JP2017119782A - 水溶性フラックス用洗浄剤組成物 - Google Patents

水溶性フラックス用洗浄剤組成物 Download PDF

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浩一 川下
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Abstract

【課題】水溶性フラックス残渣に対する洗浄性に優れ、半田金属の腐食を抑制できる水溶性フラックス用洗浄剤組成物の提供。
【解決手段】本開示は、下記式(I)で表される水酸化テトラアルキルアンモニウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムから選ばれる少なくとも一つのアルカリ剤(成分A)と、水溶性アミン(成分B)と、下記式(II)で表される水溶性グリコールエーテル化合物(成分C)と、有機酸及び無機酸から選ばれる少なくとも1種の酸のアンモニウム塩(成分D)と、水(成分E)と、を含有する、水溶性フラックス用洗浄剤組成物に関する。
Figure 2017119782

5−O−(EO)n(PO)m−H (II)
【選択図】なし

Description

本開示は、水溶性フラックス用洗浄剤組成物、フラックス残渣の洗浄方法及び電子部品の製造方法に関する。
プリント配線基板に電子部品を表面実装する際、一般に半田付けが行われる。通常、半田付けには、半田及び母材表面の酸化膜を除去する、あるいは半田及び母材表面の再酸化を防止し、十分な半田接続を得る目的でフラックスが使用される。しかしながら、フラックスは腐食性であり、フラックス残渣は、プリント配線基板の品質を低下させる。そのため、フラックス残渣は洗浄除去する場合がある。
従来、表面実装部品の半田接続には、ロジンベースのフラックス(以下、ロジン系フラックスともいう)が広く使用されており、このロジン系フラックスの残渣は、いわゆるフロン等のハロゲン化炭化水素で洗浄されていた。しかし、ハロゲン化炭化水素は、環境に対して極めて有害であることからその使用が規制された。そこで、ロジン系フラックス残渣の洗浄剤として、ハロゲン化炭化水素等に代わる洗浄剤が、種々検討されてきた。
特許文献1には、第四級アンモニウム水酸化物、水溶性アミン、酸又はそのアンモニウム塩及び水を含有する半田腐食を抑制した樹脂マスク層用洗浄剤組成物が、特許文献3及び4には、特定のグリコールエーテル系化合物、ノニオン界面活性剤及びポリオキシアルキレンリン酸エステル系界面活性剤を含有してなるロジン系半田フラックスの洗浄剤が、特許文献5には、特定の非ハロゲン系有機溶剤、アミン系化合物、アミノ基非含有キレート剤及び水を含有する鉛フリー半田フラックス除去用洗浄剤組成物が、特許文献6には、炭素数1〜6のアルコールのアルキレンオキシド付加物、炭素数8〜25のアルコールまたはアルキルフェノールのアルキレンオキシド付加物および第4級アンモニウムハイドライド類を含有する洗浄剤組成物が記載されている。
さらに、環境問題への対策の一つとして、ハロゲン化炭化水素の代わりに水で洗浄することが検討されている。水洗浄が可能なフラックスとして、ロジン系フラックスのような疎水性のものではなく、ポリエーテル系樹脂等に活性剤、溶剤等を添加した水溶性フラックスがある。水溶性フラックスの残渣は吸湿性を有するため、半田接続後に洗浄除去することが必須である。これは洗浄が必須ではないロジン系フラックス残渣とは異なる特徴である。そのため、水溶性フラックス残渣は、通常は水で洗浄されているが、洗浄が充分でない場合があり、近年、水溶性フラックス洗浄剤の検討もされている(特許文献2)。
近年、電子機器の処理速度向上、省エネルギー化、環境汚染物質排出抑制といった観点から、多くの技術革新が行われてきた。その結果、1)半田金属の鉛フリー化、2)配線や半田バンプの微細化、3)機器の軽量化や省資源化のため配線基板等の基板の薄化、の方向へ技術革新が進み、それに伴い新たな課題が生まれてきた。1)半田金属の鉛フリー化の結果、半田金属の融点が上昇しリフロー温度が高温化し、フラックスが劣化や重合化しやすくなり除去しにくくなった。2)配線や半田バンプの微細化の結果、部品間の隙間が狭くなり水や洗浄液が浸透しにくくなりフラックス残渣が残りやすくなった。3)機器の軽量化や省資源化のため配線基板等の基板の薄化の結果、リフローによる加熱により基板に反りが生じやすくなり、反りを抑えるためにフラックスに接着力が求められた結果、フラックス残渣の除去が難しくなった。このような背景により、水溶性フラックスの残渣も水だけでは除去できず、水溶性フラックスに適した洗浄剤が求められるようになった。
特開2015−79244号公報 国際公開第2011/027673号 特開平4−57899号公報 特開平8−73893号公報 国際公開第2009/020199号 特開平6−313189号公報
上記特許文献に開示されているようなロジン系フラックス洗浄剤を用いても水溶性フラックス残渣を充分に洗浄することは困難であり、強アルカリ洗浄剤を用いる場合は該洗浄剤のpHが高く、半田が腐食するという課題がある。また、水溶性フラックスを用いて半田付けをした場合、鉛フリー化によって半田付け時の温度が高くなったことにより、水に難溶性のフラックス残渣が生成することがあり、このようなフラックス残渣の除去は困難である。更にフラックス残渣が、半田付けされた部品間の狭い隙間に存在する場合、洗浄が極めて困難である。
そこで、本開示は、水溶性フラックス残渣に対する洗浄性に優れ、半田金属の腐食を抑制できる水溶性フラックス用洗浄剤組成物、フラックス残渣の洗浄方法及び電子部品の製造方法を提供する。
