JP6483909B1 - 吸収性物品 - Google Patents

吸収性物品 Download PDF

Info

Publication number
JP6483909B1
JP6483909B1 JP2018220748A JP2018220748A JP6483909B1 JP 6483909 B1 JP6483909 B1 JP 6483909B1 JP 2018220748 A JP2018220748 A JP 2018220748A JP 2018220748 A JP2018220748 A JP 2018220748A JP 6483909 B1 JP6483909 B1 JP 6483909B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fusion
fused
ventral
thickness direction
peripheral wall
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018220748A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020036869A (ja
Inventor
市川 誠
誠 市川
田中 嘉則
嘉則 田中
訓功 川端
訓功 川端
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Uni Charm Corp
Original Assignee
Uni Charm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Uni Charm Corp filed Critical Uni Charm Corp
Priority to EP19854299.5A priority Critical patent/EP3821862B1/en
Priority to PCT/JP2019/003920 priority patent/WO2020044592A1/ja
Priority to CN201980054756.5A priority patent/CN112584807B/zh
Application granted granted Critical
Publication of JP6483909B1 publication Critical patent/JP6483909B1/ja
Publication of JP2020036869A publication Critical patent/JP2020036869A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61FFILTERS IMPLANTABLE INTO BLOOD VESSELS; PROSTHESES; DEVICES PROVIDING PATENCY TO, OR PREVENTING COLLAPSING OF, TUBULAR STRUCTURES OF THE BODY, e.g. STENTS; ORTHOPAEDIC, NURSING OR CONTRACEPTIVE DEVICES; FOMENTATION; TREATMENT OR PROTECTION OF EYES OR EARS; BANDAGES, DRESSINGS OR ABSORBENT PADS; FIRST-AID KITS
    • A61F13/00Bandages or dressings; Absorbent pads
    • A61F13/15Absorbent pads, e.g. sanitary towels, swabs or tampons for external or internal application to the body; Supporting or fastening means therefor; Tampon applicators
    • A61F13/45Absorbent pads, e.g. sanitary towels, swabs or tampons for external or internal application to the body; Supporting or fastening means therefor; Tampon applicators characterised by the shape
    • A61F13/49Absorbent articles specially adapted to be worn around the waist, e.g. diapers
    • A61F13/496Absorbent articles specially adapted to be worn around the waist, e.g. diapers in the form of pants or briefs
    • A61F13/4963Absorbent articles specially adapted to be worn around the waist, e.g. diapers in the form of pants or briefs characterized by the seam

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Heart & Thoracic Surgery (AREA)
  • Vascular Medicine (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Absorbent Articles And Supports Therefor (AREA)

Abstract

【課題】吸収性物品の取り外し時、シート部材を破り難くし、腹側部と背側部とを適切に分離する。
【解決手段】吸収性物品1は、腹側部11と背側部13とを備え、腹側部及び背側部における横方向の端部11e、13e同士が縦方向に沿い厚さ方向に重なり互いに接合された接合部14aを含む。接合部は、縦方向に沿って配置された複数の融着部30を含む。融着部は、腹側シート部材と背側シート部材とが互いに厚さ方向に融着されたコア部MCと、コア部の周縁から筒状に厚さ方向に延び、腹側シート部材と背側シート部材とが厚さ方向に融着された周壁部SWと、を含む。接合部の剥離強度の試験において、試料を把持する冶具間の間隔に対する冶具間に掛かる荷重を示すグラフで示される領域を、最大荷重間隔を境界として低間隔側領域と、長間隔側領域と、に区画したとき、低間隔側領域の面積aと長間隔側領域の面積bとの比a/bは、0.5以上、2.0以下である。
【選択図】図2

