JP2008298238A - 流体軸受装置 - Google Patents

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達雄 中島
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Abstract

【課題】所望の軸受性能を安定維持可能な流体軸受装置を低コストに提供する。
【解決手段】流体軸受装置1は、内周に収容した軸部材2との間にラジアル軸受隙間を形成するスリーブ部8およびスリーブ部8を内周に配置したハウジング部7を有する軸受部材6と、軸受部材の内部空間を満たす潤滑油と、軸受部材6の両端面に開口する軸方向の循環路11とを備える。潤滑油は軸方向の循環路11を介して流動循環が可能とされる。ハウジング部7はスリーブ部8をインサートして射出成形され、循環路11は、レーザ加工で形成され、かつ、スリーブ部8の両端面8c、8bに形成された凹部20,21に開口して形成されている。
【選択図】図4

Description

本発明は、流体軸受装置に関するものである。
流体軸受装置は、軸部材と軸受部材の相対回転により、軸受隙間に形成される油膜で軸部材を回転自在に支持する軸受装置である。この流体軸受装置は、高速回転、高回転精度、低騒音等の特徴を有するものであり、近年ではその特徴を活かして、情報機器をはじめ種々の電気機器に搭載されるモータ用の軸受装置として、より具体的には、HDD等の磁気ディスク装置、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク装置、MD、MO等の光磁気ディスク装置等のスピンドルモータ、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、ファンモータなどのモータ用軸受装置として好適に使用されている。
この種の流体軸受装置は、軸受隙間を満たす潤滑油に動圧を発生させるための動圧発生部を備えた動圧軸受と、動圧発生部を有さない真円軸受(軸受断面が真円形状である軸受)とに大別される。
ところで、流体軸受装置の運転中、様々な要因によって内部空間を満たす潤滑油がその一部領域で負圧になる場合がある。かかる負圧の発生は、気泡の発生や潤滑油の漏れ、あるいは振動の発生等を招き、軸受性能低下の一因となる。この種の不具合を回避するには流体軸受装置の内部で潤滑油を流動循環させるのが有効である。かかる潤滑油の流動循環を実現する目的で、スリーブ部の外周面に軸方向の溝を設け、当該溝とハウジング部の内周面とで軸方向の循環路を形成した構成が公知である(例えば、特許文献1を参照)。
一方、流体軸受装置に対するコスト低減の要請が近年益々厳しさを増しており、この要請に対応するためにスリーブ部をインサートしてハウジング部を射出成形する場合がある。しかしながらこの場合、スリーブ部の表面に、循環路を構成する溝を予め設けた状態でハウジング部を射出成形しても、射出成形時に供給される樹脂等の溶融材料によって溝が埋められてしまうため循環路を形成することができない。そこで、スリーブ部の表面に循環路形成材を供給した状態でハウジング部を射出成形し、その後、循環路形成材を溶解させることで循環路を形成したものが提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
特開2003−232353号公報 特開2006−300178号公報
しかしながら、循環路の孔径は1mm以下の微小径に設定される場合が多く、これに対応した精度で循環路形成材を供給するのは容易ではない。また、循環路形成材を完全に除去できないと、潤滑油の流動循環が円滑に行われないおそれがある他、残存した循環路形成材がコンタミとなって軸受性能に悪影響を及ぼすおそれもある。そのため、循環路形成材は入念に除去する必要がある。このように従来構成では、循環路形成材の供給および除去の双方に格別の配慮を要すため、スリーブ部をインサートしてハウジング部を射出成形することによるコストメリットを十分に享受できない場合があった。
