JP2017117632A - Ito導電膜及びこのito導電膜を形成するための塗料 - Google Patents

Ito導電膜及びこのito導電膜を形成するための塗料 Download PDF

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Abstract

【課題】ITO導電膜表面の保護フィルムを剥離してITO導電膜を使用するときに、ITO導電膜の表面層が剥がれず、また良好な導電性と透明性を兼ね備えた、ITO導電膜及びこのITO導電膜を形成するための塗料を提供する。
【解決手段】本発明のITO導電膜は、ITO粒子がバインダ樹脂中に均一に分散してなり、膜中、ITO粒子を70〜90質量、膜表面調整剤として下記式(1)で表される両性型含窒素フッ素系化合物を3質量%以下それぞれ含み、ITO粒子が40〜65m/gのBET法による比表面積と37以下のL値を有する。
【化13】
Figure 2017117632

【選択図】なし

Description

本発明は、LCD(Liquid Crystal Display)やPDP(Plasma Display Panel)、有機EL(ElectroLuminescence)、タッチパネル等の表示装置に用いられる透明電極を構成するITO導電膜及びこのITO導電膜を形成するための塗料に関するものである。本明細書において、ITOとはインジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide)をいう。
従来、この種のITO導電膜は、基材シート表面にITO導電膜形成用塗料をコーティングし、乾燥して形成されている。この基材シート表面に形成されたITO導電膜を巻き取る場合、或いはITO導電膜を基材シートとともに一対のカレンダロールの間を通して加圧する場合には、ITO導電膜表面が巻取り状態の基材シートの裏面又はカレンダロールへの密着防止のために、またITO導電膜表面が基材シート裏面又はカレンダロールによる汚染又は傷付き防止のために、巻き取る前又はカレンダ処理する前に離型処理された保護フィルム又はカバーフィルムをITO導電膜表面に積層している。そしてITO導電膜を使用するとき又は加圧した後に、保護フィルム又はカバーフィルムをITO導電膜の表面から剥離している(例えば、特許文献1参照。)。前者の保護フィルムは、例えば、基材シートを上面にしてITO導電膜を携帯電話のディスプレイ表面に貼着する場合に、貼着直前で剥離される保護フィルムである。
上記離型処理された保護フィルム又はカバーフィルムは、通常、ポリエステルフィルム等の基材フィルムの表面にシリコーン系樹脂や、非シリコーン系樹脂である長鎖アルキル基含有化合物やオレフィン系樹脂などの膜表面調整剤(離型剤)からなる層が形成されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2015−162325号公報(段落[0040]〜[0042]、図1(b)) 特開2007−203588号公報(段落[0002]、[0006])
しかしながら、特許文献2に記載された保護フィルム又はカバーフィルムをITO導電膜表面に積層した後、この保護フィルム又はカバーフィルムを剥離する際に、ITO導電膜の表面層の一部が剥がれる問題があった。また基材フィルム表面の膜表面調整剤(剥離剤)のシリコーン樹脂がITO導電膜中に移行し、ITO導電膜の導電性と透明性を劣化させる問題点があった。
本発明の第1の目的は、ITO導電膜表面の保護フィルムを剥離してITO導電膜を使用するときに、ITO導電膜の表面層が剥がれない、ITO導電膜及びこのITO導電膜を形成するための塗料を提供することにある。本発明の第2の目的は、良好な導電性と透明性を兼ね備えた、ITO導電膜及びこのITO導電膜を形成するための塗料を提供することにある。
本発明の第1の観点は、ITO粒子がバインダ樹脂中に均一に分散してなるITO導電膜において、前記ITO導電膜100質量%中、前記ITO粒子を70〜90質量%、膜表面調整剤として下記式(1)で表される両性型含窒素フッ素系化合物を3質量%以下それぞれ含み、前記ITO粒子が40〜65m/gのBET法による比表面積と37以下のL値を有することを特徴とする。
Figure 2017117632
但し、式(1)中、Rf、Rfは、それぞれ同一又は互いに異なる、炭素数1〜6であって直鎖状又は分岐状のペルフルオロアルキル基である。また、Rfは、炭素数1〜6であって、直鎖状又は分岐状のペルフルオロアルキレン基である。Rは、2価の有機基である連結基であり、Xは、両性型の親水性賦与基である。
本発明の第2の観点は、ITO粒子とバインダ樹脂と溶媒とを含むITO導電膜形成用塗料において、前記塗料100質量%中、前記ITO粒子を3〜45質量%、膜表面調整剤として上記式(1)で表される両性型含窒素フッ素系化合物を0.3質量%以下それぞれ含み、前記塗料の固形分100質量%中、前記ITO粒子以外の成分を10〜30質量%含み、前記前記ITO粒子が40〜65m/gのBET法による比表面積と37以下のL値を有することを特徴とする。
