JP2017123798A - 人工土壌培地 - Google Patents

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Shinkichi Ishizaka
信吉 石坂
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Abstract

【課題】栽培植物の種類に応じたイオンを供給することができる人工土壌培地を提供する。【解決手段】異なる3種類以上の人工土壌粒子50(50a,50b,50c)を含有する人工土壌培地100であって、人工土壌粒子50は、種類毎に植物の生育に必要な異なる陽イオンを担持可能であるとともに、粒径が1〜10mmであり、かさ比重が0.7g/cc以下であり、イオン交換容量が10meq/100cc以上であり、最大保水量が30cc/100cc以上であり、保水量が30cc/100ccであるときの気相率が20%以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、野菜や観葉植物等の育成培地として使用する人工土壌培地に関する。
人工土壌は、これまで屋内緑化や植物工場での野菜の栽培等に利用されてきたが、近年、人工土壌の用途が多様化し、例えば、人工土壌を使用して家庭のベランダや室内で手軽に野菜や果樹等の様々な植物が栽培されるようになってきている。
人工土壌の開発にあたっては、天然土壌と同等の植物育成力を達成しながら、保肥性を適切に維持、管理できる機能が求められる。特に、人工土壌培地に適切な量の肥料を吸収、保持させることは、植物の種類に応じた最適な栽培スケジュールを実現するために必要なことである。
植物の生長には、K+等の陽イオン、及びNO3 −等の陰イオンが必要であるが、植物の種類に応じて、必要とされるイオンの組み合わせや配合比は異なる。また、野菜や果樹の栽培においては、土壌中に含まれるイオンの組み合わせや配合比が、収穫される野菜や果物の味に影響する。例えば、塩化ナトリウム、すなわちNa+及びCl−を含有する土壌でトマトの苗を栽培することにより、より甘味の強いトマトの果実が得られることが知られている。
従来の人工土壌培地の例として、コンクリート破砕物からなる人工土壌用緑化資材が公開されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1は、破砕物の粒径と配合を変えることにより、育成する植物の種類に応じた人工土壌用緑化資材を調製するものである。特許文献1は、コンクリート破砕物の粒径が小さくなると、破砕物から溶出するアルカリ成分が多くなる点に着目した発明であり、一定範囲の粒径を持ったコンクリート破砕物を選択することにより、アルカリ性が抑制された人工土壌用の緑化資材としている。
特開2002−191230号公報
特許文献1の人工土壌培地においては、粒径や配合を調整することにより、人工土壌培地のpHを調節することはできるが、人工土壌培地の保肥性を調節している訳ではない。このため、実際に植物を栽培するにあたって、人工土壌培地のみで植物を生長させることは難しく、植物の種類に応じて必要とされるイオンを含む肥料等を追加する必要があった。このように、特許文献1を初めとする従来の人工土壌培地は、植物の生長段階に応じて肥料を追加したり、肥料の組み合わせやバランスを調節する手間が掛かる点で改善の余地があった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、栽培植物の種類に応じたイオンを供給することができる人工土壌培地を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明に係る人工土壌培地の特徴構成は、
異なる3種類以上の人工土壌粒子を含有する人工土壌培地であって、
前記人工土壌粒子は、種類毎に植物の生育に必要な異なる陽イオンを担持可能であるとともに、粒径が1〜10mmであり、
かさ比重が0.7g/cc以下であり、
イオン交換容量が10meq/100cc以上であり、
最大保水量が30cc/100cc以上であり、
保水量が30cc/100ccであるときの気相率は、20%以上であることにある。
本構成の人工土壌培地によれば、異なる3種類以上の人工土壌粒子を含有し、人工土壌粒子が種類毎に植物の生育に必要な異なる陽イオンを担持可能であるため、3種以上の陽イオンを人工土壌培地に含むことができる。3種以上の陽イオンとして適切なものを選択すれば、基本的な養分が含まれた人工土壌培地を構成することができる。また、人工土壌粒子の種類毎に異なる陽イオンが担持されるため、人工土壌粒子の組み合わせや配合比を変えることにより、人工土壌培地に含まれる陽イオンの組み合わせや配合比を変えることができる。これにより、栽培する植物に応じて、供給する陽イオンの種類及び供給量をコントロールすることができる。また、人工土壌粒子の粒径が1〜10mmであり、人工土壌培地のかさ比重が0.7g/cc以下であり、人工土壌培地の最大保水量が30cc/100cc以上であり、保水量が30cc/100ccであるときの人工土壌培地の気相率が20%以上であることから、人工土壌培地は、植物の生育に十分な保水性及び通気性を有する。さらに、人工土壌培地のイオン交換容量が10meq/100cc以上であるため、人工土壌粒子に担持された陽イオンは、人工土壌培地に保持された水分を介して、植物から放出された根酸中の水素イオン等と交換され、人工土壌粒子の外部へと放出される。このように、本構成の人工土壌培地は、優れた保水性及び通気性を実現しながら、植物の種類や生長段階に応じて、肥料成分である陽イオンを栽培植物に供給することができる。
本発明に係る人工土壌培地において、
前記陽イオンが、K+、Mg2+、Ca2+、及びNH4 +からなる群から選択される少なくとも3種を含むことが好ましい。
本構成の人工土壌培地によれば、陽イオンが、K+、Mg2+、Ca2+、及びNH4 +からなる群から選択される少なくとも3種を含むため、植物の生長に不可欠なこれらの代表的な陽イオンが供給され、栽培植物の生長を促すことができる。
本発明に係る人工土壌培地において、
