JP5082281B2 - カチオン硬化型導電性インキ - Google Patents

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Description

本発明は、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、凸版印刷法、反転印刷法およびフレキソ印刷法などで印刷することが可能であり、導電性と印刷精度が共に優れ、実質的に紫外線や電子線などの活性エネルギー線によってカチオン重合硬化可能であるカチオン硬化型導電性インキに関する。
導電性インキには、(1)良好な導電性を実現できるものの基材がセラミック等に限られる高温焼結型導電性インキと、(2)ガラス、エポキシ製プリント基板からフィルムにまで広く適用できるがバインダー硬化時の熱収縮による導電性粒子同士の接触により導通を得るために電気抵抗が比較的高いポリマー型導電性インキとがある。比較的低温で導電性を発揮するポリマー型導電性インキにおいても、一般的に120℃を超過する比較的長い加熱が必要であり、熱に弱い基材への適用が困難であるばかりか、硬化に数十分以上必要となる事から生産性および製造工程に関する制限を受ける。
これらの解決策として、紫外線(UV)や電子線などの活性エネルギー線によって硬化可能な導電性インキが多く提唱されている。
例えば特許文献1には、電子線硬化可能でかつ熱硬化可能な樹脂と、導電性フィラーから成る導電性塗料組成物を、電子線照射と加熱を併用することにより、高度の耐熱性、接着性、対湿性を有する信頼性の高い導電性塗料の硬化方法が開示されている。
特に、エネルギー線カチオン硬化型インキは、いったん発生したカチオン活性種の寿命が長く、エネルギー線が直接照射されていない部分の硬化(暗反応)が可能であることから導電性粒子を高密度に含有する導電性インキに好適な硬化方法である。また、得られる硬化塗膜は、金属、ガラス、シリコン基板、プラスチックフィルム等の基材への密着性に優れ、耐スクラッチ性、耐溶剤性といった硬化塗膜特性にも優れることから、実用に供するエネルギー線カチオン硬化型導電性インキの開発が期待されている。
特許文献2には、(a)脂環式エポキシ樹脂、(b)導電性粉末、(c)エネルギー線を受けてルイス酸を放出することができるエネルギー線感受性カチオン重合触媒、および熱感受性カチオン重合触媒を含有し、導電性粉末の含有率が組成物全体の70〜90wt%でもエネルギー線照射および/または比較的低温での短時間の加熱で充分に硬化できる導電性樹脂組成物が開示されている。
また、特許文献3には、環状脂肪族エポキシ樹脂、カチオン性光開始剤、熱硬化触媒、および導電性粒子から成る無溶剤型のポリマー系抵抗ペースト組成物を用い、光硬化と熱硬化を併用することにより、従来の溶剤添加ポリマータイプの導電性ペーストのように溶剤の蒸発による表面ひび割れ、体積減少による回路パターンの電極からの剥がれ、接点破壊を起こさず、かつ十分な膜硬化性を実現する技術が開示されている。
また、特許文献4には、カチオン硬化可能な溶剤不含のエポキシ樹脂、エポキシドとフェノールとの付加生成物、カチオン型光重合開始剤、カチオン型熱開始剤、導電性粒子を含有する、熱およびUVで開始されるカチオン硬化型導電性反応樹脂混合物が開示されている。
また、特許文献5には、低抵抗で塗工性および耐屈曲性に優れる無溶剤型の導電ペーストとして、導電性粉末と、カチオン硬化性樹脂組成物と、塗工性・屈曲性改良材と、分散性改良材とを必須成分とすることを特徴とする導電ペーストが開示されている。
特開平02−240168号公報 特公平05−059931号公報 特開2000−290583号公報 特表2000−501151号公報 特開2002−109959号公報
しかしながら前記先行技術によるエネルギー線硬化型導電性インキは硬化塗膜の導電性に劣り、熱硬化型の導電性インキと比べ適用分野が極めて制限されるものであった。さらに特許文献1から4に開示されている先行技術により、実用に供する硬化塗膜物性を得るにはエネルギー線のみでは不十分であり、加熱硬化の併用が必須であった。また、特許文献5にはUVのみで実用に供する硬化塗膜物性を得ることが開示されているものの、得られた硬化塗膜の体積抵抗率はせいぜい10−3Ω・cmのオーダーであり、例えばプリント配線基板の導電回路、タッチパネルの引き出し電極、太陽電池の電気引き出し電極回路、RFID用アンテナパターン、各種電磁波シールド用導電性パターン等に適用するには必ずしも満足できるものではなかった。