本発明の第1の観点のITO導電膜では、ITO粒子がバインダ樹脂中に均一に分散してなり、かつ膜表面調整剤として特定の両性型含窒素フッ素系化合物を3質量%以下の割合で含むため、ITO導電膜表面から保護フィルムを剥離するときに、ITO導電膜の表面層が剥がれることがない。また両性型含窒素フッ素系化合物は、導電性があるためITO導電膜の導電性を低下させず、また両性イオンのためITO粒子の表面電荷と作用しにくい。この結果、ITO粒子を凝集させずITO導電膜の透明性を低下させない。更にITO導電膜が所定の比表面積とL値を有するITO粒子を70〜90質量%含むため、良好な導電性と透明性を兼ね備えることができる。
本発明の第2の観点のITO導電膜形成用塗料では、塗料中に含まれた膜表面調整剤としての両性型含窒素フッ素系化合物は、塗膜の乾燥時にその低い表面張力により、塗膜の表層部に析出する。このため、この塗料により形成したITO導電膜表面に離型剤層付き保護フィルムを積層した後で、この表面から保護フィルムを剥離するときに、この保護フィルムがITO導電膜表面からの剥がれ易く、かつ両性型含窒素フッ素系化合物を0.3質量%以下含んでもこの化合物は上述した特性を有するため、ITO導電膜の導電性と透明性に悪影響を及ぼさない。更にITO導電膜形成用塗料が所定の比表面積とL値を有するITO粒子を3〜45質量%含むため、ITO導電膜にしたときに、良好な導電性と透明性を兼ね備えることができる。また塗料固形分中、バインダ樹脂を含むITO粒子以外の成分を10〜30質量%含むことにより、ITO導電膜の基材への密着性に優れる。
次に本発明を実施するための形態を説明する。
〔ITO導電膜形成用塗料〕
本実施の形態のITO導電膜形成用塗料は、ITO粒子とバインダ樹脂と溶媒とに加えて、膜表面調整剤として両性型含窒素フッ素系化合物を前記塗料100質量%中、0.3質量%以下更に含む。塗料100質量%中、ITO粒子を3〜45質量%含み、塗料の固形分100質量%中、ITO粒子以外の成分を10〜30質量%含む。膜表面調整剤として両性型含窒素フッ素系化合物を含有させるのは、両性型の含窒素フッ素系化合物は、導電性があるためITO導電膜の導電性を低下させず、またITO粒子の表面電荷と作用しにくいためITO粒子を凝集させずITO導電膜の透明性を低下させないからである。一方、カチオン型及びアニオン型の含窒素フッ素系化合物は、カチオンイオン及びアニオンイオンがITO粒子の表面電荷と作用し易いためITO粒子が凝集し易く、ITO導電膜の透明性を低下させる。
塗料中のITO粒子は、40〜65m/gのBET法による比表面積と37以下のL値を有する。BET法による比表面積が40m/g未満であると、所望の表面抵抗率を有するITO導電膜にしたときのヘーズが高くなり膜の透明性が低くなる。ヘーズを低くするためにITO粒子の膜中の含有量を減少させると、膜の所望の表面抵抗率が得られず、膜の導電性が悪くなる。本来であれば、BET値が高いと、粒子が小さくなるため、透明性並びにヘーズの低減を図ることが可能であるけれども、BET法による比表面積が65m/gを超えると、所定の分散剤の添加量で樹脂にITO粒子を混合した場合、このITO粒子の樹脂への分散が不十分となり、かえって塗膜のヘーズが悪くなる。このことを回避しようとしてヘーズを低減する目的で、65m/gを超えたITO粒子を用いた場合、このITO粒子を樹脂に分散するための分散剤量を増やす必要が生じる。分散剤を増加すると、膜の導電性が悪くなり、かつ基材への密着性が悪化する等の問題が発生する。このため、ITO粒子のBET法による比表面積の上限値は65m/gにする。また所望の表面抵抗率を得るためにこのITO粒子の膜中の含有量を増大させると、ITO導電膜形成用塗料を基材上に塗布したときにITO導電膜の基材への密着性が悪くなる。
またITO粒子のL値が37を超えると、このITOの還元が不十分であるため、膜の表面抵抗率が高くなり膜の導電性が悪くなる。また粒子も大きくなるため、膜のヘーズが高くなり膜の透明性が低くなる。
塗料中のバインダ樹脂は、ITO導電膜中、10〜35質量%含むことが好ましい。このバインダ樹脂は、特に限定されないが、エチルセルロースとテルペンフェノール樹脂を用いる場合は、エチルセルロースとテルペンフェノール樹脂の質量比は、エチルセルロース:テルペンフェノール樹脂=10〜80:90〜20であることがITO導電膜の基材への密着性を高める観点から好ましい。テルペンフェノール樹脂を例示すれば、アリゾナケミカル社製SylvaliteTP7042(軟化点:145℃),荒川化学工業社製タマノル803L(軟化点:140〜160℃)、901(軟化点:120〜135℃)、ヤスハラケミカル社製YSポリスターT160(軟化点:160℃),145(軟化点:145℃),T130(軟化点:130℃),U130(軟化点:130℃),S145(軟化点:145℃),G150(軟化点:150℃),K140(軟化点:140℃),TH130(軟化点:130℃)等が挙げられる。
ITO導電膜形成用塗料は、前述したようにITO粒子とバインダ樹脂と両性型含窒素フッ素系化合物と溶媒とを混合して調製される。この塗料には分散剤を混合してもよい。分散剤を混合することにより、塗膜にしたときの透明性が更に向上する。この塗料は、塗料100質量%中、ITO粒子を3〜45質量%、好ましくは4〜40質量%含む。またその固形分100質量%中、ITO粒子以外の成分を10〜30質量%、好ましくは15〜25質量%含むように調製される。更にこの塗料は、塗料100質量%中、両性型含窒素フッ素系化合物を0.3質量%以下、好ましくは0.01〜0.2質量%更に含むように調製される。