本発明の課題は、所望の軸受性能を安定維持可能な流体軸受装置を低コストに提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明では、内周に収容した軸部材との間にラジアル軸受隙間を形成するスリーブ部およびスリーブ部を内周に配置したハウジング部を有する軸受部材と、軸受部材の内部空間を満たす潤滑油と、軸受部材に形成され、軸受部材の両端面に開口する軸方向の循環路とを備え、循環路を介して潤滑油の流動循環を可能とした流体軸受装置において、ハウジング部が、スリーブ部をインサートして射出成形され、循環路がレーザ加工で形成され、かつ軸受部材の少なくとも一方の端面に形成された凹部に開口していることを特徴とする流体軸受装置を提供する。
上記のように、本発明では、スリーブ部をインサートしてハウジング部が射出成形されるので高精度な軸受部材が低コストに得られる。その一方で、レーザを照射する一工程を経るだけで微小径の循環路を高精度に形成することができ、格別の配慮を要する2工程を経て循環路を形成していた従来構成に比べ、製造コストの低廉化を図ることができる。また、循環路が、軸受部材の少なくとも一方の端面に形成された凹部に開口して形成されるので、レーザの照射に伴って生成されるドロス(溶けかす)、バリ等を凹部内に保持することができる。これにより、ドロス等を除去する手間を省略しつつ、他部材の組み付け精度等に悪影響が及ぶのを回避することができる。
上記本発明は、スラスト軸受隙間をさらに有し、循環路が凹部を介してスラスト軸受隙間の外径側に開口している流体軸受装置に特に好適である。上述のとおり、レーザの照射に伴って生成されるドロス等が凹部内に保持され、スラスト軸受隙間、すなわちスラスト軸受部における軸受性能に悪影響が及ぶのを回避することができるからである。
レーザ照射に伴って生成されるドロス等を適切に保持する観点から言えば、凹部は軸受部材の両端面に形成するのが望ましい。しかしながら、凹部を両端面に形成した場合には、軸受内部に充満すべき油量が増大するおそれがある。かかる事態に鑑みて凹部を一方の端面にのみ形成する場合、凹部はレーザ入射側の一端面に形成するのが望ましい。逆を言えば、この場合、レーザは凹部を設けた側から照射するのが望ましい。ドロス等は、出射側に比べ入射側で多く生成される傾向にあるためである。
凹部は円周方向で連続的に設けることができる他、断続的に設けることも可能である。前者の構成はレーザ照射時における装置の円周方向での位置決めが容易になる分、加工コスト面で後者に比べて有利であり、後者の構成は、前者に比べて油量低減を図る上で有利である。
凹部、すなわち循環路は軸受部材の任意の部位に形成することができる。具体的に述べると、循環路は、スリーブ部に設けることができる他、ハウジング部に設けることも、またあるいはスリーブ部およびハウジング部の双方に設けることも可能である。これらは、流体軸受装置の用途等に応じて適宜変更可能である。
循環路の形成に用いるレーザとしては、炭酸ガスレーザ、YAGレーザ、ファイバレーザ等公知のものを用いることが可能であるが、レーザ(レーザビーム)の品質が高く、循環路の形成に必要な出力を容易にかつ安定して得られることから、炭酸ガスレーザが特に好適である。
以上の構成を有する流体軸受装置は、ステータコイルと、ロータマグネットとを有するモータ、例えば情報機器用のスピンドルモータに組み込んで好適に使用可能である。