Description

本発明は、吸収性物品に関する。
腹側部と、背側部と、を備え、腹側部及び背側部の横方向の少なくとも一端部同士が縦方向に沿って厚さ方向に重なり合った状態で互いに接合された接合部を有する吸収性物品(例示:パンツ型使い捨ておむつ)が知られている。その吸収性物品の接合部の形成方法として、例えば特許文献1に、超音波ホーンとアンビルとを備えるシール装置を用いて接合部(シール部)を形成する方法が開示されている。その方法は、腹側部及び背側部用のシート部材を搬送しつつ、それらシート部材における接合部を形成すべき所定箇所が超音波ホーンとアンビルの隙間を通過するときに、超音波ホーンとアンビルとでその所定箇所を挟持し融着して、その所定箇所に接合部を形成する。その接合部には、縦方向に沿って並んだ複数の融着された箇所、すなわち複数の融着部が形成される。また、特許文献2には、超音波ホーンとアンビルとにより接合部(シール部)を形成する他の方法及び装置が開示されている。
特開2004−298413号公報 特開2006−192902号公報
上記のような使用済みの吸収性物品を装着者から取り外す場合、通常、接合部において、腹側部のシート部材及び背側部のシート部材分を互いに縦方向に連続的に引き剥がす方法が用いられる。すなわち、複数の融着部で接合された腹側部のシート部材と背側部のシート部材分とを、各融着部又はその周辺部分のシート部材を破断することで、互いに縦方向に連続的に引き剥がす。しかし、特許文献1の吸収性物品では、接合部の引き剥がしの途中で、融着部等に生じた亀裂が、腹側部や背側部における接合部以外の部分のシート部材、例えば中央部分のシート部材へ進展してしまう場合がある。そうなると、接合部の腹側部のシート部材及び背側部のシート部材を互いに縦方向に連続的に引き剥し難くなる他、その中央部分に進展した亀裂から吸収体が露出したり、排泄物が漏洩したりする可能性も考え得る。このことは、特許文献2の吸収性物品についても当てはまる場合がある。
したがって、本発明の目的は、接合部を有する吸収性物品において、吸収性物品の取り外し時に、接合部以外のシート部材を破ることを抑制でき、腹側部と背側部とを適切に分離し易くすることが可能な吸収性物品を提供することにある。
本発明の吸収性物品は、(1)互いに直交する縦方向、横方向及び厚さ方向を有し、腹側シート部材を含む腹側部と、背側シート部材を含む背側部と、を備え、前記腹側部及び前記背側部における前記横方向の少なくとも一方の端部同士が前記縦方向に沿って前記厚さ方向に重なり合った状態で互いに接合された接合部を含む吸収性物品であって、前記接合部は、前記縦方向に沿って互いに離間しつつ配置された複数の融着部を含み、前記融着部は、前記腹側シート部材と前記背側シート部材とが互いに前記厚さ方向に融着されたコア部と、前記コア部を筒状に囲みつつ前記コア部の周縁から前記厚さ方向に延びるように、前記腹側シート部材と前記背側シート部材とが互いに前記厚さ方向に融着された周壁部と、を含み、前記接合部のT型剥離強度の試験であって、前記接合部の少なくとも一部を含む試料を二つの冶具で把持し、前記二つの冶具の間隔が拡がるようにして前記接合部を剥離させつつ、前記二つの冶具間に掛かる荷重を測定する前記試験において、前記間隔に対する前記荷重を示すグラフで示される領域のうち、所定の基準荷重以上の特定領域について、前記荷重が最大値を示すときの前記間隔である最大荷重間隔を境界として低間隔側領域と、長間隔側領域と、に区画したとき、前記低間隔側領域の面積aと前記長間隔側領域の面積bとの比であるa/bは、0.5以上、2.0以下である、吸収性物品。
本吸収性物品では、接合部の各融着部がコア部と周壁部とを有する。ここで、周壁部は、腹側シート部材と背側シート部材が溶融し、厚さ方向に一体化しつつ、固化して、筒状かつ壁状に形成されている。そのため、通常、周壁部は、その周囲の腹側シート部材や背側シート部材よりも強固で、破断し難い。したがって、接合部を剥離する場合、周壁部そのものは破断し難く、その周囲の腹側シート部材又は背側シート部材が周壁部との境界部分又はその境界部分の周辺部分(以下、単に「境界部分」という。)で破断し易くなっている。それにより、吸収性物品を取り外すために接合部を引き剥がすとき、腹側シート部材又は背側シート部材における融着部(の周壁部)との境界部分に破断を生じさせ易くすることができる。その結果、例えば腹側シート部材には融着部を残存させ、背側シート部材には融着部が除去された穴を形成し易くすることができる。それにより、接合部の腹側部の部分及び背側部の部分を互いに縦方向に連続的に容易に引き剥し得る。
ただし、周壁部の幅(縦方向又は横方向)が不均一の場合、例えば幅が部分的に小さい場合には、腹側シート部材や背側シート部材シート部材における融着部(周壁部)との境界部分ではなく、周壁部そのもの(幅が小さい部分)に破断が生じ易くなる可能性がある。そのような融着部(周壁部)の数が相対的に少なければ、実際に周壁部そのものに破断が生じる可能性は低いが、その数が相対的に多くなると、実際に周壁部そのものに破断が生じる可能性が高くなる。そうなると、接合部の腹側部の部分及び背側部の部分を互いに縦方向に連続的に引き剥し難くなる。そこで、本吸収性物品では、更に、周壁部の幅の均一性を高めるために、接合部の剥離強度の試験において、低間隔側領域の面積aと長間隔側領域の面積bとの比であるa/bが、0.5以上、2.0以下になるようにしている。すなわち、低間隔側領域の面積aと長間隔側領域の面積bとが概ね等しくなるようにしている。
ここで、接合部の接合はほぼ融着部で形成されているので、接合部の剥離強度に主に影響するのは、融着部(の周壁部)及びその周囲のシート部材である。すなわち、剥離試験における間隔と荷重との関係を示すグラフに現れるのは、それらの融着部(の周壁部)及びその周囲のシート部材の破断に関する荷重ということができる。したがって、低間隔側領域は、試験機による試料の剥離方向に対して融着部の前側の半分及びその周囲のシート部材(以下、「前半部分」ともいう。)の破断を示している。一方、長間隔側領域は、剥離方向に対して融着部の後側の半分及びその周囲のシート部材(以下、「後半部分」ともいう。)の破断を示している。
本吸収性物品では、剥離強度のグラフで表される特定領域において、低間隔側領域の面積aと長間隔側領域の面積bとが概ね同じであるので、前半部分の破断のエネルギーと後半部分の破断のエネルギーが概ね同じである。したがって、前半部分の破断と後半部分の破断とは、概ね同じように進行したと考えられる。すなわち、融着部の前側の半分とその周囲のシート部材との間の破断の状態と、融着部の後側の半分とその周囲のシート部材との間の破断の状態とは、概ね同じであると考えられる。よって、周壁部に部分的に幅が小さ過ぎるというような箇所は生じていないということができる。言い換えると、周壁部において幅が不均一な部分が少ないということができる。
このように本吸収性物品において、融着部は、全体として周壁部の幅が比較的均一である。そのため、腹側部と背側部とを互いに引き剥がすとき、引き剥がそうとする力により周壁部そのものが破断することを抑制でき、腹側シート部材又は背側シート部材における融着部(周壁部)との境界部分に破断を生じ易くすることができる。すなわち、周壁部で破断する融着部の数を相対的に少なくすることができる。その結果、各接合部を、縦方向に沿って最後まで腹側部と背側部とに引き剥し易くすることができ、周壁部が破断し、破断した部分から破断が進展して、接合部以外の部分のシート部材を破断することを抑制できる。
このように、接合部を有する本吸収性物品は、吸収性物品の取り外し時に、接合部以外のシート部材を破らずに、腹側部と背側部とに適切に分離し易くすることが可能となる。
なお、所定の基準荷重とは、試料における融着部以外の部分において、腹側シート部材と背側シート部材とを引き剥がすときに要する荷重であり、融着部以外の接合(例示:繊維同士の自然な交絡など)の剥離に関する荷重である。そのような荷重としては、例えば、4N/25mmが挙げられる。
本発明の吸収性物品は、(2)前記融着部における破断強度は、前記腹側シート部材及び前記背側シート部材のいずれか一方における前記融着部を含まない部分の破断強度よりも高い、上記(1)に記載の吸収性物品、であってもよい。
本吸収性物品では、上記構成を有することにより、腹側部と背側部とを互いに引き剥がすとき、シート部材(融着部を含まず)における融着部との境界部分に破断をより生じ易くすることができ、より多くの融着部において周壁部が破断することを抑制できる。それにより、吸収性物品の取り外し時に、接合部以外のシート部材を破らずに、腹側部と背側部とをより確実に分離することができる。
本発明の吸収性物品は、(3)前記融着部における破断強度は、前記腹側シート部材及び前記背側シート部材のいずれか一方における前記融着部を含まない部分の破断強度を100%とすると、110%以上である、上記(2)に記載の吸収性物品、であってもよい。
本吸収性物品では、腹側シート部材又は背側シート部材(融着部を含まず)の破断強度を100%とすると、融着部の破断強度の下限は110%である。そのため、より多くの融着部において周壁部が破断することを抑制でき、よりシート部材(融着部を含まず)における融着部との境界部分に破断を生じ易くすることができる。それにより、吸収性物品の取り外し時に、接合部以外のシート部材を破らずに、腹側部と背側部とを更により確実に分離し易くすることができる。なお、融着部の破断強度の上限は特にないが、破断強度が高過ぎると融着部が固くなり過ぎることになり、装着者や介護者が接触したときに違和感を生じるおそれがあるので、300%以下が好ましい。
本発明の吸収性物品は、(4)前記周壁部の前記厚さ方向の寸法は、前記コア部の前記厚さ方向の寸法よりも大きく、前記複数の融着部の各々における前記厚さ方向の前記コア部の位置は、前記厚さ方向における前記腹側部と前記背側部との境界よりも前記腹側部の側又は前記背側部の側にずれている、上記(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の吸収性物品、であってもよい。
本吸収性物品では、接合部における複数の融着部すべてにおいて、コア部の位置が、腹側部と背側部との境界よりも腹側部の側又は背側部の側にずれている。ここで、接合部を引き剥がすときには、コア部が存在する側のシート部材に融着部が残存し、コア部が存在しない側のシート部材に融着部が除去された穴が形成される。したがって、本吸収性物品では、接合部における複数の融着部すべてにおいて、コア部の位置が、特定の側(腹側部の側又は背側部の側)にずれることで、融着部の残存と穴の形成が同じ側で行われることになる。それにより、接合部を引き剥がすときの腹側部と背側部との分離をよりスムーズかつ適切に行うことができる。
本発明の吸収性物品は、(5)前記腹側シート部材及び前記背側シート部材の少なくとも一方に、前記横方向に前記接合部まで延び、前記縦方向に間隔を空けて並んだ複数の弾性部材を更に備え、前記複数の弾性部材は、前記接合部において、前記複数の融着部と前記厚さ方向に重ならない、上記(1)乃至(4)のいずれか一項に記載の吸収性物品、であってもよい。
本吸収性物品では、接合部において、複数の弾性部材が複数の融着部と厚さ方向に重なっていない。そのため、弾性部材が融着部と重なり、周壁部の面内方向の寸法(厚さ)が不均一になって、周壁部が破断し易くなる、という事態を回避できる。それにより、吸収性物品の取り外し時に、シート部材に配置された弾性部材の影響を受けることなく、より多くの融着部において周壁部が破断することを抑制でき、よりシート部材における融着部との境界部分に破断を生じ易くすることができる。また、吸収性物品の取り外し時に、弾性部材が融着部と共に分離され、取り外し作業中の装着者又は介護者の肌に当たる、という事態を抑制できる。それにより、接合部以外のシート部材を破らずに、腹側部と背側部とにより適切に分離し易くできる。
なお、複数の弾性部材が複数の融着部と重ならない、とは、複数の弾性部材のうちの少なくとも80%以上が複数の融着部と重ならないことを意味する。
本発明の吸収性物品は、(6)前記複数の融着部は、前記厚さ方向から見た前記コア部の形状が円形又は楕円形である融着部を含む、上記(1)乃至(5)のいずれか一項に記載の吸収性物品、であってもよい。
本吸収性物品では、上記構成を有しているため、コア部の形状が円形又は楕円形である場合、周壁部の外縁の描く形状も概ね円形又は楕円形となる。したがって、吸収性物品の取り外しのとき、シート部材における融着部との境界部分が、境界部分を破断するときの力の方向に対して曲面になる。それゆえ、融着部ごとに、円形又は楕円形の曲面に沿って徐々に、シート部材における融着部との境界部分に破断を生じ易くできる。それにより、腹側部と背側部とをスムーズかつ適切に分離し易くすることが可能となる。
本発明の吸収性物品は、(7)前記接合部において前記縦方向に沿って配置された前記複数の融着部の破断強度は同一である、上記(1)乃至(6)のいずれか一項に記載の吸収性物品、であってもよい。
本吸収性物品では、上記構成を有するため、吸収性物品の取り外しのとき、装着者又は介護者が概ね同じ大きさの力を用いて、接合部を縦方向に沿って最後まで連続的に安定的に引き剥すことができる。すなわち、腹側部と背側部とをスムーズかつ適切に分離し易くすることが可能となる。ただし、ここでいう同一とは、複数の融着部の破断強度がいずれも破断強度の平均値±10%以内の範囲にすべて含まれる、という意味である。
本発明の吸収性物品は、(8)前記複数の融着部の各々において、前記厚さ方向から見て、前記周壁部の面積は、前記コア部の面積を100%とすると、5〜60%の範囲内である、上記(1)乃至(7)のいずれか一項に記載の吸収性物品、であってもよい。
本吸収性物品では、各融着部において、コア部の面積を100%とすると、周壁部の面積の下限は5%である。すなわち、融着部の接合の機能を担う主な部分はコア部であるが、コア部に対する周壁部の割合を多くすることで、周壁部をより強固にすることができる。それゆえ、融着部をシート部材と比較してより強固にする(破断強度を高くする)ことができ、シート部材における融着部との境界部分に破断を生じ易くすることができる。それにより、吸収性物品の取り外し時に、接合部以外のシート部材を破らずに、腹側部と背側部とを更により分離し易くすることができる。なお、周壁部の面積の上限は、コア部が接合の機能を担う主な部分である観点から60%以下が好ましい。
本発明によれば、接合部を有する吸収性物品において、吸収性物品の取り外し時に、接合部以外のシート部材を破ることを抑制でき、腹側部と背側部とを適切に分離し易くすることができる。
実施形態に係る使い捨ておむつの構成例を示す斜視図である。 使い捨ておむつの展開状態を示す平面図である。 製造工程での腹側部及び背側部を横方向の端部の側から見た模式図である。 製造工程での接合部の形成方法を説明する模式図である。 使い捨ておむつにおける接合部の構成例を示す平面図である。 接合部における複数の融着部の構成例を説明する平面図である。 融着部の構成例を示す平面図及び斜視図である。 接合部の剥離試験を説明する模式図である。 剥離試験における荷重と間隔との関係を示すグラフである。 融着部における引き剥しの様子を説明する模式図である。 接合部における複数の融着部の他の構成例を説明する平面図である。 融着部の他の構成例を示す平面図である。
