JP2017125709A - 漏洩磁束探傷装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】装置を大型化することなく、不感帯を抑制可能で、なお且つ、高いきず検出能を有する漏洩磁束探傷装置を提供する。【解決手段】漏洩磁束探傷装置100は、被探傷材Pを磁化する磁化手段1と、漏洩磁束を検出する検出手段2とを備える。磁化手段は、被探傷材の表面に平行な第1方向(X方向)に磁界を生成するように、交流の第1励磁電流が通電される導線が巻回されると共に、第1方向に沿って重複する部分を有するように互いに位置がずれて配置された複数の第1励磁コイル12を具備する。検出手段は、第1方向に沿って重複する部分を有するように互いに位置がずれて配置され、被探傷材の表面に垂直な方向(Z方向)の漏洩磁束を検出する第1励磁コイルと同数の複数の平面状の検出コイル2からなり、各検出コイル及び各第1励磁コイルの第1方向についての中心位置が、略同一である。【選択図】 図5

Description

本発明は、管などの被探傷材に存在するきずを検出する漏洩磁束探傷装置に関する。特に、本発明は、装置を大型化することなく、不感帯を抑制可能で、なお且つ、高いきず検出能を有する漏洩磁束探傷装置に関する。
従来、鋼管や鋼板等の被探傷材に存在するきずを非破壊的に検出する方法として、漏洩磁束探傷法が知られている。漏洩磁束探傷法は、磁性体から形成された被探傷材に磁界を作用させて磁化した場合に、被探傷材に生ずる磁束を遮るようなきずが存在すると、このきずが存在する部位で磁束が被探傷材の表面から漏洩することを利用する探傷方法である。
この漏洩磁束探傷法によって検出されるきず信号の振幅は、被探傷材に作用させる磁界の方向(被探傷材に生じる磁束の方向)ときずの延びる方向とが直交する場合に最大となり、磁界の方向がきずの延びる方向に対して直交する方向からずれるに従って低下する。
以下、従来の漏洩磁束探傷法について、被探傷材が管である場合を例に挙げて、より具体的に説明する。図1(a)に示すように、被探傷材が管である場合の漏洩磁束探傷法では、管の全面を探傷するために、管が周方向に回転しながら、磁化手段及び検出手段を具備する探傷プローブが管の軸方向に直進する。或いは、管が軸方向に直進しながら、探傷プローブが管の周方向に回転する。これにより、管の全面をスパイラル状に探傷する方法が一般的である。
図1(a)に示すような方法では、様々な角度を有するきず(管の軸方向に延びる軸方向きず、管の周方向に延びる周方向きず、管の軸方向及び周方向の間に延びる斜めきず)が周方向に回転しながら探傷プローブの直下を通過することになる。従来、管の品質保証において検出対象とされるきずは、軸方向きず及び周方向きずに限定されていたが、近年の品質保証の厳格化に伴い、斜めきずであっても検出することが要求される場合がある。すなわち、同じ寸法のきずであれば、全ての方向のきずを同等の感度で検出することが要求される場合がある。前述のように、きず信号の振幅は、管に作用させる磁界の方向ときずの延びる方向とが直交する場合に最大となるため、全ての方向のきずを同等の感度で検出するには、きずが探傷プローブの直下にあるタイミングで全方向の磁界を作用させ、各磁化方向で探傷することが必要である。
例えば、特許文献1には、そのための探傷プローブの構成が提案されている。図1(b)に示すように、特許文献1で提案されている探傷プローブは、磁化手段として、X方向(探傷プローブが管に対向配置された状態では管の軸方向に相当)に磁界を生成するX方向励磁コイルと、X方向に直交するY方向(探傷プローブが管に対向配置された状態では管の周方向に相当)に磁界を生成するY方向励磁コイルとを具備し、検出手段として、X方向及びY方向に直交するZ方向の漏洩磁束を検出する平面状の検出コイルとを具備している。そして、X方向励磁コイルに交流電流を通電し、この交流電流と位相が90°ずれた交流電流をY方向励磁コイルに通電することで、各励磁コイルで生成された磁界の合成磁界が、各励磁コイルの中心位置を中心として360°回転することになる。そして、回転磁界(合成磁界)の回転中心に配置された検出コイルで漏洩磁束を検出することにより、全ての方向のきずを検出することが可能となる。
ここで、周方向きずを検出する場合を考える。周方向きずを最大感度で検出する磁界の方向(磁化の方向)は、管の軸方向(X方向)である。図2(a)は、管を軸方向に磁化した場合の検出コイルと周方向きずの相対位置と、磁化によって生じる漏洩磁束との関係を模式的に示す断面図である。図2(b)は、検出コイルに対する周方向きずの相対位置を管の軸方向に所定のピッチで変更(実際には、検出コイルの位置を管の軸方向に所定のピッチで変更)し、各周方向きずの位置で検出コイルを管の周方向に走査して得られる探傷信号のピーク値をプロットしたグラフである。
検出コイルが周方向きずを通過する際、周方向きずが検出コイルに対して軸方向のどの位置にある場合であっても(周方向きずがF1、F2、F2のいずれの位置にある場合であっても)、検出コイルから出力される探傷信号(きず信号)の振幅は、所定の範囲内(例えば、最大振幅の−3dB以内)であることが望ましい。しかしながら、周方向きずが検出コイルの中心に位置する場合(周方向きずがF2の位置にある場合)、図2(a)に示すように、検出コイルを通過する漏洩磁束の上向き成分と下向き成分とが相殺されるため、検出コイルを通過する漏洩磁束の総和がゼロとなり、図2(b)に示すように、探傷信号の振幅もゼロとなる。周方向きずが検出コイルの中心からわずかにずれて位置する場合、漏洩磁束の上向き成分と下向き成分との差がわずかであるため、極めて小さな振幅の探傷信号しか得られない。すなわち、特許文献1に提案されている図2(a)に示すような平面状の検出コイルを用いる場合、周方向きずが検出コイルの中心の直下を通過する位置を中心として、探傷信号の振幅が許容値を超えて低下し、周方向きずを検出できなくなる領域(不感帯)が生じるという問題がある。
