実施の形態1.
図1は、本発明による媒体トレイを備えた媒体搬送装置を採用する実施の形態1の画像読取装置の外観斜視図であり、図2は、この画像読取装置の要部構成を説明するための概略構成図である。尚、図1に示す画像読取装置1を、正面(矢印A方向)からみて、画像読取装置1の上下左右前後の方向を特定する場合がある。
画像読取装置1は、フラットベッドユニット11とフラットベッドユニット11によって後端側が回動自在に保持された原稿搬送装置12とを備え、原稿搬送装置12には、これから読み取る原稿を載置する媒体トレイとしての原稿トレイ21とその下部に読み取った原稿を載置する排出トレイ22が備えられ、フラットベッドユニット11には、前方側に操作パネル30が配置されている。
操作パネル30は、例えば画像処理条件の各種設定や装置の状態等を表示する表示部と、装置への命令を入力するための操作部とを備え、ここでは画像読取装置1の正面に配設されている。
この画像読取装置1の原稿搬送装置12には、図2に示す様に、読み取り原稿140を積載する原稿トレイ21、ピックアップローラ101、搬送ローラ対102、第1セパレータ103、第1反転ローラ対104、レジストローラ対105、原稿押え部材106、スキャンローラ対107、第2セパレータ108、第2反転ローラ109、プレッシャローラ110,111、及び排出トレイ22が配設され、フラットベッドユニット11には、読み取りガラス151及び読み取りセンサ152が配設されている。
原稿トレイ21には、媒体としての読み取り原稿140がセットされ、ピックアップローラ101は、原稿トレイ21に重ねて載置された読み取り原稿140の最上部の原稿を、原稿搬送装置12内の用紙搬送路に向かって送り出す。搬送ローラ対102は、用紙搬送方向におけるピックアップローラ101の下流側に設けられ、ピックアップローラ101により繰出された読み取り原稿140を1枚ずつ分離搬送する。第1セパレータ103は、片面読み取り又は両面読み取りの各読み取りモードに応じて原稿搬送路を切り換える。
第1反転ローラ対104は、原稿の搬送及び両面印刷時の原稿搬送方向切り換えを行い、レジストローラ対105は、搬送される読み取り原稿140のスキュー補正を行う。フラットベッドユニット11の上面には、板状の読み取りガラス151が水平方向に配置され、原稿押え部材106は、図示しない付勢部材により読み取りガラス151に付勢されており、用紙搬送路に沿って搬送される読み取り原稿140を、読み取りガラス151に押圧する。尚、原稿押え部材106と読み取りガラス115の間に隙間を設けて通過する読み取り原稿140の移動を円滑にするため、原稿押え部材106の下部面の原稿通過領域外に所定厚のフィルムを貼り付けても良い。
読み取りセンサ152は、読み取りガラス151に覆われるように、フラットベッドユニット11内に配置され、更に必要に応じて、読み取りガラス151を介して原稿押え部材106に対向する位置に位置決めされ、原稿押え部材106と読み取りガラス151の間を搬送されて読み取り位置P1を通過する読み取り原稿140の画像を、読み取り位置P1で読み取る。
スキャンローラ対107は、読み取りセンサ152によって画像が読み取られた後の読み取り原稿140を下流側に配置された第2セパレータ108に向けて送り込み、第2セパレータ108は、片面読取り又は両面読取りの各読み取りモードに応じて原稿搬送路を切り替える。第2反転ローラ109は、プレッシャローラ110と共同して読み取り完了後の読み取り原稿140を排出トレイ22に排出し、またプレッシャローラ110と共同して両面印刷時の原稿搬送方向切り換えを行なう。
尚、図1中のX、Y、Zの各軸は、例えばピックアップローラ101の回転軸が延在する方向にY軸をとり、Y軸と直交して読み取りガラス151の上面と平行な方向にX軸をとり、これら両軸と直交する方向にZ軸をとっている。また、後述する他の図においてX、Y、Zの各軸が示される場合、これらの軸方向は、共通する方向を示すものとする。即ち、各図のXYZ軸は、各図の描写部分が、図1に示す画像読取装置1を構成する際の配置方向を示している。またここでは、Z軸が略鉛直方向となるように配置されるものとする。