前記陽イオンが、Mo2+、Mn2+、Fe3+、Cu2+、及びZn2+からなる群から選択される少なくとも1種をさらに含むことが好ましい。
本構成の人工土壌培地によれば、植物の生長に不可欠な代表的な陽イオンに加えて、さらに微量成分が担持されるため、これらの微量成分が栽培植物の生長に好ましい影響を与えることができる。
本発明に係る人工土壌培地において、
前記人工土壌粒子に担持されるCa2+及び/又はMg2+の合計モル数は、前記人工土壌粒子に担持されるK+及び/又はNH4 +の合計モル数の5倍以下であることが好ましい。
本構成の人工土壌培地によれば、人工土壌粒子に担持される植物の生長に不可欠な代表的な陽イオンの配合比が適切な範囲に設定されるため、栽培植物の生長をさらに促すことができる。
本発明に係る人工土壌培地において、
酸を添加したとき、前記陽イオンが100ccあたり4mmol以上抽出されることが好ましい。
本構成の人工土壌培地によれば、酸を添加したとき、陽イオンが100ccあたり4mmol以上抽出されるため、栽培植物からの根酸の放出に応じて、陽イオンが放出される。従って、栽培植物の生長段階に応じて、栽培植物に陽イオンを適量供給することができる。
上記課題を解決するための本発明に係る人工土壌培地の特徴構成は、
異なる2種類以上の人工土壌粒子を含有する人工土壌培地であって、
前記人工土壌粒子は、種類毎に植物の生育に必要な異なる陰イオンを担持可能であるとともに、粒径が1〜10mmであり、
かさ比重が0.7g/cc以下であり、
イオン交換容量が10meq/100cc以上であり、
最大保水量が30cc/100cc以上であり、
保水量が30cc/100ccであるときの気相率は、20%以上であることにある。
本構成の人工土壌培地によれば、異なる2種類以上の人工土壌粒子を含有し、人工土壌粒子が種類毎に植物の生育に必要な異なる陰イオンを担持可能であるため、2種以上の陰イオンを人工土壌培地に含むことができる。2種以上の陰イオンとして適切なものを選択すれば、基本的な養分が含まれた人工土壌培地を構成することができる。また、人工土壌粒子の種類毎に異なる陰イオンが担持されるため、人工土壌粒子の組み合わせや配合比を変えることにより、人工土壌培地に含まれる陰イオンの組み合わせや配合比を変えることができる。これにより、栽培する植物に応じて、供給する陰イオンの種類及び供給量をコントロールすることができる。また、人工土壌粒子の粒径が1〜10mmであり、人工土壌培地のかさ比重が0.7g/cc以下であり、人工土壌培地の最大保水量が30cc/100cc以上であり、保水量が30cc/100ccであるときの人工土壌培地の気相率が20%以上であることから、人工土壌培地は、植物の生育に十分な保水性及び通気性を有する。さらに、人工土壌培地のイオン交換容量が10meq/100cc以上であるため、人工土壌粒子に担持された陰イオンは、人工土壌培地に保持された水分を介して、植物から放出された根酸中の陰イオンや根から分泌される水酸化物イオン等と交換され、人工土壌粒子の外部へと放出される。このように、本構成の人工土壌培地は、優れた保水性及び通気性を実現しながら、植物の種類や生長段階に応じて、肥料成分である陰イオンを栽培植物に供給することができる。
本発明に係る人工土壌培地において、
前記陰イオンが、NO3 −、PO4 3−、及びSO4 2−からなる群から選択される少なくとも2種を含むことが好ましい。
本構成の人工土壌培地によれば、陰イオンが、NO3 −、PO4 3−、及びSO4 2−からなる群から選択される少なくとも2種を含むため、植物の生長に不可欠なこれらの代表的な陰イオンが供給され、栽培植物の生長を促すことができる。
本発明に係る人工土壌培地において、
前記陰イオンが、Cl−をさらに含むことが好ましい。
本構成の人工土壌培地によれば、植物の生長に不可欠な代表的な陰イオンに加えて、Cl−がさらに担持されるため、Cl−が栽培植物の生長に好ましい影響を与えることができる。
本発明に係る人工土壌培地において、
前記人工土壌粒子に担持されるSO4 2−のモル数は、前記人工土壌粒子に担持されるNO3 −及び/又はPO4 3−の合計モル数の1/2倍以下であることが好ましい。
本構成の人工土壌培地によれば、人工土壌粒子に担持される植物の生長に不可欠な代表的な陰イオンの配合比が適切な範囲に設定されるため、栽培植物の生長をさらに促すことができる。
本発明に係る人工土壌培地において、
酸を添加したとき、前記陰イオンが100ccあたり2mmol以上抽出されることが好ましい。
本構成の人工土壌培地によれば、酸を添加したとき、陰イオンが100ccあたり2mmol以上抽出されるため、栽培植物からの根酸の放出に応じて、陰イオンが放出される。従って、栽培植物の生長段階に応じて、栽培植物に陰イオンを適量供給することができる。
上記課題を解決するための本発明に係る人工土壌培地の特徴構成は、
異なる5種類以上の人工土壌粒子を含有する人工土壌培地であって、
前記人工土壌粒子は、種類毎に植物の生育に必要な異なるイオンを担持可能であるとともに、粒径が1〜10mmであり、前記イオンは、3種以上の陽イオンと、2種以上の陰イオンとを含み、
かさ比重が0.7g/cc以下であり、
イオン交換容量が10meq/100cc以上であり、
最大保水量が30cc/100cc以上であり、
保水量が30cc/100ccであるときの気相率は、20%以上であることにある。
本構成の人工土壌培地によれば、異なる5種類以上の人工土壌粒子を含有し、人工土壌粒子が種類毎に植物の生育に必要な異なるイオンを担持可能であり、当該イオンが3種以上の陽イオンと、2種以上の陰イオンとを含むため、3種以上の陽イオン及び2種以上の陰イオンを人工土壌培地に含むことができる。3種以上の陽イオン及び2種以上の陰イオンとして適切なものを選択すれば、基本的な養分が含まれた人工土壌培地を構成することができる。また、人工土壌粒子の種類毎に異なる陽イオン又は陰イオンが担持されるため、人工土壌粒子の組み合わせや配合比を変えることにより、人工土壌培地に含まれる陽イオン及び陰イオンの組み合わせや配合比を変えることができる。これにより、栽培する植物に応じて、供給するイオンの種類及び供給量をコントロールすることができる。また、人工土壌粒子の粒径が1〜10mmであり、人工土壌培地のかさ比重が0.7g/cc以下であり、人工土壌培地の最大保水量が30cc/100cc以上であり、保水量が30cc/100ccであるときの人工土壌培地の気相率が20%以上であることから、人工土壌培地は、植物の生育に十分な保水性及び通気性を有する。さらに、人工土壌培地のイオン交換容量が10meq/100cc以上であるため、人工土壌粒子に担持された陽イオン又は陰イオンは、人工土壌培地に保持された水分を介して、植物から放出された根酸中の水素イオン若しくは陰イオン又は根から分泌される水酸化物イオン等と交換され、人工土壌粒子の外部へと放出される。このように、本構成の人工土壌培地は、優れた保水性及び通気性を実現しながら、植物の種類や生長段階に応じて、肥料成分である陽イオン及び陰イオンを栽培植物に供給することができる。
