JP2014194868A - リチウムイオン電池用正極活物質、リチウムイオン電池用正極、及び、リチウムイオン電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】組成式:LixNi1-yMyO2+α
(前記式において、Mは金属であり、0.9≦x≦1.2であり、0<y≦0.7であり、−0.1≦α≦0.1である。)
で表され、TPD−MS測定で正極活物質を測定したとき、25℃以上260℃以下の領域でのH2O由来の水分の発生速度の極大値Aが2wtppm/秒以下であり、260℃超500℃以下の領域でのH2O由来の水分の発生速度の極大値Bが3wtppm/秒以下であるリチウムイオン電池用正極活物質。
【選択図】図1
Description
(前記式において、Mは金属であり、0.9≦x≦1.2であり、0<y≦0.7であり、−0.1≦α≦0.1である。)
で表され、TPD−MS測定で正極活物質を測定したとき、25℃以上260℃以下の領域でのH2O由来の水分の発生速度の極大値Aが2wtppm/秒以下であり、260℃超500℃以下の領域でのH2O由来の水分の発生速度の極大値Bが3wtppm/秒以下であるリチウムイオン電池用正極活物質である。
本発明のリチウムイオン電池用正極活物質の材料としては、一般的なリチウムイオン電池用正極用の正極活物質として有用な化合物を広く用いることができるが、特に、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)等のリチウム含有遷移金属酸化物を用いるのが好ましい。このような材料を用いて作製される本発明のリチウムイオン電池用正極活物質は、
組成式:LixNi1-yMyO2+α
(前記式において、Mは金属であり、0.9≦x≦1.2であり、0<y≦0.7であり、−0.1≦α≦0.1である。)
で表される。
また、Mは、好ましくはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Cu、Al、Zn、Sn、Mg及びZrから選択される1種以上であり、より好ましくはMn及びCoから選択される1種以上である。
本発明の実施形態に係るリチウムイオン電池用正極は、例えば、上述の構成のリチウムイオン電池用正極活物質と、導電助剤と、バインダーとを混合して調製した正極合剤をアルミニウム箔等からなる集電体の片面または両面に設けた構造を有している。また、本発明の実施形態に係るリチウムイオン電池は、このような構成のリチウムイオン電池用正極を備えている。
次に、本発明の実施形態に係るリチウムイオン電池用正極活物質の製造方法について詳細に説明する。
まず、金属塩溶液を作製する。当該金属は、Ni及び金属Mである。金属Mとしては、好ましくはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Cu、Al、Zn、Sn、Mg及びZrから選択される1種以上であり、より好ましくはMn及びCoから選択される1種以上である。また、金属塩は硫酸塩、塩化物、硝酸塩、酢酸塩等であり、特に硝酸塩が好ましい。これは、焼成原料中に不純物として混入してもそのまま焼成できるため洗浄工程が省けることと、硝酸塩が酸化剤として機能し、焼成原料中の金属の酸化を促進する働きがあるためである。金属塩に含まれる各金属は、所望のモル比率となるように調整しておく。これにより、正極活物質中の各金属のモル比率が決定する。
次に、濾別したリチウム含有炭酸塩を乾燥することにより、リチウム塩の複合体(リチウムイオン電池正極材用前駆体)の粉末を得る。
まず、所定の投入量の炭酸リチウムを純水3.2リットルに懸濁させた後、金属塩溶液を4.8リットル投入した。ここで、金属塩溶液は、各金属の硝酸塩の水和物を、各金属が表1に記載の組成比になるように調整し、また全金属モル数が14モルになるように調整した。
この処理により溶液中に微小粒のリチウム含有炭酸塩が析出したが、この析出物を、フィルタープレスを使用して濾別した。
続いて、析出物を乾燥してリチウム含有炭酸塩(リチウムイオン電池正極材用前駆体)を得た。
次に、焼成容器を準備し、この焼成容器内にリチウム含有炭酸塩を充填した。次に、焼成容器を、焼成雰囲気を大気とし、表1に記載の焼成条件(昇温レート、最高温度×保持時間、最高温度から300℃までの降温度レート)にて焼成した。続いて室温まで冷却した後、露点を11℃に管理した状態で解砕してリチウムイオン二次電池正極材の粉末を得た。