さらに前記先行技術には、インキに優れた精細印刷性が要求される例えばプリント配線基板への微細な導電性パターンを形成するために必要とされる優れた印刷特性を付与するための必須技術要素に関し極めて不完全であった。インキに優れた精細印刷性を付与するには導電性粒子の実質的な一次粒子までに微分散とその安定的な分散が必須である。導電性粒子の分散が不十分であると、粒子の凝集、インキの粘度の経時的変化(増粘)を引き起こし、印刷精度の低下及び得られる硬化塗膜の導電性の低下を引き起こす。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、導電性粒子をインキ中に良好に分散させ、優れた印刷特性を付与するとともに、導電性に優れ実質的にエネルギー線のみで実用に供する優れた硬化膜を得ることを可能とする実質的にエネルギー線によるカチオン硬化型導電性インキを提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、カチオン硬化型導電性インキに、界面活性剤の存在下で導電性粒子を分散溶剤中に分散させた分散液を真空凍結乾燥処理することにより、表面に界面活性剤を吸着させた導電性粒子の適用が極めて有効であることを見いだし本発明に至った。
すなわち本発明は第一に、導電性粒子と、カチオン重合性化合物と、カチオン重合開始剤を必須成分として含有するカチオン硬化型導電性インキであって、カチオン重合性化合物として脂環式エポキシ化合物または脂環式エポキシ化合物とオキセタン化合物とを必須成分とし、前記導電性粒子が、界面活性剤の存在下で導電性粒子を分散溶剤中に分散させた分散液を真空凍結乾燥処理することにより、該導電性粒子の表面に界面活性剤を吸着させており、さらにセルロース系樹脂を含有することを特徴とするカチオン硬化型導電性インキを提供する。
また、第に前記界面活性剤がリン酸エステル系の界面活性剤であることを特徴とし、第に前記面活性剤がアルキルアミンおよび/またはアルキルアミン塩であることを特徴とするカチオン硬化型導電性インキを提供する。
さらに第に前記カチオン重合開始剤がジアリールヨードニウム塩であるカチオン硬化型導電性インキを提供する。
本発明によれば、インキの安定性および印刷特性に優れた導電性インキを実現できるとともに、導電性に優れた硬化膜導電性を得ることができる。また、エネルギー線硬化性にすぐれ、実質的に光カチオン硬化のみで実用に供する硬化膜を得ることができる。
以下、最良の形態に基づき、本発明を詳しく説明する。
本発明のカチオン硬化型導電性インキは、導電性粒子と、カチオン重合性化合物と、カチオン重合開始剤を必須成分として含有し、前記導電性粒子が、界面活性剤の存在下で導電性粒子を分散溶剤中に分散させた分散液を真空凍結乾燥処理することにより、該導電性粒子の表面に界面活性剤を吸着させていることを特徴とする。
(導電性粒子)
本発明で使用できる導電性粒子としては、一般的な導体として扱われる金属の粒子は全て利用することができる。例えばニッケル、銅、金、銀、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、スズ、鉛、クロム、プラチナ、パラジウム、タングステン、モリブデン等、およびこれら2種以上の合金、混合体、あるいはこれら金属の化合物で良好な導電性を有するもの等が挙げられる。特に銀粒子または銀化合物粒子は、安定した優れた導電性を容易に実現でき好ましい。
本発明で使用する銀粒子としては、純銀粒子、銀で表面被覆された金属粒子、またはこれらの混合物を用いることができる。銀粒子としては、粒子形状が、球状、鱗片状、針状、樹枝状など任意の形状のものを用いることができる。銀粒子の製造方法も特に制限されず、機械的粉砕法、還元法、電解法、気相法など任意である。銀で表面被覆された金属粒子は、銀以外の金属からなる粒子の表面に、めっきなどの方法により銀の被覆層を形成したものである。例えば、銅粒子の表面を銀で被覆したものなどが市販されている。銀粒子としては、導電性とコスト面から見て、銀のみからなる球状銀粒子および鱗片状銀粒子が好ましい。銀粒子の体積平均粒径は、好ましくは0.01〜20μm、より好ましくは0.05〜10μm程度である。銀粒子として、体積平均粒径および形状が異なる2種類またはそれ以上の粒子を組み合わせて使用しても良い。
また本発明によれば、例えば光や熱によるインキのカチオン硬化過程において最終的に導電性を発揮する銀化合物の適用も可能である。適用可能な銀化合物粒子として例えば、酸化銀、ハロゲン化銀、リン酸銀および炭酸銀等の無機銀化合物、脂肪族カルボン酸銀、脂環式カルボン酸銀、芳香族カルボン酸銀等の含銀有機化合物等の粒子を使用することができる。これらの銀化合物粒子(粒子状銀化合物)は、工業生産されたものを用いることができるほか、銀化合物を含む水溶液からの反応によって得られたものを用いてもよい。また、粒子の一部が酸化銀処理された銀粒子を用いることができる。酸化銀処理された銀粒子は、銀粒子の表面の部分的な酸化処理により銀粒子の表面を銀から酸化銀へと酸化する方法のほか、銀粒子の表面上に酸化銀の層を被覆形成する方法などによって得ることができる。
(界面活性剤を吸着させた導電性粒子)
本発明では、導電性粒子のカチオン重合性化合物を主成分とするインキ組成物への分散性等を改善するため、上述の導電性粒子の表面に界面活性剤を吸着させたものを導電性粒子として用いる。このような導電性粒子は、(1)界面活性剤の存在下で導電性粒子を分散溶剤中に分散させ分散液を製造する分散工程と、(2)前記分散液を真空凍結乾燥させる乾燥工程を有する製造工程により製造することが可能である。