本発明に係る人工土壌培地において、
前記陽イオンが、K+、Mg2+、Ca2+、及びNH4 +からなる群から選択され、前記陰イオンが、NO3 −、PO4 3−、及びSO4 2−からなる群から選択されることが好ましい。
本構成の人工土壌培地によれば、陽イオンが、K+、Mg2+、Ca2+、及びNH4 +からなる群から選択され、陰イオンが、NO3 −、PO4 3−、及びSO4 2−からなる群から選択されるため、植物の生長に不可欠なこれらの代表的な陽イオン及び陰イオンが供給され、栽培植物の生長を促すことができる。
本発明に係る人工土壌培地において、
前記人工土壌粒子に担持されるCa2+及び/又はMg2+及び/又はSO4 2−の合計モル数は、前記人工土壌粒子に担持されるK+並びにPO4 3−並びにNH4 +及び/又はNO3 −の合計モル数の2/3倍以下であることが好ましい。
本構成の人工土壌培地によれば、人工土壌粒子に担持される植物の生長に不可欠な代表的な陽イオン及び陰イオンの配合比が適切な範囲に設定されるため、栽培植物の生長をさらに促すことができる。
図1は、第1実施形態に係る人工土壌培地の模式図である。 図2は、第2実施形態に係る人工土壌培地の模式図である。 図3は、第3実施形態に係る人工土壌培地の模式図である。 図4は、人工土壌培地を構成する人工土壌粒子の模式図である。
以下、本発明に係る人工土壌培地に関する実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることを意図しない。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る人工土壌培地100を概念的に示した説明図である。図1(a)は、複数の人工土壌粒子50を含有する人工土壌培地100の模式図である。図1(b)は、図1(a)の人工土壌培地100において、破線円で囲ってある領域A1の拡大図である。図1(a)に示すように、人工土壌培地100は、複数の人工土壌粒子50から構成されており、隣接する人工土壌粒子50の間に一定の隙間Sを有している。この隙間Sを、主に、空気及び水が通過可能であるため、人工土壌培地100で栽培される栽培植物30は、隙間Sを利用して生育に必要な酸素や水分を摂取することができる。
人工土壌培地100は、異なる3種類以上の人工土壌粒子50を含有する。図1(b)は、第1人工土壌粒子50a、第2人工土壌粒子50b、及び第3人工土壌粒子50cの3種類を含有する人工土壌培地100を例示したものである。これら3種類の人工土壌粒子50(50a、50b、50c)には、夫々の種類毎に植物の生育に必要な異なる陽イオンが担持可能である。なお、人工土壌培地100は、図1(b)に例示した人工土壌粒子50(50a、50b、50c)以外に、他の種類の人工土壌粒子や、抗菌剤、防カビ剤等の追加成分を含むものであってもよい。
本実施形態の人工土壌培地100において、各人工土壌粒子50(50a、50b、50c)に陽イオンを担持させるため、後述のイオン交換体が用いられる。第1人工土壌粒子50aは第1陽イオン交換体11を、第2人工土壌粒子50bは第2陽イオン交換体12を、第3人工土壌粒子50cは第3陽イオン交換体13を夫々有する。第1陽イオン交換体11、第2陽イオン交換体12、及び第3陽イオン交換体13は、夫々の陽イオン交換体毎に異なる陽イオンを担持可能なものが選択される。陽イオン交換体の種類としては、植物の生育に必要なイオンを取り込み可能なイオン交換性鉱物が好ましい。イオン交換性鉱物については、後に詳述する。3種類の人工土壌粒子50(50a、50b、50c)を含む人工土壌培地100は、植物の生育に必要な陽イオンを3種含むものとなる。従って、3種の陽イオンとして適切なものを選択すれば、基本的な養分が含まれた人工土壌培地100を構成することができる。
人工土壌培地100は、人工土壌粒子50(50a、50b、50c)毎に異なる陽イオンが担持されるため、人工土壌粒子50の組み合わせや配合比を変えることにより、人工土壌培地100に含まれる陽イオンの組み合わせや配合比を調整することができる。このような人工土壌培地100を用いれば、栽培植物30の種類や生長に応じて、陽イオンの種類(すなわち、肥料の種類)、及び陽イオンの供給量(すなわち、施肥量)をコントロールすることができる。
人工土壌培地100は、かさ比重が0.7g/cc以下に設定され、好ましくは0.6g/cc以下に設定される。これにより、人工土壌培地100は植物の生育に適切な保水性及び通気性を有し、陽イオンの移動も容易なものとなる。かさ比重が0.7g/ccを超えると、人工土壌粒子に保持できる水分が少なくなるとともに、少量の水分が強い力で人工土壌粒子に吸着するため、植物が利用可能な易効水の量が減少する。