以上の構成において、片面読み取り時及び両面読み取り時における読み取り原稿の搬送経路について説明する。図3は、片面読み取り時の搬送経路の説明に供する図であり、図4〜図6は、両面読み取り時の搬送経路の説明に供する図である。
先ず、図3を参照しながら片面読み取り時の搬送経路について説明する。尚、図3において搬送路に示される各矢印は、各搬送路における読み取り原稿140の搬送方向を示している。
片面読み取り動作が開始されると、原稿トレイ21に重ねて載置された読み取り原稿140は、ピックアップローラ101によって上から順に搬送路に送り込まれ、搬送ローラ対102によって一枚に捌かれて下流側に搬送される。このとき第1セパレータ103は、図3に示す第1ポジションに位置決めされており、送り込まれてくる読み取り原稿140を順方向に回転する第1反転ローラ対104に導く。第1反転ローラ対104によってそのままレジストローラ対105に送られた読み取り原稿140は、このレジストローラ対105で斜行が矯正された後、読み取り位置P1を通過し、ここで画像が読み取りセンサ152によって読み取られる。
尚、レジストローラ対105は、読み取り原稿140が到達した時点では停止しており、原稿先端部がレジストローラ対105へと突き当たって先端部の斜行が解消された段階で回転を開始する。これにより、斜行が矯正された読み取り原稿140を読み取り位置P1に送り出すことできる。
画像の読取りが実施された読み取り原稿140は、スキャンローラ対107、図3に示す第1ポジションに位置決めされた第2セパレータ108によって、順方向に回転する第2反転ローラ109とプレッシャローラ111とのニップ部に送り込まれ、排出トレイ22に排出される。
次に、図4〜図6を参照しながら両面読み取り時の搬送経路について説明する。尚、図4〜図6において各搬送路に示される各矢印は、各段階での読み取り原稿140の搬送方向を示している。
両面読み取り動作が開始されると、原稿トレイ21に重ねて載置された読み取り原稿140は、ピックアップローラ101によって上から順に搬送路に送り込まれ、搬送ローラ対102によって一枚に捌かれて下流側に搬送される。このとき第1セパレータ103は、図4に示す第2ポジションに位置決めされており、送り込まれてくる読み取り原稿140を同図に矢印で示す経路にて、逆方向に回転する第1反転ローラ対104に導く。
第1反転ローラ対104は、読み取り原稿140の後端が接近した時点で順方向回転に反転駆動され、これにより、読み取り原稿140を、図5に矢印で示す経路にてレジストローラ対105に送りこむ。第1反転ローラ対104によって上下面が逆にされた状態でレジストローラ対105に送られた読み取り原稿140は、このレジストローラ対105で斜行が矯正された後、読み取り位置P1を通過し、ここで先ず第2面の画像が読み取りセンサ152によって読み取られる。
第2面の画像の読取りが実施された読み取り原稿140は、スキャンローラ対107、図5に示す第2ポジションに位置決めされた第2セパレータ108によって、逆方向に回転する第2反転ローラ109とプレッシャローラ110とのニップ部に送り込まれ、読み取り原稿140の後端が第2セパレータ108の先端部を通過するまで同方向に搬送される。
読み取り原稿140の後端が第2セパレータ108の先端部を通過すると、第1セパレータ103及び第2セパレータ108が、それぞれ図6に示す第1ポジションに位置決めされ、第2反転ローラ109が、順方向回転に反転駆動される。これにより、読み取り原稿140は、第1セパレータ103によって、順方向に回転する第1反転ローラ対104に導かれ、再び上下面が逆にされた状態でレジストローラ対105に送られる。
レジストローラ対105に送られた読み取り原稿140は、このレジストローラ対105で斜行が矯正された後、読み取り位置P1を通過し、ここで第1面の画像が読み取りセンサ152によって読み取られる。第1面の画像の読取りが実施された読み取り原稿140は、スキャンローラ対107、図6に示す第1ポジションに位置決めされた第2セパレータ108によって、順方向に回転する第2反転ローラ109とプレッシャローラ111とのニップ部に送り込まれ、排出トレイ22に排出される。
