JP2010197820A - 偏光板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】偏光板の製造工程において、透明基板と偏光子とを接着剤を用いて貼合する際に、接着剤層に気泡や空隙が生じず、また偏光子の外周縁から接着剤が大きくはみ出ることのないようにする。
【解決手段】透明基板1の片面側に、液状の接着剤4を所定パターンに塗布する。接着剤4の塗布パターンは、偏光子3との接合領域40の略中央に塗布中心点41を形成し、塗布中心点41から3本以上の線を延出させる。そして、隣り合う2本の線のなす角はいずれも180°未満であるようにする。ここで、接着剤層に気泡や空隙を一層生じさせないようにする観点からは、塗布中心点41から延出した線を8本以上とするのが好ましい。
【選択図】図2
【解決手段】透明基板1の片面側に、液状の接着剤4を所定パターンに塗布する。接着剤4の塗布パターンは、偏光子3との接合領域40の略中央に塗布中心点41を形成し、塗布中心点41から3本以上の線を延出させる。そして、隣り合う2本の線のなす角はいずれも180°未満であるようにする。ここで、接着剤層に気泡や空隙を一層生じさせないようにする観点からは、塗布中心点41から延出した線を8本以上とするのが好ましい。
【選択図】図2
Description
本発明は、偏光子と透明基板とを接着剤を介して直接貼り合わせた偏光板の製造方法に関するものである。
これまで、偏光板として、ポリビニルアルコール(PVA)フィルムに二色性色素を含浸させた後、延伸するなどして得た偏光子の両面に、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムなどの支持フィルムを貼合したものが広く使用されている。
一方、大型表示装置として透過型液晶表示素子を内蔵した投射型表示装置が業務用及び家庭用に急速に普及しつつある。そしてこの透過型液晶表示素子には偏光板が用いられている。このような投射型表示装置において近年高輝度化が進み、それに伴って強力な光を放出する光源が用いられるようになってきた。しかし、支持フィルムとしてTACフィルムを用いた偏光板は、強力な光に暴露されると、TACフィルムの変色が急速に進行するため、投射型表示装置の使用寿命を左右する要因の一つとなっていた。
そこで、例えば特許文献1では、TACフィルムに換えて無機透明基板(以下、単に「透明基板」と記すことがある)を偏光子の支持部材として、偏光子に接着剤で直接貼合する技術が提案されている。石英ガラス・水晶・サファイアなどの透明基板を支持部材とすると、強い光の照射によっても変色は生じず耐久性が向上する。
ところが、透明基板と偏光子を貼合する際、透明基板は脆いため、TACフィルムなどのフィルム状部材と異なって、撓らせながら偏光子に貼り合わせることができない。平面基板どうしを接着剤で貼り合わせる方法としては、例えば、一方の平面基板に液状接着剤を滴下し、もう一方の平面基板を重ね合わせて加圧し、液状接着剤を展開させた後、接着剤を硬化させる方法が用いられる(例えば特許文献2を参照)。
しかしながら、図7に示すように、透明基板1の略中央に液状接着剤4を滴下した後(同図(a))、透明基板1と偏光子3とを重ね合わせて液状接着剤4を展開させても(同図(b))、液状接着剤4は偏光子3の四隅にまでは行き渡らず(同図(c))、また液状接着剤層に気泡や空隙、厚みムラが生じることがある。このような不具合を抑制するには、液状接着剤4を透明基板1に均一に塗布することが考えられるが、透明基板1と偏光子3とを重ね合わせまで液状接着剤4の均一な塗布状態を保持することは通常は困難であり、透明基板1と偏光子3との重ね合わせの際に気泡や空隙が残ることがあった。
本発明の目的は、偏光板の製造工程において、透明基板と偏光子とを接着剤を用いて貼合する際に、接着剤層に気泡や空隙が生じず、また偏光子の外周縁から接着剤が大きくはみ出ることのないようにすることにある。
本発明者は上記目的を達成するため鋭意検討した結果、接着剤を面状に均一に塗布するのではなく、任意の1点から放射する形状に接着剤を塗布することにより、接着剤層に気泡や空隙が生じず、十分な外観品質を有する偏光板が製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る製造方法は、透明基板と偏光子とを接着剤を介して直接貼り合わた偏光板の製造方法であって、前記透明基板又は前記偏光子に、所定パターンで接着剤を塗布する第1工程と、前記透明基板と前記偏光子とを前記接着剤を介して貼り合わせる第2工程とを有し、前記所定パターンが、任意の1点から3本以上の線が延出し、隣り合う2本の線のなす角がいずれも180°未満であることを特徴とする。
