が飽和する。
必要であれば、高吸収性ポリマー粒子は、吸収体56の平面方向で含有率を変化させることができる。例えば、液の排泄部位を他の部位より含有率を高くすることができる。男女差を考慮する場合、男用は前側の含有率を高め、女用は中央部の含有率を高めることができる。また、吸収体56の平面方向において局所的(例えばスポット状)にポリマーが存在しない部分を設けることもできる。
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等の液透過性素材を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMS不織布(SMS、SSMMS等)が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン複合材などを使用できる。目付けは、5〜20g/m2、特に8〜15g/m2のものが望ましい。
包装シート58の包装形態は適宜定めることができるが、製造容易性や前後端縁からの高吸収性ポリマー粒子の漏れ防止等の観点から、吸収体56の表裏面及び両側面を取り囲むように筒状に巻付け、かつその前後縁部を吸収体56の前後からはみ出させ、このはみ出し部分を表裏方向に潰してホットメルト接着剤等の接合手段により接合する形態が好ましい。
(脚周りギャザー)
脚周りギャザー60は、内装体200の吸収面の幅方向両側に沿って延在された、装着者の脚周りに向かって立ち上がる部分であり、トップシート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を遮断し、横漏れを防止するために設けられているものである。
本形態の脚周りギャザー60は、図3及び図4に示すように、幅方向内側の面を構成する内側不織布層61と、幅方向外側の面を構成する外側不織布層62と、前後方向中間における少なくとも先端部における内側不織布層61及び外側不織布層62の間に前後方向に沿って設けられたギャザー弾性伸縮部材63と、基端から基端よりも先端側の位置までの範囲にわたり、内側不織布層61及び外側不織布層62の間に挟まれた液不透過性シート64(11)とを有している。図示形態では、脚周りギャザー60における液不透過性シート64を有する部分であってかつ先端部よりも基端側の部分が、脚周りギャザー60の前後方向全体にわたり、内側不織布層61が存在せず液不透過性シート64が露出する不織布不存在部分65とされている。このように、脚周りギャザー60に内側不織布層61の無い不織布不存在部分65を設けることにより不織布使用量を削減することができる。また、脚周りギャザー60の先端部は肌に接触する部分であるため、そこを避けて不織布不存在部分65を設けることにより、液不透過性シート64が肌に接触し難くなり、肌触りの悪化を抑制することができる。
図1〜図6に示す形態において内側不織布層61をトップシート30の側部まで延在させることにより、又は図7及び図8に示す構造の脚周りギャザー60とすることにより、液不透過性シート64の全体を隠しても良い。
ギャザー弾性伸縮部材63は、脚周りギャザー60の先端部にのみ設けても良いが、図示形態のように脚周りギャザー60の先端から基端に向かう方向に間隔を空けて複数本設けられているのが好ましい。通常の場合、ギャザー弾性伸縮部材63の本数は、2〜6本が好ましく、その相互間隔60dは3〜10mmが好ましい。このように、複数本のギャザー弾性伸縮部材63を間隔を空けて設けると、その間の部分が外側に窪むため、図示形態のようにこの間隔部分にのみ不織布不存在部分65を設けると、不織布不存在部分65に露出する液不透過性シート64が窪んで肌に接触し難くなるため好ましい。この場合、図1〜図6に示す形態のように、少なくとも脚周りギャザー60の先端部及び基端部にのみそれぞれ一本又は複数本間隔を空けてギャザー弾性伸縮部材63を設け、基端部のギャザー弾性伸縮部材63と先端部のギャザー弾性伸縮部材63との間の間隔部分にのみ不織布不存在部分65を設けると特に好ましい。
脚周りギャザー60におけるギャザー弾性伸縮部材63を設ける前後方向範囲は、脚周りギャザー60の前後方向全体とすることもできるが、立ち上がり部分の前後方向範囲以下とするのが好ましい。
また、ギャザー弾性伸縮部材63は、内側不織布層61及び外側不織布層62の間に設けられる限り(このため不織布不存在部分65には設けられない)、脚周りギャザー60に内蔵される液不透過性シート64に対して図3及び図7に示す形態のように内側に設けることも、また図示しないが外側に設けることも可能である。
液不透過性シート64を設ける範囲は、脚周りギャザー60の基端から基端よりも先端側の位置までの範囲であれば、基端から基端及び先端の中間位置までとすることもできるが、遮水性を十分に向上させるためには先端部まで設けることが望ましく、特に図3及び図4に示す形態のように先端部より若干(例えばギャザー弾性部材複数本分。具体的には5〜30mm程度)離間した位置までとし、先端部には液不透過性シート64を内蔵させないことにより肌触りの柔軟性を確保することが好ましい。