上記不感帯の問題を回避するには、図3(a)に示すように、励磁コイル及び検出コイルを具備する探傷プローブを管の周方向(Y方向)に複数並べて配置し、管の軸方向(X方向)について各探傷プローブが具備する各検出コイルの不感帯が重複しないように、各探傷プローブの位置を管の軸方向にずらすことが考えられる。
しかしながら、図3(a)に示すような配置の場合、複数の探傷プローブを配置する必要があるため、装置全体が大型化するという問題がある。また、図3(b)に示すように、管の中心から外側に対向配置された探傷プローブ(検出コイルA、C)と管表面とのリフトオフL2が、管の中心に対向配置された探傷プローブ(検出コイルB)と管表面とのリフトオフL1よりも大きくなり、検出感度の低下や、きずの検出能(S/N比)の低下に通じるという問題もある。
以上に説明した被探傷材が管である場合と異なり、被探傷材が板である場合には、探傷プローブの配置位置が異なることに伴うリフトオフの変化に起因した問題は生じないものの、装置全体が大型化するという問題は残る。
また、被探傷材に回転磁界を作用させる場合のみならず、前述のように一方向(管の軸方向)にのみ磁界を作用させる場合にも同様の問題が生じる。
特許第4835995号公報
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、装置を大型化することなく、不感帯を抑制可能で、なお且つ、高いきず検出能を有する漏洩磁束探傷装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、漏洩磁束を検出する検出手段として、平面状の検出コイルを複数用い、この複数の検出コイルを、磁界を作用させる方向(例えば、管の軸方向)に沿って重複する部分を有するように互いに位置をずらして配置すれば、装置を大型化することなく、不感帯を抑制可能であることに想到した。
具体的には、複数の検出コイルを、磁界を作用させる方向に沿って、なお且つ、検出コイルの漏洩磁束検出方向から見て、隣接する検出コイルが重複する部分を有するように、各検出コイルの位置をずらして配置すれば、隣接する一方の検出コイルの不感帯(一方の検出コイルの中心近傍)に位置する漏洩磁束が他方の検出コイル(他方の検出コイルの中心近傍外)で検出され、他方の不感帯に位置する漏洩磁束が一方の検出コイルで検出されることが期待でき、検出コイル全体としては不感帯を抑制可能であることに想到した。また、図3(a)に示す構成と異なり、磁界を作用させる方向(管の軸方向)に垂直な方向(管の周方向)に、励磁コイル及び検出コイルを具備する複数の探傷プローブを並べる必要が無いため、装置が大型化しないということに想到した。
しかしながら、磁界を作用させる方向に沿って重複する部分を有するように互いに位置をずらして配置した複数の検出コイルに対して、磁化手段として、共通する励磁コイル(例えば、図1(b)に示すX方向励磁コイル)を用いた場合には、磁界を作用させる方向について、共通する励磁コイルの中心と各検出コイルの中心との位置関係が検出コイル毎に異なることになる。本発明者らは、これに起因して、探傷信号にノイズが生じ、各検出コイルの中心位置と、対応する励磁コイルの中心位置とが同一である場合と比較して、きずの検出能が低下するおそれがあることを知見した。
このため、本発明者らは更に鋭意検討した結果、磁化手段として、複数の検出コイルと同様に、磁界を作用させる方向に沿って重複する部分を有するように互いに位置をずらして複数の励磁コイルを配置し、磁界を作用させる方向について、各励磁コイルの中心位置と各検出コイルの中心位置とを略同一にする構成に想到した。これにより、励磁コイルと各検出コイルとの位置関係が検出コイルに関わらず同等となるため、探傷信号にノイズが生じることを抑制し、きずの検出能の低下を抑制可能である。また、複数の励磁コイルを用いるとしても、重複する部分を有するように配置するため、装置が大型化しないという利点を維持可能である。
本発明は、上記の本発明者らの知見に基づき完成したものである。
すなわち、前記課題を解決するため、本発明は、被探傷材に対向配置され、該被探傷材を磁化する磁化手段と、前記被探傷材に対向配置され、前記磁化手段によって磁化された前記被探傷材から生じる漏洩磁束を検出する検出手段とを備え、前記磁化手段は、それぞれ前記被探傷材の表面に平行な第1方向に磁界を生成するように、それぞれ交流の第1励磁電流が通電される導線が巻回されると共に、前記第1方向に沿って重複する部分を有するように互いに位置がずれて配置された複数の第1励磁コイルを具備し、前記検出手段は、前記第1方向に沿って重複する部分を有するように互いに位置がずれて配置され、前記被探傷材の表面に垂直な方向の漏洩磁束を検出する前記第1励磁コイルと同数の複数の平面状の検出コイルからなり、前記複数の各検出コイルの前記第1方向についての中心位置が、前記複数の各第1励磁コイルの前記第1方向についての中心位置と略同一であることを特徴とする漏洩磁束探傷装置を提供する。
本発明に係る漏洩磁束探傷装置によれば、検出手段が複数の平面状の検出コイルであり、この複数の検出コイルが被探傷材の表面に平行な第1方向(磁化手段によって生成される磁界の方向)に沿って重複する部分を有するように互いに位置がずれて配置される。また、磁化手段も、複数(検出コイルと同数)の第1励磁コイルを具備し、この複数の第1励磁コイルが第1方向に沿って重複する部分を有するように互いに位置がずれて配置される。このため、装置を大型化することなく、不感帯を抑制可能である。