ここで、接着剤層に気泡や空隙を一層生じさせないようにする観点からは、前記任意の1点から延出した線を8本以上とするのが好ましい。
また、前記任意の一点を設ける位置としては、前記偏光子が長方形状の場合、前記偏光子の長辺から短辺の1/4の長さ内方側で、前記長辺に平行な直線と、前記偏光子の短辺から長辺の1/4の長さ内方側で、前記短辺に平行な直線とで囲まれた領域内が好ましい。
さらに、前記第2工程は減圧下で行うのが好ましい。
そしてまた、前記接着剤としては熱硬化性接着剤又は光硬化性接着剤を用い、第2工程の後に、加熱又は光照射して前記接着剤を硬化させる第3工程をさらに設けるのが好ましい。
本発明の製造方法では、接着剤を面状に均一に塗布する必要がないので、簡易な塗布装置を用いることができる。これにより製造設備の簡素化及び製造時間の短縮化が図れる。また、接着剤層に気泡や空隙が生じず、また偏光子の外周縁から接着剤が大きくはみ出ることがない。さらに、透明基板が接着剤に対し十分な濡れ性を示さず、接着剤のはじきが塗布後に徐々に生じる場合にも対応できる。これにより、透明基板及び接着剤の選択組み合わせの自由度が高まる。
以下、本発明に係る偏光板の製造方法について図に基づいてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。
図1は、本発明に係る偏光板の製造方法の一例を示す工程図である。以下、各工程について順に説明する。
ハンドリング性を向上させるために、一方面側に、自己粘着性を有するプロテクトフィルム81,83が貼合され、他方面側に、接着剤5によってセパレートフィルム9が貼合された偏光子3を所定形状に裁断加工した後、偏光子3を含む積層体からセパレートフィルム9を剥がし取り(同図(a))、露出した接着剤5によって透明基板2を貼合する(同図(b))。なお、プロテクトフィルム81,83のそれぞれは、基材フィルム81a,83aと粘着層81b,83bとから積層構成されている。
次に、偏光子3に貼合したプロテクトフィルム81,83を剥がし取る(同図(c))。そして、偏光子3と透明基板2との接合体を乾燥炉に入れ、所定温度で所定時間放置し乾燥させる。これにより偏光子3の水分量が所定値以下に調節される。
次いで、もう一方の透明基板1の片面側に、液状の接着剤4を所定パターンに塗布する(同図(d))。図2に、接着剤4の塗布パターンの一例を示す。図2は、透明基板1の平面図であって、破線で示す領域が偏光子3との接合領域40である。この図に示す接着剤4の塗布パターンは、偏光子3との接合領域40の略中央に塗布中心点41が形成され、その塗布中心点41から接合領域40の四隅に向かって4本の線42a,42b,42c,42dが延出し、さらに偏光子3の4辺の略中央に向かって4本の線42e,42f,42g,42hが延出した塗布パターンである。このように、接着剤4の塗布パターンを、塗布中心点41から3本以上の線が延出し、隣り合う2本の線のなす角がいずれも180°未満とすることによって、透明基板1と偏光子3とを重ね合わせて接着剤4を展開させたときに、偏光子3の角部まで接着剤4を行き渡らせることができるようになる。また、接着剤層に気泡や空隙を生じさせることがない。なお、本実施形態では透明基板1側に接着剤4を塗布しているが、偏光子3側に接着剤4を塗布してももちろん構わない。
図2に示す塗布パターンでは、塗布中心点41から延出する線を8本としているが、塗布中心点41から延出する線の本数は3本以上であれば特に限定はなく、偏光子3の大きさや形状等を考慮して適宜決定すればよい。ただし、偏光子3の全面に接着剤4を一層均一且つ円滑に行き渡らすためには、塗布中心点41から延出する線の本数は、本実施形態で示すような8本又はそれ以上とするのが好ましい。
また、塗布中心点41の位置は、通常は偏光子3との接合領域40の内部であり、好ましくは接合領域40の中央部である。例えば製造装置における重ね合わせ角度精度が正確でなく、接着剤4の展開に偏りが生じる場合などには、図3に示すように、塗布中心点41を偏光子3の中央部から移動させて接着剤3の展開の均一化を図ってもよい。ただし、図4に示すように、塗布中心点41の位置は、偏光子3が長方形(長辺の長さm,短辺の長さn)の場合、偏光子3の長辺から長さ1/4n内方側で、長辺に平行な直線L1,L2と、偏光子3の短辺から長さ1/4m内方側で、短辺に平行な直線L3,L4とで囲まれた領域S内に設けるのが好ましい。
