JP2017119738A - サファイア板の非極性面用研磨液組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 研磨速度の向上とスクラッチ数の低減とを可能とする、サファイア板の非極性面用研磨液組成物、及びそれを用いたサファイア板の製造方法並びに被研磨サファイア板の研磨方法を提供する。【解決手段】本発明のサファイア板の非極性面用研磨液組成物は、砥粒Aと、1分子内に1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、それらの塩、及び4級アンモニウム基から選ばれる1種以上の窒素含有基とオキシアルキレン基とを有し、オキシアルキレン基の平均付加モル数が2以上の化合物Bと、水系媒体とを含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、サファイア板の非極性面用研磨液組成物、及びそれを用いたサファイア板の製造方法並びに被研磨サファイア板の研磨方法に関する。
サファイア等の硬脆材料は、光学材料、電子材料又は機械材料として必要不可欠である。
例えば、人工サファイア板は、集積回路基盤、赤外線探知用レンズ、時計、スマートフォン等の携帯情報端末等のさまざまな用途の材料として用いられている。特に、携帯情報端末の急速な普及に伴い、そのカバーガラスとして利用されるサファイア板の需要が急増している。携帯情報端末のカバーガラスは、携帯情報端末の美観向上のため、その表面平滑性が高いことが望まれる。また、サファイア板は、機械的強度、化学安定性、熱安定性に優れてはいるものの、研磨速度が低いという問題がある。
研磨速度の問題に対し、例えば、特許文献1には、極性面(C面)の研磨に使用される研磨液組成物であって、ポリエチレングリコール等の表面吸着剤を所定量含むことにより、研磨速度の向上と、表面欠陥(オレンジピール)の発生の抑制を可能とした、研磨液組成物が開示されている。特許文献2には、アルカノールアミン化合物及びパーフルオロアルキル基を有するフッ素系化合物のうちの少なくとも一種を含有することにより、研磨速度が向上させ、表面粗度を低減できる、サファイア基板用研磨液組成物が開示されている。特許文献3には、アルカノールアミン及びアルキルアミンからなる群から選ばれる1種以上の有機アミンを含む電子材料用研磨液が、特許文献4には、脂肪族アミン型ノニオン性界面活性剤を含む電子材料用研磨液が、特許文献5には、アルキルアミンアルキレンオキサイド付加物等のノニオン性界面活性剤を含む電子材料用研磨液が、特許文献6には、炭素数8〜36の脂肪族アミンのアルキレンオキサイド付加物を含む電子材料用研磨液が、特許文献7には、アミン基及び少なくとも1つの極性部分を含み、該極性部分が少なくとも1つの酸素原子を含有する化合物を含む研磨剤を用いた基材の研磨方法が開示されている。これらの文献には、研磨対象がサファイア基板であることを開示した文献が含まれているが、当該文献には被研磨面が非極性面(A面、M面、R面等)であることは開示していない。
特開2014−000641号公報 特開2009−297818号公報 特開2014−125628号公報 特開2014−124760号公報 特開2014−124759号公報 特開2013−32503号公報 特表2004−529488号公報
サファイア板には、その結晶構造に起因して、極性面と非極性面とがある。極性面としては例えばC面が挙げられ、非極性面としてはA面等の無極性面、M面、R面等の半極性面が挙げられる。非極性面に比較して極性面は研磨等の加工がしやすく、サファイア板としては主にC面が利用されている。一方、A面等の非極性面は、極性面よりも強度や安定性といった硬脆材料として優れた性質を有する反面、研磨等の加工における負荷が非常に高い。よって、サファイア板の非極性面においては、スクラッチ数の低減等の表面平滑性の向上、及び研磨速度の向上が困難であった。例えば、ポリエチレングリコール等のポリアルキレンオキサイドを研磨助剤として含む特許文献1に開示の研磨液組成物を用いても、研磨速度は向上しないし、それどころか、当該研磨助剤が含まれることにより研磨速度が低下してしまう。
上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、研磨液組成物に特定の化合物を含有させることにより、驚くべきことに、サファイア板の非極性面研磨において、スクラッチが低減し、かつ研磨速度が向上することを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、研磨速度の向上とスクラッチ数の低減とを可能とする、サファイア板の非極性面用研磨液組成物、及びそれを用いたサファイア板の製造方法、並びに被研磨サファイア板の研磨方法を提供する。
本発明の研磨液組成物は、砥粒Aと、1分子内に1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、それらの塩、及び4級アンモニウム基から選ばれる1種以上の窒素含有基とオキシアルキレン基とを有し、オキシアルキレン基の平均付加モル数が2以上の化合物Bと、水系媒体と、を含有する、サファイア板の非極性面用研磨液組成物である。
サファイア板の非極性面とは、サファイア板の無極性面及び半極性面から選ばれる1種以上をいう。サファイア板の非極性面用研磨液組成物とは、被研磨サファイア板の非極性面を研磨するために用いられる、サファイア板用研磨液組成物をいう。
本発明の被研磨サファイア板の研磨方法は、本発明の研磨液組成物を用いて被研磨サファイア板の非極性面を研磨する工程を含む、被研磨サファイア板の研磨方法である。
本発明のサファイア板の製造方法は、本発明の研磨液組成物を用いて被研磨サファイア板の非極性面を研磨する工程を含む、サファイア板の製造方法である。
本発明によれば、研磨速度の向上とスクラッチ数の低減とを可能とする、サファイア板の非極性面用研磨液組成物、及びそれを用いたサファイア板の製造方法並びに被研磨サファイア板の研磨方法を提供できる。
本発明は、サファイア板の非極性面用研磨液組成物に、1分子内に1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、それらの塩、及び4級アンモニウム基から選ばれる1種以上の窒素含有基とオキシアルキレン基とを有し、オキシアルキレン基の平均付加モル数が2以上の化合物Bが含まれていると、当該研磨液組成物を、被研磨サファイア板の非極性面の研磨に用いた場合、研磨速度の向上とスクラッチ数の低減とが可能となる、という知見に基づく。「オキシアルキレン基の平均付加モル数」は、化合物Bの1分子内に含まれるオキシアルキレン基のモル数の平均値であることから、「オキシアルキレン基の平均モル数」と言うこともできる。
本発明の研磨液組成物を、被研磨サファイア板の非極性面の研磨に用いた場合、研磨速度の向上とスクラッチ数の低減とが可能となる理由については明らかではないが、窒素含有基の窒素原子が、被研磨サファイア板表面に吸着し、オキシアルキレン基が、被研磨サファイア板の非極性面よりも相対的に化学的に不安定な砥粒の表面に選択的に吸着することにより、砥粒の凝集を抑制し、有効砥粒数を増大し且つ有効砥粒の粒径が小さくなるため、研磨速度の向上とスクラッチ数の低減の両方が可能となったものと推察される。
本発明において「スクラッチ」とは、長さが100μm以上の線状の微細な傷である。前記スクラッチ数は、例えば、後述の実施例に記載の方法で測定できる。
本発明の研磨液組成物は、砥粒Aと、1分子内に1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、それらの塩、及び4級アンモニウム基から選ばれる1種以上の窒素含有基とオキシアルキレン基とを有し、オキシアルキレン基の平均付加モル数が2以上の化合物B(以下、単に「化合物B」ともいう。)と、水系媒体と、を含有する。
[砥粒A]
本発明の研磨液組成物は、砥粒Aを含む。砥粒Aとしては、研磨速度の観点から、無機粒子が好ましく、シリカ粒子、アルミナ粒子、炭化ケイ素粒子、ダイヤモンド粒子、酸化セリウム粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化アルミニウム粒子、酸化マンガン粒子、窒化ホウ素粒子、及び酸化チタニウム粒子から選ばれる1種以上の粒子が挙げられる。砥粒Aは、研磨速度とスクラッチ低減の両立の観点から、好ましくはシリカ粒子、アルミナ粒子、酸化ケイ素粒子、及びダイヤモンド粒子から選ばれる1種以上の粒子、より好ましくはシリカ粒子、アルミナ粒子及びダイヤモンド粒子から選ばれる1種以上の粒子、更に好ましくはシリカ粒子である。