栽培植物30に十分に養分を供給するために、人工土壌培地100は、イオン交換容量が10meq/100cc以上、好ましくは12meq/100cc以上に設定される。これにより、人工土壌培地100は、陽イオンを十分に含むことが可能となり、栽培植物30の生育に必要な保肥性を有するものとなる。イオン交換容量が10meq/100cc未満であると、人工土壌粒子50に十分に陽イオンが取り込まれず、取り込まれた陽イオンも灌水等により早期に流出してしまう虞がある。また、人工土壌培地100は、栽培植物30に十分に水分を供給するため、最大保水量が30cc/100cc以上、好ましくは35cc/100cc以上に設定される。これにより、人工土壌培地100は、栽培植物30の生育に必要な保水性を有するものとなる。最大保水量が30cc/100cc未満であると、栽培植物30に十分に水分を供給することができないため、栽培植物30が枯れてしまう虞がある。イオン交換容量及び最大保水量が上記のとおり設定された人工土壌培地100は、培地内に保持された水分を介して、人工土壌粒子50に担持された陽イオンが、栽培植物30から放出された根酸中の水素イオン等と交換され、人工土壌粒子50の外部へと放出される。よって、人工土壌培地100は、優れた保水性及び通気性を実現しながら、肥料成分である陽イオンを栽培植物30に供給し、栽培植物30の生長を促すことができる。
さらに、人工土壌培地100は、保水量が30cc/100ccであるときの気相率が20%以上に設定され、好ましくは25%以上に設定される。これにより、人工土壌培地100中の通気性が確保され、人工土壌粒子50の間の隙間Sに取り込まれた酸素が、栽培植物30に供給される。保水量が30cc/100ccであるときの気相率が20%未満であると、栽培植物30に十分な酸素を供給することができず、栽培植物30が枯れてしまう虞がある。
各人工土壌粒子50(50a、50b、50c)に担持される陽イオンは、K+、Mg2+、Ca2+、及びNH4 +からなる群から選択される少なくとも3種を含むことができる。すなわち、人工土壌培地100は、少なくともK+、Mg2+、Ca2+、及びNH4 +のうちの何れか3種を含む。このため、人工土壌培地100から植物の生長に不可欠なこれらの代表的な陽イオンが栽培植物30に供給され、栽培植物30の生長を促すことができる。
人工土壌粒子50に担持される陽イオンは、Mo2+、Mn2+、Fe3+、Cu2+、及びZn2+からなる群から選択される少なくとも1種をさらに含むものであってもよい。この場合、人工土壌培地100は、上述の植物の生長に不可欠な代表的な陽イオンに加えて、微量成分をさらに含むことになるため、これらの微量成分が栽培中に放出されると、栽培植物30の生長に好ましい影響を与えることができる。
人工土壌粒子50に担持されるCa2+及び/又はMg2+の合計モル数は、人工土壌粒子50に担持されるK+及び/又はNH4 +の合計モル数の5倍以下、好ましくは4倍以下に設定される。これにより、人工土壌培地100に含まれる植物の生長に不可欠な代表的な陽イオンの配合比が適切な範囲に設定され、栽培植物30の生長をさらに促すことができる。上記陽イオンの配合比が5倍を超えると、栽培植物30がMg2+を過剰に吸収する一方で、拮抗作用によりK+の吸収が抑制されるため、同様に、養分のバランスが悪くなり、栄養過多又は栄養不足となって、栽培植物30の生長が阻害される虞がある。なお、上記陽イオンの配合比の下限値については、K+の過剰な吸収を防止する観点から、1/20倍以上とすることが好ましい。
人工土壌培地100は、酸を添加したときの陽イオンの抽出量が100ccあたり4mmol以上、好ましくは5mmol以上に設定される。これにより、栽培植物30からの根酸の放出に応じて、人工土壌粒子50に担持された陽イオンが適量放出される。従って、栽培植物30の生長段階に応じて、栽培植物30に陽イオンを適量供給することができる。陽イオンの抽出量が100ccあたり4mmol未満であると、栽培植物30に供給される陽イオンの量が足りないため、栄養不足となって、栽培植物30の生長が阻害される虞がある。
〔第2実施形態〕
図2は、本発明の第2実施形態に係る人工土壌培地101を概念的に示した説明図である。図2(a)は、複数の人工土壌粒子51を含有する人工土壌培地101の模式図である。図2(b)は、図2(a)の人工土壌培地101において、破線円で囲ってある領域A2の拡大図である。図2(a)に示すように、人工土壌培地101は、複数の人工土壌粒子51から構成されており、隣接する人工土壌粒子51の間に一定の隙間Sを有している。この隙間Sを、主に、空気及び水が通過可能であるため、人工土壌培地101で栽培される栽培植物30は、隙間Sを利用して生育に必要な酸素や水分を摂取することができる。
人工土壌培地101は、異なる2種類以上の人工土壌粒子51を含有する。図2(b)は、第4人工土壌粒子51a、及び第5人工土壌粒子51bの2種類を含有する人工土壌培地101を例示したものである。これら2種類の人工土壌粒子51(51a、51b)には、夫々の種類毎に植物の生育に必要な異なる陰イオンが担持可能である。なお、人工土壌培地101は、図2(b)に例示した人工土壌粒子51(51a、51b)以外に、他の種類の人工土壌粒子や、抗菌剤、防カビ剤等の追加成分を含むものであってもよい。
本実施形態の人工土壌培地101において、第4人工土壌粒子51aは第1陰イオン交換体21を、第5人工土壌粒子51bは第2陰イオン交換体22を夫々有する。第1陰イオン交換体21、及び第2陰イオン交換体22は、夫々の陰イオン交換体毎に異なる陰イオンを担持可能なものが選択される。陰イオン交換体の種類としては、陰イオン交換鉱物が好ましい。2種類の人工土壌粒子51(51a、50b)を含む人工土壌培地101は、植物の生育に必要な陰イオンを2種含むものとなる。従って、2種の陰イオンとして適切なものを選択すれば、基本的な養分が含まれた人工土壌培地101を構成することができる。
人工土壌培地101は、人工土壌粒子51(51a、51b)毎に異なる陰イオンが担持されるため、人工土壌粒子51の組み合わせや配合比を変えることにより、人工土壌培地101に含まれる陰イオンの組み合わせや配合比を調整することができる。このような人工土壌培地101を用いれば、栽培植物30の種類や生長に応じて、陰イオンの種類(すなわち、肥料の種類)、及び陰イオンの供給量(すなわち、施肥量)をコントロールすることができる。
