JP2009011018A - 流体軸受装置およびその製造方法 - Google Patents

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栗村  哲弥
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Abstract

【課題】クランパ装着用の回り止め穴を有するディスクハブの軽量化、低コスト化、および高強度化を同時に達成する。
【解決手段】ディスクハブ12は、ディスクDを固定するクランパ3装着用の回り止め穴16と、芯金13をインサートして射出成形された樹脂成形部14とを有する。回り止め穴16の周方向一部領域は、芯金13の厚肉部13aの外周面13a2で構成される。
【選択図】図5

Description

本発明は、流体軸受装置およびその製造方法に関するものである。
流体軸受装置は、軸受隙間に形成される油膜で軸部材を回転自在に支持するものである。この流体軸受装置は、高速回転、高回転精度、低騒音等の特徴を有するものであり、近年ではその特徴を活かして、情報機器をはじめ種々の電気機器に搭載されるモータ用の軸受装置として、より具体的には、HDD等の磁気ディスク装置、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク装置、MD、MO等の光磁気ディスク装置等のスピンドルモータ、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、ファンモータなどのモータ用軸受装置として好適に使用されている。
上記モータのうち、例えばディスク装置用のスピンドルモータに組込まれる流体軸受装置として、軸部材と、ディスク搭載面を有し、軸部材の外径側に突出して設けられた金属製のディスクハブとを備え、軸部材の外周面が面するラジアル軸受隙間に形成される油膜で軸部材(およびディスクハブ)をラジアル方向に支持するものが公知である。ディスクハブのディスク搭載面にはディスクが載置され、ディスクは、ディスクハブと、軸部材の上端部にねじ結合されたクランパとで挟持される(例えば、特許文献1を参照)。
ディスクハブは、上記特許文献1に記載されているように、その全体が金属製とされる他、その一部又は全部が樹脂製とされる場合もある(例えば、特許文献2を参照)。
特開2000−235766号公報 特開2005−337342号公報
クランパを軸部材にねじ結合する際、ねじの締め付けに伴ってディスクハブや軸部材が回転すると、クランパ、ひいてはディスクを精度良く固定するのが難しくなる。そのため、ディスクハブの一端(反軸受部材側の一端)には、クランパ装着時の回り止め用の穴(回り止め穴)が設けられる場合がある。この回り止め穴は、特許文献2のようにディスクハブの少なくとも前記一端側を樹脂製(樹脂部)とする場合、樹脂部の成形と同時に形成することができる。詳細には、樹脂部を成形するキャビティ内に、回り止め穴形状に対応したピンを配設した状態で溶融樹脂を射出し、樹脂の固化後にピンを取り除くことによって形成することができる。
ところで、ディスクハブの樹脂部の成形時に用いるゲートとしては、円盤状を呈するディスクハブの成形性を考慮すると、円環状のゲートを採用するのが有効である。この場合、ゲートから射出された溶融樹脂は、回り止め穴を成形するピンの外周を回りこむようにしてキャビティの外径側から内径側へ流動するが、成形ピンの内径側で樹脂が合流してウェルド部(ウェルドライン)が形成される。このようなウェルド部が形成されるとディスクハブの強度低下が顕著になり、特にクランパを装着する際のねじ締め時に割れ(破断)等の問題が生じ易くなる。
例えば、特許文献1に記載のようにディスクハブの全体を金属製とし、これに回り止め穴を形成すれば上記の問題は解消されるが、流体軸受装置の軽量化を図るのが困難である他、材料費および加工コストが高騰し、近年益々厳しくなっている流体軸受装置に対する低コスト化の要請に対応するのが難しくなる。
