JP2008214424A - 帯電防止硬化膜形成用塗料と帯電防止硬化膜及び帯電防止硬化膜付きプラスチック基材並びに帯電防止硬化膜の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の帯電防止硬化膜形成用塗料は、アンチモン含有酸化スズ(ATO)等の導電性を有する金属酸化物微粒子と、陽イオン系界面活性剤と、紫外線(UV)硬化性樹脂と、エチレングリコール等の有機溶媒とを含有してなる塗料であり、この塗料における金属酸化物微粒子の含有率は1重量%以上かつ5重量%以下である。
【選択図】なし
Description
一方、透明導電膜自体にハードコート性を付与するために、導電性を有する有機高分子、金属酸化物微粒子、金属微粒子等を界面活性剤と共に紫外線硬化性樹脂等に含有させる試みがなされている。
また、導電性微粒子の含有率が低い透明導電膜としては、アンチモン含有酸化錫(ATO)、錫含有酸化インジウム(ITO)等の導電性微粒子を3重量%以上かつ60重量%以下含有した透明導電膜が提案されている(特許文献3)。
このように、従来の塗料を用いて膜にハードコート性を付与しようとすると、膜の表面抵抗の低抵抗化、膜の硬度、成膜性、塗料の寿命のいずれかの点で問題点が生じ、これらの全てを満足することは困難であった。
前記化合物Aは、分子量が200以下の三価アルコールまたは二価アルコールであり、
前記化合物Bは、下記の式(1)
または、下記の式(2)
で表される化合物であり、
前記化合物Aおよび/または化合物Bの合計の含有率は、3重量%以上かつ15重量%以下であることが好ましい。
前記金属酸化物微粒子、前記陽イオン系界面活性剤及び前記光硬化性樹脂の合計の含有率は、30重量%以上かつ50重量%以下であることが好ましい。
この塗料の粘度は、2mPa・s以上かつ20mPa・s以下であることが好ましい。
この塗料の表面張力は、20mN/m以上かつ30mN/m以下であることが好ましい。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
スズを含む金属酸化物微粒子としては、例えば、酸化スズ(SnO2、SnO等)、アンチモン含有酸化スズ(ATO)、スズ含有酸化インジウム(ITO)等が挙げられる。
ここで、平均一次粒子径を20nm以下と限定した理由は、平均一次粒子径が20nmを越えると、微粒子同士の凝集が生じ易くなり、その結果、塗料の保存安定性が低下し、ポットライフが短くなるからである。
ここで、金属酸化物微粒子の含有率が1重量%未満であると、製膜した場合に膜中の金属酸化物微粒子の濃度が低くなり、金属酸化物微粒子間の接触の度合いが低下し、その結果、表面抵抗が高くなってしまい、所望の表面抵抗が得られなくなるからである。一方、含有率が5重量%を越えると、塗料中にて金属酸化物微粒子の凝集が生じ易くなり、その結果、塗料の保存安定性が低下し、ポットライフが短くなるからである。また、この塗料を用いて製膜した場合、膜中の金属酸化物微粒子の濃度が高くなり、その結果、金属酸化物微粒子に起因する着色が生じ易くなり、膜の可視光線に対する透過率が低下するからである。
このような光硬化性樹脂としては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のモノマー、あるいは、これらを原料とするオリゴマーやポリマー等が挙げられる。
これらの樹脂は、目的とする帯電防止硬化膜に付与される特性に応じて適宜選択することができる。
化合物Aは、分子量が200以下の三価アルコールまたは二価アルコールである。
または、下記の式(2)
で表される化合物である。
この有機溶媒のうち特に好ましいものとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、N−メチルピロリドン、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
ここで、化合物Aおよび/または化合物Bの合計の含有率が3重量%未満であると、金属酸化物微粒子の分散安定性が低下し、したがって、塗料の保存安定性が低下し、ポットライフが短くなるからであり、また、塗工して得られる塗膜に微小粒子が多数発生し、成膜性も悪化するからである。また、含有率が15重量%を越えると、塗料に含まれる樹脂の溶解性が低下し、したがって、塗料の保存安定性が低下し、ポットライフが短くなり、その結果、得られる膜が白化し、成膜性も悪化するからである。
