JP5602529B2 - 積層体の製法、ガラス基板付き偏光板の製法、およびそれにより得られたガラス基板付き偏光板 - Google Patents

積層体の製法、ガラス基板付き偏光板の製法、およびそれにより得られたガラス基板付き偏光板 Download PDF

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Description

本発明は、接着性に優れたポリビニルアルコール(以下、「PVA」という)系樹脂体とガラス板からなる積層体の製法、ガラス基板付き偏光板の製法、およびそれにより得られた厚みの薄いガラス基板付き偏光板に関するものである。
高分子材料とガラス板とを接着させる手段としては、従来から、接着剤が用いられている。しかし、上記高分子材料がPVA系樹脂の場合、ガラス板との表面特性が相違しているため、両者を良好に接着する接着剤は非常に少なく、これら積層体の設計自体困難であった。
また、上記PVA系樹脂およびガラス板は、ともに耐薬品性、耐熱性、光学特性等の特性に優れた物質であるが、両者を接着するに際して接着剤を用いた場合、PVA系樹脂とガラス板との積層体全体の特性がその接着剤の能力によって制限されてしまい、上記特性が充分に得られないケースがある。このようなことから、両者の接着には、上記接着剤等を介することなく直接接着させることが要望されている。
このような要望に対して、例えば、ビニル系樹脂等のプラスチック体とガラス板等を接着させる方法として、プラスチック体の接着面に特定強度のエネルギー線(紫外線、コロナ放電、電子線、イオン線)を照射した後、ガラス板等の被着物と接着させる方法が提案されている(特許文献1参照)。
特開2004−268383号公報
しかしながら、上記特許文献1にて提案の接着方法により得られたPVA系樹脂体/ガラス板の積層体の接着強度は未だ充分といえるものではなく、さらなる接着強度の向上が要望されている。そして、このような状況の下、接着強度を向上させる方法として、PVA系樹脂体が水等の液体と接触している状態でエネルギー線を照射して接着させる方法が提案されているが、上記液体がPVA系樹脂の特性を低下させる可能性があり、また煩雑な操作を必要とするという問題を有している。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、煩雑な操作を要することなく、接着強度に優れたPVA系樹脂体とガラス板からなる積層体の製法、ガラス基板付き偏光板の製法、およびそれにより得られた厚みの薄いガラス基板付き偏光板の提供をその目的とする。
そこで本発明者らは、PVA系樹脂体に対する表面処理方法として、種々の処理方法を検討するとともに、処理対象となるPVA系樹脂体そのものについても同時に検討を重ねた。その結果、上記PVA系樹脂体として、特定範囲の含有量のビニルアルコール構造単位を含有するものを用いることを想起し、このような特定のPVA系樹脂体を用いた場合における接着性の向上を図る目的で、種々の処理方法を検討した結果、各種処理方法の中でも、プラズマ表面処理が効果的であることを突き止め、本発明に到達した。すなわち、特定範囲のビニルアルコール構造単位を含有するPVA系樹脂体を用いた場合の表面処理方法として、プラズマ処理を施すことにより、PVA系樹脂体とガラス板とを圧着させてなるPVA系樹脂体/ガラス板からなる積層体が、高い接着性を備えるようになることを見出し、本発明に到達した。
このように、本発明は、PVA系樹脂体とガラス板からなる積層体の製法であって、上記PVA系樹脂体として、ビニルアルコール構造単位の含有量が70〜90モル%であるPVA系樹脂体を準備し、その樹脂体の表面をプラズマ処理した後、上記プラズマ処理面とガラス板とを圧着させPVA系樹脂体とガラス板との積層体を製造する積層体の製法を第1の要旨とする。
すなわち、本発明は、PVA系樹脂としてビニルアルコール構造単位の含有量が70〜90モル%であるものを選択し、数多くの表面処理方法から、特にプラズマ処理を選択し、これらを組み合わせることによって、ガラス板との良好な接着性という特異的な効果が得られたことを見出したものである。
これは、特定量のビニルアルコール構造単位を含有するPVA系樹脂体をプラズマ処理することによって、上記PVA系樹脂体の表面が、ガラス板との優れた接着性が得られる状態に活性化されたことによるものであると推測される。
また、本発明は、偏光子の片面に、ビニルアルコール構造単位の含有量が30〜90モル%であるPVA系樹脂層を形成する工程と、上記PVA系樹脂層表面をプラズマ処理する工程と、上記プラズマ処理されたPVA系樹脂層とガラス基板とを圧着させ積層する工程とを備えたガラス基板付き偏光板の製法を第2の要旨とする。
そして、本発明は、上記ガラス基板付き偏光板の製法により得られたガラス基板付き偏光板であって、偏光子の一方の面に接着剤層を介して保護フィルム層が積層形成され、他面に、ビニルアルコール構造単位の含有量が30〜90モル%であるPVA系樹脂層を介してガラス基板が積層されてなるガラス基板付き偏光板を第3の要旨とする。
このように、本発明は、ビニルアルコール構造単位の含有量が70〜90モル%であるPVA系樹脂体を準備し、その樹脂体の表面をプラズマ処理した後、上記プラズマ処理面とガラス板とを圧着させPVA系樹脂体とガラス板との積層体を作製するものである。このため、高い接着性を備えたPVA系樹脂体とガラス板からなる積層体を、煩雑な工程を経由することなく容易に得ることが可能となる。