本開示、下記式(I)で表される水酸化テトラアルキルアンモニウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムから選ばれる少なくとも一つのアルカリ剤(成分A)と、
20℃における水への溶解度が1質量%以上であるアミン(成分B)と、
20℃における水への溶解度が1質量%以上であり、下記式(II)で表されるグリコールエーテル化合物(成分C)と、
有機酸及び無機酸から選ばれる少なくとも1種の酸のアンモニウム塩(成分D)と、
水(成分E)と、を含有し、
成分Aの含有量が、0.7質量%以上3.5質量%以下であり、
成分Bの含有量が、3質量%以上10質量%以下であり、
成分Cの含有量が、1.5質量%以上14質量%以下であり、
成分Dの含有量が、0.5質量%以上2質量%以下である、水溶性フラックス用洗浄剤組成物に関する。
Figure 2017119782
[式(I)において、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に、メチル基及びエチル基から選ばれる少なくとも1種である。]
5−O−(EO)n(PO)m−H (II)
[式(II)において、R5は、炭素数1以上12以下の炭化水素基を示し、EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイド、nはEOの付加モル数、mはPOの付加モル数、nは1以上10以下、mは0以上5以下である。]
本開示は、水溶性フラックス残渣を有する被洗浄物を、本開示に係る洗浄剤組成物で洗浄する工程を有する、フラックス残渣の洗浄方法に関する。
本開示は、半導体チップ、チップ型コンデンサ、及び回路基板から選ばれる少なくとも1つの部品を、水溶性フラックスを使用した半田付けにより回路基板上に搭載する工程、並びに前記部品等を接続するための半田バンプを回路基板上に形成する工程から選ばれる少なくとも1つの工程と、前記部品が搭載された回路基板及び前記半田バンプが形成された回路基板から選ばれる少なくとも1つを本開示に係る洗浄方法により洗浄する工程と、を含む、電子部品の製造方法に関する。
本開示は、本開示に係る洗浄剤組成物の、電子部品の製造への使用に関する。
本開示によれば、水溶性フラックス残渣に対する洗浄性に優れ、半田金属の腐食を抑制できる水溶性フラックス用洗浄剤組成物が提供できる。そして、本開示の洗浄剤組成物を用いることによって、高い収率で高品質の電子部品が得られうる。
本開示は、特定のアルカリ剤(成分A)、水溶性のアミン(成分B)、水溶性のグリコールエーテル化合物(成分C)、有機酸及び無機酸から選ばれる少なくとも1種の酸のアンモニウム塩(成分D)、及び水(成分E)を含有し、各成分の含有量を特定した水溶性フラックス用洗浄剤組成物を使用することで、水溶性フラックス残渣を効率よく除去でき、さらに半田金属の腐食を抑制できるという知見に基づく。
すなわち、本開示は、下記式(I)で表される水酸化テトラアルキルアンモニウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムから選ばれる少なくとも一つのアルカリ剤(成分A)と、20℃における水への溶解度が1質量%以上であるアミン(成分B)と、20℃における水への溶解度が1質量%以上であり、下記式(II)で表されるグリコールエーテル化合物(成分C)と、有機酸及び無機酸から選ばれる少なくとも1種の酸のアンモニウム塩(成分D)と、水(成分E)と、を含有し、成分Aの含有量が、0.7質量%以上3.5質量%以下であり、成分Bの含有量が、3質量%以上10質量%以下であり、成分Cの含有量が、1.5質量%以上14質量%以下であり、成分Dの含有量が、0.5質量%以上2質量%以下である、水溶性フラックス用洗浄剤組成物(以下、「本開示に係る洗浄剤組成物」ともいう)に関する。本開示によれば、水溶性フラックス残渣に対する洗浄性に優れ、半田金属の腐食を抑制できる洗浄剤組成物が得られうる。
本開示に係る洗浄剤組成物における効果の作用メカニズムの詳細は不明な部分があるが、以下のように推定される。
水溶性フラックスを用いて半田付けを行う際、リフロー時の加熱によって水に難溶なフラックス残渣が生成することがある。このようなフラックス残渣の洗浄に本開示に係る洗浄剤組成物を用いると、洗浄剤組成物中のアルカリ剤(成分A)及びアミン(成分B)により、フラックス残渣の分解が促進され、そして、洗浄剤組成物中のグリコールエーテル化合物(成分C)により、狭い隙間等への浸透性が高くなり、フラックス残渣の除去効率が向上すると推定される。さらに、洗浄剤組成物中のアンモニウム塩(成分D)により、アルカリ性条件下で起こりうる半田金属中の錫の腐食を抑制できると推定される。但し、本開示はこのメカニズムに限定して解釈されなくてもよい。
本開示において「水溶性フラックス残渣」とは、水溶性フラックスを用いて半田バンプを形成した後の基板、及び/又は水溶性フラックスを用いて半田付けをした後の基板等に残存する水溶性フラックス由来の残渣をいう。例えば、回路基板上に他の部品(例えば、半導体チップ、チップ型コンデンサ、他の回路基板等)が積層して搭載されると前記回路基板と前記他の部品との間に空間(隙間)が形成される。前記搭載のために使用される水溶性フラックスは、リフロー等により半田付けされた後に、フラックス残渣としてこの隙間にも残存しうる。本開示において「水溶性フラックス用洗浄剤組成物」とは、水溶性フラックスを用いて半田バンプを形成及び/又は半田付けした後のフラックス残渣を洗浄し除去するための洗浄剤組成物をいう。
本開示に係る洗浄剤組成物の洗浄対象である水溶性フラックス残渣としては、例えば、(ア)粉末状の半田と水溶性フラックスとからなるクリーム半田で半田付けした後に生成する水溶性フラックス残渣、(イ)半田で形成された電極を、水溶性フラックスを介して半田付けした後に生ずる水溶性フラックス残渣等を含むものである。本開示に係る洗浄剤組成物による洗浄性の顕著な効果発現の点から、半田は、鉛(Pb)フリー半田であることが好ましく、例えば、Sn−Ag系半田、Sn−Cu系半田、Sn−Ag−Cu系半田、Sn−Zn系半田、Sn−Sb系半田等が挙げられる。