砥粒Aの平均二次粒径は、研磨速度向上の観点から、好ましくは1nm以上、より好ましくは10nm以上、更に好ましくは50nm以上、更に好ましくは80nm以上であり、そして、スクラッチ数の低減の観点から、好ましくは10000nm以下、より好ましくは1000nm以下、更に好ましくは500nm以下、更に好ましくは200nm以下である。
本発明の研磨液組成物中の砥粒Aの含有量は、研磨速度の向上の観点から、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましく、そして、研磨液組成物のコスト低減及び保存安定性の向上の観点から、55質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、45質量%以下が更に好ましい。
(シリカ粒子)
好ましい砥粒Aであるシリカ粒子(以下、「シリカ粒子A」ともいう)の平均二次粒径は、研磨速度向上の観点から、好ましくは10nm以上、より好ましくは50nm以上、更に好ましくは80nm以上であり、そして、スクラッチ数の低減の観点から、好ましくは500nm以下、より好ましくは300nm以下、更に好ましくは200nm以下である。前記平均二次粒径は、動的光散乱法で測定することができ、例えば、実施例に記載の方法により測定できる。
前記シリカ粒子AのBET比表面積は、研磨速度向上の観点から、好ましくは10m2/g以上、より好ましくは20m2/g以上、更に好ましくは30m2/g以上、そして、同様の観点から、好ましくは200m2/g以下、より好ましくは100m2/g以下、更に好ましくは60m2/g以下である。前記比表面積は、例えば、実施例に記載の方法により測定できる。
前記シリカ粒子Aの平均一次粒径は、スクラッチ数の低減の観点から、好ましくは500nm以下、より好ましくは300nm以下、更に好ましくは200nm以下、更により好ましくは150nm以下であり、そして、研磨速度の向上の観点から、好ましくは45nm以上、より好ましくは70nm以上である。前記平均一次粒径は、例えば、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
本発明の研磨液組成物に含まれるシリカ粒子Aの粒子形状としては、球状及び非球状のシリカ粒子が挙げられ、研磨速度の向上の観点から、好ましくは球状のシリカ粒子及び以下に示す異形型のシリカ粒子Abから選ばれる少なくとも1種であり、研磨速度の向上とスクラッチ数の低減との両立の観点から、より好ましくは球状のシリカ粒子である。
前記非球状シリカ粒子の絶対最大長の平均値(以下、「平均絶対最大長」ともいう。)は、研磨速度向上の観点から、好ましくは80nm以上、より好ましくは90nm以上、更に好ましくは100nm以上、更により好ましくは110nm以上、更により好ましくは120nm以上であり、そして、同様の観点から、好ましくは500nm以下、より好ましくは400nm以下、更に好ましくは300nm以下、更により好ましくは200nm以下、更により好ましくは150nm以下である。ここで、前記絶対最大長とは、電子顕微鏡観察等で投影された粒子の輪郭線上の任意の2点間の距離の最大長をいう。平均絶対最大長は、実施例に記載の方法により求めることができる。
前記非球状シリカ粒子の面積比(a/b×100)の平均値は、研磨速度向上の観点から、90%以下であることが好ましく、そして、スクラッチ低減の観点から、好ましくは50%以上、より好ましくは55%以上、更に好ましくは65%以上、更により好ましくは70%以上である。ここで、aは、電子顕微鏡観察等で得られる該粒子の投影面積であり、bは、前記絶対最大長を直径とする円の面積である。面積比(a/b×100)の平均値は、実施例に記載の方法により求めることができる。
前記非球状のシリカ粒子としては、研磨速度向上の観点から、好ましくは、シリカ粒子Aの二次粒径よりも粒径が小さいシリカ粒子を前駆体粒子として、複数の前駆体粒子が、凝集又は融着した形状である。非球状のシリカ粒子としては、同様の観点から、金平糖型のシリカ粒子Aa、異形型のシリカ粒子Ab、及び異形かつ金平糖型のシリカ粒子Acから選ばれる少なくとも1種のシリカ粒子であることが好ましく、異形型のシリカ粒子Abがより好ましい。
前記金平糖型のシリカ粒子Aa(以下、「粒子Aa」ともいう)は、球状の粒子表面に特異な疣状突起を有するシリカ粒子をいう。粒子Aaは、好ましくは、最も大きい前駆体粒子a1と、粒径が前駆体粒子a1の1/5以下である1個以上の前駆体粒子a2とが、凝集又は融着した形状である。粒子Aaは、好ましくは粒径の小さい複数の前駆体粒子a2が粒径の大きな1個の前駆体粒子a1に一部埋没した状態である。粒子Aaは、例えば、特開2008−137822号公報に記載の方法により、得られうる。前駆体粒子の粒径は、TEM等による観察画像において1個の前駆体粒子内で測定される円相当径、すなわち、前駆体粒子の投影面積と同じ面積である円の直径として求められうる。シリカ粒子Ab及びシリカ粒子Acにおける前駆体粒子の粒径も同様に求めることができる。
前記異形型のシリカ粒子Ab(以下、「粒子Ab」ともいう)は、2個以上の前駆体粒子、好ましくは2個以上10個以下の前駆体粒子が凝集又は融着した形状のシリカ粒子をいう。粒子Abは、好ましくは、最も小さい前駆体粒子の粒径を基準にして、粒径が1.5倍以内の2個以上の前駆体粒子が、凝集又は融着した形状である。粒子Abは、例えば、特開2015−86102号公報に記載の方法により、得られうる。
前記異形かつ金平糖型のシリカ粒子Acは、前記粒子Abを前駆体粒子c1とし、最も大きい前駆体粒子c1と、粒径が前駆体粒子c1の1/5以下である1個以上の前駆体粒子c2とが、凝集又は融着した形状である。
シリカ粒子Aとしては、コロイダルシリカ、フュームドシリカ等が挙げられ、研磨された被研磨対象物の平滑性向上の観点から、好ましくはコロイダルシリカである。
前記シリカ粒子Aの使用形態としては、操作性の観点からスラリー状が好ましい。本発明の研磨液組成物に含まれるシリカ粒子Aがコロイダルシリカである場合、製造容易性及び経済性の観点から、コロイダルシリカは、水ガラスやアルコキシシランの加水分解物から得たものであることが好ましく、水ガラスから得たものであることがより好ましい。水ガラスから得られるシリカ粒子は、従来から公知の方法によって作製できる。
前記シリカ粒子Aは、粒子表面をシランカップリング剤等で表面処理されたものであってもよく、研磨速度向上の観点から、好ましくは表面処理されていないシリカ粒子である。前記シリカ粒子Aは、Al、Zr等のSi以外の無機元素を含んでも良い。シリカ粒子中のSiO2の含有量は、研磨速度向上の観点から、無水酸化物換算で、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは99質量%以上である。
本発明の研磨液組成物に含まれる砥粒Aがシリカ粒子である場合、研磨液組成物に含まれるシリカ粒子の含有量は、研磨速度の向上の観点から、無水酸化物(SiO2)換算濃度で、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましく、そして、研磨液組成物のコスト低減及び保存安定性の向上の観点から、SiO2換算濃度で、50質量%以下が好ましく、45質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましい。
(アルミナ粒子)
アルミナ粒子としては、α−アルミナ、中間アルミナ、アモルファスアルミナ、ヒュームドアルミナ等が挙げられるが、これらのなかでも、研磨速度向上の観点から、好ましくはα−アルミナである。
アルミナ粒子の平均二次粒径は、研磨速度向上の観点から、好ましくは200nm以上、より好ましくは250nm以上、更に好ましくは300nm以上、更により好ましくは350nm以上であり、そして、スクラッチ数の低減の観点から、好ましくは10000nm以下、より好ましくは950nm以下、更に好ましくは900nm以下、更により好ましくは800nm以下である。前記平均二次粒径は、動的光散乱法で測定することができ、例えば、実施例に記載の方法により求めることができる。
アルミナ粒子のα化率は、研磨速度の向上及びスクラッチ数の低減の観点から、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上である。前記α化率は、粉末X線回折により測定でき、例えば、実施例の方法により測定できる。