前記塗布パターンに接着剤4を塗布するには、例えば、定量吐出装置であるディスペンサと3軸ロボットとを組み合わせた塗布装置を用いればよい。ディスペンサとしては、例えば岩下エンジニアリング株式会社製ADシリーズや武蔵エンジニアリング株式会社製MLシリーズ等が挙げられ、これらの中から、接着剤の粘度や硬化方式、フィラー等の添加物有無などを勘案して、使用するディスペンサを決定すればよい。ディスペンサはエア式の他、スクリュー式やジェット式であっても使用できる。一方、3軸ロボットとしては、アクチュエーターを3軸以上組み合わせたものであればよく、例えば、既製の簡易的な3軸ロボットである岩下エンジニアリング株式会社製EzROBOシリーズのような卓上ロボットが好適に使用できる。接着剤の塗布方法としてはこの他、凹版・凸版を用いて接着剤を基板に印刷塗布する方法であってもよい。
ここで使用する液状の接着剤4としては、無溶剤系の接着剤が好適に使用される。例えば、工業的にはUV硬化型接着剤や熱硬化型・2液混合型接着剤が、硬化のタイミングを制御しやすいことから好適に使用される。
次に、図1(e)に示すように、接着剤4を塗布した面を偏光子3に向けて、透明基板1を偏光子3に減圧下で貼り合わせる。貼合時の雰囲気圧力は通常は500Pa以下が好ましく、より好ましくは100Pa以下、さらに好ましくは30Pa以下、最も好ましくは10Pa以下である。
このとき、透明基板1及び透明基板2のそれぞれ接合後の内側面にコロナ処理等の表面処理を施しておくと濡れ性が向上し、後述する封止剤の空隙内への浸入が速やかに行われるようになり好ましい。
偏光子3と透明基板1とを接合した後、雰囲気圧力を、減圧前の元の圧力又はそれよりも高い圧力に上げるのが望ましい。最も望ましい雰囲気圧力は100kPa程度であるが、減圧槽にかかる力の変動を小さくする観点から、好ましくは、減圧槽全体の雰囲気圧力を50kPa程度まで昇圧した後、100kPa程度まで昇圧するなど、徐々に昇圧する方法が工業生産には適している。なお、雰囲気圧力を接合時よりも高くすると、接合時における偏光子3と透明基板1との間での空隙の発生及び空隙の拡大が抑制される傾向があることから好ましい。
そして図1(f)に示すように、所定圧まで昇圧した後、接着剤4が硬化型接着剤である場合には、紫外線照射や加熱によって接着剤4を硬化させる。なお、接着剤4及び接着剤5をいずれも粘着剤から構成した場合には、偏光子3のうねりを吸収することが難しくなり、透明基板1,2が可撓性を有しないときは真空泡が発生するおそれがある。このため、接着剤4及び接着剤5の少なくとも一方は流動性を有する接着剤を用いることが推奨される。この流動性を有する接着剤は、加熱等により数十万Pa/s以下の粘度となるものであればよい。
次に、必要により、偏光子3の外周縁、すなわち、透明基板1と透明基板2との間隙に封止剤を塗布し、これによって、大気中の水分が偏光子3に浸入するのを抑制するようにしてもよい。封止剤としては、従来公知のものを使用できるが、加工時には流動性を有し、加工後には硬化して封止機能を持つものが好ましい。例えば、紫外線硬化型樹脂や熱硬化型樹脂、又は両方の作用で硬化する樹脂などが好適に使用できる。このような封止剤としては、具体的には、エチレン・酸無水物共重合体(エポキシ樹脂系接着剤(例えばセメダイン社製熱硬化性エポキシ樹脂EP582、ADEKA社製 紫外硬化性エポキシ樹脂KR695A、スリーボンド社製 紫外硬化性エポキシ樹脂TB3025G、ナガセケムテックス社製 紫外硬化性樹脂XNR5516Z)、ウレタン樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤などの熱硬化性接着剤、シリコーン樹脂(例えば、紫外線硬化型シリコーン、シリル基末端ポリエーテルを有する変成シリコーン樹脂)、シアノアクリレート、アクリル樹脂などの紫外線硬化性接着剤などが例示される。
さらに必要により、透明基板1,2の空気と接する外面には、使用する光の波長に応じた反射防止処理を施してもよい。反射防止処理としては、例えば、スパッタ法や真空蒸着法による誘電体多層膜の形成によるもの、コーティングによる一層以上の低屈折率層の付与などによる方法が挙げられる。さらに、反射防止面には、表面に汚れが付着することを防止するための防汚処理が付与されていてもよい。防汚処理としては、例えば、反射防止性能にほとんど影響を与えない程度のフッ素を含む薄膜層を表面に形成することが挙げられる。
