JP2017122185A - 白色顔料、静電荷像現像用トナー及び白色顔料の製造方法 - Google Patents

白色顔料、静電荷像現像用トナー及び白色顔料の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、白色度及び隠蔽性が高く、さらに、静電荷像現像用トナーに採用した場合に、定着画像の折りや擦りによる割れ、剥がれが起きにくく、画像安定性、耐ドキュメントオフセット性に優れた白色顔料を提供することである。【解決手段】本発明の白色顔料は、無機粒子を含有する白色顔料であって、前記無機粒子の表面が、重合体によって被覆され、前記重合体と前記無機粒子との間に空隙を有することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、白色顔料、静電荷像現像用トナー及び白色顔料の製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、白色度及び隠蔽性が高く、さらに、静電荷像現像用トナーに採用した場合に、画像安定性、耐ドキュメントオフセット性に優れた白色顔料等に関する。
電子写真方式による画像形成技術がオフィスの文章、書類のコピーを出力する複写機に留まらず、広く印刷分野領域に拡がるにしたがい、白色トナーへの品質向上の要求が高まっている。
白色トナーは従来の着色トナーの色材顔料を酸化チタン等の白色顔料に置き換えて製造されているが、そこでは以下のような問題があった。
酸化チタンは他の色材顔料に比べて比重が重く、硬い無機酸化物であるため、トナー樹脂への分散性、親和性に劣る。そのため、酸化チタンを用いた白色トナーで現像し、定着した後の画像(定着画像)において、白色顔料とトナー樹脂との界面で剥離が生じやすい欠点があった。
この欠点から、画像を製本等のため折り曲げた際に、その折り目から画像が剥離する、いわゆる折り定着性品質が低下するという問題があった。また、上記欠点から、画像を多数枚重ね合わせて保存した際に、画像の一部が上面の用紙裏を汚染する、いわゆる耐ドキュメントオフセット性も低下するという問題もあった。
また、白色トナーは、紙などの印刷物の下地の色合いを隠して白色光沢を際立たせる白地の形成に使用されることが多い。このため、白色トナーは、隠蔽率、白色度合いの高さが重要である。
そのため、白色トナーは白色以外の色の着色トナーに比べて、トナー中に含有される顔料の部数が多くなるが、用いる顔料部数が多いことはコストだけでなく、上述のトナー中への顔料の分散性に不利となる。したがって、白色トナーには、単位部数当たりでより高い隠蔽率、白色度を持つ顔料を用いることが求められてきた。
このような観点から、例えば、特許文献1には、酸化チタンをポリオールで被覆する技術が開示されているが、隠蔽率、白色度、さらには、静電荷像現像用トナーに採用した場合の、画像安定性及び耐ドキュメントオフセット性についてはまだ改良の余地があった。
特開2010−8816号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、白色度及び隠蔽性が高く、さらに、静電荷像現像用トナーに採用した場合に、画像安定性、耐ドキュメントオフセット性に優れた白色顔料等を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、重合体と無機粒子との間に空隙を有する白色顔料を採用すれば、白色度及び隠蔽性が高く、さらに、静電荷像現像用トナーに採用した場合に、定着画像の折りや擦りによる割れ、剥がれが起きにくく、画像安定性、耐ドキュメントオフセット性に優れた白色顔料を提供できることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.無機粒子を含有する白色顔料であって、
前記無機粒子の表面が、重合体によって被覆され、
前記重合体と前記無機粒子との間に空隙を有することを特徴とする白色顔料。
2.前記無機粒子が、酸化チタンを含有することを特徴とする第1項に記載の白色顔料。
3.前記無機粒子が、反応性のノニオン系界面活性剤を介して、前記重合体と結合した粒子であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の白色顔料。
4.白色顔料を含有する静電荷像現像用トナーであって、
前記白色顔料が、第1項から第3項のいずれか一項に記載の白色顔料であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
5.無機粒子を含有する白色顔料の製造方法であって、
(工程A)反応性のノニオン系界面活性剤と、前記無機粒子とを含有する分散液を調製する工程と、
(工程B)前記工程Aで調製された前記分散液に重合性単量体を添加する工程と、
(工程C)前記工程Bで前記重合性単量体が添加された前記分散液を、前記ノニオン系界面活性剤の曇点以上の温度に加熱することで前記重合性単量体を重合し、前記無機粒子の表面を重合体によって被覆する工程と、
を有することを特徴とする白色顔料の製造方法。
6.前記工程Aにおいて、前記反応性のノニオン系界面活性剤の曇点未満の温度とした前記無機粒子の分散液を予め調製し、前記反応性のノニオン系界面活性剤を添加し、かつ、分散することを特徴とする第5項に記載の白色顔料の製造方法。