本発明の研磨液組成物中のアルミナ粒子のBET比表面積は、スクラッチ数の低減の観点から1m2/g以上が好ましく、2m2/g以上がより好ましく、4m2/g以上が更に好ましく、そして、研磨速度向上の観点から、200m2/g以下が好ましく、100m2/g以下がより好ましく、60m2/g以下が更に好ましい。
本発明の研磨液組成物に含まれる砥粒Aがアルミナ粒子である場合、研磨液組成物に含まれるアルミナ粒子の含有量は、研磨速度の向上の観点から、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは7質量%以上、更により好ましくは10質量%以上であり、そして、スクラッチ数の低減の観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは40量%以下である。
(SiC粒子)
SiC粒子の平均二次粒径は、研磨速度向上の観点から、好ましくは200nm以上、より好ましくは250nm以上、更に好ましくは300nm以上であり、そして、スクラッチ数の低減の観点から、好ましくは10000nm以下、より好ましくは5000nm以下、更に好ましくは1000nm以下である。前記平均二次粒径は、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
本発明の研磨液組成物に含まれる砥粒AがSiC粒子である場合、研磨液組成物に含まれるSiC粒子の含有量は、研磨速度の向上の観点から、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは7質量%以上、更により好ましくは10質量%以上であり、そして、スクラッチ数の低減の観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは40量%以下である。
(ダイヤモンド粒子)
ダイヤモンド粒子としては、単結晶ダイヤモンド粒子、単結晶ダイヤモンド粒子に熱処理を施した単結晶ダイヤモンド粒子、多結晶ダイヤモンド粒子等が挙げられるが、これらのなかでも、製造コスト低減の観点から、好ましくは多結晶ダイヤモンド粒子である。
ダイヤモンド粒子の平均二次粒径は、研磨速度向上の観点から、好ましくは1nm以上、より好ましくは5nm以上、更に好ましくは10nm以上であり、そして、スクラッチ数の低減の観点から、好ましくは1000nm以下、より好ましくは500nm以下、更に好ましくは300nm以下である。前記ダイヤモンド粒子の平均二次粒径は、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
本発明の研磨液組成物に含まれる砥粒Aがダイヤモンド粒子である場合、研磨液組成物に含まれるダイヤモンド粒子の含有量は、研磨速度の向上の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、更により好ましくは10質量%以上であり、そして、スクラッチ数の低減の観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは40量%以下である。
[化合物B]
本発明の研磨液組成物は、研磨された被研磨対象の表面粗さの低減及び研磨速度向上の観点から、1分子内に1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、それらの塩、及び4級アンモニウム基から選ばれる1種以上の窒素含有基及びアルキレンオキサイド基を有する化合物Bを含有する。本発明の研磨液組成物に、化合物Bが含まれていると、研磨速度の向上とスクラッチ数の低減とが可能になると考えられる。化合物Bは、好ましくは水溶性である。本願において、「水溶性」とは、20℃の水100mLに対して2g以上の溶解度を有することをいう。
化合物Bが有する窒素含有基としては、研磨速度の向上とスクラッチ数の低減の観点から、好ましくは、2級アミノ基、3級アミノ基、それらの塩、及び4級アンモニム基から選ばれる1種以上、より好ましくは、3級アミノ基、その塩及び4級アンモニウム基である。
窒素含有基が塩の形態を取る場合の対イオンとしては、好ましくは水酸化物イオン、塩化物イオン及びヨウ化物イオンから選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは水酸化物イオン及び塩化物イオンから選ばれる少なくとも1種である。
化合物Bの1分子中に含まれる窒素含有基数は、研磨速度の向上の観点から、1以上であり、好ましくは2以上であり、そして、研磨液組成物の安定性向上の観点から、好ましくは10以下、より好ましくは7以下、更に好ましくは5以下である。
化合物Bの1分子中に含まれるオキシアルキレン基の平均付加モル数は、研磨速度の向上及びスクラッチ数の低減の観点から、好ましくは2以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは20以上、更により好ましくは40以上であり、そして、研磨速度の向上の観点から、好ましくは150以下、より好ましくは130以下、更に好ましくは110以下、更により好ましくは100以下である。
化合物Bの1分子中に含まれるオキシアルキレン基の平均付加モル数を、化合物Bの1分子中に含まれる前記窒素含有基数で除した値は、研磨速度の向上及びスクラッチ数の低減の観点から、好ましくは2以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは10以上、更により好ましくは15以上であり、そして、研磨速度の向上の観点から、好ましくは100以下、より好ましくは80以下、更に好ましくは70以下、更により好ましくは60以下である。
化合物Bが有するオキシアルキレン基は、好ましくはオキシエチレン基(EO)及びオキシプロピレン基(PO)から選ばれる1種以上であり、化合物Bが有するオキシアルキレン基は、より好ましくはオキシエチレン基を含む。化合物Bは、研磨速度の向上及びスクラッチ数の低減の観点から、好ましくは、−(EO)a−で表わされるオキシエチレン基又はポリオキシエチレン基、及び−(EO)a(PO)b−で表わされるポリオキシアルキレン基のうちの1種以上を含み、より好ましくは−(EO)a(PO)b−で表わされるポリオキシアルキレン基を含む。−(EO)a(PO)b−で表わされるポリオキシアルキレン基において、研磨速度の向上及びスクラッチ数の低減の観点から、好ましくはa>bの関係が満たされる。ここで、aはオキシエチレン基の平均構成単位数、bはオキシプロピレン基の平均構成単位数であり、−(EO)a(PO)b−で表わされるポリオキシアルキレン基において、EOとPOの配列はブロックでもランダムでもよい。
化合物Bの1分子中に含まれるEOの平均付加モル数は、研磨速度の向上及びスクラッチ数の低減の観点から、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは5以上、更により好ましくは7以上であり、そして、研磨速度の向上の観点から、好ましくは120以下、より好ましくは90以下、更に好ましくは70以下、更により好ましくは50以下である。
化合物Bの1分子中に含まれるEOの平均付加モル数を、化合物Bの1分子中に含まれる窒素含有基数で除した値は、研磨速度の向上及びスクラッチ数の低減の観点から、好ましくは2以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは10以上、更により好ましくは15以上であり、そして、研磨速度の向上の観点から、好ましくは100以下、より好ましくは80以下、更に好ましくは70以下、更により好ましくは60以下である。
化合物Bの1分子中に含まれるEOとPOとの平均付加モル数の合計は、研磨速度の向上及びスクラッチ数の低減の観点から、好ましくは2以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは20以上、更により好ましくは40以上であり、そして、研磨速度の向上の観点から、好ましくは150以下、より好ましくは130以下、更に好ましくは110以下、更により好ましくは100以下である。
化合物Bの1分子中に含まれるEOとPOとの平均付加モル数の合計を、化合物Bの1分子中に含まれる窒素含有基数で除した値は、研磨速度の向上及びスクラッチ数の低減の観点から、好ましくは2以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは10以上、更により好ましくは15以上であり、そして、研磨速度の向上の観点から、好ましくは100以下、より好ましくは80以下、更に好ましくは60以下、更により好ましくは50以下である。
