JP2017126519A - 複合型リチウムイオン電池用正極活物質及びこれを用いたリチウムイオン電池 - Google Patents
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Abstract
Description
方法(ア):12.5gの正極活物質と20.0gの水酸化ナトリウムをニッケル製のるつぼに取る。このるつぼを500℃に加熱したマッフル炉に設置する。水酸化ナトリウムが十分溶解してから5分後にるつぼをマッフル炉から取り出す。直ちにるつぼの内容物を250mlの純水に分散し攪拌する。上澄み液を誘導結合プラズマ発光分析(ICP分析)により分析することにより、500℃の水酸化ナトリウムに溶出したアルミニウム元素の重量を測定する。
(発明1)以下の一般式(1)で表される組成を有するリチウム金属複合酸化物を含み、
LiaNibCocAldO2 ・・・(1)
(ただしa=0.8〜1.2、b=0.7〜0.95、c=0.02〜0.2、d=0.005〜0.1であり、かつ、b+c+d=1である。)
上記リチウム金属複合化合物はさらに、
以下の方法(ア)により測定される高温水酸化ナトリウムに溶出するアルミニウム量(重量)が該リチウム金属複合酸化物に含まれる全アルミニウム重量の10%を超える、
〔方法(ア):12.5gの正極活物質と20.0gの水酸化ナトリウムをニッケル製のるつぼに取る。このるつぼを500℃に加熱したマッフル炉に設置する。水酸化ナトリウムが十分溶解してから5分後にるつぼをマッフル炉から取り出す。直ちにるつぼの内容物を250mlの純水に分散し攪拌する。上澄み液を誘導結合プラズマ発光分析(ICP分析)により分析することにより、500℃の水酸化ナトリウムに溶出したアルミニウム元素の重量を測定する。〕
リチウムイオン二次電池用の正極活物質。
(発明2)LiOH残渣が0.2重量%以下であり、Li2CO3残渣が0.2重量%以下である、発明1の正極活物質。
(発明3)発明1又は2の正極活物質を用いたリチウムイオン電池用正極。
(発明4)発明3のリチウムイオン電池用正極を備えるリチウムイオン電池。
(発明5)ラミネート電池である、発明4のリチウムイオン電池。
本発明の正極活物質を構成するリチウム金属複合酸化物は以下の一般式(1)で表される組成を有する。
LiaNibCocAldO2 ・・・(1)
(ただしa=0.8〜1.2、b=0.7〜0.95、c=0.02〜0.2、d=0.005〜0.1であり、かつ、b+c+d=1である。)
本発明で用いるリチウム金属複合酸化物の製造方法は限定されないが、一般的には以下の方法(i)〜(iii)が用いられる。
(i)Li化合物、Al化合物、Co化合物、Ni化合物を、別々に調整、混合し、得られた混合物を酸素存在下で焼成する。
(ii)Ni、Coの両方を含む複合水酸化物を共沈法により製造し、その後、この複合水酸化物にLi化合物、Al化合物を混合する。得られた混合物を酸素存在下で焼成する。
(iii)Ni、Co、Alの全てを含む複合水酸化物を共沈法により製造し、その後、この複合水酸化物を酸素存在下で焼成する。
上記方法(i)〜(iii)の中で方法(ii)が好ましい。以下、方法(ii)を用いた正極活物質の製造方法について詳述する。
4Co(OH)2+4LiOH+O2 → 4LiCoO2+6H2O
Al(OH)3+LiOH → LiAlO2+2H2O
4Ni(OH)2+4LiOH+O2 → 4LiNiO2+6H2O
焼成は、酸素の存在下、450〜900℃の温度域で行う。焼成は複数回行うこともできる。いずれの回の焼成でも最高温度で2時間〜30時間保持して反応を完了させる。焼成する際に用いる焼成炉に制限はないが、管状炉、マッフル炉、RK(ロータリーキルン)、RHK(ローラーハースキルン)などが好ましい。特に好ましい焼成炉はRHKである。焼成後、好ましくは、焼成後に得られたリチウム金属複合酸化物を、適宜、各種ミキサーや乳鉢などを用いて粉砕し、粒子の凝集をほぐす工程を設ける。この工程によって電極作成の際の弊害となる50μm以上の粗粒が除去される。