以上のようにして、画像読取装置1による、読み取り原稿140の片面読み取り及び両面読み取りが行われる。
次に原稿トレイ21の構成について説明する。図7は、原稿トレイ21を斜め上方からみた外観斜視図であり、図8は、原稿トレイ21を上下反転させた状態で斜め上方からみた外観斜視図であり、図9は、前後の用紙ガイド301,401の構成及び配置の説明に供する図であり、図10は、用紙ガイド301のラック保持部307,308の近傍を斜め上方からみた外観斜視図であり、図11は、用紙ガイド401のラック保持部408の近傍の構成を示す部分拡大図であり、図12、図13は、原稿トレイ21の動作説明に供する図であり、図13は、負荷変動突起251とその周辺を部分拡大した図である。尚、図8では、内部構成を示すため、裏面全体を覆うようにネジ止め配設される裏蓋を除いた状態を示している。
これらの図に示す様に、原稿トレイ21は、媒体載置部としてのトレイフレーム201と、このトレイフレームにスライド可能に保持された前後一対のガイド部としての用紙ガイド301,401によって構成されている。前側に配置された用紙ガイド301と後側に配置された用紙ガイド401とは類似した構成でトレイフレーム201に保持されているため、ここでは、前側に配置された用紙ガイド301とトレイフレーム201の関係を主に説明しながら、全体の構成を説明する。
用紙ガイド301は、ガイドブロック320とガイドブロック320によって保持された一対のラック305,306を備える。ガイドブロック320は、原稿トレイ21に載置される読み取り原稿140(図2)の、送り出し方向を示す矢印B方向と直交する幅方向の一端側を載置する載置面303aを有する板状部303と、載置面303aに対して垂直に形成されて矢印B方向に延在し、読み取り原稿140の一端側を規制する規制面302を備える。
板状部303の載置面303aとは反対側の下部面303b(図10)には、矢印B方向に所定の間隔で形成された一対のラック保持部307,308が垂下し、ラック保持部307は、載置面303aと平行で矢印B方向とは直交する方向に延在する板状のラック305(左側)を保持し、同じくラック保持部308は、載置面303aと平行で矢印B方向とは直交する方向に延在する板状のラック306(右側)を保持している。このとき、板状部303の下部面303bと、ラック305,306の上面305a,306aとの間にはそれぞれ所定の段差g1が形成されている。
ラック305には、右側側部に歯部305bが形成され、左側側部に付勢部305cが形成され、同様にラック306にも歯部306b及び付勢部306cが形成され、両者は同一形状である。また用紙ガイド301には、載置面303aに対向する位置に、載置する読み取り原稿140の量を制限する規制板304が配設されている。
一方、用紙ガイド301に対して後側に配置される用紙ガイド401は、例えば図7、図9に示すように、その規制面402が用紙ガイド301の規制面302に対向して平行に配置されるとき、ラック405,406及びラック保持部407,408を除いて用紙ガイド301と面対称となるように形成されている。
ラック405,406及びラック保持部407,408は、用紙ガイド301の規制面302と用紙ガイド401の規制面402が平行に対向する所定の位置に配置されるとき、ラック405は、その歯部405bが後述するピニオンギア202を介してラック305の歯部305bと対向し、共にピニオンギア202と歯合するように配置され、ラック406は、その歯部406bが後述するピニオンギア203を介してラック306の歯部306bと対向し、共にピニオンギア203と歯合するように配置される。
ここでは、ラック305,306,405,406は同一形状であり、ラック405がラック305と逆向きに配置され、ラック406がラック306と逆向きに配置されている。
図7に示すように、トレイフレーム201には、装着する用紙ガイド301が前後方向(Y軸方向)にスライド移動できるようなガイド長孔205,206が形成され、ガイド長孔205の端部には、用紙ガイド301を装着するための角孔207が連続して形成され、同様にガイド長孔206の端部には角孔208が連続して形成されている。