本発明の上記手段により、白色度及び隠蔽性が高く、さらに、静電荷像現像用トナーに採用した場合に、画像安定性、耐ドキュメントオフセット性に優れた白色顔料等を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
現在、電子写真の高画質化の要求に伴い、従来の粉砕法のトナーに代わり乳化凝集法による重合トナーが主流となっている。
乳化凝集法により白色トナーを得る際には使用する白色顔料が、トナーを構成する樹脂(以下、「トナー樹脂」ともいう。)成分である、乳化重合で作製された樹脂粒子と、親和性が高いことが求められる。樹脂粒子との親和性が高ければ、結合力が高く、また、トナー中に顔料が偏析することなく、微分散できる。
このため、本発明者は、無機粒子を重合体で被覆した白色顔料であれば、樹脂粒子と親和性が高くなり、白色度と隠蔽性とが高く、さらに、静電荷像現像用トナー(以下、「トナー」ともいう。)に採用した場合に、定着画像の折りや擦りによる割れ、剥がれが起きにくく、画像安定性、耐ドキュメントオフセット性に優れたトナーを作製することができたと考える。
さらに、本発明者は、上記重合体で被覆された無機粒子が、重合体と前記無機粒子との間に空隙を有することで、内部に樹脂と無機粒子との界面とともに、空気又は水などが充填された空隙と無機粒子との界面を有することができるため、可視光の散乱がより強められ、この結果、高白色度を呈することができたと考える。
また、本発明者は、表面が重合体で被覆された酸化チタンなどの無機粒子において、反応性のノニオン系界面活性剤を介して無機粒子と重合体とが結合し、かつ、重合体と無機粒子との間に中空構造を有する無機粒子を白色顔料に採用することにより、上記樹脂粒子との親和性が高くなり、高白色度で定着性、耐ドキュメントオフセット性に優れたトナーが得られたと考える。
本発明に係る無機粒子が分散液中で重合体に被覆される態様の一例を示す模式図
本発明の白色顔料は、無機粒子を含有する白色顔料であって、前記無機粒子の表面が、重合体によって被覆され、前記重合体と前記無機粒子との間に空隙を有することを特徴とする。この特徴は各請求項に係る発明に共通又は対応する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、無機粒子が、酸化チタンを含有することが、高い光散乱性を有し、ひいては白色度が得られることから好ましい。
本発明においては、無機粒子が、反応性のノニオン系界面活性剤を介して、前記重合体と結合した粒子であることが、白色度と隠蔽性をより高くでき、さらに、静電荷像現像用トナーに採用した場合での定着性、耐ドキュメントオフセット性を良好にできるため好ましい。
本発明の白色顔料は、静電荷像現像用トナーに好適に採用できる。
本発明の白色顔料は、
(工程A)反応性のノニオン系界面活性剤と、前記無機粒子とを含有する分散液を調製する工程と、
(工程B)前記工程Aで調製された前記分散液に重合性単量体を添加する工程と、
(工程C)前記工程Bで前記重合性単量体が添加された前記分散液を、前記ノニオン系界面活性剤の曇点以上の温度に加熱することで前記重合性単量体を重合し、前記無機粒子の表面を重合体によって被覆する工程と、を有する白色顔料の製造方法によって好適に製造することができる。なお、前記工程Aにおいて、前記反応性のノニオン系界面活性剤の曇点未満の温度とした前記無機粒子の分散液を予め調製し、前記反応性のノニオン系界面活性剤を添加し、かつ、分散することが、空隙を好適に形成できるため好ましい。
以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
≪白色顔料の概要≫
本発明の白色顔料は、無機粒子を含有する白色顔料であって、前記無機粒子の表面が、重合体によって被覆され、前記重合体と前記無機粒子との間に空隙を有することを特徴とする。
特に、無機粒子が、反応性のノニオン系界面活性剤を介して、重合体と結合した粒子であることが、空隙を好適に有する無機粒子となり、ひいては、より隠蔽性が高まるため、好ましい。
なお、白色顔料とは、無機粒子等を含有する白色顔料の粒子が集合したものであるが、本発明においては特別の区別の必要のない限り、白色顔料粒子を白色顔料ともいう。
[無機粒子]
無機粒子が含有する無機物としては、特に限定されず、白色顔料として使用できるものであれば、公知のものでよく、具体的には、例えば、酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、カオリン等であるが、特には、酸化チタンが含有されていることが好ましい。
なお、本発明に係る無機粒子は、本発明の効果発現を阻害しない範囲で、有機化合物などその他の化合物や材料を含有していてもよい。
無機粒子の体積平均粒径としては10〜500nmが好ましく、より好ましくは100〜300nmである。
また、本発明に係る重合体で被覆された状態の無機粒子の体積平均粒子径は、コアである無機粒子の大きさによって変動するが、20nm〜1μmが好ましく、より好ましくは150〜700nmである。
(体積平均粒径の測定方法)
体積平均粒径は、レーザー回析・散乱式粒度分布測定装置(マイクロトラック粒度分布測定装置「UPA−150」(日機装株式会社製)等)で測定することができる。
[重合体]
本発明の白色顔料は、重合体によって、本発明に係る無機粒子の表面が被覆される。
重合体としては、下記重合性単量体が重合した樹脂であることが好ましい。トナーに採用する場合、トナーを構成する樹脂(いわゆる結着樹脂)と同様の樹脂であることが、トナーを構成する樹脂との親和性がより向上するため好ましい。