(1)分散工程
上記分散工程(分散液調製工程)においては、界面活性剤の存在下において導電性粒子を分散溶剤中に分散させ、分散液を調製する。ここで導電性粒子の表面処理に使用する界面活性剤としては、通常使用される多くの種類の界面活性剤の中から選択して用いることができ、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
陰イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、脂肪酸塩、ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物の塩、ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、アルケニルコハク酸塩、アルカンスルフォン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルのリン酸エステルおよびその塩、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルのリン酸エステルおよびその塩、等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、等が挙げられる。
陽イオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、等が挙げられる。両性界面活性剤としては、アルキルベタイン、アルキルアミンオキサイド、等が挙げられる。
これらの界面活性剤の中で、本発明で特に好適に用いることができるものとして、アルキルアミン系、アルキルアミン塩系、およびリン酸エステル系の界面活性剤が挙げられる。
(アルキルアミンおよびアルキルアミン塩の界面活性剤)
アルキルアミンおよびアルキルアミン塩は、本発明で導電性粒子の分散に用いる界面活性剤として好適であり、特に導電性粒子に銀粒子を用いるとき一層効果的である。アルキルアミン系の非イオン性界面活性剤、およびアルキルアミン塩系の陽イオン性界面活性剤はそれぞれ単独で使用しても有効であるが、特に併用することによって分散性がより良好となり効果が顕著である。
アルキルアミン系の界面活性剤としてはポリオキシアルキレンアルキルアミン型の界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルアミン型の界面活性剤がさらに好ましい。中でも以下の化学構造(1)を有するものがさらに好ましい。
Figure 0005082281
なお、式(1)において、a,bはそれぞれ1〜20の整数であり、Rは炭素数8〜20のアルキル基またはアルキルアリール基を表す。
一方アルキルアミン塩系の界面活性剤としては、アルキルアミンの酢酸塩が好ましく、中でも以下の化学構造(2)を有するものがさらに好ましい。
Figure 0005082281
なお、式(2)において、Rは炭素数8〜20のアルキル基またはアルキルアリール基を表す。
式(1)および式(2)において、炭素数8〜20のアルキル基としては、直鎖アルキル基でも分枝アルキル基でもよく、例えばオクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ラウリル基、テトラデシル基、ミリスチル基、ヘキサデシル基、セチル基、オクタデシル基、ステアリル基、エイコシル基などが挙げられる。炭素数8〜20のアルキルアリール基としては、例えばオクチルフェニル基、ノニルフェニル基、ドデシルフェニル基などのアルキルフェニル基が挙げられる。アルキルアリール基のアルキル部分は、直鎖アルキル基でも分枝アルキル基でもよい。
アルキルアミン系界面活性剤およびアルキルアミン塩系である陽イオン性界面活性剤を単独で、または混合して使用するときの、導電性粒子に対する界面活性剤の全配合量は、導電性粒子の種類により適宜調整する必要がある。例えば銀粒子に対する配合量は、銀粒子の種類により若干調整の必要があるが、銀粒子100質量部に対して0.01〜3.00質量部が好ましく、0.05〜1.50質量部が更に好ましい。界面活性剤の全配合量が0.01質量部未満では、充分な分散性が得にくくなる傾向がある。一方3.00質量部を越えると銀粒子表面が厚く界面活性剤の有機成分に被覆され、乾燥後の銀粒子同士の接触が得にくくなり、導電性が低下する傾向がある。
アルキルアミン系の界面活性剤とアルキルアミン塩系である陽イオン性界面活性剤とを併用する場合は、アルキルアミン系とアルキルアミン塩系との混合比率は1:20〜1:5の範囲が好ましい。
(リン酸エステル系の界面活性剤)
本発明で使用される界面活性剤として、リン酸エステル系の界面活性剤もまた好適に使用できる。特に導電性粒子に銀粒子を用いるときはより効果的である。
本発明において使用されるリン酸エステル系界面活性剤は、リン酸モノエステルあるいはリン酸ジエステル等を主成分とする界面活性剤である。主成分としてのリン酸エステル系界面活性剤はポリオキシアルキレンアルキルエーテルのリン酸エステルであることが好ましく、以下の一般式(3)で表される化学構造を有することがさらに好ましい。