本発明の課題は、クランパ装着用の回り止め穴を有するディスクハブの軽量化、低コスト化、および高強度化を同時に達成することにある。
上記課題を解決するため、本発明では、軸部材と、ディスク搭載面を有し、軸部材の外径側に突出して設けられたディスクハブと、軸部材の外周面が面するラジアル軸受隙間に形成される油膜で軸部材をラジアル方向に支持する流体軸受装置において、ディスクハブが、ディスクを固定するクランパ装着用の回り止め穴と、金属部品をインサートして樹脂で射出成形された樹脂成形部とを有し、回り止め穴の周方向一部領域が、金属部品の外周面で構成されていることを特徴とする流体軸受装置を提供する。
上記のように、本発明では、ディスクハブが金属部品をインサートして樹脂で射出成形された樹脂成形部を有するので、ディスクハブの全体を金属製とする場合に比べて、ディスクハブ、ひいては流体軸受装置を軽量化および低コスト化することができる。その一方で、回り止め穴の周方向一部領域が、金属部品の外周面で構成されているので、樹脂成形部を射出成形した場合に、回り止め穴の周囲にウェルド部が形成されることがない。従って、ウェルド部が形成されることによるディスクハブの強度低下を防止することができ、クランパの装着性を高めることができる。
樹脂成形部の成形時に用いるゲートに特段の限定はないが、環状のゲート、例えばフィルムゲートを用いれば、環状を呈するディスクハブの成形精度向上が図られるため、望ましい。もちろん、かかるフィルムゲートを用いた場合でも、ウェルド部が形成されることはない。
インサート部品として用いる金属部品は、軸部材としても良いし、軸部材に設けられる芯金としても良い。前者の構成は、重量面およびコスト面で後者に比べて有利であり、後者の構成は、強度面で前者に比べて有利である。
樹脂成形部の成形に用いるためのベース樹脂は、射出成形可能なものであれば特段の限定はなく、要求品質に応じて任意に選択可能である。例えば、特に機械的強度を考慮するとポリフェニレンサルファイド(PPS)が、また、特に成形性、寸法安定性、耐油性、熱安定性等を考慮すると液晶ポリマー(LCP)がベース樹脂として好適である。しかしながら、液晶ポリマーは、射出成形に好適なその他の熱可塑性樹脂に比してウェルド強度が極端に弱い。そのため、従来のように樹脂成形部にウェルド部が形成される構成では、液晶ポリマーをベース樹脂として用いることが実質的には不可能であった。これに対し、本発明ではウェルド部の形成が回避されるので、液晶ポリマーを樹脂成形部の成形用ベース樹脂として使用することが可能となり、高い形状精度を長期に亘って維持可能な樹脂成形部、すなわちディスクハブを提供することができる。
インサート部品として芯金を用いる場合、芯金の一端面でスラスト軸受隙間を形成することができる。かかる構成とすれば、樹脂成形部でスラスト軸受隙間を形成する場合に比べ、流体軸受装置の起動、停止の繰り返しによる摩耗、および温度変化に伴うスラスト軸受隙間幅の変動を抑制し、スラスト方向の回転精度を高めることが可能となる。
上記構成のディスクハブは、インサートされた金属部品の外周面に成形ピンを接触させた状態でキャビティ内に溶融樹脂を射出することによって形成することができる。前述のとおり、インサート部品(金属部品)として芯金を用いた場合、ディスクハブの高強度化を図る上で有利であるが、芯金に回り止め穴を設けるとその加工コストが高騰するおそれがある。この点、本発明では、芯金の外周面に成形ピンを接触させるだけで高強度な回り止め穴が形成されるので、芯金形状を単純化することができ、流体軸受装置の製造コストを低廉化することができる。