また、本発明は、偏光子の片面に、ビニルアルコール構造単位の含有量が30〜90モル%であるPVA系樹脂層を形成し、ついで上記PVA系樹脂層表面をプラズマ処理した後、上記プラズマ処理されたPVA系樹脂層とガラス基板とを圧着させ積層することによりガラス基板付き偏光板を作製するものである。このため、ガラス基板面に粘着剤層を介さず、偏光子を積層することが可能となり、従来のガラス基板側の接着剤層、保護フィルム、およびガラス基板との接着に用いられる接着剤あるいは粘着剤層等を省略することができることから、ガラス基板付き偏光板の厚みの低減化が図られる。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に限定されるものではない。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の積層体の製法は、PVA系樹脂体とガラス板からなる積層体を製造するに際して、特定のPVA系樹脂体を準備し、この特定のPVA系樹脂体表面をプラズマ処理した後、上記プラズマ処理面とガラス板とを直接圧着させることを特徴とする。
《PVA系樹脂体》
本発明に用いられる特定のPVA系樹脂体は、特定のPVA系樹脂がフィルムやシート、あるいは層形成されたものである。このような特定のPVA系樹脂は、酢酸ビニル等のビニルエステル系単量体を重合して得られるポリビニルエステルをケン化することにより得られる。
そして、上記特定のPVA系樹脂としては、ビニルアルコール構造単位とビニルエステル構造単位のみからなる、いわゆる未変性PVA系樹脂と、上記各構造単位に加えて他の変性基を含む変性PVA系樹脂の2種類のPVA系樹脂があげられる。そして、本発明では、上記ビニルアルコール構造単位の含有量が30〜90モル%であるPVA系樹脂を用いることを特徴とする。上記ビニルアルコール構造単位の含有量は、好ましくは50〜90モル%であり、特に好ましくは70〜90モル%である。上記ビニルアルコール構造単位の含有量が低すぎると、PVA系樹脂の水溶液としての使用が困難となったり、偏光子に対する接着性が不充分となる。また、上記ビニルアルコール構造単位の含有量が高すぎると、ガラス板との接着性が不充分となる。
なお、上記未変性PVA系樹脂の場合におけるビニルアルコール構造単位の含有量は、ケン化度を示すこととなる。一方、上記変性PVA系樹脂の場合におけるビニルアルコール構造単位の含有量は、100−(酢酸ビニル構造単位含有量+変性基量)にて導出される値となる。
このような特定のPVA系樹脂の中でも、さらなる接着性の向上を図る目的で、各種官能基を有する変性PVA系樹脂を用いることが好ましい。特にアセトアセチル基変性PVA系樹脂を用い、これに架橋剤を併用することにより、耐水性、強度等に優れたPVA系樹脂体を得ることができる。
上記変性PVA系樹脂は、共重合反応による変性PVA系樹脂の製造に際して、変性基(官能基)を付与するための各種単量体を用いることにより得られる。上記単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のα−オレフィン類:3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、3,4−ジヒドロキシ−1−ブテン等、およびそのアシル化物等の誘導体水酸基含有α−オレフィン類:アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等、およびその塩、モノエステル、あるいはジアルキルエステル等の不飽和カルボン酸:エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等、およびその塩等の不飽和スルホン酸:アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等の不飽和ニトリル:ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和アミド:アルキルビニルエーテル類、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、ビニルエチレンカーボネート、2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン、グリセリンモノアリルエーテル、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン等の各種ビニル化合物:さらに、酢酸イソプロペニル、1−メトキシビニルアセテート、塩化ビニリデン、ビニレンカーボネート等のその他の化合物等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
そして、後反応によって導入される官能基としては、例えば、カルボキシル基、アセトアセチル基、ポリアルキレンオキサイド基、ヒドロキシアルキル基、シアノエチル基、アセタール基等があげられる。
なお、未変性PVA系樹脂、および上記官能基を有する変性PVA系樹脂は、それぞれ単独で用いることもできるが、重合度、ケン化度、官能基種、および官能基の含有量が異なる複数のPVA系樹脂を併用することも可能である。なお、その際のPVA系樹脂のケン化度は、平均値が本発明の規定範囲内であればよい。
