JP2011249036A - 導電性基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材上に、銀粉、バインダー樹脂及び溶剤を含有する銀ペーストを塗布または印刷して導電層を形成するステップ、前記導電層を硬化させるステップと、硬化した導電層を少なくとも濃度が3〜90質量%の水溶性有機溶媒及び塩酸を含む水溶液に浸漬するステップ、を含むことを特徴とする導電性基板の製造方法である。
【選択図】なし
Description
この種の、導電性インクとして、銀粉、バインダー樹脂、溶媒からなる銀ペーストは、導電性、安定性、及びコストの観点から、電極パターン形成などに広く用いられている。銀ペーストのバインダー樹脂には、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が用いられ、塗布または印刷して乾燥または硬化した後に、銀粉どうしが接触することで導電性を発現させるもので、基材としてポリエチレンテレフタレート(PET)等、比較的低耐熱性基材上に電極パターンを形成する場合に用いられる。
銀ペーストの乾燥または硬化条件は、基材の耐熱性との関係から多くの場合200℃以下である。そのため、導電層(膜)中には、バインダー樹脂である熱可塑性樹脂が残存し、銀粉同士も焼結等により金属結合しているわけではないので、導電性に限界があり、導電性を高めるための方策が種々試みられている。
また、特許文献2には、基板の少なくとも片面に、網目状に金属微粒子層が積層された導電性基板の製造において、金属微粒子層を酸で処理する導電性基板の製造方法が提案されている。
さらに、特許文献3には、金属微粒子及び樹脂バインダーを含有するインクを塗布し硬化した表面に超音波振動を与えながら圧力を加えることにより、金属微粒子どうしの接触面積を増加させるステップを備える導電性基板の製造方法が開示されている。
さらに、金属微粒子層をアルコール類やケトン類等の有機溶媒で処理した後、酸で処理することが好ましいとされているが、例えば、酸処理前にアセトンに浸漬処理した場合、バインダー樹脂膜が脆くなり、導電性の向上も不十分であるという問題があった。
すなわち、本発明は、
(1)基材上に、銀粉、バインダー樹脂及び溶剤を含有する銀ペーストを塗布または印刷して導電層を形成するステップ、前記導電層を硬化させるステップと、硬化した導電層を、少なくとも濃度が3〜90質量%の水溶性有機溶媒及び塩酸を含む水溶液に浸漬するステップ、を含むことを特徴とする導電性基板の製造方法、
(2)水溶性有機溶媒が、炭素数1〜5のアルコール類であることを特徴とする前記(1)に記載の導電性基板の製造方法、
(3)さらに、前記浸漬するステップ後に熱乾燥ステップを有する前記(1)または(2)に記載の導電性基板の製造方法、
(4)前記バインダー樹脂は、アクリル樹脂である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の導電性基板の製造方法、
(5)前記アルコールは、2−プロパノールまたはエタノールである前記(2)〜(4)のいずれかに記載の導電性基板の製造方法、及び
(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法で得られたことを特徴とする導電性基板、
を提供するものである。
また、水溶性有機溶媒及び塩酸を含む水溶液中で処理するので、従来の始めに有機溶媒処理を行い、その後に酸処理を行った場合に問題となっていたバインダー樹脂の脆化や剥落の不具合がなく、かつ基材との密着性を維持しつつ、水溶性有機溶媒と酸の相乗的効果により導電性を著しく向上できる。
本発明の導電性基板は、低表面抵抗が実現できるので、特に、近時、透明性の観点から50μm以下の細幅のパターンが要求されるプラズマディスプレイ装置等の前面側に用いられるEMIシールド材等の導電性基板に好適に使用できる。