以下、本発明の実施の形態に係る吸収性物品について、パンツ型使い捨ておむつ(以下、単に「使い捨ておむつ」ともいう。)を例として説明する。ただし、本発明は、その例に限定されるものでは無く、本発明の主題を逸脱しない範囲で種々の吸収性物品に対して適用可能である。吸収性物品としては、例えば、いわゆる3ピースタイプや2ピースタイプの使い捨ておむつ、ウエスト開口部の左右両側部の一方には接合部が形成され、他方には接合部が形成されず、互いに接合(又は係止)可能な接合(係合)手段(例示:面ファスナー)が形成されている使い捨ておむつが挙げられる。
図1及び図2は本実施形態に係る使い捨ておむつ1を示す図である。ただし、図1は使い捨ておむつ1の構成例を示す斜視図であり、図2は使い捨ておむつ1を展開した状態を示す平面図である。使い捨ておむつ1は、図2に示す状態において、互いに直交する縦方向Lと横方向Wと厚さ方向Tとを有し、横方向Wの中心を通り縦方向Lに延びる中心軸線CLと、縦方向Lの中心を通り横方向Wに延びる中心軸線CWとを有する。ここで、中心軸線CLに向かう向き及び側をそれぞれ横方向Wの内向き及び内側とし、遠ざかる向き及び側をそれぞれ横方向Wの外向き及び外側とする。一方、中心軸線CWに向かう向き及び側をそれぞれ縦方向Lの内向き及び内側とし、遠ざかる向き及び側をそれぞれ縦方向Lの外向き及び外側とする。また、水平面上に置いた使い捨ておむつ1を垂直上方側から厚さ方向Tに見ることを「平面視」といい、平面視で把握される形状を「平面形状」といい、長さ方向及び横方向Wを含む平面内の任意方向を「面内方向」という。「肌側」及び「非肌側」とは使い捨ておむつ1の装着時に、使い捨ておむつ1の厚さ方向Tにおいて相対的に装着者の肌面に近い側及び遠い側をそれぞれ意味する。なお、使い捨ておむつ1の各資材や、図1に示す状態の使い捨ておむつ1についても上述の各定義を用いるものとする。
使い捨ておむつ1は、腹側部11と、背側部13と、腹側部11と背側部13との間の中間部12とを備えている。腹側部11は、使い捨ておむつ1のうちの装着者の腹部に対面する部分である。中間部12は、使い捨ておむつ1のうちの装着者の股間部に対面する部分である。背側部13は、使い捨ておむつ1のうちの装着者の尻部又は背部に対面する部分である。腹側部11と背側部13とは、腹側部11及び背側部13の横方向Wの両端に位置する一対の接合部14a、14bで互いに接合されている。接合部14aは、腹側部11の横方向Wの一方の端部11aと背側部13の横方向Wの一方の端部13aとが縦方向Lに沿って厚さ方向Tに重なり合った状態で互いに接合され形成されている。同様に、接合部14bは、腹側部11の横方向Wの他方の端部11bと背側部13の横方向Wの他方の端部13bとが縦方向Lに沿って厚さ方向Tに重なり合った状態で互いに接合され形成されている。この場合、使い捨ておむつ1では、腹側部11における縦方向Lの外側の端部11eと背側部13における縦方向Lの外側の端部13eとにより装着者の腰が通るウエスト開口部WOが画定される。また、使い捨ておむつ1では、中間部12における横方向Wの両側の側部12a、12bにより装着者の脚が通る一対のレッグ開口部LO、LOが画定される。なお、図1に示す状態での各接合部14a、14bの縦方向、横方向及び厚さ方向は、図2に示す状態での縦方向L、横方向W及び厚さ方向Tと同じである。
本実施形態では、図2に示す状態で、腹側部11及び背側部13はそれぞれ概ね横方向Wに拡がる矩形形状を有し、縦方向Lに互いに離間して位置する。中間部12は、腹側部11と背側部13との間に位置し、横方向Wの両側縁が横方向Wの内向きに窪んでいる。腹側部11、中間部12及び背側部13は互いに一体的に形成される。別の実施形態(図示されず)では、腹側部11、中間部12及び背側部13は互いに別個に形成される。
本実施形態では、使い捨ておむつ1は、腹側部11及び背側部13に、それぞれウェストギャザー用の複数の弾性部材8a、8bを備えている。複数の弾性部材8aは、腹側部11の縦方向Lの端部11eに沿い、横方向Wの一方の端部11aから他方の端部11bまで延び、縦方向Lに互いに間隔を空けて配置されている。同様に、複数の弾性部材8bは、背側部13の縦方向Lの端部13eに沿い、横方向Wの一方の端部13aから他方の端部13bまで延び、縦方向Lに互いに間隔を空けて配置されている。複数の弾性部材8a、8bは、ウエスト開口部WOを伸縮させ、糸ゴムに例示される。
本実施形態では、使い捨ておむつ1は、中間部12から背側部13及び腹側部11にレッグギャザー用の複数の弾性部材8c、8c’を備えている。複数の弾性部材8c、8c’は、中間部12における縦方向Lの中央にて横方向Wに沿って延びて、中間部12の横方向Wの両端部に達し、その後に縦方向Lに沿って、それぞれ背側部13の端部13a、13b及び腹側部11の端部11a、11bまで延びるように、互いに間隔を空け連続的に配置されている。複数の弾性部材8c、8c’は、一対のレッグ開口部LO、LOをそれぞれ伸縮させ、糸ゴムに例示される。
本実施形態では、使い捨ておむつ1の腹側部11、中間部12及び背側部13は、液不透過性のカバーシート(シート部材)5から形成されている。図3は、腹側部11及び背側部13を横方向Wの端部の側から個別に見た模式図である。ただし、弾性部材の記載は省略される。カバーシート5は、互いに厚さ方向Tに積層され、互いに接着剤等で接合された、肌側に位置するカバーシート5aと非肌側に位置するカバーシート5bとを含んでいる。カバーシート5bの縦方向Lの両端部は、カバーシート5aの縦方向Lの両端部を覆うように、肌側に折り返されている。その場合、腹側部11及び背側部13における折り返しの位置のカバーシート5bが、それぞれ腹側部11の端部11e及び背側部13の端部13eを構成する。領域Aはカバーシートが三層の領域、領域Bはカバーシートが二層の領域である。よって、腹側部11の端部11e及び背側部13の端部13eは、三枚分のカバーシート5b、5a、5bが積層された三層構造を有する。各三層構造の縦方向Lの長さは例えば10mm〜100mmが挙げられる。本実施形態では、複数の弾性部材8a、8b、8c、8c’はカバーシート5aとカバーシート5bとの間に位置する。
カバーシート5としては、例えば液不透過性の不織布や合成樹脂フィルム、これらの複合シート、SB不織布、SMS不織布など、任意の液不透過性シートが挙げられる。カバーシート5の材料としては、例えばポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン系材料が挙げられる。カバーシート5の坪量は、例えば5〜100g/mであり、好ましくは10〜50g/mである。カバーシート5の厚さ方向Tの寸法(厚さ)としては、例えば0.2〜5mmであり、好ましくは0.2〜2mmである。別の実施形態ではカバーシート5は一枚、又は、二枚以上である(図示されず)。更に別の実施形態ではカバーシート5bは折り返されていない。
本実施形態では、使い捨ておむつ1は、カバーシート5の肌側の表面に吸収性本体10を備えている。吸収性本体10は、液透過性の表面シート2と、液不透過性の裏面シート3と、表面シート2と裏面シート3との間に位置し、液を吸収・保持する吸収体4と、を含む。表面シート2として、例えば液透過性の不織布や織布、液透過孔が形成された合成樹脂フィルム、これらの複合シートなどが挙げられる。裏面シート3として、例えば液不透過性の不織布や合成樹脂フィルム、これらの複合シート、SMS不織布などが挙げられる。吸収体4は、本実施形態では液を吸収し保持する吸収体コアと吸収体コアを内包するコアラップとを含む。吸収体4として、パルプ繊維、合成繊維、吸収性ポリマなどが挙げられる。吸収体4と表面シート2及び裏面シート3とはそれぞれ接着剤により接合され、表面シート2と裏面シート3とはそれらの周縁部分において接着剤により接合される。接着剤は、使い捨ておむつで一般的な公知の材料、例えば熱可塑性接着剤が挙げられる。
本実施形態では、使い捨ておむつ1は液不透過性の防漏壁6a、6bを備える。防漏壁6a、6bは表面シート2の横方向Wの両側に、縦方向Lに沿って配置される。防漏壁6a、6bの横方向Wの内側の端部には、それぞれ縦方向Lに延び、横方向Wに間隔を空けて並んだ複数の弾性部材8d、8eが配置される。複数の弾性部材8d、8eは、それぞれ防漏壁6a、6bを伸縮させる。弾性部材8d、8eとしては糸ゴムが挙げられる。
次に、使い捨ておむつ1の製造方法の一例について説明する。
まず、図2に示す展開状態の使い捨ておむつが横方向Wに連続的に連結された使い捨ておむつ連続体(図示されず)が形成される。使い捨ておむつ連続体は、隣り合う使い捨ておむつのうちの一方の腹側部11の端部11b及び背側部13の端部13bが、それぞれ他方の腹側部11の端部11a及び背側部13の端部13aに連結された構造を有する。使い捨ておむつ連続体は、横方向Wが搬送方向MDと平行になるように搬送される。続いて、使い捨ておむつ連続体は、搬送方向MDに搬送されつつ、折り畳み装置(図示されず)で、中心軸線CWに沿って縦方向Lに折り畳まれる。すなわち、使い捨ておむつ連続体では、各使い捨ておむつの腹側部11の端部11aと背側部13の端部13aとが積層され、腹側部11の端部11bと背側部13の端部13bとが積層される。次いで、使い捨ておむつ連続体では、接合部形成装置(図示されず)により、腹側部11及び背側部13の両端部がそれぞれ超音波シールで接合される。図4は、接合部の形成方法を説明する模式図である。この図は、図3における領域Bの一部を示す。具体的には、接合部形成装置の超音波ホーン43とアンビルの凸部41とにより、使い捨ておむつ連続体Sにおける腹側部11の端部11aと背側部13の端部13aとの積層部分、及び、腹側部11の端部11bと背側部13の端部13bとの積層部分がそれぞれ挟持される。その挟持された部分に、所定の期間、所定の超音波のエネルギーが供給される。それにより、それら積層部分の複数のカバーシート5b、5a、5a、5bが互いに融着され、コア部MC及び周壁部SWを含む融着部30が形成される。その融着部30により、腹側部11と背側部13の両端部がそれぞれ接合され、一対の接合部14a、14bが形成される。接合部形成装置として、例えば特許文献2に記載のシール装置が挙げられる。供給されるエネルギーの大きさ、供給のタイミングや期間により、コア部MCや周壁部SWの形状等を制御できる。例えば、搬送速度を通常よりも低く設定することや、エネルギーを通常よりも高くすることや、凸部41の大きさを通常よりも小さくして、カバーシートの融着部を形成すべき領域に供給される単位面積当たりのエネルギー密度を高めて、エネルギーを効率的に利用することなどで、凸部41の先端だけでなく、凸部41の周囲にもエネルギーを十分に付与できるように制御できる。それにより、通常、凸部41の先端に形成されるコア部MCだけでなく、凸部41の周囲に周壁部SWも形成することができる。なお、凸部41は超音波ホーンに形成され、アンビルが平坦に形成されてもよい。
次に、接合部14a、14bの構成について説明する。ただし、接合部14aと接合部14bとは、横方向Wでの左右の違いを除いて、構成がほぼ同じである。よって、以下では主に接合部14aの構成を説明し、接合部14bの構成の説明を省略する。
図5は、使い捨ておむつ1における接合部14aの構成例を模式的に示す平面図である。図5は接合部14aを背側部13の側から見た図である。本実施形態では、接合部14aにおいて、腹側部11における端部11aの縦方向Lの外側の端縁11aeと、背側部13における端部13aの縦方向Lの外側の端縁13aeとがほぼ重なる。接合部14aの縦方向L及び横方向Wの寸法は、例えばそれぞれ50〜250mm及び3〜20mmが挙げられる。別の実施形態では、端縁11aeと端縁13aeとが縦方向Lに所定長(例示:0.5〜10mm)ずれている(図示されず)。
接合部14aは、縦方向Lに沿って互いに離間しつつ配置された複数の融着部30を備えている。この場合、端部11aと端部13aとは、少なくとも複数の融着部30により接合されている。接合部14aにおける融着部30が形成されない部分は接合されていない。別の実施形態では、接合部14aにおける融着部30が形成されない部分は、その全部又は一部が接着剤(例示:ホットメルト接着剤)で接合される(図示されず)。
本実施形態では、接合部14aにおいて、複数の融着部30は、縦方向Lに沿って間隔を空けて並んで配置されることで、融着部列30Lを構成する。融着部列30Lは一列であり、融着部30同士の縦方向Lの間隔は一定である。ただし、別の実施形態では、融着部列30Lは、複数列であり、横方向Wに間隔を空けて並んで配置される(図示されず)。また、更に別の実施形態では、融着部列30Lの全部又は一部において融着部30同士の縦方向Lの間隔は位置により異なる(図示されず)。
本実施形態では、複数の弾性部材8aは、腹側部11のカバーシート5a、5b間に、横方向Wに接合部14a、14bまで延び、縦方向Lに間隔を空けて並ぶように設けられている。同様に、複数の弾性部材8bは、背側部13のカバーシート5a、5b間に、横方向Wに接合部14a、14bまで延び、縦方向Lに間隔を空けて並ぶように設けられている。そして、複数の弾性部材8a、8bは(、好ましくは弾性部材8c、8c’も)、少なくとも接合部14aにおいて、複数の融着部30と厚さ方向Tに重ならないように配置されている。
本実施形態において、接合部14aは、縦方向Lにおいて、ウエスト開口部WO側の端部を含むウエスト側端部領域21と、レッグ開口部LO側の端部を含むレッグ側端部領域23と、両領域の間の中央領域22とを有している。ウエスト側端部領域21及びレッグ側端部領域23は、縦方向Lにおいて、それぞれウエスト開口部WO及びレッグ開口部LOの端縁から接合部14aの1/8〜1/3の範囲の領域であり、中央領域22は、残りの領域である。ウエスト側端部領域21とレッグ側端部領域23とは縦方向Lに同じ長さを有する。各領域にて、融着部30は、同一の列の数、同一の間隔(製造誤差あり)で配置される。別の実施形態では、ウエスト側端部領域21とレッグ側端部領域23とは縦方向Lの長さが異なる(図示されず)。別の実施形態では、融着部30の大きさ、間隔及び列の数の少なくとも一つが少なくとも一つの領域で他の領域と異なる(図示されず)。
図6は、接合部14aにおける複数の融着部30の構成例を説明する平面図である。図6(a)は、厚さ方向Tの背側部13の側から見た融着部30(融着部列30L)を示し、図6(b)は、融着部30を超音波シール法で形成するアンビルにおける先端部の凸部41の形状及び配置を示している。本実施形態では、融着部列30Lとして、ウエスト側端部領域21、中央領域22及びレッグ側端部領域23の複数の融着部30はいずれも同じ平面形状を有している。言い換えると、各領域の各融着部30を超音波シール法で形成する場合には、各領域の各融着部30用のアンビルの凸部41の平面形状は同じである。ただし、凸部41の平面形状は特に制限は無く、例えば円、楕円、矩形、角丸長方形、多角形などが挙げられる。本実施形態では、凸部41の平面形状は楕円であり、縦方向Lの寸法d21(短径)<横方向Wの寸法d22(長径)であり、それらの大きさとしては、例えば0.5mm〜5mmが挙げられる。縦方向Lに隣り合う凸部41間の距離d23(長径間距離)としては、例えば1mm〜30mmが挙げられる。
次に、融着部30の構成について更に説明する。ここで、中央領域22の融着部30の構成を説明する。なお、レッグ側端部領域23の融着部30の構成も、ウエスト側端部領域21の構成(カバーシート5の枚数を除く)も、中央領域22の融着部30の構成と同様であるので、その説明を省略する。図7は、融着部30の構成の一例を示す平面図及び斜視図である。ただし、図7(a)は中央領域22の融着部30の平面図であり、図7(b)は中央領域22の融着部30を縦方向Lから見た断面を含む斜視図である。融着部30は、コア部MCと周壁部SWとを含んでいる。