上記変性PVA系樹脂における変性量は、通常0.1〜20モル%であり、例えば、アセトアセチル基の場合、特に1〜10モル%であることが好ましく、殊に好ましくは3〜8モル%である。上記変性量が多すぎると、水溶性が低下したり、溶液の安定性が低下する傾向がみられ、変性量が少なすぎると、耐水性が不充分となったり、充分な架橋速度が得られなくなる傾向がみられる。
先に述べたように、アセトアセチル基変性PVA系樹脂を用いる場合、架橋剤を併せて用いることが好ましく、例えば、つぎに示す各種架橋剤を用いることができる。
アルデヒド化合物:ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等のモノアルデヒド化合物、グリオキザール、マロンジアルデヒド、グルタルアルデヒド等のジアルデヒド化合物、グリオキシル酸ナトリウム、グリオキシル酸カルシウム、グリオキシル酸亜鉛等のグリオキシル酸塩等、
多価金属化合物:アルミニウム原子、亜鉛原子、鉄原子、ジルコニウム原子、チタン原子、ガリウム原子、インジウム原子、ルテニウム原子、ハフニウム原子を含有する化合物等、
ジルコニウム化合物:フッ化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、臭化ジルコニウム、ジルコニウム酸、ジルコニウム酸塩、塩化ジルコニル、塩基性塩化ジルコニル、硫酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、炭酸ジルコニル、炭酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、酢酸ジルコニル、ステアリン酸ジルコニル、オクチル酸ジルコニル、クエン酸ジルコニル、乳酸ジルコニル、シュウ酸ジルコニル、リン酸ジルコニル、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムモノアセチルアセトネート、ジルコニウムビスアセチルアセトネート、ジルコニウムモノエチルアセトアセテート、ジルコニウムアセテート等、
アミン化合物:エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、N−アミノエチルピペラジン、ビスアミノプロピルピペラジン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン等の脂肪族ポリアミン、
3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4'−ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ノルボルナンジアミン等の脂環式ポリアミン、
4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミン、2、4’−トルイレンジアミン、メタキシリレンジアミン等の芳香族ジアミン、
アミノ基変性PVA系樹脂、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン等のアミノ基含有水溶性ポリマー、
ヒドラジン化合物:ヒドラジン、ヒドラジンの塩酸,硫酸,硝酸,亜硫酸,リン酸,チオシアン酸,炭酸等の無機酸塩、およびギ酸,シュウ酸等の有機酸塩類、ヒドラジンのメチル,エチル,プロピル,ブチル,アリル等の一置換体、1,1−ジメチル,1,1−ジエチル等の対称二置換体等のヒドラジン誘導体、
カルボヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、ジグリコール酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン、7,11−オクタデカジエン−1,18−ジカルボヒドラジド、ポリアクリル酸ヒドラジド、N−アミノポリアクリルアミド、N−アミノアクリルアミド/アクリルアミド共重合体等のヒドラジド化合物等、
アルデヒド化合物:ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、クロトンアルデヒド、ベンズアルデヒド等のモノアルデヒド類、グリオキザール、グルタルアルデヒド、マロンジアルデヒド、テレフタルアルデヒド、ジアルデヒド澱粉等のジアルデヒド類、
その他の架橋剤:シラン化合物、メチロール基含有化合物、エポキシ化合物、チオール化合物、イソシアネート化合物、ポリアミド樹脂等。
これら架橋剤は単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
中でも、優れた耐水性が得られる点から、アルデヒド化合物が好ましく、さらに、アセトアセチル基変性PVA系樹脂と混合した水溶液の安定性の点からグリオキシル酸塩が好ましく用いられる。
上記架橋剤の配合量は、通常、PVA系樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部であり、特に好ましくは1〜30重量部、さらに好ましくは3〜20重量部である。上記架橋剤の配合量が多すぎると、PVA系樹脂の水溶液に配合した場合、その粘度安定性が低下する傾向がみられ、架橋剤の配合量が少なすぎると、架橋剤による効果(耐水性等)が充分に得られない。