また、複数の各検出コイルの第1方向についての中心位置が、複数の各第1励磁コイルの第1方向についての中心位置と略同一であり、第1励磁コイルと各検出コイルの位置関係が検出コイルに関わらず同等となるため、探傷信号にノイズが生じることを抑制し、きずの検出能の低下を抑制可能である。
すなわち、本発明によれば、装置を大型化することなく、不感帯を抑制可能で、なお且つ、高いきず検出能を有する漏洩磁束探傷装置が提供される。
好ましくは、前記磁化手段は、前記第1方向及び前記検出コイルの漏洩磁束検出方向にそれぞれ直交する第2方向に磁界を生成するように、前記第1励磁電流と位相が90°ずれた交流の第2励磁電流が通電される導線が巻回された第2励磁コイルを更に具備する。
上記の好ましい構成によれば、各第1励磁コイルで生成された磁界と第2励磁コイルで生成された磁界の合成磁界が360°回転する回転磁界を被探傷材に作用させることになるため、全ての方向のきずを検出できることが期待できる。
ここで、各検出コイルは第1方向に沿って配置されているため、各検出コイルに対して共通する第2励磁コイルを用いたとしても、第2励磁コイルで生成される磁界の方向(第2方向)についての第2励磁コイルの中心と各検出コイルの中心との位置関係は、検出コイルに関わらず同等である。このため、きずの検出能が大きく低下することはない。しかしながら、共通する第2励磁コイルを用いた場合、第1方向についての第2励磁コイルの中心と各検出コイルの中心との位置関係は検出コイル毎に異なるため、各検出コイルに作用する第2励磁コイルの磁界(第2方向の磁界)の強さは検出コイル毎に若干異なることになる。このため、きずの検出能をより一層高めるには、第1方向についても、第2励磁コイルと各検出コイルとの位置関係が検出コイルに関わらず同等となることが好ましい。
すなわち、さらに好ましくは、前記磁化手段は、前記第1方向に沿って重複する部分を有するように互いに位置がずれて配置され、前記検出コイルと同数の複数の前記第2励磁コイルを具備し、前記複数の各第2励磁コイルの前記第1方向についての中心位置が、前記複数の各検出コイルの前記第1方向についての中心位置と略同一とされる。
上記の好ましい構成によれば、複数の各第2励磁コイルの第1方向についての中心位置が、複数の各検出コイルの第1方向についての中心位置と略同一であり、第2励磁コイルと各検出コイルの位置関係が第2方向のみならず第1方向についても検出コイルに関わらず同等となるため、より一層きずの検出能を高めることが可能である。
なお、磁化手段が第2励磁コイルを更に具備して回転磁界を被探傷材に作用させる好ましい構成において、探傷信号を励磁電流を参照信号として同期検波する際に同期検波の効果(探傷信号から高いS/N比できず信号を抽出する)を十分に得るには、特許文献1に記載のように、励磁電流として周波数の異なる交流電流を重畳した交流電流を用いることが好ましい。
すなわち、好ましくは、前記第1励磁電流及び前記第2励磁電流は、それぞれ第1交流電流と該第1交流電流よりも周波数の小さい第2交流電流とを重畳した交流電流とされる。
本発明に係る漏洩磁束探傷装置は、被探傷材が管である場合に好適に用いられる。
すなわち、好ましくは、前記被探傷材は管であり、前記第1方向が前記管の軸方向に沿い、前記第2方向が前記管の周方向に沿うように、前記磁化手段及び前記検出手段が配置される。
本発明によれば、装置を大型化することなく、不感帯を抑制可能で、なお且つ、高いきず検出能を有する漏洩磁束探傷装置を提供することが可能である。
図1は、従来の漏洩磁束探傷法を説明する説明図である。 図2は、検出コイルと周方向きずの相対位置の影響を説明する説明図である。 図3は、検出コイルの不感帯を抑制する従来の方法の一例を説明する説明図である。 図4は、検出コイルから出力される探傷信号にノイズが生じる理由を説明する説明図である。 図5は、本発明の第1実施形態に係る漏洩磁束探傷装置の概略構成を示す図である。 図6は、図5に示す第1励磁コイル12の形成方法を説明する図である。 図7は、本発明の第2実施形態に係る漏洩磁束探傷装置が具備する探傷プローブの概略構成を示す平面図である。 図8は、本発明の第3実施形態に係る漏洩磁束探傷装置が具備する探傷プローブ4Bの概略構成を示す図である。 図9は、本発明の第3実施形態に係る漏洩磁束探傷装置が具備する探傷プローブの変形例の概略構成を示す図である。 図10は、第1実施形態に係る漏洩磁束探傷装置を用いて、不感帯及びきず検出能を評価した結果の一例を示す図である。 図11は、第1実施形態に係る漏洩磁束探傷装置を用いて、不感帯及びきず検出能を評価した結果の他の例を示す図である。 図12は、第1実施形態に係る漏洩磁束探傷装置を用いて、不感帯及びきず検出能を評価した結果の他の例を示す図である。 図13は、第1実施形態に係る漏洩磁束探傷装置を用いて、不感帯及びきず検出能を評価した結果の他の例を示す図である。 図14は、第1実施形態に係る漏洩磁束探傷装置を用いて、不感帯及びきず検出能を評価した結果の他の例を示す図である。
<本発明者らの知見>
最初に、本発明を完成するに至るまでに得た本発明者らの知見について、具体的に説明する。
前述のように、本発明者らは、磁界を作用させる方向に沿って重複する部分を有するように互いに位置をずらして配置した複数の検出コイルに対して、磁化手段として、共通する励磁コイルを用いた場合には、探傷信号にノイズが生じ、きずの検出能が低下するおそれがあることを知見した。