以上より、本発明によれば、クランパ装着用の回り止め穴を有するディスクハブの軽量化、低コスト化、および高強度化を同時に達成することができる。これにより、軽量かつ高い耐久性を誇る流体軸受装置が低コストに提供可能となる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、流体軸受装置を組み込んだ情報機器用スピンドルモータの一構成例を概念的に示している。このスピンドルモータは、HDD等のディスク駆動装置に用いられるもので、軸部材2およびディスクハブ12を回転自在に支持する流体軸受装置1と、半径方向のギャップを介して対向したステータコイル4およびロータマグネット5と、ブラケット6とを備えている。ステータコイル4はブラケット6の外径側円筒部の内周に取り付けられ、ロータマグネット5はヨーク15を介してディスクハブ12の外周に取り付けられる。流体軸受装置1のハウジング9は、ブラケット6の内周に固定される。ディスクハブ12には、情報記録媒体としてのディスクDが一又は複数枚(図示例は一枚)載置され、ディスクDは、ディスクハブ12と、軸部材2の上端にねじ7によって固定されたクランパ3とで挟持される。以上の構成において、ステータコイル4に通電すると、ステータコイル4とロータマグネット5との間の電磁力でロータマグネット5が回転し、それに伴って、ディスクハブ12、ディスクD、およびクランパ3が軸部材2と一体に回転する。
なお、図1では、ステータコイル4をブラケット6の外径側円筒部の内周に、ロータマグネット5をディスクハブ12の外周に取り付けた構成としているが、ブラケット6やディスクハブ12の形状によっては、ステータコイル4がブラケット6の外周に、ロータマグネット5がディスクハブ12の内周に取り付けられる場合もある(図示は省略)。
図2は、図1に示す流体軸受装置1を拡大して示すもので、本発明に係る流体軸受装置の第1実施形態を概念的に示すものである。この流体軸受装置1は、軸部材2と、軸部材2の外径側に突出して設けられたディスクハブ12と、内周に軸部材2が挿入された軸受スリーブ8と、軸受スリーブ8を内周に固定したハウジング9と、ハウジング9の一端開口部を封止する蓋部材10とを主要な構成として備える。なお、以下説明の便宜上、ディスクハブ12の側を上側、蓋部材10の側を下側として説明を進める。
軸受スリーブ8は、例えば、焼結金属からなる多孔質体、特に銅を主成分とする焼結金属の多孔質体で円筒状に形成される。なお、焼結金属に限らず、例えば黄銅等の軟質金属や焼結金属ではない他の多孔質体で軸受スリーブ8を形成することも可能である。
軸受スリーブ8の内周面8aには、第1ラジアル軸受部R1と第2ラジアル軸受部R2のラジアル軸受面となる円筒状領域が軸方向に離隔して上下二箇所に設けられ、該円筒状領域には、ラジアル動圧発生部として、例えば図3(A)に示すように、ヘリングボーン形状に配列された複数の動圧溝8a1、8a2がそれぞれ形成されている。上側の動圧溝8a1は、軸方向中心m(上下の傾斜溝間領域の軸方向中央)に対して軸方向非対称に形成されており、軸方向中心mより上側領域の軸方向寸法X1が下側領域の軸方向寸法X2よりも大きくなっている。一方、下側の動圧溝8a2は軸方向対称に形成され、その上下領域の軸方向寸法はそれぞれ上記軸方向寸法X2と等しくなっている。なお、動圧溝は、軸部材2の外周面2aに形成することもでき、またその形状は、スパイラル形状等公知のその他の形状とすることもできる。
軸受スリーブ8の下側端面8bには、第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受面となる環状領域が設けられ、該環状領域には、スラスト動圧発生部として、例えば図3(B)に示すように、スパイラル形状に配列された複数の動圧溝8b1が形成されている。なお、動圧溝は、後述するフランジ11の上側端面11aに形成することもでき、またその形状は、ヘリングボーン形状等公知のその他の形状とすることもできる。この軸受スリーブ8の外周面8dには、両端面8b、8cに開口した軸方向溝8d1が1又は複数本(本実施形態では、図3(b)にも示すように3本)形成される。