化合物Bの具体例は、研磨速度向上とスクラッチ数の低減の観点から、好ましくは下記式(I)〜(IV)で表わされる化合物及び国際特許公報2014/104288号公報に記載の一般式(I)で表わされる化合物からなる群から選ばれる1種以上の化合物、より好ましくは下記式(I)〜(IV)で表わされる化合物及び国際特許公報2014/104288号公報に記載の一般式(I−1)で表わされる化合物からなる群から選ばれる1種以上の化合物である。化合物Bは、研磨速度向上とスクラッチ数の低減の観点から、好ましくは窒素含有基を1つのみ有するアルキルアミンの窒素原子に3個のポリオキシアルキレン基が結合した化合物、エチレンジアミン骨格の窒素原子に各々2個のポリオキシアルキレン基が結合した化合物、及び主鎖に窒素含有基が複数含まれポリオキシアルキレン基を含む側鎖を有する、櫛形分子構造の化合物から選ばれる1種以上の化合物であり、より好ましくは主鎖に窒素含有基が複数含まれポリオキシアルキレン基を含む側鎖を有する、櫛形分子構造の化合物及びエチレンジアミン骨格の窒素原子に各々2個のポリオキシアルキレン基が結合した化合物から選ばれる1種以上の化合物である。
Figure 2017119738
上記式(I)において、R1は、炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、R2、R3は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1以上20以下の炭化水素基である。n1及びn2は、EOの平均構成単位数であり、同一又は異なって1以上40以下である。m1及びm2はPOの平均構成単位数であり、同一又は異なって0以上40以下である。EOとPOの配列はブロックでもランダムでもよい。n1+n2は、EOの平均付加モル数であって、2以上80以下であり、m1+m2は、POの平均付加モル数であって、0以上80以下である。
1は、好ましくはアルキル基である。R1の炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは8以上、更に好ましくは16以上であり、そして、20以下、好ましくは18以下である。R2、R3は、同一又は異なって、好ましくは水素原子又は炭素数1以上20以下の炭化水素基、より好ましくは水素原子又はメチル基、更に好ましくはそれぞれ水素原子である。n1+n2は、2以上、好ましくは4以上、より好ましくは8以上、更に好ましくは16以上であり、そして、好ましくは40以下、より好ましくは20以下である。m1+m2は、好ましくは0以上2以下である。
上記式(I)で表わされる化合物Bは、研磨速度向上とスクラッチ数の低減の観点から、好ましくは1級アミンのポリオキシアルキレン付加物である。上記式(I)において、窒素含有基が塩の形態を取っていてもよい。窒素含有基が塩の形態をとる場合の対イオンとしては、好ましくは水酸化物イオン、塩化物イオン及びヨウ化物イオンから選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは水酸化物イオン及び塩化物イオンから選ばれる少なくとも1種である。
Figure 2017119738
上記式(II)において、R4は、炭素数1以上20以下の炭化水素基及びNH2から選ばれる少なくとも1種であり、R5、R6は、同一又は異なって、水素原子及び炭素数1以上20以下の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種であり、xはEOの平均付加モル数であって1以上30以下であり、yはPOの平均付加モル数であって0以上10以下である。X1、X2は、同一又は異なって、炭素数1以上5以下のアルカンジイル基、及び単結合から選ばれる少なくとも一種である。EOとPOの配列はブロックでもランダムでもよい。
4は、好ましくは炭素数1以上10以下のアルキル基及びNH2から選ばれる少なくとも1種、より好ましくはメチル基及びNH2から選ばれる少なくとも1種である。R5、R6は、好ましくは水素原子である。X1は、好ましくは炭素数2以上3以下のアルカンジイル基及び単結合から選ばれる少なくとも1種である。X2は、好ましくは単結合である。
上記式(II)において、窒素含有基が塩の形態を取っていてもよい。窒素含有基が塩の形態をとる場合の対イオンとしては、好ましくは水酸化物イオン、塩化物イオン及びヨウ化物イオンから選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは水酸化物イオン及び塩化物イオンから選ばれる少なくとも1種である。
Figure 2017119738
上記式(III)において、R7は、炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、R8、R10、R9は、同一又は異なって、水素原子及び炭素数1以上20以下の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種であり、Y1-は、水酸化物イオン、塩化物イオン及びヨウ化物イオンから選ばれる少なくとも1種である。p1、p2、p3は、EOの平均構成単位数であり、同一又は異なって1以上5以下である。q1、q2、q3は、POの平均構成単位数であり、同一又は異なって0以上5以下である。EOとPOの配列はブロックでもランダムでもよい。p1+p2+p3は、EOの平均付加モル数であって、1以上20以下であり、q1+q2+q3は、POの平均付加モル数であって、1以上10以下である。
7は、好ましくはアルキル基である。R7の炭素数は、好ましくは8以上18以下である。R8、R10、R9は、好ましくは水素原子である。p1+p2+p3は、好ましくは1以上10以下である。q1+q2+q3は、好ましくは0である。Y1-は、好ましくは水酸化物イオン及び塩化物イオンから選ばれる少なくとも1種、より好ましくは水酸化物イオンである。上記式(III)で表わされる化合物Bは、研磨速度向上とスクラッチ数の低減の観点から、好ましくは4級アンモニウム基のポリオキシアルキレン付加物である。
Figure 2017119738
上記式(IV)において、R11、R12、R13、R14は、同一又は異なって、水素原子及び炭素数1以上20以下の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種であり、X3は、炭素数2以上8以下のアルカンジイル基である。x1,x2,x3,x4は、POの平均構成単位数であり、同一又は異なって1以上20以下である。y1,y2,y3,y4は、EOの平均構成単位数であり、同一又は異なって0以上20以下である。x1+x2+x3+x4は、POの平均付加モル数であって、4以上80以下であり、y1+y2+y3+y4は、EOの平均付加モル数であって、4以上80以下である。
11、R12、R13、R14は、同一又は異なって、好ましくは水素原子である。X3の炭素数は、好ましくは2以上であり、そして、好ましくは6以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2である。x1,x2,x3,x4は、好ましくはそれぞれ1以上15以下である。y1,y2,y3,y4は好ましくはそれぞれ0以上15以下である。x1+x2+x3+x4は好ましくは4以上60以下である。y1+y2+y3+y4は好ましくは0以上60以下である。
上記式(IV)で表わされる化合物Bは、研磨速度向上とスクラッチ数の低減の観点から、好ましくはアミノ基を構成する窒素原子に2個のポリオキシアルキレン基が結合された、アルキレンポリアミンのオキシアルキレン付加物である。上記式(IV)において、窒素含有基が塩の形態を取っていてもよい。窒素含有基が塩の形態をとる場合の対イオンとしては、好ましくは水酸化物イオン、塩化物イオン及びヨウ化物イオンから選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは水酸化物イオン及び塩化物イオンから選ばれる少なくとも1種である。
国際特許公報2014/104288号公報に記載の一般式(I)で表わされる化合物の好ましい態様は、当該公報の段落[0012]〜[0029]に記載の内容と同じであり、より好ましくは段落[0027]〜[0029]に記載の内容と同じである。
