JP2005265119A - 流体軸受装置及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 この種の流体軸受装置におけるシール部材の製造コストを低減するとともに、射出成形による樹脂製のシール部材の強度や成形精度を高める。
【解決手段】 シール部材9を、樹脂材料を射出成形して形成し、このシール部材9をハウジング7の側部7aの上端部内周に固定して流体軸受装置1を構成した状態では、シール部材9の内周面9aと軸部材2の軸部2aの外周面2a1との間にシール空間Sを形成し、かつ、上側端面9cの外周縁部に、樹脂ゲート部9dを除去加工することにより形成された円環状のゲート除去部9c1が現れるようにした。
【選択図】図3
【解決手段】 シール部材9を、樹脂材料を射出成形して形成し、このシール部材9をハウジング7の側部7aの上端部内周に固定して流体軸受装置1を構成した状態では、シール部材9の内周面9aと軸部材2の軸部2aの外周面2a1との間にシール空間Sを形成し、かつ、上側端面9cの外周縁部に、樹脂ゲート部9dを除去加工することにより形成された円環状のゲート除去部9c1が現れるようにした。
【選択図】図3
Description
本発明は、ラジアル軸受隙間に生じる潤滑油の油膜によって軸部材を非接触支持する流体軸受装置及びその製造方法に関するものである。この軸受装置は、情報機器、例えばHDD等の磁気ディスク装置、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク装置、MD、MO等の光磁気ディスク装置等のスピンドルモータ、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、その他の小型モータ用として好適である。
上記各種モータには、高回転精度の他、高速化、低コスト化、低騒音化等が求められている。これらの要求性能を決定づける構成要素の1つに当該モータのスピンドルを支持する軸受があり、近年では、上記要求性能に優れた特性を有する流体軸受の使用が検討され、あるいは実際に使用されている。
この種の流体軸受は、軸受隙間内の潤滑油に動圧を発生させる動圧発生手段を備えた動圧軸受と、動圧発生手段を備えていない、いわゆる真円軸受(軸受面が真円形状である軸受)とに大別される。
例えば、HDD等のディスク駆動装置のスピンドルモータに組込まれる流体軸受装置では、軸部材をラジアル方向に回転自在に非接触支持するラジアル軸受部と、軸部材をスラスト方向に回転自在に非接触支持するスラスト軸受部とが設けられ、ラジアル軸受部として、軸受スリーブの内周面または軸部材の外周面に動圧発生用の溝(動圧溝)を設けた動圧軸受が用いられる。スラスト軸受部としては、例えば、軸部材のフランジ部の両端面、あるいは、これに対向する面(軸受スリーブの端面や、ハウジングに固定されるスラスト部材の端面、あるいはハウジングの底部の内底面等)に動圧溝を設けた動圧軸受が用いられる(例えば、特許文献1、2参照)。あるいは、スラスト軸受部として、軸部材の一端面をスラスト部材によって接触支持する構造の軸受(いわゆるピボット軸受)が用いられる場合もある(例えば、特許文献3参照)。
通常、軸受スリーブはハウジングの内周の所定位置に固定され、また、ハウジングの内部空間に注油した潤滑油が外部に漏れるのを防止するために、ハウジングの開口部にシール部材を配設する場合が多い(特許文献1)。
この種の流体軸受装置は、ハウジング、軸受スリーブ、軸部材、およびシール部材といった部品で構成され、情報機器の益々の高性能化に伴って必要とされる高い軸受性能を確保すべく、各部品の加工精度や組立精度を高める努力がなされている。その一方で、情報機器の低価格化の傾向に伴い、この種の流体軸受装置に対するコスト低減の要求も益々厳しくなっている。
特開2002−61637号公報
特開2002−61641号公報
特開平11−191943号公報
この種の流体軸受装置の低コスト化を図る一手段として、シール部材を樹脂材料で射出成形することが考えられる。しかしながら、射出成形の態様、特に溶融樹脂をキャビティー内に充填するゲートの形状や位置の設定によって、シール部材の成形精度が低下する、シール部材が所期の性能を発揮できない等、種々の不都合を生じる。