本発明に用いられるPVA系樹脂の重合度は、通常300〜4000、特に好ましくは500〜3000、殊に好ましくは1000〜2000である。上記重合度が高すぎると、PVA系樹脂の水溶液として使用する場合、粘度が高くなり過ぎて作業性が低下する傾向がみられ、重合度が低すぎると、PVA系樹脂体とガラス板との接着層(接着部分)の強度が不足する傾向がみられる。
上記PVA系樹脂体は、フィルムやシート、あるいは他の基材上に形成された層のような薄膜状であることが好ましく、例えば、フィルムやシートの場合、その厚みは、通常5〜500μmであり、特に好ましくは10〜300μm、殊に好ましくは20〜200μmである。また、基材上に形成された層の場合、その厚みは、通常0.01〜50μmであり、特に好ましくは0.05〜10μm、殊に好ましくは0.1〜5μmである。
上記PVA系樹脂体としてフィルム、あるいはシートを用いる場合、これらは、例えば、つぎのようにして製造することができる。(1)PVA系樹脂の水溶液を調製し、この水溶液を金属製加熱ベルト、またはドラム上に流延し、乾燥することにより製造することができる(溶液流延法)。(2)PVA系樹脂を押出機にて溶融混練し、所望の厚みとなるように押出成形し製膜することにより製造することができる(押出し法)。
また、他の基材上に層としてPVA系樹脂体を形成する場合は、PVA系樹脂を水溶液とし、これを基材上に塗布、乾燥する方法を用いることができる。上記水溶液の塗布方法としては、例えば、ロールコーター法、エアードクター法、ブレードコーター法、噴霧法、浸漬法、スピンキャスト法等があげられる。
《ガラス板》
上記PVA系樹脂体と接着積層されるガラス板としては、各種ガラス板があげられ、例えば、ソーダ石灰ガラス(ソーダガラス)、白板ガラス(ソーダ系ガラス)、ホウ珪酸ガラス(ボロシリケートガラス)、アルカリ亜鉛ホウ珪酸ガラス、高歪点ガラス(PDP用ガラス)、合成石英ガラス、無アルカリガラス、極薄無アルカリガラス(日本電気硝子社製「OA−10」などのロール状ガラス)、ケミカルエッチングにより作成した薄型板ガラス(ミクロ技術研究所製の曲げられるガラス)、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、線入り板ガラス、強化ガラス等があげられる。
上記ガラス板の厚みとしては、通常0.05〜20mmであり、特に好ましくは0.1〜10mm、殊に好ましくは0.1〜5mmである。
《プラズマ処理》
つぎに、上記PVA系樹脂体表面に施されるプラズマ処理について詳しく述べる。
上記プラズマ処理に際しては、例えば、加圧プラズマ、常圧プラズマ、減圧プラズマ、真空プラズマ等の公知の装置を用いることができるが、通常は常圧プラズマ装置が用いられる。上記常圧プラズマ装置は、対向する電極間に、高周波電圧を印加して放電させることにより、反応性ガスをプラズマ状態とし、PVA系樹脂体表面をこのプラズマ状態の反応性ガスに晒すことによって、PVA系樹脂体表面を改質するための装置である。
上記常圧プラズマ装置としては、被処理体であるPVA系樹脂体を挟むように対向配置された電極間に高周波電力を加えて、供給される反応性ガスをプラズマ化するダイレクト方式、プラナー方式と呼ばれる方式と、反応性ガスを高周波電圧が加えられた電極の間を通して導入し、プラズマ化するリモート式、ダウンストリーム方式と呼ばれる方式とがある。
そして、上記常圧プラズマ装置を用いて、高周波電圧が加えられた2対の対向電極間に、反応性ガスを導入、通過させてプラズマ化し、これをPVA系樹脂体表面に噴射供給することによりPVA系樹脂体表面を活性化処理するのである。
このようなプラズマ処理を用いた処理条件に関して、その処理強度は、通常0.1〜100W/cm2であり、特には0.2〜80W/cm2が好ましく、殊には0.5〜50W/cm2が好ましい。上記処理強度が低すぎると、PVA系樹脂体の表面改質効果が弱く、充分な接着性が得られ難い。また、上記処理強度が高すぎると、PVA系樹脂体表面が劣化する可能性がある。
また、その処理を連続で行う場合の処理速度は、通常1〜10000mm/sであり、特には10〜7000mm/sが好ましく、殊には100〜5000mm/sが好ましい。上記処理速度が速すぎると、表面改質の効果が不充分で、充分な接着性が得られ難く、上記処理速度が遅すぎると、PVA系樹脂体表面が劣化する可能性がある。
上記プラズマ処理における雰囲気条件としては、窒素、酸素、アルゴン、ヘリウム等の種々の反応性ガスを利用することができる。なかでも、環境面、排気の後処理、ランニングコストの観点から窒素が好ましく、さらには窒素に微量の酸素を混合することが好ましい。そして、酸素を混合する際の混合比率は、原料ガスである窒素ガスの体積に対して2体積%以下が望ましい。
上記プラズマ処理の雰囲気ガスの流量としては、通常、プラズマ照射の有効幅1m当たり1〜5000L/分であり、特に好ましくは2〜2500L/分である。上記流量が少なすぎると、安定的にプラズマが発生し難く、逆に上記流量が多すぎると、ガス使用量が多くなり、ランニングコストに問題が生じる傾向がみられる。