研磨液組成物における化合物Bの含有量は、研磨された被研磨対象の表面粗さの低減の観点から、好ましくは10質量ppm以上、より好ましくは50質量ppm以上、更により好ましくは100質量ppm以上、更により好ましくは150質量ppm以上であり、そして、研磨された被研磨対象の表面粗さの低減の観点から、好ましくは2000質量ppm以下、より好ましくは1000質量ppm以下、更に好ましくは500質量ppm以下、更により好ましくは300質量ppm以下である。
研磨液組成物中における、砥粒Aと化合物Bとの含有量比[砥粒Aの含有量/化合物Bの含有量]は、研磨された被研磨対象の表面粗さの低減の観点から、好ましくは100以上、より好ましく400以上、更に好ましくは800以上、更により好ましくは1500以上であり、そして、研磨速度との両立の観点から、好ましくは40000以下、より好ましくは10000以下、更に好ましくは8000以下、更により好ましくは5000以下である。
[水系媒体]
本発明の研磨液組成物に含まれる水系媒体としては、イオン交換水や超純水等の水、水と有機溶媒との混合媒体等が挙げられる。前記有機溶媒としては、水溶性の溶媒が挙げられ、エタノール等のアルコールが好ましい。水系媒体としては、イオン交換水又は超純水がより好ましく、超純水が更に好ましい。本発明の水系媒体中の水の量は、経済性の観点から、95質量%以上が好ましく、98質量%以上がより好ましく、実質的に100質量%が更に好ましく、100質量%が更により好ましい。
本発明の研磨液組成物における水系媒体の含有量は、特に限定されるわけではなく、好ましくは砥粒A、化合物B、及び後述する任意成分の含有量の残余である。
本発明の研磨液組成物の25℃におけるpHは、研磨速度向上の観点から、好ましくは7以上、より好ましくは8以上、更に好ましくは9以上、更により好ましくは9.5以上であり、そして、砥粒安定性の観点から、好ましくは12以下、より好ましくは11.8以下であり、更に好ましくは11.6以下、更により好ましくは11.2以下である。
本発明の研磨液組成物は、その使用用途に応じて、従来から公知の任意成分を更に含んでいてもよい。本発明の研磨液組成物が、例えば、スマートフォン等の携帯情報端末用の研磨液組成物である場合、本発明の研磨液組成物は、pH調整剤、酸化剤等を更に含んでいてもよい。
[pH調整剤]
本発明の研磨液組成物には、研磨速度向上の観点から、pH調整剤が含まれていてもよい。pH調整剤としては、塩基性化合物及びその塩から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。前記塩基性化合物としては、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水から選ばれる少なくとも1種、より好ましくは水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムから選ばれる少なくとも1種である。
[酸化剤]
本発明の研磨液組成物には、研磨速度向上の観点から、酸化剤が更に含まれていてもよい。酸化剤としては、研磨速度向上、及び研磨された被研磨対象の表面粗さの低減の観点から、過酸化物、過マンガン酸又はその塩、クロム酸又はその塩、ペルオキソ酸又はその塩、酸素酸又はその塩、金属塩類、硝酸類、硫酸類等が挙げられる。これらの酸化剤は、単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
前記過酸化物としては、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム等が挙げられる。過マンガン酸又はその塩としては、過マンガン酸カリウム等が挙げられる。クロム酸又はその塩としては、クロム酸金属塩、重クロム酸金属塩等が挙げられる。ペルオキソ酸又はその塩としては、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸金属塩、ペルオキソリン酸、ペルオキソ硫酸、ペルオキソホウ酸ナトリウム、過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、過フタル酸等が挙げられる。酸素酸又はその塩としては、次亜塩素、次亜臭素酸、次亜ヨウ素酸、塩素酸、臭素酸、ヨウ素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム等が挙げられる。金属塩類としては、塩化鉄(III)、硝酸鉄(III)、硫酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)、硫酸アンモニウム鉄(III)等が挙げられる。
酸化剤としては、研磨速度向上、及び研磨された被研磨対象の表面粗さの低減の観点から、好ましくは、過酸化水素、硝酸鉄(III)、過酢酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、硫酸鉄(III)及び硫酸アンモニウム鉄(III)であり、研磨速度向上の観点、被研磨基板の表面に金属イオンが付着しない観点及び入手容易性の観点から、より好ましくは過酸化水素である。
研磨液組成物中における前記酸化剤の含有量は、研磨速度向上、及び研磨された被研磨対象の表面粗さの低減の観点から、好ましくは1000質量ppm以上、より好ましくは1500質量ppm以上、更に好ましくは2000質量ppm以上であり、そして、研磨された被研磨対象の表面粗さの低減の観点から、好ましくは10000質量ppm以下、より好ましくは8500質量ppm以下、更に好ましくは8000質量ppm以下である。
[研磨液組成物の調製方法]
本発明の研磨液組成物は、各成分を公知の方法で混合することにより、調製できる。研磨液組成物は、経済性の観点から、通常、濃縮液として製造され、これを使用時に希釈する場合が多い。前記研磨液組成物は、そのまま使用してもよいし、濃縮液であれば希釈して使用すればよい。
次に、本発明の研磨液組成物を用いた、本発明のサファイア板の製造方法の一例、及び本発明の被研磨サファイア板の研磨方法の一例について説明する。
[被研磨対象]
本発明の研磨剤組成物は、被研磨サファイア板の非極性面を研磨するために、好適に用いられる。被研磨サファイア板の非極性面としては、無極性面及び半極性面が挙げられ、本発明の効果をより顕著に発現する観点から、好ましくは無極性面である。無極性面としては、好ましくはA面である。半極性面としては、M面及びR面が挙げられ、好ましくはR面である。
本発明のサファイア板の製造方法の一例(「本発明の製造方法の一例」と略称する場合もある。)、及び本発明の被研磨サファイア板の研磨方法の一例(「本発明の研磨方法の一例」と略称する場合もある。)において研磨される被研磨対象の形状としては、例えば、ディスク状、プレート状、スラブ状、プリズム状等の平面部を有する形状、レンズ等の曲面部を有する形状が挙げられる。本発明の研磨液組成物は、中でも、前記携帯情報端末のカバーガラスとして用いられるサファイア板の製造方法の研磨工程で使用される研磨液組成物として適している。
故に、本発明のサファイア板の製造方法の一例は、携帯情報端末用サファイア板の製造方法であって、本発明の研磨液組成物を用いて被研磨サファイア板の非極性面を研磨する工程を含む。また、本発明の被研磨サファイア板の研磨方法の一例は、携帯情報端末用サファイア板の研磨方法であって、本発明の研磨液組成物を用いて被研磨サファイア板の非極性面を研磨する工程を含む。
前記被研磨サファイア板の非極性面を研磨する工程は、好ましくはサファイア単結晶インゴットを薄円板状にスライスして得たウェーハを平面化する第一研磨工程(粗研磨工程)と粗研磨されたウェーハ表面を鏡面化する第二研磨工程(仕上げ研磨工程)を含む。本発明の研磨液組成物は、前記第一研磨工程及び第二研磨工程のいずれにも使用できる。本発明の研磨液組成物が砥粒としてシリカ粒子を含む場合、当該研磨液組成物は、サファイア板の生産性の向上と表面平滑性向上の両立の観点から、第二研磨工程に使用するのが好ましい。本発明の研磨液組成物が砥粒としてダイヤモンド粒子を含む場合、当該研磨液組成物は、サファイア板の生産性の向上の観点から、第一研磨工程に使用するのが好ましく、そして、シリカ粒子と併用して第二研磨工程に使用するのが好ましい。
本発明の製造方法の一例及び本発明の研磨方法の一例で用いる研磨装置としては、被研磨サファイア板を保持する冶具(キャリア:アラミド製等)と研磨布(研磨パッド)とを備える研磨装置を用いることができ、両面研磨装置及び片面研磨装置のいずれであってもよい。