人工土壌培地101のかさ比重、イオン交換容量、最大保水量、及び気相率は、第1実施形態の人工土壌培地100と同様の範囲に設定することができる。すなわち、かさ比重は、0.7g/cc以下に設定され、好ましくは0.6g/cc以下に設定される。これにより、人工土壌培地101は植物の生育に適切な保水性及び通気性を有し、陰イオンの移動も容易なものとなる。イオン交換容量は、10meq/100cc以上、好ましくは12meq/100cc以上に設定される。これにより、人工土壌培地101は、陰イオンを十分に含むことが可能となり、栽培植物30の生育に必要な保肥性を有するものとなる。最大保水量は、30cc/100cc以上、好ましくは35cc/100cc以上に設定される。これにより、人工土壌培地101は、栽培植物30の生育に必要な保水性を有するものとなる。気相率は、保水量が30cc/100ccであるときの気相率として20%以上に設定され、好ましくは25%以上に設定される。これにより、人工土壌培地101中の通気性が確保され、人工土壌粒子51の間の隙間Sに取り込まれた酸素が、栽培植物30に供給される。上記のとおり設定された人工土壌培地101は、培地内に保持された水分を介して、人工土壌粒子51に担持された陰イオンが、栽培植物30から放出された根酸中の陰イオンや根から分泌される水酸化物イオン等と交換され、人工土壌粒子51の外部へと放出される。このように、人工土壌培地101は、優れた保水性及び通気性を実現しながら、肥料成分である陰イオンを栽培植物30に供給し、栽培植物30の生長を促すことができる。
各人工土壌粒子51(51a、51b)に担持される陰イオンは、NO3 −、PO4 3−、及びSO4 2−からなる群から選択される少なくとも2種を含むことができる。すなわち、人工土壌培地101は、少なくともNO3 −、PO4 3−、及びSO4 2−のうちの何れか2種を含む。このため、人工土壌培地101から植物の生長に不可欠なこれらの代表的な陰イオンが栽培植物30に供給され、栽培植物30の生長を促すことができる。
人工土壌粒子51に担持される陰イオンは、Cl−をさらに含むものであってもよい。この場合、人工土壌培地101は、上述の植物の生長に不可欠な代表的な陰イオンに加えて、Cl−をさらに含むことになるため、Cl−が栽培中に放出されると、栽培植物30の生長に好ましい影響を与えることができる。
人工土壌粒子51に担持されるSO4 2−のモル数は、人工土壌粒子に担持されるNO3 −及び/又はPO4 3−の合計モル数の1/2倍以下、好ましくは1/3倍以下に設定される。これにより、人工土壌培地101に含まれる植物の生長に不可欠な代表的な陰イオンの配合比が適切な範囲に設定され、栽培植物30の生長をさらに促すことができる。上記陰イオンの配合比が1/2倍を超えると、栽培植物30に供給される陰イオンのバランスが悪くなり、栄養過多又は栄養不足となって、栽培植物30の生長が阻害される虞がある。
人工土壌培地101は、酸を添加したときの陰イオンの抽出量が100ccあたり2mmol以上、好ましくは3mmol以上に設定される。これにより、栽培植物30からの根酸の放出に応じて、人工土壌粒子51に担持された陰イオンが適量放出される。従って、栽培植物30の成長段階に応じて、栽培植物30に陰イオンを適量供給することができる。陰イオンの抽出量が100ccあたり2mmol未満であると、栽培植物30に供給される陰イオンの量が足りないため、栄養不足となって、栽培植物30の生長が阻害される虞がある。
〔第3実施形態〕
図3は、本発明の第3実施形態に係る人工土壌培地102を概念的に示した説明図である。図3(a)は、複数の人工土壌粒子50、51を含有する人工土壌培地102の模式図である。図3(b)は、図3(a)の人工土壌培地102において、破線円で囲ってある領域A3の拡大図である。図3(a)に示すように、人工土壌培地102は、複数の人工土壌粒子50及び人工土壌粒子51から構成されており、隣接する人工土壌粒子50及び/又は人工土壌粒子51の間に一定の隙間Sを有している。この隙間Sを、主に、空気及び水が通過可能であるため、人工土壌培地102で栽培される栽培植物30は、隙間Sを利用して生育に必要な酸素や水分を摂取することができる。
人工土壌培地102は、異なる3種類以上の人工土壌粒子50と、異なる2種類以上の人工土壌粒子51とを含有する。図3(b)は、第1人工土壌粒子50a、第2人工土壌粒子50b、第3人工土壌粒子50c、第4人工土壌粒子51a、及び第5人工土壌粒子51bの5種類を含有する人工土壌培地102を例示したものである。ここで、人工土壌粒子50(50a、50b、50c)は、第1実施形態の人工土壌培地100を構成する人工土壌粒子50が使用される。人工土壌粒子51(51a、51b)は、第2実施形態の人工土壌培地101を構成する人工土壌粒子51が使用される。そのため、人工土壌粒子50及び人工土壌粒子51に関する詳細な説明は省略する。
人工土壌培地102のかさ比重、イオン交換容量、最大保水量、及び気相率は、第1実施形態の人工土壌培地100、及び第二実施形態の人工土壌培地101と同様の範囲に設定することができる。すなわち、かさ比重は、0.7g/cc以下に設定され、好ましくは0.6g/cc以下に設定される。これにより、人工土壌培地102は植物の生育に適切な保水性及び通気性を有し、陽イオン及び陰イオンの移動も容易なものとなる。イオン交換容量は、10meq/100cc以上、好ましくは12meq/100cc以上に設定される。これにより、人工土壌培地102は、陽イオン及び陰イオンを十分に含むことが可能となり、栽培植物30の生育に必要な保肥性を有するものとなる。最大保水量は、30cc/100cc以上、好ましくは35c/100cc以上に設定される。これにより、人工土壌培地102は、栽培植物30の生育に必要な保水性を有するものとなる。気相率は、保水量が30cc/100ccであるときの気相率として20%以上に設定され、好ましくは25%以上に設定される。これにより、人工土壌培地102中の通気性が確保され、人工土壌粒子50及び/又は51の間の隙間Sに取り込まれた酸素が、栽培植物30に供給される。上記のとおり設定された人工土壌培地102は、培地内に保持された水分を介して、人工土壌粒子50に担持された陽イオン又は人工土壌粒子51に担持された陰イオンが、栽培植物30から放出された根酸中の水素イオン若しくは陰イオン又は根から分泌される水酸化物イオン等と交換され、人工土壌粒子50、51の外部へと放出される。このように、人工土壌培地102は、優れた保水性及び通気性を実現しながら、肥料成分である陽イオン及び陰イオンを栽培植物30に供給し、栽培植物30の生長を促すことができる。