なお、本発明において、無機粒子の表面は、重合体によって、完全に被覆されていることが好ましいが、本発明の効果発現を阻害しない範囲内で、被覆されていない部分を有していてもよい。
<重合性単量体>
重合性単量体としては、以下(1)〜(8)に挙げるようなラジカル重合性単量体を用いることができる。なお、これらラジカル重合性単量体を重合するためのラジカル重合開始剤としては、一般的な水溶性ラジカル開始剤を用いることができ、例えば、過酸化物(例えば、過酸化水素など)、過硫酸塩(例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム)、水性アゾ化合物やレドックス重合開始剤などを用いることができる。
また、重合体の分子量の調整のため、公知の連鎖移動剤、例えば、ビニル単量体に可溶な有機過酸化物、有機アゾ化合物、ハロゲン化炭化水素(四塩化炭素など)、メルカプタン類、チオール類などを用いてもよい。
(1)スチレン系単量体
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレンなど。
(2)(メタ)アクリル酸エステル系単量体
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、フェニルアクリレートフェニル、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレートなど。
(3)カルボキシ基を有する単量体
重合性モノカルボン酸((メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステルなど)、多価カルボン酸(マレイン酸、フマル酸など)など。
(4)ビニルエステル類
プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなど。
(5)ビニルエーテル類
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなど。
(6)ビニルケトン類
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトンなど。
(7)N−ビニル化合物類
N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなど。
(8)その他
ブタジエン、ビニルナフタレン、ビニルピリジンなどのビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアクリル酸又はメタクリル酸誘導体、クロロエチレン、1,1−ジクロロエチレンのハロゲン化ビニル類など。
[空隙]
本発明の白色顔料は、重合体と無機粒子との間に空隙を有する。
空隙とは、図1の(c)に示される空隙4のような、重合体と無機粒子との間に形成された空孔をいう。
具体的には、空隙とは、前記粒子内部に存在する、直径10nm以上の空間を指す。前記空隙は一粒子内部に複数個存在することが好ましい。これらにより得られる白色顔料の白色度及び隠蔽性がより高まるため好ましい。なお、この空隙の確認方法は、特に限定されず、公知の方法を使用することができ、例えば電子顕微鏡などを用いて確認できる。
なお、この空隙は空気などの気体が充填されていてもよいし、例えば、水などの液体が充填されていてもよいが、屈折率ひいては隠蔽性の観点から空気であることが好ましい。
また、空隙の数や形状は、本発明の効果発現を阻害しない物であればよく、特に限定されない。
[反応性のノニオン系界面活性剤]
本発明の無機粒子は、反応性のノニオン系界面活性剤を介して、重合体と結合した粒子であることが、白色度と隠蔽性をより高くでき、さらに、静電荷像現像用トナーに採用した場合での定着性、耐ドキュメントオフセット性を良好にできるため好ましい。
反応性のノニオン系界面活性剤とは、重合性単量体と反応する重合性官能基(例えば、ビニル基、イソプロペニル基、(メタ)アクリロイル基などの不飽和結合を有する基)を分子内に有するノニオン系界面活性剤のことをいう。
このような反応性のノニオン系界面活性剤としては、具体的には、上記不飽和結合を有する基を分子内に有するポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルを用いることができる。反応性のノニオン系界面活性剤の曇点は、0〜80℃、好ましくは10〜70℃、より好ましくは20〜60℃が好ましい。
このような反応性のノニオン系界面活性剤は、市販のものを好適に使用でき、具体的には、例えば、アデカリアソープER−10、ER−20、ER−30、ER−40、アデカリアソープNE−10、NE−20、NE−30(ADEKA社製)やラムテルPD−420、PD−430、PD−430S、PD−450(花王社製)を挙げることができる。
なお、無機粒子と重合性単量体の量は無機粒子100質量部に対して、重合性単量体20〜1000質量部が好ましく、より好ましくは50〜400質量部が好ましい。
また重合性単量体と反応性のノニオン系界面活性剤の量は重合性単量体100質量部に対して、1〜50質量部が好ましく、より好ましくは2〜20質量部が好ましい。
反応性ノニオン系界面活性剤量が1〜50質量部であると、後述の中空構造を好適に有することができ、この結果、白色度に充分な空隙を形成することができる。
<曇点の測定方法>
曇点の測定は、反応性のノニオン系界面活性剤の5g/L水溶液を用いて行うことができる。