塗料中のITO粒子の含有量が3質量%未満では、この塗料から作られたITO導電膜の導電性が高くならない。またこの含有量が45質量%を超えると、塗料が増粘するなど経時安定性が悪くなる。しかもバインダ樹脂が相対的に不足し、ITO粒子の粒子間の接着力が低下し、ITO導電膜の表面抵抗率が悪化する。
また塗料の固形分中のITO粒子以外の成分含有量が10質量%未満では、ITO導電膜の基材に対する密着性が十分に得られない。またこの含有量が30質量%を超えると、ITO導電膜の表面抵抗率が悪くなり、導電性が低下する。
更に塗料中の両性型含窒素フッ素系化合物の含有量が0.3質量%を超えると、塗料が増粘するなど経時安定性が悪化し、ITO導電膜の表面抵抗率及び導電性が低下する。
本実施の形態の膜表面調整剤としての含窒素フッ素系化合物は、下記式(1)で示される両性型である。
Figure 2017117632
上記式(1)中、Rf、Rfは、それぞれ同一又は互いに異なる、炭素数1〜6であって直鎖状又は分岐状のペルフルオロアルキル基である。また、Rfは、炭素数1〜6であって、直鎖状又は分岐状のペルフルオロアルキレン基である。上記Rf、Rfの各炭素数は好ましくは2〜5である。
また上記式(1)中、Rは、2価の有機基である連結基である。前記Rは、直鎖状又は分岐状の有機基であってもよい。また、前記Rは、分子鎖中にエーテル結合、エステル結合、アミド結合及びウレタン結合から選択される1種以上の結合を含んでいてもよいし、含まなくてもよい。
また上記式(1)中、Xは、カルボベタイン型、スルホベタイン型、アミンオキシド型及びホスホベタイン型のうち、いずれかの末端を有する両性型の親水性賦与基である、本実施の形態の含窒素フッ素系化合物は両性型であるため、親水性付与基Xは、末端に、カルボベタイン型の「−N(CHCO 」、スルホベタイン型の「−N(CHSO 」、アミンオキシド型の「−N」又はホスホベタイン型の「−OPO (CH10」(nは1〜10、好ましくは1〜5の整数、R及びRは水素原子又は炭素数1〜10、好ましくは1〜5のアルキル基、R10は水素原子又は炭素数1〜10、好ましくは1〜5のアルキル基又は炭素数1〜10、好ましくは1〜5のアルキレン基)を有する。
上記式(1)で表される両性型含窒素フッ素系化合物としては、次の式(2)で表されるカルボベタイン型化合物、式(3)〜(5)で表されるスルホベタイン型化合物、式(6)で表されるアミンオキシド型化合物、及び式(7)で表されるホスホベタイン型化合物が例示される。
・式(2)で表されるカルボベタイン型化合物
Figure 2017117632
・式(3)で表されるスルホベタイン型化合物
Figure 2017117632
・式(4)で表されるスルホベタイン型化合物
Figure 2017117632
・式(5)で表されるスルホベタイン型化合物
Figure 2017117632
・式(6)で表されるアミンオキシド型化合物
Figure 2017117632
・式(7)で表されるホスホベタイン型化合物
Figure 2017117632
なお、含窒素フッ素系化合物には、両性型以外に、次の式(8)で表されるアニオン型含窒素フッ素系化合物及び式(9)で表されるカチオン型含窒素フッ素系化合物が存在する。
・式(8)で表されるアニオン型化合物
Figure 2017117632
・式(9)で表されるカチオン型化合物
Figure 2017117632
塗料中の溶媒は特に限定されないが、この溶媒としては3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(以下、MMBという。)が主として用いられる。3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールは、比較的高沸点でありながら、水溶性であるため、水混合溶媒として利用することも可能で、ITO粒子を分散することが容易であり、塗膜の光学特性向上を図ることが可能である。塗料における溶媒は、速乾性を求められるため、沸点の低い、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、トルエン、メタノール、1-プロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、2,4−ペンタンジオン、キシレン等と3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールを組み合わせて用いることが好ましい。溶媒の含有量は、塗料100質量%中、45〜95質量%であることが好ましい。