本実施形態では、コア部MCは、腹側部11の複数のカバーシート5a、5bと背側部13の複数のカバーシート5a、5bとを厚さ方向Tに互いに融着した構成を有する。コア部MCは、超音波ホーンの先端部とアンビルの凸部との間に挟持された複数のカバーシート5b、5a、5a、5bが超音波ホーンから供給されるエネルギーで溶融されつつ、厚さ方向Tに圧縮されて、固化することにより形成される。そのため、コア部MCは、厚さ方向Tにおいて極めて強く接合されている。コア部MCの厚さ方向Tの寸法(厚み)dTとしては、例えば20〜500μmが挙げられる。コア部MCの寸法dTは、腹側部11及び背側部13の複数のカバーシート5b、5a、5a、5bを単に積層した厚さ方向Tの寸法(例示:200〜5000μm)と比較して著しく小さい。dTが20μm未満になると、カバーシート同士の融着が安定せず、融着時に穴が開き易くなり、500μmを超えると、融着が完全に行われず、破断し易くなるおそれがある。
また、本実施形態では、コア部MCの平面形状は、アンビルの凸部41の平面形状と概ね同じになり、例えば円、楕円、矩形、角丸長方形、多角形などが挙げられる。本実施形態では、楕円である。そのとき、縦方向Lの寸法及び横方向Wの寸法は、凸部41の縦方向Lの寸法d21及び横方向Wの寸法d22と概ね同じになり、0.5mm〜5mmである。コア部MCの各寸法が0.5mm未満の場合、融着部30が小さ過ぎて破断し易く、装着時に接合部14aが意図せずに剥がれるおそれがある。コア部MCの各寸法が5mm超えの場合、融着部30が大き過ぎて、装着者が硬さを感じるなど違和感を覚えるおそれがある。また、隣り合うコア部MC間の距離は、隣り合う凸部41間の距離と概ね同じになり、1mm〜30mmである。距離が1mm未満の場合、接合部14aの融着部30の数が多くなり、取り外し時に引き剥し難くなるおそれがある。30mmを超える場合、融着部30の数が少なくなり、装着時に接合部14aが意図せずに剥がれるおそれがある。
更に、本実施形態では、融着部30では、コア部MCの厚さ方向Tの位置は、腹側部11と背側部13との境界から腹側部11又は背側部13の側にずれている。ただし、コア部MCの厚さ方向Tの位置は、コア部MCの厚さ方向Tの中心の位置とする。コア部MCが平坦でない場合には、縦方向Lにおける、コア部MCと周壁部SWとの結合部でのコア部MCの厚さ方向Tの中心の位置とする。例えば、図7(b)の例では、コア部MCの厚さ方向Tの位置は、腹側部11の側にずれて、腹側部11のカバーシート5aとカバーシート5bとの間の位置である。腹側部11と背側部13との境界からの厚さ方向Tのずれは、例えば10〜500μmが挙げられる。別の実施形態では、厚さ方向Tにおいて、コア部MCの端面の位置は腹側部11又は背側部13のカバーシート5の端面の位置と一致する(図示されず)。
本実施形態では、周壁部SWは、コア部MCを筒状に囲みつつ、コア部MCの周縁から厚さ方向Tに延びるように、腹側部11の複数のカバーシート5a、5bと背側部13の複数のカバーシート5a、5bとを厚さ方向Tに互いに融着した構成を有する。本実施形態では、周壁部SWは、超音波ホーンの先端部から供給されるエネルギー又はコア部MCの融着時の熱により、複数のカバーシート5b、5a、5a、5bが溶融されつつ、コア部MCの圧縮に引き摺られて厚さ方向Tにやや圧縮され、固化することにより形成される。そのため、周壁部SWは、厚さ方向Tにおいて比較的強く接合されている。周壁部SWの厚さ方向Tの寸法(厚み)DTとしては、例えば100〜1000μmが挙げられる。周壁部SWの寸法DTは、腹側部11及び背側部13の複数のカバーシート5b、5a、5a、5bを単に積層した厚さ方向Tの寸法(例示:200〜5000μm)と比較して小さい。しかし、周壁部SWは超音波ホーンの先端部やアンビルの凸部41によっては加圧されないため、周壁部SWの寸法DTは、コア部MCの寸法dT(例示:20〜500μm)と比較して大きい。DTの大きさが100μm未満では、周壁部SWの破断強度が弱くなり、取り外し時に予期せぬ方向にカバーシートが破れるおそれがある。DTの大きさが1000μm超えでは、装着者や介護者の肌に当たり違和感を覚えるおそれがある。
ここで、周壁部SWは、筒形であり、筒の外側の面を構成する外側面OSと、筒の内側の面を構成する内側面ISと、を有している。したがって、周壁部SWの面内方向の寸法(厚さ)は、外側面OSと内側面ISとの距離ということができる。その外側面OS及び内側面ISは、厚さ方向Tに平行な断面で融着部30を切断したとき、その断面において、コア部MCの周縁から厚さ方向Tに沿って立設する周壁部における外側及び内側の表面である。その垂直な断面は、例えば走査型電子顕微鏡で観察することで得ることができる。外側面OSは、カバーシート5のうちの融着部30の無い部分と融着部30との境界面である。したがって、カバーシート5の繊維が外側面OSの表面から飛び出している面であり、それに伴い多少の凹凸のある面である。一方、内側面ISは、アンビルの凸部41と接した面である。したがって、カバーシート5の繊維が一部に残存する場合はあるが、比較的平滑な面である。また、外側面OS及び内側面ISは、必ずしもコア部MCの表面に対して垂直に交差している必要はなく、ある程度傾いていてもよい(例示:垂直に対して±30°)。ここで、筒形(又は筒状)とは、細長くて中空になっているものであって、管状のものをいう。その筒形は、厚さ方向Tに沿って延びていれば、曲がっていたり蛇行していたりしてもよいし、厚さ方向Tに垂直な断面の形状が円、楕円、多角形、それらの組み合わせなど種々の形状を有していてもよいし、厚さ方向Tに垂直な断面の形状及び面積が厚さ方向Tに一定でなくてもよい。
また、本実施形態では、周壁部SWの平面形状は、コア部MCを概ね均一な幅DPで囲む環の形状を有しており、例えば円環、楕円環、矩形環、角丸長方形環、多角形環などが挙げられる。本実施形態では、楕円環である。そして、周壁部SWにおいて、環において位置による幅DPの変化は少なく、部分的に急激に薄くなったり厚くなったりすることはほとんどなく、不均一な形状ではない。すなわち、周壁部SWの面内方向における幅DP(又は肉厚)は、不均一ではない。ただし、不均一とは、周壁部SWにおいて、幅DPが、その平均値の1/2以下の小さい値になる箇所や、その平均値の2倍以上の大きい値になる箇所があることをいう。なお、幅DPが厚さ方向Tに一定でないときには、腹側部11と背側部13との境界での幅とする。幅DPの大きさしては、例えば50〜400μmが挙げられる。幅DPが50μm未満の場合には、周壁部SWが薄過ぎて破断し易く、装着時に接合部14aが意図せずに剥がれるおそれがある。DPが400μmを超える場合には、周壁部SWが厚過ぎて、装着者が硬さを感じるなど違和感を覚えるおそれがある。
本実施形態では、融着部30において、厚さ方向Tから見て(平面視で)、周壁部SWの面積Saは、コア部MCの面積Sbを100%とすると、5〜60%の範囲内である。周壁部SWの面積Saは、コア部MCの面積Sbの5〜55%の範囲が好ましく、5〜50%の範囲がより好ましい。周壁部SWの面積Saを5%未満とすると、周壁部SWの強度が低下し、使い捨ておむつの取り外し時に周壁部SWそのものが破断するおそれがある。周壁部SWの面積Saを60%超えとすると、周壁部SWが大き過ぎて、装着者が硬さを感じるなど違和感を覚えるおそれがある。
周壁部SWの幅DPの均一性は、例えば、使い捨ておむつ1の接合部14aにおける腹側部11のカバーシート5と背側部13のカバーシート5との間の剥離試験により評価できる。以下、具体的に説明する。
図8は、接合部14aの剥離試験を説明する模式図である。接合部の剥離試験は、本実施の形態では、T型剥離試験であって、接合部14aの少なくとも一部を含む部分を試料とし、その試料の腹側部11及び背側部13のカバーシート5、5における同じ側の端部を、剥離試験の試験機が備える二つのチャック51、51でそれぞれ把持し、二つのチャック51、51の間隔Dmが拡がるように一定速度で引っ張って接合部14aを剥離させて、二つのチャック51、51間に掛かる荷重と間隔との関係に基づき、接合部14aの剥離強度を測定する試験である。具体的には、T型剥離試験は次のように行う。
<A.接合部のT型剥離試験>
(1)使い捨ておむつ1における接合部14a(腹側部11のカバーシート5(腹側シート部材)及び背側部13のカバーシート5(背側シート部材)を含む)の一部を含む部分を、縦方向L25mm×横方向W50mmの大きさで切り出し、試料とする。
(2)剥離試験用の試験機50を使用し、切り出した試料の腹側部11のカバーシート5及び背側部13のカバーシート5における横方向Wの同じ側(切り出される前の使い捨ておむつ1の中央側)の端部を、試験機50が備える二つのチャック(冶具)51、51でそれぞれ把持する。ただし、把持するときのチャック間の距離(初期値)は予め30mmに設定されている。
(3)試験機50にて、二つのチャック51、51の間隔Dmが拡がるように、二つのチャック51、51を一定速度(例示:100mm/min)で引張って、接合部14aの腹側部11のカバーシート5と背側部13のカバーシート5とを180°方向に剥離させつつ、二つのチャック51、51の間隔Dmと二つのチャック51、51に掛かる荷重Fを測定する。
(4)二つのチャック51、51間に掛かる荷重Fと二つのチャック51、51の間隔Dmとの関係に基づき、接合部14aの剥離強度を測定する。測定された荷重Fの最大値を剥離強度(N/25mm)とする。これにより接合部14aの縦方向L25mmの部分に含まれるm個の融着部30(例示:m=6)による接合に対する剥離強度が計測される。この場合、一測定の結果は例えばm個分の融着部30の総合的な値又は均した値と見ることができる。ここで、上記(1)〜(4)の測定は、接合部14aに含まれる複数の融着部30のすべて(例示:60個)が評価されるように行われる。例えば、融着部30の総数が60個で、一測定につき6個分(m=6)の融着部30を測定する場合、少なくとも10回の測定が行われる。
図9は、図8の剥離試験における荷重Fと間隔Dとの関係の一例を示すグラフGである。ただし、横軸は二つのチャック51、51の間隔D(=Dm−30(初期値))(mm)を示し、縦軸は二つのチャック51、51間に掛かる荷重F(N/25mm)を示す。ここで、間隔Dと荷重Fとの関係を示すグラフGで示される領域のうち、荷重Fが所定の基準荷重F0以上となる、すなわち間隔DがD01〜D02となる特定領域について考える。その特定領域を、荷重Fが最大値F1を示すときの間隔Dである最大荷重間隔D1を境界として低間隔側の低間隔側領域Aaと、長間隔側の長間隔側領域Abと、に区画する。低間隔側領域Aaは、図9にて、基準荷重F0を示す破線B1であって、間隔DがD01〜D1の範囲の破線B1aと、グラフGの実線であって、間隔DがD01〜D1の範囲の実線G1と、最大荷重間隔D1を示す破線B2であって、荷重FがF0〜F1の範囲の破線B2yと、で囲まれる領域である。同様に、長間隔側領域Abは、図9にて、基準荷重F0を示す破線B1であって、間隔DがD1〜D02の範囲の破線B1bと、グラフGの実線であって、間隔DがD1〜D02の範囲の実線G2と、最大荷重間隔D1を示す破線B2であって、荷重FがF0〜F1の範囲の破線B2yと、で囲まれる領域である。
なお、所定の基準荷重とは、試料における融着部30以外の部分において、腹側部11のカバーシート5と背側部13のカバーシート5とを引き剥がすときに要する荷重であり、融着部30以外の接合(例示:繊維同士の自然な交絡、接着剤による接合など)の剥離に関する荷重である。そのような荷重としては、この試料(縦方向L25mm×横方向W50mm)では、例えば4N/25mmが挙げられる。
そのとき、本実施形態では、低間隔側領域Aaの面積aと長間隔側領域Abの面積bとの比a/bが0.5以上、2.0以下である。それゆえ、周壁部SWの幅DP(肉厚)が不均一な部分が少ないということができ、あるいは幅DPの均一性が高いということができる。ただし、幅DPの均一性をより高める観点から、比a/bは、好ましくは0.7以上、1.8以下であり、より好ましくは0.8以上、1.5以下である。
ただし、比a/bが0.5以上、2.0以下であることが、周壁部SWの幅DPは不均一ではなく、幅DPの均一性は比較的高いとする理由は以下のように考えられる。
接合部14aの剥離強度を示すグラフGのうち、所定の基準荷重以上の部分は、(接着剤等ではなく)融着部30による接合を剥離するための強度に関係している。すなわち、グラフGのうち、基準荷重以上の部分は、融着部30(の周壁部SW)及びその周囲のカバーシート5の破断に関する荷重ということができる。したがって、低間隔側領域Aaは、試験機50による試料の剥離方向に対して融着部30の前側の半分及びその周囲のカバーシート5(以下、「前半部分」ともいう。)の破断を示している。一方、長間隔側領域Abは、試料の剥離方向に対して融着部30の後側の半分及びその周囲のカバーシート5(以下、「後半部分」ともいう。)の破断を示している。したがって、上記の剥離強度のグラフGで表される特定領域において、低間隔側領域Aaの面積aと長間隔側領域Abの面積bとが概ね同じであることは、前半部分の破断のエネルギーと後半部分の破断のエネルギーが概ね同じであることを意味する。その場合、前半部分の破断と後半部分の破断とは、概ね同じように進行したと考えられる。すなわち、融着部の前側の半分とその周囲のシート部材との間の破断の状態と、融着部の後側の半分とその周囲のシート部材との間の破断の状態とは、概ね同じであると考えられる。よって、周壁部SWに部分的に幅が小さ過ぎるというような箇所は生じていないということができる。言い換えると、周壁部SWにおいて面内方向の寸法、すなわち幅DP(肉厚)が不均一な部分が少ないということができる。ただし、製品や製造の特性上、低間隔側領域Aaの面積aと長間隔側領域Abの面積bとを厳密に同じにすること、すなわち比a/b=1とすることは困難である。しかし、周壁部SWの幅DP(肉厚)が不均一な部分が少ない状態を示すには、低間隔側領域Aaの面積aと長間隔側領域Abの面積bを概ね同じにすればよいので、具体的には比a/bが0.5以上、2.0以下であればよいと考えることができる。
上記のような構成を有する接合部14aの作用効果について図7及び図10を参照して説明する。図10は融着部30における引き剥しの様子を説明するための模式図である。本実施形態の使い捨ておむつ1では、接合部14aの各融着部30がコア部MCと周壁部SWとを有する。ここで、周壁部SWは、腹側部11のカバーシート5(腹側シート部材)と背側部13のカバーシート5(背側シート部材)とが溶融し、厚さ方向に一体化しつつ、固化して、筒状かつ壁状に形成されている。そのため、通常、周壁部SWは、その周囲の腹側部11又は背側部13のカバーシート5と比較して、強固で破断し難い。したがって、接合部14aを剥離する場合、周壁部SWそのものは破断し難く、その周囲の腹側部11又は背側部13のカバーシート5が周壁部SWとの境界部分PB又はその境界部分PBの周辺部分(以下、単に「境界部分PB」という。)で破断し易くなっている。それにより、図7(b)に示すように、使い捨ておむつ1を取り外すために接合部14aを引き剥がすとき、まず、融着部30以外の部分では、腹側部11のカバーシート5と背側部13のカバーシート5との境界QBで容易に引き剥がすことができる。そして、融着部30及びその周囲では、腹側部11又は背側部13のカバーシート5における融着部30(の周壁部SW)との境界部分PBに破断を生じさせ易くなっている。その結果、図10(a)に示すように、例えば、腹側部11のカバーシート5には融着部30を残存させ、背側部13のカバーシート5には融着部30が除去された穴を形成し易くすることができる。それにより、接合部14aの腹側部11の部分及び背側部13の部分を互いに縦方向Lに連続的に容易に引き剥し得る。