比較例1〜3として、原料の各金属を表1に示すような組成とし、焼成条件を表1に示す条件とした以外は、実施例1と同様の処理を行った。
−正極材組成の評価−
各正極材中の金属含有量は、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−OES)で測定し、各金属の組成比(モル比)を算出した。各金属の組成比は、表1に記載の通りであることを確認した。また、酸素含有量はLECO法で測定しαを算出した。
株式会社東レリサーチセンター製TPD−MS測定装置に、正極材を30mgセットし、アルゴンのキャリアガスを15分間流して安定状態となっていることを確認した後、水分の発生速度の測定を開始した。標準物質としてタングステン酸ナトリウム2水和物を用い、室温(25℃)から500℃まで昇温速度10℃/分で加熱した。これにより、正極材の各測定温度領域の積算水分量及びH2O由来の水分発生速度を測定した。
また、平沼産業製カールフィッシャー水分計を用いて、正極材の各測定温度領域の積算水分量を測定した。
各正極活物質と、導電材と、バインダーとを85:8:7の割合で秤量し、バインダーを有機溶媒(N−メチルピロリドン)に溶解したものに、正極活物質と導電材とを混合してスラリー化して正極合剤を作製し、これをAl箔上に塗布して乾燥後にプレスして正極とした。続いて、対極をLiとした評価用の2032型コインセルを作製し、電解液に1M−LiPF6をEC−DMC(1:1)に溶解したものを用いて、電流密度0.2Cの際の放電容量を測定した。また、容量維持率は、電池測定によって得られた初期放電容量及び初期充電容量から算出した。
これらの結果を表1及び2に示す。
比較例1〜3は、いずれもTPD−MS測定で正極活物質を測定したとき、25℃以上260℃以下の領域でのH2O由来の水分の発生速度の極大値Aが2wtppm/秒超え、及び/又は、260℃超500℃以下の領域でのH2O由来の水分の発生速度の極大値Bが3wtppm/秒超えであり、いずれも作製した電池の容量維持率が不良であった。
実施例5及び3のTPD−MS測定装置における水分の発生速度曲線のグラフをそれぞれ図1、2に示す。
Claims (8)
- 組成式:LixNi1-yMyO2+α
(前記式において、Mは金属であり、0.9≦x≦1.2であり、0<y≦0.7であり、−0.1≦α≦0.1である。)
で表され、
TPD−MS測定で正極活物質を測定したとき、25℃以上260℃以下の領域でのH2O由来の水分の発生速度の極大値Aが2wtppm/秒以下であり、260℃超500℃以下の領域でのH2O由来の水分の発生速度の極大値Bが3wtppm/秒以下であるリチウムイオン電池用正極活物質。 - TPD−MS測定で正極活物質を測定したとき、25℃以上260℃以下の領域でのH2O由来の水分の発生速度の極大値Aと、260℃超500℃以下の領域でのH2O由来の水分の発生速度の極大値Bとの比A/Bが、1.2以上2.0以下である請求項1に記載のリチウムイオン電池用正極活物質。
- TPD−MS測定で正極活物質を測定したとき、260℃超500℃以下の領域での水分量が500ppm以下である請求項1又は2に記載のリチウムイオン電池用正極活物質。
- TPD−MS測定で正極活物質を測定したとき、25℃以上260℃以下の領域での水分量が250ppm以下である請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオン電池用正極活物質。
- 前記Mが、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Cu、Al、Zn、Sn、Mg及びZrから選択される1種以上である請求項1〜4のいずれかに記載のリチウムイオン電池用正極活物質。
- 前記Mが、Mn及びCoから選択される1種以上である請求項5に記載のリチウムイオン電池用正極活物質。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のリチウムイオン電池用正極活物質を用いたリチウムイオン電池用正極。
- 請求項7に記載のリチウムイオン電池用正極を用いたリチウムイオン電池。
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