また、不織布不存在部分65に液不透過性シート64が露出する形態では、脚周りギャザー60における前側外装体12F及び後側外装体12Bと重なる部分60Wにおいて、不織布不存在部分65に露出する液不透過性シート64が肌に押し付けられるおそれがある。しかし、図1〜図6に示す形態のように、当該部分60Wを前側外装体12F及び後側外装体12Bに固定して、前側外装体12F及び後側外装体12Bの弾性伸縮部材15,19により幅方向に収縮させると、当該部分60Wは液不透過性シート64が露出するとしても収縮皺により肌に対する接触面積は顕著に低減するため、肌触りへの影響は少ないものとなる。なお、この形態の脚周りギャザー60では、前側外装体12F及び後側外装体12Bに対する固定部分60Wの間の領域が、ギャザー弾性伸縮部材63の収縮に伴い、吸収体56の側縁を基端として図3に二点鎖線で示すように脚周りに向かって立ち上がるようになる。
脚周りギャザー60の部材構成は特に限定されず、公知の構造を採用することができる。図1〜図6に示す形態では、トップシート30を不織布からなるものとし、かつその幅方向両側を吸収体56の側縁から延び出るように構成し、また、吸収体56の裏側には不織布からなるギャザーシート66を設け、かつその幅方向両側を吸収体56の側縁から延び出るように構成し、さらに、このギャザーシート66の側端部を折り返すとともに、その折り返し部分66rの先端をトップシート30の先端から離間させるとともに、少なくとも、ギャザーシート66の折り返し部分66rの間から、トップシート30とギャザーシート66との間にかけて液不透過性シート64を設けている。そして、その結果、ギャザーシート66の折り返し部分66r以外の部分により外側不織布層62が形成されるとともに、ギャザーシート66の折り返し部分66r及びトップシート30における吸収体56の側方に延び出る部分により内側不織布層61が形成され、かつギャザーシート66の折り返し部分66rとトップシート30とが離間する部分により不織布不存在部分65が形成されている。このように、脚周りギャザー60における不織布不存在部分65より基端側の内側不織布層61をトップシート30により形成し、それ以外をギャザーシート66により形成すると、素材の切断を要さずに不織布不存在部分65を設けることができ、また、その構造も非常に簡素となり、製造も容易となる。
この場合、脚周りギャザー60の液不透過性シート64は、図3及び図4に示す形態のように、一方側の脚周りギャザー60から吸収体56の裏側を通り他方側の脚周りギャザー60まで延在されていると、脚周りギャザー60の遮水性だけでなく、吸収体56の裏側の遮水性も一体的に確保することができるため好ましいが、図7及び図8に示す形態のように脚周りギャザー60に内蔵させる液不透過性シート64と、吸収体56の裏側を覆う液不透過性シート11とを個別に設けることもできる。後者の場合、脚周りギャザー60に内蔵させる液不透過性シート64の素材と、吸収体56の裏側を覆う液不透過性シート11の素材とを同一のものとしても、また異なるものとしても良い。
同様に、ギャザーシート66も、図3及び図4に示す形態のように、一方側の脚周りギャザー60から吸収体56の裏側を通り他方側の脚周りギャザー60まで一体のシートにより形成されていると、前述の股間部カバーシートを別途設けなくてもなくても布のような外面が得られるため好ましいが、図7及び図8に示す形態のようにギャザーシート66と、股間部カバーシート12Mを個別に設けても良い。
他の脚周りギャザー60の構造として、図7及び図8に示す形態のように、内装体200の裏側に固定された取付け部分68と、この取付け部分68から内装体200の側方を回り込んで内装体200の側部表面まで延在された延在部分69と、この延在部分69の前後方向両端部が倒伏状態で内装体200の側部表面に固定されて形成された倒伏部分69Bと、延在部分における倒伏部分の間の中間部が非固定とされて形成された自由部分69Fと、この自由部分69Fの少なくとも先端部に前後方向に沿って伸長状態で固定されたギャザー弾性伸縮部材63と、を有するものも採用することができる。この脚周りギャザー60では、ギャザー弾性伸縮部材63の収縮に伴い、自由部分69Fが取付け部分68との境を基端として脚周りに向かって立ち上がるようになる。
図7及び図8に示す形態の脚周りギャザー60の延在部分69は、幅方向中央側に向かう付け根側部分と、この付け根側部分の先端から幅方向外側に折り返された先端側部分とからなるが、幅方向外側に折り返されずに、幅方向中央側に向かう部分のみからなる形態とすることもできる(図示略)。