塗料中の分散剤は、ITO粒子100質量部に対して1〜10質量部含まれることが好ましい。この分散剤の例としては、顔料を安定して微粒子分散できるものであれば、任意の顔料用分散剤を用いることができる。具体的には、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシアルキレンデシルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレントリデシルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフタレンスルフォン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステル等のアルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム等のアルキルエーテル酢酸塩、ラウリルスルホコハク酸二ナトリウムポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸塩等のアルキルコハク酸塩、ポリカルボン酸型高分子等の陰イオン性界面活性剤、アミンオキサイド等の陽イオン性界面活性剤、オキシエチレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンアルキルアミド等の非イオン性界面活性剤などの界面活性剤が挙げられる。分散剤の含有量が1質量部未満では、ITO導電膜形成用塗料の分散が不十分となり、塗膜の透明性が不十分になりやすい。また10質量部を超えると、ITO導電膜の導電性と塗膜の密着性に悪影響を及ぼしやすい。
〔ITO導電膜〕
本実施の形態のITO導電膜は、ITO粒子がバインダ樹脂中に均一に分散してなり、かつ膜表面調整剤として両性型含窒素フッ素系化合物を含む。このITO導電膜は、ITO導電膜中、ITO粒子を70〜90質量%含み、ITO粒子が40〜65m/gのBET法による比表面積と37以下のL値を有し、バインダ樹脂を含み、両性型含窒素フッ素系化合物を3質量%以下、好ましくは0.1〜2質量%含む。
ITO導電膜中のITO粒子の含有量が70質量%未満では、ITO導電膜の導電性が向上しない。この含有量が90質量%を超えると、バインダ樹脂が相対的に不足し、ITO粒子の粒子間の接着力が低下し、ITO導電膜の表面抵抗率が悪化する。ITO導電膜中のITO粒子のBET法による比表面積とL値の各数値範囲の臨界的意義は塗料中のこれらの各数値範囲の臨界的意義と同じである。ITO導電膜中の両性型含窒素フッ素系化合物が3質量%を超えると、ITO導電膜の表面抵抗率及び導電性が低下する。
本実施の形態のITO導電膜は、例えば、基材であるポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム上に、上記ITO導電膜形成用塗料を、スクリーン印刷法、バーコート法、ダイコート法、ドクターブレード、スピン法等により塗布した後に、60〜130℃の温度で乾燥させることにより、形成される。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
43m/gのBET法による比表面積と30のL値を有するITO粒子(三菱マテリアル製P2−ITO)を準備し、このITO粒子100gを、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル系の分散剤5gと溶媒のMMB145gの混合液に添加し、ビーズミル分散機にて、分散することにより、ITO分散液を得た。ITO分散液中のITO粒子の粒子径は、堀場製作所製LB−550にて測定したところ、50nmであった。得られたITO分散液10.38gとエチルセルロース0.19g、テルペンフェノール樹脂0.44gをMMBとメチルイソブチルケトン(MIBK)を1:2の比率で混合した溶媒38.78gと混合した。最後に膜表面調整剤として上記式(3)に示される両性型含窒素フッ素系化合物のスルホベタイン型化合物を0.007g(塗料中の含有量が0.014質量%)添加し混合してITO導電膜形成用塗料を調製した。この塗料中のITO粒子の含有量は8.3質量%であり、塗料固形分中、ITO粒子以外の成分含有量は、17質量%であった。
<実施例2>
膜表面調整剤として実施例1と同じ上記式(3)に示されるスルホベタイン型化合物を0.008g(塗料中の含有量が0.016質量%)添加し混合した。これ以外は、実施例1と同様にしてITO導電膜形成用塗料を調製した。この塗料中のITO粒子の含有量は8.3質量%であり、塗料固形分中、ITO粒子以外の成分含有量は、17質量%であった。
<実施例3>
膜表面調整剤として実施例1と同じ上記式(3)に示されるスルホベタイン型化合物を塗料中の含有量が0.013g(塗料中の含有量が0.025質量%)添加し混合した。これ以外は、実施例1と同様にしてITO導電膜形成用塗料を調製した。この塗料中のITO粒子の含有量は8.3質量%であり、塗料固形分中、ITO粒子以外の成分含有量は、17質量%であった。
<実施例4>
膜表面調整剤として上記式(5)に示されるスルホベタイン型化合物を0.008g(塗料中の含有量が0.016質量%)添加し混合した。これ以外は、実施例1と同様にしてITO導電膜形成用塗料を調製した。この塗料中のITO粒子の含有量は8.3質量%であり、塗料固形分中、ITO粒子以外の成分含有量は、17質量%であった。
<実施例5>