例えば、図4(a)に示すような円環状のシール部材19を樹脂材料で射出成形する場合、一般には、図4(b)、(c)(図4(c)は、図4(b)のB−B断面図)に示すように、キャビティー20bを有する成形金型(図示省略)の、シール部材19の一方の端面19bに対応する位置に、点状ゲート20aを円周方向等間隔に複数箇所(図示例では3箇所)設け、これら複数の点状ゲート20aからキャビティー20b内に溶融樹脂Pを充填する方法が採られている。この成形方法では、各点状ゲート20aからキャビティー20b内に送り込まれた溶融樹脂Pは、各点状ゲート20aからそれぞれ円周方向(図4(b)中矢印の方向)に向けて流動し、各点状ゲート20a、20a間の中間位置19cで合流する。そのため、中間位置19cでは、いわゆるウェルド(ウェルドライン)が現れる。このウェルドが発生した箇所の強度は、それ以外の箇所の強度に比べて低くなり、上記の成形方法で成形したシール部材19を流体軸受装置に装着した場合、使用環境温度範囲内での温度変化に伴う熱ストレスによって、中間位置19cにクラックが発生し、軸受内部への空気の混入や軸受内部からの潤滑油漏れが起こりやすくなることが心配される。また、点状ゲート20aから溶融樹脂Pを充填すると、成形後のシール部材19がどうしても点状ゲート20aの数に対応した多角形に近い形状となりやすく、シール部材19の真円度が低下することが避けられない。
あるいは、図4(d)に示すように、成形金型の、シール部材19の一方の端面19b側に対応する位置の中心部に円形のディスクゲート21を設け、ディスクゲート21からキャビティー20b内に溶融樹脂Pを充填する方法も考えられる。この成形方法によれば、溶融樹脂Pを、円形のディスクゲート21からキャビティー20b内に、円周方向全周に亘って送り込む(図4(d)中矢印の方向に向けて)ので、前述のような問題は生じない。しかしながら、この成形方法では、シール部材19の成形と同時に樹脂ゲート部19dが、シール部材19の一方の端面19bの内周縁部19eとつながった状態で成形されるため、成形後に樹脂ゲート部19dの除去加工を行うと、シール部材19の端面19bの内周縁部19eにゲート除去部(機械加工面)が現れることになる。一方、シール部材19は、その内周面19aで軸部材の外周面との間にシール空間を形成するものであるが、上記のようなゲート除去部(機械加工面)が端面19bの内周縁部19eに形成されることによって、ゲート除去部からのコンタミ(樹脂に配合された充填材等)がシール空間に脱落し、シール空間内の潤滑油に混じって軸受内部に入り込む可能性がある。
本発明の課題は、この種の流体軸受装置におけるシール部材の製造コストを低減するとともに、射出成形による樹脂製のシール部材の強度や成形精度を高めることである。
本発明の他の課題は、軸受内部へのコンタミの混入を可及的に防止して、軸受内部の清浄度を保つことである。
前記課題を解決するため、本発明に係る流体軸受装置は、ハウジングと、ハウジングの内部に配置された軸受スリーブと、軸受スリーブの内周面に挿入された軸部材と、ハウジングの開口部内周に固定された円環状のシール部材と、軸受スリーブの内周面と軸部材の外周面との間のラジアル軸受隙間に生じる潤滑油の油膜で軸部材をラジアル方向に非接触支持するラジアル軸受部とを備えたものにおいて、シール部材は、樹脂材料を射出成形して形成され、その内周面と軸部材の外周面との間にシール空間を形成し、かつ、いずれか一方の端面の外周縁部に、樹脂ゲート部を除去加工することにより形成された円環状のゲート除去部を有することを特徴とする。
シール部材を樹脂材料の射出成形で形成することにより、旋削等の機械加工を要する金属製シール部材に比べて低コストで製造することができる。また、シール部材は、樹脂ゲート部を除去加工することにより形成された円環状のゲート除去部を有している。この円環状のゲート除去部は、シール部材の一方の端面と円周方向全周に亘ってつながった状態でシール部材と同時に成形された樹脂ゲート部を除去加工することにより形成されるものであり、この樹脂ゲート部は、シール部材を成形する成形型内に、一方の端面側から円周方向全周に亘って溶融樹脂を充填することで形成される。したがって、樹脂成形品であるシール部材は、強度上の弱点となるウェルドを有しておらず、また、真円度等の成形精度も良好である。
また、シール部材は、いずれか一方の端面の外周縁部に、ゲート除去部を有している。言い換えると、樹脂ゲート部を除去加工することにより形成されるゲート除去部は、シール部材の一方の端面の外周縁部に現れる。したがって、このゲート除去部からコンタミ(樹脂に配合された充填材等)が発生したとしても、そのコンタミは、シール部材の内周面の側に形成されるシール空間には脱落しにくくなる。