他方、脚周りギャザー60のうち立ち上がり部分となる前後方向中間領域では、内側不織布層61と外側不織布層62との貼り合わせや、その間に挟まれるギャザー弾性伸縮部材63の固定に、種々の塗布方法によるホットメルト接着剤及びヒートシールや超音波シール等の素材溶着による固定手段の少なくとも一方を用いることができる。内側不織布層61及び外側不織布層62の全面を貼り合わせると柔軟性を損ねるため、ギャザー弾性伸縮部材63の接着部以外の部分は接着しないか弱く接着するのが好ましい。図示形態では、コームガンやシュアラップノズル等の塗布手段によりギャザー弾性伸縮部材63の外周面にのみホットメルト接着剤を塗布して内側不織布層61及び外側不織布層62間に挟むことにより、当該ギャザー弾性伸縮部材63の外周面に塗布したホットメルト接着剤のみで、内側不織布層61及び外側不織布層62への細長状弾性伸縮部材の固定と、内側不織布層61及び外側不織布層62間の固定とを行う構造となっている。
また、脚周りギャザー60のうち前後方向両側の非立ち上がり部分では、内側不織布層61と外側不織布層62との貼り合わせや、図1〜図6に示す形態の脚周りギャザー60の前側外装体12F及び後側外装体12Bへの固定、並びに図7及び図8に示す形態の脚周りギャザー60における付け根側部分及び先端側部分の固定及びその内装体200の側部表面への固定に、種々の塗布方法によるホットメルト接着剤、及びヒートシールや超音波シール等の素材溶着による固定手段67の少なくとも一方を用いることができる。図示形態では、ホットメルト接着剤と素材溶着による固定手段67を組み合わせているが、いずれか一方の手段のみで、これらの固定を行うこともできる。
脚周りギャザー60の寸法は適宜定めることができるが、乳幼児用紙おむつの場合は、脚周りギャザー60の起立高さ(展開状態における先端と基端との幅方向間隔)は15〜60mm、特に20〜40mmであるのが好ましい。
上記各形態において、内側不織布層61及び外側不織布層62としてはスパンボンド不織布(SS、SSS等)やSMS不織布(SMS、SSMMS等)、メルトブロー不織布等の柔軟で均一性・隠蔽性に優れた不織布に、必要に応じてシリコンなどにより撥水処理を施したものを好適に用いることができ、繊維目付けは10〜30g/m2程度とするのが好ましい。図3及び図4に示す形態では、不織布不存在部分65より基端側の内側不織布層61がトップシート30により形成されていることからも分かるように、内側不織布層61及び外側不織布層62の素材を部分的に異ならしめることも可能であり、また内側不織布層61及び外側不織布層62の素材を異ならしめることも可能である。
上記各形態において、ギャザー弾性伸縮部材63としては糸状のゴム、帯状のゴム等の細長状弾性伸縮部材を用いることができる。糸ゴムを用いる場合は、太さは470〜1240dtexが好ましく、620〜940dtexがより好ましい。固定時の伸長率は、150〜350%が好ましく、200〜300%がより好ましい。
上記各形態は脚周りギャザー60を左右各一列設けるものであるが、複数列設けることもできる。
<評価試験>
下記例1及び例2のサンプルを作製し、30名の被験者によりどちらが自然長状態での手触りが柔軟であるかを評価した。
(例1)
ポリピロピレン繊維のスパンボンド不織布(繊度2.2dtex、目付け15g/m2)をMD方向100mm×CD方向100mmの寸法で2枚用意した。一方のシート層におけるMD方向の両端部上に10g/m2の塗布量でホットメルト接着剤を塗布するとともに、その上に、270%の伸長率に伸長した太さ470dtexの糸ゴムをCD方向に5mmの間隔19dを空けて平行に配置し、更にその上に他方のシート層をMD方向及びCD方向を合わせて重ねた後、隣接する弾性伸縮部材の間の部位でMD方向に実質的に連続するパターン(図12に示されるパターン)で超音波シールを行い、2枚のシート層を接合し、MD方向を伸縮方向とし、かつCD方向を伸縮方向に直交する直交方向とする伸縮シートサンプルを作製した。シート接合部の寸法、間隔は以下のとおりとした。
・シート接合部の伸縮方向最大長さ20x:1.57mm
・シート接合部の直交方向最大長さ20y:0.70mm
・シート接合部の伸縮方向間隔20t:1.23mm(シート接合部の伸縮方向最大長さ20xの0.78倍)
・シート接合部の直交方向間隔20d:0.70mm(シート接合部の直交方向最大長さ20yの1.0倍)
・シート接合部の伸縮方向重なり幅20w:0.17mm(シート接合部の直交方向間隔20dの0.24倍)
・自由部間領域におけるシート接合部を有する領域の直交方向長さ20z:1.25mm
・隣接する自由部間領域におけるシート接合部の直交方向間隔20s:6.75mm
(例2)
超音波シールのパターンを図17に示されるパターンとした以外は例1と同様とし、シート接合部20の寸法、間隔は以下のとおりとした。
・個々のシート接合部の寸法(伸縮方向20x×直交方向20y):0.8mm×5.0mm