人工土壌粒子50及び人工土壌粒子51に担持されるCa2+及び/又はMg2+及び/又はSO4 2−の合計モル数は、人工土壌粒子50及び人工土壌粒子51に担持されるK+並びにPO4 3−並びにNH4 +及び/又はNO3 −の合計モル数の2/3倍以下、好ましくは1/2倍以下に設定される。これにより、人工土壌培地102に含まれる植物の生長に不可欠な代表的な陽イオン及び陰イオンの配合比が適切な範囲に設定され、栽培植物30の生長をさらに促すことができる。上記陽イオン及び陰イオンの配合比が2/3倍を超えると、栽培植物30に供給される陽イオン及び陰イオンのバランスが悪くなり、栄養過多又は栄養不足となって、栽培植物30の生長が阻害される虞がある。
〔人工土壌粒子の構成〕
人工土壌培地100に使用する人工土壌粒子50、及び人工土壌培地101に使用する人工土壌粒子51について、以下、図4を参照しながら説明する。人工土壌粒子50(50a、50b、50c)及び人工土壌粒子51(51a、51b)は、夫々陽イオン交換体及び陰イオン交換体の種類が異なるが、それ以外の構成は実質的に同一である。従って、これらの人工土壌粒子50、51を代表して、第1人工土壌粒子50a及び第4人工土壌粒子51aの構成について説明する。
図4は、人工土壌培地を構成する人工土壌粒子の模式図である。図4(a)は、第一人工土壌粒子50aを表し、図4(b)は、第4人工土壌粒子51aを表している。
図4(a)に示すように、第1人工土壌粒子50aは、複数の第1陽イオン交換体11をバインダーで結合し、造粒したものである。第1陽イオン交換体11の間には空隙42が存在する。空隙42には、水分及び養分等を保持することができる。空隙42は、隣接する空隙42どうしが連続して粒子の内部から外部へと通じる連通孔を形成している。一方、第1陽イオン交換体11は、陽イオンを取り込み可能な細孔43を有する。細孔43は、空隙42(連通孔)を介して外部へと通じている。従って、第1人工土壌粒子50aは、外部に存在する水分や養分を粒子内に取り込むとともに、粒子内に取り込まれた水分や養分を外部に放出することができる。例えば、第1陽イオン交換体11がNH4 +とイオン交換可能な材料である場合、NH4 +は連通孔を介して第1人工土壌粒子50aの内部へ入り込み、第1陽イオン交換体11の細孔43に取り込まれる。このようにして、NH4 +は、第1人工土壌粒子50aに担持される。
第1人工土壌粒子50aに含まれる第1陽イオン交換体11は、第1人工土壌粒子50aの内部に陽イオンを担持できるように、陽イオン交換能を有する材料又は陽イオン交換能が付与された材料が用いられる。陽イオン交換能を有する材料として、陽イオン交換能を有する鉱物、及び陽イオン交換樹脂を使用することができる。陽イオン交換能を有する鉱物として、例えば、モンモリロナイト、ベントナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト等のスメクタイト系鉱物、雲母系鉱物、バーミキュライト、ゼオライト等が挙げられる。陽イオン交換樹脂は、例えば、弱酸性陽イオン交換樹脂、強酸性陽イオン交換樹脂が挙げられる。これらのうち、ゼオライトが好ましい。陽イオン交換性鉱物及び陽イオン交換樹脂は、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。
なお、第1人工土壌粒子50aは、陽イオン交換能を有する材料の他に、フィラーとして珪藻土を含有することも可能である。例えば、珪藻土とゼオライトとを適切な配合比で混合したものを造粒すれば、比較的安価でありながら、保水性及び保肥性の両方を兼ね備えた第1人工土壌粒子50aを設計することができる。また、イオン交換能を有さない多孔質材料(例えば、高分子発泡体、ガラス発泡体等)を別に用意し、当該多孔質材料の細孔に上記の陽イオン交換能を有する材料を圧入や含浸等によって導入し、これを使用することも可能である。
図4(b)に示すように、第4人工土壌粒子51aは、複数の第1陰イオン交換体21をバインダーで結合し、造粒したものである。第1陰イオン交換体21の間には空隙44が存在する。空隙44には、水分及び養分等を保持することができる。空隙44は、隣接する空隙44どうしが連続して粒子の内部から外部へと通じる連通孔を形成している。一方、第1陰イオン交換体21は、陰イオンを取り込み可能な層状構造45を有する。層状構造45は、空隙44(連通孔)を介して外部へと通じている。従って、第4人工土壌粒子51aは、外部に存在する水分や養分を粒子内に取り込むとともに、粒子内に取り込まれた水分や養分を外部に放出することができる。例えば、第1陰イオン交換体21がNO3 −とイオン交換可能な材料である場合、NO3 −は連通孔を介して第4人工土壌粒子51aの内部へ入り込み、第1陰イオン交換体21の層状構造45に取り込まれる。このようにして、NO3 −は、第4人工土壌粒子51aに担持される。
第4人工土壌粒子51aに含まれる第1陰イオン交換体21は、第4人工土壌粒子51aの内部に十分な陰イオンを担持するように、陰イオン交換能を有する材料又は陰イオン交換能が付与された材料が用いられる。陰イオン交換能を有する材料として、陰イオン交換能を有する鉱物、及び陰イオン交換樹脂を使用することができる。陰イオン交換能を有する鉱物として、例えば、ハイドロタルサイト、マナセアイト、パイロオーライト、シェーグレン石、緑青等の主骨格として複水酸化物を有する天然層状複水酸化物、合成ハイドロタルサイト及びハイドロタルサイト様物質、アロフェン、イモゴライト、カオリン等の粘土鉱物が挙げられる。陰イオン交換樹脂は、例えば、弱塩基性陰イオン交換樹脂、強塩基性陰イオン交換樹脂が挙げられる。これらのうち、ハイドロタルサイトが好ましい。陰イオン交換性鉱物及び陰イオン交換樹脂は、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。
