JP2017117920A - モールド変圧器 - Google Patents
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Abstract
【課題】変圧器の小形、軽量化を図りつつ、放熱効率を向上した三相三脚構造のモールド変圧器を提供する。【解決手段】三相三脚構造のモールド変圧器において、中央のV相のコイルにのみエアーダクト3を設ける構造とする。中央のV相にのみエアーダクト3を設けることによりV相の導体周長がU相、W相に対し異なり各相間インピーダンスのアンバランスが生じる。その対策として、複数の巾および厚さの鉄心を用いることで各相の導体周長を等しくするなどして、各相のコイルのインピーダンスを等しく調整する。【選択図】図1
Description
本発明は、変圧器のコイルを絶縁性の樹脂でモールド成形したモールド変圧器に関する。
モールド変圧器の運転中に過負荷状態あるいは過励磁状態が長時間続いた場合、通常運転時に比べコイルあるいは鉄心の温度が上昇し、熱暴走による異常過熱を引き起こし変圧器として機能しなくなる恐れがある。変圧器の損失には鉄心が発生源の無負荷損失とコイル導体が発生源の負荷損失がある。損失による異常過熱を防止するために、コイルにエアーダクトを設けコイルの放熱効率を上げることでコイルと鉄心両方の温度上昇を抑制する効果が確認されている。
特許文献1には、三相三脚構造のモールド変圧器において、U相、V相、W相それぞれの樹脂モールドコイルに、コイルの中心軸に沿う方向に、断面の形状及び面積が略一定の冷却用ダクトを設けることが記載されている(段落0010参照)。
変圧器の運転中は損失が発生しており、損失によるコイルの温度上昇対策が必要である。従来技術として、コイルの放熱効率を上げるためにコイルにエアーダクトを設ける構造が知られている。特許文献1では、三相三脚構造のモールド変圧器において、U相、V相、W相それぞれの樹脂モールドコイルに、冷却用ダクトを設けている。しかし、エアーダクトを設けるとダクトの厚さ分コイルが大形化するだけでなく、コイル製造時のダクト装着作業に時間を要し生産性が悪化する。そのため、エアーダクトを設けることなくコイルの温度上昇を抑制する設計とするか、あるいはエアーダクトを効果的に配置し放熱効率を向上させコイルの温度上昇を抑制する設計にすることが、変圧器の小形、軽量化を図り、さらに生産性を高める上で重要である。
三相三脚構造の変圧器において各相コイルの温度上昇を比較した場合、中央のV相コイルの温度上昇が両側のU相、W相コイルに比べ高くなる。また、鉄心温度は中央のV脚の温度上昇が両側のU脚、W脚に比べ高くなる。そのため、コイルあるいは鉄心の局所的な異常過熱を防止するためには、中央のV相コイルの冷却効率向上が必要である。
本発明は、三相三脚構造のモールド変圧器において、変圧器の小形、軽量化を図りつつ、放熱効率を向上することを目的とする。
上記課題を解決するため、三相三脚構造のモールド変圧器において、中央のV相のコイルにのみエアーダクトを設ける構造とする。中央のV相にのみエアーダクトを設けることにより、V相の導体周長がU相、W相に対し異なり各相間インピーダンスのアンバランスが生じるが。その対策として、例えば複数の巾および厚さの鉄心を用いることで各相の導体周長を合わせるなどして、各相のインピーダンスを等しく調整する。
本発明のモールド変圧器の一例を挙げるならば、三相三脚構造のモールド変圧器であって、3本並んだコイルのうち、中央の相のコイルにのみエアーダクトを設けたものである。
本発明のモールド変圧器において、エアーダクトを設けた中央の相のコイルとエアーダクトを設けない両側の相のコイルのインピーダンスを等しくするのが好ましい。
本発明によれば、三相三脚構造のモールド変圧器の損失による温度上昇に対し効果的に冷却を行うことができ、導体および鉄心の投入量を抑制しつつ温度上昇対策をすることで、小形、軽量化を実現し経済的に優れた変圧器を製作できる。特に、鉄心材にアモルファス薄帯を用いるアモルファス変圧器においては鉄心の特性上、無負荷損失が小さいため、負荷損失が温度上昇への影響が大きく、中央のV相コイルの冷却効率を高めることで異常過熱を防止するのに有効である。本発明により、モールド変圧器の運転中に過負荷状態あるいは過励磁状態が長時間続いた場合に対しても、異常過熱を防止でき、安全性の高いモールド変圧器を提供できる。