Figure 0005082281
なお、式(3)中、Rは炭素数1〜20のアルキル基またはアルキルアリール基を表し、nは1〜20の整数、xは1または2である。
式(3)において、炭素数1〜20のアルキル基としては、直鎖アルキル基でも分枝アルキル基でもよく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ラウリル基、テトラデシル基、ミリスチル基、ヘキサデシル基、セチル基、オクタデシル基、ステアリル基、エイコシル基などが挙げられる。炭素数20以下のアルキルアリール基としては、例えばオクチルフェニル基、ノニルフェニル基、ドデシルフェニル基などのアルキルフェニル基が挙げられる。アルキルアリール基のアルキル部分は、直鎖アルキル基でも分枝アルキル基でもよい。
なおRの炭素数は1〜10、nは1〜10、ならびに、Rの炭素数とnの和が7〜15であることが好ましい。リン酸エステル系界面活性剤の重量平均分子量は、100〜1万であることが好ましく、150〜5000であることが更に好ましい。Pの含有量は0.5%〜10%が好ましく、2%〜6%が特に好ましい。
界面活性剤の種類と配合量は、導電性粒子の特性およびインキ適用用途により適宜選択することができる。例えば導電性インキの流動性が特に要求される場合には、リン酸エステル系の界面活性剤の適用が好適である。また、例えばスクリーン印刷法の適用において印刷パターンの精細さや厚膜印刷が要求される場合には、アルキルアミン系やアルキルアミン塩系の界面活性剤の適用が好ましい。また、本発明における界面活性剤の添加量は銀粒子100質量部に対して0.01〜3.00質量部が好ましく、0.05〜1.0質量部が更に好ましい。最適な界面活性剤の添加量は銀粒子の粒子サイズ、比表面積等の粒子の特性・特徴に依存する。一般に粒子サイズが小さいほど、また比表面積が大きいほど最適な添加量は増加する。本発明によれば上記添加量の範囲内で添加量の最適化を行えばよい。界面活性剤が0.01質量部未満では、分散液中で導電性粒子の実質的な一次粒子までの解砕が困難となる。不十分な解砕と不十分な表面処理銀粒子を適用した導電性インキは結果として安定性および導電性に劣る。一方3.00質量部を越えると銀粒子表面が過剰の界面活性剤に被覆されることになり、インキ硬化後の導電性が低下する。
(分散溶剤)
上記分散工程においては、銀または銀化合物等の導電性粒子と界面活性剤との混合物を分散溶剤中に添加し、攪拌機または分散機にかける。これにより、導電性粒子の実質的な1次粒子への解砕と界面活性剤との混合がなされる。例えば銀粒子と、分散溶剤と、界面活性剤とを所望の割合で混合して、分散手段により分散させた銀粒子の分散液を得ることができるが、次工程で凍結乾燥を行う場合の銀粒子の分散液中の固形分濃度の範囲は、0.5〜80%が好ましく、特に、1〜50%が好ましい。
ここで導電性粒子の分散に用いる分散溶剤としては、用いる界面活性剤を溶解できるものであれば特に限定されないが、水の使用が好ましい。
前記分散溶剤による導電性粒子の分散処理は、前記分散溶剤に界面活性剤を配合して充分に溶解させた後に、銀粒子等の導電性粒子を配合することが好ましい。導電性粒子の実質的な一次粒子までの解砕はボールミル等の適当な分散手法で実現できる。
(2)乾燥工程
前記分散溶媒中で、導電性粒子を界面活性剤存在下で実質的に一次粒子まで分散した後、該分散液から真空凍結乾燥法により分散溶媒の除去を行う。凍結真空乾燥により前記分散液を大気圧で分散溶剤の凝固点以下に予備凍結し、さらに凝固点における分散溶剤の蒸気圧より低い圧力で真空度をコントロールして凍結状態の固体混合物中から分散溶剤のみを昇華除去することができる。真空凍結乾燥は分散溶剤を低温で昇華蒸発させるため、乾燥中で物質移動による各成分の部分的成分濃縮、部分的成分変化が実質的に発生しない。
分散溶剤、導電性粒子、界面活性剤を混合した分散液中で界面活性剤は一般に導電性粒子の表面付近に局在している。真空凍結乾燥は導電性粒子表面付近に局在する界面活性剤をその表面に有効に吸着させ、界面活性剤が実質的に導電性粒子の表面に一様に吸着した乾燥粒子を得られる。従って凍結乾燥法の適用により極めて少量の界面活性剤で粒子表面を有効に処理することができる。
分散溶剤として水を用いた分散液(導電性粒子と、水、および界面活性剤を含む分散液)の場合は、大気圧で0℃以下に予備凍結し、理論上は0℃における水の蒸気圧4.5mmHg(=600Pa)を越えないよう真空度をコントロールすれば良い。乾燥速度、コントロールのやり易さを加味すれば1mmHg(=133.32Pa)以下にして、その蒸気圧での融点(凝固点)まで温度を上げることが好ましい。
(カチオン重合性化合物)
カチオン重合性化合物としては、カチオン重合可能な化合物であれば公知のものから適宜選択して使用できるが、例えば、脂環式エポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物、カチオン重合性アクリル化合物(カチオン重合性基を有するアクリル化合物)、各種ポリオールおよびポリオールポリエステルなどが挙げられる。