膜表面調整剤として上記式(4)に示されるスルホベタイン型化合物を0.008g(塗料中の含有量が0.016質量%)添加し混合した。これ以外は、実施例1と同様にしてITO導電膜形成用塗料を調製した。この塗料中のITO粒子の含有量は8.3質量%であり、塗料固形分中、ITO粒子以外の成分含有量は、17質量%であった。
<実施例6>
膜表面調整剤として上記式(2)に示されるカルボベタイン型化合物を0.008g(塗料中の含有量が0.016質量%)添加し混合した。これ以外は、実施例1と同様にしてITO導電膜形成用塗料を調製した。この塗料中のITO粒子の含有量は8.3質量%であり、塗料固形分中、ITO粒子以外の成分含有量は、17質量%であった。
<実施例7>
実施例1で得られたITO分散液10.38gとエチルセルロース0.16g、テルペンフェノール樹脂0.38gをMMBとMIBKを1:2の比率で混合した溶媒38.78gと混合した。最後に膜表面調整剤として上記式(3)に示される両性型含窒素フッ素系化合物のスルホベタイン型化合物を0.100g(塗料中の含有量が0.200質量%)添加し混合してITO導電膜形成用塗料を調製した。この塗料中のITO粒子の含有量は8.3質量%であり、塗料固形分中、ITO粒子以外の成分含有量は、17質量%であった。
<実施例8>
膜表面調整剤として上記式(6)に示されるアミンオキシド型化合物を0.008g(塗料中の含有量が0.016質量%)添加し混合した。これ以外は、実施例1と同様にしてITO導電膜形成用塗料を調製した。この塗料中のITO粒子の含有量は8.3質量%であり、塗料固形分中、ITO粒子以外の成分含有量は、17質量%であった。
<実施例9>
膜表面調整剤として上記式(7)に示されるホスホベタイン型化合物を0.008g(塗料中の含有量が0.016質量%)添加し混合した。これ以外は、実施例1と同様にしてITO導電膜形成用塗料を調製した。この塗料中のITO粒子の含有量は8.3質量%であり、塗料固形分中、ITO粒子以外の成分含有量は、17質量%であった。
<実施例10>
実施例1で得られたITO分散液10.38gとエチルセルロース0.15g、テルペンフェノール樹脂0.34gをMMBとMIBKを1:2の比率で混合した溶媒38.78gと混合した。最後に膜表面調整剤として上記式(3)に示される両性型含窒素フッ素系化合物のスルホベタイン型化合物を0.150g(塗料中の含有量が0.300質量%)添加し混合してITO導電膜形成用塗料を調製した。この塗料中のITO粒子の含有量は8.3質量%であり、塗料固形分中、ITO粒子以外の成分含有量は、17質量%であった。
<実施例11>
40m/gのBET法による比表面積と37のL値を有するITO粒子を準備し、このITO粒子100gを、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル系の分散剤5gと溶媒のMMB95gの混合液に添加し、ビーズミル分散機にて、分散することにより、ITO分散液を得た。ITO分散液中のITO粒子の粒子径は、堀場製作所製LB−550にて測定したところ、58nmであった。得られたITO分散液44.82gとアクリル樹脂(大阪有機化学工業製ビスコート802)3.38g、光重合開始剤(BASF社製イルガキュア184)0.27gをMMBとMIBKを1:2の比率で混合した溶媒0.59gと混合した。最後に膜表面調整剤として上記式(3)に示される両性型含窒素フッ素系化合物のスルホベタイン型化合物を0.150g(塗料中の含有量が0.081質量%)添加し混合してITO導電膜形成用塗料を調製した。この塗料中のITO粒子の含有量は44.8質量%であり、塗料固形分中、ITO粒子以外の成分含有量は、17質量%であった。
<実施例12>
65m/gのBET法による比表面積と22のL値を有するITO粒子を準備し、このITO粒子100gを、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル系の分散剤5gと溶媒のMMB145gの混合液に添加し、ビーズミル分散機にて、分散することにより、ITO分散液を得た。ITO分散液中のITO粒子の粒子径は、堀場製作所製LB−550にて測定したところ、48nmであった。得られたITO分散液4.15gとエポキシ樹脂(吉村油化学社製ユカレジンNE−002)0.40g、硬化剤(吉村油化学社製ユカレジンH−40)0.05gを溶媒として、MMB10.00gと水35.51g混合した。最後に膜表面調整剤として上記式(3)に示される両性型含窒素フッ素系化合物のスルホベタイン型化合物を0.003g(塗料中の含有量が0.006質量%)添加し混合してITO導電膜形成用塗料を調製した。この塗料中のITO粒子の含有量は3.3質量%であり、塗料固形分中、ITO粒子以外の成分含有量は、17質量%であった。
<実施例13>
実施例1で得られたITO分散液26.25gとウレタン樹脂(第一工業製薬社製スーパーフレックス170)11.98gを溶媒のMMB3.00gと水8.23gを混合した。最後に膜表面調整剤として上記式(3)に示される両性型含窒素フッ素系化合物のスルホベタイン型化合物を0.023g(塗料中の含有量が0.045質量%)添加し混合してITO導電膜形成用塗料を調製した。この塗料中のITO粒子の含有量は21.0質量%であり、塗料固形分中、ITO粒子以外の成分含有量は、30質量%であった。
<実施例14>