本発明で使用する透明基板1,2としては、例えば非晶質基板や結晶基板、樹脂基板などが好適に使用できる。非晶質基板としては、例えば白板ガラス、青板ガラス、石英ガラス等が挙げられる。結晶基板としては、例えば水晶、サファイア、スピネル、YAG結晶、蛍石等が挙げられる。樹脂基板としては、ゼオノア(登録商標)、アートン(登録商標)、ポリカーボネート、アクリル等の一般的な透明樹脂基板が挙げられる。これ以外にも、透明体で且つ偏光子の変形により生じる反りを後加工に影響を与えないレベルに抑えるだけの厚みを有する前提において、マグネシアなどの無機焼結体も好ましく用いることができる。以上例示した基板の中でも、厚さ0.3mm以上の白板ガラス、石英ガラス、水晶・サファイアが特に好ましく用いられる。
本発明で使用する偏光子3としては、ポリビニルアルコール(PVA)系の樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン/酢酸ビニル(EVA)樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等の基材に、二色性染料又はヨウ素を吸着配向されたものが挙げられる。これらの中でも、PVA系樹脂を基材として使用した偏光子3の場合に、本発明の製造方法は好適に用いられる。
PVA系樹脂を基材とする偏光子3はH型偏光子とK型偏光子とに大別される。H型偏光子は、延伸処理したPVA系樹脂に二色性を示すヨウ素や染料などを付加し、ホウ酸によりPVA鎖を架橋してなる。一方、K型偏光子は、PVA系樹脂を脱水することにより主鎖に二重結合を生じさせ、偏光子とするものである。どちらの偏光子も本発明の製造方法に好適に用いることができるが、製造がより容易で、工業的に一般に用いられているH型偏光子の製造方法について以下簡単に説明しておく。
PVA系樹脂には、ポリ酢酸ビニルの部分又は完全ケン化物であるポリビニルアルコール;ケン化EVA樹脂などの酢酸ビニルと他の共重合可能な単量体(例えば、エチレンやプロピレンのようなオレフィン類、クロトン酸やアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸のような不飽和カルボン酸類、不飽和スルホン酸類、ビニルエーテル類等)との共重合体のケン化物;ポリビニルアルコールをアルデヒドで変性したポリビニルホルマールやポリビニルアセタール等が包含される。
PVA系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%程度、好ましくは98モル%以上である。またPVA系樹脂の重合度は、通常1,000〜10,000程度、好ましくは1,500〜5,000程度である。
上記基材を製膜したものが樹脂フィルムである。基材を製膜する方法に特に限定はなく、従来公知の方法を用いることができる。樹脂フィルムの膜厚は特に限定はないが、通常、10μm〜150μmの範囲である。
PVA系樹脂フィルムの染色は、PVA系樹脂フィルムを色素溶液に浸漬することにより行われる。PVA系樹脂フィルムに色素を吸着させ染色する。染色工程及び次に説明する架橋工程では、染色装置が用いられる。なお、樹脂フィルムは、染色工程の前に水への浸漬処理を施しておくことが好ましい。
色素としては二色性色素が用いられる。具体的には、ヨウ素や二色性染料が用いられる。二色性色素としては、PVA系樹脂フィルムに吸着配向しやすく、耐光性に優れる点から、二色性染料が好ましい。波長依存性の異なる染料を用いることにより、投射型液晶表示装置のブルーチャンネル(Bch)用、グリーンチャンネル(Gch)用、レッドチャンネル(Rch)用のそれぞれの偏光子が作製される。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合、通常、ヨウ素及びヨウ化カリウムを含有する水溶液に樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が用いられる。この水溶液におけるヨウ素の含有量は、通常、水100重量部あたり、0.01〜1重量部の範囲が好ましい。ヨウ化カリウムの含有量は、通常、水100重量部あたり、0.5〜20重量部の範囲が好ましい。染色に用いる水溶液の温度は、通常20〜40℃の範囲が好ましい。また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常20〜1,800秒の範囲が好ましい。