上記のゲート除去部は、流体軸受装置の外部に臨む外側端面に形成されていることが好ましい。これにより、軸受内部の清浄度をより高いレベルに保つことができる。
また、シール部材の内周面は、流体軸受装置の外部に向けて拡径したテーパ面とすることもできる。
シール部材を形成する樹脂材料としては、主に熱可塑性樹脂が用いられ、例えば、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニルサルフォン(PPSF)、ポリエーテルイミド(PEI)等の非結晶性樹脂、あるいは、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の結晶性樹脂が用いられる。
また、前記の樹脂に充填する充填材の種類は特に限定されるものではなく、例えば、ガラス繊維等の繊維状充填材、チタン酸カリウム等のウィスカ状充填材、マイカ等の鱗片状充填材、カーボン繊維、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノマテリアル、各種金属粉等の繊維状または粉末状の導電性充填材を用いることができる。
例えば、HDD等のディスク駆動装置のスピンドルモータに組み込まれる流体軸受装置では、磁気ディスク等のディスクと空気との摩擦によって発生した静電気を接地側に逃がすために、ハウジングだけでなくシール部材にも導電性が要求される場合がある。このような場合、シール部材を形成する樹脂に上記の導電性充填材を配合することにより、シール部材に導電性を与えることができる。
上記の導電性充填材としては、導電性の高さ、樹脂マトリックス中での分散性の良さ、低アウトガス性等の点から、カーボンナノマテリアルが好ましい。カーボンナノマテリアルとしては、カーボンナノファイバーが好ましい。このカーボンナノファイバーには、直径が40〜50nm以下の「カーボンナノチューブ」と呼ばれるものも含まれる。
また、本発明に係る流体軸受装置の製造方法は、ハウジングと、ハウジングの内部に配置された軸受スリーブと、軸受スリーブの内周面に挿入された軸部材と、ハウジングの開口部内周に固定され、軸部材の外周面との間にシール空間を形成する内周面を有する円環状のシール部材と、軸受スリーブの内周面と軸部材の外周面との間のラジアル軸受隙間に生じる潤滑油の油膜で軸部材をラジアル方向に非接触支持するラジアル軸受部とを備えた流体軸受装置の製造方法において、シール部材を、樹脂材料の射出成形により型成形するシール部材成形工程を含み、シール部材成形工程において、シール部材のいずれか一方の端面の外周縁部に対応する位置に環状のフィルムゲートを設け、このフィルムゲートからシール部材を成形するキャビティー内に溶融樹脂を充填することを特徴とする。
ここで、「フィルムゲート」とは、ゲート幅の小さいゲートであり、ゲート幅は、樹脂材料の物性や射出成形条件等によっても異なるが、例えば0.2mm〜0.8mmである。このようなフィルムゲートを成形型の、シール部材の一方の端面の外周縁部に対応する位置に設けているため、成形後のシール部材は、その一方の端面の外周縁部にフィルム状の樹脂ゲート部が環状につながった形態になる。多くの場合、フィルム状の樹脂ゲート部は成形型(成形金型)の型開動作によって自動的に切断され、成形品であるシール部材を成形型から取り出した状態では、シール部材の一方の端面の外周縁部に樹脂ゲート部の切断部が残る。そして、このような樹脂ゲート部を除去加工することによって形成されるゲート除去部は、シール部の一方の端面の外周縁部に幅の狭い環状形状で現れる。
本発明によれば、この種の流体軸受装置におけるシール部材の製造コストを低減するとともに、射出成形による樹脂製のシール部材の強度や成形精度を高めることができる。
また、本発明によれば、軸受内部へのコンタミの混入を可及的に防止して、軸受内部の清浄度を保つことができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、第1の実施形態に係る流体軸受装置(動圧軸受装置)1を組込んだ情報機器用スピンドルモータの一構成例を概念的に示している。この情報機器用スピンドルモータは、HDD等のディスク駆動装置に用いられるもので、回転部材としてのディスクハブ3が取付けられた軸部材2を回転自在に非接触支持する流体軸受装置1と、例えば、半径方向のギャップを介して対向させたモータステータ4およびモータロータ5と、ブラケット6とを備えている。モータステータ4はブラケット6の外周に取付けられ、モータロータ5は、ディスクハブ3の内周に取付けられる。また、ブラケット6は、その内周に流体軸受装置1を装着している。ディスクハブ3は、その外周に磁気ディスク等のディスクDを一枚または複数枚保持している。この情報機器用スピンドルモータは、モータステータ4に通電すると、モータステータ4とモータロータ5との間に発生する励磁力でモータロータ5が回転し、それに伴って、ディスクハブ3および軸部材2が一体となって回転する。