本発明のカチオン硬化型導電性インキにおいては、カチオン重合性化合物として、少なくとも脂環式エポキシ化合物を必須成分とすることが好ましい。とりわけ、脂環式エポキシ化合物とオキセタン化合物を必須成分とすることが好ましい。オキセタン化合物の添加より硬化塗膜強度を向上できる。
(カチオン重合開始剤)
カチオン重合開始剤としては公知のものが使用できるが、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、鉄アレーン錯体等が挙げられる。なかでもジアリールヨードニウム塩は、硬化性(硬化速度、硬化深度、塗膜密着性)に優れる上、光カチオン重合のみならず、熱カチオン重合でも硬化が可能であるため、好ましい。カチオン重合開始剤がオニウム塩化合物の場合の対アニオンとしては、ヘキサフルオロアンチモン酸アニオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸アニオン等が好ましい。
光カチオン重合を行う場合には、フェノチアジン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、アミノ安息香酸誘導体、アントラセン、フェナントレン、ペリレンなどの多環芳香族化合物、あるいはそれらの組み合わせなどの光増感剤を添加しても良く、さらにプロトン供給原として作用する多価アルコール化合物等を添加しても良い。
(溶剤)
本発明のカチオン硬化型導電性インキには、インキの粘度調節等の必要に応じて溶剤を含有させることができる。本発明で使用できる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、ベンジルアルコール、テルピネオール(Terpineol)等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、アセチルアセトン、プロピレンカーボネート等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルセロソルブ、ジグライム、メトキシプロパノール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エーテル、炭酸ジエチル、TXIB(1−イソプロピル−2,2−ジメチルトリメチレンジイソブチレート)、酢酸カルビトール、酢酸ブチルカルビトール等のエステル類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシドおよびスルホン類;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,1,2−トリクロロエタン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族類等が挙げられる。
特にエチルカルビトール、ブチルカルビトール、酢酸カルビトール、酢酸ブチルカルビトール等のグリコールエーテルやグリコールエーテルアセテート類は適度の揮発性およびモノマー、樹脂の溶解性に優れ好ましい。またプロピレンカーボネートはUVカチオンによりインキの表面硬化性および内部硬化性(硬化深さ)を向上することができ好ましい溶剤である。
これらの溶剤はここに挙げたものに限定されるものではなく、その使用に際しては単独、あるいは2種類以上混合して用いることができる。溶剤の使用量は塗布方法、印刷方法により異なり、適宜使用量を選択すればよい。
(結着剤樹脂)
本発明のカチオン硬化型導電性インキには、導電性粒子の分散安定性を向上させ、また基体への接着性の向上やインキの粘弾性特性を調整するために、さらに樹脂成分を添加してもよい。本発明で使用できる結着剤樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アセタール樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、酢酸ビニルエマルジョン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、およびニトロセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートブチレート等のセルロース系樹脂が挙げられる。これらの結着剤樹脂は、単独で、あるいは2種以上混合して利用することができる。
また、本発明のカチオン硬化型導電性インキをスクリーン印刷インキとして適用する場合にはセルロース系樹脂を含有することが好ましく、セルロース系樹脂としてはエチルセルロースが好適に挙げられる。エチルセルロースの添加によりインキに適度の流動性を付与することができインキの版透過性の向上、印刷後のレベリング性向上、印刷パターンのニジミ防止(ファインパターン形成可能)等の印刷特性を向上できる。さらに硬化膜強度が向上し、驚くべきことに硬化膜の導電性が向上する。
(その他インキに添加できる成分)