また、上記プラズマ処理に際して、プラズマの噴射供給を行う吹き出しスリットとPVA系樹脂体設置台との距離は、通常0.1〜6mmであり、特に好ましくは0.2〜5mm、殊に好ましくは0.5〜4mmである。上記距離を近づけすぎると、PVA系樹脂体表面に接触し、損傷させる危険性が生じ、上記距離を離しすぎると、PVA系樹脂体表面の改質効果が弱くなる傾向がみられる。
本発明は、特定のPVA系樹脂体にプラズマ表面処理を施すことを特徴とするものであるが、上記処理に加えて、紫外線、電子線、イオン線等のエネルギー線を照射する表面処理を併用することも可能である。特に紫外線源としては、D2ランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、Xeランプ、Hg−Xeランプ、ハロゲンランプ、アーク放電、コロナ放電、無声放電による放電ランプ、あるいはエキシマレーザー、Ar+レーザー、Kr+レーザー、N2レーザー等のレーザー発振装置等が好ましく用いられる。
上記エネルギー線照射による表面処理は、装置の構成により、プラズマ表面処理の前、後、あるいは同時のいずれでも可能である。
また、本発明においてはPVA系樹脂体とともに被着体であるガラス板の表面を同様にプラズマ処理、および他の処理を行うことも好ましい実施態様である。これは、表面処理によってガラス板表面の不純物等が除去されて清浄化されたり、あるいは活性化されることによるものと推測される。
なお、プラズマ処理されたPVA系樹脂体は表面が活性化された状態にあるが、その環境によっては経時で活性化状態が低下したり、不純物が付着して、ガラス板表面との接着を阻害する場合がある。よって、プラズマ処理から、次工程の圧着・積層工程までの時間は、できるだけ短くすることが望ましい。また、プラズマ処理されたPVA系樹脂体を、表面活性化状態が保持されるように、真空下、あるいは不活性ガス雰囲気下におくことも好ましい実施態様である。
《圧着・積層工程》
そして、本発明では、上記特定のPVA系樹脂体表面、および必要に応じてガラス板表面をプラズマ処理した後、上記プラズマ処理面とガラス板とを直接圧着させることによりPVA系樹脂体とガラス板からなる積層体を製造する。
上記圧着工程における圧力としては、圧力が、通常0.1〜500N/cm2であり、特に好ましくは1〜150N/cm2、殊に好ましくは5〜100N/cm2である。上記圧力が低すぎると、充分な接着性が得られ難く、上記圧力が高すぎると、PVA系樹脂が劣化・変形したりガラス板が割れたりする可能性がある。
上記圧着工程における雰囲気温度は、通常0〜200℃であり、特に好ましくは20〜150℃、殊に好ましくは30〜100℃である。雰囲気温度が低すぎると、充分な接着性が得られ難く、雰囲気温度が高すぎると、PVA系樹脂体が変形してしまう可能性がある。
上記圧着作業時間としては、通常0.1〜3600秒であり、特に好ましくは1〜2000秒、殊に好ましくは5〜1000秒である。上記圧着作業時間が長すぎると、PVA系樹脂体が劣化・変形する可能性があり、実際に製造する際の作業が効率的でない。また、上記圧着作業時間が短すぎると、充分な接着性が得られ難い傾向がみられる。
このような圧着工程において使用される装置としては、例えば、プレス機、ロールラミネーター、平板ガラス用ラミネーター(大成ラミネータ社製「MA−700」など)、曲面ガラスラミネーター(大成ラミネータ社製「CS−1110GL」など)、加圧式真空ラミネーター(ニチゴー・モートン社製「V−160」「V−130」など)、フィルム搬送加圧式真空ラミネーター(ニチゴー・モートン社製「CV−300」など)、枚葉式の貼りあわせ装置(ウシオ電機社製マイクロTAS接着装置「SUS−504」など)、真空貼りあわせ装置(芝浦メカトロニクス社製「真空貼りあわせ装置」など)、各種半導体ウエハー用ボンダー(EVG社製「統合型ボンダー」「SOIボンダー」など)等があげられ、特にガラス板とPVA系樹脂体の位置あわせをしながら連続的に加圧圧着できる装置が好ましい。
《ガラス基板付き偏光板》
上述のPVA系樹脂体とガラス板からなる積層体の製法を、ガラス基板と偏光子との接着積層に利用してガラス基板付き偏光板を製造することができる。
本発明のPVA系樹脂体とガラス板からなる積層体の製法を利用して作製されるガラス基板付き偏光板は、その片面に接着剤層を介して保護フィルムが積層された偏光子が、特定のPVA系樹脂層を介してガラス基板に積層された構成をとる。
上記偏光子への保護フィルムの積層は、偏光子をガラス基板と積層する前でも、積層した後でも構わないが、偏光子の保護の観点から予め保護フィルムを積層しておくことが好ましく、以下、その方法について説明する。
《特定のPVA系樹脂層》
上記特定のPVA系樹脂層形成材料としては、先に述べた特定のPVA系樹脂体形成材料と同様のものが用いられる。上記PVA系樹脂層としては、PVA系樹脂をフィルムやシートとした後、偏光子等と積層して層を形成しても、PVA系樹脂の水溶液を偏光子に塗布、乾燥して層を形成したものであってもよい。また、その樹脂層厚みも、先に述べたと同様、フィルムやシートの場合には、通常5〜500μmであり、特に好ましくは10〜300μm、殊に好ましくは20〜200μmである。また、塗布、乾燥して得られた層の場合、通常0.01〜50μmであり、特に好ましくは0.05〜10μm、殊に好ましくは0.1〜5μmである。
《偏光子》