ただし、周壁部SWの幅DPが不均一の場合、例えば幅DPが部分的に小さい場合、融着部30の周壁部SWが部分的に強固でなくなる。そのため、腹側部11や背側部3aのカバーシート5における融着部30、すなわち周壁部SWとの境界部分PBではなく、周壁部SWそのもの(幅DPが小さい部分)に破断や亀裂が生じ易くなる。そのような融着部30(周壁部SW)の数が相対的に少ない場合、実際に周壁部SWそのものに破断や亀裂が生じる可能性は低いが、その数が相対的に多い場合、実際に周壁部SWそのものに破断や亀裂が生じる可能性が高くなる。そうなると、図10(b)に示すように、例えば接合部14aの引き剥がしの途中で、融着部30の周壁部SWに生じた亀裂KBが、腹側部11や背側部13における接合部14a以外の部分のカバーシート5、例えば腹側部11や背側部13の中央部分のカバーシート5へ進展する可能性がある。その結果、接合部14aの腹側部11の部分及び背側部13の部分を互いに縦方向Lに連続的に引き剥し難くなるおそれがある。
しかし、本実施形態の使い捨ておむつ1では、上記のように、低間隔側領域Aaの面積aと長間隔側領域Abの面積bとの比であるa/bが、0.5以上、2.0以下になるようにしている。すなわち、低間隔側領域Aaの面積aと長間隔側領域Abの面積bとが概ね等しくなるようにしている。それゆえ、融着部30及びその周囲のカバーシート5における前半部分の破断のエネルギーと後半部分の破断のエネルギーが概ね同じである。したがって、前半部分の破断と後半部分の破断とは、概ね同じように進行したと考えられる。すなわち、融着部30の前側の半分とその周囲のカバーシート5との間の破断の状態と、融着部30の後側の半分とその周囲のカバーシート5との間の破断の状態とは、概ね同じであると考えられる。よって、周壁部SWに部分的に幅が小さ過ぎるというような箇所は生じていないということができる。言い換えると、周壁部SWにおいて幅が不均一な部分が少ないということができる。
このように本実施形態の使い捨ておむつ1において、融着部30は、全体として周壁部SWの幅が比較的均一である。そのため、図10(a)に示すように、腹側部11と背側部13とを互いに引き剥がすとき、引き剥がそうとする力により周壁部SWそのものが破断することを抑制でき、腹側部11又は背側部13のカバーシート5における融着部30(周壁部SW)との境界部分PBに破断を生じ易くすることができる。すなわち、周壁部SWそのもので破断する融着部30の数を相対的に少なくすることができる。その結果、接合部14aを、縦方向Lに沿って最後まで腹側部11と背側部13とに引き剥し易くすることができ、周壁部SWが破断し、破断した部分から破断が進展して、接合部14a以外の部分のカバーシート5を破断することを抑制できる。このように、接合部14を有する使い捨ておむつ1は、使い捨ておむつ1の取り外し時に、接合部14以外のカバーシート5を破らずに、腹側部11と背側部13あとに適切に分離し易くすることができる。
なお、接合部14aを最後まで腹側部11と背側部13とに引き剥すとき、接合部14aの複数の融着部30のうちのできるだけ多くの融着部30が上記a/bの数値範囲を満たすことが好ましい。それにより、接合部14a以外のシート部材を破ることを抑制でき、接合部14aを腹側部11と背側部13とに適切に引き剥し易くことができる。できるだけ多くの融着部30としては、90%以上の融着部30が挙げられ、95%以上が好ましく、100%がより好ましい。例えば、上記のT型剥離試験で確認する場合には以下のように言うことができる。例えば、融着部30の総数が60個で、一測定につき6個分(m=6)の融着部30を測定する場合、十回の測定のうち、少なくとも九回は上記a/bの数値範囲を満たすことが好ましく(90%)、10回は満たすことがより好ましい(100%)。あるいは、例えば、上記のT型剥離試験において、融着部30の総数が60個で、一測定につき3個分(m=3)の融着部30を測定する場合、二十回の測定のうち、少なくとも十八回は上記a/bの数値範囲を満たすことが好ましく(90%)、少なくとも十九回は満たすことがより好ましく(95%)、10回は満たすことが更により好ましい(100%)。
また特に、ウエスト開口部WO側から引き剥がしを行うことを想定する場合、ウエスト開口部WO側から連続的に90%以上の融着部30が上記数値範囲を満たすことが好ましい。一方に、レッグ開口部LO側から引き剥がしを行うことを想定する場合、レッグ開口部LO側から連続的に90%以上の融着部30が上記数値範囲を満たすことが好ましい。それにより、使い捨ておむつ1の取り外し時に、接合部14a以外のシート部材を破ることをより抑制でき、腹側部と背側部とを適切により適切に分離し易くすることができる。
本実施形態の好ましい態様として、融着部30における破断強度は、接合部14aを構成する腹側部11のカバーシート5(腹側シート部材)及び背側部13のカバーシート5(背側シート部材)のいずれか一方における融着部30を含まない部分の破断強度よりも高くてもよい。
このように使い捨ておむつ1が上記の破断強度の関係を有することで、使い捨ておむつ1の取り外し時に腹側部11と背側部13とを互いに引き剥がすとき、カバーシート5(融着部を含まず)における融着部30との境界部分PBに破断をより生じ易くすることができる。それにより、より多くの融着部30において周壁部SWが破断することを抑制して、例えば腹側部11のカバーシート5には融着部30を残存させ、背側部13のカバーシート5には融着部30が除去された穴を形成させ易くできる。したがって、接合部14aの腹側部11の部分及び背側部13の部分を互いに縦方向Lに連続的に容易に引き剥すことができる。すなわち、使い捨ておむつ1の取り外し時に、接合部14a以外のカバーシート5を破らずに、腹側部11と背側部13とをより確実に分離することができる。
ここで、融着部30の破断強度、及び、腹側部11及び背側部13のカバーシート5(融着部30を含まず)の破断強度は、それぞれ以下のように測定される。
<B.融着部の破断強度>
(1)融着部30の大きさが小さ過ぎて、融着部30そのものの破断強度の測定は困難なため、便宜上以下の方法で疑似的に融着部30を模した試料を準備する。
(1−1)腹側部11のカバーシート5用の資材と背側部13のカバーシート5用の資材とを重ね合わせる。次いで、シール機(富士インパルス株式会社製:ポリシーラー、P−300)を使用して、重ね合わされた資材を加圧しながら、熱シールで接合する。加熱時間は1秒であり、加熱長は200mmであり、加熱幅は5mmである。それにより、資材の積層体を形成する。積層体には、例えば、長さ200mm×幅5mmの融着部が形成される。ただし、5mmの幅は、接合部14の融着部30の横方向Wの寸法(幅)に揃えている(誤差±30%)。
(1−2)積層体を、150mm×5mmの大きさで切り出し、試料とする。このとき、試料には、長さ150mm×幅2mmの融着部が形成されている。
(2)最大荷重容量が50Nであるロードセルを備えた引張試験機(島津製作所株式会社製:オートグラフ、AGS−1kNG)を使用し、試料の第2方向の両端部を引張試験機が備える二つのチャックでそれぞれ把持する。ただし、把持するときのチャック間の距離(初期値)は予め100mmに設定されている。
(3)引張試験機で、二つのチャックの間隔が拡がるよう、二つのチャックを一定速度(例示:100mm/min)で引張りつつ、二つのチャックに掛かる荷重を測定する。
(4)試料が破断したときの荷重を破断強度とする。ただし、六つの試料の破断強度の平均値を最終的な破断強度(N/5mm)として算出する。なお、この試料の融着部は接合部14の融着部30とは異なるが、試料の融着部の幅を融着部30の横方向Wの寸法(幅)に概ね揃えることで、破断強度を概ね揃えることができる。
<C.腹側部及び背側部のカバーシートの破断強度>
(1)腹側部11又は背側部13のカバーシート5用の資材を、150mm×5mm(長手方向×幅方向)の大きさで切り出し、試料とする。
(2)最大荷重容量が50Nであるロードセルを備えた引張試験機(島津製作所株式会社製:オートグラフ、AGS−1kNG)を使用し、試料の長手方向の両端部を引張試験機が備える二つのチャックでそれぞれ把持する。ただし、把持するときのチャック間の距離(初期値)は予め100mmに設定されている。
(3)引張試験機で、二つのチャックの間隔が拡がるよう、二つのチャックを一定速度(例示:100mm/min)で引張りつつ、二つのチャックに掛かる荷重を測定する。
(4)試料が破断したときの荷重を破断強度とする。ただし、六つの試料の破断強度の平均値を最終的な破断強度(N/5mm)として算出する。
ただし、上記のBにおいて、例えば、カバーシート5用の資材を四枚積層した試料の破断強度は、図7の接合部14a、すなわち腹側部11のカバーシート5b、5a(二枚)と背側部13のカバーシート5a、5b(二枚)とを積層した接合部14aに相当する。一方、上記のCにおいて、例えば、カバーシート5用の資材を二枚積層した試料の破断強度は、図7の腹側部11のカバーシート5b、5a(二枚)又は背側部13のカバーシート5a、5b(二枚)に相当する。そして、融着部30における破断強度と、腹側部11のカバーシート5及び背側部13のカバーシート5のいずれか一方(融着部30を含まない部分)の破断強度とを比較する場合、上記のBのカバーシート5用の資材が四枚の積層体と、上記のCの腹側部11又は背側部13のカバーシート5用の資材が二枚の積層体とを比較する。
また、本実施形態の好ましい態様として、更に、融着部30における破断強度は、腹側部11のカバーシート5(腹側シート部材)及び背側部13のカバーシート5(背側シート部材)のいずれか一方における融着部30を含まない部分の破断強度を100%とすると、110%以上であってもよい。各破断強度の測定方法については、上記B.融着部の破断強度、及び、C.腹側部及び背側部のカバーシートの破断強度、のとおりである。
このように使い捨ておむつ1が上記の破断強度の関係を有することで、腹側部11と背側部13とを互いに引き剥がすとき、カバーシート5(融着部を含まず)における融着部30との境界部分PBに破断を更に生じ易くすることができ、更に多くの融着部30において周壁部SWが破断することを抑制できる。それにより、吸収性物品の取り外し時に、接合部14a以外のカバーシート5を破らずに、腹側部11と背側部13とを更により確実に分離することができる。なお、融着部30の破断強度の上限は特にないが、破断強度が高過ぎると融着部30が固くなり過ぎることになり、装着者や介護者が接触したときに違和感を生じるおそれがあるので、300%以下が好ましい。
また、本実施形態では他の好ましい態様として、周壁部SWの厚さ方向Tの寸法DTは、コア部MCの厚さ方向Tの寸法dTよりも大きく、複数の融着部30の各々における厚さ方向Tのコア部MCの位置は、厚さ方向Tにおける腹側部11と背側部13との境界QBよりも腹側部11の側にずれていてもよい。別の実施形態では、コア部MCの位置は、境界QBよりも背側部13の側にずれていてもよい。
このように使い捨ておむつ1では、接合部14aにおける複数の融着部30すべてにおいて、コア部MCの位置が、腹側部11と背側部13との境界QBよりも腹側部11の側にずれている(別の実施形態では背側部13の側にずれている)。ここで、接合部14aを引き剥がすとき、コア部MCが存在する側のカバーシート5(シート部材)に融着部30が残存し、コア部MCが存在しない側のカバーシート5(シート部材)に融着部30が除去された穴が形成される(図10(a))。したがって、使い捨ておむつ1では、接合部14aにおける複数の融着部30すべてにおいて、コア部MCの位置が、特定の側、すなわち腹側部11の側にずれる(別の実施形態では背側部13の側にずれる)。それゆえ、融着部30の残存と穴の形成が同じ側、すなわち腹側部11の側(別の実施形態では背側部13の側)で行うことができる。それにより、接合部14aを引き剥がすときの腹側部11と背側部13との分離をよりスムーズかつ適切に行うことができる。
また、本実施形態では好ましい態様として、腹側部11のカバーシート5(腹側シート部材)及び背側部13のカバーシート5(背側シート部材)の少なくとも一方に、横方向Wに接合部14aまで延び、縦方向Lに間隔を空けて並んだ複数の弾性部材8a(腹側部11の場合)、8b(背側部13の場合)を更に備えていてもよい。そして、複数の弾性部材8a(腹側部11の場合)、8b(背側部13の場合)は、接合部14aにおいて、複数の融着部30と厚さ方向Tに重ならなくてもよい。
このように使い捨ておむつ1は、上記の構成を備えているため、弾性部材8a、8bが融着部30と重なり、周壁部SWの面内方向の寸法(厚さ)が不均一になって、周壁部SWが破断し易くなる、という事態を回避できる。それにより、使い捨ておむつ1の取り外し時に、カバーシート5(シート部材)に配置された弾性部材8a、8bの影響を受けることなく、より多くの融着部30において周壁部SWが破断することを抑制でき、よりカバーシート5における融着部30との境界部分PBに破断を生じ易くすることができる。また、使い捨ておむつ1の取り外し時に、弾性部材8a、8bが融着部30と共に分離され、取り外し作業中の装着者又は介護者の肌に当たる、という事態を抑制できる。それにより、接合部14a以外の使い捨ておむつ1を破らずに、腹側部11と背側部13とにより適切に分離し易くできる。なお、複数の弾性部材8a(又は8b)が複数の融着部30と重ならない、とは、複数の弾性部材8a(又は8b)のうちの少なくとも80%以上(より好ましくは90%以上)が複数の融着部30と重ならないことを意味する。
本実施の形態では好ましい態様として、複数の融着部30は、厚さ方向Tから見た(平面視の)コア部MCの形状が円形又は楕円形である融着部を含んでもよい。
このように使い捨ておむつ1は、上記構成を有するため、コア部MCの形状が円形又は楕円形である場合、周壁部SWの外縁の描く形状も概ね円形又は楕円形となる。したがって、使い捨ておむつ1の取り外しのとき、カバーシート5(シート部材)における融着部30との境界部分PBが、境界部分PBを破断するときの力の方向に対して曲面になる。それゆえ、融着部30ごとに、円形又は楕円形の曲面に沿って徐々に、カバーシート5における融着部30との境界部分PBに破断を生じ易くできる。それにより、腹側部11と背側部13とをスムーズかつ適切に分離し易くすることが可能となる。
また、本実施の形態の好ましい態様として、接合部14aにおいて縦方向Lに沿って配置された複数の融着部30の破断強度は同一であってもよい。
このように、使い捨ておむつ1は、上記構成を有するため、使い捨ておむつ1の取り外しのとき、装着者又は介護者が概ね同じ大きさの力を用いて、接合部14aを縦方向Lに沿って最後まで連続的に安定的に引き剥すことができる。すなわち、腹側部11と背側部13とをスムーズかつ適切に分離し易くすることが可能となる。ただし、ここでいう同一とは、複数の融着部30の破断強度がいずれも破断強度の平均値±20%以内の範囲にすべて含まれる、という意味である。
