JP2017129226A - 流体動圧軸受スリーブ及びこの製造方法、並びに流体動圧軸受装置 - Google Patents

流体動圧軸受スリーブ及びこの製造方法、並びに流体動圧軸受装置 Download PDF

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Abstract

【課題】所望のラジアル方向及びスラスト方向の軸受性能を発揮することができ、しかも、上述した所望の軸受性能を安定的に維持することのできる流体動圧軸受装置を低コストに提供可能とする。
【解決手段】内周面8aにラジアル動圧発生部が設けられると共に、一端面8b及び他端面8cに開口する軸方向の貫通孔11が形成される焼結金属製の流体動圧軸受スリーブ8を製造するに際し、焼結体108の内周面8aにサイジング加工を施してラジアル動圧発生部を形成した後に、貫通孔11を形成する。また、この際、好ましくは、焼結体108の一端面8b又は他端面8cに向けてレーザーLを照射して、貫通孔11を形成する。
【選択図】図7

Description

本発明は、流体動圧軸受スリーブ及びこの製造方法、並びに流体動圧軸受装置に関する。
周知のように、流体動圧軸受装置は、高速回転、高回転精度および低騒音等の特長を有する。このため、流体動圧軸受装置は、情報機器をはじめとする種々の電気機器に搭載されるモータ、例えば、HDD等のディスク駆動装置に組み込まれるスピンドルモータ、PC等に組み込まれるファンモータ、あるいはレーザビームプリンタ(LBP)に組み込まれるポリゴンスキャナモータなどのモータ用軸受装置として好適に使用されている。
例えば下記の特許文献1には、焼結金属製の軸受スリーブと、この軸受スリーブの内周に挿入された軸部、および軸受スリーブの一端面の軸方向外側に配置されたハブ部を有する回転体と、回転体をラジアル方向およびスラスト方向にそれぞれ非接触支持するラジアル軸受部およびスラスト軸受部とを有し、回転体の回転に伴って、軸受スリーブの内周面とこれに対向する軸部の外周面との間にラジアル軸受部のラジアル軸受隙間が形成されると共に、軸受スリーブの一端面とこれに対向するハブ部の端面との間にスラスト軸受部のスラスト軸受隙間が形成される流体動圧軸受装置(スピンドルモータ)が開示されている。この流体動圧軸受装置において、軸受スリーブは、有底筒状のハウジングの内周に固定されており、ハウジングの開口部は、ハウジングの外周面とハブ部の内周面との間に形成され、潤滑油の油面を保持したシール隙間によりシールされている。かかる構成により、潤滑油の外部漏洩を可及的に防止し、所望の軸受性能を安定的に維持することができる。
近年、HDDの大容量化や低価格化が急速に進展していることから、流体動圧軸受装置の一層の高回転精度化と低コスト化とを同時に実現する必要が生じている。流体動圧軸受装置を高回転精度化するための技術手段として、軸受スリーブの端面に設けるスラスト軸受面の面積を拡大し、スラスト軸受部の軸受剛性を高めることが考えられる。しかしながら、特許文献1の流体動圧軸受装置のように、軸受スリーブを、軸受スリーブとは別体のハウジングの内周に固定する場合、軸受スリーブの径方向の厚肉化、すなわち、軸受スリーブの端面(スラスト軸受面)の面積拡大には限度がある。また、特許文献1の流体動圧軸受装置では、特にハウジングの一端外周でシール隙間が形成されることなどから、軸受スリーブとハウジングを個別に精度良く製作し、かつ両者を精度良く固定する必要がある。従って、製造コストの点でも難がある。
上記問題を解決するべく、本出願人は、従来の軸受スリーブとハウジングとを一体化したものを提案している(特許文献2を参照)。すなわち、この一体化品は焼結金属製の流体動圧軸受スリーブであって、その外周面に封孔処理を施すことで、流体動圧軸受スリーブの外周面を流体動圧軸受装置の外周面として使用可能とし、かつ従来のハウジングを省略した分だけ流体動圧軸受スリーブの一端面を半径方向外側に拡大して、スラスト軸受面積の増大化を可能としている。また、この際、従来は流体動圧軸受スリーブの外周面に設けていた潤滑油を循環させるための溝に代えて、流体動圧軸受スリーブの一端面及び他端面に開口する軸方向の貫通孔を設けることで、流体動圧軸受装置の内部に形成されるラジアル軸受隙間及びスラスト軸受隙の間で潤滑油の循環性を確保している。
特開2013−104560号公報 特開2015−132380号公報
ところで、流体動圧軸受スリーブが焼結金属で形成される場合、その内周面に動圧溝などのラジアル動圧発生部を成形するための手段として、いわゆる動圧溝サイジングを用いることが多い。この手段は、流体動圧軸受スリーブとなる円筒状の焼結体の内周に、動圧溝を成形するための複数の凸部を有する成形型を挿入した状態で、焼結体の外周面を半径方向に圧迫して、その内周面に複数の凸部を有する成形型を押し当てることにより、当該内周面を塑性変形させて動圧溝を成形するものである。
一方で、軸方向の貫通孔は、原料粉末を所定の形状に圧縮成形する際、例えば圧縮成形型内に貫通孔に対応するピンを設けておくことで、流体動圧軸受スリーブの焼結前の圧粉体を成形するのと同時に貫通孔を成形することが可能である。
しかしながら、圧粉体の成形と同時に貫通孔を成形した場合、動圧溝サイジングの際、既に焼結体に貫通孔が設けられていると、半径方向への圧迫力を焼結体の外周面に加えた際、内周面に作用する圧迫力が貫通孔の有無により円周方向でばらつきやすい。すなわち、内周面に作用する圧迫力が不均一となり易い。これでは、サイジング後の内周面の真円度が低下し、ひいてはラジアル動圧発生部の寸法精度にも悪影響を及ぼすおそれが生じる。