(1)反応性のノニオン系界面活性剤の5g/L水溶液をウォーターバス又はセラミックホットプレートによって加熱する。
(2)上記水溶液を5℃/分の条件で加熱していき、白濁した時点の温度を計測し、この白濁した温度を反応性のノニオン系界面活性剤の曇点とする。
なお、測定温度が85℃以下である場合、測定精度の観点から、ウォーターバスを用いた加熱が好ましい。また、ウォーターバスでは、85℃以上の加熱が難しいことから、測定温度が85℃以上となる場合は、セラミックホットプレートを用いることが好ましい。
≪白色顔料の製造方法≫
本発明に係る白色顔料の製造方法は、無機粒子の表面が、重合体によって被覆され、前記重合体と前記無機粒子との間に空隙を有する白色顔料を製造できる方法であれば特に限定されないが、特に、反応性のノニオン系界面活性剤の存在下、無機粒子が水性媒体中に分散した系において、反応性のノニオン系界面活性剤の曇点以上の温度で重合性単量体を重合することにより製造することが好ましい。
また、本発明の白色顔料の製造方法としては、曇点未満の温度でノニオン界面活性剤と無機粒子分散液とを混合した後、曇点以上の温度に昇温することにより、ノニオン界面活性剤を無機粒子表面に吸着させる工程を有する製造方法であることが好ましい。このように、曇点未満の温度でノニオン界面活性剤と無機粒子分散液とを混合させることで、無機粒子が分散した液中に反応性のノニオン系界面活性剤を局在化させることなく、液中に溶解させることができる。この状態で、曇点以上の温度に昇温することにより、反応性のノニオン界面活性剤を無機粒子の表面に吸着させることで、通常は親水性である無機粒子の表面を好適に疎水化でき、重合性単量体の重合の場を提供することができる。
重合性単量体の重合方法は、特に限定されず、水分散系で重合可能な種々の方法で重合できる。本発明において、好ましい重合方法は、水分散系で水溶性ラジカル開始剤にて重合性単量体を重合する乳化重合法である。
具体的な本発明の白色顔料の製造方法としては、無機粒子を含有する白色顔料の製造方法であって、
(工程A)反応性のノニオン系界面活性剤と、前記無機粒子とを含有する分散液を調製する工程と、
(工程B)前記工程Aで調製された前記分散液に重合性単量体を添加する工程と、
(工程C)前記工程Bで前記重合性単量体が添加された前記分散液を、前記ノニオン系界面活性剤の曇点以上の温度に加熱することで前記重合性単量体を重合し、前記無機粒子の表面を重合体によって被覆する工程と、
を有することが好ましい。
[(工程A)反応性のノニオン系界面活性剤と、無機粒子とを含有する分散液を調製する工程]
工程Aでは、反応性のノニオン系界面活性剤と、無機粒子とを含有する分散液を調製する。
分散液を調製する方法は特に限定されず、反応性のノニオン系界面活性剤と、前記無機粒子とを含有する分散液を調製できればよく、具体的には、例えば、無機粒子を純水に分散した分散液に、撹拌下、反応性ノニオン系界面活性剤を加え、反応性ノニオン系界面活性剤を分散させる方法が挙げられる。
[(工程B)工程Aで調製された分散液に重合性単量体を添加する工程]
工程Bでは、工程Aで調製された分散液に重合性単量体を添加する。
重合性単量体を添加する方法は特に限定されないが、具体的には、例えば、工程Aで調製された分散液に、重合開始剤を加え、重合性単量体及び連鎖移動剤の混合物を滴下することが挙げられる。
[(工程C)工程Bで重合性単量体が添加された分散液を、ノニオン系界面活性剤の曇点以上の温度に加熱することで重合性単量体を重合し、無機粒子の表面を重合体によって被覆する工程]
工程Cでは、工程Bで重合性単量体が添加された分散液を、ノニオン系界面活性剤の曇点以上の温度に加熱することで重合性単量体を重合し、無機粒子の表面を重合体によって被覆する。
重合性単量体を重合する方法は水分散系で重合可能な種々の方法で重合できる。好ましい重合方法は、水分散系で水溶性ラジカル開始剤にて重合性単量体を加熱しつつ撹拌することにより重合する乳化重合法である。
なお、前記工程Aにおいて、反応性のノニオン系界面活性剤の曇点未満の温度とした前記無機粒子の分散液を予め調製し、反応性のノニオン系界面活性剤を添加し、かつ、分散することがより好ましい。
これは、上述のように、曇点未満の温度で反応性のノニオン系界面活性剤と無機粒子分散液とを混合し、分散した後、曇点以上の温度に昇温することにより、反応性のノニオン系界面活性剤を無機粒子の表面に吸着し、重合性単量体が重合する場を提供でき、ひいては、空隙を好適に形成できるためである。
上記工程A〜工程Cを有することで、重合体と無機粒子との間に空隙を有する白色顔料を得ることができる。なお、重合体と無機粒子との間に空隙ができる機構の推察について、図1を用いて説明する。なお、図1は、本発明に係る無機粒子が分散液中で重合体に被覆される態様の一例を示す模式図である。
無機粒子1は親水性の表面を有し、水系媒体中に容易に分散する(図1の(a))。無機粒子の分散液5をノニオン系界面活性剤2の曇点未満の温度でノニオン系界面活性剤2と混合・分散した後、曇点以上の温度に昇温することにより、ノニオン系界面活性剤2を無機粒子1の表面に吸着させることができる(図1の(b))。このように、ノニオン系界面活性剤2を無機粒子1の表面に吸着させることで、親水性の無機粒子1の表面に重合性単量体の重合の場を提供することができると考える。