図4は、探傷信号にノイズが生じる理由を説明する説明図である。図4(a)は、複数の検出コイルの配置状態と、被探傷材にきずが存在しない場合に励磁コイルが生成する磁束とを模式的に示す図である。図4(b)は、図4(a)に示す各検出コイルから出力される探傷信号を模式的に示す図である。図4(c)は、図4(b)に示す探傷信号を励磁電流を参照信号として同期検波した後の出力信号を模式的に示す図である。
図4(a)に示す3つの検出コイルA、B、Cは、X方向に沿って重複する部分を有するように互いに位置をずらして配置されている。すなわち、3つの検出コイルA、B、Cは、Z方向から見て重複する部分を有するように、X方向に沿って互いに位置をずらして配置されている。そして、3つの検出コイルA、B、Cに対して、図1(b)に示すX方向励磁コイルのように、X方向に磁界を作用させる共通の励磁コイルが用いられ、検出コイルBは、磁界を作用させるX方向について、共通の励磁コイルと中心位置が略一致しているとする。
上記の場合、検出コイルBについては、励磁コイルが生成する磁束のうち検出コイルBを通過する磁束の上向き成分と下向き成分とが同等となり相殺されるため、被探傷材にきずが存在しない場合、図4(b)に示すように、探傷信号の振幅はゼロとなる。一方、検出コイルA、Cについては、X方向についての中心位置が励磁コイルの中心位置とずれて配置されているため、図4(b)に示すように、被探傷材にきずが存在しない場合であっても、探傷信号の振幅はゼロにならない。検出コイルA、Cの探傷信号は逆位相となる。
図4(b)に示すような検出コイルA、B、Cの探傷信号を励磁コイルに通電する励磁電流を参照信号として同期検波した場合、図4(c)に示すように、検出コイルA、Cの探傷信号は同期検波後には直流バイアス信号となる。このため、通常はハイパスフィルタを通すことで、見かけ上の出力をゼロにすることが可能である。しかしながら、被探傷材に広範囲に亘る透磁率の変動部位が存在する場合、励磁コイル及び検出コイルと被探傷材との磁気結合が変化することで、被探傷材に入る磁束及び被探傷材から出てくる磁束の大きさが変化する。検出コイルBについては、磁束の大きさが変化しても前述の通り、磁束の上向き成分と下向き成分とが相殺されるため、探傷信号(同期検波後を含む)の振幅はゼロのままであるが、検出コイルA、Cについては、直流バイアス信号が変化するため、同期検波後の出力信号のベースラインを変動させ、ノイズが生じる原因となる。
つまり、被探傷材にきずが存在しない場合の各検出コイルを通過する磁束の非対称性が問題であるため、本発明者らは、この問題を解決するには、各検出コイルに対して対称な磁束を供給する励磁コイルを各検出コイル毎に設けることが有効であることに想到した。
以上に説明した知見に基づき、本発明者らは、本発明を完成するに至った。
以下、添付図面を適宜参照しつつ、本発明の実施形態について、被探傷材が管である場合を例に挙げて説明する。
<第1実施形態>
図5は、本発明の第1実施形態に係る漏洩磁束探傷装置の概略構成を示す図である。図5(a)は、装置全体の構成を示す正面図であり、図5(b)は、図5(a)に示す探傷プローブの拡大平面図であり、図5(c)は、図5(b)に示す各検出コイルの位置関係を説明する平面図である。
図5に示すように、第1実施形態に係る漏洩磁束探傷装置100は、管Pに対向配置され、管Pを磁化する磁化手段1と、管Pに対向配置され、磁化手段1によって磁化された管Pから生じる漏洩磁束を検出する検出手段2とを備えている。また、第1実施形態に係る漏洩磁束探傷装置100は、検出手段2から出力される探傷信号に信号処理を施す信号処理手段3を備えている。
本実施形態の磁化手段1は、直方体形状のボビン11と、管Pの軸方向(X方向)に磁界を生成するようにボビン11に導線が巻回されて形成された第1励磁コイル12と、第1励磁コイル12に第1励磁電流を供給する励磁電流供給手段13とを具備する。
第1励磁コイル12としては、X方向に沿って重複する部分を有するように互いに位置がずれて配置された複数(本実施形態では3つ)の第1励磁コイル12a、12b、12cが設けられている。第1励磁コイル12の数は、後述する検出手段2が具備する平面状の検出コイルの数と同数とされ、各第1励磁コイル12のX方向のずれ量は、各検出コイルのX方向のずれ量と略同一とされている。
各第1励磁コイル12のX方向のずれ量が各検出コイルのX方向のずれ量と略同一である(すなわち、各第1励磁コイル12のX方向についての中心位置が各検出コイルのX方向についての中心位置と略同一である)とは、各第1励磁コイル12のずれ量と各検出コイルのずれ量との差を完全にゼロにする必要は無く、所望するきずの検出能(S/N比)等が得られる精度でゼロに近づければよいことを意味する。
例えば、各第1励磁コイル12のX方向のずれ量と各検出コイルのX方向のずれ量との差を、各ずれ量の絶対値の平均値の±2%程度以内に抑制すれば、良好なS/N比が得られることが、これまでの本発明者らの実験からわかっている。しかしながら、ずれ量の差を±2%程度以内に抑制することは必須ではなく、被探傷材である管Pを探傷した際のS/N比が所望する数値以上(例えば、3以上)となるように、ずれ量の差を設定することも可能である。具体的には、各第1励磁コイル12のX方向のずれ量及び各検出コイルのX方向のずれ量の双方又は何れか一方を変化させながらS/N比を評価し、S/N比が最大となるずれ量を最適なずれ量として設定することも可能である。
励磁電流供給手段13は、第1励磁電流の電圧波形を生成する発信器や、発信器から出力された電圧波形を電流に変換するパワーアンプ等を具備し、パワーアンプから出力された第1励磁電流を第1励磁コイル12a、12b、12c毎に時分割で供給する。第1励磁電流を第1励磁コイル12a、12b、12c毎に時分割で供給するには、例えば、特開2009−69155号公報に記載のような公知の技術を適用可能であるため、ここではその詳細な説明を省略する。