同じくトレイフレーム201には、装着する用紙ガイド401が前後方向(Y軸方向)にスライド移動できるようなガイド長孔235,236が形成され、ガイド長孔235の端部には、用紙ガイド401を装着するための角孔237が連続して形成され、同様にガイド長孔236の端部には角孔238が連続して形成されている。
ここで、用紙ガイド301をトレイフレーム201に装着する方法について説明する。図9に示す用紙ガイド301のラック305,306の各先端部が、鉛直下方を向くようにして、図7に示すトレイフレーム201の角孔207,208にそれぞれ挿入し、板状部303がトレイフレーム201に当接する程度まで押し下げる。
その後、90度程度X軸回りに回転することによって、図7、図8に示すように、板状部303がトレイフレーム201の表(上)側に、ラック305,306がトレイフレーム201の裏(下)側にそれぞれ位置して、ラック保持部307がガイド長孔205を貫通し、ラック保持部308がガイド長孔206を貫通する状態となる。
この時、図8に示す様に、ラック305は、トレイフレーム201の裏(下)面に形成されて前後方向(Y軸方向)に延在するガイド壁211とガイド壁212によって左右が囲まれた領域に収容され、ラック306は、同じくトレイフレーム201の裏面に形成されて前後方向(Y軸方向)に延在するガイド壁214とガイド壁215によって左右が囲まれた領域に収容される。
またラック305と同様にトレイフレーム201に装着される用紙ガイド401のラック405は、トレイフレーム201の裏面に形成されて前後方向(Y軸方向)に延在するガイド壁213とガイド壁214によって左右が囲まれた領域に収容され、ラック406は、同じくトレイフレーム201の裏面に形成されて前後方向(Y軸方向)に延在するガイド壁216とガイド壁217によって左右が囲まれた領域に収容される。尚、ガイド壁214は、ここでは両側の各面がラック405、ラック306をそれぞれガイドするように構成されている。
ピニオンギア202は、所定の間隔をもって対向して配置された、ラック305の歯部305bとラック405の歯部405bとの間にあって、両歯部と同時に歯合するように、トレイフレーム201に回転自在にネジ止めされ、ピニオンギア203は、同じく所定の間隔をもって対向して配置された、ラック306の歯部306bとラック406の歯部406bとの間にあって、両歯部と同時に歯合するように、トレイフレーム201に回転自在にネジ止めされる。
またラック305は、ガイド壁211に形成されてY軸方向に延在する規制突起211bとトレイフレーム201の裏面に形成されて同じくY軸方向に延在するガイド突起201aによって上下方向の移動が規制され、同じくラック405は、ガイド壁214に形成された規制突起214aとトレイフレーム201の裏面に形成されたガイド突起201bによって上下方向の移動が規制され、同じくラック306は、ガイド壁214に形成された規制突起214bとトレイフレーム201の裏面に形成されたガイド突起201cによって上下方向の移動が規制され、同じくラック406は、ガイド壁217に形成された規制突起217bとトレイフレーム201の裏面に形成されたガイド突起201dによって上下方向の移動が規制される。
更にピニオンギア202は、ギア部よりやや径大に形成されたフランジ部202a(図9)によってラック305及びラック405の下方(Z軸のマイナス方向)移動を規制し、同じくピニオンギア203は、ギア部よりやや径大に形成されたフランジ部203a(図9)によってラック306及びラック406の下方(Z軸のマイナス方向)移動を規制する。
ラック305は、ガイド壁211に圧接する付勢部305cによってその歯部305bがピニオンギア202に付勢されて歯合を確実に維持し、ラック405は、ガイド壁214に圧接する付勢部405cによってその歯部405bがピニオンギア202に付勢されて歯合を確実に維持し、ラック306は、ガイド壁214に圧接する付勢部306cによってその歯部306bがピニオンギア203に付勢されて歯合を確実に維持し、ラック406は、ガイド壁217に圧接する付勢部406cによってその歯部406bがピニオンギア203に付勢されて歯合を確実に維持する。