本開示において「水溶性フラックス」とは、電極や配線等の金属と半田金属との接続を妨げる酸化物を取り除き、前記接続を促進するために用いられる、ロジンを含まない水溶性フラックス等をいう。
上記水溶性フラックスとしては、例えば、樹脂、活性剤及び溶剤を主成分として含有する組成物が挙げられる。
上記水溶性フラックスに含まれる樹脂としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びそれらのコポリマー、並びにそれらの誘導体;ポリグリセリンエステル化合物;トリアジン系化合物;ビニル基含有化合物;カルボキシル基含有化合物;エポキシ基含有化合物:等が挙げられる。
上記水溶性フラックスに含まれる活性剤としては、例えば、ハロゲン化合物、有機酸、アミン化合物、アミン塩、アミノ酸、アミド化合物等が挙げられる。アミン化合物としては、モノアルカノールアミン、ジアルカノールアミン、トリアルカノールアミン等が挙げられる。
上記水溶性フラックスに含まれる溶剤としては、例えば、脂肪族アルコール、芳香族アルコール、グリコール、多価アルコール等が挙げられる。
上記水溶性フラックスとしては、リフロー等の加熱処理前の基板への塗布の時点で、水へ溶解あるいは分散するフラックスであって、好ましくは20℃における水への溶解度が1質量%以上の水溶性フラックスであり、本開示に係る洗浄剤組成物の効果を発揮する観点から、下記特徴1及び2を有する水溶性フラックスがより好ましい。
特徴1:沸点180℃以下の揮発成分を除くリフロー前の重量平均分子量が200以上6000未満である。
特徴2:リフロー後の重量平均分子量が6000以上である。
したがって、リフロー前は、重量平均分子量が小さく、水溶性であり、リフロー後は、リフロー時の加熱により高分子量化して粘度が上昇し、水溶性が低下することで水への溶解度が低下し除去しにくくなる水溶性フラックスの残渣の洗浄に、本開示に係る洗浄剤組成物が好適に用いられうる。
<成分A:アルカリ剤>
本開示に係る洗浄剤組成物における成分Aは、下記式(I)で表される水酸化テトラアルキルアンモニウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムから選ばれる少なくとも一つのアルカリ剤である。洗浄性向上の観点から、成分Aとしては、下記(I)で表される水酸化テトラアルキルアンモニウムが好ましい。
Figure 2017119782
式(I)において、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に、メチル基及びエチル基から選ばれる少なくとも1種である。
式(I)で表される水酸化テトラアルキルアンモニウムとしては、例えば、分子中の炭素数が4以上8以下のテトラアルキルアンモニウムカチオンとヒドロキシドとからなる塩等が挙げられる。具体例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、及びテトラプロピルアンモニウムヒドロキシドから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。洗浄性向上の観点から、好ましくはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド及びテトラエチルアンモニウムヒドロキシドから選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくはテトラメチルアンモニウムヒドロキシドである。
本開示に係る洗浄剤組成物中の成分Aの含有量は、洗浄性向上の観点から、0.7質量%以上であり、好ましくは0.8質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは1.5質量%以上であり、そして、半田腐食抑制の観点から、3.5質量%以下であって、好ましくは3質量%以下である。
本開示において「洗浄剤組成物中の各成分の含有量」は、洗浄時、すなわち、洗浄剤組成物を洗浄に使用する時点での前記各成分の含有量をいう。
<成分B:アミン>
本開示に係る洗浄剤組成物における成分Bは、20℃における水への溶解度が1質量%以上であるアミンであり、洗浄性向上の観点から、下記式(III)で表されるアミンが好ましい。
Figure 2017119782
式(III)において、R6は、水素原子、メチル基、エチル基及びアミノエチル基から選ばれる少なくとも1種を示し、R7は、水素原子、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、メチル基及びエチル基から選ばれる少なくとも1種を示し、R8は、アミノエチル基、ヒドロキシエチル基及びヒドロキシプロピル基から選ばれる少なくとも1種を示すか、あるいは、式(III)において、R6は、メチル基、エチル基、アミノエチル基、ヒドロキシエチル基及びヒドロキシプロピル基から選ばれる少なくとも1種を示し、R7とR8は互いに結合して式(III)中のN原子と共にピロリジン環又はピペラジン環を形成する。