上記偏光子としては、各種材料からなるものを使用することができるが、例えば、原材料としてPVA系フィルムを用い、これを膨潤、染色、延伸、架橋、乾燥等の工程を経由させることにより得ることができる。なかでも、PVA系フィルムにヨウ素や二色性色素等の二色性材料を吸着させて一軸延伸した偏光子(偏光フィルム)が好適に用いられる。上記偏光子(偏光フィルム)の厚みは、通常0.1〜100μm、特に好ましくは0.5〜80μm、さらに好ましくは1〜60μmである。
《保護フィルム》
上記偏光子(偏光フィルム)は、通常その片面に接着剤層を介して積層される保護フィルムが積層されるが、これは、いわゆる偏光子(偏光フィルム)の有する問題点である高湿度下での耐久性不足を補うために形成されるものであり、さらに、上記保護フィルムには透明性、機械強度、熱安定性、水分遮蔽性、光学的等方性等が求められる。
上記保護フィルム形成材料としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース等のセルロースエステル系樹脂;セルロースアシレートブチレート、セルロースアシレートプロピオネートに代表される混合脂肪酸セルロースアシレート;ノルボルネン系樹脂等の環状オレフィン系樹脂;ポリメタクリル酸メチル等のポリ(メタ)アクリル酸エステル;ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリスチレンやアクリロニトリル−スチレン共重合体等のポリスチレン系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂等があげられる。中でも、トリアセチルセルロース(TAC)が好適に用いられる。
そして、上記保護フィルムに対しては、偏光子との接着に際して用いられるPVA系樹脂を主成分とする接着剤に対する接着性の向上を目的に、偏光子との接着面となるフィルム表面に対して表面処理を行なうことが好ましい。例えば、保護フィルムがセルロースエステル系樹脂からなるフィルムの場合は、上記フィルムに対してアルカリ液を用いたケン化処理による表面処理方法があげられる。また、上記フィルムが環状オレフィン系樹脂からなるフィルムの場合は、上記フィルムに対してコロナ放電処理やプラズマ処理による表面処理方法があげられる。
上記保護フィルムの厚みは、通常は、偏光子の基材として強度を付与する目的から、偏光子よりも厚く設定される。具体的には、通常10〜100μm、好ましくは20〜80μmである。
《偏光子に保護フィルムを接着するための接着剤》
上記偏光子の片面に保護フィルムを接着する際に用いられる接着剤としては、各種接着剤材料が用いられるが、両者の形成材料を考慮しその接着性からPVA系樹脂を用いることが好ましい。さらには、耐水性(耐湿寸法安定性)が要求される点から、上記PVA系樹脂を架橋剤によって架橋させることが好ましい。具体的には、アセトアセチル基変性PVA系樹脂に架橋剤を配合した接着剤が好適に用いられる。
上記アセトアセチル基変性PVA系樹脂としては、その重合度は、通常200〜3000であり、特に好ましくは300〜2000、さらに好ましくは500〜1500である。また、ケン化度は、通常70〜100モル%であり、特に好ましくは80〜99モル%、さらに好ましくは90〜98モル%である。そして、上記アセトアセチル基の変性量は、通常0.1〜20モル%であり、特に好ましくは0.5〜10モル%、さらに好ましくは1〜5モル%である。
上記架橋剤としては、前述のアセトアセチル基変性PVA系樹脂に配合される架橋剤と同様のものが用いられる。中でもアルデヒド化合物が好ましく、特にグリオキシル酸塩が好ましい。
上記接着剤を用いて形成される接着剤層の厚みは、通常0.01〜10μmであり、特に好ましくは0.05〜5μmである。
《偏光板の作製》
片面に接着剤層を介して保護フィルムが積層された偏光子(偏光フィルム)からなる偏光板は、通常、偏光子(偏光フィルム)の片面に、上記接着剤層形成材料である接着剤の水溶液を均一に塗布して、これに保護フィルムを貼り合わせた後、圧着して加熱乾燥することにより偏光板が作製される。
上記接着剤の水溶液の塗布方法としては、例えば、ロールコーター法、エアードクター法、ブレードコーター法、噴霧法、浸漬法、スピンキャスト法、あるいは接着面に所定量滴下した後、被着体を押圧して広げる方法等があげられる。
また、上記保護フィルムを貼りあわせた後、圧着する方法としては、例えば、ロールラミネーター等の前述の加圧圧着装置を用いる方法があげられる。
上記圧着条件としては、例えば、圧力0.1〜10MPaの範囲とすることが好ましい。そして、上記加熱乾燥条件は、加熱温度に関しては通常30〜150℃であり、特に好ましくは40〜100℃、殊に50〜85℃である。また、加熱乾燥時間に関しては、通常1〜60分間であり、特に好ましくは3〜30分間、さらに好ましくは3〜10分間である。
《ガラス基板付き偏光板の作製》
本発明において、上記偏光板を用いたガラス基板付き偏光板は、例えば、つぎのようにして作製することができる。すなわち、偏光子の保護フィルムが積層されていない面に、特定範囲のビニルアルコール構造単位を有する前述のPVA系樹脂層を形成する。ついで、この特定のPVA系樹脂層表面に対して先に述べたと同様の条件にてプラズマ処理した後、このプラズマ処理面とガラス基板とを圧着させることによりガラス基板付き偏光板を作製することができる。