基材は、耐熱性、機械的物性、透明性が要求される場合には可視光線領域での透明性(光透過性)をも考慮して、公知の材料及び厚みを適宜選択すればよくガラス、セラミックス等の無機物の板、或いは樹脂板など板状体の剛直物、ガラスエポキシ基板、フェノール基板等の積層板であってもよい。ただし、生産性に優れるロール・トゥ・ロールでの連続加工適性を考慮すると、フレキシブルな樹脂フィルム(乃至シート)が好ましい。なお、ロール・トゥ・ロールとは、巻取(ロール)から巻き出して供給し、適宜加工を施し、その後、巻取に巻き取って保管する加工方式をいう。
なかでも、ポリエチレンテレフタレートはその2軸延伸フィルムが耐熱性、機械的強度、光透過性、コスト等の点で好ましい。
無機物としては、ソーダ硝子、カリ硝子、硼珪酸硝子、鉛硝子等の硝子、或いはPLZT、石英、アルミナ基板等のセラミックス等が挙げられる。
また、銀ペーストとの密着性を改善するため基材表面に、別途密着性改善のための表面処理や、易接着層、下地層などが設けられていてもよい。
本発明における導電性基板には、銀ペーストの塗布または印刷により全面が均一な膜厚の導電層、回路パターン層、EMIシールド材用の凸状パターン層等目的に応じて種々の導電層を形成することができる。
線幅が50μm以下など微細な導電パターンを得るためには、平均粒子径は小さい方が好ましく、この観点から平均粒子径が3μm以下であることが好ましい。また、得られる導電パターンの電気抵抗を低くするためには、平均粒子径は0.1μm以上とすることが好ましい。
また、粒子径の分布については、得られる導電パターンの電気抵抗を低くするために、相対的に大粒子径の粒子と相対的に小粒子径の粒子との混合系とすることもできる。例えば、粒子径が0.01μm〜1μmの範囲の小粒子径粒子と粒子径5〜10μmの範囲の大粒子径粒子との混合系が好ましい。パターンの線幅や厚みよりも大きな粒子が混入すると、印刷時に抜けやスジなどの不良が多発するため、大粒子径粒子の平均サイズ、あるいは最大粒子径はパターン設計により変わってくる。
また、異なる平均粒子径を持つ複数種類の粒子を混合する以外に、ある程度の粒度分布を持った粒子を最初から用いても良い。混合系とすることにより、導電層における銀微粒子の充填率が高くなり、低抵抗のパターンが得られる。
かかるモノマーとしては、ラジカル重合性モノマーとして、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートなどの単官能(メタ)アクリレート類、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート類等の各種(メタ)アクリレートが挙げられる。なお、ここで(メタ)アクリレートとの表記は、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。カチオン重合性モノマーとして、例えば、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートなどの脂環式エポキシド類、ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどグリシジルエーテル類、4−ヒドロキシブチルビニルエーテルなどビニルエーテル類、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンなどオキセタン類等が挙げられる。
また、かかるプレポリマー(乃至オリゴマー)としては、ラジカル重合性プレポリマーとして、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、シリコン(メタ)アクリレート等の各種(メタ)アクリレートプレポリマー、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等のポリチオール系プレポリマー、不飽和ポリエステルプレポリマー等が挙げられる。その他、カチオン重合性プレポリマーとして、例えば、ノボラック系型エポキシ樹脂プレポリマー、芳香族ビニルエーテル系樹脂プレポリマー等が挙げられる。
これらモノマー、或いはプレポリマーは、要求される性能、塗布(印刷)適性等に応じて、1種類単独で用いる他、モノマーを2種類以上混合したり、プレポリマーを2種類以上混合したり、或いはモノマー1種類以上とプレポリマー1種類以上とを混合して用いたりすることができる。電離放射線硬化性樹脂を用いる場合は必要に応じて光重合開始剤を添加してもよい。