特に、不飽和結合(例えば、ビニル基、イソプロペニル基、(メタ)アクリロイル基など)を有する反応性のノニオン系界面活性剤2を用いた場合は、無機粒子1に吸着した反応性のノニオン系界面活性剤2の不飽和結合と重合性単量体とが反応して結合することにより、表面を重合体3で被覆できる。これにより、反応性のノニオン系界面活性剤2を介して無機粒子1と重合体3とが結合した複合粒子10とすることができると考えられる(図1の(c))。
本発明に係る反応性のノニオン系界面活性剤2はイオン解離しないポリオキシエチレン鎖構造を親水性部位として有し、そこに水分子が水和することで水系媒体中にて水溶性を保っている。曇点以上の温度に昇温して無機粒子1の表面に吸着したノニオン系活性剤2は、水和水分子を抱えたまま表面に存在することになり、その上から重合性単量体の重合が進行して被覆することにより、重合体3と無機粒子1との間に内部を水分子で占有された中空構造(空隙4)を有する複合粒子10となると考えている(図1の(c))。そして本発明の白色顔料が高白色度を呈するのは、空隙4を有するため、上記複合粒子の内部に樹脂と無機粒子1との界面とともに、水(又は空気)と無機粒子1との界面を有するため、可視光の散乱がより強められることによると推察する。なお、このように、本発明の白色顔料の空隙は、工程A〜工程Cによって製造された場合、空隙に液体が充填されている場合がある。しかし、一般的には、トナーを製造する際に、乾燥させる工程を経るため、空隙に充填された液体は揮発し、代わりに空気などの気体が充填されると考えられる。
また、表面を重合体3で被覆処理され、反応性のノニオン系界面活性剤を介して無機粒子1と重合体3とが結合しているので、無機粒子1とトナー樹脂との界面で剥離が生じにくくなると考える。この結果、本発明の白色顔料を採用したトナーでは、定着画像の折りや擦りに強く、画像安定性、耐ドキュメントオフセット性に良くなると推察する。またトナー樹脂との親和性が良く、トナー中に高い分散性を保って、優れた隠蔽力を保つことができると考えている。
また、重合によって無機粒子を被覆する処理においては、乳化重合に一般的に使用される界面活性剤を、第二の界面活性剤として分散安定化のために使用してもよい。なお、反応性のノニオン系界面活性剤を無機粒子の表面に有効に吸着させるために、反応性のノニオン系界面活性剤を無機粒子の表面に吸着させた後に、第二の界面活性剤を添加するのが好ましい。または、反応性のノニオン系界面活性剤が無機粒子へ均一に吸着した後、反応性のノニオン系界面活性剤と重合性単量体の重合を一部だけ進めて、安定化されたシード粒子が生成した後に、第二の界面活性剤を添加してもよい。
≪静電荷像現像用トナー≫
本発明の白色顔料は、公知の静電荷像現像用トナーの着色剤として好適に使用できる。すなわち、結着樹脂、ワックス若しくは荷電制御剤などの内添剤又は外添剤を有する一般的な静電荷像現像用トナーに使用でき、例えば、コア部と、当該コア部を覆うシェル層より構成されるコア・シェル構造を有する静電荷像現像用トナーなどに好適に使用できる。
以下、コア・シェル構造を有する静電荷像現像用トナーの構成部材の例について詳述する。
(結着樹脂)
コア部を形成する樹脂及びシェル層を形成する樹脂(以下、これらの樹脂をまとめて「結着樹脂」ともいう。)は、スチレン−アクリル系共重合樹脂が好ましい。
本発明に係るトナーを構成する樹脂について更に詳しく説明する。
本発明に係るトナーのコア部やシェル層の形成に用いられる樹脂としては、下記に記載のような単量体(トナー用重合性単量体)を重合して得られた重合体を用いることができる。
本発明に係る結着樹脂は少なくとも1種のトナー用重合性単量体を重合して得られた重合体を構成成分として含むものであるが、前記トナー用重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンのようなスチレン又はスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル誘導体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等の、アクリル酸エステル誘導体、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン系ビニル類、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸又はメタクリル酸誘導体がある。これらビニル系単量体は単独又は組み合わせて使用することができる。
また、トナー用重合性単量体としてイオン性解離基を有するものを組み合わせて用いることが更に好ましい。例えば、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基等の置換基を単量体の構成基として有するもので、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
さらに、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等の多官能性ビニル類を使用して架橋構造の樹脂とすることもできる。
(ワックス)
本発明に係るトナーに使用可能なワックスとしては、従来公知のものが挙げられる。具体的には、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナウバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。
