JP2017121608A - 脱保護反応を利用したカルボン酸金属塩塗膜の製造方法 - Google Patents

脱保護反応を利用したカルボン酸金属塩塗膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】複数の塗液を使用せずに、1液でカルボン酸の金属塩を含有する塗膜を製造することができる塗膜の製造方法を提供する。【解決手段】カルボン酸の金属塩を含有する塗膜を製造する方法であって、前記塗膜を形成する塗膜形成材料として(A)酸部位が保護されたカルボン酸化合物、(B)金属化合物、(C)脱保護触媒、(D)希釈溶媒を含有する材料を用いることを特徴とする。(C)脱保護触媒として好ましくは、pKa9以下の酸および/またはその塩、もしくは該酸および/またはその塩を発生しうる化合物を用いる。【選択図】なし

Description

本発明は、カルボン酸金属塩塗膜の製造方法、好適にはポリ(メタ)アクリル酸金属塩塗膜の製造方法に関する。
今日、フィルムまたはシート状の基材にハードコート性や帯電防止性、ガスバリア性などの各種の機能層が形成された機能性フィルムまたはシートが利用されている。この機能層を形成する材料の一つにカルボン酸の金属塩、特に(メタ)アクリル酸の金属塩が挙げられる。(メタ)アクリル酸金属塩は、カルボン酸アニオン−金属カチオン間のイオン結合、および金属そのものに由来する特性を有する化合物であり、(メタ)アクリル酸のナトリウム塩やカリウム塩は分散性、吸水性を有することから、水系分散剤、洗剤や吸水性樹脂の原料として、また、亜鉛塩は高硬度、高弾性、ガスバリア性を有することからタイヤやゴルフボール等のゴム、ガスバリアフィルムの原料として、広く利用されている。他にも、マグネシウム、カルシウム、銅、アルミニウム等の(メタ)アクリル酸塩等が工業品としてあるいは試薬として入手可能である。
(メタ)アクリル酸金属塩の重合体であるポリ(メタ)アクリル酸金属塩、特に金属種が多価であるポリ(メタ)アクリル酸多価金属塩は主にガスバリアフィルムとして用いられている。ポリ(メタ)アクリル酸金属塩を含有する塗膜の製造方法として、塗工液の状態でポリ(メタ)アクリル酸に金属化合物を加えて中和し、あらかじめポリ(メタ)アクリル酸金属塩の溶液を作製しておく方法がある。この方法は1価の金属化合物の場合には問題にならないが、多価金属化合物の場合は、中和度が高まるにつれてカルボキシラートと多価金属イオンとの疑似架橋形成が進行するため、溶媒には不溶のポリ(メタ)アクリル酸金属塩が析出してしまう。
上記の問題を避けるため、特許文献1では工程上での工夫がなされている。すなわち、基材フィルム上に1層目のポリアクリル酸膜を形成し、さらにその上に2層目の多価金属化合物膜を積層し、加湿下で金属イオンを拡散させることでポリアクリル酸塩の塗膜を作製している。この場合、塗工液は2液となり、工程が煩雑であるように思われる。
国際公開第2003/091317号パンフレット
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、工程上ではなく塗工液側を工夫することで、カルボン酸の金属塩の中でも特にポリ(メタ)アクリル酸金属塩の塗膜を1液で製造する方法を課題とするものである。
本発明の目的は、下記(1)〜(6)により達成される。
(1)カルボン酸の金属塩を含有する塗膜を製造する方法であって、前記塗膜を形成する塗膜形成材料として(A)酸部位が保護されたカルボン酸化合物、(B)金属化合物、(C)脱保護触媒、(D)希釈溶媒を含有する材料を用いることを特徴とする塗膜の製造方法。
好ましくは、上記(C)脱保護触媒はpKa9以下の酸および/またはその塩、もしくは該酸および/またはその塩を発生しうる脱保護触媒である。
好ましくは化学構造の一部にスルホン酸部位、パーフルオロアルキル部位、パーフルオロリン部位、アンチモン部位を含む構造を有する脱保護触媒である。
(2)前記塗膜形成材料を基材に塗布した後、形成された被膜を加熱することでカルボン酸の金属塩を生成することを特徴とする(1)に記載の塗膜の製造方法。
(3)前記塗膜の製造過程において、被膜を加熱した後に被膜を湿熱下にさらすことを特徴とする(1)又は(2)に記載の塗膜の製造方法。
(4)前記カルボン酸金属塩がポリ(メタ)アクリル酸金属塩であることを特徴とする(1)〜(3)の何れか1項に記載の塗膜の製造方法。
(5)前記(B)金属化合物が多価金属化合物であることを特徴とする(1)〜(4)の何れか1項に記載の塗膜の製造方法。