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。なお、実施例を説明するための各図において、同一の構成要素には同一の名称、符号を付して、その繰り返しの説明を省略する。
図1に、本発明の実施例1の三相三脚構造のモールド変圧器を示す。図1(a)は、U相、V相、W相のモールドコイルの平面図、図1(b)は、そのA−A’断面図である。
図において、符号1は高圧コイル(一次コイル)、符号2は低圧コイル(二次コイル)、符号3はエアーダクト示す。また、符号7は一次端子である。モールド変圧器は内側に低圧コイル2、外側に高圧コイル1を配置するのが一般的である。低圧コイル2は電流密度が高く、損失に対し効果的に放熱を行わないと温度上昇が抑制できず、高温になりやすい。しかし、低圧コイル2は内側に鉄心、外側に高圧コイル3が配置され、放熱スペースが十分に確保できずに冷却しにくい構造のため、少しでも放熱効率を上げる必要がある。そのため低圧コイル2内にエアーダクト3を設ける必要がある。しかし、三相変圧器の場合、U相、V相、W相の各相コイルが3本横に並ぶ配置のためエアーダクト分、変圧器の幅寸法が大きくなる問題がある。この問題を解決するため、3本並んだコイルのうち中央のV相の低圧コイルのみにエアーダクト3を配置する。エアーダクト3の本数はコイル一面当たり3本、配置面は4面とすることが望ましいが、製造上の制約から、図に示すように3面とし、コイル一脚当り9本のダクトを配置する。エアーダクト3は、コイルの中心軸に沿う方向に、断面の形状及び面積が略一定の空間として設けられる。一方、一次側から見て右側のU相コイルと左側のW相コイルにはエアーダクトを設けない。
エアーダクト3を備えるコイルの製造方法の一例を説明する。コイルの厚さの中間にエアーダクトが位置するように、コイルを半分巻き線した後、コイル中心軸方向に抜型となる金属棒を複数本平行に配置する。金属棒は、例えば鉄製のものに離型材を塗布し、保護紙を巻き付けたものを用いる。金属棒はコイル高さよりも長くし、引き抜きが可能な長さとする。金属棒を配置した後、コイルの残り半分を巻き線する。次に、金属棒を配置した状態で、絶縁性のモールド樹脂を注型する。樹脂の注型は、コイルの上部から行う。モールド樹脂の硬化後、金属棒を引き抜く。引き抜かれた金属棒の跡に、金属棒の外形に対応した空間であるエアーダクトが形成される。
図1に示すモールドコイルの鉄心の材料として、ケイ素鋼やアモルファス材料を用いることができる。鉄心材にアモルファス薄帯を用いるアモルファス変圧器においては鉄心の特性上、無負荷損失が小さいため、負荷損失が温度上昇への影響が大きく、中央のV相コイルの冷却効率を高めることで異常過熱を防止するのに有効である。
本実施例によれば、3相3脚構造のモールド変圧器において、中央の相のモールドコイルにのみエアーダクトを設けたので、モールド変圧器の損失による温度上昇に対し効果的に冷却を行うことができ、導体および鉄心の投入量を抑制しつつ温度上昇対策をすることで、小形、軽量化を実現し経済的に優れた変圧器を製作できる。
図2に、本発明の実施例2の3相3脚構造のモールド変圧器を示す。図2(b)は一次側から見た正面図、図2(a)はそのB−B’断面図である。
実施例1のモールドコイルの場合、中央のV相の導体周長がU相、W相に対し異なり(長くなり)各相間のインピーダンスにアンバランスが生じる。その対策として、複数の鉄心材料巾を用い、鉄心の厚さを変えて段付鉄心とすることで、各相の導体周長を等しくしインピーダンスを等しく調整することが可能になる。図2において、内鉄心4の幅をW1、厚さをD1とし外鉄心5の幅をW2、厚さをD2とし、W1>W2、D1<D2とする。外鉄心5の幅W2を内鉄心4の幅W1より小さくし、外鉄心5の厚さD2を内鉄心4の厚さD1よりも厚くすることにより、コイル1,2の導体周長を等しく調整する。外鉄心5の幅を狭くし積厚を調整することにより、U相、W相の導体周長をV相の導体周長と等しくすることができる。