図2は、流体軸受装置1を示している。この流体軸受装置1は、軸部材2と、ハウジング7と、ハウジング7に固定された軸受スリーブ8、およびシール部材9とを構成部品として構成される。
また、図2に示すように、軸受スリーブ8の内周面8aと軸部材2の軸部2aの外周面2a1との間には、第1ラジアル軸受部R1と第2ラジアル軸受部R2とが軸方向に離隔して形成される。また、軸受スリーブ8の下側端面8bと軸部材2のフランジ部2bの上側端面2b1との間に第1スラスト軸受部T1が形成され、ハウジング7の底部7bの上側端面7cとフランジ部2bの下側端面2b2との間に第2スラスト軸受部T2が形成される。なお、説明の便宜上、ハウジング7の底部7bの側を下側、底部7bと反対の側(シール部材9の側)を上側として以下説明を行う。
ハウジング7は、例えば、結晶性樹脂としての液晶ポリマー(LCP)に、導電性充填材としてのカーボンナノチューブ又は導電性カーボンを2〜30vol%配合した樹脂材料を射出成形して有底筒状に形成される。このハウジング7は、円筒状の側部7aと、側部7aの下端に一体に設けられた底部7bを備えており、スラスト軸受部T2のスラスト軸受面となる底部7bの上側端面7cには、図示は省略するが、例えばスパイラル形状やヘリングボーン形状の動圧溝が形成されている。また、上側端面7cから軸方向上方に所定寸法だけ離れた位置に段部7dが一体に形成されている。
軸部材2は、例えば、ステンレス鋼等の金属材料で形成され、軸部2aと、軸部2aの下端に一体または別体に設けられたフランジ部2bを備えている。
軸受スリーブ8は、例えば、焼結金属からなる多孔質体、特に銅を主成分とする焼結金属の多孔質体で円筒状に形成され、ハウジング7の内周面7eの所定位置に固定される。
軸受スリーブ8の内周面8aには、第1ラジアル軸受部R1と第2ラジアル軸受部R2のラジアル軸受面となる上下2つの領域が軸方向に離隔して設けられ、この2つの領域には、図示は省略するが、例えばへリングボーン形状の動圧溝がそれぞれ形成される。
第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受面となる、軸受スリーブ8の下側端面8bには、図示は省略するが、例えばスパイラル形状やヘリングボーン形状の動圧溝が形成される。
シール部材9は、例えば、結晶性樹脂としての液晶ポリマー(LCP)に、導電性充填材としてのカーボンナノチューブ又は導電性カーボンを2〜30vol%配合した樹脂材料を射出成形して環状に形成される。シール部材9は、下側端面9b側から上側端面9c側に向けてテーパ状に拡径した内周面9aを備えており、シール部材9を例えばハウジング7の側部7aの上端部内周に固定した状態では、内周面9aは、軸部材2の軸部2aの外周面2a1との間に、ハウジング7の開口部側から底部7b側に向けて半径方向寸法が漸次縮小した環状のシール空間Sを形成する。このシール空間Sは、毛細管力や回転に伴う遠心力によりシール空間S内の潤滑油を軸受内部に引き込もうとする作用を発揮する。また、シール部材9の下側端面9bは軸受スリーブ8の上側端面8cと当接する。
ハウジング7の内周に、軸部材2、さらには軸受スリーブ8を挿入し、軸受スリーブ8の下側端面8bとハウジング7の段部7dとを当接させる。このようにして、ハウジング7に対する軸受スリーブ8の軸方向位置を決めた上で、例えば、超音波溶着などの固定手段により軸受スリーブ8をハウジング7に固定する。そして、シール部材9の下側端面9bと軸受スリーブ8の上側端面8cとを当接させた状態で、シール部材9をハウジング7の側部7aの上端部内周に装着し、超音波溶着などの溶着、あるいは接着(例えば、シール部材9をハウジング7の側部7aの上端部内周にルーズフィットして、接着剤で固定する。)などの固定手段で固定する。その後、ハウジング7の内部空間に潤滑油を充満させることで、流体軸受装置1の組立が完了する。このとき、シール部材9で密封されたハウジング7の内部空間に充填された潤滑油の油面は、シール空間Sの範囲内に維持される。