(6)前記(B)金属化合物の含有量が、(A)酸部位が保護されたカルボン酸化合物の脱保護反応が完結した際に生じるカルボン酸を10%以上中和するのに必要な量であることを特徴とする(1)〜(5)の何れか1項に記載の塗膜の製造方法。
本発明の塗膜の製造方法によれば、複数の塗工液を使用せず、1液でポリ(メタ)アクリル酸金属塩の塗膜を作製することができるという優れた生産性向上効果が発現する。
本発明の塗膜の製造方法は、前記したように、塗膜形成材料として(A)酸部位が保護されたカルボン酸化合物、(B)金属化合物、(C)脱保護触媒、(D)希釈溶媒を含有する材料を用いることを特徴とする。
上記(A)酸部位が保護されたカルボン酸化合物としては、例えば、ポリt−ブチル(メタ)アクリレート、ポリメチルアダマンチル(メタ)アクリレート、イソプレンの無水マレイン酸付加物をt-ブチルアルコールでエステル化して得られたポリマーなどが挙げられるが、本発明はかかる例示のみに限定されるわけではない。それぞれ単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよいが、好ましくはポリt−ブチル(メタ)アクリレートである。保護基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステルは対応するモノマーである(メタ)アクリル酸エステルを重合することで合成することができる。一種類の(メタ)アクリル酸エステルモノマーを単独で重合してもよいし、二種以上を併用して重合してもよいし、保護基を有さない(メタ)アクリル酸エステルモノマーを併用して重合してもよい。
前記(B)金属化合物としては、例えば、苛性ソーダ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムなどが挙げられるが、本発明はかかる例示に限られるものではない。一価の金属化合物である苛性ソーダよりは多価の金属化合物である酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムが好ましく、特にこのましいのは酸化亜鉛である。その他の金属種としてカルシウム、バリウム、スズ、ニッケル、コバルト、ストロンチウムなども挙げられる。金属酸化物は一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を併用してもよい。金属化合物の添加量としては、(A)酸部位が保護されたカルボン酸化合物の脱保護反応が完結した際に生じるカルボン酸を10%以上中和するのに必要な量が好ましい。10%未満の場合は金属種由来の性能が発現しない可能性がある。
金属化合物は粒径が1μm以下の微粒子であることが好ましく、また、超音波ホモジナイザー等で塗工液中に均一に分散させ、サスペンジョンとして使用することが好ましい。
前記(C)脱保護触媒としては、酸部位が保護されたカルボン酸化合物の脱保護反応を触媒しうる化合物であれば特に限定されないが、好ましくは、pKa9以下の酸および/またはその塩、もしくは該酸および/またはその塩を発生しうる化合物である。または化学構造の一部にスルホン酸部位、パーフルオロアルキル部位、パーフルオロリン部位、アンチモン部位を含む構造を有する脱保護触媒である。なお、pKa9以下の酸および/またはその塩、もしくは該酸および/またはその塩を発生しうる化合物であり、且つ化学構造の一部にスルホン酸部位、パーフルオロアルキル部位、パーフルオロリン部位、アンチモン部位を含む構造を有する脱保護触媒であることが特に好ましい。
pKa9以下の酸および/またはその塩、もしくは該酸および/またはその塩を発生しうる化合物について詳述する。
pKa9以下の酸および/またはその塩としては、例えばp−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛などが挙げられるが、本発明はかかる例示にのみ限定されるものではない。また、pKa9以下の酸および/またはその塩を発生しうる化合物としては、例えば、熱カチオン重合開始剤であるサンエイドSI−80L、SI−100L(三新化学社製)などが挙げられるが、本発明はかかる例示にのみ限定されるものではない。これらの脱保護触媒はそれぞれ単独で用いてもよく、二種類以上を併用してもよい。これらの脱保護触媒の中で、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛、サンエイドSI−80Lが好ましい。
脱保護触媒の添加量としては、(A)保護基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステルに対して0.1〜5.0質量%が好ましく、0.1〜3.0質量%が特に好ましい。0.1質量%未満の場合は脱保護反応の触媒としては不十分であり、反対に5質量%より多い場合は、得られる塗膜の性能が低下するおそれがある。