前記研磨パッドは、従来公知のものが使用できる。研磨パッドの材質としては、有機高分子等が挙げられ、前記有機高分子としては、例えば、ポリウレタンが挙げられる。前記研磨パッドの形状は、不織布状が好ましい。不織布状の研磨パッドの市販品としては、「SUBA800」(ニッタハース製)が好適に用いられる。
該研磨装置を用いる、本発明の製造方法の一例及び本発明の研磨方法の一例では、被研磨サファイア板をキャリアで保持し研磨パッドを貼り付けた研磨定盤で被研磨サファイア板を挟み込み、本発明の研磨液組成物を研磨パッドと被研磨サファイア板との間に供給し、被研磨サファイア板と前記研磨パッドとを接触させながら、研磨パッド及び被研磨サファイア板のいずれか一方又は両方を動かすことにより、被研磨サファイア板を研磨する。
本発明の製造方法の一例及び研磨方法の一例における研磨荷重は、研磨速度向上の観点から、50g/cm2以上が好ましく、100g/cm2以上がより好ましく、150g/cm2以上が更に好ましく、200g/cm2以上が更により好ましく、そして、研磨装置及びパッドの耐久性の観点から、1000g/cm2以下が好ましく、600g/cm2以下がより好ましい。前記研磨荷重の調整は、定盤や被研磨サファイア板等への空気圧や重りの負荷によって行うことができる。研磨荷重は、研磨時に被研磨サファイア板の研磨面に加えられる定盤の圧力を意味する。
本発明の研磨液組成物の供給方法は、予め研磨液組成物の構成成分が十分に混合された状態で研磨パッドと被研磨サファイア板の間にポンプ等で供給する方法、研磨の直前の供給ライン内等で前記構成成分を混合して供給する方法等を用いることができる。研磨速度向上の観点及び装置負荷低減の観点から、予め研磨液組成物の構成成分が十分に混合された状態で、研磨液組成物を、研磨パッドと被研磨サファイア板の間にポンプ等で供給する方法が好ましい。
研磨液組成物の供給速度は、コスト低減の観点から、被研磨サファイア板1cm2あたり、好ましくは20mL/分以下、より好ましくは10mL/分以下、更に好ましくは5mL/分以下であり、そして、研磨速度向上の観点から、被研磨サファイア板1cm2あたり、好ましくは0.01mL/分以上、より好ましくは0.1mL/分以上、更により好ましくは0.5mL/分以上である。
本発明の製造方法の一例及び本発明の研磨方法の一例では、本発明の研磨液組成物を用いているので、被研磨サファイア板の研磨速度が速く、研磨後のサファイア板表面のスクラッチ数を低減できる。
本発明は、更に以下〈1〉〜〈14〉を開示する。
〈1〉 砥粒Aと、
1分子内に1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、それらの塩、及び4級アンモニウム基から選ばれる1種以上の窒素含有基とオキシアルキレン基とを有し、オキシアルキレン基の平均付加モル数が2以上の化合物Bと、
水系媒体と、を含有する、サファイア板の非極性面用研磨液組成物。
〈2〉 前記オキシアルキレン基は、好ましくはオキシエチレン基(EO)及びオキシプロピレン基(PO)から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは、−(EO)a−で表わされるオキシエチレン基又はポリオキシエチレン基、及び−(EO)a(PO)b−で表わされるポリオキシアルキレン基のうちの1種以上を含み、更に好ましくは−(EO)a(PO)b−で表わされるポリオキシアルキレン基を含む、前記〈1〉に記載の研磨液組成物。
ただし、好ましくはa>bであり、−(EO)a(PO)b−で表わされるポリオキシアルキレン基において、EOとPOの配列はブロックでもランダムでもよい。
〈3〉 化合物Bが、好ましくはポリオキシアルキレン基を含み、前記オキシアルキレン基は前記ポリオキシアルキレン基を構成している、前記〈1〉又は〈2〉に記載の研磨液組成物。
〈4〉 化合物Bの1分子中に含まれるオキシアルキレン基の平均付加モル数を、化合物Bの1分子中に含まれる前記窒素含有基数で除した値が、好ましくは2以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは10以上、更により好ましくは15以上であり、そして、好ましくは100以下、より好ましくは80以下、更に好ましくは70以下、更により好ましくは60以下である前記〈1〉から〈3〉のいずれかに記載の研磨液組成物。
〈5〉 化合物Bの1分子中に含まれるオキシアルキレン基の平均付加モル数が、好ましくは2以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは20以上、更により好ましくは40以上であり、そして、好ましくは150以下、より好ましくは130以下、更に好ましくは110以下、更により好ましくは100以下である、前記〈1〉から〈4〉のいずれかに記載の研磨液組成物。
〈6〉 化合物Bは、好ましくは窒素含有基を1つのみ有するアルキルアミンの窒素原子に3個のポリオキシアルキレン基が結合した化合物、エチレンジアミン骨格の窒素原子に各々2個のポリオキシアルキレン基が結合した化合物、及び主鎖に窒素含有基が複数含まれポリオキシアルキレン基を含む側鎖を有する、櫛形分子構造の化合物から選ばれる1種以上の化合物、より好ましくは主鎖に窒素含有基が複数含まれポリオキシアルキレン基を含む側鎖を有する、櫛形分子構造の化合物及びエチレンジアミン骨格の窒素原子に各々2個のポリオキシアルキレン基が結合した化合物から選ばれる1種以上の化合物である、前記〈1〉から〈5〉のいずれかに記載の研磨液組成物。
〈7〉 化合物Bは、下記式(I)〜(IV)で表わされる化合物からなる群から選ばれる1種以上の化合物である、前記〈1〉から〈6〉のいずれかに記載の研磨液組成物。
下記式(I)、(II)及び(IV)において、窒素含有基が塩の形態を取っていてもよく、窒素含有基が塩の形態をとる場合の対イオンとしては、好ましくは水酸化物イオン、塩化物イオン及びヨウ化物イオンから選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは水酸化物イオン及び塩化物イオンから選ばれる少なくとも1種である。
Figure 2017119738
ただし、上記式(I)において、R1は、炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、R2、R3は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1以上20以下の炭化水素基である。n1及びn2は、EOの平均構成単位数であり、同一又は異なって1以上40以下である。m1及びm2はPOの平均構成単位数であり、同一又は異なって0以上40以下である。EOとPOの配列はブロックでもランダムでもよい。n1+n2は、EOの平均付加モル数であって、2以上80以下であり、m1+m2は、POの平均付加モル数であって、0以上80以下である。
Figure 2017119738
ただし、上記式(II)において、R4は、炭素数1以上20以下の炭化水素基及びNH2から選ばれる少なくとも1種であり、R5、R6は、同一又は異なって、水素原子及び炭素数1以上20以下の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種であり、xはEOの平均付加モル数であって1以上30以下であり、yはPOの平均付加モル数であって0以上10以下である。X1、X2は、同一又は異なって、炭素数1以上5以下のアルカンジイル基、及び単結合から選ばれる少なくとも一種である。EOとPOの配列はブロックでもランダムでもよい。
Figure 2017119738
ただし、上記式(III)において、R7は、炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、R8、R10、R9は、同一又は異なって、水素原子及び炭素数1以上20以下の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種であり、Y1-は、水酸化物イオン、塩化物イオン及びヨウ化物イオンから選ばれる少なくとも1種である。p1、p2、p3は、EOの平均構成単位数であり、同一又は異なって1以上5以下である。q1、q2、q3は、POの平均構成単位数であり、同一又は異なって0以上5以下である。EOとPOの配列はブロックでもランダムでもよい。p1+p2+p3は、EOの平均付加モル数であって、1以上20以下であり、q1+q2+q3は、POの平均付加モル数であって、1以上10以下である。