上記プラズマ処理の処理条件、さらにその後の圧着・積層工程における各種条件に関しては、前述のPVA系樹脂体とガラス板からなる積層体の製法の場合と同様である。
なお、上記ガラス基板と偏光子との接着層となるPVA系樹脂層は、前述の通り、PVA系樹脂をフィルムやシートとした後、偏光子と積層して層を形成したものであっても、PVA系樹脂の水溶液を偏光子に塗布、乾燥して層を形成したものであってもよい。
特にフィルムやシートを用いる場合には、フィルムの両面に本発明のプラズマ処理を施し、これを偏光子とガラス基板に挟んで圧着する方法を採用することができる。
このようにして得られるガラス基板付き偏光板は、ガラス基板面に粘着剤層を介さずに、保護フィルムを接着積層された偏光子が、上記特定のPVA系樹脂層を介して圧着積層されている。このため、従来のようにガラス基板側に形成されていた保護フィルムを省略することができ、ガラス基板付き偏光板の厚みの低減化が図られる。
《その他の用途》
上述のPVA系樹脂体とガラス板からなる積層体の製法は、上述のガラス基板付き偏光板以外にも、様々な用途に適用することが可能である。このような用途としては、例えば、ガラス板に対する保護膜の形成、ガラス板と紙や木質素材を貼り合わせてなる積層体における接着剤層、さらにマイクロ流路チップ、細胞培養用ガラス、マイクロバイオリアクター、マイクロアレイ実験用スライドグラス等の微細加工されたガラス基板、およびその製造過程におけるパターン作成用保護膜、等があげられる。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」、「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
〔実施例1〜2、比較例1〜2〕
後記の表1に示すPVA系樹脂を準備し、PVA系樹脂の5%水溶液を調製した。そして、この5%水溶液をポリエチレンテレフタレート(PET)上に流延し、23℃,50%RH雰囲気下で3日間風乾して、厚み100μmのPVA系樹脂フィルムを作製した。
得られたPVA系樹脂フィルム(38mm×38mm)のガラス板との接着面を、下記に示す条件にてプラズマ処理した。
<プラズマ処理条件>
装置 :積水化学社製「常圧プラズマ表面処理装置」
処理強度:28W/cm2
処理速度:1000mm/s
窒素流量:25mL/分
方法 :ダイレクト方式
距離 :1mm(プラズマ噴射供給を行なう吹き出しスリットとフィルム設置台との距離)
つぎに、上記プラズマ処理されたPVA系樹脂フィルムを、その処理面がガラス板(無アルカリガラス、コーニング社製「イーグルXG」、45mm×75mm×厚み1.1mm)と対峙するよう積層し、これをシリコンシートに挟み、表面温度70℃のホットプレート上に置き、その上に10kgの重りを乗せて5分間加熱圧着した。この時の圧力は、6.8N/cm2である。このようにしてPVA系樹脂フィルムとガラス板からなる積層体を作製した。
〔比較例3〕
後記の表1に示すPVA系樹脂を用いるとともにプラズマ処理に代えて、下記に示す条件にて電子線照射処理を行なった。それ以外は実施例1と同様にしてPVA系樹脂フィルムとガラス板からなる積層体を作製した。
<電子線照射条件>
装置 :NHVコーポレーション社製「キュアトロン」
吸収線量:2Mrad
加速電圧:200kV
〔比較例4〕
後記の表1に示すPVA系樹脂を用いるとともに、PVA系樹脂フィルム表面に対して何ら処理を行なわなかった。それ以外は実施例1と同様にしてPVA系樹脂フィルムとガラス板との積層体を作製した。
<接着性評価>
このようにして得られた積層体におけるPVA系樹脂フィルムとガラス板の接着状態を手剥がしにより評価し、以下の通り判定した。その結果を下記の表1に併せて示す。
○:非常に強固に接着している。
△:接着している。
×:全く接着していない。
Figure 0005602529
上記結果から、ビニルアルコール構造単位が特定範囲のPVA系樹脂を用いて作製したPVA系樹脂フィルム表面をプラズマ処理して得られた積層体である実施例品は、非常に強固に接着しており、優れた接着性を示した。これに対して、ビニルアルコール構造単位が特定範囲を外れたPVA系樹脂を用いて作製したPVA系樹脂フィルム表面をプラズマ処理して得られた積層体、あるいは、プラズマ処理に代えて電子線照射処理して得られた積層体、さらには何ら処理を行なわなかった積層体である比較例品に関しては、実施例品に比べて接着性に劣っているか、もしくは全く接着していなかった。
〔実施例3〜4、比較例5〜6〕
<PVA系樹脂フィルムおよびガラス板の両面処理>
後記の表2に示すPVA系樹脂を用い、実施例1と同様にPVA系樹脂フィルムを作製し、実施例1と同様の条件でプラズマ処理するとともに、ガラス板表面も実施例1と同様の条件でプラズマ処理を施し、実施例1と同様の条件で圧着する積層体を作製した。得られた積層体の接着性を前述と同様の方法に従って評価した。
Figure 0005602529
上記結果から、ビニルアルコール構造単位が特定範囲のPVA系樹脂を用いて作製したPVA系樹脂フィルム表面をプラズマ処理するとともに、ガラス板表面もプラズマ処理して得られた積層体である実施例品は、非常に強固に接着しており、優れた接着性を示した。これに対して、ビニルアルコール構造単位が特定範囲を外れたPVA系樹脂を用いて作製したPVA系樹脂フィルム表面をプラズマ処理するとともに、ガラス板表面もプラズマ処理して得られた積層体である比較例品に関しては、実施例品に比べて接着性に劣る評価となった。