以上より、本発明によれば、軸受性能の安定維持に必要不可欠な循環路を高精度かつ低コストに形成することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、流体軸受装置を組み込んだ情報機器用スピンドルモータの一構成例を概念的に示している。このスピンドルモータは、HDD等のディスク駆動装置に用いられるもので、軸部材2を回転自在に支持する流体軸受装置1と、軸部材2に装着されたディスクハブ3と、例えば半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル4aおよびロータマグネット4bとを備えている。ステータコイル4aはブラケット5の外周に取付けられ、ロータマグネット4bはディスクハブ3の内周に取付けられる。流体軸受装置1の軸受部材6は、ブラケット5の内周に装着される。ディスクハブ3には、磁気ディスク等のディスクDが一又は複数枚保持される。ステータコイル4aに通電すると、ステータコイル4aとロータマグネット4bとの間の電磁力でロータマグネット4bが回転し、それによって、ディスクハブ3および軸部材2が一体となって回転する。
図2は、本発明に係る流体軸受装置の第1実施形態を示すものである。同図に示す流体軸受装置1は、軸部材2と、軸部材2を内周に収容したスリーブ部8およびスリーブ部8を内周に配置したハウジング部7を有する軸受部材6と、軸受部材6(ハウジング部7)の一端開口をシールするシール部材9と、軸受部材6の他端開口を封止する蓋部材10とを主要な構成部品として備える。なお、以下では、説明の便宜上、シール部材9の側を上側、これと軸方向反対側を下側として説明を進める。
軸部材2は、例えば、ステンレス鋼等の金属材料で形成され、軸部2aと、軸部2aの下端に一体又は別体に設けられたフランジ部2bとを備えている。軸部材2は、その全体を金属材料で形成する他、例えばフランジ部2bの全体あるいはその一部(例えば両端面)を樹脂で構成し、金属と樹脂のハイブリッド構造とすることもできる。
スリーブ部8は、焼結金属からなる多孔質体、特に銅を主成分とする焼結金属の多孔質体で円筒状に形成される。なお、焼結金属に限らず、多孔質体ではない他の金属材料、例えば黄銅等の軟質金属でスリーブ部8を形成することも可能である。また、焼結金属以外の多孔質体(例えば、多孔質樹脂)でスリーブ部8を形成することも可能である。
スリーブ部8の内周面8aには、第1ラジアル軸受部R1と第2ラジアル軸受部R2のラジアル軸受面となる上下2つの領域が軸方向に離隔して設けられ、該2つの領域には、例えば図3(a)に示すようなヘリングボーン状に配列された複数の動圧溝8a1、8a2がそれぞれ形成されている。上側の動圧溝8a1は、軸方向中心m(上下の傾斜溝間領域の軸方向中央)に対して軸方向非対称に形成されており、軸方向中心mより上側領域の軸方向寸法X1が下側領域の軸方向寸法X2よりも大きくなっている。動圧溝は、軸部2aの外周面2a1に形成することもでき、またその形状は、スパイラル状等、公知のその他の形状とすることもできる。
スリーブ部8の下側端面8bには第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受面となる領域が設けられ、該領域には、図3(b)に示すように、例えばスパイラル状に配列された複数の動圧溝8b1が形成されている。動圧溝8b1は、フランジ部2bの上側端面2b1に形成することもでき、またその形状は、へリングボーン状等、公知のその他の形状とすることもできる。
スリーブ部8の上側端面8cの半径方向略中央部には円周溝8c1が形成され、円周溝8c1よりも内径側の領域には、一又は複数の半径方向溝8c2が形成されている。本実施形態で、半径方向溝8c2は、円周方向の三箇所に等配されている。
スリーブ部8の上側端面8cの外周縁部および下側端面8bの外周縁部には、環状の凹部20,21がそれぞれ設けられている。ここでは面取りで凹部20,21がそれぞれ構成され、下側の凹部21は第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間の外径側一端に隣接した位置にある。スリーブ部8の外周面8dには、この凹部20,21に両端を開口した一又は複数の軸方向の循環路11が設けられ、本実施形態で循環路11は円周方向の3箇所に等配されている。