上記のバインダー樹脂のうち、基材との密着性、後述するアルコール及び塩酸水溶液との親和性等から、熱硬化性アクリル樹脂または熱可塑性アクリル樹脂或いはこれらの混合物が特に好適に用いられる。
アクリル樹脂としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸エステル類、 メタクリル酸、メタクリル酸エステル類の重合体、共重合体が挙げられる。 (メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、 メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、 イソボルニル(メタ)アクリレートグリシジル(メタ)アクリレート
等が挙げられる。
銀ペーストは、例えばスクリーン印刷機、ディスペンサ、ディップコーティング装置、フレキソ印刷機、グラビア印刷機、オフセット印刷機等の塗布装置によって基材上に塗布される。なおインクは、塗布装置によって基材の表面にパターン状に印刷されてもよい。パターンは導電性基板の用途により適宜設計選択される。銀ペーストが熱可塑性樹脂である場合、基材の融点未満の温度、好ましくは、基材が熱変形しない温度で、銀ペーストに含まれている希釈剤(溶剤)を加熱乾燥させると、銀ペーストは硬化する。なおバインダー樹脂が熱可塑性樹脂である場合、「硬化」とは必ずしも化学結合等による硬化を意味せず、乾燥によるインクの固化を意味する。またバインダー樹脂が熱硬化性樹脂である場合、熱硬化性樹脂が硬化する温度以上の温度を与えると、バインダー樹脂が架橋反応等の熱硬化反応等をおこし、銀ペーストに希釈剤が含まれている場合は希釈剤が揮発し、銀ペーストが硬化する。例えば基材がポリエチレンテレフタレートからなる場合、ポリエチレンテレフタレートのガラス転移温度は約70℃であり、融点は260℃である。この場合、ポリエチレンテレフタレートの融点以下の温度で、かつポリエチレンテレフタレートの加熱変形や収縮が生じない温度で、銀ペーストを硬化させる必要がある。例えば80℃〜140℃で1分〜60分乾燥させられる。バインダー樹脂が電離放射線硬化性樹脂である場合、紫外線、あるいは電子線等の電離放射線等により、バインダー樹脂が架橋反応等の光硬化反応等をおこし、銀ペーストは硬化する。なお、加熱及び電離放射等を組み合わせて、銀ペーストを硬化させてもよい。また、銀微粒子の一次粒子径が小さく、例えば0.5μm以下の場合、銀微粒子の融点は低いため、硬化の工程において銀微粒子どうしが融着することもある。
硬化した銀ペーストからなる導電層を所定の濃度の水溶性有機溶媒及び塩酸を含む水溶液に浸漬することステップにより、導電性を高めることができる(以下、このステップを「電気抵抗低減化処理」という。)。
電気抵抗低減化処理は、基材上で硬化した導電層を、少なくとも濃度が3〜90質量%の水溶性有機溶媒及び塩酸を含む水溶液に浸漬することにより行う。水溶性とは、ある割合で水と相溶する溶媒であるが、例えば、水への溶解度(20℃)が20g/L以上、より好ましくは100g/L以上、更に好ましくは任意の割合で水と混合するものが好ましい。
本発明の電気抵抗低減化処理に用いられる水溶性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、 1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、 n−ペンタノール等のアルコール類、 エチレングリコールプロピレングリコール、グリセリン、 1,3−ブタンジオール、 1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール等の多価アルコール類、2−エトキシエタノール、2−メトキシエタノール等が挙げられる。 その他、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等の窒素含有溶媒が挙げられる。