以上の実情に鑑み、本発明は、所望のラジアル方向及びスラスト方向の軸受性能を発揮することができ、しかも、上述した所望の軸受性能を安定的に維持することのできる流体動圧軸受装置を低コストに提供可能とすることを技術的課題とする。
前記課題の解決は、本発明に係る流体動圧軸受スリーブの製造方法によって達成される。すなわち、この製造方法は、内周面にラジアル動圧発生部が設けられると共に、一端面及び他端面に開口する軸方向の貫通孔が形成される焼結金属製の流体動圧軸受スリーブの製造方法であって、内周面にサイジング加工を施してラジアル動圧発生部を形成した後に、貫通孔を形成する点をもって特徴付けられる。
上述のように、本発明では、流体動圧軸受スリーブの圧粉体の成形と同時に成形することのできる貫通孔をあえて、サイジング加工によりラジアル動圧発生部を形成した後に形成するようにした。このようにすれば、ラジアル動圧発生部のサイジング加工時、焼結体に貫通孔はまだ形成されていない状態となるため、焼結体の外周面を半径方向に圧迫した際、その圧迫力が内周面に対してばらつきなく作用する。言い換えると、圧迫力を内周面に対してその円周方向に均一に作用させることができる。従って、内周面をサイジング用のピン(成形型)に均等に押付けることができ、真円度に優れた内周面を得ることができると共に、この内周面にラジアル動圧発生部を高精度に成形することができる。
また、本発明に係る流体動圧軸受スリーブの製造方法は、一端面又は他端面に向けてレーザーを照射して、流体動圧軸受スリーブに貫通孔を形成するものであってもよい。
ラジアル動圧発生部のサイジング加工後に、貫通孔を形成するための手段としては、例えば(1)ドリル等を用いた機械加工、(2)放電加工、及び(3)レーザー加工が考えられる。このうち、(1)ドリル等を用いた機械加工では、焼結体の内部空孔に起因する切削性の悪さから、加工時間の長大化、あるいは工具(ドリル)の短寿命化を招くなど、精度面、コスト面の双方で好適とはいえない。(2)放電加工では、加工精度は確保できるものの、その加工特性上、加工時間が長くなる欠点を有する。また、放電加工に際しては誘電のための液体(水など)が必要となるため、加工後にワーク(流体動圧軸受スリーブ)を洗浄する手間を要する。特に、この種の軸受スリーブはHDDなど精密回転を要求される用途に用いられる場合も少なくないため、洗浄に要する時間が長くなる。以上より、この方法によっても、コスト面が問題となる。
これに対して、(3)レーザー加工であれば、非常に短時間で加工が可能であり、またレーザーでワークの一部を溶融又は蒸発させることで、孔(貫通孔)を形成することから、工具寿命の問題は生じない。また、レーザー加工の際、エアーなどのガスを使用することはあるが、特に液体を用いる必要はないため、加工後に洗浄工程を設ける必要もない。加えて、レーザーであれば、そのエネルギー密度やレーザービーム径などを調整することで、貫通孔のサイズ(内径寸法)や内周面の表面性状等を制御することができる。以上より、レーザーの照射により軸方向の貫通孔を形成するようにすれば、加工精度面及びコスト面の双方で優位である。
また、この場合、本発明に係る流体動圧軸受スリーブの製造方法は、流体動圧軸受スリーブの一端面にスラスト動圧発生部が設けられる場合に、レーザーを他端面に向けて照射して、流体動圧軸受スリーブに貫通孔を形成するものであってもよい。
レーザーを照射して貫通孔を形成する場合、その入射側となる端面の開口部周辺には、レーザーの照射により生じた溶融金属(ドロスとも称される。)が付着することがある。この溶融金属は、例えば貫通孔の形成後、貫通孔の形成に用いたレーザーを照射しながらエアーを吹き付けることにより除去することができるが、その際に、開口部の周辺が円すい状に広がる傾向にある。従って、レーザーを、スラスト動圧発生部を設けた端面(一端面)とは異なる側の端面(他端面)に向けて照射して、貫通孔を形成するようにすれば、仮にその後の除去作業で開口部の周辺が円すい状に広がったとしても、スラスト軸受面積が減少する事態を避けることができる。
また、前記課題の解決は、本発明に係る流体動圧軸受スリーブによっても達成される。すなわち、この流体動圧軸受スリーブは、内周面にラジアル動圧発生部が設けられると共に、一端面及び他端面に開口する軸方向の貫通孔が形成される焼結金属製の動圧軸受スリーブであって、貫通孔の内周面に、レーザーの照射により生じた溶融金属で表面開孔が封孔されてなる内周封孔部が形成されている点をもって特徴付けられる。
このように、貫通孔の内周面に、レーザーの照射により生じた溶融金属で表面開孔が封孔されてなる内周封孔部が形成される場合、貫通孔はレーザーの照射により形成されたものであることがわかる。このようにレーザーの照射で貫通孔を形成するのであれば、ラジアル動圧発生部のサイジング加工後に貫通孔を形成することができ、サイジング加工時、焼結体に貫通孔がまだ形成されていない状態にすることができる。そのため、焼結体の外周面を半径方向に圧迫した際、その圧迫力を内周面に対してその円周方向に均一に作用させることができる。従って、内周面をサイジング用のピン(成形型)に均等に押付けることができ、真円度に優れた内周面を得ることができると共に、この内周面に動圧発生部を高精度に成形することができる。また、レーザーの照射により貫通孔の内周面の少なくとも一部に上述の如き内周封孔部が形成されていれば、貫通孔の表面開孔から潤滑油が上記スリーブの内部に向けて逃げる(浸入する)事態を可及的に防止することができる。これにより、貫通孔を後述する潤滑油の循環溝として効果的に用いることが可能となるので、安定した軸受性能を長期にわたって維持することが可能となる。もちろん、レーザーの照射で形成した貫通孔であれば、他の加工手段に比べて形状精度も良好でありかつ加工コストの面でも優位である。