・シート接合部の伸縮方向間隔20r:8.0mm
・シート接合部の直交方向間隔20v:3.0mm
(評価結果)
例1の方が例2よりも柔軟であると感じた被験者数は30名中30名であった。
<その他>
(a)2枚のシート層12S,12Hの素材は適宜定めることができるが、伸縮方向の剛軟度が、伸縮方向と直交する方向の剛軟度よりも高いと、襞80の頂部が緩やかに曲がりやすくなるため好ましい。
(b)図示形態のように、前後方向に隣接する弾性伸縮部材19の間の部位の各々に、シート接合部20が形成されていると好ましいが、複数本置きにシート接合部20が形成されていても良い。つまり、前後方向に隣接するシート接合部20間には弾性伸縮部材19を一本のみ配置することが望ましいが、複数本配置しても良い。
(c)前後方向に隣接する弾性伸縮部材19の間に設けられるシート接合部20の本数(実質的に連続する部分を一本とする)は、図示形態のように一本とする他、図13に示すように複数本とすることもできる。
(d)図示形態では、外装体12F,12Bの幅方向の伸縮構造の全体に本発明を適用しているが、一部のみ本発明を適用し、残り(例えばウエスト部のみ)については、弾性伸縮部材19の幅方向全体にわたり弾性伸縮部材19の外周面にのみホットメルト接着剤を塗布して2枚のシート層12S,12H間に固定する等、公知の伸縮構造とすることができる。また、前側外装体12F及び後側外装体12Bのいずれか一方のみ本発明を適用することもできる。
<明細書中の用語の説明>
明細書中で以下の用語が使用される場合、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
・「前後(縦)方向」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味する。
・「展開状態」とは、収縮や弛み無く平坦に展開した状態を意味する。
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。
・「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度20±5℃、相対湿度65%以下)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を相対湿度10〜25%、温度50℃を超えない環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から米坪板(200mm×250mm、±2mm)を使用し、200mm×250mm(±2mm)の寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、20倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
・「厚み」は、自動厚み測定器(KES−G5 ハンディー圧縮試験機)を用い、荷重:10gf/cm2、及び加圧面積:2cm2の条件下で自動測定する。
・吸水量は、JIS K7223−1996「高吸水性樹脂の吸水量試験方法」によって測定する。
・「吸水速度」は、2gの高吸収性ポリマー及び50gの生理食塩水を使用して、JIS K7224‐1996「高吸水性樹脂の吸水速度試験法」を行ったときの「終点までの時間」とする。
・「剛軟度」は、JIS L 1096:2010「織物及び編物の生地試験方法」の「8.21.1 A法(45°カンチレバー法)」を意味する。
・試験や測定における環境条件についての記載が無い場合、その試験や測定は、標準状態(試験場所は、温度20±5℃、相対湿度65%以下)の試験室又は装置内で行うものとする。
・各部の寸法は、特に記載が無い限り、自然長状態ではなく展開状態における寸法を意味する。
本発明は、上記例のようなパンツタイプ使い捨ておむつに適用できるものである。
11…液不透過性シート、12B…後側外装体、12F,12B…外装体、12F…前側外装体、12H…内側シート層、12S,12H…2枚のシート層、12S…外側シート層、13…サイドシール部、13A…第1領域、13B…第2領域、13d…間隔拡大部分、13n…無溶着部、13s…溶着部、15,18…ウエスト下方部弾性伸縮部材、16…カバー部弾性伸縮部材、17…ウエスト部弾性伸縮部材、19…弾性伸縮部材、19f…固定端部、19m…自由部、20…シート接合部、21…無シート接合領域、30…トップシート、40…中間シート、50…吸収要素、56…吸収体、58…包装シート、60…脚周りギャザー、61…内側不織布層、62…外側不織布層、63…ギャザー弾性伸縮部材、64…液不透過性シート、65…不織布不存在部分、66…ギャザーシート、66r…折り返し部分、70…不要弾性伸縮部材、80…襞、200…内装体、201…内外固定部、A1…非伸縮領域、A2…間欠伸縮領域、A3…連続伸縮領域、FA…自由部間領域。