本実施形態の検出手段2は、X方向に沿って重複する部分を有するように互いに位置がずれて配置され、X方向に直交する方向(管Pの表面に垂直な方向、Z方向)の漏洩磁束を検出する第1励磁コイル12と同数の複数(本実施形態では3つ)の平面状の検出コイル2a、2b、2cからなる。すなわち、3つの検出コイル2a、2b、2cは、Z方向から見て重複する部分を有するように、隣接する一方の検出コイル2(例えば、検出コイル2a)の重複部分が、他方の検出コイル2(例えば、検出コイル2b)の重複部分に対してZ方向に積層されるように配置されている。各検出コイル2は、例えば、ボビン11の底面(管Pに対向するZ方向の側面)に取り付けられる。各検出コイル2a、2b、2cは、Z方向の中心軸周りに、導線が1回又は複数回巻回されて形成されており、好ましくはプリントコイルが用いられる。検出コイルとしてプリントコイルを用いることにより、検出コイルの厚みは50μm程度に抑制できるため、各検出コイル2a、2b、2cと管Pとのリフトオフの差も50μm程度に抑制でき、各検出コイル2a、2b、2cの検出感度の差は問題とならない。
各検出コイル2のX方向のずれ量は、隣接する一方の検出コイル2の不感帯(検出コイル2の中心近傍であり、一般には探傷信号の最大振幅の−3dBよりも振幅が低下する領域)が他方の検出コイル2の不感帯と重複しないように決定すればよい。前述した図2(b)に示すような探傷信号のプロファイルは、検出コイル2の径や、管Pと検出コイル2とのリフトオフなどに応じて変化する。検出コイル2の径が大きいほど、また、リフトオフが大きいほど、探傷信号のプロファイルは緩やかになる(不感帯が大きくなる)ため、各検出コイル2のX方向のずれ量も大きく設定することになる。
図5(c)に示すように、本実施形態では、隣接する検出コイル2a、2bのX方向のずれ量と、隣接する検出コイル2b、2cのX方向のずれ量は、同じ値Lに設定されている。
前述のように、各第1励磁コイル12のX方向のずれ量は、各検出コイル2のX方向のずれ量と略同一とされている。これにより、各検出コイル2a、2b、2cのX方向についての中心位置は、各第1励磁コイル12a、12b、12cのX方向についての中心位置と略同一となっている。すなわち、検出コイル2aのX方向についての中心位置は、第1励磁コイル12aの中心位置と略同一であり、検出コイル2bのX方向についての中心位置は、第1励磁コイル12bの中心位置と略同一であり、検出コイル2cのX方向についての中心位置は、第1励磁コイル12cの中心位置と略同一である。
図6は、第1励磁コイル12の形成方法を説明する図である。第1励磁コイル12を形成する際には、まず図6(a)に示すように、各第1励磁コイル12a、12b、12cを形成するための3本の導線12a’、12b’、12c’を同時にボビン11に巻回する。その後、図6(b)に示すように、導線12a’のうち、検出コイル2aとX方向についての中心位置が一致する部分以外の部分(図6(b)の右側に示す部分)を巻き戻して、第1励磁コイル12aとする。同様に、導線12b’のうち、検出コイル2bとX方向についての中心位置が一致する部分以外の部分(図6(b)の左側及び右側に示す部分)を巻き戻して、第1励磁コイル12bとする。さらに、導線12c’のうち、検出コイル2cとX方向についての中心位置が一致する部分以外の部分(図6(b)の左側に示す部分)を巻き戻して、第1励磁コイル12cとする。これにより、X方向について、各検出コイル2a、2b、2cの中心位置とそれぞれ略同一の中心位置を有する各第1励磁コイル12a、12b、12cが形成される。
上記の手順のように、各第1励磁コイル12a〜12cの巻き始め及び巻き終り位置を調整することにより、X方向について、各検出コイル2a〜2cの中心位置と各第1励磁コイル12a〜12cの中心位置とが略同一となるように、各第1励磁コイル12a〜12cのX方向のずれ量を調整可能である。ここで、各導線12a’〜12c’をX方向に互いに隙間無く巻回する場合、各導線12a’〜12c’の線径をDとし、各導線12a’〜12c’の巻回数をNとすると、各導線12a’〜12c’を更に1回巻回する又は1回巻き戻すことにより、各第1励磁コイル12a〜12cのX方向についての中心位置は、D・N/2だけ移動することになる。各導線12a’〜12c’の線径Dが小さければ、1回の巻回又は巻き戻し当たりの各第1励磁コイル12a〜12cのX方向についての中心位置の移動量(移動量の分解能)は小さくなるため、前述した最適なずれ量を設定する上で十分小さな移動量の分解能が得られるように、各導線12a’〜12c’の線径Dを決定すればよい。
また、各導線12a’〜12c’を同時にX方向に互いに隙間無く巻回することで、各第1励磁コイル12a〜12cが形成された後にも、各導線12a’〜12c’のX方向の間隔を一定に保つことができる。したがい、各導線12a’〜12c’の位置を固定するための案内溝等をボビン11に加工する必要がなく、各第1励磁コイル12a〜12cの形状を同一にすることが可能である。なお、ボビン11に案内溝等が加工されていることにより、各第1励磁コイル12a〜12cの形状が一定に保たれる場合には、各導線12a’〜12c’を、同時ではなく個別に巻回することも可能である。