本発明の正極活物質を構成するリチウム金属複合酸化物は、更に、以下の方法(ア)により測定した高温水酸化ナトリウムに溶出するアルミニウム量(重量)が、上記リチウム金属複合酸化物に含まれる全アルミニウム重量の10%超、好ましくは10%超50%未満、より好ましくは10%超30%未満、特に好ましくは10%超20%未満であるという特徴を有する。
方法(ア):12.5gのリチウム金属複合酸化物と20.0gの水酸化ナトリウムをニッケル製のるつぼに取る。このるつぼを500℃に加熱したマッフル炉に設置する。水酸化ナトリウムが十分溶解してから5分後にるつぼをマッフル炉から取り出す。直ちにるつぼの内容物を250mlの純水に分散し攪拌する。上澄み液を誘導結合プラズマ発光分析(ICP分析)により分析し、上澄み液に含まれるアルミニウム元素の重量を測定する。
本発明で用いる正極活物質から余剰のリチウムが除去されていることが好ましい。上記正極活物質から余剰のリチウムを除去する方法としては、正極活物質を水性溶媒で洗浄する方法が一般的である。洗浄に用いられる水性溶媒としては、純水、酸性水、アルカリ性水、金属化合物の水溶液などが用いられる。このうち純水、酸性水またはアルカリ性水が好ましい。洗浄の結果、正極活物質から水で抽出されるLiOH残渣が0.2重量%以下で、かつLi2CO3残渣が0.2重量%以下となることが好ましい。
本発明の正極活物質はラミネート電池の正極材として好適である。ラミネート電池は通常の方法により製造することができる。すなわち本発明の正極活物質をバインダー、導電助剤と混合して正極活物質等を含むスラリーを製造し、このスラリーを正極基材に塗布、乾燥して正極を製造する。負極は負極基材にカーボン類からなる負極活物質を含む負極剤を塗布、乾燥して得られる。正極、負極、セパレータを含む積層体を外装フィルムでラミネートすると共に電解質を充填して、正極、負極、セパレータ、電解質が内包されたラミネート電池が完成する。
(原料の溶解)硫酸ニッケルの濃度が139.3g/L、硫酸コバルトの濃度が10.8g/Lとなるように、硫酸ニッケル6水和物と硫酸コバルト7水和物を純水に溶解し、金属塩の混合溶液(以下、金属塩溶液という)を得た。一方で、水酸化ナトリウム濃度が84.0g/Lの水酸化ナトリウム水溶液を調製した(以下アルカリ液という)。
(沈殿)得られた金属塩溶液とアルカリ液、錯化剤である25重量%アンモニア水とを、傾斜した多段の板で構成されるフィルターが設置された容量190Lの反応器へ連続供給し、金属水酸化物の共沈反応を進行させた。この際、水酸化ナトリウムの過剰量、アンモニア量は各々2.7g/Lおよび12g/Lとなるように調整した。同時に反応器のフィルターにスラリーを通過させることにより、当該スラリーに含まれる母液の一部を系外へ排出した。その結果、金属水酸化物の共沈物が生成、沈殿し、固体濃度が400g/Lに調整されたスラリーが得られた。
(濾過・洗浄)金属塩溶液とアルカリ混合液の供給開始から十分な時間が経過し、定常状態となった後、反応容器内部に設置されたスラリー抜き出し用パイプからスラリーを連続的に抜き出した。抜き出された金属水酸化物スラリーを濾過、水洗した。
(乾燥)得られた金属水酸化物を真空乾燥した。こうしてニッケル−コバルト−アルミニウム複合水酸化物が得られた。
(粉体混合)上記ニッケル−コバルト複合水酸化物3.809kg、水酸化アルミニウム0.147kg、水酸化リチウム1.044kgとを、せん断力をかけながら粉体混合し、混合物を得た。
(焼成)この混合物の4kgを酸素流通下2段階で焼成した。1段目焼成では、室温から730℃まで3時間かけて昇温し、730℃で4時間保持した。その後、4時間かけて室温まで冷却した。2段目焼成では、室温から770℃まで3時間かけて昇温し、770℃で10時間保持した。その後4時間かけて室温まで冷却した。こうしてリチウム金属複合酸化物が得られた。
(解砕)得られたリチウム金属複合酸化物をホソカワミクロン製ジェットミル(AFG−100)にて解砕した。
(水洗)解砕物100gを水100gに分散させた。分散液を3分間攪拌し、吸引濾過、減圧乾燥し、更に酸素中500℃で5時間乾燥した。