Figure 2017119738
ただし、上記式(IV)において、R11、R12、R13、R14は、同一又は異なって、水素原子及び炭素数1以上20以下の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種であり、X3は、炭素数2以上8以下のアルカンジイル基である。x1,x2,x3,x4は、POの平均構成単位数であり、同一又は異なって1以上20以下である。y1,y2,y3,y4は、EOの平均構成単位数であり、同一又は異なって0以上20以下である。x1+x2+x3+x4は、POの平均付加モル数であって、4以上80以下であり、y1+y2+y3+y4は、EOの平均付加モル数であって、4以上80以下である。
〈8〉 前記研磨液組成物中における、砥粒Aと化合物Bとの含有量比[砥粒Aの含有量/化合物Bの含有量]が、好ましくは100以上、より好ましく400以上、更に好ましくは800以上、更により好ましくは1500以上であり、そして、好ましくは40000以下、より好ましくは10000以下、更に好ましくは8000以下、更により好ましくは5000以下である。前記〈1〉から〈7〉のいずれかに記載の研磨液組成物。
〈9〉 砥粒Aが、好ましくはシリカ粒子、アルミナ粒子、炭化ケイ素粒子、及びダイヤモンド粒子から選ばれる1種以上の砥粒、より好ましくはシリカ粒子、更に好ましくは球状のシリカ粒子である、前記〈1〉から〈8〉のいずれかに記載の研磨液組成物。
〈10〉 砥粒Aの平均二次粒径は、好ましくは1nm以上、より好ましくは10nm以上、更に好ましくは50nm以上、更に好ましくは80nm以上であり、そして、好ましくは10000nm以下、より好ましくは1000nm以下、更に好ましくは500nm以下、更に好ましくは200nm以下である、前記〈1〉から〈9〉のいずれかに記載の研磨液組成物。
〈11〉 25℃におけるpHが、好ましくは7以上、より好ましくは8以上、更に好ましくは9以上、更により好ましくは9.5以上であり、そして、好ましくは12以下、より好ましくは11.8以下であり、更に好ましくは11.6以下、更により好ましくは11.2以下である、前記〈1〉から〈10〉のいずれかに記載の研磨液組成物。
〈12〉 前記〈1〉から〈11〉のいずれかに記載の研磨液組成物を用いて被研磨サファイア板の非極性面を研磨する工程を含む、被研磨サファイア板の研磨方法。
〈13〉 前記〈1〉から〈11〉のいずれかに記載の研磨液組成物を用いて被研磨サファイア板の非極性面を研磨する工程を含む、サファイア板の製造方法。
〈14〉被研磨サファイア板の非極性面を研磨するための、前記〈1〉から〈11〉のいずれかの研磨液組成物の使用。
下記の通り、砥粒、化合物B又はその比較対象化合物、イオン交換水、及びpH調整剤を用いて、実施例1〜26、比較例1〜20の研磨液組成物を調製した。実施例1〜26、比較例1〜20の研磨液組成物における、砥粒、化合物B又はその比較対象化合物の含有量は、各々表3〜表4に記載の通りとした。尚、実施例1〜26、比較例1〜20の研磨液組成物の調製に用いた化合物B又はその比較対象化合物の20℃の水100mLに対する溶解度は、いずれも2g以上であった。
実施例1〜26、比較例1〜20の研磨液組成物の調製に用いた化合物B又はその比較対象化合物の詳細は下記表1及び表2に記載の通りである。
Figure 2017119738
Figure 2017119738
<実施例1〜19>
イオン交換水の入ったビーカー内に、表1に記載の化合物Bを添加した後、球状シリカ粒子(BET比表面積:31.7m2/g)水分散液を添加しこれらを撹拌して、化合物B添加球状シリカ粒子水分散液を得た。その後すぐに、pH調整剤として48質量%水酸化ナトリウム水溶液(関東化学社製)を用いて化合物B添加球状シリカ粒子水分散液のpHを10に調整して、表3に記載の研磨液組成物を得た。実施例1〜19の研磨液組成物の調製に用いた球状シリカ粒子の平均一次粒径及び平均二次粒径は各々表3に記載のとおりとした。
<実施例20〜21>
48質量%水酸化ナトリウム水溶液(関東化学社製)の添加量及び研磨液組成物のpHを、各々代えたこと以外は、実施例4と同様にして実施例20〜21の研磨液組成物を調製した。
<実施例22>
実施例4の研磨液組成物と同じ研磨液組成物を、実施例22の研磨液組成物として調製した。
<実施例23>
球状シリカ粒子水分散液に代えて、アルミナ粒子(砥粒、α化率90%、結晶子サイズ 32nm)水分散液を用いたこと以外は、実施例4と同様にして実施例23の研磨液組成物を調製した。
<実施例24>
球状シリカ粒子水分散液に代えて、非球状シリカ粒子Ab(表3及び表4においては「異形シリカ」と表示。BET比表面積:34.2m2/g)水分散液を用いたこと以外は、実施例4と同様にして実施例24の研磨液組成物を調製した。前記非球状シリカ粒子Abの、平均絶対最大長は122.6nm、面積比(a/b×100)の平均値は72.8%である。
<実施例25>
球状シリカ粒子水分散液に代えて、SiC粒子水分散液を用いたこと以外は、実施例4と同様にして実施例25の研磨液組成物を調製した。
<実施例26>
球状シリカ粒子水分散液に代えて、ダイヤモンド粒子水分散液を用いたこと以外は、実施例4と同様にして実施例26の研磨液組成物を調製した。
<比較例1>
化合物Bを添加しないこと以外は、実施例1と同様にして比較例1の研磨液組成物を調製した。
<比較例2〜11>
化合物Bに代えて、表2及び表4に記載の化合物Bの比較対象化合物を添加したこと以外は、実施例1と同様にして比較例2〜11の研磨液組成物を調製した。
<比較例12〜13>
48質量%水酸化ナトリウム水溶液(関東化学社製)の添加量及び研磨液組成物のpHを、各々代えたこと以外は、比較例1と同様にして比較例12〜13の研磨液組成物を調製した。
<比較例14>
比較例1の研磨液組成物と同じ研磨液組成物を、比較例14の研磨液組成物として調製した。
<比較例15>
実施例4の研磨液組成物と同じ研磨液組成物を、比較例15の研磨液組成物として調製した。
<比較例16>
比較例1の研磨液組成物と同じ研磨液組成物を、比較例16の研磨液組成物として調製した。
<比較例17>
化合物Bを添加しないこと以外は、実施例23と同様にして比較例17の研磨液組成物を調製した。
<比較例18>
化合物Bを添加しないこと以外は、実施例24と同様にして比較例18の研磨液組成物を調製した。
<比較例19>
化合物Bを添加しないこと以外は、実施例25と同様にして比較例19の研磨液組成物を調製した。
<比較例20>
化合物Bを添加しないこと以外は、実施例26と同様にして比較例20の研磨液組成物を調製した。
[化合物B5の合成方法]
国際特許公報2014/104288号公報に記載の「化合物(6)」を、本願の化合物B5とした。
[化合物B6の合成方法]
国際特許公報2014/104288号公報に記載の「化合物(11)」を、本願の化合物B6とした。
[比較対象化合物B17の合成方法]
攪拌装置、温度制御装置を備えた容積6.0Lのオートクレーブにラウリルアルコール(花王(株)製「カルコール2098」)375g、48質量%水酸化カリウム水溶液12.4gを仕込み、オートクレーブ内を窒素置換した後に100℃、4.7kPaにて1.0時間水分を除去した。窒素で大気圧に戻して110℃まで昇温した後、プロピレンオキサイド3694gを圧力0.1〜0.4MPaとなるように導入しながら36時間、付加反応を行った。140℃まで昇温した後、エチレンオキサイド1405gを圧力0.1〜0.4MPaとなるように導入しながら12時間付加反応を行った。その後60℃まで冷却し、氷酢酸5.3gを添加し、1時間攪拌し、ラウリルオキシポリプロピレングリコール(29)ポリエチレングリコール(15)5400gを得た。その後、攪拌装置、温度計、窒素吹き込み管、冷却管を取り付けた3リットルの4つ口フラスコに得られたラウリルオキシポリプロピレングリコール(29)ポリエチレングリコール(15)653gに、モノヒドロキシ酢酸35.1g、p−トルエンスルホン酸・一水和物3.5gを仕込み、攪拌しながら、窒素置換を行った。140℃まで昇温した後、窒素を吹き込みながら、冷却管につないだ真空ポンプを用いて減圧(−0.1MPa)しながら、16時間反応させた。80℃まで温度を下げた後、無水炭酸ナトリウム26.8gを添加し、2時間攪拌した。得られた液を濾紙(No.5A)で濾過し、48%水酸化ナトリウム溶液でpHを10に調整することにより、ラウリルオキシポリオキシプロピレン(29)ポリオキシエチレン(15)オキシカルボン酸Naを得た。