ただし、縦方向Lに沿って配置された複数の融着部30のうち、少なくとも中央領域22の融着部30の破断強度が同一であることが好ましい。その理由は以下のとおりである。装着者(又は介護者)が、接合部14aの縦方向Lの端部、例えばウエスト開口部WO側の端部から接合部14aを引き剥がすとき、接合部14aのウエスト開口部WO側の端部11e、13eを摘まんで引き剥がす。そのとき、ウエスト側端部領域21の融着部30は、装着者が摘まんだ位置に近いため、引き剥がしの力が伝達され易い。したがって、融着部30は比較的容易に引き剥がされる。しかし、中央領域22の融着部30は、装着者が摘まんだ位置から遠いため、引き剥がしの力が伝達され難い。したがって、融着部30の破断強度にムラがあり、破断強度が低い融着部30の後に破断強度が高い融着部30が位置していると、破断強度が高い融着部30を引き剥がすときに、引き剥がす力を急激に増やさなければならず、引き剥がし難さを感じてしまうおそれがある。したがって、少なくとも中央領域22の融着部30の破断強度を同一にすることで、引き剥がし難さを感じることなく、接合部14aを引き剥がすことができる。このことは、装着者(又は介護者)が、接合部14aにおける縦方向Lのレッグ開口部LO側の端部から接合部14aを引き剥がすとき、すなわち接合部14aのレッグ開口部LO側の端部11e’、13e’を摘まんで引き剥がすときにも同様に当て嵌まる。
また、本実施形態の好ましい態様として、複数の融着部30の各々において、厚さ方向Tから見て、周壁部SWの面積Saは、コア部MCの面積Sbを100%とすると、5〜60%の範囲内であってもよい。
このように使い捨ておむつ1では、融着部30にて、コア部MCの面積Sbを基準として周壁部SWの面積Saの下限は5%である。すなわち、融着部30の接合の機能を担う主な部分はコア部MCであるが、コア部MCに対する周壁部SWの割合を多くすることで、周壁部SWをより強固にすることができる。それゆえ、融着部30をカバーシート5(シート部材)と比較してより強固にする(破断強度を高くする)ことができ、カバーシート5における融着部30との境界部分PBに破断を生じ易くすることができる。それにより、使い捨ておむつ1の取り外し時に、接合部14a以外のカバーシート5を破らずに、腹側部11と背側部13とを更により確実に分離できる。なお、周壁部SWの面積Saの上限は、コア部MCの接合の機能を妨げない観点から60%以下が好ましい。
また、別の実施形態として、融着部列30Lにおいて、中央領域22及びレッグ側端部領域23における複数の融着部30の形状がウエスト側端部領域21における複数の融着部30の形状と相違していてもよい。
図11は、接合部14aにおける複数の融着部30の他の構成例を説明する平面図である。図11(a)は、厚さ方向Tの背側部13の側から見た融着部30a〜30c(融着部列30L)を示し、図11(b)は、融着部30a〜30cを超音波シール法で形成するアンビルの凸部41a〜41cの形状及び配置を示している。本実施形態では、ウエスト側端部領域21、中央領域22及びレッグ側端部領域23のそれぞれの融着部30a、30b及び30cは互いに異なる平面形状を有している。したがて、融着部30a、30b及び30cを超音波シール法で形成する場合には、融着部30a、30b及び30c用のアンビルの凸部41a、41b及び41cは互いに異なる。
中央領域22の融着部30aを形成するためのアンビルの凸部41aの平面形状は、円(真円)であり、縦方向Lの寸法d11=横方向Wの寸法d12である。d11及びd12としては、例えば0.5mm〜5mmが挙げられる。縦方向Lに隣り合う融着部30a間の距離d13(円の中心間距離)としては、1mm〜30mmが挙げられる。
レッグ側端部領域23の融着部30cを形成するためのアンビルの凸部41cの平面形状は、横方向Wに弦を有する半円の形状であり、横方向Wに二個互いに近接して並んでいる。縦方向Lの寸法d31、横方向Wの寸法d32、横方向Wに並んだ先端部の両端間の寸法d34としては、例えば0.5mm〜5mmが挙げられる。縦方向Lに隣り合う融着部30c間の距離d33(円の中心間距離)としては、1mm〜30mmが挙げられる。
図12は、接合部14aにおける融着部30の構成の一例を示す平面図である。ただし、図12(a)は融着部30aを示し、図12(b)は融着部30cを示している。融着部30bは図7の融着部30と同じである。融着部30a、30cの各々は、コア部MCと周壁部SWとを含んでいる。コア部MC及び周壁部SWは、平面視の形状が相違するほかは、図7の融着部30のコア部MC及び周壁部SWと同じである。
また、上記のように、接合部14aの全ての融着部が上記の融着部30や融着部30a〜30cの構成を有している必要はない。例えば、接合部14aの縦方向Lのうち、引き剥しを始める(破り始める)ウエスト開口部WO側の端部11e、13eの側の部分である端縁11ae、13aeから少なくとも30%の範囲の部分が上記構成を有していてもよい。同様に、接合部14aの縦方向Lのうち、引き剥しを始める(破り始める)レッグ開口部LO側の端部11e’、13e’の側の部分である端縁11ae’13ae’から少なくとも30%の範囲の部分が上記構成を有していてもよい。それらの場合、容易に引き剥しを開始することができる。
以下、実施例及び比較例を例示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこのような実施例のみに限定されるものではない。
1.周壁部の均一性について
(1)試料
実施例1:図1〜図7に示される使い捨ておむつを準備した。図4の説明で記載されている特許文献2に記載のシール方法を用いた。カバーシート5と超音波ホーン43及び凸部41とが接触する接触時間を約0.05秒とし、接合部14a用の複数の凸部41の総面積を約110mmとし、一個の凸部41の大きさを約1.5mmとした。超音波ホーン43で供給される超音波(30kHz)の強度を比較例1の場合と概ね同じとした。ただし、腹側部11のカバーシート5及び背側部13のカバーシート5は、いずれも15g/mのSMS不織布を用いた。
比較例1:特許文献1に記載のシール方法を用い、実施例1の使い捨ておむつと同じ構造の使い捨ておむつを準備した。アンビルの凸部の形状を、図7(a)と同様に楕円として接合部を形成した。カバーシートと超音波ホーン及び凸部とが接触する接触時間を約0.005秒とした。接合部用の複数の凸部の総面積を約180mmとし、一個の凸部の大きさを実施例1と概ね同じとした。超音波ホーンで供給される超音波(30kHz)の強度を実施例1の場合と概ね同じとした。腹側部のカバーシート及び背側部のカバーシートは、いずれも15g/mのSMS不織布を用いた。
(2)接合部の剥離試験
実施例1の使い捨ておむつにおいて、正面から見て横方向Wの左側の接合部14a及び右側の接合部14bの各々について、上記A.接合部の剥離試験、を実施した。
同様に、比較例1の使い捨ておむつにおいて、正面から見て横方向の左側の接合部及び右側の接合部の各々について、上記A.接合部の剥離試験、を実施した。
(3)周壁部の幅の測定
実施例1の使い捨ておむつについて、融着部30の周壁部SWの寸法(厚さ)を計測した。具体的には、周壁部SWにおけるコア部MCを挟んで横方向Wの左側・右側の幅DP(W、L)・幅DP(W、R)を、当該幅DPの計測位置を通る縦方向Lに垂直な断面で融着部30を切断して、走査型電子顕微鏡で観察し、計測した。同様にして、周壁部SWにおけるコア部MCを挟んで縦方向Lの左側・右側の幅DP(L、L)・幅DP(L、R)を、当該幅DPの計測位置を通る横方向Wに垂直な断面で融着部30を切断して、電子顕微鏡で観察し、計測した。
同様にして、比較例1の使い捨ておむつの各々について、融着部の周壁部SWにおけるコア部MCを挟んで横方向Wの左側・右側の幅DP(W、L)・幅DP(W、R)、及び、周壁部SWにおけるコア部MCを挟んで縦方向Lの左側・右側の幅DP(L、L)・幅DP(L、R)を計測した。
(4)評価結果
評価の結果を下記の表1に示す。実施例1の使い捨ておむつでは、特定領域における低間隔側領域Aaの面積aと長間隔側領域Abの面積bとの比a/bが、左右の接合部14a、14bのいずれにおいても0.5≦a/b≦2.0であった。すなわち、面積aと面積bとが概ね同じであった。したがって、左右の接合部14a、14bのいずれにおいても、周壁部SWに部分的に幅が小さ過ぎるというような箇所は生じておらず、周壁部SWにおいて面内方向の寸法(幅DP)が比較的均一であった。なお、そのときの荷重Fの最大値F1(表1中では、最大荷重(F1))は、それぞれ、14.5〜16.0N/25mmであり、左右で概ね同じであった。なお、融着部30の総数が60個で、一測定につき6個分の融着部30を測定し、十回の測定のうち十回とも上記数値範囲を満たした。
一方、比較例1の使い捨ておむつでは、特定領域における低間隔側領域Aaの面積aと長間隔側領域Abの面積bとの比a/bが、左右の接合部14a、14bのいずれにおいても2.0<a/bであり、面積aと面積bとが大きく相違した。したがって、左右の接合部14a、14bのいずれにおいても、周壁部SWに部分的に幅が小さ過ぎる箇所が生じており、周壁部SWにおいて面内方向の寸法(幅DP)が不均一であった。なお、そのときの最大値F1(最大荷重(F1))は、それぞれ、15.0〜17.1N/25mmであり、左右で概ね同じであった。なお、融着部の総数が60個で、一測定につき6個分の融着部を測定し、十回の測定のうち上記数値範囲を満たしたものはなかった。
実際に、周壁部SWの幅DPを測定してみると、以下のような結果となった。
実施例1では、右の接合部14bにおいて、周壁部SWにおける横方向Wの左側(L)の幅DP(W、L)と右側(R)の幅DP(W、R)との差Δ1は、平均値DP(W)aveの2.5%であった。また、周壁部SWにおける縦方向Lの上側(U)の幅DP(L、U)と下側(D)の幅DP(L、D)との差Δ2は、平均値DP(L)aveの6.7%であった。そして、平均値DP(L)aveと平均値DP(W)aveとの比は0.84で両者は概ね等しいといえた。以上のことから、実施例1において、右の接合部14bにおいて、周壁部SWの面内方向の寸法(幅DP)が比較的均一であることが分かった。
同様に、左の接合部14aにおいて、差Δ1は、平均値DP(W)aveの0.65%であった。また、差Δ2は、平均値DP(L)aveの17%であった。そして、平均値DP(L)aveと平均値DP(W)aveとの比は0.79で両者は概ね等しいといえた。以上のことから、実施例1において、左の接合部14aにおいても、周壁部SWの面内方向の寸法(幅DP)が比較的均一であることが分かった。
したがって、実施例1では、周壁部SWにおいて面内方向の寸法(幅DP)が比較的均一であることが分かった。
一方、比較例1では、右の接合部14bにおいて、差Δ2は、平均値DP(L)aveの17%であったが、差Δ1は、平均値DP(W)aveの94%であった。言い換えると、DP(W,L)はDP(W,R)の約1/3であった。すなわち、比較例1では、周壁部SWにおける縦方向Lに幅DPが不均一の箇所が存在することが判明した。すなわち、実際に、周壁部SWにおいて面内方向の寸法(幅DP)が不均一であることが分かった(なお、左の接合部14aについては測定を省略した。)。
ただし、
Δ1/DP(W)ave(%)=|DP(W、L)−DP(W、R)|/DP(W)ave×100
DP(W)ave=(DP(W、L)+DP(W、R))/2
Δ2/DP(L)ave(%)=|DP(L、U)−DP(L、D)|/DP(L)ave×100
DP(L)ave=(DP(L、U)+DP(L、D))/2
である。
Figure 0006483909
2.融着部とカバーシートの破断強度について
(1)試料
実施例2:上記のB.融着部の破断強度、の(1)の方法により、腹側部11のカバーシート5用の一枚の不織布と、背側部13のカバーシート5用の一枚の不織布とを用いて、すなわち合計二枚の不織布を用いて、融着部の破断強度を測定するための試料を作成した。また、腹側部又は背側部のカバーシート5用の一枚の不織布を、カバーシートの破断強度を測定するための試料とした。
実施例3:上記のB.融着部の破断強度、の(1)の方法により、腹側部11のカバーシート5用の二枚の不織布と、背側部13のカバーシート5用の二枚の不織布とを用いて、すなわち合計四枚の不織布を用いて、融着部の破断強度を測定するための試料を作成した。また、腹側部又は背側部のカバーシート5用の二枚の不織布を、カバーシートの破断強度を測定するための試料とした。
比較例2:融着部の破断強度を測定するための試料として実施例2の融着部の破断強度を測定するための試料を用い、カバーシートの破断強度を測定するための試料として実施例3のカバーシートの破断強度を測定するための試料を用いた。融着部の破断強度を測定するための試料において、本来は四枚のはずのカバーシートの枚数を二枚に減らすことで、融着部を構成する材料を減少させて、融着部が不均一であることを模擬した。
(2)破断強度の測定
実施例2〜3、比較例2の融着部の破断強度を測定するための試料につき、上記のB.融着部の破断強度、に基づいて、破断強度を計測した。
実施例2〜3、比較例2のカバーシートの破断強度を測定するための試料につき、上記のC.腹側部及び背側部のカバーシートの破断強度、に基づいて、破断強度を計測した。
(3)評価結果
評価の結果を下記の表2に示す。実施例2にて、腹側部のカバーシートが一枚かつ背側部のカバーシートが一枚の接合部を模した、不織布が二枚の融着部の破断強度K2は、腹側部又は背側部の一枚のカバーシートを模した、一枚の不織布の破断強度K1よりも大きかった(K1<K2)。
同様に、実施例3にて、腹側部のカバーシートが二枚かつ背側部のカバーシートが二枚の接合部を模した、不織布が四枚の融着部の破断強度K2は、腹側部又は背側部の二枚のカバーシートを模した、二枚の不織布の破断強度K1よりも大きかった(K1<K2)。
一方、比較例2にて、腹側部のカバーシートが一枚かつ背側部のカバーシートが一枚の接合部を模した、すなわち不織布が四枚の融着部の破断強度よりも弱い不織布が二枚の融着部の破断強度K2は、腹側部又は背側部の二枚のカバーシートを模した、二枚の不織布の破断強度K1よりも小さかった(K1>K2)、
これらのことから、融着部の周壁部に相当する側壁部分が不均一でなければ、融着部の破断強度がカバーシートの破断強度を上回るので、カバーシートにおける融着部との境界部分で、破断を生じさせることが可能となると考えられる。したがって、融着部の形状に関わらず周壁部を略均一に形成できれば、接合部の引き剥がしに要する破断強度をカバーシートの破断強度に収束させることができる。それにより、資材(カバーシート)の破断強度で接合部の引き剥がしをコントロールできるので、資材の破断強度を適切に設定することで、安定的に接合部を引き剥がすことが可能となる。
Figure 0006483909
本発明の使い捨ておむつは、上述した各実施形態に制限されず、本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内において、適宜組合せや変更等が可能である。すなわち、各実施の形態に記載の各種の技術は互いに矛盾の生じない限り他の実施の形態にも適用可能である。
1 使い捨ておむつ
11 腹側部
13 背側部
14a 接合部
30 融着部
MC コア部
SW 周壁部