式(III)で表されるアミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン、並びにこれらのアルキル化物及びアミノアルキル化物;エチレンジアミン;ジエチレントリアミン;メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基及びヒドロキシプロピル基から選択される少なくとも1つの官能基を有するピロリジン化合物又はピペラジン化合物;等が挙げられる。洗浄性向上の観点から、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、N−メチルモノエタノールアミン、N−メチルイソプロパノールアミン、N−エチルモノエタノールアミン、N−エチルイソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N−ジメチルモノエタノールアミン、N−ジメチルモノイソプロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−メチルジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、N−ジエチルモノエタノールアミン、N−ジエチルモノイソプロパノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−エチルジイソプロパノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、N−(β−アミノエチル)イソプロパノールアミン、N−(β−アミノエチル)ジエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)ジイソプロパノールアミン、1−メチルピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、エチレンジアミン及びジエチレントリアミンから選ばれる少なくとも1種が好ましく、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルモノエタノールアミン、N−エチルモノエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、N−ジメチルエタノールアミンから選ばれる少なくとも1種がより好ましく、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、N−メチルモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンから選ばれる少なくとも1種がさらに好ましく、モノエタノールアミン及びN−メチルモノエタノールアミンから選ばれる少なくとも1種がよりさらに好ましい。
本開示に係る洗浄剤組成物中の成分Bの含有量は、洗浄性向上の観点から、3質量%以上であって、好ましくは3.5質量%以上、より好ましくは4質量%以上であり、そして、同様の観点から、10質量%以下であって、好ましくは8質量%以下、より好ましくは6質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
<成分C:グリコールエーテル化合物>
本開示に係る洗浄剤組成物における成分Cは、20℃における水への溶解度が1質量%以上であり、下記式(II)で表されるグリコールエーテル化合物(成分C)である。
5−O−(EO)n(PO)m−H (II)
式(II)において、R5は、炭素数1以上12以下の炭化水素基を示し、洗浄性向上及び保存安定性の観点から、炭素数1以上12以下の直鎖または分岐鎖のアルキル基が好ましく、炭素数1以上6以下の直鎖または分岐鎖のアルキル基がより好ましく、炭素数1以上6以下の直鎖のアルキル基が更に好ましい。EOは、エチレンオキサイド(オキシエチレン基)を示し、POは、プロピレンオキサイド(オキシプロピレン基)を示す。nは、EOの付加モル数を示し、mは、POの付加モル数を示す。nは、1以上10以下であり、洗浄性向上及び保存安定性の観点から、1以上9以下が好ましく、1以上8以下がより好ましく、2以上6以下が更に好ましい。mは、0以上5以下であり、洗浄性向上の観点から、0以上4以下が好ましく、0以上2以下がより好ましく、0が更に好ましい。
成分Cとしては、例えば、炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖のアルキル基を有するアルコール及びフェノール、並びに、炭素数1〜6のアルキル基を有するフェノール、ベンジルアルコール、ナフトール、メチルナフトール、ジメチルナフトール及びエチルナフトールから選ばれる少なくとも1種のエチレンオキサイド付加物、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド付加物;等が挙げられる。洗浄性向上及び保存安定性の観点から、成分Cとしては、炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖のアルキル基を有するアルコール及びフェノール、並びに、炭素数1〜6のアルキル基を有するフェノール及びベンジルアルコールから選ばれる少なくとも1種のエチレンオキサイド付加物、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド付加物が好ましく、エチレンオキサイド付加物がより好ましく、炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖のアルコールのエチレンオキサイド付加物が更に好ましく、炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖のアルコールのエチレンオキサイド付加物がより更に好ましく、炭素数1〜6の直鎖アルコールのエチレンオキサイド付加物がより更に好ましい。
本開示に係る洗浄剤組成物中の成分Cの含有量は、洗浄性向上の観点から、1.5質量%以上であって、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、そして、同様の観点から、14質量%以下であって、好ましくは13質量%以下、より好ましくは12質量%以下である。