また、本発明に係る流体動圧軸受スリーブは、一端面にスラスト動圧発生部が設けられるものであってもよく、この場合に、他端面が、軸方向中央側から軸方向端部側に向かうにつれて拡径する拡径面を介して貫通孔の内周面とつながっているものであってもよい。
このように貫通孔が形成されている場合、レーザーは、流体動圧軸受スリーブのスラスト動圧発生部を設けた端面(一端面)とは異なる側の端面(他端面)に向けて照射されていることがわかる。従って、既述のようにレーザーの照射により生じた溶融金属の除去、及び除去による開口部周辺の変形(円すい状に変形)を考慮すれば、開口部周辺の溶融金属を効果的に除去しつつも、スラスト軸受面積が減少する事態を避けて、所望のスラスト軸受性能を確保することができる。
また、本発明に係る流体動圧軸受スリーブは、外周面に、焼結金属とは異なる材質の封孔材が外周面の表面開孔を封孔した状態で硬化してなる外周封孔部が形成されているものであってもよい。
このように外周封孔部を形成することで、この流体動圧軸受スリーブの外周面を、流体動圧軸受装置の外周面として用いることができる。よって、この流体動圧軸受スリーブを用いて後述の如く流体動圧軸受装置を構成する場合、ハウジングを省略して、ハウジングを省略した分だけ流体動圧軸受スリーブの一端面を半径方向外側に拡大することができるので、スラスト軸受面積の増大化が可能となる。
以上の説明に係る流体動圧軸受スリーブは、上述した加工精度及びコスト上の利点を有することから、例えばこの流体動圧軸受スリーブと、流体動圧軸受スリーブの内周に挿入される軸部とを備え、前記軸部の回転に伴って、前記流体動圧軸受スリーブの内周面とこの内周面に対向する前記軸部の外周面との間に前記軸部をラジアル方向に非接触支持するラジアル軸受部のラジアル軸受隙間が形成される流体動圧軸受装置として好適に提供することが可能である。
また、この場合、本発明に係る流体動圧軸受装置は、軸部の一端から径方向外側に張り出して、軸部と共に回転体を構成するハブ部と、流体動圧軸受スリーブの外周面の一端側とこの外周面に対向するハブ部の内周面との間に形成され、潤滑油の油面が保持されるシール隙間、及び流体動圧軸受スリーブの外周面の他端側に固定される有底筒状の蓋部材とをさらに備え、回転体の回転に伴って、流体動圧軸受スリーブの一端面とこの一端面に対向するハブ部の端面との間に回転体をスラスト方向に非接触支持するスラスト軸受部のスラスト軸受隙間が形成されるものであってもよい。なお、ここでいうハブ部とは、ディスク(ディスク状情報記録媒体)を保持可能なディスクハブに限定されるわけではなく、羽根又はポリゴンミラーを有するロータ等を含むものを意味する。
このように、シール隙間が流体動圧軸受スリーブの一端外周面で形成されるようにすれば、流体動圧軸受スリーブを高精度に製作するだけで、所望のシール性能、ひいては軸受性能を確保することができる。また、流体動圧軸受スリーブの他端外周に有底筒状の蓋部材が固定される場合、この蓋部材は、流体動圧軸受スリーブの他端面等の表面開孔や、軸受スリーブの軸孔の他端開口部などを介して潤滑油が装置外部に漏れ出すのを防止できる機能を有していれば足り、ハウジングに必要とされるほどの形状精度や軸受スリーブに対する固定精度は必要とされない。従って、流体動圧軸受装置の製造コストを全体として低廉化することができる。
また、本発明に係る流体動圧軸受装置は、回転体が、流体動圧軸受スリーブと蓋部材の間に配置されるフランジ部を有し、流体動圧軸受スリーブの他端面とこの他端面に対向する前記フランジ部の端面との間に、前記回転体をスラスト方向に非接触支持するスラスト軸受部のスラスト軸受隙間が形成されるものであってもよい。
このように、流体動圧軸受スリーブの軸方向両側にスラスト軸受隙間を設けた場合、これら双方のスラスト軸受隙間を、流体動圧軸受スリーブに設けた貫通孔を介して連通させることができるので、軸受装置内部における潤滑油の圧力バランスに乱れが生じた場合であっても、この乱れを迅速に解消して、所望の軸受性能を安定的に維持することが可能となる。
以上の説明に係る流体動圧軸受装置は、上述したような種々の特長を有することから、例えば、ディスク駆動装置用のスピンドルモータ、PC用のファンモータ、あるいはLBP用のポリゴンスキャナモータ等の各種小型モータに組み込んで好適に使用することができ、しかも各種モータの低コスト化に寄与することができる。
以上より、本発明によれば、所望のラジアル方向及びスラスト方向の軸受性能を発揮することができ、しかも、上述した所望の軸受性能を安定的に維持することのできる流体動圧軸受装置を低コストに提供することが可能となる。
本発明の第一実施形態に係る流体動圧軸受装置を組み込んだモータの全体構成を説明するための断面図である。 図1に示す流体動圧軸受装置の断面図である。 図2に示す流体動圧軸受スリーブの断面図である。 図2に示す流体動圧軸受スリーブの上端面を示す平面図である。 図2に示す流体動圧軸受スリーブの製造工程を説明するための図である。 図2に示す流体動圧軸受スリーブの製造工程を説明するための図である。 図2に示す流体動圧軸受スリーブの製造工程を説明するための図である。 図2に示す流体動圧軸受スリーブの要部拡大断面図である。 図2に示す流体動圧軸受スリーブの要部拡大断面図である。 本発明の第二実施形態に係る流体動圧軸受装置を示す断面図である。