各ラック305,306,405,406と各ピニオンギア202,203とは、この状態で、各ラック305,306,405,406が互いに平行状態を保ったまま、平行移動できるように各部のサイズが考慮されるものである。
更に、用紙ガイド301及び用紙ガイド401は、トレイフレーム201に装着される段階で、規制面302と規制面402とが、例えば図9に一点鎖線で示す、用紙搬送路の幅中心位置270から等距離となるように配置され、ピニオンギア202,203を介して平行移動動作が連動する。
即ち、操作者が、例えば手前側の用紙ガイド301を操作して、幅中心位置270に近づける方向(Y軸のマイナス方向)に移動すると、ピニオンギア202,203は時計方向に回転し(図9において)、奥側の用紙ガイド401も同距離だけ幅中心位置270に近づく方向(Y軸のプラス方向)に移動する。逆に手前側の用紙ガイド301を操作して、幅中心位置270から離れる方向(Y軸のプラス方向)に移動すると、ピニオンギア202,203は反時計方向に回転し(図9において)、奥側の用紙ガイド401も同距離だけ幅中心位置270から離れる方向(Y軸のマイナス方向)に移動する。
原稿トレイ21には、矢印B方向に搬送される読み取り原稿140が載置されるが、この読み取り原稿140は、用紙ガイド301の載置面303a、用紙ガイド401の載置面403a、トレイフレーム201の中央平板部209(図7)、及びトレイ平板部210によって保持される。
従って、これらの各載置面は略面一となるように形成されている。尚、トレイ平板部210から突出する原稿検出ピン201f、201gは、読み取り原稿140が載置されると、その重みによって引込むように形成されており、その位置変位によって載置される読み取り原稿140を検出する検出器を構成するものである。
従って、操作者が読み取り原稿140を原稿トレイ21に載置する際には、先ず原稿の用紙サイズに応じて手前側の用紙ガイド301を操作し、用紙ガイド401の移動領域に沿ってトレイフレーム201上の表面に、各用紙サイズに対応して形成されたサイズ目盛り240の所望の位置に指示突起410をおおよそ合わせ、規制面302,402によってガイドされながら原稿用紙140を載置する。
サイズ目盛り240は、各サイズ読み取り原稿140を載置する際の目安となるもので、用紙ガイド401に形成された指示突起410を合わせることによって、用紙ガイド301,401が、各サイズの読み取り原稿を載置する際の最適位置となるように、位置設定されている。
ここでは、最も外側の目盛り240aは、A3の読み取り原稿140を縦送りにセットする際の目盛りであって、指示突起410をこの位置に合わせたとき、用紙ガイド301の規制面302と用紙ガイド401の規制面402との間のガイド幅W(図9)が規格サイズである297mmとなるように設定されている。
負荷変動部材としての負荷変動突起251は、後述するように、用紙ガイド401のガイドブロック420の外側壁420aに当接して移動環境を変える部材で、指示突起410が、最も外側の目盛り240a(図7)よりも更に0.5mm外側に移動する、即ちガイド幅Wが(297+1)mmとなる時点で、外側壁420aの最下部であって所定部としての当接部411が負荷変動突起251の当接面251a(図13)に当接するように位置決めされ、配置されている。
ここでの負荷変動突起251の当接面251aは、ガイド載置面221(図7)に対してほぼ垂直に形成され、ガイドブロック420の外側壁420aは、当接部411が鋭角となるように、板状部403の下部面403bに対してやや傾斜して形成されている。
尚、ここでは、負荷変動突起251が、操作パネル30(図1)に対峙する操作者から遠い方の用紙ガイド401に当接するように配置されている。