なかでも、好ましくは、樹脂に対して貧溶媒であり、かつ、水への溶解度が高い溶媒であり、硬化した導電層のバインダー樹脂への浸透性、水への溶解度等から、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ブタンジオール等、炭素数1〜5のアルコールが挙げられ、これらのアルコールは2種以上を混合して用いることもできる。これらのアルコールうち、バインダー樹脂への浸透性、溶解性、及び電気抵抗低減化効果の観点から、2−プロパノール、エタノールが好ましく、特に2−プロパノールが好ましい。
水溶性有機溶媒及び塩酸を含む水溶液(以下、「処理液」ということがある。)における水溶性有機溶媒濃度は、バインダー樹脂への浸透性、溶解性、及び電気抵抗低減化効果の観点から3〜90質量%が好ましい。樹脂を溶解する溶媒の場合は、有機溶媒含有量は樹脂に対して貧溶媒を用いる場合には、水溶液中の水溶性有機溶媒含有量は20質量%以上とすることが好ましく、50〜85質量%がさらに好ましい。水溶性有機溶媒の濃度が3質量%以上であるとバインダー樹脂へ浸透しやすくなり電気抵抗が低減しやすく、90質量%以下とすることによりバインダー樹脂が溶け出さず膜強度を保持できる。
なお、処理液には塩酸が含まれ、塩酸の残渣による悪影響が懸念されるため、処理後にすすぎ、熱乾燥ステップを含めることができる。
また、含有する塩酸は、プロセス中で銀をイオン化し、 表面の融着を促すと考えられ、実際に処理後銀微粒子どうしが融着する現象が観測されることもある。
同時に水溶性有機溶媒が存在することで、樹脂を溶解し、 銀微粒子どうしの接触を高めることができる。 この効果は、それぞれ単独に浸漬したり、逐次で浸漬して得られるものではなく、同一の水溶液として処理することによって、高い効果を発現するものと考えられる。
処理液による電気抵抗低減化処理は、基材上の硬化した導電層を、処理液が満たされた処理槽中に浸漬したり、処理液を導電層に塗布したり、処理液のミストを導電層にあてたりする方法が用いられる。これらの中でも、処理液の中に導電層を浸したり、処理液を導電層上に塗布したりするなど、導電層と処理液を直接接触させる方法が、導電性向上効果に優れるため好ましい。すなわち、処理液による処理条件としては、10℃〜60℃以下の温度で、処理液の中に導電層を浸したり、処理液を導電層上に塗布したりすることが好ましい。
電気抵抗低減化処理の温度は、処理液には塩酸及びアルコール等の水溶性有機溶媒が含まれ、これらの蒸気による悪影響を防ぐ観点から、60℃以下で行うのが好ましい。10℃以上であると、電気抵抗低減の効果が高いため、好ましい。
熱乾燥ステップは、水を蒸発させると同時にバインダー樹脂の熱収縮による緻密化も兼ねるので、基材の耐熱性を考慮して、融点以下の温度で適宜の時間行われる。
この熱乾燥ステップは、いわゆる焼成処理とは異なり、PETなど一般のフィルム基材にダメージを与えるような長時間の加熱処理ではなく、余り高温になるとバインダー樹脂や透明基材の変質、変更を生じることになる為、通常の材料の場合、120℃以下とする。
PETフィルム基材の場合、水洗後、100〜130℃で5〜20分程度の乾燥が好適である。
平均粒子径が1μmの球形銀微粒子(商品名:AG2−1C、DOWAハイテック(株)製)83質量部、アクリル系バインダー樹脂5質量部、溶剤(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)12質量部を混合し、3本ロールで混練し、ペースト状とした。
(導電層の形成及び硬化)
基材10として、片面に易接着処理がされた厚さ100μmの2軸延伸透明ポリエチレンテレフタレー卜(PET)フィルム〔商品名:東洋紡エステルフィルムE5101、東洋紡績(株)製〕に、アプリケーターを用いて、前記銀ペーストを厚み1ミル(25.4μm)で全面ベタ状に塗布して導電層を形成した。
しかる後、これを120℃で10分間、熱風循環乾燥機中で乾燥し、銀ペーストインキを硬化して、導電層を形成し、膜状の未処理導電性基板を得た。これを5cm×6cmに切断し、処理液への浸漬用サンプルとした。
以下の実施例及び比較例の導電性(表面抵抗)は、以下に記載の方法で測定した。
導電性を評価するための表面抵抗率は、表面抵抗計((株)ダイアインスツルメンツ製「ロレスタGP」、PSPタイププローブ)を用いて、導電層に4探針を接触させ、4探針法にて表面抵抗を測定した。