前述のようにして組み立てられた流体軸受装置1において、軸部材2を回転させた状態では、軸受スリーブ8の内周面8aの、ラジアル軸受面となる領域(上下2箇所の領域)は、それぞれ、軸部2aの外周面2a1とラジアル軸受隙間を介して対向する。また、軸受スリーブ8の下側端面8bの、スラスト軸受面となる領域は、フランジ部2bの上側端面2b1と第1スラスト軸受隙間を介して対向し、底部7bの上側端面7cの、スラスト軸受面となる領域は、フランジ部2bの下側端面2b2と第2スラスト軸受隙間を介して対向する。そして、軸部材2の回転に伴い、前記ラジアル軸受隙間に潤滑油の動圧が発生し、軸部材2の軸部2aが前記ラジアル軸受隙間内に形成される潤滑油の油膜によってラジアル方向に回転自在に非接触支持される。これにより、軸部材2をラジアル方向に回転自在に非接触支持する第1ラジアル軸受部R1と第2ラジアル軸受部とが形成される。同時に、前記スラスト軸受隙間に潤滑油の動圧が発生し、軸部材2のフランジ部2bが前記スラスト軸受隙間内に形成される潤滑油の油膜によって両スラスト方向に回転自在に非接触支持される。これにより、軸部材2をスラスト方向に回転自在に非接触支持する第1スラスト軸受部T1と第2スラスト軸受部T2とが形成される。
図3は、前述のように構成される流体軸受装置1におけるシール部材9の成形工程を概念的に示している。固定型と可動型とで構成される成形金型には、ランナー10a、フィルムゲート10b、およびキャビティー10cが設けられる。フィルムゲート10bは、成形金型の、シール部材9の上側端面9cの外周縁部に対応する位置に環状に形成され、そのゲート幅δは例えば0.3mmである。
図示されていない射出成形機のノズルから射出された溶融樹脂Pは、成形金型のランナー10a、フィルムゲート10bを通ってキャビティー10c内に充填される。このように、シール部材9の上側端面9cの外周縁部に対応する位置に設けた環状のフィルムゲート10bからキャビティー10c内に溶融樹脂Pを充填することにより、溶融樹脂Pがキャビティー10cの円周方向および軸方向に均一に充填され、成形寸法精度が高く、かつウェルドのない均質なシール部材9を得ることができる。
キャビティー10c内に充填された溶融樹脂Pが冷却されて固化した後、可動型を移動させて成形金型を型開きする。フィルムゲート10bをシール部材9の上側端面9cの外周縁部に対応する位置に設けているため、型開き前の成形品は、シール部材9の上側端面9cの外周縁部にフィルム状の樹脂ゲート部9dが環状につながった形態になる。この樹脂ゲート部9dは成形金型の型開動作によって自動的に切断され、成形品を成形金型から取り出した状態では、図3(b)に示すように、シール部材9の上側端面9cの外周縁部に樹脂ゲート部9dの切り残し部分が残る。その後、樹脂ゲート部9dの切り残し部分を同図に示すX線に沿って除去加工(機械加工)して仕上げることで、シール部材9が完成する。
完成後のシール部材9において、樹脂ゲート部9dを除去加工することにより形成されたゲート除去部9c1は、シール部材9の上側端面9cの外周縁部に幅の狭い環状形状で現れる。したがって、このゲート除去部9c1からコンタミ(樹脂に配合された充填材等)が発生したとしても、そのコンタミは、シール部材9の内周面9aの側に形成されるシール空間Sには脱落しにくくなる。そのため、軸受装置内部の清浄度が保たれる。
なお、潤滑油の漏れを防止するために、シール空間Sを形成する軸部材2の軸部2aの外周面2a1よりも上方の面や、シール部材9の上側端面9cに溌油剤を塗布することもできるが、溌油剤の溌油性能は、溌油剤を塗布する母材表面の状態によって大きく変化する。この実施形態では、シール部材9の上側端面9cを、ゲート除去部9c1が存在する外周縁部を除いて成形面(射出成形面)としているので、このような表面状態の上側端面9cに溌油剤を塗布することにより、充分な溌油効果が発揮され、ハウジング7内部からの潤滑油の漏れが効果的に防止される。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。
前記実施形態において、シール部材9の内周面9aはハウジング7の開口部側に向けてテーパ状に拡径しており、これにより、シール部材9の内周面9aと軸部材2の軸部2aの外周面2a1との間にハウジング7の開口部側から底部7b側に向けて漸次縮小したシール空間Sが形成されているが、もちろんこれ以外の構成を採ることも可能である。例えば、シール部材9の内周面9aを、軸方向に亘って均一径となるように形成するとともに、軸部材2の軸部2aの外周面2a1を、ハウジング7の底部7b側から開口部側に向けてテーパ状に縮径させた形状とし、これら内周面9aと外周面2a1との間にシール空間Sを形成することもできる。