上記(D)希釈溶媒としては、(A)酸部位が保護されたカルボン酸化合物および(C)脱保護触媒を溶解しうる溶剤であれば何でもよく、例えば酢酸エチル、トルエン、クロロホルム等が挙げられるが、本発明はかかる例示にのみ限定されるものではない。また、一種類の希釈溶媒を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。希釈溶媒としては酢酸エチルが好ましい。
希釈溶媒の添加量は、使用する酸部位が保護されたカルボン酸化合物および脱保護触媒の希釈溶媒に対する溶解性にもよるが、組成物全量基準で、好ましくは20〜90質量%、より好ましくは50〜80質量%である。
本発明において、該組成物の固形分濃度は、10〜80質量%、好ましくは20〜50質量%である。本発明において、「固形分濃度」とは、希釈溶媒、その他の揮発する溶媒以外の成分(合計量)の質量%を意味するものとする。
このようにして得られる組成物は、通常さらに他の成分と配合され、塗工液とされる。以下に詳述する。
本発明で使用する塗工液には、本発明の効果を阻害しない範囲内において、必要に応じて、他の重合体(例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、キトサンなど)、グリセリン、増粘剤、無機層状化合物、分散剤、界面活性剤、柔軟剤、熱安定剤、酸化防止剤、酸素吸収剤、着色剤、アンチブロッキング剤、単官能モノマー、多官能モノマー、反応性ポリマー、重合開始剤、その他のカルボン酸金属塩などを含有させることができる。
単官能モノマーとしては、例えば、イソボルニルアクリレートや2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどのアクリル酸エステルが挙げられるが、本発明はかかる例示にのみ限定されるものではない。
単官能モノマーの添加量は、ポリ(メタ)アクリル酸金属塩100質量部に対して、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、特に好ましくは10質量部以下であり、添加量の下限値は、ポリ(メタ)アクリル酸金属塩100質量部に対して、好ましくは0.001質量部である。
多官能モノマーとしては、例えば、特願2015−165399記載の化合物が挙げられるが、本発明はかかる例示にのみ限定されるものではない。
多官能モノマーの添加量は、ポリ(メタ)アクリル酸金属塩100質量部に対して、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、特に好ましくは10質量部以下であり、添加量の下限値は、ポリ(メタ)アクリル酸金属塩100質量部に対して、好ましくは0.001質量部である。
反応性ポリマーとしては、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ブタジエンアクリレートなどが挙げられるが、本発明はかかる例示にのみ限定されるものではない。
反応性ポリマーの添加量は、ポリ(メタ)アクリル酸金属塩100質量部に対して、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、特に好ましくは10質量部以下であり、添加量の下限値は、ポリ(メタ)アクリル酸金属塩100質量部に対して、好ましくは0.001質量部である。
重合開始剤としては、光重合開始剤と熱重合開始剤とが挙げられる。熱重合開始剤には、電離放射線の照射により活性化するアゾ化合物や過酸化物も含まれる。
光重合開始剤としては、例えば、特願2015−165399記載の化合物が挙げられるが、本発明はかかる例示にのみ限定されるものではない。
これらの光重合開始剤を硬化性組成物中に添加する場合には、硬化性組成物中に、通常0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%の割合で添加する。光重合開始剤とともに、その他の増感剤、光安定剤などの汎用の添加剤を添加してもよい。
熱重合を行う場合には、熱解離して開始剤としての機能を発揮する熱重合開始剤を使用することが好ましい。熱重合開始剤としては、例えば、特願2015−165399記載の化合物が挙げられるが、本発明はかかる例示にのみ限定されるものではない。
熱重合開始剤を使用する場合には、硬化性組成物中に、通常0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%の割合で添加する。