また、本発明のカチオン硬化型導電性インキには、用途に応じて非反応性化合物、消泡剤、レベリング剤、滑剤、可塑剤;メトキシベンゼン、ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤;エタノールアミンやトリエタノールアミン等の重合禁止剤;紫外線吸収剤、難燃剤、顔料、染料、レオロジー調整剤などを適宜併用することもできる。
(カチオン硬化型導電性インキの製造)
上記の界面活性剤を表面に吸着させた導電性粒子、カチオン重合性化合物、カチオン重合開始剤、所望により添加しうるその他の成分から導電性インキを製造するには、これら原料を混合し、適当な撹拌機や分散機を用いて攪拌等の簡単な分散処理をするだけで導電性インキを製造することができる。
すなわち、印刷直前に上記原料成分を混合して簡単な撹拌操作を行うことで、良好な導電性インキが得られるため、印刷装置に付随の設備として実施することも可能である。
また、より分散を確実に行うために以下の分散機を用いて分散処理を行っても良い。使用しうる分散手段としては、例えば、二本ロール、三本ロール、ボールミル、サンドミル、ペブルミル、トロンミル、サンドグラインダー、セグバリアトライター、高速インペラー分散機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、ニーダー、ホモジナイザー、超音波分散機等が挙げられる。
本発明の導電性インキにおいて樹脂成分の使用量は、表面処理された銀含有粉末100質量部あたり1〜30質量部の範囲が好ましい。
本発明のカチオン硬化型導電性インキは、スクリーン印刷、グラビア印刷やフレキソ印刷、凸版印刷、反転印刷などの公知慣用の印刷法によって基材上に印刷し、これに活性エネルギー線を照射することにより、導体回路等を形成することができる。基材としては、PET、SiO、ガラス、各種金属(Al,Zn,ハンダ,Ni,他)などを用いることができる。印刷物の厚さは、印刷法によって異なるが、印刷物の湿時厚さが1〜30μmの範囲が好ましく、特に1〜20μmの厚さが好ましい。印刷物の乾燥後、単位体積当たりの電気抵抗(体積抵抗率)を上げるために、基材の著しい変形を生じない程度に、プレスあるいはカレンダー処理をしてもよい。
本発明のカチオン硬化型導電性インキによれば、界面活性剤の存在下で分散溶剤中に実質的に一次粒子までに解砕された銀粒子分散液を真空凍結乾燥し、導電性粒子の表面に界面活性剤を効率的に吸着させた導電性粒子を適用することにより、該インキの経時安定性や硬化膜の導電性を向上することができる上、精細な細線を容易に印刷法にて形成することが可能になる。
また、効率的に界面活性剤を導電性粒子に吸着できることから、導電性粒子の安定分散のため必要となる界面活性剤の添加量を低減できる。本発明者らの検討によれば、導電性インキの光カチオン硬化性向上の為には界面活性剤の添加は少ないほど好ましい。
さらに凍結乾燥表面処理銀粒子の適用により、驚くべきことに優れた導電性を保持したまま、バインダーとして機能する樹脂成分の添加量を大幅に増加できる。これにより、高い導電性を保持したままバインダー樹脂の添加量を増やして塗膜物性、基材密着性、硬化性を向上させることができる。
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。また、特に断りのない場合、「%」および「部」は質量基準によるものとする。
なお、塗膜厚さはアンリツ製膜厚測定機「K−402B」にて測定した。体積抵抗率はJIS K−7194に準じて、三菱化学の抵抗率計「Loresta−EP MCP−T360」により四深針法により測定した。
(凍結乾燥処理した銀粒子a1〜a3の調製)
リン酸エステル系界面活性剤としてリン酸含有率が4.4%のポリオキシアルキレンアルキルエーテル・リン酸エステル(重量平均分子量約1700、HLB約12)の10%水溶液を調製した。
体積平均粒径約4.5μmの福田金属箔粉工業株式会社製フレーク状銀粉AgC−209を100g、界面活性剤として先に調整した10重量%リン酸エステル系界面活性剤の水溶液を8g、分散溶媒として水100gおよび直径2mmのジルコニアビーズ800gを500ccのポリエチレン瓶にいれてボールミルを用いて約4時間混練して銀粒子の分散液を得た。
得られた銀粒子分散液を平型トレイに移し真空凍結乾燥を実施した。凍結乾燥機は日本真空株式会社製「DFM−05AS」を用いた。真空凍結乾燥はまず銀粒子分散液を約−40℃雰囲気で凍結させ次いで真空圧力を7〜10Paに保ち凍結した氷を昇華させ界面活性剤表面処理乾燥銀粒子(a1)を得た。
界面活性剤としてリン酸系エステル系界面活性剤に替えてアルキルアミン塩の陽イオン性界面活性剤であるココナットアミンアセテートの10%水溶液とした以外上記と同様にして、アルキルアミン塩の陽イオン性界面活性剤で表面処理された界面活性剤表面処理乾燥粒子(a2)を得た。