ハウジング部7は略円筒状をなし、スリーブ部8をインサートして樹脂で射出成形される。樹脂以外にも、例えばアルミニウム合金等の低融点金属でハウジング部7を射出成形することも可能である。
蓋部材10は、例えばステンレス鋼や黄銅等の金属材料で円盤状に形成される。蓋部材10の上側端面10aには、第2スラスト軸受部T2のスラスト軸受面となる領域が設けられ、該領域には、図示は省略するが、例えばスパイラル状に配列された複数の動圧溝が形成されている。動圧溝は、フランジ部2bの下側端面2b2に形成することもでき、またその形状は、ヘリングボーン状等、公知のその他の形状とすることができる。
シール部材9は、例えば、黄銅等の軟質金属材料やその他の金属材料、あるいは樹脂材料でリング状に形成される。シール部材9の内周面9aは、軸部2aの外周面2a1と所定のシール空間S1を介して対向する。シール部材9の下側端面9bの外径側領域9b1は、内径側領域よりも僅かに軸方向上方に後退させた状態に形成されている。
上記の構成部材からなる流体軸受装置1の製造工程を、軸受部材6の製造工程を中心に以下説明する。なお、軸受部材6は、スリーブ部8をインサートしてハウジング部7を射出成形する(A)射出成形工程と、スリーブ部8に循環路11を形成する(B)循環路形成工程とを経て製造される。
(A)射出成形工程
この工程では、図4(a)に示す金型を用いて、スリーブ部8をインサートしてハウジング部7が射出成形される。この段階で、スリーブ部8に循環路11は形成されていない。同図に示す金型は、主に可動側の上型12および固定側の下型13からなり、両型12,13でハウジング部7形状に対応したキャビティ15が構成される。上型12には、キャビティ15内に溶融樹脂Pを射出するゲート16が設けられる。ゲート16形状は、成形すべきハウジング部7の形状に対応させた任意形状のものが選択可能である。下型13の軸線上には固定ピン14が設けられ、スリーブ部8は固定ピン14の外周に半径方向移動が規制される程度の嵌め合いで嵌合される。これによりスリーブ部8が固定ピン14に位置決め配置される。
上型12には、スリーブ部8の上側端面8cに設けた凹部20に嵌合する環状の凸部12aが設けられ、下型13には、スリーブ部8の下側端面8bに設けた凹部21に嵌合する環状の凸部13bが設けられている。かかる凸部12a,13bを設けることにより、スリーブ部8の凹部20,21がキャビティ15に露出し、溶融樹脂Pが凹部20,21に充填されるのを防止することができる。なお、凸部12a,13bは凹部20,21がキャビティ15に露出するのを防止する機能を果たせば足りるので、凸部12a,13bの断面形状と凹部20,21の断面形状は必ずしも同一形状とする必要はない。
上記構成の金型において、下側端面8bを下型13の内底面13aに当接させるようにしてスリーブ部8を位置決め配置した後、上型12を下型13に接近させて型締めする。型締め完了後、ゲート16を介してキャビティ15内に溶融樹脂Pを射出・充填し、ハウジング部7をスリーブ部8と一体に型成形する。溶融樹脂Pの固化完了後型開きを行うと、ハウジング部7およびスリーブ部8が一体となった軸受部材6が得られる。
溶融樹脂Pを構成するベース樹脂としては、非晶性樹脂あるいは結晶性樹脂の何れも使用可能である。使用可能な非晶性樹脂としては、例えば、ポリサルフォン(PSU)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニルサルフォン(PPSU)、ポリエーテルイミド(PEI)等を挙げることができる。また使用可能な結晶性樹脂としては、例えば、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等を挙げることができる。上記のベース樹脂には、これに種々の特性を付与する充填材を添加することができる。使用可能な充填材の種類にも特段の限定はないが、例えば、ガラス繊維等の繊維状充填材、チタン酸カリウム等のウィスカー状充填材、マイカ等の鱗片状充填材、カーボンファイバー、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノマテリアル、金属粉末等の繊維状又は粉末状の導電性充填材を用いることができる。これらの充填材は、単独で用いる他、二種以上を混合して使用しても良い。