以下、本発明の第一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係る流体動圧軸受装置を組み込んだスピンドルモータの概略断面図である。このスピンドルモータは、HDD等のディスク駆動装置に用いられるものであり、回転体2を回転自在に支持する流体動圧軸受装置1と、半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル4およびロータマグネット5と、流体動圧軸受装置1を内周に保持したモータベース6とを備えている。ステータコイル4はモータベース6に取付けられ、ロータマグネット5は回転体2を構成するハブ部23としてのディスクハブに取付けられる。ディスクハブには図示しないディスク(ディスク状情報記録媒体)が一又は複数枚保持される。以上の構成において、ステータコイル4に通電すると、ステータコイル4とロータマグネット5との間の電磁力でロータマグネット5が回転し、それに伴って回転体2が回転する。
図2に、本発明の第一実施形態に係る流体動圧軸受装置1を示す。この流体動圧軸受装置1は、回転体2と、回転体2の軸部21が挿入される軸孔を有する略円筒状の流体動圧軸受スリーブ8と、流体動圧軸受スリーブ8に固定された蓋部材10とを備えており、内部空間には潤滑流体としての潤滑油(密な散点ハッチングで示す。)が充填されている。なお、以下では、説明の便宜上、蓋部材10が配置された側を下側、その軸方向反対側を上側とするが、流体動圧軸受装置1の使用態様を限定するものではない。
回転体2は、流体動圧軸受スリーブ8の内周に挿入された軸部21と、軸部21の下端から径方向外側に張り出したフランジ部22と、軸部21の上端から径方向外側に張り出したハブ部23としてのディスクハブとを備える。本実施形態において、フランジ部22は、軸部21の下端にねじ止め固定され、ハブ部23は、軸部21と一体に設けられている。ハブ部23は、流体動圧軸受スリーブ8の上方に配置された円盤部23aと、円盤部23aの外径端部から下方に延び、外周にロータマグネット5(図1を参照)が取り付けられる筒状部23bと、図示しないディスクを載置するためのディスク搭載面23cとを備える。
流体動圧軸受スリーブ8は、例えば銅(純銅だけでなく銅合金を含む)と鉄(純鉄だけでなくステンレスなどの鉄をベースとした合金を含む)の一方又は両方を主成分とする焼結金属の多孔質体で略円筒状に形成される。図3に示すように、流体動圧軸受スリーブ8の内周面8aには、対向する軸部21の外周面21aとの間にラジアル軸受部R1,R2のラジアル軸受隙間を形成する円筒状のラジアル軸受面A1,A2が軸方向の二箇所に離間して設けられる。ラジアル軸受面A1,A2には、それぞれ、ラジアル軸受隙間に介在する潤滑油に動圧作用を発生させるための動圧発生部(ラジアル動圧発生部)が形成されている。上側のラジアル軸受面A1に設けられたラジアル動圧発生部は、ヘリングボーン形状に配列された複数の動圧溝Aa1と、動圧溝Aa1を区画形成する丘部とで構成され、下側のラジアル軸受面A2に設けられたラジアル動圧発生部は、ヘリングボーン形状に配列された複数の動圧溝Aa2と、動圧溝Aa2を区画形成する丘部とで構成される。上側のラジアル動圧発生部においては、上側領域の動圧溝Aa1の軸方向寸法が下側領域の動圧溝Aa1の軸方向寸法よりも大きくなっており、下側のラジアル動圧発生部においては、上側領域の動圧溝Aa2および下側領域の動圧溝Aa2の軸方向寸法が、上側のラジアル軸受面A1に形成されたラジアル動圧発生部のうち、下側領域の動圧溝Aa1の軸方向寸法と等しくなっている。
流体動圧軸受スリーブ8の上端面8bには、対向するハブ部23の円盤部23aの下端面23a1との間に第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間(第1スラスト軸受隙間)を形成する環状のスラスト軸受面Bが設けられる。このスラスト軸受面Bには、第1スラスト軸受隙間に介在する潤滑油に動圧作用を発生させるためのスラスト動圧発生部が形成されている。スラスト動圧発生部は、例えば図4に示すように、スパイラル形状の動圧溝Baと、この動圧溝Baを区画形成する丘部とを円周方向で交互に設けて構成される。
流体動圧軸受スリーブ8の下端面8cには、対向するフランジ部22の上端面22aとの間に第2スラスト軸受部T2のスラスト軸受隙間(第2スラスト軸受隙間)を形成する環状のスラスト軸受面Cが設けられる。本実施形態では、このスラスト軸受面Cの側ではなく、このスラスト軸受面Cと対向するフランジ部22の上端面22aに、第2スラスト軸受隙間に介在する潤滑油に動圧作用を発生させるためのスラスト動圧発生部が形成されている。スラスト動圧発生部は、例えば図示は省略するが、図4に示す如く、スパイラル形状の動圧溝と、動圧溝を区画形成する丘部とを周方向に交互に設けて構成される。この場合、流体動圧軸受スリーブ8の下端面8cは、略平坦な形状をなす。
流体動圧軸受スリーブ8の外周面は、相対的に上側に配置され、上方に向かって漸次拡径したテーパ状外周面8d1と、相対的に下側に配置され、軸方向に延びる円筒状外周面8d2とを有する。テーパ状外周面8d1は、対向するハブ部23の筒状部23bの内周面23b1との間に、上方に向かって半径方向寸法が漸次縮小したくさび状のシール隙間Sを形成する。このシール隙間Sは、流体動圧軸受装置1の運転時、第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間の外径側と連通する。また、シール隙間Sは、流体動圧軸受装置1の内部空間に充填された潤滑油の温度変化に伴う容積変化量を吸収するバッファ機能を有し、想定される温度変化の範囲内で潤滑油の油面を常にシール隙間Sの軸方向範囲内に保持する。
