JP2017183556A - 変圧器 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数のアモルファス磁性薄帯巻鉄心からなるアモルファス変圧器鉄心において、効率的な冷却が可能な鉄心を提供する。【解決手段】アモルファス磁性薄帯で形成される鉄心ケース6を通過させて形成した複数の巻鉄心と巻線とで構成されるアモルファス変圧器において、隣接する巻鉄心の間隔を一定に保つとともに、少なくとも垂直方向に冷却媒体の流れを生ずるように溝を設けた鉄心間挿入部材30及びその保持部材を設ける。【選択図】図1
Description
本発明はアモルファス磁性薄帯で構成される変圧器鉄心およびそれを用いた変圧器に関する。
近年の地球温暖化問題への意識の高まり、一部地域における急速な経済発展による電力需要の急増に伴い、変圧器においては、損失の低減、特に鉄損(無負荷損)の低減に対する関心が高まっている。
アモルファス磁性薄帯の無負荷損が、方向性珪素鋼板の1/3〜1/4であることを利用して、配電用の変圧器として実用化されている。アモルファス磁性薄帯を用いた変圧器(以下,アモルファス変圧器と呼ぶ。)では、通常、磁性薄帯を巻回して形成した巻鉄心と呼ばれている鉄心が用いられる。
更なる省エネルギーを実現するため,アモルファス変圧器の大容量化が望まれている。これに伴い,鉄心が大形化するため、鉄心を支持する構造部材もより強固なものとなる。それらの構造部材が鉄心の周囲に近接して配置されるため、鉱油等冷却媒体の自然対流による冷却が阻害され、鉄心の温度上昇が大きくなるという問題がある。
これまで、複数のアモルファス磁性薄帯の巻鉄心と巻線で構成される変圧器において、巻線を支持する構造部材や巻線の冷却につき、種々の提案がなされている。
本技術分野の背景技術として、特開2003−197440号公報(特許文献1)には、巻線の変形を防ぐ変形防止板と巻線との間に凹凸のあるスペーサを挿入し,垂直方向に油道を形成した構造が記載されている。また、特開2002−057057号公報(特許文献2)には、棒状絶縁物を多数平行に配置して構成した冷却ダクトにより巻線を冷却する構造が記載されている。
特許文献1の構造では、巻線で発生した熱を凹凸のあるスペーサの垂直方向に形成された油道を流れる鉱油に伝達することで、巻線の温度上昇を低く抑えることができる。しかし,複数のアモルファス磁性薄帯の巻鉄心の冷却については、特段の構造は開示されていない。
特許文献2の構造では、棒状絶縁物を多数平行に配置して構成した冷却ダクトにより、巻線で発生した熱を、冷却ダクトを流れる鉱油に伝達することができ、温度が上昇した鉱油の一部を、切欠部から水平方向へも流出されることにより、巻線の温度上昇を低く抑えることができる。しかし,複数のアモルファス磁性薄帯の巻鉄心の冷却については、特段の構造は開示されていない。
本発明は以上の問題点を鑑みてなされたもので、複数のアモルファス磁性薄帯巻鉄心からなるアモルファス変圧器鉄心において、効率的な冷却が可能な鉄心を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の変圧器は、アモルファス磁性薄帯で形成される鉄心ケースを通過させて形成した複数の巻鉄心と巻線とで構成されるアモルファス変圧器において、隣接する前記巻鉄心間に前記巻鉄心の間隔を一定に保つとともに、少なくとも垂直方向に冷却媒体の流れを生ずるように溝を設けた鉄心間挿入部材及びその保持部材を設けることを特徴とする。
隣接する巻鉄心の間隔を一定に保ち、巻鉄心で発生した熱を鉄心間挿入部材の溝を流れる冷却媒体に伝達することができ、鉄心の温度上昇を低く抑えられる効果がある。
以下、実施例を図面を用いて説明する。
本実施例では、油入単相変圧器の例を説明する。