本実施形態の信号処理手段3は、検出手段2、すなわち、検出コイル2a、2b、2cから出力される探傷信号を第1励磁電流を参照信号として同期検波する。前述のように、第1励磁電流は、励磁電流供給手段13から第1励磁コイル12a、12b、12c毎に時分割で供給されるため、第1励磁コイル12aに第1励磁電流が供給されたタイミングでは、信号処理手段3は、検出コイル2aから出力される探傷信号を同期検波する。同様に、信号処理手段3は、第1励磁コイル12bに第1励磁電流が供給されたタイミングでは、検出コイル2bから出力される探傷信号を同期検波し、第1励磁コイル12cに第1励磁電流が供給されたタイミングでは、検出コイル2cから出力される探傷信号を同期検波する。このように、信号処理手段3は、励磁電流供給手段13からの第1励磁電流の供給タイミングに応じて、時分割で探傷信号の同期検波を実行するため、これを可能にするために励磁電流供給手段13からタイミング信号が入力されるように構成されている。
以上に説明した第1実施形態に係る漏洩磁束探傷装置100が備えるボビン11、第1励磁コイル12及び検出コイル2は、一体化されて探傷プローブ4を構成している。そして、管Pの全面を探傷するために、図5(a)に示すように、管Pが周方向(Y方向)に回転しながら、探傷プローブ4が管Pの軸方向(X方向)に直進する。或いは、管Pが軸方向に直進しながら、探傷プローブ4が管の周方向に回転する。これにより、管Pの全面をスパイラル状に探傷可能である。
第1実施形態に係る漏洩磁束探傷装置100によれば、検出手段2が複数の平面状の検出コイル2a、2b、2cであり、この複数の検出コイル2a、2b、2cがX方向(磁化手段1によって生成される磁界の方向)に沿って重複する部分を有するように互いに位置がずれて配置される。また、磁化手段1も、複数(検出コイルと同数)の第1励磁コイル12a、12b、12cを具備し、この複数の第1励磁コイル12a、12b、12cがX方向に沿って重複する部分を有するように互いに位置がずれて配置される。このため、漏洩磁束探傷装置100が大型化することなく、不感帯を抑制可能である。
また、複数の各検出コイル2a、2b、2cのX方向についての中心位置が、複数の各第1励磁コイル12a、12b、12cのX方向についての中心位置と略同一であり、第1励磁コイル12a、12b、12cと各検出コイル2a、2b、2cの位置関係が検出コイル2に関わらず同等となるため、探傷信号にノイズが生じることを抑制し、きずの検出能の低下を抑制可能である。
すなわち、第1実施形態に係る漏洩磁束探傷装置100は、大型化することなく、不感帯を抑制可能で、なお且つ、高いきず検出能を有するという利点を有する。
<第2実施形態>
第2実施形態に係る漏洩磁束探傷装置は、主として磁化手段の構成が第1実施形態と異なる。第2実施形態では、図5を参照して前述した第1実施形態に係る漏洩磁束探傷装置100が具備する探傷プローブ4が、以下に説明する探傷プローブ4Aに置き換わる。
以下、第2実施形態に係る漏洩磁束探傷装置について、主として第1実施形態と異なる点について説明し、同じ点については説明を省略する。
図7は、本発明の第2実施形態に係る漏洩磁束探傷装置が具備する探傷プローブ4Aの概略構成を示す平面図である。
図7に示すように、探傷プローブ4Aに設けられた磁化手段1Aは、第1実施形態と同様の第1励磁コイル12に加えて、第2励磁コイル14を更に具備する。
第2励磁コイル14は、管Pの軸方向(X方向)及び検出コイル2の漏洩磁束検出方向(Z方向)にそれぞれ直交する方向(Y方向)に磁界を生成するように、ボビン11に導線が巻回されて形成されている。より具体的には、第2励磁コイル14は、ボビン11に巻回された第1励磁コイル12の上から導線が巻回されて形成されている。
また、磁化手段1Aは、第1実施形態の磁化手段1と同様に、励磁電流供給手段(図示せず)を具備する。磁化手段1Aが具備する励磁電流供給手段は、第1実施形態と同様に、第1励磁電流を第1励磁コイル12a、12b、12c毎に時分割で供給すると共に、第1励磁電流と位相が90°ずれた交流の第2励磁電流を第2励磁コイル14に供給する。このため、磁化手段1Aが具備する励磁電流供給手段は、90°位相器を備えている。
さらに、第2実施形態に係る漏洩磁束探傷装置が備える信号処理手段(図示せず)は、第1実施形態の信号処理手段1と同様に、検出手段2から出力される探傷信号を第1励磁電流を参照信号として同期検波する一方、検出手段2から出力される探傷信号を第2励磁電流を参照信号として同期検波し、これら各同期検波後の信号を用いて、例えばリサージュ波形を表示するように構成される。
第2実施形態に係る漏洩磁束探傷装置によれば、各第1励磁コイル12a、12b、12cで生成された磁界と第2励磁コイル14で生成された磁界の合成磁界が360°回転する回転磁界を管Pに作用させることになるため、全ての方向のきずを検出できることが期待できる。
なお、以上に説明した第2実施形態に係る漏洩磁束探傷装置、及び後述の第3の実施形態に係る漏洩磁束探傷装置において、特許文献1と同様に、第1励磁電流及び第2励磁電流を、それぞれ第1交流電流と該第1交流電流よりも周波数の小さい第2交流電流とを重畳した交流電流にすることも可能である。
上記のように構成すれば、同期検波の効果(探傷信号から高いS/N比できず信号を抽出する)を十分に得ることが可能である。上記の構成の詳細については、特許文献1と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
<第3実施形態>
第3実施形態に係る漏洩磁束探傷装置は、主として磁化手段の構成が第1実施形態及び第2実施形態と異なる。第3実施形態では、図5を参照して前述した第1実施形態に係る漏洩磁束探傷装置100が具備する探傷プローブ4が、以下に説明する探傷プローブ4Bに置き換わる。
以下、第3実施形態に係る漏洩磁束探傷装置について、主として第1実施形態及び第2実施形態と異なる点について説明し、同じ点については説明を省略する。