なお、第4人工土壌粒子51aは、陰イオン交換能を有する材料の他に、フィラーとして珪藻土を含有することも可能である。例えば、珪藻土とハイドロタルサイトとを適切な配合比で混合したものを造粒すれば、比較的安価でありながら、保水性及び保肥性の両方を兼ね備えた第4人工土壌粒子51aを設計することができる。また、イオン交換能を有さない多孔質材料(例えば、高分子発泡体、ガラス発泡体等)を別に用意し、当該多孔質材料の細孔に上記の陰イオン交換能を有する材料を圧入や含浸等によって導入し、これを使用することも可能である。
第1人工土壌粒子50a及び第4人工土壌粒子51aの粒径は、栽培対象の植物により適宜選択されるが、根菜、果樹、及び観葉植物を対象とする場合、1〜10mmが好ましく、2〜8mmがより好ましく、2〜5mmがさらに好ましい。粒径が1mm未満の場合、粒子間に形成される隙間Sのサイズが小さくなり、隙間の毛管力により水分が過剰に保持されることになる。その結果、排水性が低下することにより植物の根から酸素を吸収し難くなり、根腐れが発生する虞がある。一方、粒径が10mmを超えると、隙間Sのサイズが大きくなって排水性が過剰になり過ぎることにより植物が水分を吸収し難くなったり、人工土壌培地102が疎になって植物が横倒れする虞がある。第1人工土壌粒子50a及び第4人工土壌粒子51aの粒径は、篩掛けにより調整することができる。
〔人工土壌粒子の形成〕
人工土壌粒子を代表して、第1人工土壌粒子50aの形成方法について説明する。人工土壌粒子50aの材料として、ゼオライトのような無機天然鉱物を使用する場合、高分子ゲル化剤のゲル化反応を利用して粒状化させることができる。高分子ゲル化剤のゲル化反応として、例えば、アルギン酸塩と多価金属イオンとのゲル化反応、カルボキシメチルセルロース(CMC)のゲル化反応、カラギーナン等の多糖類の二重らせん構造化反応によるゲル化反応が挙げられる。このうち、アルギン酸塩と多価金属イオンとのゲル化反応について説明する。アルギン酸塩の一つであるアルギン酸ナトリウムは、アルギン酸のカルボキシル基がNaイオンと結合した形態の中性塩である。アルギン酸は水に不溶であるが、アルギン酸ナトリウムは水溶性である。アルギン酸ナトリウム水溶液を多価金属イオン(例えば、Caイオン)の水溶液中に添加すると、アルギン酸ナトリウムの分子間でイオン架橋が起こりゲル化する。本実施形態の場合、ゲル化反応は、以下の工程により行うことができる。初めに、アルギン酸塩を水に溶解させてアルギン酸塩水溶液を調製し、アルギン酸塩水溶液に第1陽イオン交換体11を添加し、これを十分攪拌して、アルギン酸塩水溶液中に第1陽イオン交換体11が分散した混合液とする。次に、混合液を多価金属イオン水溶液中に滴下し、混合液に含まれるアルギン酸塩を粒状にゲル化させる。その後、ゲル化した粒子を回収して水洗し、十分に乾燥させる。これにより、アルギン酸塩及び多価金属イオンから形成されるアルギン酸ゲル中に第1陽イオン交換体11が分散した粒状物が得られる。
ゲル化反応に使用可能なアルギン酸塩は、例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウムが挙げられる。これらのアルギン酸塩は、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。アルギン酸塩水溶液の濃度は、0.1〜5重量%とし、好ましくは0.2〜5重量%とし、より好ましくは0.2〜3重量%とする。アルギン酸塩水溶液の濃度が0.1重量%未満の場合、ゲル化反応が起こり難くなり、5重量%を超えると、アルギン酸塩水溶液の粘度が大きくなり過ぎるため、第1陽イオン交換体11を添加した混合液の攪拌や、混合液を多価金属イオン水溶液中に滴下することが困難になる。
アルギン酸塩水溶液を滴下する多価金属イオン水溶液は、アルギン酸塩と反応してゲル化する2価以上の金属イオン水溶液であればよい。そのような多価金属イオン水溶液の例として、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化ストロンチウム、塩化ニッケル、塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化コバルト等の多価金属の塩化物水溶液、硝酸カルシウム、硝酸バリウム、硝酸アルミニウム、硝酸鉄、硝酸銅、硝酸コバルト等の多価金属の硝酸塩水溶液、乳酸カルシウム、乳酸バリウム、乳酸アルミニウム、乳酸亜鉛等の多価金属の乳酸塩水溶液、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸コバルト等の多価金属の硫酸塩水溶液が挙げられる。これらの多価金属イオン水溶液は、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。多価金属イオン水溶液の濃度は、1〜20重量%とし、好ましくは2〜15重量%とし、より好ましくは3〜10重量%とする。多価金属イオン水溶液の濃度が1重量%未満の場合、ゲル化反応が起こり難くなり、20重量%を超えると、金属塩の溶解に時間が掛かるとともに、過剰の材料を使用することになるため、経済的ではない。
第1人工土壌粒子50aの形成にあたっては、バインダーを用いて粒状化を行うこともできる。例えば、第1陽イオン交換体11にバインダーや溶媒等を加えて混合し、この原料混合物を造粒機に導入して、転動造粒、流動層造粒、攪拌造粒、圧縮造粒、押出造粒、破砕造粒、溶融造粒、噴霧造粒等の公知の造粒法により、粒状物を形成する。また、第1陽イオン交換体11にバインダーを加え、さらに必要に応じて溶媒等を加えて混練し、これを乾燥してブロック状にしたものを、乳鉢及び乳棒、ハンマーミル、ロールクラッシャー等の粉砕手段で適宜粉砕して粒状物とすることも可能である。粒状物は、必要に応じて乾燥及び分級が行われ、第1人工土壌粒子50aとされる。
第1人工土壌粒子50aを構成するバインダーは、有機バインダー又は無機バインダーの何れも使用可能である。有機バインダーは、例えば、ポリオレフィン系バインダー、ポリビニルアルコール系バインダー、ポリウレタン系バインダー、ポリ塩化ビニル系バインダー、ポリエステル系バインダー、スチロール系バインダー、及びポリ酢酸ビニル系バインダー等の合成樹脂系バインダー、デンプン、カラギーナン、キサンタンガム、ジェランガム、及びアルギン酸等の多糖類、膠等の動物性たんぱく質等の天然物系バインダーが挙げられる。無機バインダーは、例えば、水ガラス等のケイ酸系バインダー、リン酸アルミニウム等のリン酸塩系バインダー、ホウ酸アルミニウム等のホウ酸塩系バインダー、セメント等の水硬性バインダーが挙げられる。有機バインダー及び無機バインダーは、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。