図11に示すように、用紙ガイド401は、その板状部403の下部面403bが、トレイフレーム201のガイド載置面221に載置されながらこのガイド載置面上を移動する。そして上方への移動は、ラック保持部407(408)から左右に突出する規制プレート409(図8参照)の上面がトレイフレーム201の裏面に形成されたガイド突起201b,201dに当接して規制される。
従って、ガイド載置面221のガイド突起201a,201cを含めた厚みをh、板状部403の下部面403bから規制プレート409の上面までの距離をg2(<g1)とすると、用紙ガイド401のガイドブロック420における上下方向のガタ(遊び)ΔDは、
ΔD=g2−h
となる。
例えば、A3の用紙では、短手方向の寸法が、バラツキによって、298mmを超える場合がある。原稿トレイ21は、このような場合にも対応できるように、用紙ガイド401が、負荷変動突起251を越えて、更にガイド幅Wを広げることが可能となっている。以下に、その構成、動作、作用について説明する。尚、図12、図13はこれらの説明に供する図である。
図11に示すように、用紙ガイド401は、ガイド幅Wが所定の(297+1)mmとなる時点でその当接部411が負荷変動突起251の当接面251a(図13)に当接するが、この時、通常は板状部403の下部面403bがトレイフレーム201のガイド載置面221に接した状態となるため、ガイドブロック420における上下方向のガタ(遊び)ΔDは、規制プレート409の上面とトレイフレーム201の裏面に形成されたガイド突起201b,201dとの間に生じる。
尚、図11では、構成を明確にするため、板状部403の下部面403bがトレイフレーム201のガイド載置面221から多少浮いた状態を示している。
この状態で操作者が、自身に近い、例えば図9に示す手前側の用紙ガイド301(図9)を操作して、幅中心位置270から離れる方向(Y軸のプラス方向)へ移動すべく同方向への力を加えると、用紙ガイド401は、ピニオンギア202と歯合するラック405及びピニオンギア203と歯合するラック406が各噛合部を力点として矢印C方向(Y軸のマイナス方向)への力を受ける。
用紙ガイド401は、当接部411が負荷変動突起251の当接面251a(図13)に規制されながら、この力を受け、先ずそのガイドブロック420が、ガタ(遊び)ΔDによって移動が可能な上方(Z軸プラス方向)に変位し、更に当接部411が負荷変動突起251の誘導部251b(図13)にガイドされながら全体的に矢印C方向に移動し、やがて図12、図13に示すように、下部面403bが負荷変動突起251の誘導部251bと上部面251cとの稜線部或は上部面251cに当接しながら更に同方向に移動する。
上記したガイドブロック420の上方への変位は、用紙ガイド401自体の反りや撓みが主な要因となって生ずるものであり、このため、ここでの用紙ガイド401は、可撓性を有するポリカーボネート等のABS樹脂によって形成されている。
このためここでは、負荷変動突起251の高さJ(図13)が、ガイドブロック420における上下方向のガタ(遊び)ΔDより小さく設定され、負荷変動突起251の上部面251cはトレイフレーム201のガイド載置面221と平行に形成されている。
図13を参照しながら更に説明する。図13において、点線部は、用紙ガイド401の当接部411が、第2の調整領域Nを移動するときの当接部411近傍の状態を示す。尚、各調整領域M,Nは、矢印C方向(Y軸方向)における当接部411の移動領域を示すものである。
用紙ガイド401の当接部411が、負荷変動突起251の当接面251aに当接する境として当接点Qに至るまでの第1の領域としての第1の調整領域Mを移動する間、即ちガイド幅W(図9)が所定の298(297+1)mmとなるまでの間、操作者は、通常の移動負荷を受けながら第1の操作力F1で手前側の用紙ガイド301(図9)を前後方向(Y軸方向)に移動操作して、ガイド幅Wを調整することができる。
操作者が、必要に応じてガイド幅W(図9)を所定の298mmより更に広げるべく、手前側の用紙ガイド301に対して外側(Y軸プラス方向)への力を加えると、用紙ガイド401は、ピニオンギア202,203との噛合部を力点として矢印C方向(Y軸のマイナス方向)の力を受け、自身の反り、撓み、傾斜などが相俟って、負荷変動突起251の当接面251aに当接する当接部411を、移動が可能な上方(Z軸プラス方向)に変位し、当接部411を負荷変動突起251の誘導部251bに導く。即ちガイドブロック420が上方に変位する。