また本発明は、スラスト軸受部として、いわゆるピボット軸受を採用した流体軸受装置や、ラジアル軸受部として、いわゆる真円軸受を採用した流体軸受装置にも同様に適用することができる。
1 流体軸受装置
2 軸部材
3 ディスクハブ
4 モータステータ
5 モータロータ
7 ハウジング
7a 側部
7b 底部
7c 内底面
7e 内周面
8 軸受スリーブ
8a 内周面
8b 下側端面
8c 上側端面
9 シール部材
9a 内周面
9b 下側端面
9c 上側端面
9c1 ゲート除去部
9d 樹脂ゲート部
10a ランナー
10b フィルムゲート
10c キャビティー
P 溶融樹脂
δ ゲート幅
R1、R2 ラジアル軸受部
T1、T2 スラスト軸受部
2 軸部材
3 ディスクハブ
4 モータステータ
5 モータロータ
7 ハウジング
7a 側部
7b 底部
7c 内底面
7e 内周面
8 軸受スリーブ
8a 内周面
8b 下側端面
8c 上側端面
9 シール部材
9a 内周面
9b 下側端面
9c 上側端面
9c1 ゲート除去部
9d 樹脂ゲート部
10a ランナー
10b フィルムゲート
10c キャビティー
P 溶融樹脂
δ ゲート幅
R1、R2 ラジアル軸受部
T1、T2 スラスト軸受部
Claims (4)
- ハウジングと、前記ハウジングの内部に配置された軸受スリーブと、前記軸受スリーブの内周面に挿入された軸部材と、前記ハウジングの開口部内周に固定された環状のシール部材と、前記軸受スリーブの内周面と前記軸部材の外周面との間のラジアル軸受隙間に生じる潤滑油の油膜で前記軸部材をラジアル方向に非接触支持するラジアル軸受部とを備えた流体軸受装置において、
前記シール部材は、樹脂材料を射出成形して形成され、その内周面と前記軸部材の外周面との間にシール空間を形成し、かつ、そのいずれか一方の端面の外周縁部に、樹脂ゲート部を除去加工することにより形成された円環状のゲート除去部を有することを特徴とする流体軸受装置。 - 前記シール部材の一方の端面は、前記流体軸受装置の外部に臨む外側端面であることを特徴とする請求項1に記載の流体軸受装置。
- 前記シール部材の内周面は、前記流体軸受装置の外部に向けて拡径したテーパ面を有することを特徴とする請求項1に記載の流体軸受装置。
- ハウジングと、前記ハウジングの内部に配置された軸受スリーブと、前記軸受スリーブの内周面に挿入された軸部材と、前記ハウジングの開口部内周に固定され、前記軸部材の外周面との間にシール空間を形成する内周面を有する円環状のシール部材と、前記軸受スリーブの内周面と前記軸部材の外周面との間のラジアル軸受隙間に生じる潤滑油の油膜で前記軸部材をラジアル方向に非接触支持するラジアル軸受部とを備えた流体軸受装置、の製造方法において、
前記シール部材を、樹脂材料の射出成形により型成形するシール部材成形工程を含み、
前記シール部材成形工程において、前記シール部材のいずれか一方の端面の外周縁部に対応する位置に環状のフィルムゲートを設け、このフィルムゲートから前記シール部材を成形するキャビティー内に溶融樹脂を充填することを特徴とする流体軸受装置の製造方法。
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JP2004081019A Withdrawn JP2005265119A (ja) | 2004-03-19 | 2004-03-19 | 流体軸受装置及びその製造方法 |
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Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP2011163516A (ja) * | 2010-02-15 | 2011-08-25 | Ntn Corp | 流体動圧軸受装置及びその製造方法 |
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-
2004
- 2004-03-19 JP JP2004081019A patent/JP2005265119A/ja not_active Withdrawn
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