<成分D:アンモニウム塩>
本開示に係る洗浄剤組成物における成分Dは、有機酸及び無機酸から選ばれる少なくとも1種の酸のアンモニウム塩である。
成分Dとしては、洗浄性向上及び半田腐食抑制の観点から、炭素数1〜5の有機カルボン酸及び無機酸のアンモニウム塩が好ましく、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、蓚酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸、リンゴ酸、酒石酸、グリシン、アラニン、炭酸及び硫酸から選ばれる少なくとも1種の酸のアンモニウム塩がより好ましく、ギ酸、酢酸、蓚酸、琥珀酸、炭酸及び硫酸から選ばれる少なくとも1種の酸のアンモニウム塩がさらに好ましく、ギ酸アンモニウム、炭酸アンモニウム及び硫酸アンモニウムから選ばれる少なくとも1種がよりさらに好ましく、洗浄性向上の観点から、ギ酸アンモニウムがよりさらに好ましい。
本開示に係る洗浄剤組成物中の成分Dの含有量は、半田腐食抑制の観点から、0.5質量%以上であって、好ましくは0.6質量%以上、より好ましくは0.7質量%以上、さらに好ましくは0.8質量%以上であり、そして、洗浄性及び保存安定性の観点から、2質量%以下であって、好ましくは1.8質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、さらに好ましくは1.2質量%以下である。
<成分E:水>
本開示に係る洗浄剤組成物における成分Eは、水である。水としては、イオン交換水、RO水、蒸留水、純水、超純水が使用されうる。水の含有量は、本開示に係る洗浄剤組成物の使用態様にあわせて適宜設定すればよい。
本開示に係る洗浄剤組成物中の成分Eの含有量は、洗浄性向上及び保存安定性の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であり、そして、洗浄性向上の観点から、好ましくは94.3質量%以下、より好ましくは94質量%以下、さらに好ましくは93質量%以下である。
<その他の成分>
本開示に係る洗浄剤組成物は、本開示の効果を損なわない範囲で、必要に応じて前記成分A〜E以外の他の成分を含有することができる。その他の成分としては、例えばノニオン性界面活性剤、ヒドロキシエチルアミノ酢酸、ヒドロキシエチルイミノ2酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸等のアミノカルボン酸塩等のキレート力を持つ化合物、防腐剤、防錆剤、殺菌剤、抗菌剤、シリコーン等の消泡剤、酸化防止剤、ヤシ脂肪酸メチルや酢酸ベンジル等のエステル、炭化水素系溶剤あるいはアルコール類等が挙げられる。
本開示に係る洗浄剤組成物中のその他の成分の含有量は、0質量%以上2.0質量%以下が好ましく、0質量%以上1.5質量%以下がより好ましく、0質量%以上1.3質量%以下がさらに好ましく、0質量%以上1.0質量%以下がさらにより好ましい。
[洗浄剤組成物の製造方法]
本開示に係る洗浄剤組成物は、前記成分A〜E及び必要に応じてその他の成分を公知の方法で配合することによって製造できる。したがって、本開示は、少なくとも前記成分A〜Eを配合する工程を含む、洗浄剤組成物の製造方法に関する。本開示において「配合する」とは、成分A〜E及び必要に応じてその他の成分を同時に又は任意の順に混合することを含む。本開示に係る洗浄剤組成物の製造方法において、各成分の配合量は、上述した本開示に係る洗浄剤組成物の各成分の含有量と同じとすることができる。本開示に係る洗浄剤組成物は、添加作業、貯蔵及び輸送の観点から、濃縮液として製造及び保管し、使用時に成分A〜成分Dが上述した含有量(すなわち、洗浄時の含有量)になるよう水(成分E)で希釈して用いることができる。
本開示に係る洗浄剤組成物のpHは、洗浄性及び半田腐食性の観点から、pH11以上pH13.5以下が好ましい。pHは、必要により、成分A〜E以外の、無機酸、有機酸、アンモニア、アミン等の塩基性物質を適宜、所望量で配合することで調整することができる。本開示において「pH」は、25℃における洗浄剤組成物の使用時のpHであり、pHメータ(東亜電波工業株式会社、HM−30G)を用いて測定でき、電極の洗浄剤組成物への浸漬後3分後の数値である。
[被洗浄物]
本開示に係る洗浄剤組成物は、水溶性フラックス残渣を有する被洗浄物の洗浄に使用される。水溶性フラックス残渣を有する被洗浄物としては、例えば、リフローされた半田を有する被洗浄物が挙げられる。被洗浄物の具体例としては、例えば、電子部品及びその製造中間物が挙げられ、具体的には、半田付け電子部品及びその製造中間物が挙げられ、より具体的には、部品が半田で半田付けされた電子部品及びその製造中間物、部品が半田を介して接続されている電子部品及びその製造中間物、半田付けされた部品の隙間に水溶性フラックス残渣を含む電子部品及びその製造中間物、半田を介して接続されている部品の隙間に水溶性フラックス残渣を含む電子部品及びその製造中間物等が挙げられる。前記製造中間物は、半導体パッケージや半導体装置を含む電子部品の製造工程における中間製造物であって、例えば、水溶性フラックスを使用した半田付けにより、半導体チップ、チップ型コンデンサ、及び回路基板から選ばれる少なくとも1つの部品が搭載された回路基板、及び/又は、前記部品を半田接続するための半田バンプが形成された回路基板を含む。被洗浄物における隙間とは、例えば、回路基板とその回路基板に半田付けされて搭載された部品(半導体チップ、チップ型コンデンサ、他の回路基板等)との間に形成される空間であって、その高さ(部品間の距離)が、例えば、5〜500μm、10〜250μm、或いは20〜100μmの空間をいう。隙間の幅及び奥行きは、搭載される部品や回路基板上の電極(ランド)の大きさや間隔に依存する。