ここで操作者は、用紙ガイド401を変位するだけの第3の操作力F3を用紙ガイド301に加える必要があり、この第3の操作力F3は、第1の操作力F1より大きくなり、ここでは、操作者によって、その力の差が十分感じ取れる程度に設定されている。
当接部411が誘導部251bに至って矢印C方向の移動を開始すると、当接点Qを越えて第2の領域としての第2の調整領域Nを移動することになり、ガイド幅W(図9)が所定の298mmを越えて増加する。
この第2の調整領域Nでは、当接部411が、先ず誘導部251bの傾斜面にガイドされながら矢印C方向に移動し、やがて下部面403bが、負荷変動突起251の誘導部251bと上部面251cとの稜線部或は上部面251cに当接しながら更に同方向に移動する。このため、当接部411がこの第2の調整領域Nを矢印C方向に移動する間、操作者は、第1の操作力F1と略同等の第2の操作力F2で、手前側の用紙ガイド301(図9)を外側(Y軸プラス方向)に移動することになる。
尚、第2の操作力F2は、当接部411が誘導部251bを移動するときや、用紙ガイド401の状態、例えばその傾きや反りによって移動負荷が多少ばらつき、概ね第1の操作力F1より大きくなるが、F3よりは小さく、
F3>F2≧F1
の関係が保たれる。
以上、操作者が、図9に示す手前側の用紙ガイド301(図9)を操作して、ガイド幅Wを所定の(297+1)mm以上とする例を説明したが、ここで、操作者が図9に示す後側の用紙ガイド401(図9)を操作して、ガイド幅Wを所定の(297+1)mm以上とする場合について説明する。
この場合の一般的な操作方法としては、例えば図11において、操作者が用紙ガイド401の規制面402に手をかけ、用紙ガイド401を矢印C方向に移動させることになる。この時、当接部411が負荷変動突起251に当接する当接点を中心にして用紙ガイド401を時計方向に回転する力も生ずる。これにより用紙ガイド401のラック405,406或は規制プレート409がトレイフレーム201のガイド突起201dに当接し、今度はこの当接部を支点として当接部411を下方に付勢する力が生ずる。
このため、当接部411が、当接する負荷変動突起251の当接面251aを上方に移動することがなく、第2の調整領域Nに移ることはない。従って、原稿トレイ21は、操作者が、手前側の用紙ガイド301を操作したときのみ、そのガイド幅Wを所定の(297+1)mm以上とすることが可能となる。
尚、本実施の形態では、本発明による原稿トレイ21を画像読取装置1に採用した例を示したが、これに限定されるものではなく、例えばコピー機における記録用紙を載置する用紙トレイとして採用することも可能である。
また、本実施の形態では、用紙ガイド401の当接部411を外側壁420aの最下部に設定したが、これに限定されるものではなく、例えば指示突起410に設定し、これに合わせて負荷変動突起251の配設位置及び形状を適宜設定するようにすることも可能であるなど、種々の態様を取り得るものである。
以上のように本実施の形態の原稿トレイ21によれば、ガイド幅Wを所定のガイド幅(例えば規格サイズの298mm)以上に広げる際には、通常の操作力F1よりも強い操作力F3が必要になるため、操作者に対して注意を促すことになり、誤操作、誤設定を防止して媒体搬送における安定性を向上できる。
また、通常の操作力F1よりも強い操作力F3で用紙ガイドを操作することにより、通常の操作力F1で用紙ガイドを操作できる所定のガイド幅(例えば298mm)以上にガイド幅Wを広げることが出来るため、載置する読み取り原稿が規格サイズに対してばらつく場合でも対処できる。これにより、所定のガイド幅を用紙の規定サイズに近づけて設定できるため、用紙ガイドと載置する読み取り原稿との隙間を最小限に抑えることができ、搬送される読み取り原稿のスキューやつまり等の発生を抑制できる。
実施の形態2.