ワックスとしては、その融点が40〜160℃ものもが好ましく、50〜120℃のものがより好ましく、60〜90℃のものが更に好ましい。融点を上記範囲内にすることにより、トナーの耐熱保管性が確保されるとともに、低温で定着を行う場合でもコールドオフセットなどを起こさずに安定したトナー画像形成が行える。また、トナー中のワックス含有量は、1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
(荷電制御剤)
荷電制御剤としては、ニグロシン系染料、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩など、公知の種々の化合物を用いることができる。
(外添剤)
トナーとしての帯電性能や流動性、又はクリーニング性を向上させる観点から、トナー母体粒子の表面に公知の無機微粒子や有機微粒子などの粒子、滑材を外添剤として添加することできる。
外添剤として使用される無機微粒子としては、シリカ、チタニア、アルミナ、チタン酸ストロンチウムなどを含有する微粒子を好ましいものとして挙げられる。
必要に応じてこれらの微粒子は疎水化処理されていても良い。
有機微粒子としては、数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の有機微粒子を使用することができる。具体的には、スチレンやメチルメタクリレートなどの単独重合体やこれらの共重合体による有機微粒子を使用することができる。
滑材は、クリーニング性や転写性を更に向上させる目的で使用されるものであって、滑材としては、例えば、ステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウムなどの塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウムなどの塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウムなどの塩、リノール酸の亜鉛、カルシウムなどの塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウムなどの塩などの高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。これらの外添剤としては種々のものを組み合わせて使用しても良い。
外添剤の添加方法としては、タービュラーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの公知の種々の混合装置を使用して添加する方法が挙げられる。
≪トナーの製造方法≫
本発明の白色顔料は、公知の静電荷像現像用トナーに含有させることができる。その製造方法は、特に限定されず、乳化重合法によって製造することができ、例えば、特開2010−191343号公報や、特開2008−026518号公報に記載の方法において、着色剤を本発明の白色顔料に変更するほかは同様にして、製造することができる。また、トナーの製造方法において使用可能な重合開始剤、連鎖移動剤及び界面活性剤としては、特開2010−191343号公報の段落0080〜0088に記載のものが使用できる。
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本発明の白色顔料を採用可能な静電荷像現像用トナーとして、コア・シェル構造を有する静電荷像現像用トナーを例として説明したが、本発明の白色顔料を採用可能なトナーは、これに限定されず、例えば、シェル層を有さない静電荷像現像用トナーにも好適に採用できる。なお、このようなシェル層を有さない静電荷像現像用トナーとしては、特に限定されず、公知のものを使用できる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
≪トナー粒子[T−1]の製造≫
[白色顔料分散液[WL−1]の作製]
酸化チタン粒子(CR−50 石原産業社製 体積平均粒子径0.25μm) 100部を純水380部に分散した分散液(液温25℃)に撹拌下、反応性のノニオン系界面活性剤(アデカリアソープNE−10 ADEKA社製 曇点40℃)の10質量%水溶液100部を加え、反応性ノニオン系界面活性剤も分散させた。本分散液を60℃に昇温した後、重合開始剤として過硫酸カリウム0.3部を加え、下記の重合性単量体と連鎖移動剤の混合物を滴下する。
スチレン 60部
ブチルアクリレート 32部
メタアクリル酸 8部
n−オクチルメルカプタン 1.5部
全体の5質量%分を10分かけて滴下したところで一旦滴下を中断して、重合液の温度を80℃までさらに昇温する。80℃にて1時間加熱撹拌を続けた後、重合開始剤として過硫酸カリウム0.6部及びアニオン系活性剤(E−27C 花王社製)の15質量%水溶液160部を追加して加えてから、滴下を再開して残りの重合性単量体95質量%分を3時間かけて滴下する。
さらに加熱撹拌を1時間続けて重合反応を完結させた後、常温まで冷却して白色顔料分散液[WL−1]を得た。
白色顔料分散液[WL−1]中の顔料粒子の体積平均粒子径は403nmであり、分散液の固形分濃度は25%であった。
[トナー粒子[T−1]の作製]