(B)循環路形成工程
以上のようにして形成された軸受部材6は、図4(b)に示す循環路11の形成工程に移送され、この工程ではレーザを照射することにより軸受部材6に循環路11が形成される。同図に示す循環路11の形成装置は、軸受部材6を支持する固定ピン17と、軸受部材6の一端側(図示例は上端側)に配設されたレーザ照射装置18とで主要部が構成される。
図示は省略しているが、レーザ照射装置18と軸受部材6との間に、凸レンズや凹レンズを有するビーム径調整手段を配設することも可能である。かかるビーム径調整手段を設けることにより、形成すべき循環路11の孔径等に応じてビーム径を簡便に調整することが可能となる。
レーザ照射装置18は、放電ランプや半導体レーザ等の励起源を備え、その先端部からスリーブ部8に向けてレーザビーム19を照射するものであり、軸線と平行なレーザビーム19を照射可能に配設される。レーザとしては、炭酸ガスレーザ、YAGレーザ、ファイバレーザ等公知の種々のレーザが使用可能であるが、レーザビーム19の品質が高く、循環路11の形成に必要な出力を容易かつ安定して得られることから本実施形態では炭酸ガスレーザを用いている。レーザ照射装置18におけるレーザビーム19の照射方式は、連続式またはパルス式の何れであっても良いが特に連続式が好適である。照射するレーザビーム19のパワーは任意に調整可能で、本実施形態では2000W程度に設定される。
以上の構成において、固定ピン17で軸受部材6を支持した状態でレーザ照射装置18からレーザビーム19を照射し、スリーブ部8の両端面8c,8bに形成した凹部20,21に開口した1本の循環路11を形成する。この循環路11は、スリーブ部8をハウジング部7から分離した場合には、スリーブ部8の外周面8dに形成された溝としての形態を有する。
1本の循環路11を形成した後、軸受部材6とレーザ照射装置18とを円周方向に相対回転させてスリーブ部8に2本目の循環路11を形成する。さらに同様にして3本目の循環路11を形成する。このようにしてスリーブ部8の円周方向3箇所に循環路11を形成した後、軸受部材6を固定ピン17から取り外すと、図2および図3に示す完成品としての軸受部材6が得られる。なお、レーザビーム19が凹部20以外の領域に照射されると、被照射部位が溶解、損傷等するおそれがある。そのため、レーザビーム19のビーム径は、凹部20の半径方向寸法よりも小さく設定するのが望ましい。例えば、本実施形態では、φ50μm程度のビーム径に設定される。
以上では、レーザ照射装置18を円周方向の一箇所に配設し、レーザ照射装置18と軸受部材6とを相対回転させることによって、スリーブ部8に3本の循環路11を形成する構成としたが、レーザ照射装置18を円周方向の3箇所に配設することにより、またあるいは3本のレーザビーム19を照射できるレーザ照射装置を用いることにより、3本の循環路11を同時形成することも可能である。
以上のようにして製造された軸受部材6(スリーブ部8)の内周に軸部材2を挿入し、ハウジング部7の上端開口および下端開口に、シール部材9および蓋部材10をそれぞれ接着、圧入等適宜の手段で固定する。その後、シール部材9で密封された軸受部材6の内部空間にスリーブ部8の内部空孔も含め潤滑油を充満させることにより、図2に示す流体軸受装置1が完成する。
以上の構成からなる流体軸受装置1において、軸部材2が回転すると、スリーブ部8の内周面8aのラジアル軸受面となる上下2箇所の領域は、それぞれ、軸部2aの外周面2a1とラジアル軸受隙間を介して対向する。そして、軸部材2の回転に伴って、各ラジアル軸受隙間に形成される油膜は、ラジアル軸受面にそれぞれ形成された動圧溝8a1、8a2の動圧作用によってその油膜剛性を高められ、この圧力によって軸部材2がラジアル方向に回転自在に非接触支持される。これにより、軸部材2をラジアル方向に回転自在に非接触支持する第1ラジアル軸受部R1と第2ラジアル軸受部R2とが形成される。