その他のカルボン酸金属塩としては、酢酸亜鉛、コハク酸亜鉛、(メタ)アクリル酸亜鉛などが挙げられるが、本発明はかかる例示にのみ限定されるものではない。
本発明の塗膜は、上記塗工液をシート状の基材上に塗布し、加熱した後、好ましくは湿熱下にさらすことで得られる。
基材としては、特に限定されないが、紙及びプラスチックフィルム(シートを含む)が好ましく用いられる。基材は、一般に、フィルムまたはシートの形態で使用されるが、所望によりプラスチック容器などの立体形状を有する成形体であってもよい。この他の基材として、ガラス板、金属板、アルミニウム箔などを挙げることができる。本発明の硬化性組成物を塗布するのに使用する基材は、塗膜の支持体として機能する。
基材のプラスチックフィルムを構成するプラスチックの種類としては、例えば、特願2015−165399記載のプラスチックが挙げられるが、本発明はかかる例示にのみ限定されるものではない。
基材としては、これらプラスチック類からなる未延伸フィルムまたは延伸フィルムが好ましい。プラスチックフィルムには、必要に応じて、エッチング、コロナ放電、プラズマ処理、電子線照射などの前処理を施したり、接着剤を予め塗布したりすることができる。プラスチックフィルムの表面に、ケイ素酸化物、酸化アルミニウム、アルミニウム、窒化ケイ素などの無機物;金属化合物などの薄膜が、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法により形成されたものを基材として用いることができる。基材として使用するプラスチックフィルムの表面には、印刷が施されていてもよい。プラスチックフィルムは、複数のプラスチックフィルムからなる多層フィルムや紙などの他の材質のものとの積層フィルムであってもよい。
本発明の塗工液を基材上に塗布するには、該基材の片面または両面に、スプレー法、ディッピング法、コーターを用いた塗布法、印刷機による印刷法など任意の塗工法を利用することができる。コーターや印刷機を用いて塗布する場合には、例えば、特願2015−165399記載のプラスチックが挙げられるが、本発明はかかる例示にのみ限定されるものではない。
本発明では、基材上に該塗工液を塗布した後、形成された被膜を加熱することでポリ(メタ)アクリル酸の金属塩が生成される。そのメカニズムは定かではないが、形成された被膜を加熱することで希釈溶媒を揮発させると同時に、ポリ(メタ)アクリル酸エステルの脱保護反応が進行し、生じたポリ(メタ)アクリル酸と金属化合物との中和反応が進行することによってポリ(メタ)アクリル酸の金属塩が生成するものと推察される。また、加熱後に被膜を湿熱下にさらすことで、被膜中での金属種の拡散が活発になり、中和反応が加速するものと推察される。
加熱条件は、保護基の種類や脱保護触媒の触媒能にもよるが、温度は100℃〜200℃、時間は数秒〜120分で加熱することが好ましい。100℃未満では脱保護反応に多くの時間を要してしまい、反対に200℃以上では基材であるプラスチックフィルムを傷めてしまうおそれがある。量産性の観点からは、加熱時間は数秒〜10分であることが好ましい。その他、本発明の効果を阻害しない範囲で、UV光や電子線などの電離放射線を照射してもよい。電離放射線としては、例えば、特願2015−165399記載の種類、および、照射方法が挙げられるが、本発明はかかる例示にのみ限定されるものではない。
また、養生のために室温〜100℃で数分〜2週間の後加熱を行ってもよい。
硬化膜の厚みは、通常0.001μm〜1mm、好ましくは0.01〜100μm、より好ましくは0.1〜10μmの範囲となるように調整することが好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.ポリt−ブチルメタクリレートの作製(調製例1)
冷却管、温度センサー、窒素吹き込み管、および、撹拌羽を取り付けた500mLのセパラブルフラスコに、t−ブチルメタクリレート(三菱レーヨン製、商品名「TBMA」)10g、酢酸エチル85gを加え、窒素を100mL/minで導入しながら撹拌した。湯浴で加熱し、内温が55℃になった時点で、あらかじめ重合開始剤2,2‘−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)0.1gを酢酸エチル5gに溶解させておいた溶液を投入し、重合反応を開始した。内温が60℃となるように湯浴を調整しながら、120分間反応を行った。得られたポリt−ブチルメタクリレートの分子量はMn6700、Mw13800であった。
2.塗工液の調製