[砥粒Aの各種パラメーターの測定]
(1)シリカ粒子の平均一次粒径
シリカ粒子の平均一次粒径(nm)は、BET(窒素吸着)法によって算出される比表面積S(m2/g)を用いて下記式で算出した。
平均一次粒径(nm)=2727/S=6/(ρ×S)
ρ:物質の密度(kg/m3
シリカ粒子の比表面積は、下記の[前処理]をした後、測定サンプル約0.1gを測定セルに小数点以下4桁まで精量し、比表面積の測定直前に110℃の雰囲気下で30分間乾燥した後、比表面積測定装置(マイクロメリティック自動比表面積測定装置 フローソーブIII2305、島津製作所製)を用いて窒素吸着法(BET法)により測定した。
[前処理]
(a)シリカ粒子を含むスラリーを硝酸水溶液でpH2.5±0.1に調整する。
(b)前記スラリーをシャーレにとり150℃の熱風乾燥機内で1時間乾燥させる。
(c)乾燥後、得られた試料をメノウ乳鉢で細かく粉砕する。
(d)粉砕された試料を40℃のイオン交換水に懸濁させ、孔径1μmのメンブランフィルターで濾過する。
(e)フィルター上の濾過物を20gのイオン交換水(40℃)で5回洗浄する。
(f)濾過物が付着したフィルターをシャーレにとり、110℃の雰囲気下で4時間乾燥させる。
(g)乾燥した濾過物(砥粒)をフィルター屑が混入しないようにとり、乳鉢で細かく粉砕して測定サンプルを得た。
(2)シリカ粒子の平均絶対最大長及び面積比の平均値
シリカ粒子を日本電子製透過型電子顕微鏡(TEM)(商品名「JEM−2000FX」、80kV、1〜5万倍)で観察した写真をパソコンにスキャナで画像データとして取込み、解析ソフト「WinROOF(Ver.3.6)」(販売元:三谷商事)を用いて1000〜2000個のシリカ粒子データについて、個々のシリカ粒子の投影面積a及び絶対最大長を求めた。絶対最大長の平均値を平均絶対最大長とした。個々のシリカ粒子の絶対最大長を直径とする円の面積をbとし、面積比(a/b×100)(%)を算出し、その平均値を面積比(a/b×100)の平均値とした。
(3)平均二次粒径
砥粒Aの平均二次粒径(nm)は、砥粒の0.25質量%水溶液をDisposable Sizing Cuvette(ポリスチレン製 10mmセル)に下底からの高さ10mmまで入れ、動的光散乱法(装置名:ゼータサイザーNano ZS、シスメックス(株)製)を用いて測定した。前記水溶液の調製には、イオン交換水を用いた。
(4)アルミナ粒子のα化率及び結晶子サイズ
アルミナスラリー20gを105℃で5時間乾燥させ、得られた乾燥物を乳鉢で解砕して粉末X線回折用サンプルを得た。各サンプルを粉末X線回折法にて分析し、104面におけるピーク面積を比較した。粉末X線回折法による測定条件は下記のとおりとした。
測定条件;
装置:(株)リガク製、粉末X線解析装置 RINT2500VC
X線発生電圧:40kV
放射線:Cu−Kα1線(λ=0.154050nm)
電流:120mA
Scan Speed:10度/分
測定ステップ:0.02度/分
α化率(%)=(αアルミナ特有ピーク面積/全ピーク面積)×100
また、結晶子サイズは、得られた粉末X線回折スペクトルから、粉末X線回折装置付属の粉末X線回折パターン総合解析ソフトJADE(MDI社、シェラーの式による自動計算)を用いて算出した。上記ソフトによる算出処理は、上記ソフトの取扱説明書(Jade(Ver.5)ソフトウェア、取扱説明書 Manual No.MJ13133E02、理学電機株式会社)に基づいて算出した。
[研磨液組成物のpH測定]
pHメーター(東亜電波工業社製、HM−30G)を用い、25℃にて研磨液組成物のpHを測定した。
[研磨評価]
直径2インチのサファイア板に対して下記の研磨条件で、実施例1〜26、比較例1〜20の研磨液組成物を用いて、1時間研磨を行った。尚、実施例1〜21、23〜26、比較例1〜13、17〜20の研磨液組成物はA面の研磨に、実施例22、比較例14の研磨液組成物はR面の研磨に、比較例15〜16の研磨液組成物はC面の研磨に用いた。
(研磨条件)
片面研磨機(テクノライズ製TR15M−TRK1、定盤径38cm)
不織布研磨パッド(ニッタハース製SUBA800)
研磨荷重300g/cm2
定盤回転数120rpm
キャリア回転数120rpm
研磨液流量120mL/min(循環)
上記の研磨条件で、サファイア板を研磨した後、超純水に浸漬し、次いで、流水(超純水)で洗い流し、乾燥させた。
[研磨速度の測定]
サファイア板の研磨前後の重量変化を求め、サファイア密度(3.98g/cm3)、サファイア板面積(20.3cm2)から研磨速度(μm/h)を算出した。尚、表3及び表4に示した実施例1〜21、比較例2〜13の研磨液組成物を用いた場合の研磨速度は、比較例1の研磨液組成物を用いた場合の研磨速度を「100」とした場合の相対値であり、実施例23〜26の研磨液組成物を用いた場合の研磨速度は、各々、比較例17〜20の研磨液組成物を用いた場合の研磨速度を「100」とした場合の相対値である。実施例22の研磨液組成物を用いた場合の研磨速度は、比較例14の研磨液組成物を用いた場合の研磨速度を「100」とした場合の相対値であり、比較例15の研磨液組成物を用いた場合の研磨速度は、比較例16の研磨液組成物を用いた場合の研磨速度を「100」とした場合の相対値である。
[スクラッチ数の測定方法]
測定機器:微細欠陥可視化検査装置(Micro−MAX Surface−EYE VSF−300:ビジョンサイテック製)
評価:研磨の対象とした2枚のサファイア板を顕微鏡ステージに載せ、サファイア板表面に観察される長さが100μm以上の線状の傷の数をスクラッチ数とした。前記2枚のサファイア板に存在するスクラッチ数の合計を2で除して、サファイア板1枚当たりのスクラッチ数を算出した。
Figure 2017119738
Figure 2017119738
表3及び表4に示されるように、被研磨サファイア板の非極性面の研磨に際し、実施例の研磨液組成物を用いた場合、比較例の研磨液組成物を用いる場合よりも、研磨速度は速く、且つ、研磨後のサファイア板の表面のスクラッチ数が顕著に少ない。
以上説明した通り、本発明の研磨液組成物を用いた被研磨サファイア板の非極性面の研磨において、研磨速度が速く、且つ、研磨後のサファイア板の表面のスクラッチ数が低減されている。したがって、本発明の研磨液組成物を用いれば、スマートフォン等の携帯情報端末のカバーガラスとして用いられるサファイア板の生産性が向上する。

Claims (9)

  1. 砥粒Aと、
    1分子内に1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、それらの塩、及び4級アンモニウム基から選ばれる1種以上の窒素含有基とオキシアルキレン基とを有し、オキシアルキレン基の平均付加モル数が2以上の化合物Bと、
    水系媒体と、を含有する、サファイア板の非極性面用研磨液組成物。
  2. 前記オキシアルキレン基は、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の研磨液組成物。
  3. 化合物Bがポリオキシアルキレン基を含み、前記オキシアルキレン基は前記ポリオキシアルキレン基を構成している、請求項1又は2に記載の研磨液組成物。
  4. 化合物Bの1分子中に含まれるオキシアルキレン基の平均付加モル数を、化合物Bの1分子中に含まれる前記窒素含有基数で除した値が、2以上100以下である請求項1から3のいずれか一項に記載の研磨液組成物。
  5. 化合物Bの1分子中に含まれるオキシアルキレン基の平均付加モル数が、2以上150以下である、請求項1から4のいずれか一項に記載の研磨液組成物。
  6. 砥粒Aが、シリカ粒子、アルミナ粒子、炭化ケイ素粒子、及びダイヤモンド粒子から選ばれる1種以上の砥粒である、請求項1から5のいずれか一項に記載の研磨液組成物。
  7. 25℃におけるpHが、7以上12以下である、請求項1から6のいずれか一項に記載の研磨液組成物。
  8. 請求項1から7のいずれか一項に記載の研磨液組成物を用いて被研磨サファイア板の非極性面を研磨する工程を含む、被研磨サファイア板の研磨方法。
  9. 請求項1から7のいずれか一項に記載の研磨液組成物を用いて被研磨サファイア板の非極性面を研磨する工程を含む、サファイア板の製造方法。
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