[フラックス残渣の洗浄方法]
本開示は、水溶性フラックス残渣を有する被洗浄物を本開示に係る洗浄剤組成物に接触させることを含む、フラックス残渣の洗浄方法に関する(以下、本開示に係る洗浄方法ともいう)。本開示に係る洗浄方法は、水溶性フラックス残渣を有する被洗浄物を本開示に係る洗浄剤組成物で洗浄する工程を有する。被洗浄物に本開示に係る洗浄剤組成物を接触させる方法、又は、被洗浄物を本開示に係る洗浄剤組成物で洗浄する方法としては、例えば、超音波洗浄装置の浴槽内で接触させる方法、洗浄剤組成物をスプレー状に射出して接触させる方法(シャワー方式)等が挙げられる。本開示に係る洗浄剤組成物は、希釈することなくそのまま洗浄に使用できる。本開示の洗浄方法は、洗浄剤組成物に被洗浄物を接触させた後、水でリンスし、乾燥する工程を含むことが好ましい。本開示の洗浄方法であれば、半田付けした部品の隙間に残存する水溶性フラックス残渣を効率よく洗浄できる。本開示の洗浄方法による洗浄性及び狭い隙間への浸透性の顕著な効果発現の点から、半田は鉛(Pb)フリー半田であることが好ましい。本開示の洗浄方法は、本開示に係る洗浄剤組成物の洗浄力が発揮されやすい点から、本開示に係る洗浄剤組成物と被洗浄物との接触時に超音波を照射することが好ましく、その超音波は比較的強いものであることがより好ましい。前記超音波の周波数としては、同様の観点から、26〜72Hz、80〜1500Wが好ましく、36〜72Hz、80〜1500Wがより好ましい。
[電子部品の製造方法]
本開示の電子部品の製造方法は、半導体チップ、チップ型コンデンサ、及び回路基板から選ばれる少なくとも1つの部品を、水溶性フラックスを使用した半田付により回路基板上に搭載する工程、並びに前記部品等を接続するための半田バンプを回路基板上に形成する工程から選ばれる少なくとも1つの工程と、前記部品が搭載された回路基板及び前記半田バンプが形成された回路基板から選ばれる少なくとも1つを本開示の洗浄方法により洗浄する工程と、を含む。水溶性フラックスを使用した半田付けは、例えば、鉛フリー半田で行われるものであり、リフロー方式でもよく、フロー方式でもよい。電子部品は、半導体チップが未搭載の半導体パッケージ、半導体チップが搭載された半導体パッケージ、及び、半導体装置を含む。本開示の電子部品の製造方法は、本開示の洗浄方法を行うことにより、半田付けされた部品の隙間や半田バンプの周辺等に残存するフラックス残渣が低減され、フラックス残渣が残留することに起因する電極間でのショートや接着不良が抑制されるから、信頼性の高い電子部品の製造が可能になる。さらに、本開示の洗浄方法を行うことにより、半田付けされた部品の隙間等に残存するフラックス残渣の洗浄が容易になることから、洗浄時間が短縮化でき、電子部品の製造効率を向上できる。
[キット]
本開示は、本開示に係る洗浄方法及び/又は本開示に係る電子部品の製造方法に使用するためのキットであって、本開示に係る洗浄剤組成物を構成する前記成分A〜Eのうちの少なくとも1成分が他の成分と混合されない状態で保管されている、キットに関する。
本開示に係るキットとしては、例えば、前記成分Aを含有する溶液(第1液)と、成分B〜Eを含有する溶液(第2液)とが、相互に混合されていない状態で保存されており、これらが使用時に混合されるキット(2液型洗浄剤組成物)が挙げられる。前記第1液及び第2液には、各々必要に応じて任意成分が含まれていても良い。該任意成分としては、例えば、増粘剤、分散剤、防錆剤、塩基性物質、界面活性剤、高分子化合物、可溶化剤、酸化防止剤、防腐剤、消泡剤、抗菌剤等が挙げられる。
以下に、実施例により本開示を具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
1.洗浄剤組成物の調製(実施例1〜12、比較例1〜12)
表1に記載の成分Dを水(成分E)に溶解させた後、表1に記載の成分A、成分B及び成分Cを添加して均一溶解させることにより、実施例1〜12及び比較例1〜12の洗浄剤組成物を調製した。表1中の各成分の数値は、断りのない限り、調製した洗浄剤組成物における含有量(質量%)を示す。
洗浄剤組成物の成分として下記のものを使用した。
・テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(成分A)(昭和電工株式会社製、TMAH、濃度:25質量%)
・テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(成分A)(東京化成工業株式会社製、TEAH、10質量%水溶液)
・N−メチルエタノールアミン(成分B)(日本乳化剤株式会社製、アミノアルコールMMA、溶解度:50質量%以上)
・モノエタノールアミン(成分B)(株式会社日本触媒製、MEA、溶解度:50質量%以上)
・トリエタノールアミン(成分B)(株式会社日本触媒製、TEA、溶解度:50質量%以上)
・N、N−ジブチルエタノールアミン(非成分B)(日本乳化剤株式会社製、アミノアルコール 2B、溶解度:0.4質量%)
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル(成分C)(日本乳化剤株式会社製、ブチルジグリコール、BDG、溶解度:50質量%以上)
・ジエチレングリコールモノメチルエーテル(成分C)(日本乳化剤株式会社製、メチルジグリコール、MDG、溶解度:50質量%以上)
・ポリオキシエチレン2−エチルヘキシルエーテル(成分C)(青木油脂工業株式会社製、ブラウノン EH−6、エチレンオキサイド平均付加モル数6、溶解度:10質量%)