図14は、本発明による実施の形態2の原稿トレイ51を上下反転させた状態で斜め上方からみた外観斜視図であり、図15は、図14におけるラック305の付勢部505c近傍の部分拡大図である。
この原稿トレイ51が前記した図8に示す実施の形態1の原稿トレイ21と主に異なる点は、ガイド壁511に一連の位置決め溝群521が形成され、ラック305の付勢部505cに位置決め突起505d(図15)が形成されている点である。従って、この原稿トレイが前記した実施の形態1の原稿トレイ21と共通する部分には同符号を付して或は図面を省いて説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。
トレイフレーム501上の表面には、前記した図7で説明したトレイフレーム201と同様に、各用紙サイズに対応するサイズ目盛り240が形成されており、用紙ガイド401に形成された指示突起410を各サイズ目盛り240に合わせることによって、各用紙サイズに対応するガイド幅Wが得られるように構成されている。
ガイド壁511に形成された一連の位置決め溝群521は、指示突起410を各サイズ目盛り240に合わせた際に、ラック305の付勢部505cに形成された位置決め突起505dが位置する箇所に対応して形成されている。
また図15に示すように、位置決め突起505dが、溝群521の各溝、例えば図15に示す様に位置決め溝521bに対応する位置に移動したとき、付勢部505cの付勢力によって位置決め溝521bに嵌入して位置決めされる。操作者は、位置決めされた用紙ガイド301,401を開放するには、付勢部505cの付勢力に抗して、位置決め溝521bから位置決め突起505dを脱出するだけの操作力F4を、例えば手前側の用紙ガイド301加える必要がある。
ここでは、この操作力F4が前記した操作力F1、操作力F3に対して
F1<F4<F3
となるように設定されている。
尚、ここでは、用紙ガイド301のラック305の付勢部505cに形成された位置決め突起505dが一連の位置決め溝群521の何れかの溝に陥入する場合を説明したが、図14に示すように、用紙ガイド401のラック406の付勢部406cに形成された位置決め突起406d(図示せず)も、同様にガイド壁517に形成された一連の位置決め溝群522の何れかの溝に陥入するように構成してもよい。この場合の、操作者が位置決めされた用紙ガイド301,401を開放するための操作力をF4´とした場合、
F1<F4´<F3
となるように設定される。
従って、操作者が、用紙ガイド401に形成された指示突起410を各サイズ目盛り240に合わせると、用紙ガイド301、401は、所定の拘束力でその位置にロックされ、操作力F4或いはF4´で例えば用紙ガイド301を移動操作することにより、そのロックを解除することができる。
以上のように、本実施の形態の原稿トレイ21によれば、各用紙サイズに合わせた位置で、用紙ガイド301、401が所定の拘束力でロックされるため、用紙ガイド301、401の位置合わせのための操作性を向上できる。
また、前記した実施の形態の説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」といった言葉を使用したが、これらは便宜上であって、画像読取装置を配置する状態における絶対的な位置関係を限定するものではない。