流体動圧軸受スリーブ8は、その外周面に開口した表面開孔を封止する外周封孔部7を有する。外周封孔部7は、外周面を被覆するめっき被膜等を形成する被膜形成処理により、あるいは、いわゆる目潰し処理により形成することもできるが、本実施形態では、図9に拡大して示すように、外周面の表面開孔に封孔材Pを充填し、これを硬化させることで形成している。封孔材Pとしては、例えば、流体動圧軸受スリーブ8との密着性に優れたエポキシ樹脂が使用される。外周封孔部7は、流体動圧軸受スリーブ8の外周面(テーパ状外周面8d1および円筒状外周面8d2)全域に形成しても構わないが、ここでは、外周面の上端部から円筒状外周面8d2の軸方向略中央部に至って形成されている。これは、後述するように、円筒状外周面8d2の下側領域に蓋部材10が接着固定されるからである。すなわち、蓋部材10を固定する接着剤が外周封孔部7として機能することに加え、蓋部材10で円筒状外周面8d2の下側領域が被覆されるからである。なお、本実施形態では、外周封孔部7の形成領域と、蓋部材10の固定領域(筒状部10b)とを軸方向でオーバーラップさせている。
また、流体動圧軸受スリーブ8は、上端面8b(スラスト軸受面B)および下端面8c(スラスト軸受面C)に開口した軸方向の貫通孔11を有する。この貫通孔11は、周方向の一又は複数箇所(本実施形態では周方向の一箇所。図4を参照)に設けられており、円形の開口形状(同じく図4を参照)をなす。この貫通孔11は、例えば後述するレーザー加工で、ラジアル動圧発生部をサイジング加工で形成した後に形成される。
以上の構成を有する流体動圧軸受スリーブ8は、例えば、以下のような手順を踏んで製造することができる。まず、銅粉末(上記と同様、銅合金粉末を含む)と鉄粉末(上記と同様、ステンレス粉末などの鉄をベースとした合金粉末を含む)の一方又は両方を主成分とし、これに適当な充填材を配合した原料粉末を圧縮成形して略完成品形状の圧粉体を得て、その後、この圧粉体を焼結温度以上で加熱することにより、流体動圧軸受スリーブ8の中間品としての焼結体108を得る(図5を参照)。この時点で、焼結体108に、ラジアル動圧発生部及びスラスト動圧発生部、軸方向の貫通孔11、並びに外周封孔部7は形成されていない。
次いで、この焼結体108に矯正加工(サイジング)を施すことにより、焼結体108を完成品形状に仕上げるのと同時に、焼結体108の内周面8a及び上端面8bにラジアル動圧発生部およびスラスト動圧発生部をそれぞれ対応する型を押付けて塑性変形させることで、図3に示す形状のラジアル動圧発生部を有するラジアル軸受面A1,A2及び図4に示す形状のスラスト動圧発生部を有するスラスト軸受面Bを成形する。この時点で、焼結体108に、軸方向の貫通孔11及び外周封孔部7は形成されていない(図6を参照)。なお、本実施形態では、焼結体108の寸法サイジングと動圧溝サイジングを同時に行う場合を例示したが、もちろんサイジング加工を二回にわけて行う、すなわち、焼結体108全体の形状及び寸法を矯正するためのサイジング加工(寸法サイジング)を行った後、内周面8a及び上端面8bにラジアル動圧発生部とスラスト動圧発生部をそれぞれ成形するようにしてもよい。
このようにして、各動圧発生部が形成された焼結体108に対してレーザー加工を行って、軸方向の貫通孔11を形成する。具体的には、図7に示すように、所定の姿勢で図示しない保持部材により保持された状態の焼結体108に対して、レーザーLの照射方向が焼結体108の中心軸方向と一致するように、レーザー発振器110及び図示しない光学系を配置する。そして、レーザー発振器110より発振されたレーザーLを光学系で適宜集光して、本実施形態では焼結体108の下端面8cに向けて照射する。これにより、レーザーLの照射開始側(すなわち下端面8cの側)から焼結体108が溶融していき、その結果、貫通孔11が軸方向に沿って上端面8bと下端面8cとに開口して形成される。なお、上述のように、レーザーLの照射により焼結体108を溶かして軸方向の貫通孔11を形成する場合、両端面8b,8cの開口部周辺にレーザーLの照射により生じた溶融金属が付着していることがある。その場合には、例えばレーザーLを溶融金属の付着部に照射しながらエアー等のガスを吹き付けることで、付着した溶融金属を除去することが可能である。もちろん、レーザーLを用いなくても、ラップ加工やバニシング加工を開口部の周辺に施すことで付着した溶融金属を除去することも可能である。
この場合、レーザーLの入射側となる焼結体108の下端面8cには、円すい状に拡径して、貫通孔11と下端面8cとをつなぐ拡径面11bが形成される(図3)。また、貫通孔11の内周面11aの少なくとも一部には、図8に示すように、焼結体108(流体動圧軸受スリーブ8)の内周面8aに形成される表面開孔、及び/又は焼結体108(流体動圧軸受スリーブ8)を構成する金属組織81の間に存在する内部空孔には、レーザーLの照射により焼結体108が溶けたことにより生じた溶融金属82が充填され、かつ冷却固化してなる内周封孔部83が形成されている。
なお、上述した貫通孔11の内径寸法は、レーザーLの照射条件を制御することで適宜調整が可能であり、例えば内径寸法が0.1mm以上の貫通孔11であればレーザーLで形成可能である。また、その上限については、焼結体108(流体動圧軸受スリーブ8)の内径寸法、及び外径寸法との関係で定まり、例えば流体動圧軸受スリーブ8の内径寸法をD1、外径寸法をD2、そして貫通孔11の内径寸法をD3とした場合(図3)、貫通孔11の内径寸法D3は、以下の数式 D3<(D2−D1)/4 を満たす範囲において任意に設定することが可能である。