ハウジング9は、黄銅等の軟質金属材料、あるいは樹脂材料で略円筒状に形成され、ブラケット6の内周に圧入、接着等の適宜の手段で固定される。ハウジング9の内周面は、軸方向で小径内周面9cと大径内周面9dとに区画される。小径内周面9cおよび大径内周面9dには、それぞれ、軸受スリーブ8および蓋部材10が圧入、接着、溶着等適宜の手段で固定される。大径内周面9dに蓋部材10を固定することにより、ハウジング9の下端開口部が封止される。
ハウジング9の上側端面9aには、第2スラスト軸受部T2のスラスト軸受面となる環状領域が設けられ、該環状領域には、スラスト動圧発生部として、例えば図4に示すようなスパイラル形状に配列された複数の動圧溝9a1が形成されている。動圧溝は、対向するディスクハブ12の円盤部下側端面12a1に形成することもでき、またその形状は、ヘリングボーン形状等、公知のその他の形状とすることもできる。
軸部材2は、例えばステンレス鋼等の金属材料で略同径の軸状に形成される。軸部材2の下端には、抜け止めとしてのフランジ11が例えばねじ結合される。また、軸部材2の上端部内周には、クランパ3をねじ結合するためのねじ穴が設けられる。
軸部材2の上端部には段部2bが設けられ、この段部2bに係合させるようにして外径側に突出したディスクハブ12が設けられる。ディスクハブ12は、ステンレス鋼等の金属材料で略円盤状に形成された芯金13と、芯金13をインサートして樹脂で射出成形された樹脂成形部14とからなる金属と樹脂のハイブリッド構造とされる。このディスクハブ12は、ハウジング9の上端を覆う円盤部12aと、円盤部12aの外径端から下方に延びる円筒部12bと、円筒部12bから外径側に突出する鍔部12cとを備え、鍔部12cにはディスク搭載面12dが設けられる。円筒部12bの下端外周には、例えばステンレス鋼等の磁性材料からなる円環状のヨーク15が固定され、該ヨーク15の外周面には接着等適宜の手段によってロータマグネット5が固定される。
芯金13は、内径側に厚肉部13a、外径側に薄肉部13bを有する。厚肉部13aおよび薄肉部13bの下端面は同一レベルにあり、両下端面でディスクハブ12の円盤部12aの下側端面12a1を構成する。薄肉部13bの上端面は樹脂成形部14で被覆される一方、厚肉部13aの上端面は外部に露出している。
ディスクハブ12の円盤部12aにはクランパ3の装着時に用いる回り止め穴16が周方向の一又は複数箇所に設けられる。本実施形態で回り止め穴16は、図5に示すように、芯金13の厚肉部13aの外周面13a2でその周方向一部領域が構成されるようにして円盤部12aの周方向3箇所に等配されている。なお、図示例では、回り止め穴16を略矩形状に形成しているが、この回り止め穴16は、その周方向一部領域が芯金13の厚肉部外周面13a2で構成され、かつ後述する回り止めピンGを挿入することができる限りにおいてその形状は任意であり、真円状、楕円状等としても良い。
上記のディスクハブ12は、例えば以下示す工程を経て製造される。
図6は、ディスクハブ12の製造工程を概念的に示すものである。同図に示すディスクハブ12の成形装置は、軸方向の相対移動可能に同軸配置された上型21および下型22で主要部が構成され、上下型21,22間に樹脂成形部14形状に対応したキャビティ25が形成される。なお、本実施形態では、上型21が可動型、下型22が固定型である。
上型21には、キャビティ25に溶融樹脂Pを射出するゲート24と、ディスクハブ12の円盤部12aに設けるべき回り止め穴16形状に対応した成形ピン23とが設けられる。上下型21,22を型締めした状態で、成形ピン23の外周面は下型22にインサート部品として配設された芯金13の厚肉部外周面13a2に接触し、また成形ピン23の下端面は芯金13の薄肉部13bの上端面に当接する。なお、ゲート24としては、公知の各種ゲート、例えば、フィルムゲート、ディスクゲート、点状ゲート(多点ゲートを含む)等を採用することが可能であるが、円盤状をなす樹脂成形部14(ディスクハブ12)の形状を考慮して、ここでは環状のフィルムゲートが使用される。