また、軸部材2が回転すると、スリーブ部8の下側端面8bのスラスト軸受面となる領域は、フランジ部2bの上側端面2b1とスラスト軸受隙間を介して対向し、蓋部材10の上側端面10aのスラスト軸受面となる領域は、フランジ部2bの下側端面2b2とスラスト軸受隙間を介して対向する。そして、軸部材2の回転に伴って、各スラスト軸受隙間に形成される油膜は、スラスト軸受面にそれぞれ形成された動圧溝の動圧作用によってその油膜剛性を高められ、この圧力によって軸部材2が両スラスト方向に回転自在に非接触支持される。これにより、軸部材2を両スラスト方向に回転自在に非接触支持する第1スラスト軸受部T1と第2スラスト軸受部T2とが形成される。
また、軸部材2の回転時には、上述のように、シール空間S1が、軸受部材6の内部側に向かって漸次縮小したテーパ形状を呈しているため、シール空間S1内の潤滑油は毛細管力による引き込み作用により、シール空間が狭くなる方向、すなわち軸受部材6の内部側に向けて引き込まれる。これにより、軸受部材6の内部からの潤滑油の漏れ出しが効果的に防止される。また、シール空間S1は、軸受部材6の内部空間に充満された潤滑油の温度変化に伴う容積変化量を吸収するバッファ機能を有し、想定される条件変化の範囲内では、潤滑油の油面は常にシール空間S1内にある。
また、上側の動圧溝8a1は、軸方向中心mに対して軸方向非対称に形成されており、軸方向中心mより上側領域の軸方向寸法X1が下側領域の軸方向寸法X2よりも大きくなっている。そのため、軸部材2の回転時、動圧溝8a1による潤滑油の引き込み力(ポンピング力)は上側領域が下側領域に比べて相対的に大きくなる。そして、この引き込み力の差圧によって、スリーブ部8の内周面8aと軸部2aの外周面2a1との間の隙間に満たされた潤滑油は、第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間→循環路11→シール部材9の下側端面9bの外径側領域9b1とスリーブ部8の上側端面8cとの間の環状隙間→スリーブ部8の上側端面8cの円周溝8c1→スリーブ部8の上側端面8cの半径方向溝8c2という経路を循環して、第1ラジアル軸受部R1のラジアル軸受隙間に再び引き込まれる。
このように、潤滑油が軸受部材6の内部空間を流動循環するように構成することで、内部空間内の潤滑油の圧力が局部的に負圧になる現象を防止して、負圧発生に伴う気泡の生成、気泡の生成に起因する潤滑油の漏れや軸受性能の劣化、振動の発生等の問題を解消することができる。また、何らかの理由で潤滑油中に気泡が混入した場合でも、気泡が潤滑油に伴って循環する際にシール空間S1内の潤滑油の油面(気液界面)から外気に排出されるので、気泡による悪影響はより一層効果的に防止される。
以上に示す本発明の構成では、ハウジング部7が、スリーブ部8をインサートして射出成形されるので高精度な軸受部材6が低コストに得られる。その一方で、レーザビーム19を照射する工程を経るだけで高精度な循環路11を形成することができる。これにより、格別の配慮を要する2工程を経て循環路11を形成していた従来構成に比べ、製造コストの低廉化を図ることができる。
また、循環路11は、スリーブ部8の両端面8c、8bにそれぞれ設けた凹部20,21に開口して、すなわちレーザビーム19を凹部20に向けて照射することで形成されるので、レーザビーム19の照射に伴って生成されるドロス(溶けかす)、バリ等を凹部20,21内に保持することができる。これにより、スリーブ部8に別途仕上げ加工を施す手間を省略しつつも、ドロス等が生成されることによってスラスト軸受部T1の軸受性能に悪影響が及ぶのを、またシール部材9や蓋部材10の固定精度に悪影響が及ぶのを回避することができる。