(凝集・融着工程)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、後述のトナーコア樹脂ラテックス[CL]700部(固形分換算220部)、純水1500部、及び白色顔料分散液[WL−1]720部(固形分換算180部)を仕込み、液温を25℃に調整した後、5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10に調整した。次いで、塩化マグネシウム60部を純水60質量部に溶解させた水溶液を、230rpmの撹拌速度で撹拌下、25℃にて10分間かけて添加した。3分間保持した後にこの系を60分間かけて90℃まで昇温した。昇温完了後、撹拌速度を170rpmに下げて90℃を保持して、コア粒子の成長反応を行った。体積基準のメディアン径が6.0μmになった時点で、撹拌速度を280rpmに上げ、後述のトナーシェル樹脂ラテックス[SL]150部(固形分換算45部)を10分間かけて添加し、コア粒子の周りにシェル樹脂を付着させてシェル化反応を行った。シェル樹脂ラテックス[SL−1]の添加120分後に、塩化ナトリウム80部を純水400部に溶解させた水溶液を添加してシェル化反応を停止させ、更に、融着工程として液温度92℃にて加熱撹拌を、「FPIA−2100」(Sysmex社製)による測定で平均円形度が0.945になるまで行い、微粒子間の融着を進行させた。その後、液温25℃まで冷却した後、撹拌を停止して、トナー母体粒子の分散液を得た。最終トナー粒径は6.1μmであった。
<トナーコア樹脂ラテックス[CL]>
組成 結着樹脂:スチレン/ブチルアクリレート/メタアクリル酸
ワックス:パラフィンワックス HNP−057(含有量 15質量%)
ガラス転移点 46℃
分子量 Mw2.3万、Mw/Mn=2.0
ラテックス粒子の粒子径 207nm(体積平均粒子径)
固形分濃度 30%
<トナーシェル樹脂ラテックス[SL]>
組成 結着樹脂:スチレン/ブチルアクリレート/メタアクリル酸
ガラス転移点 60℃
分子量 Mw:3.1万、Mw/Mn=2.4
ラテックス粒子の粒子径 115nm(体積平均粒子径)
固形分濃度 30%
(洗浄・乾燥工程)
凝集・融着工程にて得られたトナー母体粒子の分散液をバスケット型遠心分離機「MARKIII 型式番号60×40」(松本機械(株)製)で固液分離し、トナー母体粒子のウェットケーキを形成した。このウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで40℃の純水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業社製)に移し、水分量が1.0質量%以下となるまで乾燥させた。
(外添剤添加工程)
洗浄・乾燥工程を経て得られたトナー母体粒子に、大粒径の疎水性シリカ(数平均一次粒子径=80nm)0.3質量%及び小粒径の疎水性チタニア(数平均一次粒子径=20nm)0.2質量%を添加し、ヘンシェルミキサーにより混合することにより、トナー粒子[T−1]を製造した。
≪トナー粒子[T−2]の製造≫
[白色顔料分散液[WL−2]の作製]
酸化チタン粒子(MT−600SA テイカ社製 粒径50nm) 50部を純水420部に分散した分散液(液温25℃)に撹拌下、反応性のノニオン系界面活性剤(アデカリアソープER−20 ADEKA社製 曇点58℃)の10質量%水溶液50部を加え、反応性ノニオン系界面活性剤も分散させた。本分散液を65℃に昇温した後、重合開始剤として過硫酸カリウム0.3部を加え、下記の重合性単量体と連鎖移動剤の混合物を滴下する。
メチルメタアクリレート 70部
ブチルアクリレート 25部
イタコン酸 5部
n−オクチルメルカプタン 1.0部
全体の5質量%分を10分かけて滴下したところで一旦滴下を中断して、重合液の温度を80℃までさらに昇温する。80℃にて1時間加熱撹拌を続けた後、重合開始剤として過硫酸カリウム0.6部及びアニオン系活性剤(E−27C 花王社製)の15質量%水溶液160部を追加して加えてから、滴下を再開して残りの重合性単量体95質量%分を3時間かけて滴下する。
さらに加熱撹拌を1時間続けて重合反応を完結させた後、常温まで冷却して白色顔料分散液[WL−2]を得た。
白色顔料分散液[WL−2]中の顔料粒子の体積平均粒径は107nmであり、分散液の固形分濃度は20%であった。
[トナー粒子[T−2]の作製]
トナー粒子[T−1]の作製において、トナーコア樹脂ラテックス[CL]の添加量を700部(固形分換算210部)より850部(固形分換算255部)、白色顔料分散液を白色顔料分散液[WL−1]720部(固形分換算180部)より白色顔料分散液[WL−2]600部(固形分換算120部)に変えた他はトナー粒子[T−1]と同様にしてトナー粒子[T−2]を作製した。
≪トナー粒子[T−3]の製造≫
[白色顔料分散液[WL−3]の作製]
酸化チタン粒子(CR−95 石原産業社製 粒径0.28μm)200部を純水450部に分散した分散液(液温25℃)に撹拌下、反応性のノニオン系界面活性剤(アデカリアソープNE−20 ADEKA社製 曇点52℃)の10質量%水溶液120部を加え、反応性ノニオン系界面活性剤も分散させた。本分散液を60℃に昇温した後、重合開始剤として過硫酸カリウム0.3部を加え、下記の重合性単量体と連鎖移動剤の混合物を20分かけて滴下する。
スチレン 6部
ブチルアクリレート 4部
n−オクチルメルカプタン 0.1部
滴下終了後、重合液の温度を80℃までさらに昇温する。80℃にて1時間加熱撹拌を続けた後、重合開始剤として過硫酸カリウム0.6部及びアニオン系活性剤(E−27C 花王社製)の15質量%水溶液160部を追加して加えて、下記の重合性単量体と連鎖移動剤の混合物を3時間かけて滴下する。