下型22には、芯金13の厚肉部13aが外嵌される小径部22aと、芯金13の薄肉部13bが外嵌される大径部22bとが設けられている。
上記構成の成形装置において、芯金13を下型22に位置決め配置した後、上型21を下型22に接近させて型締めする。そして、ゲート24を介してキャビティ25内に溶融樹脂Pを射出・充填し、芯金13と一体に樹脂成形部14を型成形する。溶融樹脂Pとしては、熱可塑性樹脂をベース樹脂とした樹脂組成物が用いられる。使用可能な熱可塑性樹脂に特段の限定はなく、例えば、液晶ポリマー(LCP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)等に代表される結晶性樹脂や、ポリフェニルサルフォン(PPSU)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミドイミド(PAI)等に代表される非晶性樹脂を挙げることができ、これらは一種又は二種以上混合して使用される。本実施形態では、上記熱可塑性樹脂の中でも、特に成形性、寸法安定性、耐油性、および熱安定性等に優れる液晶ポリマー(LCP)をベース樹脂としている。
上記のベース樹脂には、必要に応じて、ガラス繊維等の繊維状充填材、チタン酸カリウム等のウィスカー状充填材、マイカ等の鱗片状充填材、カーボンファイバー、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノマテリアル、金属粉末等の繊維状又は粉末状の各種充填材を一又は複数種充填(添加)することもできる。
溶融樹脂Pの固化後、型開きすると、芯金13と樹脂成形部14とが一体となり、円盤部12aに回り止め穴16が成形された図5に示すディスクハブ12が得られる。なお、前述のとおり、上下型21,22を型締めした状態で成形ピン23の外周面および下端面は、それぞれ芯金13の厚肉部外周面13a2および薄肉部13bの上端面に当接するため、成形ピン23の内径側への溶融樹脂Pの流れ込みは効果的に防止される。従って、溶融樹脂Pが成形ピン23を回り込むことによるウェルド部(ウェルドライン)の形成が回避される。
以上のようにして形成されたディスクハブ12は、芯金13(厚肉部13a)の内周面13a1を軸部材2の上端部に外嵌するようにして軸部材2に固定され、その後、ディスクハブ12には、ディスクDが固定される。詳細には、ディスクDをディスク搭載面12dに載置すると共にディスクDにクランパ3を載置し、その後、ねじ7を軸部材2の上端部内周に設けたねじ穴に締結することにより、ディスクハブ12とクランパ3とで挟持されるようにしてディスクDが固定される。この際、図2に点線で示す回り止めピンGを、クランパ3に設けた貫通孔3aを介してディスクハブ12の回り止め穴16に挿入する。これにより、クランパ3とディスクハブ12との間の相対回転が規制され、ねじ7を確実に締め付けることが、すなわちディスクDを確実に固定することができる。
ハウジング9の外周面のうち、上部側には、上方に向かって漸次拡径するテーパ面9bが形成され、このテーパ面9bは、ディスクハブ12の円筒部12bの内周面12b1との間に、上方に向かって半径方向寸法が漸次縮小する環状のシール空間Sを形成する。シール空間Sは、軸部材2の回転時、第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間の外径側と連通する。
以上の構成部材からなる流体軸受装置1の内部空間には、軸受スリーブ8の内部気孔も含め潤滑油が充満される。潤滑油としては種々のものが使用可能であるが、流体軸受装置の運転時や輸送時における温度変化を考慮すると、蒸発率が低く低粘度のエステル系潤滑油、例えばジオクチルセバケート(DOS)やジオクチルアゼレート(DOZ)等を基油とする潤滑油が好適である。なお、上記のシール空間Sは、ハウジング7の内部空間に充満された潤滑油の温度変化に伴う容積変化量を吸収するバッファ機能を有し、想定される温度変化の範囲内で潤滑油の油面は常にシール空間S内にある。