・ポリオキシエチレンステアリルエーテル(非成分C)(花王株式会社製、エマルゲン306P、エチレンオキサイド平均付加モル数6、溶解度:10質量%)
・ベンジルグリコール(非成分C)(日本乳化剤株式会社製、ベンジルグリコール、BzG、溶解度:0.4質量%)
・ギ酸アンモニウム(成分D)(ナカライテスク株式会社製、ナカライ規格特級)
・硫酸アンモニウム(成分D)(和光純薬工業株式会社製、和光一級)
・炭酸アンモニウム(成分D)(和光純薬工業株式会社製、試薬特級、炭酸水素アンモニウムとカルバミド酸アンモニウムの混合物)
・水(成分E)(オルガノ株式会社製純水装置G−10DSTSETで製造した1μS/cm以下の純水)
2.水溶性フラックスの重量平均分子量の測定方法
水溶性フラックスの重量平均分子量を以下の方法で測定する。
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてジメチルホルムアミド(60mmol/Lリン酸、50mmol/L臭化リチウム)を、毎分1.0mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させた。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行った。試料の分子量は、予め作成した検量線に基づき算出した。このときの検量線には、数種類の分子量が既知の標準ポリスチレン(「TSKgel標準ポリスチレン」(東ソー株式会社製、タイプ(重量平均分子量、Mw/Mn))A−500(5.89×102、1.14)、F−10(9.89×104、1.01)、F−850(8.42×105、1.17)。重量平均分子量3万、4000(西尾工業株式会社製)、重量平均分子量90万(株式会社ケムコ製))を標準試料として作成したものを用いた。
・測定装置:高速GPC装置 HLC−8320GPC EcoSEC(東ソー株式会社製)
・分析カラム:TSKgel α−M+TSKgel α−M(東ソー株式会社製)
3.洗浄剤組成物の評価
調製した実施例1〜12及び比較例1〜12の洗浄剤組成物について、保存安定性、洗浄性、及び半田腐食性について試験を行い、評価した。
<保存安定性の評価>
上記製造方法で洗浄剤組成物を製造し、密栓できる透明なガラス瓶に洗浄剤組成物を採取し、製造直後及び室温にて1時間静置後の状態を目視で確認した。確認の結果、濁り、沈殿及び分離が確認されず、透明な状態の場合は、保存安定性が良好であると判断し、表1では○と表記した。濁り、沈殿又は分離が確認された場合は、保存安定性が良好ではないと判断し、表1では×と表記した。
<洗浄性の評価−1>
(1)テスト基板の作成
ICチップ(10mm×10mm)を1個搭載し半田バンプで接続したテスト基板(50mm×50mm、ICチップと基板の隙間は約50μm)を用いた。ソルダーペーストには市販の水溶性フラックス(製品名:Sparkle Flux WF−6070、千住金属工業株式会社製)、リフロー炉にはエコリフローSNR825(千住金属工業株式会社製)を用い、リフローピーク温度240℃、半田溶融時間45秒、窒素雰囲気下(酸素濃度100ppm)で半田接続した。水溶性フラックスの重量平均分子量は、リフロー前が1900、リフロー後が27000であった。
(2)洗浄方法
100mLビーカーに各洗浄剤組成物を80g採取した洗浄槽及び100mLビーカーに水を100g採取したすすぎ槽を2つ用意し(第1リンス、第2リンス)、マグネティックスターラーによる撹拌(回転数:800rpm)を行うとともに各すすぎ槽を60℃に加温した。洗浄槽にテスト基板を3分間もしくは1.5分間浸漬させた後に、第1リンスに5分間浸漬し、さらに第2リンスに5分間浸漬した。その後テスト基板を85℃の送風低温乾燥機内で15分間乾燥した。
(3)洗浄性評価
洗浄後のテスト基板のICチップを剥離し、光学顕微鏡VHX-2000(株式会社キーエンス製、倍率200倍)で中心付近の10か所を観察し、半田バンプ周辺に残存するフラックス残渣の有無を目視確認し、フラックス残渣が完全に除去できた個数から除去率(%)を求める。2回の平均値を、洗浄性の評価結果として表1に示した。
<半田腐食性の評価>
(1)試験方法
ICチップを搭載する前の半田バンプを有する前記テスト基板を60℃に加温した前記洗浄槽に10分間浸漬し、第1リンスに5分間浸漬し、さらに第2リンスに5分間浸漬し、その後流水で洗浄剤組成物を洗い流し、85℃の送風低温乾燥機内で15分間乾燥する。テスト基板の半田バンプ表面の状態を、卓上顕微鏡 Miniscope TM3030 (株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて観察する。
(2)腐食性評価
浸漬前にあらかじめ観察した半田バンプと同箇所を浸漬後再度観察した。観察の結果、浸漬前と比較して荒れが確認された場合は腐食していると判断し、表1では×と表記した。浸漬前後に変化が見られなかった場合は腐食していないと判断し、表1では○と表記した。
Figure 2017119782
表1に示すとおり、実施例1〜12の洗浄剤組成物は、成分A〜Dの少なくとも1つを含まない比較例1〜3、6〜7、9及び11〜12、成分Aの含有量が3.5質量%を超える比較例4、成分Aの含有量が0.7質量%未満の比較例5、成分Cの含有量が14質量%を超える比較例8、並びに成分Dの含有量が2質量%を超える比較例10に比べて、保存安定性及び洗浄性に優れ、かつ、半田金属への影響が抑制されていた。
<洗浄性の評価−2>
実施例1の洗浄剤組成物について、さらに下記溶解試験を行って、洗浄性を評価した。評価結果は、表2に示した。
(1)水溶性フラックス残渣の作製
水溶性フラックス(製品名:Sparkle Flux WF−6070、千住金属工業株式会社製)から溶剤などの揮発成分をロータリーエバポレーターにて除去し、水溶性フラックス残渣(非加熱処理)を作製した。