Claims (8)

  1. 互いに直交する縦方向、横方向及び厚さ方向を有し、腹側シート部材を含む腹側部と、背側シート部材を含む背側部と、を備え、前記腹側部及び前記背側部における前記横方向の少なくとも一方の端部同士が前記縦方向に沿って前記厚さ方向に重なり合った状態で互いに接合された接合部を含む吸収性物品であって、
    前記接合部は、前記縦方向に沿って互いに離間しつつ配置された複数の融着部を含み、
    前記融着部は、
    前記腹側シート部材と前記背側シート部材とが互いに前記厚さ方向に融着されたコア部と、
    前記コア部を筒状に囲みつつ前記コア部の周縁から前記厚さ方向に延びるように、前記腹側シート部材と前記背側シート部材とが互いに前記厚さ方向に融着された周壁部と、
    を含み、
    前記接合部のT型剥離試験であって、前記接合部の一部を含む試料を二つの冶具で把持し、前記二つの冶具の間隔が拡がるようにして前記接合部を剥離させつつ、前記二つの冶具間に掛かる荷重を測定する前記試験を、前記接合部の全部について実施するように複数の測定を行ったとき、前記複数の測定のうちの90%以上において、
    前記間隔に対する前記荷重を示すグラフで示される領域のうち、所定の基準荷重以上の特定領域について、前記荷重が最大値を示すときの前記間隔である最大荷重間隔を境界として低間隔側領域と、長間隔側領域と、に区画したとき、前記低間隔側領域の面積aと前記長間隔側領域の面積bとの比であるa/bは、0.5以上、2.0以下である、
    吸収性物品。
  2. 前記融着部における破断強度は、前記腹側シート部材及び前記背側シート部材のいずれか一方における前記融着部を含まない部分の破断強度よりも高い、
    請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記融着部における破断強度は、前記腹側シート部材及び前記背側シート部材のいずれか一方における前記融着部を含まない部分の破断強度を100%とすると、110%以上である、
    請求項2に記載の吸収性物品。
  4. 前記周壁部の前記厚さ方向の寸法は、前記コア部の前記厚さ方向の寸法よりも大きく、
    前記複数の融着部の各々における前記厚さ方向の前記コア部の位置は、前記厚さ方向における前記腹側部と前記背側部との境界よりも前記腹側部の側又は前記背側部の側にずれている、
    請求項1乃至3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  5. 前記腹側シート部材及び前記背側シート部材の少なくとも一方に、前記横方向に前記接合部まで延び、前記縦方向に間隔を空けて並んだ複数の弾性部材を更に備え、
    前記複数の弾性部材は、前記接合部において、前記複数の融着部と前記厚さ方向に重ならない、
    請求項1乃至4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  6. 前記複数の融着部は、前記厚さ方向から見た前記コア部の形状が円形又は楕円形である融着部を含む、
    請求項1乃至5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  7. 前記接合部において前記縦方向に沿って配置された前記複数の融着部の破断強度は同一である、
    請求項1乃至6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  8. 前記複数の融着部の各々において、前記厚さ方向から見て、前記周壁部の面積は、前記コア部の面積を100%とすると、5〜60%の範囲内である、
    請求項1乃至7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
JP2018220748A 2018-08-29 2018-11-26 吸収性物品 Active JP6483909B1 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP19854299.5A EP3821862B1 (en) 2018-08-29 2019-02-04 Absorbent article
PCT/JP2019/003920 WO2020044592A1 (ja) 2018-08-29 2019-02-04 吸収性物品
CN201980054756.5A CN112584807B (zh) 2018-08-29 2019-02-04 吸收性物品