このようにして焼結体108に貫通孔11を形成した後、焼結体108の外周面、ここでは主にテーパ状外周面8d1の円周方向全域にわたって所定の封孔処理を施すことで、外周封孔部7を形成する(図3、図9)。これにより、図3に示す流体動圧軸受スリーブ8が完成する。なお、本実施形態では、貫通孔11を形成した後に、外周封孔部7を形成した場合を例示したが、この順序は逆にすることも可能である。すなわち、サイジング加工で焼結体108にラジアル動圧発生部等を形成した後、先に封孔処理で外周封孔部7を形成し、然る後、レーザー加工等で貫通孔11を形成するようにしてもかまわない。
蓋部材10は、フランジ部22の下側に配置される円盤状の底部10aと、底部10aの外径端部に立設された筒状部10bとを一体に有する有底筒状をなす。本実施形態の筒状部10bは、フランジ部22の外径側に配置される小径筒部10b1と、小径筒部10b1よりも上側に配置された大径筒部10b2と、軸線と直交する方向に延び、両筒部10b1,10b2を接続する段部10b3とで構成される。なお、小径筒部10b1の軸方向寸法(底部10aの上端面と段部10b3の上端面の軸方向離間距離)は、少なくとも、フランジ部22の厚さと、回転体2の回転時に形成される2つのスラスト軸受隙間の隙間幅とを合算した値に設定される。この蓋部材10は、例えば、導電性を有する金属板にプレス加工を施すことで形成される。
以上の構成を有する蓋部材10は、段部10b3の上端面を流体動圧軸受スリーブ8の下端面8cの外径領域に当接させた状態(段部10b3と流体動圧軸受スリーブ8とを軸方向に係合させた状態)で、大径筒部10b2の内周面を流体動圧軸受スリーブ8の下端外周(円筒状外周面8d2の下側領域)に固定することにより、流体動圧軸受スリーブ8に対して取り付け固定されている。所望の固定力が得られる限りにおいて流体動圧軸受スリーブ8に対する蓋部材10の固定方法に特段の制約はないが、本実施形態では、互いに対向する大径筒部10b2の内周面と流体動圧軸受スリーブ8の円筒状外周面8d2の下側領域との間に介在させた接着剤層を介して蓋部材10と流体動圧軸受スリーブ8とが固定されている。以上の構成により、流体動圧軸受スリーブ8の下端外周(円筒状外周面8d2のうち、外周封孔部7が形成されていない下側領域)の表面開孔、流体動圧軸受スリーブ8の下端面8cの表面開孔、および流体動圧軸受スリーブ8の軸孔の下端開口部を介しての潤滑油漏れが防止される。
なお、図2に示すように、本実施形態では、金属板のプレス成形品とされる蓋部材10の筒状部10b(大径筒部10b2)が流体動圧軸受スリーブ8の内周面8aに設けたラジアル軸受面A2の一部と軸方向でオーバーラップしている。このような場合に、蓋部材10の大径筒部10b2を大きな締め代でもって流体動圧軸受スリーブ8に圧入すると、流体動圧軸受スリーブ8の外周面(円筒状外周面8d2)が変形し、この変形がラジアル軸受面A2の形状精度、ひいてはラジアル軸受部R2の軸受性能に悪影響を及ぼすおそれがある。そのため、蓋部材10は、いわゆる隙間接着により、あるいはラジアル軸受面A2の形状精度に悪影響を及ぼさない程度の締め代で大径筒部10b2を圧入した圧入接着により、流体動圧軸受スリーブ8に固定するのが好ましい。
以上の構成を有する流体動圧軸受装置1は、以下のような手順で組み立てられる。まず、流体動圧軸受スリーブ8の内周に、ハブ部23を一体に有する軸部21を挿入してから、軸部21の下端にフランジ部22を固定する。次いで、流体動圧軸受スリーブ8の下端外周に蓋部材10を嵌合し、両者を接着固定する。流体動圧軸受スリーブ8と蓋部材10の接着固定は、蓋部材10の段部10b3の上端面を流体動圧軸受スリーブ8の下端面8cに当接させた状態で行う。このようにすれば、蓋部材10の小径筒部10b1の軸方向寸法が上記のように設定されているので、流体動圧軸受スリーブ8と蓋部材10の軸方向相対位置を正確に管理した状態(2つのスラスト軸受隙間の隙間出しが正確に行われた状態)で流体動圧軸受スリーブ8と蓋部材10を固定することができる。そして、流体動圧軸受スリーブ8の内部気孔、ラジアル軸受部R1,R2のラジアル軸受隙間、第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間および第2スラスト軸受部T2のスラスト軸受隙間等を満たすように流体動圧軸受装置1の内部空間に潤滑油(例えばエステル系潤滑油)を充填すると、図2に示す流体動圧軸受装置1が完成する。
以上の構成からなる流体動圧軸受装置1において、回転体2が回転すると、流体動圧軸受スリーブ8の内周面8aに設けた上下2つのラジアル軸受面A1,A2と、これに対向する軸部21の外周面21aとの間にラジアル軸受隙間がそれぞれ形成される。そして回転体2の回転に伴い、ラジアル軸受隙間に形成される油膜圧力がラジアル動圧発生部の動圧作用によって高められ、回転体2をラジアル方向に非接触支持するラジアル軸受部R1,R2が上下に離間した二箇所に形成される。
これと同時に、流体動圧軸受スリーブ8の上端面8bに設けたスラスト軸受面Bとこれに対向するハブ部23の円盤部23aの下端面23a1との間、および流体動圧軸受スリーブ8の下端面8cに設けたスラスト軸受面Cとこれに対向するフランジ部22の上端面22aとの間にスラスト軸受隙間がそれぞれ形成される。そして、回転体2の回転に伴い、両スラスト軸受隙間の油膜圧力がスラスト動圧発生部の動圧作用によって高められ、回転体2をスラスト一方向およびスラスト他方向に非接触支持する第1スラスト軸受部T1および第2スラスト軸受部T2が形成される。