さらに、同様にして、非加熱処理の水溶性フラックス残渣を3つ用意し、各水溶性フラックス残渣を窒素雰囲気下、銅板上で30分間、180、220または250℃に維持して加熱処理し、3種の加熱処理済み水溶性フラックス残渣を作製した。
非加熱処理の水溶性フラックス残渣、及び3種の加熱処理済み水溶性フラックス残渣(加熱温度:180℃、220℃、250℃)の重量平均分子量を測定し、表2に示した。
(2)溶解試験及び評価
スクリュー管瓶(株式会社マルエム製、No.8、110mL)に水50gを加え、60℃に加温したものを4つ用意する。さらに、同種のスクリュー管瓶に表1の実施例1に示す洗浄剤組成物(pH12.95)50gを加え、60℃に加温したものを4つ用意する。
そして、各スクリュー管瓶に、非加熱処理の水溶性フラックス残渣及び3種の加熱処理済み水溶性フラックス残渣をそれぞれ0.5g添加し、上下に30回振とうする。振とう後、60℃で10分間静置し、液中の水溶性フラックス残渣が溶解していることを目視にて確認する。結果を表2に示す。水溶性フラックス残渣が確認されなかった場合は、水溶性フラックス残渣すべてが溶解したと判断し、表2では〇と表記した。水溶性フラックス残渣が確認された場合、水溶性フラックス残渣の溶け残りがあると判断し、表2では×と表記した。
Figure 2017119782
表2に示すとおり、加熱処理によって、水溶性フラックス残渣の重量平均分子量が増加しても、実施例1の洗浄剤組成物は、水溶性フラックス残渣に対する溶解性が水よりも高く、水溶性フラックス残渣の洗浄に好適であることが分かった。
本開示を用いることにより、フラックス残渣の洗浄を良好に行えることから、例えば、電子部品の製造プロセスにおけるフラックス残渣の洗浄工程の短縮化及び製造される電子部品の性能・信頼性の向上が可能となり、半導体装置の生産性を向上できる。

Claims (7)

  1. 下記式(I)で表される水酸化テトラアルキルアンモニウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムから選ばれる少なくとも一つのアルカリ剤(成分A)と、
    20℃における水への溶解度が1質量%以上であるアミン(成分B)と、
    20℃における水への溶解度が1質量%以上であり、下記式(II)で表されるグリコールエーテル化合物(成分C)と、
    有機酸及び無機酸から選ばれる少なくとも1種の酸のアンモニウム塩(成分D)と、
    水(成分E)と、を含有し、
    成分Aの含有量が、0.7質量%以上3.5質量%以下であり、
    成分Bの含有量が、3質量%以上10質量%以下であり、
    成分Cの含有量が、1.5質量%以上14質量%以下であり、
    成分Dの含有量が、0.5質量%以上2質量%以下である、水溶性フラックス用洗浄剤組成物。
    Figure 2017119782
    [式(I)において、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に、メチル基及びエチル基から選ばれる少なくとも1種である。]
    5−O−(EO)n(PO)m−H (II)
    [式(II)において、R5は、炭素数1以上12以下の炭化水素基を示し、EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイド、nはEOの付加モル数、mはPOの付加モル数、nは1以上10以下、mは0以上5以下である。]
  2. アミン(成分B)が、下式(III)で表される化合物である、請求項1記載の洗浄剤組成物。
    Figure 2017119782
    [式(III)において、R6は、水素原子、メチル基、エチル基及びアミノエチル基から選ばれる少なくとも1種を示し、R7は、水素原子、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、メチル基及びエチル基から選ばれる少なくとも1種を示し、R8は、アミノエチル基、ヒドロキシエチル基及びヒドロキシプロピル基から選ばれる少なくとも1種を示すか、あるいは、式(III)において、R6は、メチル基、エチル基、アミノエチル基、ヒドロキシエチル基及びヒドロキシプロピル基から選ばれる少なくとも1種を示し、R7とR8は互いに結合して式(III)中のN原子と共にピロリジン環又はピペラジン環を形成する。]
  3. 水溶性フラックス残渣を有する被洗浄物を、請求項1又は2に記載の洗浄剤組成物で洗浄する工程を有する、フラックス残渣の洗浄方法。
  4. 被洗浄物が、半田付け電子部品の製造中間物である、請求項3に記載の洗浄方法。
  5. 水溶性フラックス残渣が、下記の特徴を有する水溶性フラックス由来の残渣である、請求項3又は4に記載の洗浄方法。
    特徴1:沸点180℃以下の揮発成分を除くリフロー前の重量平均分子量が200以上6000未満である。
    特徴2:リフロー後の重量平均分子量が6000以上である。
  6. 半導体チップ、チップ型コンデンサ、及び回路基板から選ばれる少なくとも1つの部品を、水溶性フラックスを使用した半田付けにより回路基板上に搭載する工程、並びに前記部品等を接続するための半田バンプを回路基板上に形成する工程から選ばれる少なくとも1つの工程と、
    前記部品が搭載された回路基板及び前記半田バンプが形成された回路基板から選ばれる少なくとも1つを請求項3から5のいずれかに記載の洗浄方法により洗浄する工程と、を含む、電子部品の製造方法。
  7. 請求項1又は2に記載の洗浄剤組成物の、電子部品の製造への使用。
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