なお、以上では、環状の凹部20,21を設けた場合について説明を行ったが、凹部20,21は円周方向で断続的に設けることも、すなわち円弧状溝とすることも可能である。このように凹部20,21を断続的に設けた場合、軸受内部に充満すべき潤滑油の油量を図1に示す構成に比べて低減することができる。そのため、シール空間Sの容積、換言するとシール部材9の軸方向寸法を縮小して流体軸受装置1のコンパクト化を図ることが可能となる。また以上では、面取りからなる凹部20,21を設けた構成としたが、上記の機能を果たす限りにおいて凹部20,21の断面形状は任意に設定することができ、凹部20,21は、例えば断面矩形状とすることも可能である。さらに、凹部20,21は必ずしも同一形状とする必要はなく、例えば、一方を連続的に、他方を断続的に形成しても良い。
また、以上では、スリーブ部8の両端面に凹部20,21を設けた構成としたが、スリーブ部8の下側端面8b又は上側端面8cの何れか一方にのみ凹部を設けてもよい。かかる構成とした場合、上記同様、軸受内部に充満すべき潤滑油の油量を図1に示す構成に比べて低減し、流体軸受装置のコンパクト化を図ることができる。なお、ドロス等は、レーザビーム19の出射側に比べ入射側で多く生成される傾向にある。そのため、凹部を何れか一方の端面に設ける場合には、レーザビーム19の入射側に凹部を設けるのが望ましい。
以上、本発明に係る流体軸受装置の一実施形態について説明を行ったが、本発明は上記構成の流体軸受装置に限定適用されるものではない。以下、本発明を適用した流体軸受装置の他の実施形態について説明を行うが、図2に示す流体軸受装置1に準じる構成には共通の参照番号を付して重複説明を省略する。
図5は、本発明に係る流体軸受装置の第2実施形態を示している。同図に示す流体軸受装置1が図2に示す流体軸受装置と異なる主な点は、第2スラスト軸受部T2が、軸部材2に固定されたディスクハブ3の下側端面3aとハウジング部7の上側端面7bとの間に設けられた点、およびシール空間S1がハウジング部7の上部外周面7cとディスクハブ3の内周面3bとの間に形成された点にある。
図6は、本発明に係る流体軸受装置の第3実施形態を示している。同図に示す流体軸受装置1が図2に示す流体軸受装置1と異なる主な点は、スリーブ部8の上側端面8cと軸部材2に固定したシール部材29の下側端面29bとの間、およびスリーブ部8の下側端面8bと軸部材2に固定したシール部材30の上側端面30bとの間にそれぞれ第1および第2スラスト軸受部T1、T2を設けた点、またハウジング部7に内周小径部71と内周大径部72とを設け、内周大径部72の第1内周面72aとシール部材29の外周面29aとの間、および内周大径部72の第2内周面72bとシール部材30の外周面30aとの間にシール空間S1、S2を設けた点にある。本実施形態では、スラスト軸受部T1、T2の軸方向離間距離が図2に示す流体軸受装置1に比べ長大化するので、モーメント荷重に対する負荷能力(モーメント剛性)を高めることができる。なお、本実施形態では、ハウジング部7の内周小径部71に環状の凹部20,21を設け、この凹部20,21に開口して循環路11を設けている。
図7は、本発明に係る流体軸受装置の第4実施形態を示している。同図に示す流体軸受装置1が以上に示す流体軸受装置と異なる主な点は、ハウジング部7の内周面を大径内周面7a1と小径内周面7a2とに区画し、大径内周面7a1にスリーブ部8の外周面を密着させた点である。この場合、スリーブ部8とハウジング部7とが軸方向で相互に係合した形態となるため、スリーブ部8とハウジング部7間の結合強度を高めることができ、流体軸受装置1の耐衝撃性が高まる。なお、本実施形態では、スリーブ部8の両端面8c,8bに凹部20,21をそれぞれ設け、この凹部20,21に開口して循環路11を設けている。この場合、循環路11は、スリーブ部8の外周面よりも内径側で両端面8b、8cに開口する貫通孔として形成される。凹部20,21は、循環路11の両端開口部を内包した円周方向の溝として形成される。図示例では凹部20,21の双方を円周方向で断続的に形成された円弧状溝としているが、凹部20,21の何れか一方又は双方は環状溝とすることもできる。