得られたリチウム金属複合酸化物に含まれるアルミニウムの水酸化ナトリウム溶出量を以下の方法で測定した。得られたリチウム金属複合酸化物12.5g、水酸化ナトリウム20.0gをニッケル製のるつぼに取り、るつぼを500℃に加熱したマッフル炉に設置した。水酸化ナトリウムが十分溶融してから5分経過後、るつぼをマッフル炉から取り出し、るつぼの内容物を250mlの純水に分散し攪拌した。上澄み液を誘導結合プラズマ発光分析(ICP分析)により分析した。また得られたリチウム金属複合酸化物に含まれる全アルミニウム量(重量)をICP分析により求めた。その結果、リチウム金属複合酸化物に含まれるアルミニウム元素(重量)の14.2%に相当するアルミニウム元素が溶出していることがわかった。
得られた正極活物質2gを取り、25℃の純水100mlに加え3分間マグネチックスターラーで攪拌した後、吸引濾過を行う。得られた濾液を自動滴定装置を用い0.1規定の塩酸にて滴定し、水酸化リチウム量及び炭酸リチウム量を定量した。結果を表1に示す。
得られた正極活物質100重量部、導電助剤としてのアセチレンブラック1重量部及びグラファイトカーボン5重量部、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン4重量部を、分散媒としてのN−メチルピロリドンと共に混合して正極合剤を得た。この正極合剤を集電体であるアルミニウム箔に50μm厚で塗布、乾燥して、正極を製造した。
人造黒鉛(MAG−D)98重量部、バインダーとしてのカルボキシメチルセルロース(CMC)1重量部、スチレンブタジエン共重合物(SBR)1重量部を、分散媒としての水と共に混合して負極合剤を得た。この負極合剤を集電体である銅箔に塗布、乾燥し負極を製造した。LiPF6を1モル/Lの濃度で溶解したエチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ビニルカーボネート(VC)を、重量比(EC:EMC:VC)が50:50:1となるように混合して電解液を製造した。上述の正極、負極、電解液を積層、封入してラミネート電池を製造した。
・初期放電容量及び初期充放電効率:3.0から4.2Vの間で0.1Cレートでの充電を行った時の容量を初期充電容量とした。4.2Vから3.0の間での0.1C放電を行った際の容量を初期放電容量とした。初期充放電効率を以下の式で求めた。
初期充放電効率(%)=(初期放電容量÷初期充電容量)×100
Claims (5)
- 以下の一般式(1)で表される組成を有するリチウム金属複合酸化物を含み、
LiaNibCocAldO2 ・・・(1)
(ただしa=0.8〜1.2、b=0.7〜0.95、c=0.02〜0.2、d=0.005〜0.1であり、かつ、b+c+d=1である。)
上記リチウム金属複合化合物はさらに、
以下の方法(ア)により測定される高温水酸化ナトリウムに溶出するアルミニウム量(重量)が該リチウム金属複合酸化物に含まれる全アルミニウム重量の10%を超える、
〔方法(ア):12.5gの正極活物質と20.0gの水酸化ナトリウムをニッケル製のるつぼに取る。このるつぼを500℃に加熱したマッフル炉に設置する。水酸化ナトリウムが十分溶解してから5分後にるつぼをマッフル炉から取り出す。直ちにるつぼの内容物を250mlの純水に分散し攪拌する。上澄み液を誘導結合プラズマ発光分析(ICP分析)により分析することにより、500℃の水酸化ナトリウムに溶出したアルミニウム元素の重量を測定する。〕
リチウムイオン二次電池用の正極活物質。 - LiOH残渣が0.2重量%以下であり、Li2CO3残渣が0.2重量%以下である、請求項1に記載の正極活物質。
- 請求項1又は2に記載の正極活物質を用いたリチウムイオン電池用正極。
- 請求項3に記載のリチウムイオン電池用正極を備えるリチウムイオン電池。
- ラミネート電池である、請求項4に記載のリチウムイオン電池。
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