一般的に鉄心が励磁された際、中央のV脚鉄心が両側のU脚、W脚に比べ磁束が集中し過励磁の影響を受け易い。そのため、本構造を用いV脚を通る内鉄心の幅をU脚、W脚を通る外鉄心に比べ広くし、鉄心断面積を大きくすることがV脚鉄心の局所過熱を防止する上で有効である。
本実施例によれば、中央の相の鉄心の幅および厚さと、両側の相の鉄心の幅および厚さを変えて各相の導体周長を等しくしたので、実施例1の効果に加えて、各相のコイルのインピーダンスを等しく調整し、特性を合わせることができる。
図3に、本発明の実施例3の3相3脚構造のモールド変圧器を示す。図3(b)は一次側から見た正面図、図3(a)はそのC−C’断面図である。
実施例2のモールドコイルの場合、U相およびW相の導体周長をV相の導体周長に合わせるため、U相およびW相のコイルを故意に大きくしている。実施例3では、V相のコイルの導体高さと導体厚を調整することで、コイルを大きくすることなく各相のインピーダンスを調整する。
図4(a)に、V相コイル6の断面図を示す。V相コイル6の導体A8は、高さH1、厚さD1である。また、図4(b)に、U相およびW相コイル2の断面図を示す。U相およびW相コイル2の導体B9は、高さH2、厚さD2である。V相のコイル6は周長が長いため、U相およびW相に比べてインピーダンスが大きくなる。導体の断面積を同じとした場合、V相の高さ寸法H1を大きくし(H1>H2)、V相の導体A8の厚さD1を薄くする(D1<D2)と、インピーダンスは小さくなる。これにより、V相のコイルのインピーダンスを小さくする。
なおこのとき、図3に示すように、高圧端子(1次端子7)がコイルに内蔵されている場合は各相の端子の高さに違いが生じないようコイル上端面を合わせる構造とする。また、図3では、内鉄心4と外鉄心5の幅を変えているが、同じ幅で同じ厚さとしても良い。
本実施例によれば、U相とW相のコイルの導体高さと導体厚に対して、V相のコイルの導体高さと導体厚を変えたので、実施例1の効果に加えて、V相のコイルを大きくすることなく、各相のインピーダンスを等しく調整し、特性を合わせることができる。
図5に、本発明の実施例4の3相3脚構造のモールド変圧器を示す。図3(b)は正面図、図3(a)はそのD−D’断面図である。
実施例1は、内鉄心および外鉄心として巻鉄心を想定したものであるが、本実施例は鉄心として額縁鉄心を用いるものである。額縁鉄心13は、ケイ素鋼板などの磁性薄板を積層することにより形成する。そして、額縁鉄心13の中央の脚部にエアーダクト3を有する低圧コイル12および高圧コイル11を取り付ける。両側の脚部にはエアーダクト3を持たない低圧コイル12および高圧コイル11を取り付ける。
図5では、磁性薄板の幅を変えて断面が円形となるようにし、丸形の低圧コイル12と丸形の高圧コイル11を取り付けているが、断面が方形となるようにし、図1に示される角形の低圧コイルおよび角形の高圧コイルを取り付けるようにしても良い。
また、低圧コイルと高圧コイルを合わせて一体のコイルとし、中央のV相のコイルにエアーダクトを設けても良い。
実施例1はモールドコイルを構成する導体の材料として同じ材料を用いるものであるが、本発明の実施例5は、材料の異なる導体を組合せることにより、抵抗率等の材料特性の違いを用いてインピーダンスを等しく調整するものである。
図1において、V相はコイルの周長が長くなるため、インピーダンスが大きくなる。V相のコイルの材料として抵抗率の小さい例えばCuを用い、U相およびW相のコイルの材料として比較して抵抗率の大きい例えばAlを用いる。これにより、V相のインピーダンスを小さくすることができ、各相のインピーダンスを等しく調整し、特性を合わせることができる。
本実施例によれば、U相とW相のコイルの導体材料に対して、V相のコイルを抵抗率の小さい導体材料としたので、実施例1の効果に加えて、V相のコイルの形状変えることなく、各相のインピーダンスを等しく調整し、特性を合わせることができる。
1…高圧コイル
2…低圧コイル
3…エアーダクト
4…内鉄心(幅広)
5…外鉄心(幅狭)
6…高圧コイル(高さ調整用)
7…一次端子
8…導体A
9…導体B
11…高圧コイル(丸形)
12…低圧コイル(丸形)