なお、化合物Aおよび化合物Bを全く含まない有機溶媒のみを使用した場合、金属酸化物微粒子の含有率を数十重量%以上にしないと、表面抵抗が安定して発現せず、また、塗料のポットライフも悪化するので、好ましくない。
ここで、これらの合計の含有率が30重量%未満であると、得られた膜中の残留溶媒が多くなり、UV照射後の膜に白化が生じ易くなり、また、膜のハードコート性が低下するからであり、一方、これらの合計の含有率が50重量%を越えると、膜の粘度が高くなり、塗工時の膜厚制御が難しく、ムラ等が発生し易くなるからであり、また、導電性粒子の膜中の含有濃度が低くなり、表面抵抗値が発現しづらくなるからである。
このレベリング剤としては、ケイ素またはフッ素を含む有機化合物が好ましく、例えば、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルエステル変性ポリジメチルシロキサン、前記の水酸基あるいはアクリル基含有物等のシリコーン系ポリマー、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキルエステル、その他フッ素変性ポリマー等が挙げられる。
このレベリング剤には、膜表面の滑り性を向上させるとともに、膜の鉛筆硬度等のハードコート性を向上させる効果もある。
なお、レベリング剤を含有しない場合、製膜時にハジキ等の膜欠陥が生じ易くなる。
まず、透明基材を用意する。この透明基材としては、特に限定されず、プラスチック基材、ガラス基材を挙げることができ、その形状としては、平板、フィルム、シート等いずれであってもよい。
このプラスチック基材としては、透明プラスチックシートや透明プラスチックフィルム等が挙げられる。このプラスチック基材の材質としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリアクリレート、ポリスチレン(PS)、ポリアクリレートとポリスチレン(PS)の共重合体等から適宜選択することができる。
ここで、温度が15℃より低いと、塗料の粘度が高くなってしまい、塗工性が悪化するからであり、一方、30℃より高いと、塗料の粘度が低くなってしまい、塗工の際の膜厚の制御が難しくなり、厚みムラ等の膜欠陥が生じ易くなるからである。
これら熱処理及び光照射の条件は、塗布膜に含まれる陽イオン系界面活性剤、光硬化性樹脂、有機溶媒、レベリング剤等の種類や含有率に合わせて適宜設定することが望ましい。
以上により、本発明の帯電防止硬化膜を安価かつ容易に作製することができる。
アンチモン含有酸化スズ(ATO)微粒子(平均1次粒子径:8nm、住友大阪セメント製)2.0重量部、陽イオン系界面活性剤 アデカミン4MAC−30(アデカ社製、有効成分30%)を有効成分換算で0.08重量部、紫外線(UV)硬化性樹脂モノマー DPHA(日本化薬社製)30重量部に、有機溶媒として、ジアセトンアルコール(DAA)20重量部、エチレングリコール(EG)10重量部、さらにメチルエチルケトン(MEK)を全体量が100重量部になるように加え、ポリエーテル変性シリコーン BYK333(ビックケミー社製)を0.1重量部添加した。
次いで、この塗料を20℃に加熱した後、温度25℃、相対湿度55%RHの環境下で、PETフィルム(東洋紡社製)にバーコート(#18)にて塗布し、次いで、乾燥器を用いて70℃にて3分間乾燥させ、さらに、高圧水銀灯を用いて、300mJ/cm2のUV照射を行い、実施例1の硬化膜付きPETフィルムを得た。
エチレングリコール(EG)の含有量を3重量部とした以外は、実施例1に準じて、実施例2の塗料及び硬化膜付きPETフィルムを得た。
エチレングリコール(EG)をグリセリンに替え、このグリセリンの含有量を5重量部とした以外は、実施例1に準じて、実施例3の塗料及び硬化膜付きPETフィルムを得た。
エチレングリコール(EG)をN−メチルホルムアミド(NMF)に替え、このN−メチルホルムアミド(NMF)の含有量を9重量部とした以外は、実施例1に準じて、実施例4の塗料及び硬化膜付きPETフィルムを得た。
エチレングリコール(EG)をN−メチルピロリドン(NMP)に替え、このN−メチルピロリドン(NMP)の含有量を9重量部とした以外は、実施例1に準じて、実施例5の塗料及び硬化膜付きPETフィルムを得た。
アンチモン含有酸化スズ(ATO)微粒子の含有量を3.0重量部、紫外線(UV)硬化性樹脂モノマー DPHAを40重量部とした以外は、実施例1に準じて、実施例6の塗料及び硬化膜付きPETフィルムを得た。