以上では、スリーブ部8あるいはハウジング部7に循環路11を設けた流体軸受装置について説明を行ったが、循環路11の形成部位は任意に選択することができる。例えば、図示は省略するが、スリーブ部8とハウジング部7の固定界面に循環路11を設ける他、スリーブ部8およびハウジング部7の双方に循環路11を設けることもできる。
また、以上では、ラジアル軸受部R1、R2およびスラスト軸受部T1、T2として、ヘリングボーン形状やスパイラル形状の動圧溝により潤滑油の動圧作用を発生させる構成を例示しているが、ラジアル軸受部R1、R2として、いわゆるステップ軸受、多円弧軸受、あるいは非真円軸受を、スラスト軸受部T1、T2として、いわゆるステップ軸受や波型軸受を採用しても良い。また、以上では、ラジアル軸受部を軸方向2箇所に設けた構成を例示しているが、ラジアル軸受部を軸方向の1箇所あるいは3箇所以上に設けることもできる。
また、以上では、ラジアル軸受部R1、R2の双方を動圧軸受で構成した場合について説明を行ったが、ラジアル軸受部R1、R2の一方又は双方をこれ以外の軸受で構成することもできる。例えば図示は省略するが、軸部材2の外周面2a1を真円状外周面に形成すると共に、この外周面と対向する軸受スリーブ8の内周面8aを真円状内周面とすることで、いわゆる真円軸受を構成することもできる。
また、以上の説明では、スラスト軸受部T1、T2の双方を動圧軸受で構成したが、例えば図2、図5等に示す構成の流体軸受装置1では、軸部材2の下端を凸球状に形成することにより、スラスト軸受部をピボット軸受で構成することもできる。
流体軸受装置を組み込んだ情報機器用スピンドルモータの一例を概念的に示す断面図である。 本発明に係る流体軸受装置の第1実施形態を示す断面図である。 (a)図は軸受部材の断面図、(b)図は軸受部材を下方から見た図である。 (a)図はハウジング部を射出成形する工程を概念的に示す断面図、(b)図は軸受部材に循環路を形成する工程を概念的に示す断面図である。 本発明に係る流体軸受装置の第2実施形態を示す断面図である。 本発明に係る流体軸受装置の第3実施形態を示す断面図である。 本発明に係る流体軸受装置の第4実施形態を示す断面図である。
符号の説明
1 流体軸受装置
2 軸部材
6 軸受部材
7 ハウジング部
8 スリーブ部
11 循環路
12 上型
13 下型
15 キャビティ
18 レーザ照射装置
19 レーザビーム
20,21 凹部
R1、R2 ラジアル軸受部
T1、T2 スラスト軸受部
S1、S2 シール空間

Claims (6)

  1. 内周に収容した軸部材との間にラジアル軸受隙間を形成するスリーブ部およびスリーブ部を内周に配置したハウジング部を有する軸受部材と、軸受部材の内部空間を満たす潤滑油と、軸受部材に形成され、軸受部材の両端面に開口する軸方向の循環路とを備え、循環路を介して潤滑油の流動循環を可能とした流体軸受装置において、
    ハウジング部が、スリーブ部をインサートして射出成形され、
    循環路は、レーザ加工で形成され、かつ軸受部材の少なくとも一方の端面に形成された凹部に開口していることを特徴とする流体軸受装置。
  2. さらにスラスト軸受隙間を有し、循環路が凹部を介してスラスト軸受隙間の外径側に開口している請求項1記載の流体軸受装置。
  3. 凹部が、レーザ入射側の一端面に形成された請求項1記載の流体軸受装置。
  4. 凹部が、断続的に設けられた請求項1記載の流体軸受装置。
  5. 炭酸ガスレーザを用いたレーザ加工で循環路が形成された請求項1記載の流体軸受装置。
  6. 請求項1〜5の何れか記載の流体軸受装置と、ステータコイルと、ロータマグネットとを有するモータ。
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