サンプル瓶にポリt−ブチルメタクリレートの酢酸エチル溶液(不揮発分10%)2g、酸化亜鉛微粒子(CI化成、粒径38nm)0.057gを添加した。超音波ホモジナイザーを用いて酸化亜鉛微粒子を分散させ、サスペンジョンとした。さらに熱カチオン重合開始剤SI−80L(三新化学)0.012gを加え、溶解させることで塗工液を得た。
3.塗膜の作製
シリコン基板上に塗工液を塗布した後、ホットプレート上で160℃2分間加熱した。さらに85℃85%の環境下に3時間さらし、塗膜を得た。
4.脱保護反応進行の確認
脱保護反応はシリコン板を用いたFT−IRの透過法で確認を行った。すなわち、脱保護反応が進行するにつれて、カルボン酸エステルに起因する1730cm−1付近のピーク、および、t−ブチル基に起因する840cm−1付近のピークが減少し、代わりにカルボン酸に起因する1690cm−1付近のピークおよび3000〜3500cm−1付近のブロードなピークが増大することを利用して確認した。
5.中和反応進行の確認
中和反応はシリコン板を用いたFT−IRの透過法で確認を行った。すなわち、中和反応が進行するにつれて、カルボン酸に起因する1690cm−1付近のピークが減少し、代わりにカルボン酸金属塩に起因する1560cm−1付近のピークが増大することを利用して確認した。
まず、酸化亜鉛微粒子の含まれていない塗工液を用いて、脱保護触媒の選定を行った。
結果を表1に示す。pKaが9以上であるフェノールは脱保護触媒として働かないことがわかる(製造例1)。また、トリフルオロメタンスルホン酸は超強酸であるため、溶液状態において室温で脱保護反応が進行し、白濁したものと推察される(製造例2)。
Figure 2017121608
〇:脱保護反応が50%以上進行
△:脱保護反応が0〜50%進行
×:脱保護反応が進行しない
次に、酸化亜鉛微粒子を含有する塗工液にて脱保護反応および中和反応の確認を行った。結果を表2に示す。被膜を加熱することによって脱保護反応および中和反応を進行させることができた。また、加熱後に湿熱下にさらすことで、中和反応が促進した(製造例10〜製造例16)。脱保護触媒としてサンエイドSI−80Lを用いて作製した塗膜の中和度は98%であった(製造例15)。
Figure 2017121608
<脱保護反応>
〇:脱保護反応が50%以上進行
△:脱保護反応が0〜50%進行
×:脱保護反応が進行しない
<中和反応>
〇:中和反応が20%以上進行
△:中和反応が0〜20%進行
×:中和反応が進行しない

表1及び表2の結果から本発明の効果を確認できた。
すなわち、本発明の製造方法により、1液でポリメタクリル酸亜鉛膜を作製することができた。
本発明の製造方法は、カルボン酸金属塩の塗膜、特にポリ(メタ)アクリル酸金属塩膜の製造方法として好適である。また、本発明の製造方法によって得られた塗膜は、例えば、塗料、ガスバリア材料、ハードコート材料などに使用することが期待されるものである。

Claims (6)

  1. カルボン酸の金属塩を含有する塗膜を製造する方法であって、該塗膜を形成する塗膜形成材料として(A)酸部位が保護されたカルボン酸化合物、(B)金属化合物、(C)pKa9以下の酸および/またはその塩、もしくは該酸および/またはその塩を発生しうる化合物である脱保護触媒、または化学構造の一部にスルホン酸部位、パーフルオロアルキル部位、パーフルオロリン部位、アンチモン部位を含む構造を有する脱保護触媒、(D)希釈溶媒を含有する材料を用いることを特徴とする塗膜の製造方法。
  2. 前記塗膜形成材料を基材に塗布した後、形成された被膜を加熱することでカルボン酸の金属塩を生成することを特徴とする請求項1記載の塗膜の製造方法。
  3. 前記塗膜の製造過程において、被膜を加熱した後に被膜を湿熱下にさらすことを特徴とする請求項1又は2に記載の塗膜の製造方法。
  4. 前記カルボン酸金属塩がポリ(メタ)アクリル酸金属塩であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の塗膜の製造方法。
  5. 前記(B)金属化合物が多価金属化合物であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の塗膜の製造方法。
  6. 前記(B)金属化合物の含有量が、(A)酸部位が保護されたカルボン酸化合物の脱保護反応が完結した際に生じるカルボン酸を10%以上中和するのに必要な量であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の塗膜の製造方法。
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