図1は、同変圧器の概略構造を示す正面図である。図2は、図1のII‐II断面における水平断面図である。同変圧器の主要部は、アモルファス磁性薄帯を巻回して形成した巻鉄心で構成し、同心状に配置した外鉄心(7A、7B、7C、7D)及び内鉄心(8A、8B、8C、8D)と、同心状に配置した高圧巻線1及び低圧巻線2からなり、タンク18内に設置され、タンク内には冷却媒体として鉱油19が注入される。
次に巻鉄心及び巻線の支持構造物について説明する。支持構造物は、下部ベース11、支柱12、下部構造材13、上部構造材14、連結部材15、支柱固定部材16からなり、それぞれの重量に耐えられるだけでなく、各部に働く機械力にも耐えられるようになっている。
高圧巻線1及び低圧巻線2は、下部絶縁物3の上に配置され、巻線の上端部には上部絶縁物4が配置される。それら全ては、下部構造材13で支持される。
外鉄心(7A、7B、7C、7D)は外鉄心支え9で懸垂され、内鉄心(8A、8B、8C、8D)は内鉄心支え10で懸垂されている。図3は、巻鉄心の支持構造示す縦断面図である。外鉄心支え9と内鉄心支え10は、位置を調整するための調整部材21を挟んで、上部構造材14に、鉄心支え固定部材22で固定される。
次に、鉄心を保持する構造について説明する。
図4は、巻鉄心の保持構造を示す縦断面図である。同図の外鉄心(7A、7B)と内鉄心(8A、8B)は、接合部を閉じる前の状態を示している。外鉄心7Aと内鉄心8Aは、鉄心ケース6を通して懸垂される。鉄心ケース6は、ケース保持部材17を介して、下部構造材13に固定されている。低圧巻線2と鉄心ケース6の間には、巻線保持部材5が配置される。
外鉄心7A、内鉄心8Aの間には、鉄心間挿入部材30を配置され、鉄心ケース6の下端部に設けられた、保持部材62で所定の位置に保持される。また、隣り合う外鉄心間7A、7B間にも、鉄心間挿入部材30が配置される。なお、最終的には、磁性薄帯をラップすることにより、閉磁路を形成する。
次に、鉄心間挿入部材の構造を説明する。
図5は、巻鉄心間挿入部材の構造を示している。同図(a)は平面図、(b)は正面図である。巻鉄心間挿入部材30は、ベース絶縁物(材質:プレスボード)301、所定の寸法に成形した短冊状絶縁物(材質:プレスボード)302を貼り合わせて作製する。巻鉄心間挿入部材30は、外鉄心7Aと内鉄心7Bの間に配置されるが、垂直方向溝319が形成され、鉄心を冷却するための鉱油を流すことができる。両鉄心の間隔は、ベース絶縁物301と短冊状絶縁物302によって一定に保つことができる。また、作製時、稼働時において、2つの巻鉄心が直接接触することを防ぎ、鉄心の破損を防ぐことができる。
巻鉄心間挿入部材としては、図5とは別な構造としても良い。
図6の巻鉄心間挿入部材は、外側絶縁物(材質:プレスボード)303、304及び内側絶縁物(材質:プレスボード)305を一定距離重ねて、貼り合わせて作製したものである。本構造でも溝が形成され、鉱油を流すことができる。本構造の方が、図5の巻鉄心間挿入部材より、薄型の挿入部材となる。
図7の巻鉄心間挿入部材は、図5とほぼ同じであるが、短冊状絶縁物302として、異なる寸法のもので構成し、水平方向流路320を形成している点が異なっている。本構造では、鉄心を冷却して温度が高くなった鉱油を、水平方向へも流す効果がある。
最後に、巻鉄心間挿入部材を保持する方法を説明する。
図8は、巻鉄心間挿入部材の保持構造を示す、水平断面図(図1のVIII−VIII断面)である。見易くするため、右半分の外鉄心、内鉄心及び巻鉄心間挿入部材は省略し、図では破線で示している。また、高圧巻線1、低圧巻線2、支柱12も省略している。
鉄心ケース6下端部には、仕切り部材61、巻鉄心間挿入部材を保持するための、保持部材62が設けられている。保持部材62には、開口部63が設けられており、そこから鉱油が取り込まれ、巻鉄心間挿入部材30の垂直方向溝319を流れ、巻鉄心を冷却する。