《ガラス板付き偏光板の作製》
〔実施例5〕
<偏光子>
重合度2600、ケン化度99.8モル%のPVA系樹脂からなる厚さ50μmのPVAフィルムを30℃の水中に浸漬し、ついでヨウ素0.2g/L、ヨウ化カリウム20g/Lを含有する30℃の染色液に浸漬・延伸、さらにホウ酸50g/L、ヨウ化カリウム50g/Lを含有する53℃のホウ酸処理液に浸漬・延伸して、延伸倍率4.0倍、厚み28μmの偏光子(偏光フィルム)を作製した。
<接着剤>
アセトアセチル基含有PVA(平均重合度1200、ケン化度99.2モル%、変性度5モル%)の5%水溶液100部に、架橋剤としてグリオキシル酸Naを10部配合することにより接着剤を調製した。
<片面保護偏光フィルムの作製>
上記偏光子の片面上に、接着面を覆うのに必要充分量の上記接着剤を滴下し、これに厚み80μmのトリアセチルセルロースからなる保護フィルムを貼り合わせ、0.33MPaの圧力をかけてラミネートし、70℃で10分間乾燥することにより片面保護偏光フィルムを作製した。
<ガラス板との接着>
つぎに、後記の表3に示すPVA系樹脂を用いて10%PVA水溶液を調製した。そして、上記片面保護偏光フィルムの偏光子がむき出しとなった面に、1mmのアプリケーターにて、上記10%PVA水溶液を塗布した後、加熱乾燥して厚み100μmのPVA系樹脂層を形成した。ついで、このPVA系樹脂層面に対して、前記PVA系樹脂フィルムとガラス板からなる積層体の製造と同様の実施例1の処理条件にてプラズマ処理を施し、これと、先と同様のガラス板(無アルカリガラス、コーニング社製「イーグルXG」、45mm×75mm×厚み1.1mm)とを積層し、この積層体をシリコンシートに挟み、表面温度60℃のテストプレス機にて85N/cm2の圧力で圧着することによりガラス板付き偏光板を作製した。
〔比較例7〕
PVA系樹脂層表面に対して何ら処理を行なわなかった。それ以外は実施例5と同様にしてガラス板付き偏光板を作製した。
〔比較例8〕
後記の表3に示すPVA系樹脂を用いた。それ以外は実施例5と同様にしてガラス板付き偏光板を作製した。
<接着性評価>
このようにして得られたガラス板付き偏光板におけるPVA系樹脂層とガラス板の接着状態を手剥がしで評価し、以下の通り判定した。その結果を下記の表3に併せて示す。
○:非常に強固に接着している。
△:接着している。
×:全く接着していない。
Figure 0005602529
上記結果から、ビニルアルコール構造単位が特定範囲のPVA系樹脂を用い、かつPVA系樹脂層表面をプラズマ処理して得られたガラス板付き偏光板である実施例品は、非常に強固に接着しており、優れた接着性を示した。これに対して、何ら処理を行なわなかったガラス板付き偏光板、および、ビニルアルコール構造単位が特定範囲を外れたPVA系樹脂を用いて作製したガラス板付き偏光板である比較例品に関しては、全く接着していなかった。
本発明により得られるPVA系樹脂体とガラス板からなる積層体は、接着剤等を介することなく両者を接着することが可能となり、しかも優れた接着性を備えている。したがって、これを利用して液晶表示装置におけるガラス基板の片面もしくは両面に、保護フィルムが接着積層された偏光子(偏光フィルム)を、プラズマ処理されたPVA系樹脂層を介して接着することが可能となる。

Claims (6)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂体とガラス板からなる積層体の製法であって、上記ポリビニルアルコール系樹脂体として、ビニルアルコール構造単位の含有量が70〜90モル%であるポリビニルアルコール系樹脂体を準備し、その樹脂体の表面をプラズマ処理した後、上記プラズマ処理面とガラス板とを圧着させポリビニルアルコール系樹脂体とガラス板との積層体を製造することを特徴とする積層体の製法。
  2. 上記圧着条件が、0.1〜500N/cm2である請求項1記載の積層体の製法。
  3. 偏光子の片面に、ビニルアルコール構造単位の含有量が30〜90モル%であるポリビニルアルコール系樹脂層を形成する工程と、上記ポリビニルアルコール系樹脂層表面をプラズマ処理する工程と、上記プラズマ処理されたポリビニルアルコール系樹脂層とガラス基板とを圧着させ積層する工程とを備えたことを特徴とするガラス基板付き偏光板の製法。
  4. 請求項3記載のガラス基板付き偏光板の製法により得られたガラス基板付き偏光板であって、偏光子の一方の面に接着剤層を介して保護フィルム層が積層形成され、他面にビニルアルコール構造単位の含有量が30〜90モル%であるポリビニルアルコール系樹脂層を介してガラス基板が積層されてなることを特徴とするガラス基板付き偏光板。
  5. 上記接着剤層がアセトアセチル基変性ポリビニルアルコール系樹脂に架橋剤を配合してなる形成材料により形成されたものである請求項4記載のガラス基板付き偏光板。
  6. 上記保護フィルムがセルロースエステル系樹脂からなる請求項4または5記載のガラス基板付き偏光板。
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