バインダーは、水不溶性のバインダーを用いることが好ましい。これにより、灌水等により、第1人工土壌粒子50aの構造が崩壊するのを防ぐことができる。水不溶性のバインダーとしては、例えば、樹脂材料が挙げられる。そのような樹脂材料として、例えば、ポリエチレン、及びポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、及びポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン等のスチロール系樹脂、酢酸ビニル、及びエチレン酢酸ビニル等の酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン、及びビニルウレタン等のウレタン系樹脂等が挙げられる。これらのうち、ポリエチレンが好ましい。また、樹脂材料に代えて、アクリルアミド等の高分子ゲル化剤、アルギン酸塩やカラギーナン等の天然多糖類系ゲル化剤、天然ゴムやシリコーンゴム等のゴム系コーティング剤等を使用することも可能である。さらに、樹脂架橋剤を使用することもできる。そのような樹脂架橋剤としては、例えば、イソシアネート、ビニルスルホン化合物、アジリジン、ジヒドラジド、メチル化アミン、ジグリシジルエーテル、カルボジイミド、ホルムアルデヒド、チタンカップリング剤、シランカップリング剤等が挙げられる。
粒状物は、必要に応じて乾燥及び分級が行われ、第1人工土壌粒子50aとされる。陽イオンが担持される前の第1人工土壌粒子50aは、適当な陽イオンを含む液に浸漬された後に、必要に応じてさらに乾燥される。これにより、陽イオンが第1陽イオン交換体11に担持された第1人工土壌粒子50aが得られる。
本発明の人工土壌培地は、根菜、果樹、及び観葉植物等の栽培用培地として利用可能である。
30 栽培植物
50a(50) 第1人工土壌粒子
50b(50) 第2人工土壌粒子
50c(50) 第3人工土壌粒子
51a(51) 第4人工土壌粒子
51b(51) 第5人工土壌粒子
100 人工土壌培地(第1実施形態)
101 人工土壌培地(第2実施形態)
102 人工土壌培地(第3実施形態)

Claims (13)

  1. 異なる3種類以上の人工土壌粒子を含有する人工土壌培地であって、
    前記人工土壌粒子は、種類毎に植物の生育に必要な異なる陽イオンを担持可能であるとともに、粒径が1〜10mmであり、
    かさ比重が0.7g/cc以下であり、
    イオン交換容量が10meq/100cc以上であり、
    最大保水量が30cc/100cc以上であり、
    保水量が30cc/100ccであるときの気相率は、20%以上である人工土壌培地。
  2. 前記陽イオンが、K+、Mg2+、Ca2+、及びNH4 +からなる群から選択される少なくとも3種を含む請求項1に記載の人工土壌培地。
  3. 前記陽イオンが、Mo2+、Mn2+、Fe3+、Cu2+、及びZn2+からなる群から選択される少なくとも1種をさらに含む請求項2に記載の人工土壌培地。
  4. 前記人工土壌粒子に担持されるCa2+及び/又はMg2+の合計モル数は、前記人工土壌粒子に担持されるK+及び/又はNH4 +の合計モル数の5倍以下である請求項2又は3に記載の人工土壌培地。
  5. 酸を添加したとき、前記陽イオンが100ccあたり4mmol以上抽出される請求項1〜4の何れか一項に記載の人工土壌培地。
  6. 異なる2種類以上の人工土壌粒子を含有する人工土壌培地であって、
    前記人工土壌粒子は、種類毎に植物の生育に必要な異なる陰イオンを担持可能であるとともに、粒径が1〜10mmであり、
    かさ比重が0.7g/cc以下であり、
    イオン交換容量が10meq/100cc以上であり、
    最大保水量が30cc/100cc以上であり、
    保水量が30cc/100ccであるときの気相率は、20%以上である人工土壌培地。
  7. 前記陰イオンが、NO3 −、PO4 3−、及びSO4 2−からなる群から選択される少なくとも2種を含む請求項6に記載の人工土壌培地。
  8. 前記陰イオンが、Cl−をさらに含む請求項7に記載の人工土壌培地。
  9. 前記人工土壌粒子に担持されるSO4 2−のモル数は、前記人工土壌粒子に担持されるNO3 −及び/又はPO4 3−の合計モル数の1/2倍以下である請求項7又は8に記載の人工土壌培地。
  10. 酸を添加したとき、前記陰イオンが100ccあたり2mmol以上抽出される請求項6〜9の何れか一項に記載の人工土壌培地。
  11. 異なる5種類以上の人工土壌粒子を含有する人工土壌培地であって、
    前記人工土壌粒子は、種類毎に植物の生育に必要な異なるイオンを担持可能であるとともに、粒径が1〜10mmであり、前記イオンは、3種以上の陽イオンと、2種以上の陰イオンとを含み、
    かさ比重が0.7g/cc以下であり、
    イオン交換容量が10meq/100cc以上であり、
    最大保水量が30cc/100cc以上であり、
    保水量が30cc/100ccであるときの気相率は、20%以上である人工土壌培地。
  12. 前記陽イオンが、K+、Mg2+、Ca2+、及びNH4 +からなる群から選択され、前記陰イオンが、NO3 −、PO4 3−、及びSO4 2−からなる群から選択される請求項11に記載の人工土壌培地。
  13. 前記人工土壌粒子に担持されるCa2+及び/又はMg2+及び/又はSO4 2−の合計モル数は、前記人工土壌粒子に担持されるK+並びにPO4 3−並びにNH4 +及び/又はNO3 −の合計モル数の2/3倍以下である請求項12に記載の人工土壌培地。
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