表1に示すように、塩酸を2-プロパノール(別名が「イソプロパノール」であり、以下、「IPA」と略記することがある。)で希釈して、塩酸濃度が1.5質量%、IPA濃度が78.8質量%の処理液(実施例1)、塩酸濃度1.5質量%の塩酸水溶液による処理液(比較例1)、80質量%のIPA水溶液の処理液(比較例2)、100%IPAの処理液(比較例3)、純水のみの処理液(比較例4)を準備し、それぞれの処理液を2Lのビーカーに300mL注いだ処理槽を準備した。
各処理槽で処理するサンプルについて、処理前の表面抵抗率を前記の方法で測定した。
処理前の表面抵抗率を測定済みのサンプルを、各処理液に、室温で2分間浸漬(静置)し、水洗後120℃で10分乾燥して処理後のサンプルとした。サンプルは各処理液について5点としてその平均値をもって表面抵抗とした。
また、処理前と処理後の表面抵抗率から低下率を下記の式で求めた。
低下率=(処理前の表面抵抗値−処理後の表面抵抗値)×100/処理前の表面抵抗
値
これらの結果を表1に示す。
による比較例2では、抵抗低下率が13.5%で、比較例3よりは、2倍程低下しているが、未だ不十分な値であった。
また、先ずアルコールにて処理した後、塩酸で処理すると、導電層のバインダー樹脂膜が脆くなって、剥離するなどの問題が見られるが、実施例1のごとく、塩酸とアルコールを含む水溶液に浸漬すると、そのような不具合もなく、塩酸及びアルコールでそれぞれ単独で処理した場合と比較して格段に抵抗低下率が向上した。
このように、本発明の電気抵抗低減化処理方法では、塩酸及びアルコールの処理を1工程で行うので、これらの相乗作用により高い抵抗低下率が得られる上に、設備の短縮化、効率化、省エネ化を図ることもできるという効果も奏する。
電気抵抗低減化処理における処理溶液中のアルコールの濃度の影響を調べるため、2−プロパノール(IPA)及びエタノール(EA)について濃度を78.8質量%(実施例1、2)、49.25質量%(実施例3、4)、9.85質量%(比較例5、6)、0質量%で塩酸水溶液のみ(比較例1)とする処理液を準備して、前記同様に表面抵抗率、表面抵抗の低下率を測定した。結果を表2に示す。なお、表2における比較例1及び実施例1は、表1に既述のものであり、比較の利便のため表2中にも再掲したものである。
特に、EMIシールド材は、テレビジョン受像装置、各種測定機器や計器類、各種事務用機器、各種医療機器、各種遊戯機器、電算機器、電話機等の表示部等に用いられるプラズマディスプレイ(PDP)、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ装置(LCD)、電場発光(EL)ディスプレイ装置などの画像表示装置の前面フィルタ用として好適であり、特にPDP用として好適である。また、その他、住宅、学校、病院、事務所、店舗等の建築物の窓、車輛、航空機、船舶等の乗物の窓、電子レンジ等の各種家電製品の窓等の電磁波及び赤外線遮蔽用途にも使用可能である。
10 基材
20 導電層
Claims (6)
- 基材上に、銀粉、バインダー樹脂及び溶剤を含有する銀ペーストを塗布または印刷して導電層を形成するステップ、
前記導電層を硬化させるステップと、
硬化した導電層を、少なくとも濃度が3〜90質量%の水溶性有機溶媒及び塩酸を含む水溶液に浸漬するステップ、
を備えることを特徴とする導電性基板の製造方法。 - 水溶性有機溶媒が、炭素数1〜5のアルコール類であることを特徴とする請求項1に記載の導電性基板の製造方法。
- さらに、前記浸漬するステップ後に熱乾燥ステップを有する請求項1または2に記載の導電性基板の製造方法。
- 前記バインダー樹脂は、アクリル樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載の導電性基板の製造方法。
- 前記アルコールは、エタノールまたは2−プロパノールである請求項2〜4のいずれかに記載の導電性基板の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法で得られたことを特徴とする導電性基板。
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