上記構成の流体軸受装置1において、軸部材2が回転すると、軸受スリーブ8の内周面8aの上下2箇所に離隔して形成されたラジアル軸受面となる領域が、それぞれ軸部材2の外周面2aとラジアル軸受隙間を介して対向する。そして、軸部材2の回転に伴って、両ラジアル軸受隙間に形成される油膜は、軸受スリーブ8の両ラジアル軸受面に形成された動圧溝8a1,8a2の動圧作用によってその油膜剛性が高められ、軸部材2がラジアル方向に回転自在に非接触支持される。これにより、軸部材2およびディスクハブ12をラジアル方向に回転自在に非接触支持する第1ラジアル軸受部R1と第2ラジアル軸受部R2とが形成される。
また、軸部材2が回転すると、ハウジング9の上側端面9aに形成されたスラスト軸受面となる領域が、ディスクハブ12の下側端面12a1と所定のスラスト軸受隙間を介して対向する。これと同時に、軸受スリーブ8の下側端面8bに形成されたスラスト軸受面となる領域が、軸部材2に設けられたフランジ11の上側端面11aと所定のスラスト軸受隙間を介して対向する。そして軸部材2の回転に伴って、両スラスト軸受隙間に形成される油膜は、両スラスト軸受面に形成された動圧溝9a1、8b1の動圧作用によってその油膜剛性が高められ、軸部材2が両スラスト方向に回転自在に非接触支持される。これにより、軸部材2を両スラスト方向に回転自在に非接触支持する第1スラスト軸受部T1と第2スラスト軸受部T2とが形成される。
また上述のように、第1ラジアル軸受部R1の動圧溝8a1は、軸方向中心mに対して軸方向非対称に形成されており、軸方向中心より上側領域の軸方向寸法X1が下側領域の軸方向寸法X2よりも大きくなっている。そのため、軸部材2の回転時、動圧溝8a1による潤滑油の引き込み力(ポンピング力)は上側領域が下側領域に比べて相対的に大きくなる。そして、この引き込み力の差圧によって、軸受スリーブ8の内周面8aと軸部材2の外周面2aとの間の隙間に満たされた潤滑油が下方に流動し、軸受スリーブ8の下側端面8bとフランジ11の上側端面11aとの間の隙間→軸受スリーブ8の軸方向溝8d1によって形成される流体通路→ディスクハブ12の下側端面12a1と軸受スリーブ8の上側端面8cとの間の隙間という経路を循環して、第1ラジアル軸受部R1のラジアル軸受隙間に再び引き込まれる。
このように、潤滑油が軸受内部を流動循環するように構成することで、潤滑油の圧力バランスが保たれると同時に、軸受内部における局部的な負圧の発生に伴う気泡の生成、気泡の生成に起因する潤滑油の漏れや振動の発生等が防止される。また、軸受スリーブ8の軸方向溝8d1によって形成される流体通路の上端が、外気に開放されたシール空間Sに第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間を介して通じている。そのため、何らかの理由で潤滑油中に気泡が混入した場合でも、気泡は潤滑油が流動循環する際に外気に排出されるので、気泡による悪影響はより一層効果的に防止される。
また、潤滑油の外部への漏れは、シール空間Sの毛細管力と、第1スラスト軸受部T1の動圧溝9a1による潤滑油の引き込み力(ポンピング力)とによって、一層効果的に防止される。
以上に示すように、本発明では、ディスクハブ12が樹脂で射出成形された樹脂成形部14を有し、この樹脂成形部14は芯金13をインサートして射出成形されるので、ディスクハブを全て金属で形成した場合に比べて軽量化および低コスト化を図りつつも、所定の強度を確保することができる。また、クランパ3装着用の回り止め穴16を従来の態様で樹脂成形部14に形成すると、回り止め穴16の周囲でウェルド部が形成されることによってディスクハブの強度が低下する事態が懸念されるが、本発明のように、芯金13の外周面13a2で回り止め穴16の周方向一部領域を構成すれば、上記のとおり樹脂成形部14の射出成形に伴って回り止め穴16の周囲にウェルド部が形成されることがない。そのため、ウェルド部が形成されることによるディスクハブ12の強度低下を防止することができる。またこれにより、クランパ3装着時における樹脂成形部14の割れ等が防止され、流体軸受装置1の組立性が向上する。