エチレングリコール(EG)の含有量を0重量部とした以外は、実施例1に準じて、比較例1の塗料及び硬化膜付きPETフィルムを得た。
エチレングリコール(EG)の含有量を2重量部とした以外は、実施例1に準じて、比較例2の塗料及び硬化膜付きPETフィルムを得た。
エチレングリコール(EG)の含有量を20重量部とした以外は、実施例1に準じて、比較例3の塗料及び硬化膜付きPETフィルムを得た。
表1に、実施例1〜6及び比較例1〜3各々の塗料の組成を示す。
実施例1〜6及び比較例1〜3各々の塗料のポットライフ、粘度、表面張力、成膜性、及び実施例1〜6及び比較例1〜3各々の硬化膜付きPETフィルムの全光線透過率、ヘイズ、表面抵抗及び鉛筆硬度を下記の方法により評価した。
塗料を30℃にて30日間、静置し、沈降物の有無を目視により判定した。
(2)粘度
日本工業規格JIS Z 8803「液体の粘度−測定方法」に準拠し、ウベローデ型毛細管粘度計を用いて、液温25℃にて測定した。
(3)表面張力
ウィルヘルミー法による表面張力計(協和界面化学社製)を用いて測定した。
(4)成膜性
バーコート(#18)にて塗布した塗布膜の表面状態を目視にて評価した。
日本工業規格JIS K 7105「プラスチックの光学的特性試験方法」に準拠して、日本電色製ヘイズメータを用いて測定した。
(6)ヘイズ(曇価)
日本工業規格JIS K 7105「プラスチックの光学的特性試験方法」に準拠して、日本電色製ヘイズメータを用いて測定した。
(7)表面抵抗(Ω/□)
ハイレスタ(ダイヤインスツルメンツ社製)を用いて硬化膜の表面抵抗を測定した。
(8)鉛筆硬度
日本工業規格JIS K 5600−5−4「引っかき硬度(鉛筆法)」に準拠して、硬化膜膜における鉛筆硬度を測定した。ここでは、負荷荷重を750gとし、この荷重下で傷が付かなかった鉛筆の硬度を用いて評価した。
以上の評価結果を表2に示す。
一方、比較例1では、塗料に微粒子が凝集した沈降物が認められ、保存安定性に欠けるものであった。また、膜には微小粒子が多数発生しており、成膜性に劣っており、表面抵抗も高く、導電性に劣ったものであった。
比較例2では、沈降物こそ認められなかったものの、膜には微小粒子が多数発生しており、成膜性に劣ったものであった。
比較例3では、塗料がゲル化しており、保存安定性に欠けるものであった。また、膜は白化しており、透明性に欠けるものであった。また、表面抵抗も極めて高く、導電性に劣ったものであった。
Claims (10)
- 導電性を有する金属酸化物微粒子と、陽イオン系界面活性剤と、光硬化性樹脂と、有機溶媒とを含有してなる塗料であって、
前記金属酸化物微粒子の含有率は、1重量%以上かつ5重量%以下であることを特徴とする帯電防止硬化膜形成用塗料。 - 前記金属酸化物微粒子は、スズを含む金属酸化物微粒子であり、その平均一次粒子径は20nm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の帯電防止硬化膜形成用塗料。
- 前記金属酸化物微粒子、前記陽イオン系界面活性剤及び前記光硬化性樹脂の合計の含有率は、30重量%以上かつ50重量%以下であることを特徴とする請求項1、2または3記載の帯電防止硬化膜形成用塗料。
- 粘度は、2mPa・s以上かつ20mPa・s以下であることを特徴とする請求項4記載の帯電防止硬化膜形成用塗料。
- さらに、ケイ素またはフッ素を含むレベリング剤を0.01重量%以上かつ1重量%以下含有してなることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項記載の帯電防止硬化膜形成用塗料。
- 表面張力は、20mN/m以上かつ30mN/m以下であることを特徴とする請求項6記載の帯電防止硬化膜形成用塗料。
- 請求項1ないし7のいずれか1項記載の帯電防止硬化膜形成用塗料を用いて形成してなることを特徴とする帯電防止硬化膜。
- 請求項8記載の帯電防止硬化膜をプラスチック基材の表面に形成してなることを特徴とする帯電防止硬化膜付きプラスチック基材。
- 透明基材上に、請求項1ないし7のいずれか1項記載の帯電防止硬化膜形成用塗料を、温度が15℃以上かつ30℃以下、相対湿度が45%RH以上かつ65%RH以下の環境下にて塗布して塗布膜を形成し、次いで、この塗布膜を、50℃以上かつ100℃以下の温度にて熱処理し、次いで、所定の波長範囲の光を照射して硬化させることを特徴とする帯電防止硬化膜の製造方法。
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