また、上側のラジアル動圧発生部を構成する上下の動圧溝Aa1の軸方向寸法差により、回転体2が回転すると、流体動圧軸受スリーブ8の内周面8aと軸部21の外周面21aとの間の隙間に介在する潤滑油は下方に流動し、第2スラスト軸受部T2のスラスト軸受隙間→流体動圧軸受スリーブ8の両端面8b,8cに開口した軸方向の貫通孔11→第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間という経路を循環して、ラジアル軸受部R1のラジアル軸受隙間に再び引き込まれる。
このような構成とすることで、潤滑油の圧力バランスが保たれると同時に、局部的な負圧の発生に伴う気泡の生成、気泡の生成に起因する潤滑油の漏れや振動の発生等の問題を解消することができる。第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間の外径側がシール隙間Sと連通しているので、何らかの理由で潤滑油中に気泡が混入した場合でも、気泡が潤滑油と共に上記の経路を循環する際にシール隙間S内の潤滑油の油面(気液界面)から外気に排出される。従って、気泡による悪影響は一層効果的に防止される。
以上の構成を有する流体動圧軸受装置1は、蓋部材10の外周面を、アルミ合金等の金属材料で形成されたモータベース6(図1参照)の円筒状内周面に例えば接着固定することによってモータに組み込まれる。蓋部材10とモータベース6は何れも金属製とされるから、流体動圧軸受装置1はモータベース6に対して高い接着強度でもって固定することができる。
以上で説明したように、本発明に係る流体動圧軸受装置1では、流体動圧軸受スリーブ8の少なくとも外周面に封孔処理が施され、流体動圧軸受スリーブ8の上端外周面(テーパ状外周面8d1)とこれに対向するハブ部23の内周面23b1との間に潤滑油の油面を保持したシール隙間Sが形成され、かつ流体動圧軸受スリーブ8の下端外周(円筒状外周面8d2の下側領域)に、有底筒状の蓋部材10が固定される。このような構成によれば、特許文献1の流体動圧軸受装置で採用しているハウジングを省略しつつも、潤滑油の外部漏洩を防止して所望の軸受性能を安定的に維持することができる。そして、ハウジングを省略できれば、ハウジングの径方向の肉厚分だけ、流体動圧軸受スリーブ8を径方向に厚肉化(流体動圧軸受スリーブ8の外径寸法を拡大)することができる。これにより、流体動圧軸受スリーブ8の上端面8b(スラスト軸受面B)および下端面8c(スラスト軸受面C)の面積拡大を通じて第1および第2スラスト軸受部T1,T2の軸受剛性を高めることができる。
また、本発明では、両端面8b,8cに開口して流体動圧軸受スリーブ8を軸方向に貫通する貫通孔11をレーザー加工により、ラジアル動圧発生部のサイジング加工の後に形成するようにした。これにより、ラジアル動圧発生部のサイジング加工時、焼結体108に貫通孔11はまだ形成されていない状態となるため(図6)、焼結体108の外周面8d1,8d2を半径方向に圧迫した際、その圧迫力が内周面8aに対してばらつきなく均一に作用させることができる。従って、内周面8aをサイジング用のピン(成形型)に均等に押付けることができ、真円度に優れた内周面8aを得ることができると共に、この内周面8aにラジアル動圧発生部を高精度に成形することができる。
また、貫通孔11をレーザー加工で形成すれば、非常に短時間で加工が可能となる。レーザー加工の際、エアーなどのガスを使用することはあるが、特に液体を用いる必要はないため、加工後に洗浄工程を設ける必要もない。加えて、レーザーLであれば、そのエネルギー密度やレーザービーム径などを調整することで、貫通孔11のサイズ(内径寸法D3)や内周面11aの表面性状等を制御することができる。以上より、レーザーLの照射により軸方向の貫通孔11を形成するようにすれば、加工精度面及びコスト面の双方で優位である。
図10は、本発明の第二実施形態に係る流体動圧軸受装置1の断面図を示している。第二実施形態の流体動圧軸受装置1が、図2に示した第一実施形態に係る流体動圧軸受装置1と異なる主な点は、フランジ部22が省略され、これに伴って回転体2をスラスト他方向に支持する第2スラスト軸受部T2が省略されている点にある。このような構成を採用すれば、フランジ部22が省略される分だけ流体動圧軸受装置1を軸方向にコンパクト化することが、あるいは、フランジ部22が省略される分だけ流体動圧軸受スリーブ8を軸方向に長寸化し、ラジアル軸受部R1,R2の軸方向離間距離を拡大することが、すなわちモーメント剛性を高めることができる。
以上、本発明の第一及び第二実施形態に係る流体動圧軸受装置1について説明を行ったが、流体動圧軸受装置1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で上記以外の形態をとることも可能である。
例えば、以上に説明した流体動圧軸受装置1では、軸部21とハブ部23が一体に形成された回転体2を用いているが、軸部21とハブ部23は個別に製作して適宜の手段で固定してもよい。この場合、図2に示す流体動圧軸受装置1において、軸部21とフランジ部22の一体品にハブ部23を適宜の手段で固定した回転体2を用いることもできる。
また、以上に説明した流体動圧軸受装置1では、蓋部材10の外周面のみをモータベース6に対する取付け面としているが、流体動圧軸受スリーブ8の外周面をモータベース6に対する取付け面として活用することもできる。この場合、モータベース6に対する固定強度に問題がなければ、樹脂で射出成形された蓋部材10を用いることもできる。