スチレン 57部
ブチルアクリレート 25部
メタアクリル酸 8部
n−オクチルメルカプタン 1.0部
滴下終了後、さらに加熱撹拌を1時間続けて重合反応を完結させた後、常温まで冷却して白色顔料分散液[WL−3]を得た。
白色顔料分散液[WL−3]中の顔料粒子の体積平均粒径は395nmであり、分散液の固形分濃度は30%であった。
[トナー粒子[T−3]の作製]
トナー粒子[T−1]の作製において、トナーシェル樹脂ラテックス[SL]の添加量を150部(固形分換算45部)より120部(固形分換算36部)、白色顔料分散液を白色顔料分散液[WL−1]720部(固形分換算180部)より白色顔料分散液[WL−3]600部(固形分換算180部)に変えた他はトナー粒子[T−1]と同様にしてトナー粒子[T−3]を作製した。
≪トナー粒子[TH−1]の製造≫
[白色顔料分散液[WH−1]の作製(比較例)]
アニオン系活性剤(E−27C 花王社製)の15質量%水溶液300部に酸化チタン粒子(CR−50−2 石原産業社製 粒径0.25μm)100部及び純水600部を添加し、次いで、分散装置「クレアミックス」(エム・テクニック(株)製)を用いて分散処理することにより、白色顔料が分散された比較白色顔料分散液[WH−1]を調製した。この白色顔料分散液[WH−1]中の顔料粒子の体積平均粒子径は310nmであり、分散液の固形分濃度は10%であった。
[トナー粒子[TH−1]の作製]
トナーコア樹脂ラテックス[CL]の添加量を700部(固形分換算210部)より1000部(固形分換算300部)、白色顔料分散液を白色顔料分散液[WL−1]720部(固形分換算180部)より比較例である顔料分散液[WH−1]850部(固形分換算85部)に変えた他はトナー粒子[T−1]と同様にして比較トナー粒子[TH−1]を作製した。
[評価]
本トナーを用いた得現像剤を装着し、フルカラーデジタル複写機「bizhubPro C6500」にて3cm×3cmの白色ベタ画像(付着量4mg/cm)を黒紙に印刷した。
<白色度>
白色度の評価は、画像を分光測色計CM2600d (コニカミノルタ社製)にて計測して、明度Lとして評価した。70以上を合格とした。
<折り定着性>
折り定着性の評価は、同画像を真中から二つに折り曲げた後、折り目部分を布にて擦り、擦りによって生じた画像の剥離等の欠陥を目視にて評価した。
○(合格):布で擦っても、画像欠損がほとんどなく、折り曲げた履歴が分かる程度
△(合格):布で擦ると、折り曲げ部分だけに細い白筋の画像欠損のみが生じる。実用上問題ないレベル
×(不合格):布で擦ると、折り曲げ部分が黒筋となって画像欠損し、その周辺部分もひび割れ等が発生する
[耐ドキュメントオフセット性]
耐ドキュメントオフセット性は、同画像を上に定着画像のない黒紙を重ねて置き、重さ5kgの重しをのせ50℃の恒温槽内で24時間圧着された状態を保った後、画像より白紙を除いて、剥離や上に置いた黒紙への裏移り等の欠陥を目視にて評価した。
○(合格):剥離、裏移り等の画像欠損がない
△(合格):剥離、裏移りが肉眼では認識できず実用上問題ないレベル
×(不合格):剥離、裏移り等の画像欠損が肉眼ではっきり認識できる
Figure 2017122185
以上から、本発明の白色顔料は、白色度及び隠蔽性が高く、画像安定性、耐ドキュメントオフセット性に優れることが示された。
1 無機粒子
2 ノニオン系界面活性剤
3 重合体
4 空隙
5 分散液
10 複合粒子(白色顔料)

Claims (6)

  1. 無機粒子を含有する白色顔料であって、
    前記無機粒子の表面が、重合体によって被覆され、
    前記重合体と前記無機粒子との間に空隙を有することを特徴とする白色顔料。
  2. 前記無機粒子が、酸化チタンを含有することを特徴とする請求項1に記載の白色顔料。
  3. 前記無機粒子が、反応性のノニオン系界面活性剤を介して、前記重合体と結合した粒子であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の白色顔料。
  4. 白色顔料を含有する静電荷像現像用トナーであって、
    前記白色顔料が、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の白色顔料であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  5. 無機粒子を含有する白色顔料の製造方法であって、
    (工程A)反応性のノニオン系界面活性剤と、前記無機粒子とを含有する分散液を調製する工程と、
    (工程B)前記工程Aで調製された前記分散液に重合性単量体を添加する工程と、
    (工程C)前記工程Bで前記重合性単量体が添加された前記分散液を、前記ノニオン系界面活性剤の曇点以上の温度に加熱することで前記重合性単量体を重合し、前記無機粒子の表面を重合体によって被覆する工程と、
    を有することを特徴とする白色顔料の製造方法。
  6. 前記工程Aにおいて、前記反応性のノニオン系界面活性剤の曇点未満の温度とした前記無機粒子の分散液を予め調製し、前記反応性のノニオン系界面活性剤を添加し、かつ、分散することを特徴とする請求項5に記載の白色顔料の製造方法。
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