図8は、本発明の第3実施形態に係る漏洩磁束探傷装置が具備する探傷プローブ4Bの概略構成を示す図である。図8(a)は、探傷プローブ4Bが具備するボビン11Bの概略構成を示す斜視図であり、図8(b)は探傷プローブ4Bの概略構成を示す平面図である。なお、図8(b)では、便宜上、第1励磁コイル及び検出コイルの図示を省略しているが、実際には、第1実施形態及び第2実施形態の第1励磁コイル2及び検出コイル2a、2b、2cと同様の第1励磁コイル及び検出コイルを具備している。
図8に示すように、第3実施形態のボビン11Bは、X方向の両端部が櫛歯状に形成されており、X方向について最も内側に位置する第1端部111と、最も外側に突出している第2端部112と、両者の中間に位置する第3端部113とが、Y方向に繰り返し設けられている。第1端部111と第3端部113とのX方向のずれ量は、隣接する検出コイル(図示せず)のX方向のずれ量と同じ値L(図5(c)参照)に設定されている。第2端部112と第3端部113とのX方向のずれ量についても同様である。ボビン11Bの一方の端部に第1端部111が設けられている場合、Y方向位置が同一の他方の端部には、第2端部112が設けられている。ボビン11Bの一方の端部に第3端部113が設けられている場合、Y方向位置が同一の他方の端部にも、第3端部113が設けられている。
第3実施形態の探傷プローブ4Bは、上記の構成を有するボビン11Bに、図8(b)に示すように3本の導線14a’、14b’、14c’が巻回されている。具体的には、導線14a’及び14c’は、第1端部111と第2端部112とに交互に巻回され、導線14b’は、第3端部113に巻回されている。これにより、X方向に沿って重複する部分を有するように互いに位置がずれて配置され、検出コイル2と同数の複数(本実施形態では3つ)の第2励磁コイル14a、14b、14cが形成されている。
前述のように、各第2励磁コイル14のX方向のずれ量は、各検出コイルのX方向のずれ量と略同一とされている。これにより、各励磁コイル14a、14b、14cのX方向についての中心位置は、各検出コイル2a、2b、2c(図5参照)のX方向についての中心位置と略同一となっている。すなわち、検出コイル2a(図5参照)のX方向についての中心位置は、第2励磁コイル14aの中心位置と略同一であり、検出コイル2b(図5参照)のX方向についての中心位置は、第2励磁コイル14bの中心位置と略同一であり、検出コイル2c(図5参照)のX方向についての中心位置は、第2励磁コイル14cの中心位置と略同一である。
なお、第2励磁コイル14は、先にボビン11Bに導線を巻回することで第1励磁コイル(図示せず)を形成しておき、形成した第1励磁コイルの上から導線14a’、14b’、14c’を巻回することで形成すればよい。
本実施形態に係る漏洩磁束探傷装置も第1実施形態及び第2実施形態と同様に、励磁電流供給手段(図示せず)を具備する。本実施形態の励磁電流供給手段は、第1励磁電流を第1励磁コイル12a、12b、12c(図5参照)毎に時分割で供給すると共に、第2励磁電流を第2励磁コイル14a、14b、14c毎に時分割で供給する。具体的には、第1励磁コイル12aに第1励磁電流を供給するタイミングで第2励磁コイル14aに第2励磁電流を供給し、第1励磁コイル12bに第1励磁電流を供給するタイミングで第2励磁コイル14bに第2励磁電流を供給し、第1励磁コイル12cに第1励磁電流を供給するタイミングで第2励磁コイル14cに第2励磁電流を供給する。
第3実施形態に係る漏洩磁束探傷装置によれば、各第2励磁コイル14a、14b、14cのX方向についての中心位置が、各検出コイル2a、2b、2c(図5参照)のX方向についての中心位置と略同一であり、第2励磁コイル14と各検出コイル2の位置関係がY方向のみならずX方向についても検出コイル2に関わらず同等となるため、より一層きずの検出能を高めることが可能である。
なお、X方向に沿って重複する部分を有するように互いに位置がずれて配置された第2励磁コイル14a、14b、14cを形成するには、図8に示すボビン11Bに何ら限られるものではなく、例えば、図9(a)に示すボビン11Cを用いることも可能である。すなわち、両端部に、X方向について最も内側に位置する第1端部111と、最も外側に突出している第2端部112と、両者の中間に位置する第3端部113とが設けられ、各端部に導線を巻回可能なボビンを用いさえすれば、図9(b)に示すように、第2励磁コイル14a、14b、14cを形成することが可能である。
<評価試験の結果>
以下、第1実施形態に係る漏洩磁束探傷装置を用いて、不感帯及びきず検出能を評価した結果の一例について説明する。
評価試験の条件は以下の通りである。
(1)第1励磁電流の周波数:200kHz
(2)被探傷材(管P):13%Cr鋼管、外径60.3mm、肉厚5.0mm
(3)管Pの回転周速:350mm/sec
(4)検出コイル2a、2b、2c:外径4.0mm、管軸方向ずれ量1.5mm
(5)第1励磁コイル:12a、12b、12c:巻幅6.0mm、管軸方向ずれ量1.5mm
(6)管Pの1回転毎の探傷ピッチ(探傷プローブ4の管軸方向移動量):0.25mm
(7)きず:周方向人工きず、周方向長さ25mm、軸方向長さ(幅)0.5mm、深さ0.3mm
図10〜図12は、上記評価試験の結果を示すグラフである。図10は、第1励磁コイル12aで磁化したときに、検出コイル2aから出力される同期検波後の探傷信号波形である。図11は、第1励磁コイル12bで磁化したときに、検出コイル2bから出力される同期検波後の探傷信号波形である。図12は、第1励磁コイル12cで磁化したときに、検出コイル2cから出力される同期検波後の探傷信号波形である。各図の上側の図は、管の軸方向150mmの範囲を探傷した場合に得られた探傷信号全体の波形を、下側の図は、きず信号近傍を拡大した波形である。