また、以上に説明した流体動圧軸受装置1では、流体動圧軸受スリーブ8の内周面8a(ラジアル軸受面A1,A2)にラジアル動圧発生部を形成しているが、ラジアル動圧発生部は、ラジアル軸受隙間を介して対向する軸部21の外周面21aに形成してもよい。同様に、流体動圧軸受スリーブ8の上端面8b(スラスト軸受面B)に形成したスラスト動圧発生部を、このスラスト軸受面Bに対向するハブ部23の円盤部23aの下端面23a1に形成してもよい。もちろん、拡径面11bの生成によるスラスト軸受面Cの面積の減少が気にならない、あるいは拡径面11bが生じないように貫通孔11を形成できるのであれば、フランジ部22の上端面22aに形成したスラスト動圧発生部を、下端面8c(スラスト軸受面C)に形成してもよい。
また、以上で説明した流体動圧軸受装置1では、外周封孔部7を流体動圧軸受スリーブ8の外周面にのみ外周封孔部7を形成しているが、外周封孔部7は、流体動圧軸受スリーブ8のその他の面、さらには流体動圧軸受スリーブ8の表面全域に形成しても構わない。
また、本発明は、ラジアル軸受部R1,R2の何れか一方又は双方が、いわゆる多円弧軸受、ステップ軸受、および波型軸受等、公知のその他の動圧軸受で構成された流体動圧軸受装置や、スラスト軸受部T1,T2の何れか一方又は双方が、いわゆるステップ軸受や波型軸受等、公知のその他の動圧軸受で構成された流体動圧軸受装置にも好ましく適用できる。
また、本発明は、ハブ部23が、ディスクを保持するディスクハブで構成された流体動圧軸受装置1のみに適用されるわけではなく、ハブ部23が、羽根を有するロータ、あるいはポリゴンミラーを有するロータで構成される流体動圧軸受装置1にも好ましく適用することができる。すなわち、本発明は、図1に示すようなスピンドルモータのみならず、PC用のファンモータや、レーザビームプリンタ(LBP)用のポリゴンスキャナモータ等、その他の電気機器用モータに組み込まれる流体動圧軸受装置1にも好ましく適用することができる。
1 流体動圧軸受装置
2 回転体
21 軸部
22 フランジ部
23 ハブ部
7 外周封孔部
8 軸受スリーブ
8b 上端面(一端面)
8c 下端面(他端面)
8d1 テーパ状外周面
8d2 円筒状外周面
10 蓋部材
10a 底部
10b 筒状部
10b3 段部
11 貫通孔
11a 内周面
11b 拡径面
82 溶融金属
83 内周封孔部
108 焼結体(中間品)
110 レーザー発振器
L レーザー
P 封孔材
S シール隙間
R1,R2 ラジアル軸受部
T1,T2 スラスト軸受部

Claims (10)

  1. 内周面にラジアル動圧発生部が設けられると共に、一端面及び他端面に開口する軸方向の貫通孔が形成される焼結金属製の流体動圧軸受スリーブの製造方法であって、
    前記内周面にサイジング加工を施して前記ラジアル動圧発生部を形成した後に、前記貫通孔を形成する、流体動圧軸受スリーブの製造方法。
  2. 前記一端面又は前記他端面に向けてレーザーを照射して、前記流体動圧軸受スリーブに前記貫通孔を形成する請求項1に記載の流体動圧軸受スリーブの製造方法。
  3. 前記流体動圧軸受スリーブの前記一端面にスラスト動圧発生部が設けられ、
    前記レーザーを前記他端面に向けて照射して、前記流体動圧軸受スリーブに前記貫通孔を形成する請求項2に記載の流体動圧軸受スリーブの製造方法。
  4. 内周面にラジアル動圧発生部が設けられると共に、一端面及び他端面に開口する軸方向の貫通孔が形成される焼結金属製の動圧軸受スリーブであって、
    前記貫通孔の内周面に、レーザーの照射により生じた溶融金属で表面開孔が封孔されてなる内周封孔部が形成されている流体動圧軸受スリーブ。
  5. 前記一端面にスラスト動圧発生部が設けられ、前記他端面が、軸方向中央側から軸方向端部側に向かうにつれて拡径する拡径面を介して前記貫通孔の内周面とつながっている請求項4に記載の流体動圧軸受スリーブ。
  6. 外周面に、前記焼結金属とは異なる材質の封孔材が前記外周面の表面開孔を封孔した状態で硬化してなる外周封孔部が形成されている請求項4又は5に記載の流体動圧軸受スリーブ。
  7. 請求項4〜6の何れかに記載の流体動圧軸受スリーブと、前記流体動圧軸受スリーブの内周に挿入される軸部とを備え、前記軸部の回転に伴って、前記流体動圧軸受スリーブの内周面とこの内周面に対向する前記軸部の外周面との間に前記軸部をラジアル方向に非接触支持するラジアル軸受部のラジアル軸受隙間が形成される流体動圧軸受装置。
  8. 前記軸部の一端から径方向外側に張り出して、前記軸部と共に回転体を構成するハブ部と、前記流体動圧軸受スリーブの前記外周面の一端側とこの外周面に対向する前記ハブ部の内周面との間に形成され、潤滑油の油面が保持されるシール隙間、及び前記流体動圧軸受スリーブの前記外周面の他端側に固定される有底筒状の蓋部材とをさらに備え、
    前記回転体の回転に伴って、前記流体動圧軸受スリーブの前記一端面とこの一端面に対向する前記ハブ部の端面との間に前記回転体をスラスト方向に非接触支持するスラスト軸受部のスラスト軸受隙間が形成される請求項7に記載の動圧軸受装置。
  9. 前記回転体は、前記流体動圧軸受スリーブと前記蓋部材の間に配置されるフランジ部を有し、
    前記流体動圧軸受スリーブの他端面とこの他端面に対向する前記フランジ部の端面との間に、前記回転体をスラスト方向に非接触支持するスラスト軸受部のスラスト軸受隙間が形成される請求項7又は8に記載の流体動圧軸受装置。
  10. 請求項7〜9の何れかに記載された流体動圧軸受装置を備えるモータ。
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