界面活性剤としてアルキルアミン塩の陽イオン性界面活性剤であるココナットアミンアセテートの10%水溶液8gと、アルキルアミンの界面活性剤としてポリオキシエチレンココナットアルキルアミンエーテルの10%水溶液0.8gを使用した以外上記と同様の方法でココナットアミンアセテートとポリオキシエチレンココナットアルキルアミンエーテルで表面処理された界面活性剤表面処理乾燥粒子(a3)を得た。
(実施例で用いる硬化樹脂ベースの調製)
脂環式エポキシモノマー(ダイセル化学(株)製セロキサイド2021P)60g、オキセタン化合物(東亜合成(株)製OXT−221)30g、2,4−ジエチルチオキサントン(触媒化成社製)1g、ジアリールヨードニウム塩系重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカル社製イルガキュア250)10gに、エチルセルロース(日新化成(株)製エトセルSTD−100)のプロピレングリコールモノメチルエーテル(ダイセル化学工業(株)製MMPG)20%溶液を20g添加した合計121gを均一に混合し、硬化樹脂ベース(b1)を得た。
尚、b1中の硬化樹脂成分は60+30+10+1+4=105gであり、硬化樹脂成分のb1中の割合は105/121=0.87である。
(実施例1)
JIS−K5101に準じ安田精機製作所製フーバーマーラーを使用し先に調製した界面活性剤表面処理銀粒子(a1)6g、硬化樹脂ベース(b1)0.83gさらにMMPG0.1gを添加し混練することにより導電性インキ(c1)を得た。導電性インキ(c1)中で銀粒子が均一に分散していることは、豊栄精工社製グラインドメーターにて、得られたインキに約9μm以上の銀の粗粒が無いことで確認した。
得られた導電性インキ(c1)をメッシュ社製スクリーン版「EX230SYB MC−9」(乳剤膜厚30μm)を用いて厚さ50μmのPETフィルム上に10mm×30mmの印刷面を作製した。この印刷物を、アイグラフィック株式会社製メタルハライドUVランプ(120W/cm)を用いUV総照射量約2200mJ/cmにより硬化させ、平均塗布厚み14μmの硬化塗膜(d1)を得た。硬化塗膜(d1)の体積抵抗率は4×10−5Ω・cmであった。
尚、導電性インキ(c1)における硬化樹脂成分の銀粒子含有量に対する割合は、(0.83×0.87)/6=0.12となる。
(実施例2)
硬化樹脂ベース(b1)を1.11gおよび溶剤MMPGを添加しない以外実施例1と同様にして導電性インキ(c2)を得た。実施例1と同様に銀粒子の分散状態をグラインドメーターで確認したところ約7μm以上の銀粒子は認められなかった。実施例1と同様にして得られた光硬化膜(d2)は膜厚8μmで体積抵抗率7.1×10−5Ω・cmであった。
尚、導電性インキ(c2)における硬化樹脂成分の銀粒子含有量に対する割合は、(1.11×0.87)/6=0.16となる。
(実施例3)
硬化樹脂ベース(b1)を1.52gおよび溶剤MMPGの添加しない以外実施例1と同様にして導電性インキ(c3)を得た。実施例1と同様に銀粒子の分散状態をグラインドメーターで確認したところ約7μm以上の銀粒子は認められなかった。実施例1と同様にして得られた光硬化膜(d3)は膜厚13μmで体積抵抗率9.1×10−5Ω・cmであった。
尚、導電性インキ(c3)における硬化樹脂成分の銀粒子含有量に対する割合は、(1.52×0.87)/6=0.22となる。
(実施例4)
界面活性剤表面処理銀粒子(a2)を6g、硬化樹脂ベース添加量を1.11gおよび、溶剤MMPGの追添加をしない以外は実施例1と同様にして導電性インキ(c4)を得た。実施例1と同様に銀粒子の分散状態をグラインドメーターで確認したところ約9μm以上の銀粒子は認められなかった。実施例1と同様にして得られた光硬化膜(d4)は膜厚16μmで体積抵抗率7.7×10−5Ω・cmであった。
尚導電性インキ(c4)における硬化樹脂成分の銀粒子含有量に対する割合は、(1.11×0.87)/6=0.16となる。
(実施例5)
界面活性剤表面処理銀粒子(a3)を6gとした以外実施例4と同様にして導電性インキ(c5)を得た。実施例1と同様に銀粒子の分散状態をグラインドメーターで確認したところ約8μm以上の銀粒子は認められなかった。実施例1と同様にして得られた光硬化膜(d5)は膜厚14μmで体積抵抗率5.5×10−5Ω・cmであった。
尚導電性インキ(c5)における硬化樹脂成分の銀粒子含有量に対する割合は、(1.11×0.87)/6=0.16となる。
(比較例で用いる硬化樹脂ベースの調製)
脂環式エポキシモノマー(ダイセル化学(株)製セロキサイド2021P)65g、オキセタン化合物(東亜合成(株)製OXT−221)25g、2,4−ジエチルチオキサントン(触媒化成社製)1g、ジアリールヨードニウム塩系重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカル社製イルガキュア250)9gを均一に混合し硬化樹脂ベース(b2)を得た。
尚、b2中の硬化樹脂成分は65+25+1+9=100gであり、硬化樹脂成分のb2中の割合は100/100=1.0である。
(比較例1)