43m/gのBET法による比表面積と30のL値を有するITO粒子(三菱マテリアル製P2−ITO)を準備し、このITO粒子100gを、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル系の分散剤5gと溶媒のトルエン70g、MMB75gの混合液に添加し、ビーズミル分散機にて、分散することにより、ITO分散液を得た。ITO分散液中のITO粒子の粒子径は、堀場製作所製LB−550にて測定したところ、49nmであった。得られたITO分散液16.88gとポリヒドロキシポリオレフィンポリマー(三菱化学製ポリテールH)0.40gを溶媒のトルエン32.38gと混合した。最後に膜表面調整剤として上記式(3)に示される両性型含窒素フッ素系化合物のスルホベタイン型化合物を0.011g(塗料中の含有量が0.023質量%)添加し混合してITO導電膜形成用塗料を調製した。この塗料中のITO粒子の含有量は13.5質量%であり、塗料固形分中、ITO粒子以外の成分含有量は、10質量%であった。
<比較例1>
膜表面調整剤を添加混合せずに、ITO導電膜形成用塗料を調製した。実施例1で得られたITO分散液10.38gとエチルセルロース0.19g、テルペンフェノール樹脂0.45gをMMBとMIBKを1:2の比率で混合した溶媒38.78gと混合し、ITO導電膜形成用塗料を調製した。この塗料中のITO粒子の含有量は8.3質量%であり、塗料固形分中、ITO粒子以外の成分含有量は、17質量%であった。
<比較例2>
実施例1で得られたITO分散液10.38gとエチルセルロース0.19g、テルペンフェノール樹脂0.44gをMMBとMIBKを1:2の比率で混合した溶媒38.78gと混合した。最後に膜表面調整剤としてポリエステル変性シリコーン系樹表面調整剤(商品名:BYK−313、ビックケミー社製)を0.013g(塗料中の含有量が0.025質量%)添加し混合してITO導電膜形成用塗料を調製した。この塗料中のITO粒子の含有量は8.3質量%であり、塗料固形分中、ITO粒子以外の成分含有量は、17質量%であった。
<比較例3>
実施例1で得られたITO分散液10.38gとエチルセルロース0.18g、テルペンフェノール樹脂0.41gを溶媒のMMBとMIBKを1:2の比率で混合した溶媒38.78gと混合した。最後に膜表面調整剤としてポリエステル変性シリコーン系樹表面調整剤(商品名:BYK−313、ビックケミー社製)を0.050g(塗料中の含有量が0.100質量%)添加し混合してITO導電膜形成用塗料を調製した。この塗料中のITO粒子の含有量は8.3質量%であり、塗料固形分中、ITO粒子以外の成分含有量は、17質量%であった。
<比較例4>
膜表面調整剤として上記式(9)に示されるカチオン型含窒素フッ素系化合物を塗料中の含有量が0.025質量%になるように添加し混合した。これ以外は、実施例9と同様にしてITO導電膜形成用塗料を調製した。
<比較例5>
膜表面調整剤として上記式(8)に示されるアニオン型含窒素フッ素系化合物を塗料中の含有量が0.025質量%になるように添加し混合した。これ以外は、実施例9と同様にしてITO導電膜形成用塗料を調製した。
<比較例6>
70m/gのBET法による比表面積と55のL値を有するITO粒子を準備し、このITO粒子100gを、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル系の分散剤5gと溶媒のMMB145gの混合液に添加し、ビーズミル分散機にて、分散することにより、ITO分散液を得た。ITO分散液中のITO粒子の粒子径は、堀場製作所製LB−550にて測定したところ、150nmであった。得られたITO分散液10.38gとエチルセルロース0.19g、テルペンフェノール樹脂0.44gをMMBとMIBKを1:2の比率で混合した溶媒38.78gと混合した。最後に膜表面調整剤として上記式(3)に示される両性型含窒素フッ素系化合物のスルホベタイン型化合物を0.010g(塗料中の含有量が0.020質量%)添加し混合してITO導電膜形成用塗料を調製した。この塗料中のITO粒子の含有量は8.3質量%であり、塗料固形分中、ITO粒子以外の成分含有量は、17質量%であった。
<比較例7>
35m/gのBET法による比表面積と36のL値を有するITO粒子を準備し、このITO粒子100gを、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル系の分散剤5gと溶媒のMMB145gの混合液に添加し、ビーズミル分散機にて、分散することにより、ITO分散液を得た。ITO分散液中のITO粒子の粒子径は、堀場製作所製LB−550にて測定したところ、70nmであった。得られたITO分散液10.38gとエチルセルロース0.19g、テルペンフェノール樹脂0.44gをMMBとMIBKを1:2の比率で混合した溶媒38.78gと混合した。最後に膜表面調整剤として上記式(3)に示される両性型含窒素フッ素系化合物のスルホベタイン型化合物を0.010g(塗料中の含有量が0.020質量%)添加し混合してITO導電膜形成用塗料を調製した。この塗料中のITO粒子の含有量は8.3質量%であり、塗料固形分中、ITO粒子以外の成分含有量は、17質量%であった。