図10〜図12に示すように、管Pが1回転する毎に、探傷プローブ4の位置が管軸方向に0.25mmピッチずつずれながら、きず信号を得ている。各探傷信号の正負ピークの中間には、きず信号5回分、すなわち、0.25mm×5=1.25mmの不感帯が存在することが分かる。これに対して、各検出コイル2a、2b、2cの正負の最大振幅から−3dB以内となる高感度帯は、6回分、すなわち、0.25mm×5=1.5mmである。検出コイル2a、2b、2cは、管軸方向に1.5mmずれているため、検出コイル2aの不感帯は、隣接する検出コイル2bの高感度帯が補い、検出コイル2bの不感帯は、隣接する検出コイル2a、2cの高感度帯が補い、検出コイル2cの不感帯は、隣接する検出コイル2bの高感度帯が補っている。
これに対し、図13は、第1励磁コイル12aで磁化したときに、検出コイル2bから出力される同期検波後の探傷信号波形である。すなわち、図13に示す結果は、検出コイル2bの管軸方向についての中心位置が、第1励磁コイル12aの管軸方向についての中心位置と1.5mmずれている場合の探傷信号波形に相当する。
図13に示すように、きず信号の負のピークが正のピークの80%程度しかないため、負の信号を用いた際の高感度帯(正の最大振幅から−3dB以内となる領域)を満たす寸法が著しく低下する(0.25mm×2=0.5mm程度)。
また、図13に示すように、探傷信号のベースラインの変動も、図10〜図12に比べて大きくなる。
図14は、第1励磁コイル12aで磁化したときに、検出コイル2cから出力される同期検波後の探傷信号波形である。すなわち、図14に示す結果は、検出コイル2cの管軸方向についての中心位置が、第1励磁コイル12aの管軸方向についての中心位置と3.0mmずれている場合の探傷信号波形に相当する。
図14に示すように、図13に示す結果と同様の傾向がより一層拡大され、負のピークが殆ど確認されない状態である。
また、図14に示すように、探傷信号のベースラインの変動も、図10〜図12に比べて大きくなる。
上記のように、検出コイル2の管軸方向についての中心位置が、第1励磁コイル12の管軸方向についての中心位置と1.5mmや3.0mmずれている場合には、探傷信号波形の乱れにより、不感帯を補う効果が得られないし、ベースラインの変動も大きくなる。しかしながら、ずれ量を必ずしも完全にゼロにする必要は無く、実際には、所望するきず検出能や、所望する不感帯や高感度帯が得られる精度で、検出コイル2の管軸方向についての中心位置と第1励磁コイル12の管軸方向についての中心位置との差をゼロに近づければよい。すなわち、検出コイル2の管軸方向についての中心位置と、第1励磁コイル12の管軸方向についての中心位置とが、略同一になればよい。
1・・・磁化手段
2・・・検出手段
2a、2b、2c・・・検出コイル
3・・・信号処理手段
4・・・探傷プローブ
11・・・ボビン
12、12a、12b、12c・・・第1励磁コイル
100・・・漏洩磁束探傷装置
P・・・管(被探傷材)

Claims (5)

  1. 被探傷材に対向配置され、該被探傷材を磁化する磁化手段と、
    前記被探傷材に対向配置され、前記磁化手段によって磁化された前記被探傷材から生じる漏洩磁束を検出する検出手段とを備え、
    前記磁化手段は、それぞれ前記被探傷材の表面に平行な第1方向に磁界を生成するように、それぞれ交流の第1励磁電流が通電される導線が巻回されると共に、前記第1方向に沿って重複する部分を有するように互いに位置がずれて配置された複数の第1励磁コイルを具備し、
    前記検出手段は、前記第1方向に沿って重複する部分を有するように互いに位置がずれて配置され、前記被探傷材の表面に垂直な方向の漏洩磁束を検出する前記第1励磁コイルと同数の複数の平面状の検出コイルからなり、
    前記複数の各検出コイルの前記第1方向についての中心位置が、前記複数の各第1励磁コイルの前記第1方向についての中心位置と略同一であることを特徴とする漏洩磁束探傷装置。
  2. 前記磁化手段は、前記第1方向及び前記検出コイルの漏洩磁束検出方向にそれぞれ直交する第2方向に磁界を生成するように、前記第1励磁電流と位相が90°ずれた交流の第2励磁電流が通電される導線が巻回された第2励磁コイルを更に具備することを特徴とする請求項1に記載の漏洩磁束探傷装置。
  3. 前記磁化手段は、前記第1方向に沿って重複する部分を有するように互いに位置がずれて配置され、前記検出コイルと同数の複数の前記第2励磁コイルを具備し、
    前記複数の各第2励磁コイルの前記第1方向についての中心位置が、前記複数の各検出コイルの前記第1方向についての中心位置と略同一であることを特徴とする請求項2に記載の漏洩磁束探傷装置。
  4. 前記第1励磁電流及び前記第2励磁電流は、それぞれ第1交流電流と該第1交流電流よりも周波数の小さい第2交流電流とを重畳した交流電流であることを特徴とする請求項2又は3に記載の漏洩磁束探傷装置。
  5. 前記被探傷材は管であり、
    前記第1方向が前記管の軸方向に沿い、前記第2方向が前記管の周方向に沿うように、前記磁化手段及び前記検出手段が配置されていることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の漏洩磁束探傷装置。
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