一方、二色性色素として二色性染料を用いる場合、通常、水溶性二色性染料を含む水溶液に樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性染料の含有量は、通常、水100重量部あたり1×10−4〜10重量部の範囲が好ましく、より好ましくは1×10−3〜1重量部の範囲である。また例えば、1×10−2重量部程度以下であってもよい。この水溶液は、硫酸ナトリウムなどの無機塩を染色助剤として含有していてもよい。染色に用いる染料水溶液の温度は、通常20〜80℃の範囲が好ましい。また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常、10〜1,800秒の範囲が好ましい。
二色性染料としては、「液晶表示装置用二色性色素の開発」(栢根ら、住友化学、2002−II、23〜30頁)に記載されている化合物が挙げられる。
二色性染料は、遊離酸の形で用いられてもよいし、アンモニウム塩、エタノールアミン塩、アルキルアミン塩などのアミン塩の形で用いられてもよいが、通常、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩の形で用いられる。かかる二色性染料はそれぞれ単独または2種以上を組み合わせて用いられる。
染色されたPVA系樹脂フィルムは次に架橋処理される。つまり、色素による染色後、PVA系樹脂フィルムをホウ酸処理する。ホウ酸処理は、PVA系樹脂フィルムをホウ酸含有水溶液に浸漬した後に水洗することにより行われる。ホウ酸含有水溶液におけるホウ酸の量は、水100重量部あたり、通常、2〜15重量部の範囲が好ましく、より好ましくは5〜12重量部の範囲である。色素としてヨウ素を用いる場合には、このホウ酸含有水溶液にはヨウ化カリウムを含有させるのが好ましい。ホウ酸含有水溶液におけるヨウ化カリウムの量は、通常、水100重量部あたり0.1〜15重量部の範囲が好ましく、より好ましくは5〜12重量部の範囲である。ホウ酸含有水溶液への浸漬時間は、通常、60〜1,200秒の範囲が好ましく、より好ましくは150〜600秒の範囲、さらに好ましくは200〜400秒の範囲である。ホウ酸含有水溶液の温度は、通常、50℃以上が好ましく、より好ましくは50〜85℃の範囲、さらに好ましくは60〜80℃の範囲である。
ホウ酸処理後の樹脂フィルムの水洗処理は、例えば、ホウ酸処理されたPVA系樹脂フィルムを水に浸漬することにより行われる。水洗処理における水の温度は、通常、5〜40℃の範囲であり、浸漬時間は、通常、1〜120秒の範囲である。水洗後は乾燥処理が施される。乾燥処理は通常、熱風乾燥機や遠赤外線ヒーターを用いて行われる。乾燥処理の温度は30〜100℃の範囲が好ましく、より好ましくは60〜95℃の範囲である。乾燥処理の時間は、通常、60〜600秒の範囲が好ましく、より好ましくは120〜600秒の範囲である。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが本発明はこれらの例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
偏光子として1軸延伸したPVA系樹脂に青領域で優れた二色性を示す黄色染料を吸着させて作製した青チャンネル用偏光板に関する実施例を以下に示す。
偏光子として1軸延伸したPVA系樹脂に青領域で優れた二色性を示す黄色染料を吸着させて作製した青チャンネル用偏光板に関する実施例を以下に示す。
まず、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光子を作製するため、平均重合度が約2,400、ケン化度が99.9モル%以上、厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、乾式で約5倍に一軸延伸し、さらに延伸のための張力をかけた状態で、60℃の純水に1分間浸漬した後、黄色二色性染料/水の重量比が0.05/100の水溶液に74℃で60秒間浸漬した。その後、ホウ酸/水の重量比が8.5/100の水溶液に72℃で300秒間浸漬した。引き続き26℃の純水で20秒間洗浄した後に加熱して、PVAに2色性染料が吸着配向された偏光子を得た。なお、得られた偏光子の厚みは25μmであった。