実施例1において、本発明の巻鉄心間挿入部材を用いた場合、油温からの巻鉄心の最高温度上昇は、巻鉄心間挿入部材30のかわりにほぼ同寸法の平板絶縁物(材質:プレスボード)を使用した時の最高温度上昇の32%に低減されるという効果がある。
さらに、巻鉄心間挿入部材30を巻鉄心間に挟むことにより、巻鉄心どうしの衝突などを防止し、アモルファス磁性薄帯の破片の飛散を防止できる。
本実施例は、単相変圧器について説明してきたが、三相変圧器についても適用できる。
図1の実施例において、外鉄心(7A,7B)及び内鉄心(8A,8B)下部は、アモルファス磁性薄帯を交互に重ねた接合部となるため、磁性薄帯の破片を生ずる可能性がある。その破片の飛散を防ぐため、袋状の部材(図では省略している。)で覆っている。
図9は、第2の実施例における変圧器の概略構造を示す正面図である。図9の実施例は図1の実施例とほとんど同じであるが、外鉄心(7A,7B)及び内鉄心(8A,8B)の接合部からの破片の飛散を防止するための、保護ケース71を有しており、鉄心ケース6に冷却媒体取込み口65を設けている点が異なっている。保護ケース71は、鉄心ケース6に隙間なく装着され、下部構造材13に固定されている。
また、図10は、第2の実施例における、巻鉄心間挿入部材の構造を示す(a)平面図、(b)正面図である。本実施例の巻鉄心間挿入部材30は、図5の巻鉄心間挿入部材30とほぼ同じであるが、短冊状絶縁物302の高さ方向の長さがやや短く、水平方向溝320を形成している点が異なる。
本実施例によれば、鉄心を冷却するための鉱油は、冷却媒体取込み口65から流入し、巻鉄心間挿入部材30下部の水平方向溝320を経て、垂直方向溝319を流れ、外鉄心及び内鉄心を冷却できる。また、巻鉄心間挿入部材30を巻鉄心間に挟むことにより、巻鉄心どうしの衝突などを防止し、アモルファス磁性薄帯の破片の飛散を防止できるのも、実施例1と同様である。
1・・・高圧巻線、2・・・低圧巻線、3・・・下部絶縁物、4・・・下部絶縁物、5・・・巻線保持部材、6・・・鉄心ケース、7A、7B、7C、7D・・・外鉄心、8A、8B、8C、8D・・・内鉄心、9・・・外鉄心支え、10・・・内鉄心支え、11・・・下部ベース、12・・・支柱、13・・・下部構造材、14・・・上部構造材、15・・・連結部材、16・・・支柱固定部材、17・・・ケース保持部材、18・・・タンク、19・・・鉱油、21・・・調整部材、22・・・鉄心支え固定部材、30・・・鉄心間挿入部材、61・・・仕切り部材、62・・・保持部材、63・・・開口部、65・・・冷却媒体取込み口、301・・・ベース絶縁物、302・・・短冊状絶縁物、303、304・・・外側絶縁物、305・・・内側絶縁物、319・・・垂直方向溝、320・・・水平方向溝
Claims (5)
- アモルファス磁性薄帯で形成される鉄心ケースを通過させて形成した複数の巻鉄心と巻線とで構成されるアモルファス変圧器において、隣接する前記巻鉄心間に前記巻鉄心の間隔を一定に保つとともに、少なくとも垂直方向に冷却媒体の流れを生ずるように溝を設けた鉄心間挿入部材及びその保持部材を設けることを特徴とする変圧器。
- 前記鉄心間挿入部材は、ベース絶縁物に短冊状絶縁物を貼り合わせたことを特徴とする、請求項1に記載の変圧器。
- 前記鉄心間挿入部材は、外側絶縁物及び内側絶縁物を一定距離重ねて貼り合わせたことを特徴とする、請求項1に記載の変圧器。
- 前記鉄心ケースに開口部を設けたことを特徴とする、請求項1に記載の変圧器。
- 前記冷却媒体が鉱油であることを特徴とする、請求項1に記載の変圧器。
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