また、従来のようにウェルド部の形成が避けられない構成の場合、ウェルド強度が極端に低い液晶ポリマーをベース樹脂として樹脂成形部14を形成することが実質的には不可能であったが、ウェルド部が形成されない本発明の構成にあっては、液晶ポリマーを主成分とする樹脂組成物(溶融樹脂P)を用いて樹脂成形部14を形成することができる。従って、液晶ポリマーが有する高い成形性や寸法安定性、さらには耐油性、熱安定性等を享受することができ、これにより高い形状精度を長期に亘って維持可能な樹脂成形部14(ディスクハブ12)が得られる。また、フィルムゲートを用いて樹脂成形部14が射出成形されるので、高精度な樹脂成形部14(ディスクハブ12)が得られる。
また、芯金13に成形ピン23を外接させるだけで回り止め穴16が得られるので、この種の回り止め穴16を芯金13に設ける場合に比べて芯金13形状を単純化することができ、この点からもディスクハブ12の低コスト化を図ることができる。
また、本実施形態では、芯金13の下端面で第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間を形成したので、起動・停止の繰り返しによる摩耗や、温度変化による隙間幅の変動を抑制して、高い回転精度を長期に亘って維持することが可能となる。
以上、本発明に係る流体軸受装置の一実施形態について説明を行ったが、本発明は上記構成の流体軸受装置1に限定適用されるものではない。
図7は、本発明に係る流体軸受装置の第2実施形態を示している。同図に示す流体軸受装置21が図2に示す流体軸受装置1と異なる主な点は、ハウジング9が側部91および底部92を一体に有する有底筒状に形成される点、またスラスト軸受部T1が、ディスクハブ12の下側端面12a1とハウジング9の側部上端面91aとの間のみに設けられる点、および軸部材2の下端に抜け止めとしてのフランジが設けられず、ハウジング9の側部91とディスクハブ12の円筒部12bとの間に環状の抜け止め部材30が配設されている点にある。これ以外の点は、以上で説明を行った構成に準ずるので、同一の参照番号を付して、重複説明を省略する。
以上では、芯金13をハウジング9の上端開口部を覆うような略円盤状に形成したディスクハブ12を用いる場合について説明を行ったが、芯金13の形状は上記のものに限定されるわけではない。例えば、以上の構成では樹脂成形部14によって構成したディスクハブ12の円筒部12bを芯金13で構成することも可能である。さらに、ロータマグネット5の取付け部を芯金13で構成することもできる。この場合、芯金13を磁性材料で形成すればヨーク15を省略して部品点数および組立工数を削減することができ、流体軸受装置1の低コスト化が図られる。
なお、以上では、芯金13をインサートして樹脂成形部14を射出成形してディスクハブ12を形成した後、このディスクハブ12を軸部材2に固定する構成としたが、軸部材2に予め芯金13を固定したアセンブリを、またあるいは芯金13となる部分を一体的に有する軸部材2をインサート部品として樹脂成形部14を射出成形することも可能である。