JIS−K5101に準じ安田精機製作所製フーバーマーラーを使用し、福田金属箔工業社製フレーク状銀粉(商品名AgC−209)6g、先に調製した硬化樹脂ベース(b2)0.72gさらに溶剤としてMMPG0.14gを添加し混練することにより導電性インキ(c6)を得た。豊栄精工社製グラインドメーターにて、得られたインキ(c6)中の銀粒子の分散性を確認したところ約15μm以上の銀の粗粒が多数認められた。
得られた導電性インキ(c6)をメッシュ社製スクリーン版「EX230SYB MC−9」(乳剤膜厚30μm)を用いて厚さ50μmのPETフィルム上に10mm×30mmの印刷面を作製した。この印刷物を、アイグラフィック株式会社製メタルハライドUVランプ(120W/cm)を用いUV総照射量約2200mJ/cmにより硬化させ、平均塗布厚み13μmの硬化塗膜(d6)を得た。硬化塗膜(d6)の体積抵抗率は5.0×10−5Ω・cmであった。
尚導電性インキ(c6)における硬化樹脂成分の銀粒子含有量に対する割合は、0.72/6=0.12となる。
(比較例2)
硬化樹脂ベース(b2)の添加量を0.96gとし、溶剤MMPGを添加しないこと以外は比較例1と同様にして導電性インキ(c7)を調製した。グラインドメーターによりインキ中の銀粒子の分散性を確認したところ約14μm以上の銀の粗粒が多数認められた。得られたインキ(c7)を用い比較例1と同様に硬化膜(d7)を得た。得られた硬化膜は、膜厚16μmで体積抵抗率は1.4×10−4Ω・cmであった。
尚導電性インキ(c7)における硬化樹脂成分の銀粒子含有量に対する割合は、0.96/6=0.16となる。
(比較例3)
硬化樹脂ベース(b2)の添加量を1.32gとした以外比較例2と同様に導電性インキとその硬化膜を得た。グラインドメーターにより得られたインキ(c8)には約15μmの銀の粗粒が多数認められた。その硬化膜(d8)の厚さは15μmであり、体積抵抗率は1.04×10−3Ω・cmであった。
尚導電性インキ(c8)における硬化樹脂成分の銀粒子含有量に対する割合は、1.32/6=0.22となる。
実施例1〜5では、カチオン重合性化合物を含有するカチオン硬化型導電性インキにおいて、界面活性剤の存在下で導電性粒子を分散溶剤中に分散させた分散液を真空乾燥処理することにより得られる界面活性剤表面処理乾燥粒子を用い、樹脂成分としてエチルセルロースを添加している。
いずれも簡便な混練により容易に銀粒子がインキ中に均一に分散し9μm以上の粒子は認められなかった。
実施例1〜3においては、硬化樹脂成分を銀粒子含有量に対し順次増加させて、体積抵抗率の変化を確認した。硬化樹脂成分の添加量を銀粒子量に対し約22%(実施例3)に増加しても、その紫外線硬化塗膜は×10−5Ω・cmのオーダーの体積抵抗率を保つことが確認できる。高い導電性を保持したまま、導電性インキ硬化膜物性や基材への密着性の向上に重要な役割をになう硬化樹脂成分の添加量の増加を可能とする新規な導電性インキが実現していることが確認できる。
これに対して真空凍結乾燥処理を行っていない銀粒子の適用と、エチルセルロース無添加で調製した比較例1〜3のカチオン硬化型導電性インキは、分散している銀粒子が大きく、得られた硬化膜は硬化樹脂成分の許容添加量範囲が狭いことが確認できる。例えば、硬化樹脂成分の添加量を銀粒子量に対し約22%とした比較例3では体積抵抗率が×10−3Ω・cmのオーダーに急激に増加している。
本発明のカチオン硬化型導電性インキは、スクリーン印刷法、凸版印刷法、反転印刷法およびフレキソ印刷法などで導電性パターンを容易に形成でき、かつ実質的にエネルギー線のみで導電性に優れた硬化膜を得ることができることから種々の産業分野に利用することができる。本発明の導電性インキの用途としては、電子機器などに用いられるプリント配線、各種導電性接着剤、抵抗器やコンデンサおよびインダクタの電極、非接触型ICタグ用アンテナ、プラズマディスプレイの放電電極や電磁波シールド、太陽電池の集電電極、携帯電話等に適用される静電気除去用導電性パターンの形成が挙げられる。

Claims (4)

  1. 導電性粒子と、カチオン重合性化合物と、カチオン重合開始剤を必須成分として含有するカチオン硬化型導電性インキであって、カチオン重合性化合物として脂環式エポキシ化合物または脂環式エポキシ化合物とオキセタン化合物とを必須成分とし、前記導電性粒子が、界面活性剤の存在下で導電性粒子を分散溶剤中に分散させた分散液を真空凍結乾燥処理することにより、該導電性粒子の表面に界面活性剤を吸着させており、さらにセルロース系樹脂を含有することを特徴とするカチオン硬化型導電性インキ。
  2. 前記界面活性剤がリン酸エステル系の界面活性剤である請求項記載のカチオン硬化型導電性インキ。
  3. 前記界面活性剤がアルキルアミンおよび/またはアルキルアミン塩である請求項記載のカチオン硬化型導電性インキ。
  4. 前記カチオン重合開始剤がジアリールヨードニウム塩である請求項1〜のいずれか一項記載のカチオン硬化型導電性インキ。
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