13…額縁鉄心
2…低圧コイル
3…エアーダクト
4…内鉄心(幅広)
5…外鉄心(幅狭)
6…高圧コイル(高さ調整用)
7…一次端子
8…導体A
9…導体B
11…高圧コイル(丸形)
12…低圧コイル(丸形)
13…額縁鉄心
Claims (11)
- 三相三脚構造のモールド変圧器であって、3本並んだコイルのうち、中央の相のコイルにのみエアーダクトを設けたモールド変圧器。
- 請求項1記載のモールド変圧器において、
前記中央の相のコイルは、V相のコイルであるモールド変圧器。 - 請求項1記載のモールド変圧器において、
前記中央の相のコイルは、内側の低圧コイルと外側の高圧コイルで構成され、
前記内側の低圧コイルにエアーダクトを設けたモールド変圧器。 - 請求項1記載のモールド変圧器において、
前記コイルは、低圧コイルと高圧コイルとが一体に構成されているモールド変圧器。 - 請求項1記載のモールド変圧器において、
エアーダクトを設けた中央の相のコイルとエアーダクトを設けない両側の相のコイルのインピーダンスを等しくしたモールド変圧器。 - 請求項5記載のモールド変圧器において、
中央のV相の鉄心の幅および厚さと、両側のU相、W相の鉄心の幅および厚さを変えて、V相のコイルの導体周長とU相、W相のコイルの導体周長を等しくし、V相とU相、W相のインピーダンスを等しくしたモールド変圧器。 - 請求項5記載のモールド変圧器において、
U相とW相のコイルの導体高さと導体厚に対して、V相のコイルの導体高さと導体厚を変え、V相とU相、W相のインピーダンスを等しくしたモールド変圧器。 - 請求項5記載のモールド変圧器において、
両側のU相とW相のコイルの導体材料に対して、中央のV相のコイルの導体材料を変えて、V相とU相、W相のインピーダンスを等しくしたモールド変圧器。 - 請求項8記載のモールド変圧器において、
U相とW相のコイルの導体材料に対して、抵抗率の小さい導体材料をV相のコイルの導体材料に用いて、V相とU相、W相のインピーダンスを等しくしたモールド変圧器。 - 請求項1記載のモールド変圧器において、
鉄心にアモルファス薄帯を用いたモールド変圧器。 - 請求項1記載のモールド変圧器において、
鉄心に額縁鉄心を用いたモールド変圧器。
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JP2015251311A JP2017117920A (ja) | 2015-12-24 | 2015-12-24 | モールド変圧器 |
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JP2015251311A JP2017117920A (ja) | 2015-12-24 | 2015-12-24 | モールド変圧器 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2019087466A1 (ja) * | 2017-11-01 | 2019-05-09 | 三菱電機株式会社 | 変圧器及び電力変換装置 |
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2015
- 2015-12-24 JP JP2015251311A patent/JP2017117920A/ja active Pending
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WO2019087466A1 (ja) * | 2017-11-01 | 2019-05-09 | 三菱電機株式会社 | 変圧器及び電力変換装置 |
JPWO2019087466A1 (ja) * | 2017-11-01 | 2019-11-14 | 三菱電機株式会社 | 電力変換装置 |
US11290019B2 (en) | 2017-11-01 | 2022-03-29 | Mitsubishi Electric Corporation | Power converter |
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