<比較例8>
実施例1で得られたITO分散液2.50gとエチルセルロース0.13g、テルペンフェノール樹脂0.30gをMMBとMIBKを1:2の比率で混合した溶媒47.02gと混合した。最後に膜表面調整剤として上記式(3)に示される両性型含窒素フッ素系化合物のスルホベタイン型化合物を0.003g(塗料中の含有量が0.006質量%)添加し混合してITO導電膜形成用塗料を調製した。この塗料中のITO粒子の含有量は2.0質量%であり、塗料固形分中、ITO粒子以外の成分含有量は、33質量%であった。
<比較例9>
実施例11で得られたITO分散液47.00gとエチルセルロース0.32g、テルペンフェノール樹脂0.74gをMMBとMIBKを1:2の比率で混合した溶媒0.96gと混合した。最後に膜表面調整剤として上記式(3)に示される両性型含窒素フッ素系化合物のスルホベタイン型化合物を0.051g(塗料中の含有量が0.102質量%)添加し混合してITO導電膜形成用塗料を調製した。この塗料中のITO粒子の含有量は47.0質量%であり、塗料固形分中、ITO粒子以外の成分含有量は、8質量%であった。
<比較例10>
実施例1で得られたITO分散液10.38gとエチルセルロース0.14g、テルペンフェノール樹脂0.33gをMMBとMIBKを1:2の比率で混合した溶媒38.78gと混合した。最後に膜表面調整剤として上記式(3)に示される両性型含窒素フッ素系化合物のスルホベタイン型化合物を0.175g(塗料中の含有量が0.350質量%)添加し混合してITO導電膜形成用塗料を調製した。この塗料中のITO粒子の含有量は8.3質量%であり、塗料固形分中、ITO粒子以外の成分含有量は、17質量%であった。
<比較試験及び評価>
実施例1〜14及び比較例1〜10で得られたITO導電膜形成用塗料を、バーコーター(安田精機製作所製、型番No.5)を用いて、厚さ1.1mm、たて100mm、よこ100mmのガラス基材と厚さ0.1mm、たて100mm、よこ100mmのポリエチレンテレフタレート(PET)のフィルム基材上にそれぞれ乾燥後の厚さが0.5μmとなるように塗布した。塗布後、実施例11、12及び14以外の実施例、比較例では、大気雰囲気下、80℃で3分間乾燥することにより、21種類のITO導電膜を得た。実施例11では、バーコーターで塗布後、大気雰囲気下、80℃で3分乾燥し、240mJ/cm(90mW/cm)の紫外線を照射してITO導電膜を得た。実施例12及び実施例14では、大気雰囲気下、110℃で30分間乾燥することによりITO導電膜を得た。
ガラス基材に成膜した24種類のITO導電膜については、以下に示す方法で、ITO導電膜中の両性型含窒素フッ素系化合物及びITO粒子の各含有量を測定した。またその透明性を全光線透過率とヘーズを測定することにより、また導電性をその表面抵抗率を測定することにより評価した。PETフィルムに成膜した24種類のITO導電膜については、以下に示す方法で保護フィルムの剥離試験を行った。実施例1〜14及び比較例1〜10の各ITO導電膜形成用塗料の製造条件等を表1に、上記測定結果、試験結果を表2にそれぞれ示す。なお、表1中、膜表面調整剤の種類として、例えば「式(2)」と記載したものは、「式(2)に示される化合物」を意味する。表1中のECは、エチルセルロース、TPは、テルペンフェノール樹脂を意味する。
(1) ITO導電膜中の両性型含窒素フッ素系化合物及びITO粒子の各含有量
得られたITO導電膜をアセトンにて溶解することで、膜成分を回収した。回収した液中のフッ素濃度を、ICP発光分析法により定量し、化合物式から、両性型含窒素フッ素系化合物濃度(質量%)を算出した。また得られたITO導電膜を酸にて溶解することで、膜成分を回収した。回収した液中のインジウム濃度を、ICP発光分析法により定量し、化合物式から、ITO粒子濃度(質量%)を算出した。
(2) ITO導電塗料中の両性型含窒素フッ素系化合物及びITO粒子の各含有量
塗料の重量を測定後、乾燥させ、乾燥後の固形分を算出した。また得られた固形分をアセトンにて溶解し、溶解した液中のフッ素濃度を、ICP発光分析法により定量し、化合物式及び固形分濃度から、ITO導電塗料中の両性型含窒素フッ素系化合物濃度(質量%)を算出した。また得られた固形分を酸にて溶解し、溶解した液中のインジウム濃度を、ICP発光分析法により定量し、化合物式及び固形分濃度から、ITO導電塗料中のITO粒子濃度(質量%)を算出した。
(3) 透明性(全光線透過率とヘーズ)
ヘーズメータ(スガ試験機製、型番HZ-2)を用いて、ガラス基材に成膜したITO導電膜を全光線透過率とヘーズを求め、ITO導電膜の透明性を測定した。なお、表1に記載された全光線透過率は、ガラス基材込みの数値であり、ガラス基材のみの全光線透過率は90.3%であり、同じくヘーズは0.04%であった。
(4) 導電性(表面抵抗率)
三菱化学アナリテック製ハイレスタ(型番:MCP−HT450)を用いて、ガラス基材に成膜し、成膜2時間後のITO導電膜の表面抵抗率を加圧電圧10Vで測定した。
(5) 保護フィルムの剥離試験