自己粘着性を有するポリエチレン(PE)系プロテクトフィルムを、得られた偏光子の両側に貼着し、さらに加工機でのハンドリングに対応させるために、ポリエチレンテレフタレート(PET)系プロテクトフィルムによる裏打ちを行った。そして、ロール トウ ロールプロセスによって、裏打ちを行った面と反対側の面のプロテクトフィルムを剥離し、アクリル系粘着剤を厚さ25μmに塗布しセパレートフィルムを貼合した後、19mm×17mmの大きさに裁断加工した。
裁断加工した偏光子の一方面のセパレートフィルムを剥がし取り、前記アクリル系粘着剤層(厚さ25μm)に白板ガラス(大きさ:26mm×23mm、厚さ:0.55mm)を貼合した。この貼合は、貼合ローラーを有する治具によって行った。
白板ガラスと偏光子を貼着した後、偏光子のもう一方面の積層された2枚のプロテクトフィルムを剥がし取り、この剥がし取った面に、無溶媒アクリル系UV硬化型接着剤を図2に示す塗布パターンに塗布された水晶板(大きさ:23mm×21mm、厚さ0.5mm)を貼合した。貼合する際の雰囲気圧力は20Paであり、貼合後80Paまで昇圧し、紫外線を照射して前記接着剤を硬化させた。
以上のようにして作製した偏光板には、目視確認可能な気泡は存在しなかった。また、接着剤のはみ出しも偏光子のある領域から0.3mm以下と十分に少ないものであった。
(比較例1)
粘着剤で貼合されたガラス板と偏光子を、無溶媒アクリル系UV硬化型接着剤が塗布された水晶板に貼合した。この際、塗布パターンを図5の様態にした以外、実施例1と同様にして偏光板を作製した。作製された偏光板には目視確認が可能な直径100μm程度の気泡が見られた。
粘着剤で貼合されたガラス板と偏光子を、無溶媒アクリル系UV硬化型接着剤が塗布された水晶板に貼合した。この際、塗布パターンを図5の様態にした以外、実施例1と同様にして偏光板を作製した。作製された偏光板には目視確認が可能な直径100μm程度の気泡が見られた。
〔比較例2〕
粘着剤で貼合されたガラス板と偏光子を、無溶媒アクリル系UV硬化型接着剤が塗布された水晶板に貼合した。この際、塗布パターンを図6の様態にした以外、実施例1と同様にして偏光板を作製した。作製された偏光板には中央部に目視確認が可能な直径100μm程度の気泡が見られた。
粘着剤で貼合されたガラス板と偏光子を、無溶媒アクリル系UV硬化型接着剤が塗布された水晶板に貼合した。この際、塗布パターンを図6の様態にした以外、実施例1と同様にして偏光板を作製した。作製された偏光板には中央部に目視確認が可能な直径100μm程度の気泡が見られた。
本発明に係る偏光板の製造方法によれば、簡易な塗布装置を用いることができ、製造設備の簡素化及び製造時間の短縮化が図れ、また偏光子の外周縁から接着剤が大きくはみ出ることがなく有用である。
1 透明基板
2 透明基板
3 偏光子
4 接着剤
5 接着剤
9 セパレートフィルム
40 偏光子の接合領域
41 塗布中心点(任意の1点)
42a〜42h 線
81 プロテクトフィルム
83 プロテクトフィルム
2 透明基板
3 偏光子
4 接着剤
5 接着剤
9 セパレートフィルム
40 偏光子の接合領域
41 塗布中心点(任意の1点)
42a〜42h 線
81 プロテクトフィルム
83 プロテクトフィルム
Claims (5)
- 透明基板と偏光子とが接着剤を介して直接貼り合わせられた偏光板の製造方法であり、
前記透明基板又は前記偏光子に、所定パターンで接着剤を塗布する第1工程と、前記透明基板と前記偏光子とを前記接着剤を介して貼り合わせる第2工程とを有し、
前記所定パターンが、任意の1点から3本以上の線が延出し、隣り合う2本の線のなす角がいずれも180°未満であることを特徴とする偏光板の製造方法。 - 前記任意の1点から延出した線が8本以上である請求項1記載の製造方法。
- 前記偏光子が長方形状であり、前記偏光子の長辺から短辺の1/4の長さ内方側で、前記長辺に平行な直線と、前記偏光子の短辺から長辺の1/4の長さ内方側で、前記短辺に平行な直線とで囲まれた領域内に、前記任意の一点を設ける請求項1又は2記載の製造方法。
- 第2工程を減圧下で行う請求項1〜3のいずれか記載の製造方法。
- 前記接着剤が熱硬化性接着剤又は光硬化性接着剤であり、第2工程の後に、加熱又は光照射して前記接着剤を硬化させる第3工程をさらに有する請求項1〜4のいずれか記載の製造方法。
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