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018160526 2018-08-29
JP2018160526 2018-08-29

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6483909B1 true JP6483909B1 (ja) 2019-03-13
JP2020036869A JP2020036869A (ja) 2020-03-12

Family

ID=65718286

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018220748A Active JP6483909B1 (ja) 2018-08-29 2018-11-26 吸収性物品

Country Status (4)

Country Link
EP (1) EP3821862B1 (ja)
JP (1) JP6483909B1 (ja)
CN (1) CN112584807B (ja)
WO (1) WO2020044592A1 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001046432A (ja) * 1999-08-11 2001-02-20 Oji Paper Co Ltd パンツ型使いすておむつ
JP2004298413A (ja) * 2003-03-31 2004-10-28 Uni Charm Corp シール装置および前記シール装置を用いたシール方法
JP2006192902A (ja) * 2001-03-28 2006-07-27 Uni Charm Corp シール装置およびシール部を有する軟質物品の製造方法
WO2017130785A1 (ja) * 2016-01-28 2017-08-03 大王製紙株式会社 パンツタイプ使い捨ておむつ

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
PL2120828T3 (pl) * 2006-12-22 2014-04-30 Sca Hygiene Prod Ab Wyrób chłonny typu majtkowego i sposób wytwarzania wyrobów chłonnych typu majtkowego
CN101710064A (zh) * 2009-12-16 2010-05-19 淄博泰宝防伪技术产品有限公司 揭开式标识横断力的检测方法
JP6657996B2 (ja) * 2016-01-25 2020-03-04 株式会社Ihi 燃焼ガス供給システム
JP6807887B2 (ja) * 2018-03-28 2021-01-06 ユニ・チャーム株式会社 吸収性物品
JP6704440B2 (ja) * 2018-10-31 2020-06-03 ユニ・チャーム株式会社 吸収性物品

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001046432A (ja) * 1999-08-11 2001-02-20 Oji Paper Co Ltd パンツ型使いすておむつ
JP2006192902A (ja) * 2001-03-28 2006-07-27 Uni Charm Corp シール装置およびシール部を有する軟質物品の製造方法
JP2004298413A (ja) * 2003-03-31 2004-10-28 Uni Charm Corp シール装置および前記シール装置を用いたシール方法
WO2017130785A1 (ja) * 2016-01-28 2017-08-03 大王製紙株式会社 パンツタイプ使い捨ておむつ

Also Published As

Publication number Publication date
EP3821862B1 (en) 2023-07-05
CN112584807B (zh) 2022-05-03
EP3821862A1 (en) 2021-05-19
JP2020036869A (ja) 2020-03-12
WO2020044592A1 (ja) 2020-03-05
EP3821862A4 (en) 2021-08-18
CN112584807A (zh) 2021-03-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6647015B2 (ja) 吸収性物品
JP6881960B2 (ja) パンツ型着用物品
JP6791625B2 (ja) パンツ型吸収性物品
JP6255266B2 (ja) パンツ型の吸収性物品
WO2019123549A1 (ja) パンツ型着用物品
JP5828505B2 (ja) パンツ型吸収性物品
JP2009291331A (ja) パンツ形状の着用物品およびその製造方法
JP6483909B1 (ja) 吸収性物品
JP6704440B2 (ja) 吸収性物品
JP7340917B2 (ja) 吸収性物品
CN110730650B (zh) 吸收性物品
JP7236584B2 (ja) パンツ型吸収性物品
WO2023127399A1 (ja) パンツ型吸収性物品
JP2016002391A (ja) パンツ型吸収性物品
JP2020099618A (ja) パンツ型吸収性物品
JP7338026B2 (ja) パンツ型吸収性物品
WO2023127768A1 (ja) パンツ型吸収性物品
WO2023022000A1 (ja) パンツ型吸収性物品
JP3210618U (ja) パンツ型吸収性物品
JP2023027016A (ja) パンツ型吸収性物品
JP2016043165A (ja) パンツ型吸収性物品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181130

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20181130

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20181205

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181211

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181225

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190115

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190214

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6483909

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250