PETフィルムに成膜したITO導電膜の表面に、シリコーン系離型剤層が対向するように、シリコーン系離型剤層付き保護フィルムを積層し、この保護フィルムの上面をハンドローラーで10mm/sの速度で往復させ加圧した。これにより保護フィルムをITO導電膜表面に均一に貼合せた。24時間後に保護フィルムを静かにITO導電膜表面から剥がした。保護フィルムを剥離した後のITO導電膜の表面を目視にて観察した後、光学顕微鏡により50倍の倍率で更に詳細にITO導電膜の表面を観察した。ITO導電膜の剥離箇所が全く無かった場合を「良好」、一部剥離が有った場合を「不良」とした。
Figure 2017117632
Figure 2017117632
表2から明らかなように、比較例1では、膜表面調整剤を塗料中に全く含まないため、保護フィルムの剥離試験でITO導電膜の剥離が見られ「不良」であった。
また膜表面調整剤としてポリエステル変性シリコーン系化合物を塗料中に0.025質量%含んだ比較例2では、保護フィルムの剥離試験でITO導電膜の剥離防止効果に乏しく「不良」と判定されたことに加え、表面抵抗率が15.0MΩ/□と高かった。
同じくポリエステル変性シリコーン系化合物を塗料中に0.100質量%含んだ比較例3では、ITO導電膜の剥離防止効果が発現し「良好」と判定されたが、表面抵抗率が85.0MΩ/□と極めて高かった。
膜表面調整剤としてカチオン型含窒素フッ素系化合物を塗料中に0.025質量%含んだ比較例4では、ITO粒子がフッ素化合物と凝集し、保護フィルムの剥離試験でITO導電膜の剥離防止効果に乏しく「不良」と判定されたことに加え、全光線透過率が85.5%と低く、ヘーズも4.0%と高かった。
また膜表面調整剤としてアニオン型含窒素フッ素系化合物を塗料中に0.025質量%含んだ比較例5でも、ITO粒子がフッ素化合物と凝集し、保護フィルムの剥離試験でITO導電膜の剥離防止効果に乏しく「不良」と判定されたことに加え、表面抵抗率が10.0MΩ/□と高く、全光線透過率が86.6%と低く、ヘーズも3.5%と高かった。
比表面積が70m/g、L値40のITO粒子を用いた比較例6は、表面抵抗率が12.0MΩ/□と高く、全光線透過率が85.3%と低く、ヘーズも10.5%と高かった。
比表面積が35m/g、L値36のITO粒子を用いた比較例7は、全光線透過率が86.3%と低く、ヘーズも2.3%と高かった。
膜中のITO含有量が68.0質量%で、塗料中のITO含有量が2.0質量%の比較例8は、薄膜であるため、剥離防止効果に乏しく「不良」と判定されたことに加え、表面抵抗率が5.3MΩ/□と高かった。
塗料中のITO粒子の含有量が47.0質量%、塗料の固形分中のITO粒子以外の成分が8質量%であって、膜中のITO粒子の含有量が92質量%である比較例9は、樹脂成分が不足していることから、剥離防止効果に乏しく「不良」と判定されたことに加え、全光線透過率が86.8%と低く、ヘーズは2.9%と高かった。
塗膜中の両性型含窒素フッ素系化合物を3.50質量%含んだ比較例10は、表面抵抗率が3.5MΩ/□と高く、ヘーズも2.5%と高かった。
これに対して、膜表面調整剤として両性型含窒素フッ素系化合物を含む塗料で成膜された実施例1〜14で得られたITO導電膜は、保護フィルムの剥離試験についてすべて「良好」であり、表面抵抗率は3.0MΩ/□以下と低く、全光線透過率は87.8%以上で高く、ヘーズも2.0%以下と低かった。
本発明のITO導電膜は、保護フィルム又はカバーフィルムを導電膜表面に積層した後で、上記フィルムを剥がす分野のITO導電膜に用いられる。

Claims (2)

  1. ITO粒子がバインダ樹脂中に均一に分散してなるITO導電膜において、
    前記ITO導電膜100質量%中、前記ITO粒子を70〜90質量%、膜表面調整剤として下記式(1)で表される両性型含窒素フッ素系化合物を3質量%以下それぞれ含み、前記ITO粒子が40〜65m/gのBET法による比表面積と37以下のL値を有することを特徴とするITO導電膜。
    Figure 2017117632
    但し、式(1)中、Rf、Rfは、それぞれ同一又は互いに異なる、炭素数1〜6であって直鎖状又は分岐状のペルフルオロアルキル基である。また、Rfは、炭素数1〜6であって、直鎖状又は分岐状のペルフルオロアルキレン基である。Rは、2価の有機基である連結基であり、Xは、両性型の親水性賦与基である。
  2. ITO粒子とバインダ樹脂と溶媒とを含むITO導電膜形成用塗料において、
    前記塗料100質量%中、前記ITO粒子を3〜45質量%、膜表面調整剤として下記式(1)で表される両性型含窒素フッ素系化合物を0.3質量%以下それぞれ含み、前記塗料の固形分100質量%中、前記ITO粒子以外の成分を10〜30質量%含み、前記前記ITO粒子が40〜65m/gのBET法による比表面積と37以下のL値を有することを特徴とするITO導電膜形成用塗料。
    Figure 2017117632
    但し、式(1)中、Rf、Rfは、それぞれ同一又は互いに異なる、炭素数1〜6であって直鎖状又は分岐状のペルフルオロアルキル基である。また、Rfは、炭素数1〜6であって、直鎖状又は分岐状のペルフルオロアルキレン基である。Rは、2価の有機基である連結基であり、Xは、両性型の親水性賦与基である。
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