また、ディスクハブ12は、金属部品としての軸部材2をインサートして射出成形された樹脂成形部14のみからなる構成とすることもできる。この場合でも、成形ピン23を軸部材2の外周面に接触させた状態で樹脂成形部14を射出成形すれば、上記同様に、回り止め穴16の周方向一部領域が軸部材2の外周面で構成され、樹脂成形部14の形成に伴って回り止め穴16の外周にウェルド部が形成されるのを回避することができる(以上、図示は省略)。かかる構成は、ディスクハブ12(流体軸受装置1)のより一層の軽量化および低コスト化を図る上で上述した構成よりも有利であるが、強度面では不利となる。そのため、かかる構成は、ディスクハブ12に特段の強度(剛性)を要求されない場合に有効である。
また、以上では、ハウジング7と、軸受スリーブ8とを別体構造としたが、両者を樹脂や金属で一体化した構成としても良い。かかる構成とすれば、部品点数および組立工数を減じることができ、流体軸受装置の低コスト化を図ることができる。
また、以上では、ラジアル軸受部R1、R2およびスラスト軸受部T1、T2として、ヘリングボーン形状やスパイラル形状の動圧溝により軸受隙間内を充満する潤滑油に動圧を発生させる構成を例示しているが、ラジアル軸受部R1、R2として、いわゆるステップ軸受、多円弧軸受、あるいは非真円軸受を、スラスト軸受部T1、T2として、いわゆるステップ軸受や波型軸受を採用しても良い。また、ラジアル軸受部R1、R2のように、2つのラジアル軸受部を軸方向に離隔して設けた構成とする他、軸受スリーブ8の内周側の上下領域に亘って1つのラジアル軸受部を設けた構成としても良い。さらには、ラジアル軸受部R1,R2として動圧発生部を有しない真円軸受を採用することもできる。
ディスク装置用のスピンドルモータを概念的に示す断面図である。 本発明に係る流体軸受装置の第1実施形態を示す断面図である。 (A)図は軸受スリーブの断面図、(B)図は軸受スリーブの下側端面を示す図である。 ハウジングの上側端面を示す図である。 ディスクハブの平面図である。 ディスクハブの製造工程を概念的に示す断面図である。 本発明に係る流体軸受装置の第2実施形態を示す断面図である。
符号の説明
1 流体軸受装置
2 軸部材
3 クランパ
4 ステータコイル
5 ロータマグネット
7 ねじ
8 軸受スリーブ
9 ハウジング
12 ディスクハブ
13 芯金
13a 厚肉部
13a2 外周面
14 樹脂成形部
16 (クランパ装着用の)回り止め穴
23 成形ピン
24 ゲート(フィルムゲート)
25 キャビティ
P 溶融樹脂
D ディスク
R1、R2 ラジアル軸受部
T1、T2 スラスト軸受部
S シール空間

Claims (6)

  1. 軸部材と、ディスク搭載面を有し、軸部材の外径側に突出して設けられたディスクハブとを備え、軸部材の外周面が面するラジアル軸受隙間に形成される油膜で軸部材をラジアル方向に支持する流体軸受装置において、
    ディスクハブが、ディスクを固定するクランパ装着用の回り止め穴と、金属部品をインサートして樹脂で射出成形された樹脂成形部とを有し、回り止め穴の周方向一部領域が、金属部品の外周面で構成されていることを特徴とする流体軸受装置。
  2. 樹脂成形部が、環状のゲートを用いて射出成形されたものである請求項1記載の流体軸受装置。
  3. 金属部品が、軸部材に設けられた芯金である請求項1記載の流体軸受装置。
  4. 樹脂成形部が、液晶ポリマーをベース樹脂とする樹脂組成物で射出成形されたものである請求項1記載の流体軸受装置。
  5. 芯金の一端面でスラスト軸受隙間を形成した請求項3記載の流体軸受装置。
  6. 軸部材と、ディスク搭載面を有し、軸部材の外径側に突出して設けられたディスクハブとを備え、軸部材の外周面が面するラジアル軸受隙間に形成される油膜で軸部材をラジアル方向に支持する流体軸受装置において、ディスクハブを製造するに際し、
    インサートされた金属部品の外周面に成形ピンを接触させた状態でキャビティ内に溶融樹脂を射出することにより、ディスクハブに、ディスクを固定するクランパ装着用の回り止め穴と、樹脂成形部とを同時形成することを特徴とする流体軸受装置の製造方法。
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